説明

液体分配装置

【課題】液体を収容するのに適しているだけでなく容器内部に装飾体が配置され、装飾体は容器内部の液体内に配置された液体分配装置の提供。
【解決手段】容器2と、容器2内の液体内に配置されることを目的とした装飾体5とを備え、装飾体5は、光放出手段と、前記光放出手段を駆動するための駆動手段とを含む。液体分配装置1は、さらに、外形的に容器2が改良され光放出手段の駆動を制御するためのLCR回路と共に構成され協働する受動ラベルを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば香水ディスペンサー等の液体分配装置に関し、特に、液体を収容するのに適しているだけでなく容器内部に装飾体が配置され、装飾体は容器内部の液体内に配置されることを目的としている。
【0002】
既知の液体分配装置では、香水の収容された容器内に装飾体を有するものがある。装飾体は、内部チューブに固定されてもよく、自らは発光しない真珠状の本体であってもよい。真珠状の本体を見せるためには、本体又はボトルの外へ液体を流出するボトル内のチューブを光で照射することが必要である。例えば、米国特許第7,258,458号明細書、米国特許第6,588,435号明細書、米国特許出願公開第2007/0007304号明細書を参照する。
【0003】
他の既知の液体分配装置としては、例えば、米国特許出願公開第2001/0032655号明細書を参照すると、キャップを有する容器が記載されている。キャップは、娯楽器具が配置された凹部を有する。娯楽器具は、接触することにより作用するライトパッケージ、及び/又は、サウンドパッケージを含んでもよい。ユーザがキャップ上のエレメントを押すと、タッチスイッチが有効になりライトパッケージがライトアップされ、及び/又は、サウンドパッケージが音又はノイズを発生する。さらに、キャップは、キャップ内に1又は複数の液体を含んでいてもよく、その液体は好ましくは互いに混合しにくいものである。
【0004】
ボトルの内側かつ液体分配装置の液体内において、装飾体を照らし美的装飾効果を与える照明は、例えば、水中ライトにより照射されるスイミングプールまたは噴水と同様のものである。
【発明の概要】
【0005】
しかし、このような照明は、電源回路、電極及び電気制御回路などの電気回路を有する外部照明手段を必要とする。このような外部電気回路は、接触のリスク又は照明手段の故障の結果ダメージを受けた他の電気回路要素に起因する課題を有する。
【0006】
本発明は、装飾体を照射する内部電気回路を含む液体分配装置の装飾体において、この課題が解決されることを目的とする。さらに、内部電気回路は、液体分配装置の動作を検出するための動作検出手段を備える。さらに、受動的なラベルが設けられてもよい。
【0007】
この液体分配装置は、煩雑な外部手段を接続することなく、液体分配装置が香水ユーザに使用されるときに、単純な方法で美的装飾効果を生ずることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明に係る液体分配装置の正面図である。
【図2】図2は、本発明の液体分配装置の容器の内部に設けられた、本発明の第1の実施の形態に係る装飾体の概略図である。
【図3】図3は、図2に示されたのと同様の装飾体に、さらに、光照射手段の駆動を制御するためのコントローラを含む、本発明の第2の実施の形態に係る装飾体の概略図である。
【図4】図4は、図3に示されたのと同様の装飾体に、さらに、光照射手段の駆動を制御するためのコントローラの操作を防止するためのエネルギー制御手段を含む、本発明の第3の実施の形態に係る装飾体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の他の詳細及び変形例は従属請求項に明示される。
【0010】
本発明の他の態様は、液体分配装置及び受動ラベルで構成されているパッケージングに関する。
【0011】
本発明は、可能な実施の形態により示される以下の詳細な説明及び添付図面の記載により、より理解することができる。
【0012】
図1に、本発明に係る液体分配装置1を示す。液体分配装置1は、例えば、香水等の化粧品液体である液体3を保持するのに適した容器2を備える。容器2は、例えば、ガラス又はプラスチックにより形成することができる。
【0013】
液体分配容器は、さらに、拡散ポンプ4と、装飾体5とを備える。拡散ポンプ4は、容器2に固定され、液体3を気化及び拡散するための動作をすることができるスプレーキャップ5Aを含む。容器2は、拡散ポンプ4により密封されている。
【0014】
保護キャップ4aは、液体ディスペンサーの意図しない駆動を防止するために、スプレーキャップ5Aに設けられていてもよい。
【0015】
装飾体5は、容器2の内側で、液体3の中に配置されている。装飾体5は、例えば、ガラス又はプラスチック等の半透明又は透明な材料で形成され、液体3が装飾体5の内部に浸透することができない耐水性を有する。装飾体5は、電子回路6が配置される領域が決定されている内部チャンバーを備える(図2)。
