説明

液体充填装置

【課題】気密性が高く、廉価に維持することができる液体充填装置を提供する。
【解決手段】液体充填装置は、容器2を搬送路上で搬送する搬送手段と、容器を充填室に入れる入口ステーション7と、容器に液体食品を充填する充填ステーション4と、充填された容器をシールする密封ステーション6と、密封された容器を排出する出口ステーション8と、前述のステーションを覆うチャンバー5とを備える。入口ステーション及び出口ステーションには、それぞれ、搬送路を挟んで2枚の第1及び第2の回転扉10と、回転扉の外側に設けられた壁とが配設され、回転扉には、回転軸11に対象に2枚の回転自在の遮蔽板12が設けられ、少なくとも搬送路の中央を超えて回転可能であるように板幅を持ち、第1及び第2の回転扉の遮蔽板は、対向する遮蔽板と接触するように連動し、壁の内壁は、回転する遮蔽板の先端と近接しかつ接触しない形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性食品などの液体を無菌雰囲気で容器に充填する液体充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジュースや牛乳などの液体食品などを充填する容器は、衛生的に良好な雰囲気下で、その空容器に液体を充填する液体充填装置を用いて得られる。
【0003】
屋根型紙容器に液体食品を充填して包装する包装充填装置では、先ず、折目線が付けられた印刷済み積層包装材料が所定形状に裁断され、容器縦方向に縦シールした容器ブランクスが準備される。ブランクスの底が底部シール手段でシールされて充填装置のチャンバー内に入ってベルトコンベア等の搬送路上を搬送される。殺菌ステーションで容器内部が過酸化水素液噴霧及び/又は紫外線照射によって殺菌され、充填ステーションで、上部開口容器がリフターによってノズルまで持ち上げられ、容器の開口から充填手段のタンクに一時貯留された液体食品が、充填手段のノズルで充填され、充填完了後に搬送手段のレールに戻り、次いで、容器の上部開口が折目線に沿って内側に折り込んで、順次閉鎖され、予熱ステーション及びトップシールステーションで容器の上端がトップシール手段でヒートシールされて、所謂、屋根型充填容器が得られる。
上記の充填装置に用いられる充填バルブでは、垂直筒状バルブ本体と、バルブ本体の下端開口を開閉するプラグを下端に有する昇降ロッドと、一端に昇降ロッドの上端が連結されている開閉レバーと、開閉レバーの他端に連結されている作動ロッドを有している。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−97188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食品衛生上、ジュースや牛乳などの液体食品などを充填する容器は、衛生的に良好な雰囲気下で、その空容器に液体を充填する必要がある。
その様な食品を連続的に充填する充填装置では、食品の充填装置(チャンバー)内は衛生性のために内部にクリーンエアを送り、外気圧よりも圧力の高い状態(陽圧)を保ち、絶えず、装置(チャンバー)内部からクリーンエアを漏らすことによって、外部雰囲気から空気が装置(チャンバー)内部に浸入しないようにしている。しかし、屋根型紙容器用充填装置には、空容器(カートン)入口及び充填済み容器(製品)出口が大きく開放されていて、気密性が良くない。従って、大型のクリンエアー送風装置(クリーンエアシステム)による強力な送風によってチャンバー内の陽圧を確保している。
この為に、このクリーンエアシステムの送風機は大電力を消費し騒音が大きい。内部ヘフィルターも大型でメンテナンスが大変でコストもかかる。
これに対して、充填装置カバー・ドア等の気密性を高める。また、樹脂製「のれん」を容器の入口や製品の出口に設置する等の工夫がなされている。
本発明は、上記の必要性、切望に応えるものであり、装置内部チャンバーの気密性が高く、低コストであって廉価に維持することができ、省エネルギーでもある液体充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決する本発明の液体充填装置は、容器を搬送路上で搬送する搬送手段と、容器をチャンバー内に入れる入口ステーションと、容器に液体食品を充填する充填ステーションと、充填された容器をシールする密封ステーションと、密封された容器を排出する出口ステーションと、前述のステーションを覆うチャンバーとを備える液体充填装置であって、
