説明

液体処理用光源装置

【課題】 複数の棒状の紫外線ランプが環状に並ぶよう配置された構成のものにおいて、周方向の全周にわたって十分な強度の紫外線を均一に照射することのできる新規な構造の液体処理用光源装置を提供すること。
【解決手段】 この液体処理用光源装置は、互いに同軸上に配置された外管および内部に被処理液体が流通される内管の間に密閉された円筒状空間が形成された収容管と、収容管の円筒状空間の内部に配置された複数の棒状の紫外線ランプと、紫外線ランプを、ランプ中心軸が収容管の軸方向に沿って延びる姿勢で、内管の外周面に沿って環状に並ぶよう保持するランプ保持部材とを具えており、各々の紫外線ランプは、周方向における一部に外部に光を取り出すためのアパーチャ部がランプ中心軸に沿って延びるよう形成された発光管を具えており、各々の紫外線ランプはアパーチャ部が内管の外周面に対向するよう配置された構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、紫外線を照射することにより被処理水中に含有される有機質不純物(TOC)を除去する高純度化処理に好適に用いられる液体処理用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば被処理水に含有される有機質不純物を除去する高純度化処理においては、紫外線を照射することにより被処理水中の有機質不純物を分解して除去する方法が利用されており、このような高純度化処理に用いられる液体処理用光源装置としては、例えば、主ピークがほぼ波長185nmにある紫外線を照射可能な低圧水銀ランプまたは中圧水銀ランプを具えた構成のものが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
また、特許文献2には、被処理水を流通させる機能をもった円筒容器を備え、この円筒容器内に、複数本の棒状の低圧水銀ランプまたは中圧水銀ランプが円筒容器の中心軸と平行にかつ周方向に等間隔毎に環状に並ぶよう配置された構成の液体処理用光源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−260017号公報
【特許文献2】特開2007−245081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、高純度化処理に用いられる液体処理用光源装置においては、所定の波長の紫外線を流通される被処理水に対して十分な強度で均一に照射することのできるものであることが求められている。
【0005】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、複数の棒状の紫外線ランプが環状に並ぶよう配置された構成のものにおいて、周方向の全周にわたって十分な強度の紫外線を均一に照射することのできる新規な構造の液体処理用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体処理用光源装置は、互いに同軸上に配置された外管と内管との間に密閉された円筒状空間が形成された収容管と、当該収容管における円筒状空間の内部に配置された複数の棒状の紫外線ランプと、当該紫外線ランプを、ランプ中心軸が前記収容管の軸方向に沿って延びる姿勢で、前記内管の外周面に沿って環状に並ぶよう保持するランプ保持部材とを具えた液体処理用光源装置において、
前記各々の紫外線ランプは、周方向における一部に外部に光を取り出すためのアパーチャ部がランプ中心軸に沿って延びるよう形成された発光管を具えており、各々の紫外線ランプは前記アパーチャ部が内管の外周面に対向するよう配置されており、
前記内管の内部に被処理液体が流通されることを特徴とする。
【0007】
本発明の液体処理用光源装置においては、前記紫外線ランプは、波長200nmより短波長側にピークを有する紫外線を放射するものであり、水の高純度化処理に用いられることが好ましい。
【0008】
また、本発明の液体処理用光源装置においては、前記紫外線ランプの各々に給電する給電機構が前記収容管の内部における軸方向の一端側に配置されており、
前記紫外線ランプの各々は、一対の電極が当該電極間の領域に前記アパーチャ部が位置されるよう、前記発光管の外表面における互いに対向する位置に設けられており、当該電極の各々には、前記収容管の軸方向における一端に前記給電機構が電気的に接続される接続部が形成された構成とされていることが好ましい。