【0016】
図2に示されるように、本発明の第1の実施の形態において、装飾体5は、例えば、装飾体5の外部表面と同じような色で超音波接合、接着剤による接着又はセメントによる接着により互いに固定された第1の部分7と第2の部分8とを備える。
【0017】
第1の部分7及び第2の部分8は、装飾体5を完全な形状としたときに、互いに半分の形状を有している。例えば、第1の部分7と第2の部分8を固定したときに装飾体5が完全な球形状であるとすると、第1の部分7と第2の部分8は、互いに完全な半球形状を有している。装飾体の直径は、例えば15mmであってもよい。
【0018】
超音波接合、接着剤による接着又はセメントによる接着が装飾体5の耐水性を備えるために使われるとき、シール9は、任意で第1の部分7と第2の部分8の間の周方向の接合部分に追加的に配置されることができる。シール9は、好ましくは、例えば、装飾体5の外装表面と同様の色のゴムストライプであってもよい。
【0019】
電子回路6は、支持体10と部品12とを備えている。支持体10は、装飾体5の内側の電子回路6を固定するため、装飾体5の内径と実質的に同程度の長さを有する回路基板である。
【0020】
任意で、電子回路6はさらに止め具11を有してもよい。各止め具11はゴムで構成されU字状の形状を有している。すなわち、止め具11は、ベース部分に対して相互に連結された2つの細長い足を備えている。U字状の形状を有する止め具11は、支持体10の周辺端部に配置されている。支持体10の周辺端部は、細長い足によって囲まれ、止め具11のベース部分に隣接している。止め具11は、さらに、電子回路6が装飾体5の内部に固定されるように保持されている。
【0021】
第2のオプションとして、部品12は、さらに装飾体5の内径と一体として直接固定されていてもよい。
【0022】
電子回路6の部品12は、光放出手段13と、光放出手段13を駆動する駆動手段14とを備えている。光放出手段13は、エミッティングダイオードであってもよい。
【0023】
本実施の形態に係る駆動手段14は、図2に示されるように、動作検出器14Aと、光放出手段13に電流を供給する電池15とを含む。
【0024】
電池15は、装飾体5の内側に配置され、液体分配装置で通常使用する溶液体積を放出できる十分なエネルギーを有する。例えば、液体分配装置の溶液体積は100mlであってもよい。
【0025】
動作検出器14Aは、金属製の主要部15Aと、バネ16と金属製の環状コンタクト17とを備えている機械的動作検出器である。主要部15Aは、バネ16の一端にマウントされ、バネ16の他端は支持体10に固定されている。
【0026】
バネ16と主要部15Aとは、支持体10の表面から、支持体10の表面と実質的に垂直な方向に延びている。環状コンタクト17は、支持体10の表面の一端に固定され、この表面から表面と実質的に垂直な方向に延び、バネ16と主要部15Aとを囲んでいる。
【0027】
環状コンタクト17は、バネ16と主要部15Aに向かう内部表面に、環状コンタクト表面18を含む。液体分配装置1又は装飾体が動かされたとき、主要部15Aは、バネ16の動作に対して振動し、環状コンタクト表面18に接触する。
【0028】
本実施の形態では、電池15の一の端子は光放出手段13の一の端子に接続され、電池15の他の端子は支持体10に固定されたバネ16の先端に接続されている。光放出手段13の残りの端子は、環状コンタクト17に接続されている。
【0029】
液体分配装置1及び/又は装飾体5が動かされたとき、主要部15Aは環状コンタクト表面18に接触し、バネ16の動作に対して振動する。主要部15Aは、環状コンタクト表面18に再度接触され、光放出ダイオードを通じて電流が流れ、各コンタクトにおいて光放出するために光照射ダイオードが駆動される。
【0030】
装飾体5からの放出光は、例えば、水面下のライトから照射されるスイミングプールまたは噴水の美的装飾効果と同様の美的装飾効果を与える。
【0031】
結果的に、本実施の形態に係る液体分配装置において、光放出ダイオードは、液体分配装置が使用中であり液体分配装置のアイドル状態でないときに、光を放出する。
【0032】
本発明の第2の実施の形態において、図3に示されるように、駆動手段14は、さらにスイッチ20と、スイッチ20を通じて光放出手段13の駆動を制御するためのコントローラ19とを備える。図示を省略しているが、電池15もまたコントローラ19の操作のためのエネルギーを供給してもよい。
【0033】
第2の実施の形態において、電池15の端子はバネ16及び光放出手段13の端子に接続されている。スイッチ20は、電池15の一の端子と光放出手段13の一の端子との間に配置されている。
【0034】
バネ16の先端は、電池15の一の端子に接続された支持体10に固定されている。コントローラ19は、また、環状コンタクト17に接続されている。
