説明

液体化粧料塗布具の製造方法

【課題】複数の塗布体からなる塗布部を有する液体化粧料塗布具を容易に、しかも安価に製造することができるようにする。
【解決手段】ブラシ部13a’、13b’と、該ブラシ部13a’、13b’と一体に形成される被取付部13a”、13b”とからなる二つの塗布体13a、13bを折曲自在となるヒンジ部14を中心に直線状に連結してなる塗布体集合体15において、該塗布体13a、13bをヒンジ部14で折曲しつつその被取付部13a”、13b”を、軸体12先端で軸線方向に沿って配設される複数の取付部12a、12b内に挿嵌することで複数の塗布体13a、13bからなる塗布部13が形成されるので、容易に、しかも安価に液体化粧料塗布具を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、マスカラ等の液体化粧料を塗布するものであって、複数の塗布体からなる塗布部を軸体先端において形成する液体化粧料塗布具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスカラ等の液体化粧料を塗布する液体化粧料塗布具には、該液体化粧料塗布具を構成する軸体先端にブラシ部である塗布体を取り付けてなるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記液体化粧料塗布具を軸体と共に構成する塗布体はブラシの形状、ブラシの疎密、又はブラシの硬度等の性質が単一であるので、マスカラ等の液体化粧料を塗布する目的や場所に応じて正確に塗布することができないことがある。
【0004】
そこで、マスカラ等の液体化粧料を塗布する目的や場所に合わせて正確に塗布することができるように、ブラシの形状、ブラシの疎密、又はブラシの硬度等の性質が互いに相違するブラシ部である塗布体を、液体化粧料塗布具を構成する軸体先端において軸線方向に沿って複数並設することが考えられる。
【0005】
ところが、マスカラ等の液体化粧料を塗布する塗布体は非常に小さく、しかも塗布体自体非常に柔軟であるため、これを液体化粧料塗布具を構成する軸体に対して各々取り付けることは非常に繁雑な作業を必要となる。その結果、液体化粧料塗布具の製造作業における作業効率は著しく低下し、製造コストが上昇する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−89977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、一本の液体化粧料塗布具において性質が互いに相違する塗布体を容易に、しかも安価に複数並設することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の特徴として、
軸体と、該軸体先端において形成され、一体に連結する複数の塗布体からなる塗布部とから構成される液体化粧料塗布具において、
該軸体先端には、複数の取付部を配設し、
該塗布部をなす塗布体は、前記取付部に取り付けられる被取付部と、該被取付部において一体に形成するブラシ部とからなるものとした上で、折曲自在となるヒンジ部を中心に該塗布体を複数連結して塗布体集合体とするものであって、
該塗布体集合体をなす各塗布体をヒンジ部で折曲し、
該塗布体の被取付部を軸体先端の取付部に各々取り付けることで、
軸体先端の表面に複数の塗布体からなる塗布部を形成してなるものである。
【0009】
そのため、液体化粧料塗布具の軸体先端の表面における複数の塗布体からなる塗布部は、塗布体集合体をもって軸体先端の表面に配設される取付部に取り付けることで形成されるので、液体化粧料塗布具を容易に、しかも安価に製造することができる。
【0010】
その上、塗布部となる塗布体集合体をなす各塗布体におけるブラシの形状、ブラシの疎密、又はブラシの硬度等の性質を互いに相違させることで塗布部は多種類となる。そのため、マスカラ等の液体化粧料を塗布する目的や場所に応じて正確に塗布することができるものとなる。
【0011】
なお、軸体先端に形成される塗布部において、該塗布部をなす塗布体は軸体の外周面において均等に配置されるものであっても、不均一に配置されるものであっても良いものである。ただし、軸体先端に配設される取付部と塗布体の被取付部との取付作業を容易にすると共に、塗布部に不用意な力が加わっても容易に塗布体が軸体から離脱しないようにするため、軸体先端の表面に配設される取付部と塗布体集合体をなす塗布体の個数と配置とは各々一致させることが好ましいものである。また、軸体先端の取付部と塗布部をなす塗布体の被取付部との取付は、接着、溶着或いは嵌合等により適宜行うものである。