【0009】
さらにまた、本発明の液体処理用光源装置においては、隣り合う2つの紫外線ランプにおける互いに接近する電極の各々が、互いに同電位とされた構成とされていることが好ましい。
【0010】
さらにまた、本発明の液体処理用光源装置においては、前記給電機構は、各々互いに独立した環状の回路パターンよりなる第1の給電端子および第2の給電端子が形成された給電用回路基板を具えており、
各々の紫外線ランプの一方の電極の各々が第1の給電端子に電気的に接続されていると共に他方の電極が第2の給電端子に電気的に接続された構成とされていることが好ましい。
【0011】
さらにまた、本発明の液体処理用光源装置においては、前記収容管を構成する外管は、紫外線遮蔽性を有する構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体処理用光源装置によれば、互いに同軸上に配置された外管と内管との間に密閉された円筒状空間が形成された収容管における当該円筒状空間の内部に、複数の棒状の紫外線ランプが、ランプ中心軸が収容管の軸方向に沿って延びる姿勢で、内管の外周面に沿って環状に並ぶよう配置された構成のものにおいて、紫外線ランプとして、周方向における一部に外部に光を取り出すためのアパーチャ部がランプ中心軸に沿って延びるよう形成された発光管を具えたものが用いられ、当該紫外線ランプがそのアパーチャ部が内管の外周面に対向するよう配置された構成とされていることにより、個々の紫外線ランプにおいては、所定の波長の紫外線がアパーチャ部を介して規制された範囲に放射されるので、発光管の内部で生じた紫外線を有効に利用することができるため、紫外線の放射強度を向上させることができ、従って、十分に高い強度の紫外線を内管の周方向における全周にわたって均一に放射することができる。
【0013】
紫外線ランプとして、波長200nmより短波長側にピークを有する紫外線を放射するものが用いられた構成とされることにより、液体処理用光源装置は、例えば有機質不純物を含有する被処理水の高純度化処理を行うための光源装置として有用なものとなり、所期の高純度化処理を効率よく行うことができる。
【0014】
また、紫外線ランプの各々が、一対の電極が当該電極間にアパーチャ部が位置されるよう、発光管の外表面における互いに対向する位置に設けられ、電極の各々に、収容管の軸方向における一端に給電機構が電気的に接続される接続部が形成されたものであり、紫外線ランプの各々に給電する給電機構が収容管の内部における軸方向の一端側に配置された構成とされていることにより、各々の紫外線ランプに対する給電構造を容易に形成することができると共に、例えばリード線などの給電部材が紫外線ランプによる紫外線放射を阻害することを防止することができる。
【0015】
さらにまた、隣り合う2つの紫外線ランプにおける互いに接近する電極の各々が、互いに同電位とされた構成とされていることにより、当該電極間で短絡が生ずることを回避することができるので、各々の紫外線ランプを確実に点灯させることができ、しかも、紫外線ランプ同士を互いに接近させて配置することができるようになるので、液体処理用光源装置それ自体の小型化を図ることができる。
【0016】
さらにまた、給電機構が各々互いに独立した環状の回路パターンよりなる第1の給電端子および第2の給電端子が形成された給電用回路基板を具えており、各々の紫外線ランプの一方の電極の各々が第1の給電端子に電気的に接続されていると共に他方の電極が第2の給電端子に電気的に接続された構成とされていることにより、収容管の外部に引き出す外部リードの数は、紫外線ランプの数に拘らず、2つでよいので、外部リードを収容管の外部に導出させることに起因する収容管の内部空間(円筒状空間)の気密性を低下させるおそれを低減することができる。
【0017】
さらにまた、収容管を構成する外管が紫外線遮蔽性を有する構成とされていることにより、紫外線が液体処理用光源装置の外部に漏れることを防止することができるので、当該液体処理用光源装置の周囲に位置される他の機器に紫外線による悪影響を与えることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の液体処理用光源装置の一例における構成の概略を示す、(a)外管の軸方向に沿った断面図、(b)(a)におけるA−A線断面図である。
【図2】図1に示す液体処理用光源装置における蓋部材の一構成例を示す、(a)平面図、(b)軸方向に沿った断面図である。