入口ステーション及び出口ステーションには、それぞれ、搬送路を挟んで設けられる第1及び第2の回転扉と、回転扉の外側に設けられた壁とが配設され、
回転扉には、回転軸に対象に2枚の回転自在の遮蔽板が設けられ、
遮蔽板は、少なくとも搬送路の中央を超えて回転可能であるように板幅を持ち、
第1及び第2の回転扉の遮蔽板は、対向する際に他方の遮蔽板とお互いに接触するように連動し、
壁の内壁は、回転する遮蔽板の先端と近接しかつ接触しない形状を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上の本発明によれば、以下の有利な作用を奏し顕著な効果が得られる。
この発明の液体充填装置は、ベルトコンベアなどの搬送手段を備え、充填前空容器及び、充填済み容器を搬送路上で搬送する。この搬送によって、包装充填装置内の各ステーションに順次、容器を運ぶことができる。
この発明の液体充填装置は、容器に液体食品を充填する充填ステーションを備える。
この充填では、容器開口部から液体食品が流し込まれて充填され、通常、製造上の制約から、容器上部にヘッドスペースが形成される。衛生的に良好な雰囲気下での充填によって、食品衛生上、好ましい製造を行うことができる。
【0008】
この発明の液体充填装置は、充填された容器をシールする密封ステーションを備える。
密封ステーションでは、容器の上部の開口が閉じられてヒートシールなどによって封止される。この封止によって、製品としての包装容器入りの液体食品が得られることができる。
この発明の液体充填装置は、前述のステーションを覆うチャンバーを備える。
衛生的に良好な雰囲気下で製造する為に、上記のステーションがチャンバーで覆われる。この発明においては、チャンバーが覆うステーションは、少なくとも、入口ステーションと、充填ステーションと、密封ステーションと、出口ステーションとである。その他のステーションも必要に応じて覆っても良い。
入口ステーションと出口ステーションとは、この発明の合目的上、チャンバーがその入口及びその出口を封鎖することを意味しない。
【0009】
この発明の液体充填装置では、容器をチャンバー内に入れる入口ステーションと、密封された容器を排出する出口ステーションとを備える。
この入口ステーション及び出口ステーションには、それぞれ、搬送路を挟んで設けられる第1及び第2の回転扉と、回転扉の外側に設けられた壁とが配設され、回転扉には、回転軸に対象に2枚の回転自在の遮蔽板が設けられ、遮蔽板は、少なくとも搬送路の中央を超えて回転可能であるように板幅を持つ。
【0010】
上記構成を持つ回転扉では、回転扉付近の搬送路上に容器が存在しないとき、第1及び第2の回転扉の遮蔽板は、対向する際に他方の遮蔽板とお互いに接触し、チャンバーとその外側とを遮断し、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を防止することができる。また、無用にチャンバー内の無菌エアの流出を防止することができる。
回転扉付近の搬送路上に容器が移動して回転扉に接近すると、遮蔽板が搬送路の中央を超えて回転可能であるように板幅を持つので、第1及び第2の回転扉の遮蔽板の前半分のそれぞれの板壁に容器が当たり、容器の圧力で及び/又は回転扉の回転力で、遮蔽板が容器の移動と共に回転する。
この回転する間は、チャンバーとその外側とが遮断されないが、遮蔽板と容器との隙間だけであるので、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を最小限に抑え、また、チャンバー内の無菌エアの流出を最少化することができる。
【0011】
回転扉付近の搬送路上から容器が離れる方向に移動すると、遮蔽板が回転軸に対して回転自在であるので、第1及び第2の回転扉の遮蔽板の後半分のそれぞれの板壁に容器が当たり、回転扉の自動回転力で、遮蔽板が容器の移動と共に回転する。
同様に、この回転する間は、チャンバーとその外側とが遮断されないが、遮蔽板と容器との隙間だけであるので、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を最小限に抑え、また、チャンバー内の無菌エアの流出を最少化することができる。
【0012】