【0012】
第2の特徴として、第1の特徴を踏まえて、
軸体先端に配設される複数の取付部は、軸体の軸線方向に沿うように又は軸体の軸線に対して螺旋状に配設してなるものである。
【0013】
そのため、軸体先端に配設される取付部が該軸体の軸線方向に沿うように配設されていると、塗布体集合体をなす各塗布体を軸体に取り付けることにより、該塗布体は軸体の軸線方向に沿うように並設するものである。また、軸体先端に配設される取付部が該軸体の軸線に対して螺旋状に配設されていると、塗布体集合体をなす塗布体を軸体に対して取り付けることにより、該塗布体は軸体において軸体の軸線に対して螺旋状に並設するものである。
【0014】
第3の特徴として、第1及び第2の特徴を踏まえて、
複数の塗布体をヒンジ部を中心に一体に連結して塗布体集合体とする際に、該複数の塗布体をヒンジ部を中心に隣接する塗布体同士のなす角度が同一となるように連結してなるものである。
【0015】
そのため、塗布部となる塗布体集合体をなす複数の塗布体は、軸体先端に形成される塗布部では、その外周面に対して均等に配置されるものとなる。例えば、塗布体が二本であれば隣接する塗布体のなす角度が180°、すなわち一直線状として、塗布体が三本であれば隣接する塗布体のなす角度を120°として、又は塗布体が四本であれば隣接する塗布体のなす角度が90°、すなわち十字状としてヒンジ部に対して塗布体は連結されるものである。
【0016】
ここで、塗布体集合体とするためにヒンジ部を中心に複数の塗布体を一体に連結するにあたっては、ヒンジ部も含めて塗布体を一体に成形してなるものの他、個々に成形した塗布体をヒンジ部に対して継手、接着、又は溶着等するものであっても良い。特に、塗布体集合体とする際にヒンジ部も含めて塗布体を一体に成形してなる場合は、塗布体の金型の組み合わせを変えることで多種類の塗布体集合体を簡易且つ確実に製造することができるものとなる。
【0017】
なお、軸体に塗布部となる塗布体集合体を取り付けるにあたって、塗布体集合体をなす複数の塗布体をヒンジ部で折曲するので、該ヒンジ部は塗布体の折り曲げ方向とは逆に湾曲するものとなる。その結果、該ヒンジ部においてもブラシ部が一体に形成されていると略半円形状のブラシ部が形成されるものである。従って、ヒンジ部における略半円形状のブラシ部を利用してピンポイントでマスカラ等の液体化粧料を確実に塗布することができる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明では、液体化粧料塗布具を構成する軸体先端において複数の塗布体からなる塗布部は、塗布体集合体において複数の塗布体を一体に連結するヒンジ部を中心に各塗布体を折曲し、該塗布体の被取付部を軸体先端の表面に配設される取付部に取り付けることで形成するので、製造作業における作業効率は著しく向上するので、容易に、しかも安価に液体化粧料塗布具を製造することができるとともに、該液体化粧料塗布具の塗布部をなす塗布体の組み合わせを変えることで塗布部を容易に多種類となり、マスカラ等の液体化粧料を塗布する目的や場所に応じて正確に塗布することができる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本願発明の実施例1における液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器の拡大縦断面図である。
【図2】図2は、本願発明の実施例1における液体化粧料塗布具の正面図である。
【図3】図3は、本願発明の実施例1における液体化粧料塗布具の製造工程を示す図である。
【図4】図4は、本願発明の実施例2における液体化粧料塗布具の要部拡大正面図である。
【図5】図5は、本願発明の実施例2における液体化粧料塗布具の製造工程を示す図である。
【図6】図6は、本願発明の実施例3における液体化粧料塗布具の要部拡大正面図である。
【図7】図7は、本願発明の実施例3における液体化粧料塗布具の製造工程を示す図である。
【図8】図8は、本願発明の実施例4における液体化粧料塗布具の要部拡大正面図である。