【図3】図1に示す液体処理用光源装置における紫外線ランプの一例における構成の概略を示す、(a)外管の軸方向に沿った断面図、(b)(a)におけるB−B線断面図である。
【図4】図1に示す液体処理用光源装置における一方のランプ保持部材の一構成例を示す、(a)平面図、(b)軸方向に沿った断面図である。
【図5】図1に示す液体処理用光源装置における他方のランプ保持部材の一構成例を示す、(a)平面図、(b)軸方向に沿った断面図である。
【図6】図1に示す液体処理用光源装置における給電用回路基板の一構成例を示す、(a)平面図、(b)軸方向に沿った断面図である。
【図7】紫外線ランプと給電用回路基板との位置関係を概略的に示す拡大図である。
【図8】図1に示す液体処理用光源装置における回路基板支持部材の一構成例を示す、(a)平面図、(b)軸方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の液体処理用光源装置の一例における構成の概略を示す、(a)外管の軸方向に沿った断面図、(b)(a)におけるA−A線断面図である。
この液体処理用光源装置(以下、単に「光源装置」という。)10は、一端が開口する有底円筒状の外管11と、この外管11の内部において、外管11の底壁を気密に貫通して軸方向外方に延びる直管状の内管12とが、互いに同軸上に配置されていると共に、外管11の開口部に、蓋部材15が内部に内管12が挿入された状態で気密に装着され、これより、外管11の内周面と内管12の外周面との間に密閉された円筒状空間Sが形成された収容管10Aを具えている。外管11および内管12は、例えば石英ガラスよりなり、外管11の底壁と内管12は一体に接合されている。
外管11の外周面には、例えば金属材料、もしくは紫外線を透過しにくいガラス材料よりなる遮光部材(図示せず)が設けられており、これにより、外管11の外部に紫外線が放射されることを防止する紫外線遮蔽性を有するものとして構成されている。
【0020】
蓋部材15は、例えばセラミックスよりなり、図2に示すように、外管11の開口内に挿入される円柱状の基部16Aとこの基部16Aの一端に形成された外管11の開口端面に係止されるフランジ部16Bを有し、内管12が挿通されて配置される中央貫通孔18が形成されている。この中央貫通孔18の内周面には、各々内径の大きさの異なる複数の略円柱状空間部を形成する複数の段部が形成されている。中央貫通孔18における一端側の円柱状空間部18Aには、内管12が内部に挿入された状態でこれを保持する略円筒状の内管保持部材55が配置されており、この内管保持部材55が蓋部材15の中央貫通孔18おける当該円柱状空間部18Aに挿入されることにより、内管12の外周面に設けられる例えばO−リング13Bが、内管保持部材55の他端側開口端面と当該円柱状空間部18Aを形成する段部の平坦面とによって圧潰されて弾性的に変形され、これにより、シール構造が形成されている。
【0021】
蓋部材15における基部16Aの外周面には、例えばO−リング13Aが装着される凹溝17が形成されており、蓋部材15の基部16Aが外管11の開口内に挿入されることにより当該凹溝17に装着されたO−リング13Aが弾性的に変形され、これにより、収容管における円筒状空間Sが気密に封止されている。
また、給電機構を構成する2つの外部リード49が導出される貫通孔19が軸方向に延びるよう形成されている。
【0022】
収容管10Aにおける円筒状空間Sの内部には、複数本例えば4本以上の棒状の紫外線ランプ20が配置されている。
各々の紫外線ランプ20は、例えば、波長200nmより短波長側にピークを有する紫外線を放射する外部電極型の希ガス蛍光ランプよりなり、図3に示すように、例えば石英ガラスよりなる両端が封止された円筒状の発光管21を具えており、発光管21の外表面における互いに対向する位置には、例えば一対の帯状の電極、すなわち、高電圧給電電極として機能する一方の電極22A、および、接地電極または低電圧供給電極として機能する他方の電極22Bが発光管21の長手方向に延びるよう設けられている。23は、各々の電極22A,22Bの外面を覆うよう設けられた保護膜である。
そして、一方の電極22Aおよび他方の電極22Bの各々には、外管11の開口側に位置される一端に、後述する給電機構を構成する内部リード48が電気的に接続されて接続部が形成されている(図1参照。)。
【0023】