回転扉付近の搬送路上から容器が離れると、第1及び第2の回転扉の遮蔽板は、対向する際に他方の遮蔽板とお互いに接触し、チャンバーとその外側とを遮断し、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を防止することができる。また、無用にチャンバー内の無菌エアの流出を防止することができる。
【0013】
この入口ステーション及び出口ステーションには、回転する遮蔽板の先端と近接しかつ接触しない形状を有する内壁を備える。
遮蔽板の回転する間及び、回転扉付近の搬送路上に容器が存在しないときも、チャンバーとその外側とを遮断し、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を防止することができる。また、無用にチャンバー内の無菌エアの流出を防止することができる。
【0014】
上述の様に、この回転扉構造によって、気密性の高いチャンバーは、小型で廉価で静かでメンテの楽なクリンエアー供給装置が使え、外気との遮断性が高くなり、チャンバーの衛生性・安全性が高い充填装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明による回転扉の実施例の動作を説明する平面図である。
【図2】図2は、この発明による液体充填装置の実施例の動作を示す平面断面図である。
【図3】図3は、この発明による液体充填装置の実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2及び図3に示すように、この実施例の液体充填装置は、ベルトコンベアなどの搬送手段1を備え、充填前空容器2a及び、充填済み容器2bを搬送路上で搬送する。この搬送によって、包装充填装置内の各ステーションに順次、容器を運ぶ。
この実施例の液体充填装置は、容器に液体食品を充填する充填ステーション3を備える。
この充填では、充填ノズル4より、容器開口部2cから液体食品が流し込まれて充填される。チャンバー5内で衛生的に良好な雰囲気下での充填によって、食品衛生上、好ましい製造を行う。
【0017】
この実施例の液体充填装置は、充填された容器2をシールする密封ステーション6を備える。
密封ステーションでは、容器の上部の開口2cが閉じられてヒートシール手段(図2に6a)などによって封止される。この封止によって、製品としての包装容器入りの液体食品2bが得られる。
この実施例の液体充填装置は、前述のステーション3、6を覆うチャンバー5を備える。
衛生的に良好な雰囲気下で製造する為に、上記のステーション3、6がチャンバー5で覆われる。この実施例においては、チャンバー5が覆うステーションは、入口ステーション7と、充填ステーション4と、密封ステーション6と、出口ステーション8とである。その他の殺菌ステーション(図示せず)も覆う。
入口ステーション7と出口ステーション8とは、この実施例の合目的上、チャンバー5がその入口及びその出口を封鎖することを意味しない。
【0018】
この実施例の液体充填装置では、容器2aをチャンバー5内に入れる入口ステーション7と、密封された容器2bを排出する出口ステーション8とを備える。
図1に示すように、この入口ステーション及び出口ステーションには、それぞれ、搬送路1を挟んで設けられる第1及び第2の回転扉10a、10bと、回転扉の外側に設けられた壁12とが配設され、回転扉10a、10bには、回転軸11a、11bに対象に2枚の回転自在の遮蔽板12a、12bが設けられ、遮蔽板12a、12bは、搬送路の中央を超えて回転可能であるように板幅を持つ。
【0019】
図1(A)に示すように、上記構成を持つ回転扉10a,10bでは、回転扉付近の搬送路上に容器2が存在しないとき、第1及び第2の回転扉10a、10bの遮蔽板12a、12bは、対向する際に他方の遮蔽板12とお互いに接触し、チャンバーとその外側とを遮断し、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を防止する。また、無用にチャンバー内の無菌エアの流出を防止する。
図1(B)に示すように、回転扉付近の搬送路上に容器2が移動して回転扉10に接近すると、遮蔽板12が搬送路の中央を超えて回転可能であるように板幅を持つので、第1及び第2の回転扉10の遮蔽板12の前半分のそれぞれの板壁に容器が当たり、容器2の圧力で及び/又は回転扉の回転力で、遮蔽板12が容器2の移動と共に回転する。