【図9】図9は、本願発明の実施例4における液体化粧料塗布具の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
複数の塗布体からなる塗布部であって、しかも該塗布部を多種類としてなる液体化粧料塗布具を容易に、しかも安価に製造することを、複数の塗布体をヒンジ部を中心に連結する塗布部集合体の該塗布体の被取付部を軸体先端に配設する取付部に取り付けるようにすることで実現した。
【実施例1】
【0021】
図1において示すのは、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布具11aを具える液体化粧料塗布容器1である。そして、該液体化粧料塗布容器1は、その内部でマスカラ等の液体化粧料3を貯留するとともに、後述する液体化粧料塗布具11aを構成する塗布部13と軸体12の表面に密着自在となり、それらの表面に過剰に付着したマスカラ等の液体化粧料3を拭去するシゴキ5を内装した上、その開口部4では外周面に雄ネジ部7を螺設する雄ネジ体6を一体に保持する塗布容器本体2と、その開口部9の内周面に前記雄ネジ体6の雄ネジ部7と螺合する雌ネジ部10を螺設するものであって、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布具11aを塗布部13と共に構成する軸体12の根元部12’を保持してなるキャップ8とから構成されるものである。
【0022】
そして、該本願発明の実施例1である液体化粧料塗布具11aは、軸体12と、該軸体12先端に形成される塗布部13とから構成され、該塗布部13はブラシ部13a’13b’の形状が相違する二種類の塗布体13a、13bからなるものである(図2参照)。すなわち、一方の塗布体13aは端縁が波形状のブラシ部13a’であり、他方の塗布体13bは端縁が直線状のブラシ部13b’となっているものであり、該二種類の塗布体13a、13bは折曲自在となるヒンジ部14を中心にして一体に連結されているものである。さらに、前記塗布体13a、13bを連結するヒンジ部14では、扇形のブラシ部14’が形成されているものである。
【0023】
そこで、以上のような構成を具える本願発明の実施例1である液体化粧料塗布具11aは、図3において示すように製造されるものである。
【0024】
まず、軸体12先端に形成される塗布部13となる複数の塗布体13a、13bからなる塗布体集合体15は、該複数の塗布体13a、13bを薄肉化して折曲自在となるヒンジ部14を中心に直線状に一体に連結してなるものである。ここで、塗布体集合体15をなす該塗布体13a、13bは、ブラシ部13a’、13b’と、該ブラシ部13a’、13b’を一体に形成し、後述する軸体12先端に配設される取付部12a、12bに挿嵌する被取付部13a”、13b”とからなるものである。そして、該二種類の塗布体13a、13bを一体に連結するヒンジ部14においては、該塗布体13a、13bのブラシ部13a’、13b’よりもブラシの密度が高いブラシ部14’が一体に成形されているものである。そのため、塗布体13a、13bを折曲することでヒンジ部14が湾曲しても、該ヒンジ部14のブラシ部14’は塗布体13a、13bと同程度の密度であるブラシ部14’となる。
【0025】
さらに、根元部12’をキャップ8内に保持される軸体12は、その先端において軸体12の軸線(図中、一点鎖線で示す。)方向に沿って互いに対向するように、その一部が外部に開口する断面が凸形状の溝であり、その長さが塗布体13a、13bの被取付部13a”、13b”の長さと略同一である取付部12a、12bを二本配設しているものである。
【0026】
そこで、前記塗布体集合体15をなす二種類の塗布体13a、13bを連結するヒンジ部14で折曲した上で、各塗布体13a、13bの被取付部13a”、13b”を軸体12先端に配設する取付部12a、12bに挿嵌するものである。
【0027】
その結果、液体化粧料塗布具11aの軸体12先端では、端縁が波形状のブラシ部13a’となる塗布体13aと、端縁が直線状のブラシ部13b’となる塗布体13bとからなる塗布部13が形成される。その上、該塗布体13a、13bを一体に連結するヒンジ部14にも小さな扇形のブラシ部14’が形成されるものである。
【0028】