発光管21の内表面には、開口部が長手方向に沿って延びるよう形成された略円筒状の紫外線反射体25が、開口部が一方の電極22Aおよび他方の電極22Bの両電極間の領域に位置されるよう、設けられており、発光管21における、紫外線反射体25の開口部に対応する領域によって発光管21の外部に光を取り出すためのアパーチャ部26がランプ中心軸Cに沿って延びるよう形成されている。紫外線反射体25は、例えばシリカ粒子とアルミナ粒子とからなる紫外線反射膜により構成されている。
紫外線反射体25の開口部の、ランプ中心軸Cを中心とする開き角αは、例えば65〜100°の範囲内であることが好ましい。開口部の開き角αが過大である場合には、光が広がりすぎ、紫外線が内管12以外の部分にまで照射されてしまい、開口部の開き角αが過小である場合には、内管12に均一に光を照射するには、紫外線ランプ20を密に並べるか、紫外線ランプを内管12から遠ざける必要ができ、装置の大型化につながる、という不具合がある。
また、紫外線反射体25の内表面には、紫外線反射体25の表面を覆うようガラス層27が均一の厚みで形成されており、さらに、このガラス層27の内表面には、蛍光体層28が周方向に均一の厚みで形成されている。
さらにまた、発光管21の内部における一端部には、始動アシスト用導電性部材29が設けられている。
【0024】
発光管21の内部には、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を生成するためのガス、例えばキセノンガスが封入されており、一方の電極22Aに給電されると、発光管21を構成する材料である石英ガラスを介在させて発光管21の内部に誘電体バリア放電が発生し、この誘電体バリア放電によって生ずる例えば波長172nmの紫外線がアパーチャ部26を介して直接的に放射されると共に、当該紫外線によって蛍光体層28における蛍光体が励起されることにより生ずる所定の波長の紫外線が直接あるいは紫外線反射体25で反射されてアパーチャ部26を介して発光管21の外部に放射される。
ここに、蛍光体層28を形成する蛍光体は、目的に応じたものが用いられ、光源装置10が例えば水の高純度化処理に用いられる場合には、波長190nmの紫外線を発光するものを用いることができる。
【0025】
紫外線ランプ20は、ランプ中心軸Cが収容管10Aの軸方向に沿って延びる姿勢で、内管12の外周面に沿って環状に並ぶよう配列された状態で、一端部が一方のランプ保持部材30によって保持されると共に他端部が他方のランプ保持部材35によって保持されており、これにより、収容管10Aの径方向への紫外線ランプ20の移動が規制された状態とされている。
【0026】
而して、この光源装置10においては、各々の紫外線ランプ20はそのアパーチャ部26が内管12の外周面に対向するよう配置されており、図1(b)において破線で示すように、所定の波長の紫外線が内管12の周方向の全周にわたって放射される。
【0027】
一方のランプ保持部材30は、例えば、外管11を構成する材料と同一の材料(例えば石英ガラス)よりなり、図4に示すように、外管11の内径に適合する外径を有する円板状のものであって、中央に、後述する略円筒状の回路基板支持部材50の一部が挿入される中央貫通孔31が形成されていると共に、この中央貫通孔31の開口縁と同心円上の周方向に等間隔毎に離間して並んだ位置に、複数例えば8つのランプ保持用差込孔32が形成されている。この一方のランプ保持部材30は、その外周面が外管11の内周面における紫外線ランプ20の電極の一端部より軸方向外方側(外管11の開口側)の位置において例えば溶着されて固定されており、紫外線ランプ20の一端部がランプ保持用差込孔32内に差し込まれてこれを保持している。なお、紫外線ランプ20における発光管21の一端部が一方のランプ保持部材30に例えば接着剤などにより固定されていてもよく、これにより、収容管10Aの軸方向への紫外線ランプ20の移動を防止することができる。
【0028】
他方のランプ保持部材35は、例えば電気絶縁性を有する材料、例えばセラミックスよりなり、図5に示すように、外管11の内径に適合する外径を有する円板状のものであって、中央に内管12が挿入される中央貫通孔37が形成されていると共に、一方のランプ保持部材30におけるランプ保持用差込孔32の各々に対応するランプ保持用凹部36が形成されている。この他方のランプ保持部材35は、他面が外管11の底壁の内面に対接された状態で一方のランプ保持部材30と対向して配置されており、紫外線ランプ20はその発光管21における電極の他端部より軸方向外方側の部分がランプ保持用凹部36内に受容された状態で、保持されている。なお、紫外線ランプ20の発光管21における他端部は例えば接着剤により他方のランプ保持部材35に接着されていてもよく、これにより、収容管10Aの軸方向への紫外線ランプ20の移動が防止された構成とされていてもよい。