この回転する間は、チャンバーとその外側とが遮断されないが、遮蔽板と容器との隙間だけであるので、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を最小限に抑え、また、チャンバー内の無菌エアの流出を最少化する。
【0020】
図1(D)及び(C)に示すように、回転扉付近の搬送路上から容器が離れる方向に移動すると、遮蔽板が回転軸に対して回転自在であるので、第1及び第2の回転扉の遮蔽板の後半分のそれぞれの板壁に容器が当たり、回転扉の自動回転力で、遮蔽板が容器の移動と共に回転する。
同様に、この回転する間は、チャンバーとその外側とが遮断されないが、遮蔽板と容器との隙間だけであるので、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を最小限に抑え、また、チャンバー内の無菌エアの流出を最少化する。
【0021】
図1(D)に示すように、回転扉付近の搬送路上から容器2が離れると、第1及び第2の回転扉10の遮蔽板12は、対向する際に他方の遮蔽板とお互いに接触し、チャンバーとその外側とを遮断し、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を防止する。また、無用にチャンバー内の無菌エアの流出を防止する。
【0022】
この入口ステーション7及び出口ステーション8には、回転する遮蔽板12の先端と近接しかつ接触しない形状を有する内壁7a及び8aを備える。
遮蔽板12の回転する間及び、回転扉付近の搬送路上に容器2が存在しないときも、チャンバーとその外側とを遮断し、外部雰囲気のチャンバーへの侵入を防止することができる。また、無用にチャンバー内の無菌エアの流出を防止する。
【0023】
上述の様に、2枚の連動する回転扉により、容器が通り抜ける一瞬だけ開放、あとは密閉できる充填室(チャンバー)構造である。容器の出入り口以外の充填室内の仕切りにも設置することにより、より密閉感を高める。
回転扉はお互いにほとんど接触した状態で連続回転、又は間欠的に回転し、容器が通り過ぎる時だけ開放される。その後はすぐに閉ざされる。
容器出入り口に回転扉を設置し、その側壁面を隙間無く壁で覆うことにより、「ベーンポンプ」のような気密空間を確保する。
よって、装置内部チャンバーの気密性が高く、低コストであって廉価に維持することができ、省エネルギーでもある液体充填装置を提供する。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、ジュース、牛乳などの飲料を包装容器で包装充填する製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 ・・ 搬送手段
2 ・・ 容器
4 ・・ 充填ステーション
5 ・・ チャンバー
6 ・・ 密封ステーション
7 ・・ 入口ステーション
8 ・・ 出口ステーション
10・・ 回転扉
12・・ 遮蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送路上で搬送する搬送手段と、該容器をチャンバー内に入れる入口ステーションと、該容器に液体食品を充填する充填ステーションと、充填された該容器をシールする密封ステーションと、密封された該容器を排出する出口ステーションと、前述のステーションを覆うチャンバーとを備える液体充填装置であって、
該入口ステーション及び該出口ステーションには、それぞれ、該搬送路を挟んで設けられる第1及び第2の回転扉と、回転扉の外側に設けられた壁とが配設され、
該回転扉には、回転軸に対象に2枚の回転自在の遮蔽板が設けられ、
該遮蔽板は、少なくとも搬送路の中央を超えて回転可能であるように板幅を持ち、
第1及び第2の該回転扉の該遮蔽板は、対向する際に他方の遮蔽板とお互いに接触するように連動し、
該壁の内壁は、回転する該遮蔽板の先端と近接しかつ接触しない形状を有する、
ことを特徴とする液体充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−140350(P2011−140350A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134604(P2010−134604)
【出願日】平成22年6月12日(2010.6.12)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】