【0035】
主要部15Aが環状コンタクト17と接触するとき、液体分配装置1の動作は、以下のように、コントローラ19がコンタクト上に生じる論理状態レベルの変化を検出する。この論理状態レベルの変化とは、すなわち、主要部15Aが環状コンタクト17と接触するとき、電池15の一の端子のバネ16の開回路の状態から電池15の一の端子のバネ16の閉回路の状態へと変わる論理状態レベルである。コントローラ19は、スイッチ20の開閉をするよう構成されている。コントローラは、上記した論理状態レベルに変化が生じたときに閉となり、例えば、液体分配装置の通常の使用における約5〜10秒間に対応する所定時間後に開となるように設定される。
【0036】
液体分配装置1又は装飾体5が動かされたとき、主要部15Aは環状コンタクト表面18に接触する。コントローラ19は、この接触を論理状態レベルの変化を通じて検出し、光放出ダイオードに電流が流れ、所定期間光放出されるようにスイッチ20をオンにし、光放出が行われる。装飾体5からの光放出は、上記した美的装飾効果を生ずる。
【0037】
結果的に、本実施の形態に係る液体分配装置において、光放出ダイオードは、液体分配装置が使用中であり、液体分配装置1のアイドル状態ではないときに、又は、例えばハンドバッグを運ぶときでないときに光を放出する。装飾体5の美的装飾効果の寿命は、ユーザが十分に液体を分配し終わるまでその機能を十分に減少することなく持続する。
【0038】
本発明の第3の実施の形態において、図4に示されるように、第2の実施の形態に係る液体分配装置は、さらに、駆動手段14の操作を防止するためのエネルギー保存手段21を備える。
【0039】
エネルギー保存手段21は、受動ラベル23と共に構成され協働するLCR回路22を備えている。
【0040】
受動ラベル23は、例えば、らせん状に曲げて一枚の紙に接続され所望の周波数応答に設定されたアルミニウムのリボンのアンテナに接続されたRC回路で構成される鉄のリボン又はRFタグを含むプラスチックの細長い一片である。受動ラベル23は、拡散ポンプ4のキャップ4Aの上又は液体分配装置を保持するパッケージングの上に設けられている。好ましくは、LCR回路22を通じてコントローラ19により検出された受動ラベル23に近接して配置されてもよい。
【0041】
LCR回路22は、RFIDタグリーダであってもよく、受動ラベル23の存在を検出し、受動ラベル23の存在が検出されたときに、光放出手段13を駆動するためにコントローラ19がスイッチ20を閉じようとするのを防止する。
【0042】
LCR回路22を通じてコントローラ19はさらに第1及び第2の動作モードで動作するように設定される。LCR回路22は、液体分配装置1又は装飾体5があらかじめ設定された期間後、例えば、5秒後に動作されたとき、受動ラベル23が検出されたか否かを決定するように設定される。これは、例えば、5秒後ごとに周期的に繰り返されてもよい。液体分配装置1又は装飾体5が動作され、LCR回路22により受動ラベル23が検出されないと決定されたときは、コントローラ19は第2の動作モードで動作するために動作を変更するように設定される。
【0043】
第2の動作モードにおいて、LCR回路22を通じてコントローラ19は、液体分配装置1又は装飾体5があらかじめ設定された期間後、例えば、2秒後に動作されたとき、受動ラベル23が検出されたか否かを決定するように設定される。これは、例えば、2秒後ごとに周期的に繰り返されてもよい。第2の動作モードにおいて、受動ラベル23があることが分かるならば、LCR回路22は第1の動作モードに戻る動作に変化するように設定されている。
【0044】
このようにして、エネルギー保存手段21は、液体分配装置がパッケージングに戻されたすぐ後の光放出手段13の駆動を防止する。
【0045】
実際には、駆動手段は、はじめに動作の存在を検出しもし動作があるなら、受動ラベル23の存在を検出する。
【0046】
液体分配装置がパッケージに入れられ又は拡散ポンプ4のキャップが載せられているときに、LCR回路22は受動ラベル23の存在を検出しコントローラ19が光放出ダイオード13を駆動させるためにスイッチ20を閉じるのを防止する。しかし、1度パッケージングが剥がされ又は拡散ポンプ4からキャップが剥がされ、受動ラベル23がLCR回路22で検出されなかったときは、液体分配装置は第2の実施の形態において示されたように、液体分配装置が動かされたときに光放出ダイオード13が動作される。
【0047】
液体分配装置が運ばれる間は、光放出手段の光放出を通じて生じる美的装飾効果は、生じない。それ故に、美的装飾効果が香水ユーザに対して持続している時間が最大化され、液体分配装置が元の状態に戻る時間を最小化することができる。
【0048】
本発明の上記した実施の形態では、装飾体5の直径は10mm〜25mmの範囲であってもよい。
【0049】