【0029】
収容管10Aの内部における軸方向の一端側には、紫外線ランプ20の各々に給電する給電機構が配置されている。給電機構は、給電用回路基板40と、一端が給電用回路基板40に電気的に接続されると共に他端が紫外線ランプ20における一方の電極22Aおよび他方の電極22Bの各々に電気的に接続された内部リード48と、各々、一端が蓋部材15における貫通孔19を介して外管11の外部に導出されると共に他端が給電用回路基板40に電気的に接続された2本の外部リード49とを具えている。
【0030】
給電用回路基板40には、図6に示すように、中央に後述する略円筒状の回路基板支持部材50の一部が挿入される中央貫通孔41が形成されていると共に、一面に各々互いに独立した略環状の回路パターンよりなる第1の給電端子42および第2の給電端子43が形成されている。第1の給電端子42には、紫外線ランプ20の一方の電極22Aに接続される内部リード48が電気的に接続される複数(この例では4つ)の接続端子部42Bが環状の導電路形成部42Aの周方向における例えば等間隔毎に離間した位置において導電路形成部42Aの内周縁に連続して形成されており、各々の接続端子部42Bには、2つの内部リード導出用孔44が形成されている。第2の給電端子43には、紫外線ランプ20の他方の電極22Bに接続される内部リード48が電気的に接続される複数(この例では4つ)の接続端子部43Bが環状の導電路形成部43Aの周方向における例えば等間隔毎に離間した位置において導電路形成部43Aの外周縁に連続して形成されており、各々の接続端子部43Bには、2つの内部リード導出用孔44が形成されている。
第1の給電端子42および第2の給電端子43には、外部リード49が接続される接続端子部45が形成されている。
【0031】
紫外線ランプ20(内部リード48)と給電用回路基板40との接続方法について具体的に説明すると、隣り合う2つの紫外線ランプにおける互いに接近する電極の各々が互いに同電位とされるよう、内部リード48が給電用回路基板40に接続されている。すなわち、図7に示すように、隣り合う2つの紫外線ランプの一方の紫外線ランプ20Aはその一方の電極22A(または他方の電極22B)が他方の紫外線ランプ20Bにおける一方の電極22A(または他方の電極22B)と互いに対向するよう配置され、一方の紫外線ランプ20Aにおける一方の電極22A(または他方の電極22B)に接続される内部リード48と、他方の紫外線ランプ20Bにおける一方の電極22A(または他方の電極22B)に接続される内部リード44が第1の給電端子42(または第2の給電端子43)における同一の接続端子部42B(43B)に接続されている。
このように、隣り合う2つの紫外線ランプにおける互いに接近する電極の各々が同電位とされることにより、紫外線ランプ20としては外部電極型のものが用いられることから、当該電極間で短絡が生ずることを回避することができ、個々の紫外線ランプ20において発光管21内での誘電体バリア放電を確実に生じさせることができる。しかも、紫外線ランプ20を互いに接近して配置することが可能となるため、光源装置10それ自体の小型化を図ることができる。ここに、このような構成を実現するためには、実際上、紫外線ランプ20の数は偶数本とされる。
【0032】
この給電用回路基板40は、一方のランプ保持部材30の一面上に設けられた回路基板支持部材50によって支持されて配置されている。