以上のように、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布具11aの塗布部13では形状の相違する塗布体13a、13bのブラシ部13a’、13b’の他、ヒンジ部14にもブラシ部14’が存在することとなるので、使用者は、マスカラ等の液体化粧料3を塗布する目的や場所に応じて、塗布体13a、13bのブラシ部13a’、13b’、及びヒンジ部14のブラシ部14’を使い分けることにより正確に塗布することができる。例えば、睫毛に合わせて均一にマスカラ等の液体化粧料3を塗布する際には端縁が波形状のブラシ部13a’とする塗布体12aを使用し、睫毛に対して一度にマスカラ等の液体化粧料3を塗布しようとする場合には端縁が直線状のブラシ部13b’とする塗布体13bを使用し、さらに睫毛のに対してピンポイントでマスカラ等の液体化粧料3を塗布する際にはヒンジ部14のブラシ部14’を使用すればよいものである。
【実施例2】
【0029】
図4に示すのは、本願発明の実施例2である液体化粧料塗布具11bであり、該液体化粧料塗布具11bは、実施例1の液体化粧料塗布具11aと同様に、根元部12’をキャップ8内に保持する軸体12と、該軸体12の先端に形成される塗布部13から構成される。
【0030】
そして、本願発明の実施例2である液体化粧料塗布具11bの塗布部13は二種類の塗布体13c、13dからなる点で実施例1と同様であるが、以下の点で相違するものである。すなわち、一方の塗布体13cは端縁が中央が凹む湾曲状のブラシ部13c’であり、他方の塗布体13dは端縁が直線状のブラシ部13d’となっているものであり、該二種類の塗布体13c、13dは折曲自在となるヒンジ部14を中心にして一体に連結されているものである。さらに、前記塗布体13c、13dを連結するヒンジ部14では、実施例1と同様に、扇形のブラシ部14’が形成されているものである。
【0031】
そこで、以上のような構成を具える本願発明の実施例1である液体化粧料塗布具11bは、図5において示すように実施例1と同様に製造されるものである。
【0032】
まず、軸体12先端に形成される塗布部13となる複数の塗布体13c、13dからなる塗布体集合体15は、該複数の塗布体13c、13dを薄肉化して折曲自在となるヒンジ部14を中心に直線状に一体に連結してなるものである。ここで、塗布体集合体15をなす該塗布体13c、13dは、一列のブラシと二列のブラシとが交互に配置するブラシ部13c’、13d’と、該ブラシ部13c’、13d’を一体に形成し、後述する軸体12先端に配設される取付部12a、12bに挿嵌する被取付部13c”、13d”とからなるものである。そして、該二種類の塗布体13c、13dを一体に連結するヒンジ部14においては、該塗布体13c、13dのブラシ部13c’、13d’よりもブラシの密度が高いブラシ部14’が一体に成形されているものである。そのため、実施例1と同様に、塗布体13c、13dを折曲することでヒンジ部14が湾曲しても、該ヒンジ部14のブラシ部14’は塗布体13c、13dと同程度の密度であるブラシ部14’となる。
【0033】
さらに、根元部12’をキャップ8内に保持される軸体12は、その先端において、軸体12の軸線(図中、一点鎖線で示す。)方向に沿って互いに対向するように、その一部が外部に開口する断面が凸形状の溝であり、その長さが塗布体13c、13dの被取付部13c”、13d”の長さと略同一である取付部12a、12bを二本配設しているものである。
【0034】
そこで、前記塗布体集合体15をなす二種類の塗布体13c、13dを連結するヒンジ部14で折曲した上で、各塗布体13c、13dの被取付部13c”、13d”を軸体12先端に配設する取付部12a、12bに挿嵌してなるものである。
【0035】
その結果、液体化粧料塗布具11bの軸体12先端では、端縁が波形状のブラシ部13c’となる塗布体13cと、端縁が直線状のブラシ部13d’となる塗布体13dとからなる塗布部13が形成される。その上、該塗布体13c、13dを一体に連結するヒンジ部14にも小さな扇形のブラシ部14’が形成されるものである。
【0036】