さらに、本発明は、実質上球形状及び装飾体5に使用される他のどのような形状にも限定されるものではなく、電子回路6が装飾体5及び内部チューブ3aに配置され、液体3から保護されるのであれば、その構成は上記した構成に限定されない。例えば、装飾体は、流体を容器2の外に輸送する内部チューブ3aに固定されていてもよい。代わりに、装飾体は拡散ポンプ4に接続された1つ以上の光学ファイバーを備えてもよい。
【0050】
代わりに、上記した本発明の実施の形態において、装飾体5は一個のものであってもよいし、装飾体5のチャンバーの内部に電子回路6が挿入される開口部を構成したものであってもよい。装飾体5の内部は、樹脂材料で充填されていてもよい。樹脂材料は電子回路6を完全に覆い、樹脂材料が固まると、電子回路6は、容器2の中に装飾体5が配置されたときに周囲の液体3から隔離されることになる。
【0051】
光放出手段13は、白色光放出ダイオードであるが、任意の可視波長領域の光放出ダイオードを用いてもよい。低電流スレショルドレーザ等の他の固体光源を光放出ダイオードの変わりに用いることができる。
【0052】
代わりに、上記した本発明の実施の形態において、他の機械的な動作検出器、例えば、MEMSの動作センサ又は受動赤外線センサ(PIR)の動作検出器を使用してもよい。
【0053】
この発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、他の実施の形態を用いてもよいことは当業者に明らかである。したがって、本発明は、実施の形態において開示された発明に限定されるものではなく、特許請求の範囲のみによって限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体分配装置(1)であって、
液体を収容するのに適し、耐水性を有する容器(2)を備え、
さらに、
前記容器(2)の内部に配置され、液体内に配置される装飾体(5)を備え、
前記装飾体(5)は、光放出手段(13)と、前記光放出手段(13)を駆動するための駆動手段(14)とを含み、
前記駆動手段(14)は、前記液体分配装置(1)の動作を検出する動作検出器(14A)を備え、
前記装飾体(5)は、前記駆動手段(14)の操作を防止するためのエネルギー保存手段(21)を備え、
前記エネルギー保存手段(21)は、LCR回路(22)を含み、
前記液体分配装置は、さらに、外形的に前記容器(2)が改良され、前記光放出手段(13)の動作を制御するための前記LCR回路(22)と共に構成され協働する受動ラベル(23)をさらに含み、
前記受動ラベルは、鉄のリボンまたはRFタグで構成され、前記受動ラベル(23)の存在を検出するために適合された前記LCR回路(22)とである
ことを特徴とする液体分配装置(1)。
【請求項2】
前記動作検出器(14A)は、
主要部(15A)と、
バネ(16)と、
前記主要部(15A)及び前記バネ(16)を囲む環状コンタクト(17)とを備える
請求項1に記載の液体分配装置(1)。
【請求項3】
前記駆動手段(14)は、前記光放出手段(13)の駆動を制御するコントローラ(19)をさらに備える
請求項1または2に記載の液体分配装置(1)。
【請求項4】
前記光放出手段(13)は、白色光放出ダイオードである
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体分配装置(1)。
【請求項5】
スプレーキャップ(5a)と、
前記液体分配装置の意図しない駆動を防止するために、前記スプレーキャップ(5a)を覆うように改良された保護キャップ(4a)とをさらに備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体分配装置(1)。
【請求項6】
保護キャップ(4a)に固定され、LCR回路(22)と協働する受動ラベル(23)をさらに備える
請求項5に記載の液体分配装置(1)。
【請求項7】
前記装飾体(5)は、半透明である
請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体分配装置(1)。
【請求項8】
前記液体は香水である
請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体分配装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−66703(P2013−66703A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−197968(P2012−197968)
【出願日】平成24年9月7日(2012.9.7)
【出願人】(510038094)イーピー システムズ エスエー マイクロフロー ディビジョン (5)
【氏名又は名称原語表記】EP Systems SA Microflow Division
【住所又は居所原語表記】Switzerland 2000 Neuchatel Case postale 352 Rue du Plan 30