回路基板支持部材50は、図8に示すように、内部に内管12が挿入される円筒状の基体51と、この基体51の一端側部分および他端側部分の各々に形成されたフランジ状の係合部52,53とを有し、基体51の一端部および他端部はそれぞれ係合部52,53の外端面より軸方向外方に突出している。この回路基板支持部材50は、基体51における他端側の突出部51Bが一方のランプ保持部材30における中央貫通孔31内に挿入され、他端側の係合部53の他面が一方のランプ保持部材30の一面に対接された状態で係止されている。そして、給電用回路基板40は、回路基板支持部材50の基体51における一端側の突出部51Aが中央貫通孔41内に挿入された状態で、他面が回路基板支持部材50における一端側の係合部52の一面に対接されて設けられている。回路基板支持部材50の基体51における一端側の突出部51Aは蓋部材15の中央貫通孔18における他端側の円柱状空間部18B内に受容されており、従って、給電用回路基板40は、回路基板支持部材50における一端側の係合部52の一面と蓋部材15の他端面とによって挟持されて保持されている。
【0033】
以上において、紫外線ランプ20は、上述したように、波長200nmより短波長側にピークを有する紫外線を放射するものであることから、収容管10Aの円筒状空間Sには、例えば窒素ガスがパージされていること、例えば円筒状空間Sの内部雰囲気を窒素で置換した状態、あるいは、適宜の配管を設けて窒素ガスを流通させた状態とされることが好ましい。
【0034】
上記の光源装置10は、例えば水の高純度化処理に好適に用いられる。具体的には例えば、有機質不純物を含有する被処理水が内管12の内部に流通されるよう供給されると、各々の紫外線ランプ20はそのアパーチャ部26が内管12の外周面に対向するよう配置されていることから、被処理水Wが内管12の内部を収容管10Aの軸方向に流通される過程において、光源装置10によって波長200nmより短波長側にピークを有する紫外線が内管12の周方向の全周にわたって放射され、これにより、被処理水W中の有機質不純物が当該紫外線によって分解されて除去される。
【0035】
而して、上記構成の光源装置10によれば、互いに同軸上に配置された外管11と内管12との間に密閉された円筒状空間Sが形成された収容管10Aにおける当該円筒状空間Sの内部に、複数の棒状の紫外線ランプ20が、ランプ中心軸Cが収容管10Aの軸方向に沿って延びる姿勢で、内管12の外周面に沿って環状に並ぶよう配置された構成のものにおいて、紫外線ランプ20として、周方向における一部に外部に光を取り出すためのアパーチャ部26がランプ中心軸Cに沿って延びるよう形成された発光管21を具えたものが用いられ、当該紫外線ランプ20がそのアパーチャ部26が内管12の外周面に対向するよう配置された構成とされていることにより、個々の紫外線ランプ20においては、所定の波長の紫外線がアパーチャ部26を介して規制された範囲に放射されるので、発光管21の内部で生じた紫外線を有効に利用することができる結果、光源装置10全体として紫外線の放射強度を向上させることができ、従って、十分に高い強度の紫外線を外管11の周方向における全周にわたって均一に放射することができる。そして、紫外線ランプ20として、外部電極型の希ガス蛍光ランプが用いられることにより、波長200nmより短波長側にピークを有する紫外線を例えば低圧水銀ランプに比して効率よく放射することができるため、例えば有機質不純物を含有する被処理水の高純度化処理を行うためのものとして極めて有用なものとなり、被処理水に対する所期の高純度化処理を効率よく行うことができる。
【0036】
また、各々の紫外線ランプ20が、一方の電極22Aおよび他方の電極22Bの各々における、外管11の開口側に位置される一端に、内部リード48が電気的に接続されて接続部が形成されたものであり、紫外線ランプ20の各々に給電する給電機構が外管11の内部における軸方向の一端側に配置された構成とされていることにより、各々の紫外線ランプ20に対する給電構造を容易に形成することができると共に、例えばリード線などの給電部材が紫外線ランプ20による紫外線放射を阻害することを防止することができる。
【0037】
さらにまた、隣り合う2つの紫外線ランプ20における互いに接近する電極の各々が、互いに同電位とされた構成とされていることにより、当該電極間で短絡が生ずることを回避することができ、各々の紫外線ランプ20を確実に点灯させることができ、しかも、紫外線ランプ20同士を互いに接近させて配置することができるようになるので、光源装置10それ自体の小型化を図ることができる。
【0038】