以上のように、本願発明の実施例2である液体化粧料塗布具11bの塗布部13には形状の相違する塗布体13c、13dのブラシ部13c’、13d’の他、ヒンジ部14のブラシ部14’が存在することとなるので、使用者は、マスカラ等の液体化粧料3を塗布する目的や場所に応じて、塗布体13c、13dのブラシ部13c’、13d’、及びヒンジ部14のブラシ部14’を使い分けることにより正確に塗布することができる。例えば、睫毛に合わせて均一にマスカラ等の液体化粧料3を塗布する際には端縁が中央が凹む湾曲状のブラシ部13d’とする塗布体13cを使用し、睫毛に対して一度にマスカラ等の液体化粧料3を塗布しようとする場合には端縁が直線状のブラシ部13d’とする塗布体13dを使用し、さらに睫毛のに対してピンポイントでマスカラ等の液体化粧料3を塗布する際にはヒンジ部14のブラシ部14’を使用すればよいものである。
【実施例3】
【0037】
図6に示すのは、本願発明の実施例3である液体化粧料塗布具11cであり、該液体化粧料塗布具11cは、実施例1及び2の液体化粧料塗布具11a、11bと同様に、根元部12’をキャップ8内に保持する軸体12と、該軸体12の先端に形成される塗布部13から構成される。
【0038】
そして、本願発明の実施例3である液体化粧料塗布具11cの塗布部13は二種類の塗布体13e、13fからなる点で実施例1及び2と同様であるが、以下の点で相違するものである。すなわち、その端縁が直線状であって、一方の塗布体13eのブラシ部13e’の全長が他方の塗布体13fのブラシ部13f’の全長よりも短くなっているものである。さらに、前記塗布体13e、13fを連結するヒンジ部14では実施例1及び2のブラシ部14と同様に扇形のブラシ部14’が成形されている。
【0039】
そこで、以上の構成を具える本願発明の実施例3である液体化粧料塗布具11cは、図7において示すように実施例1及び2と同様に製造するものである。
【0040】
まず、軸体12先端に形成される塗布部13となる複数の塗布体13e、13fからなる塗布体集合体15は、該複数の塗布体13e、13fを薄肉化して折曲自在としたヒンジ部14を中心に直線状に一体に連結してなるものである。ここで、塗布体集合体15をなす該塗布体13e、13fは、ブラシ部13e’、13f’と、該ブラシ部13e’、13f’を一体に形成し、後述する軸体12先端に配設される取付部12a、12bに挿嵌する被取付部13e”、13f”とからなるものである。そして、該二種類の塗布体13e、13fを一体に連結するヒンジ部14においては、該塗布体13e、13fのブラシ部13e’、13f’よりもブラシの密度が高いブラシ部14’が一体に成形されているものである。そのため、実施例1及び2と同様に、塗布体13e、13fを折曲することでヒンジ部14が湾曲しても、該ヒンジ部14のブラシ部14’は塗布体13e、13fと同程度の密度であるブラシ部14’となる。
【0041】
さらに、根元部12’をキャップ8内に保持される軸体12は、その先端において、軸体12の軸線(図中、一点鎖線で示す。)方向に沿って互いに対向するように、その一部が外部に開口する断面が凸形状の溝であり、その長さが塗布体13e、13fの被取付部13e”、13f”の長さと略同一である取付部12a’、12bを二本配設しているものである。
【0042】
そこで、前記塗布体集合体15をなす二種類の塗布体13e、13fを一体に連結するヒンジ部14で折曲した上で、各塗布体13e、13fの被取付部13e”、13f”を軸体12先端に配設する取付部12a’、12bに挿嵌してなるものである。
【0043】
その結果、液体化粧料塗布具11cの軸体12先端では、ブラシ部13e’、13f’の端縁が直線状であって、その全長が異なる塗布体13e、13fとからなる塗布部13が形成される。その上、該塗布体13e、13fを一体に連結するヒンジ部14にも小さな扇形のブラシ部14’が形成されるものである。
【0044】
以上のように、本願発明の実施例3である液体化粧料塗布具11cの塗布部13には形状の相違する塗布体13e、13fのブラシ部13e’、13f’の他、ヒンジ部14のブラシ部14’が存在することとなるので、使用者は、マスカラ等の液体化粧料3を塗布する目的や場所に応じて、塗布体13e、13fのブラシ部13e’、13f’、及びヒンジ部14のブラシ部14’を使い分けることにより正確に塗布することができる。例えば、睫毛の一部にマスカラ等の液体化粧料3を塗布する際には全長が短いブラシ部13e’とする塗布体13eを使用し、睫毛に対して一度にマスカラ等の液体化粧料3を塗布しようとする場合には全長が長いブラシ部13f’とする塗布体13fを使用し、さらに睫毛に対してピンポイントでマスカラ等の液体化粧料3を塗布する際にはヒンジ部14のブラシ部14’を使用すればよいものである。
【実施例4】
【0045】
図8に示すのは、本願発明の実施例4である液体化粧料塗布具11dであり、該液体化粧料塗布具11dは、実施例1乃至3の液体化粧料塗布具11a、11b、11cと同様に、根元部12’をキャップ8内に保持する軸体12と、該軸体12の先端に形成される塗布部13から構成される。
【0046】
そして、本願発明の実施例4である液体化粧料塗布具11dの塗布部13はブラシの配列が異なる三つの塗布体13g、13h、13iからなる点で実施例1乃至3の液体化粧料塗布具11a、11b、11cとは相違するものである。すなわち、該塗布部13をなす三つの塗布体13g、13h、13iの形状は、ブラシ部13g’、13h’、13i’の端縁が直線状であって、かつ軸体12先端に向かって低く傾斜しているものである。ところが、該ブラシ部13g’、13h’、13i’において、ブラシ部13g’、13h’は一列であるが、ブラシの密度ではブラシ部13h’よりもブラシ部13g’が粗くなっているものである。そして、ブラシ部13i’は一列のブラシと二列のブラシとが交互に配置されているものである。さらに、前記三つの塗布体13g、13h、13iを連結する該ヒンジ部14においても実施例1乃至3のブラシ部14’と同様にブラシ部14”が成形されている。
【0047】
そこで、以上の構成を具える本願発明の実施例3である液体化粧料塗布具11dは、図9において示すように実施例1乃至3と同様に製造するものである。
【0048】
まず、軸体12先端に形成される塗布部13となる複数の塗布体13g、13h、13iからなる塗布体集合体15’は、該複数の塗布体13g、13h、13iを薄肉化して折曲自在としたヒンジ部14を中心に各々の塗布体13g、13h、13iがなす角度が120°となるように一体に連結してなるものである。ここで、塗布体集合体15’をなす該塗布体13g、13h、13iは、ブラシ部13g’、13h’、13i’と、該ブラシ部13g’、13h’、13i’を一体に形成し、後述する軸体12先端に配設される取付部12a、12b、12cに挿嵌する被取付部13g”、13h”、13i”とからなるものである。そして、該三つの塗布体13g、13h、13iを一体に連結するヒンジ部14においては、該塗布体13g、13h、13iのブラシ部13g’、13h’、13i’よりもブラシの密度が高いブラシ部14’が一体に成形されているものである。そのため、実施例1乃至3と同様に、塗布体13g、13h、13iを折曲することでヒンジ部14が湾曲しても、該ヒンジ部14のブラシ部14’は塗布体13g、13h、13iと同程度の密度であるブラシ部14”となる。
【0049】
さらに、根元部12’をキャップ8内に保持される軸体12は、該軸体12先端において、軸体12の軸線(図中、一点鎖線で示す。)方向に沿って互いに等間隔となるように、その一部が外部に開口する断面が凸形状の溝であり、全長が塗布体13g、13h、13iの取付部13g”、13h”、13i”の長さと略同一である取付部12a、12b、12cを三本配設しているものである。
【0050】
そこで、前記塗布体集合体15をなす三つの塗布体13g、13h、13iを一体に連結するヒンジ部14で折曲した上で、各塗布体13g、13h、13iの被取付部13g”、13h”、13i”を軸体12先端に配設する取付部12a、12b、12cに挿嵌するものである。
【0051】
その結果、液体化粧料塗布具11dの軸体12先端では、ブラシの配列が互いに異なるブラシ部13g’、13h’、13i’を有する三つの塗布体13g、13h、13iからなる塗布部13が形成される。その上、該塗布体13g、13h、13iを一体に連結するヒンジ部14にも略半球状のブラシ部14”が形成されるものである。
【0052】
以上のように、本願発明の実施例4である液体化粧料塗布具11dの塗布部13にはブラシの配列が互いに異なる三つの塗布体13g、13h、13iのブラシ部13g”、13h”、13i”の他、ヒンジ部14のブラシ部14”が存在することとなる。
そのため、使用者は、塗布容器本体2からキャップ8を抜出すれば迅速にマスカラ等の液体化粧料3を塗布することができる。