さらにまた、給電用回路基板40が各々互いに独立した第1の給電端子42および第2の給電端子43が形成されたものであり、各々の紫外線ランプ20の一方の電極22の各々が第1の給電端子42に電気的に接続されていると共に他方の電極22Bが第2の給電端子43に電気的に接続された構成とされていることにより、収容管10Aの外部に引き出す外部リード49の数は、紫外線ランプ20の数に拘らず、2つでよいので、外部リード49を収容管10Aの外部に導出させることに起因する収容管10Aの内部空間の気密性を低下させるおそれを低減することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、紫外線ランプの数および各々の紫外線ランプにおけるアパーチャ部を構成する紫外線反射体の開口部の開き角の大きさは、内管の周方向における全周にわたって紫外線が放射されるよう設定されていれば、上記実施の形態に係る構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
10 光源装置
10A 収容管
11 外管
12 内管
13A,13B O−リング
15 蓋部材
16A 基部
16B フランジ部
17 凹溝
18 中央貫通孔
18A,18B 円柱状空間部
19 貫通孔
20 紫外線ランプ
21 発光管
22A 一方の電極
22B 他方の電極
23 保護膜
25 紫外線反射体
26 アパーチャ部
27 ガラス層
28 蛍光体層
29 始動アシスト用導電性部材
30 一方のランプ保持部材
31 中央貫通孔
32 ランプ保持用差込孔
35 他方のランプ保持部材
36 ランプ保持用凹部
37 中央貫通孔
40 給電用回路基板
41 中央貫通孔
42 第1の給電端子
42A 導電路形成部
42B 接続端子部
43 第2の給電端子
43A 導電路形成部
43B 接続端子部
44 内部リード導出用孔
45 接続端子部
48 内部リード
49 外部リード
50 回路基板支持部材
51 基体
51A,51B 突出部
52,53 係合部
55 内管保持部材
60 流路
C ランプ中心軸
W 被処理水
S 円筒状空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同軸上に配置された外管と内管との間に密閉された円筒状空間が形成された収容管と、当該収容管における円筒状空間の内部に配置された複数の棒状の紫外線ランプと、当該紫外線ランプを、ランプ中心軸が前記収容管の軸方向に沿って延びる姿勢で、前記内管の外周面に沿って環状に並ぶよう保持するランプ保持部材とを具えた液体処理用光源装置において、
前記各々の紫外線ランプは、周方向における一部に外部に光を取り出すためのアパーチャ部がランプ中心軸に沿って延びるよう形成された発光管を具えており、各々の紫外線ランプは前記アパーチャ部が内管の外周面に対向するよう配置されており、
前記内管の内部に被処理液体が流通されることを特徴とする液体処理用光源装置。
【請求項2】
前記紫外線ランプは、波長200nmより短波長側にピークを有する紫外線を放射するものであり、水の高純度化処理に用いられることを特徴とする請求項1に記載の液体処理用光源装置。
【請求項3】
前記紫外線ランプの各々に給電する給電機構が前記収容管の内部における軸方向の一端側に配置されており、
前記紫外線ランプの各々は、一対の電極が当該電極間の領域に前記アパーチャ部が位置されるよう、前記発光管の外表面における互いに対向する位置に設けられており、当該電極の各々には、前記収容管の軸方向における一端に前記給電機構が電気的に接続される接続部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体処理用光源装置。
【請求項4】
隣り合う2つの紫外線ランプにおける互いに接近する電極の各々が、互いに同電位とされることを特徴とする請求項3に記載の液体処理用光源装置。
【請求項5】
前記給電機構は、各々互いに独立した環状の回路パターンよりなる第1の給電端子および第2の給電端子が形成された給電用回路基板を具えており、
各々の紫外線ランプの一方の電極の各々が第1の給電端子に電気的に接続されていると共に他方の電極が第2の給電端子に電気的に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の液体処理用光源装置。
【請求項6】
前記収容管を構成する外管は、紫外線遮蔽性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の液体処理用光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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