しかも、塗布部13をなす三つの塗布体13g、13h、13iのブラシ部13g’、13h’、13i’は、ブラシの配列が互いに異なるが、その端縁が直線状であって、かつ軸体12先端に向かって低く傾斜している形状であるので、塗布体13g、13h、13i、そして各塗布体13g、13h、13iのブラシ部13g’、13h’、13iにおける軸線方向での位置、及びヒンジ部14のブラシ部14’を使い分けることで、マスカラ等の液体化粧料3を塗布する目的や場所に応じて、睫毛に対して正確に塗布することができる。すなわち、塗布体13g、13h、13iにおけるブラシ部13g’、13h’、13i’の密度は塗布体13gが一番粗く、塗布体13h、塗布体iの順に密となっている。従って、マスカラ等の液体化粧料3を塗布するにあたって、厚く塗布しようとする場合には、塗布体13iや塗布体13hを適宜使い分けて使用し、薄く塗布しようとする場合には、塗布体13gを使用すればよいものである。特に、塗布体13iでは、そのブラシ部13i’が一列のブラシと二列のブラシとが交互に配置されているので、睫毛との接触面積は増大するため睫毛全体にわたってマスカラ等の液体化粧料3を万遍なく塗布することができるものとなる。
また、各々の塗布体13g、13h、13iにおいて睫毛に対して部分的にマスカラ等の液体化粧料3を薄く塗布しようとする場合には、ブラシ部13g’、13h’、13i’の先端側を使用し、該マスカラ等の液体化粧料3を厚く塗布しようとする場合には、ブラシ部13g’、13h’、13i’の後端側を使用するものである。さらに、睫毛に対してピンポイントでマスカラ等の液体化粧料3を塗布する際にはヒンジ部14のブラシ部14’を使用すればよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本願発明の一本の液体化粧料塗布具において複数の塗布体を固持させることでマスカラ等の液体化粧料を細かく塗り分けることが可能となるので、毛染め具としても適用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 液体化粧料塗布容器
2 塗布容器本体
3 マスカラ等の液体化粧料
4 開口部
5 シゴキ
6 雄ネジ体
7 雄ネジ部
8 キャップ
9 内周面
10 雌ネジ部
11a、11b、11c、11d 液体化粧料塗布具
12 軸体
12’ 根元部
12a、12a’、12b、12c 取付部
13 塗布部
13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h、13i
塗布体
13a’、13b’、13c’、13d’、13e’、13f’、13g’、 13h’、13i’ ブラシ部
13a”、13b”、13c”、13d”、13e”、13f”、13g”、 13h”、13g” 被取付部
14 ヒンジ部
14’、14” ブラシ部
15、15’ 塗布体集合体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、該軸体先端において形成され、一体に連結する複数の塗布体からなる塗布部とから構成される液体化粧料塗布具において、
該軸体先端には、複数の取付部を配設し、
該塗布部をなす塗布体は、前記取付部に取り付けられる被取付部と、該被取付部において一体に形成するブラシ部とからなるものとした上で、折曲自在となるヒンジ部を中心に該塗布体を複数連結して塗布体集合体とするものであって、
該塗布体集合体をなす各塗布体をヒンジ部で折曲し、
該塗布体の被取付部を軸体先端の取付部に各々取り付けることで、
軸体先端の表面に複数の塗布体からなる塗布部を形成してなること
を特徴とする液体化粧料塗布具の製造方法。
【請求項2】
該軸体先端に配設される複数の取付部は、軸体の軸線方向に沿うように又は軸体の軸線に対して螺旋状に配設してなること
を特徴とする請求項1記載の液体化粧料塗布具の製造方法。
【請求項3】
複数の塗布体をヒンジ部を中心に一体に連結して塗布体集合体とする際に、該複数の塗布体をヒンジ部を中心に隣接する塗布体同士のなす角度が同一となるように連結してなること
を特徴とする請求項1又は2記載の液体化粧料塗布具の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−24192(P2012−24192A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163907(P2010−163907)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)