液体化粧料塗布具
【課題】先端が変形した固持軸に対して塗布体を簡易且つ正確に固持させるものである。
【解決手段】固持軸14aと、該固持軸14aの先端に固持する塗布体13aとから構成され、該固持軸14aは、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成し、他端において湾曲させるとともに塗布体13aの保持部14’を形成し、塗布体13aは、弾性により変形可能となるように平面状に一体に成形するものであって、ブラシ状の塗布部13’aと取付部13”aとからなるので、固持軸14aの保持部14’に対して塗布体13aを挿嵌、固定することで、該固持軸の保持部の形状に合わせて塗布体は湾曲するように変形して簡易且つ正確に固持されるものとなる。
【解決手段】固持軸14aと、該固持軸14aの先端に固持する塗布体13aとから構成され、該固持軸14aは、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成し、他端において湾曲させるとともに塗布体13aの保持部14’を形成し、塗布体13aは、弾性により変形可能となるように平面状に一体に成形するものであって、ブラシ状の塗布部13’aと取付部13”aとからなるので、固持軸14aの保持部14’に対して塗布体13aを挿嵌、固定することで、該固持軸の保持部の形状に合わせて塗布体は湾曲するように変形して簡易且つ正確に固持されるものとなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液体化粧料塗布容器をなすキャップ内において一体に保持され、塗布容器本体内に貯留されるマスカラ等の液体化粧料を塗布する液体化粧料塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体化粧料塗布容器をなすキャップ内において一体に保持される液体化粧料塗布具は、キャップ内に保持される軸体の先端側面において単列又は複数列のブラシ状又は櫛状の塗布体を配置するものである。そして、軸体の先端側面において単列又は複数列の該塗布体を配置するにあたっては、軸体の先端側面に凹設する係止溝に別体の塗布体を嵌合させるものや、軸体と塗布体とを一体に成形するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
その上、上記液体化粧料塗布具において、例えばブラシ状の塗布体では、使用者の使い心地を高めるため、塗布体であるブラシを出来うる限り細くし、櫛状の塗布体では、睫毛の形状に合致するように、軸体の先端を折曲又は湾曲させるものである。特に湾曲する櫛状の塗布体では、睫毛を満遍なく梳くことができるように、該櫛状の塗布体を構成する櫛歯を放射状に拡開させるものである。
【0004】
ところで、上記液体化粧料塗布具を製造するにあたっては、軸体と櫛状の塗布体とを一体に成形する場合には、例えば折曲又は湾曲等のように軸体の一端を変形させることは金型を割り型にする事により比較的容易である。
しかしながら、ブラシ状の塗布体の場合、塗布体をなすブラシを出来うる限り細く成形しようとするため、軸体との一体成形が困難で、ブラシ状の塗布体は軸体と別体で構成するのが一般的である。
【0005】
そして、軸体と別に単独で成形されるブラシ状または櫛状の塗布体は、そのブラシまたは櫛を平行に配置して成形する場合は抜き型で可能だが、放射状、屈曲状、螺旋状に配置して成形するには、金型から抜き出すことが不可能なため、割り型となる。
そのため、金型の合わせに非常に精密度を要するため製造が困難であってコストがかかる上、例え金型を製造してもその維持コストは非常に高くなるものである。
また、割り型構造が適用できるのは、単列ブラシまたは櫛の場合のみで、複数列のブラシまたは櫛の場合は、金型から抜き出すことができず製造自体不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−7188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、軸体の先端に対して、ブラシ状又は櫛状の塗布体を、湾曲状、屈曲状、放射状、螺旋状に、簡易且つ正確に固持できないことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、液体化粧料塗布具を構成し、先端が変形する軸体に対してブラシ状又は櫛状の塗布体を、該軸体の形状に合わせて変形させて固持させることを特徴とする。
【0009】
第1の特徴として、軸体と、塗布体とから構成され、
該軸体は、一端ではキャップに内装、固持される根元部を形成し、他端では軸体の軸線方向又は軸線を中心とする回転方向に対して変形した変形部を形成するとともに、該変形部に塗布体の保持部を形成し、
該塗布体は、変形可能であって、塗布部と取付部とを一体に形成するものであって、
該塗布体を、保持部における軸体の変形に合わせて変形させるとともに、保持部に固持するものである。
【0010】
そのため、液体化粧料塗布具を構成する軸体の先端が、例えば湾曲、屈曲又は螺旋状等のように変形していても、該軸体の先端の変形部に形成する塗布体の保持部に対して塗布具を固持させることで、この塗布体は軸体の先端の変形に合わせて変形するため、軸体の先端に形成された保持部に対して塗布体を簡易且つ正確に固持させることができる。
【0011】
第2の特徴として、第1の特徴を踏まえて、上記塗布体において、塗布体の変形方向側又は変形方向の反対側に保持部の変形に対応する凹溝部を配設するものである。
【0012】
そのため、塗布体を変形させる際には、塗布体の変形方向側又は変形方向の反対側に形成される凹溝部が塗布体の迅速な変形を促すとともに、該塗布体は変形した保持部に対して密着するものとなる。その結果、軸体の先端に形成された保持部に対して塗布体は密着して、簡易且つ正確に固持させることができる。
【0013】
さらに、第1の特徴乃至第2の特徴において、塗布体は平面状に成形すれば足りるので、塗布体は簡易且つ正確に成形することができる。
【0014】
第3の特徴として、塗布体を軸体の保持部に固持する際に、一方の凹部に対して他方の凸部を係止嵌合させるだけではなく、一方と他方とを互いに接着、溶着、カシメ、又はそれらの併用するものである。
【0015】
そのため、軸体の保持部での変形状態に合わせて固持方法を適宜選択することにより、変形している軸体の保持部に対して塗布体が離脱することなく確実に固持させることができる。
【0016】
なお、上記本願発明である液体化粧料塗布具を構成する塗布体には、軸体の変形に対する変形のし易さ等を考慮して、例えば軟質樹脂、エラストマー、又はゴム等が適している。一方軸体には、液体化粧料の塗布時に塗布体を睫毛に押しつける弾性等を考慮して、例えば軟質樹脂、硬質樹脂、又は金属等が適している。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の液体化粧料塗布具では、塗布体は軸体の先端の変形によらず平面状に成形され、しかも該軸体の保持部に対して固持する平面状の塗布体は保持部の形状に合わせて変形するので、塗布体を軸体の先端の変形に簡易且つ正確に取り付けられる。その結果、液体化粧料塗布具の製造における作業効率を向上させて、液体化粧料塗布具の製造コストの低減を図ることができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器の断面図である。
【図2】本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの正面図である。
【図3】本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの製造工程を示す図である。
【図4】本願発明の実施例2の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの正面図である。
【図5】本願発明の実施例2の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの製造工程を示す図である。
【図6】本願発明の実施例3の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの製造工程を示す図である。
【図7】本願発明の実施例3の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの製造工程における塗布体の変化を示す拡大断面図である。
【図8】(イ)は、本願発明の実施例4の液体化粧料塗布具の正面図、(ロ)は、その製造工程を示す図である。
【図9】(イ)は、本願発明の実施例5の液体化粧料塗布具の正面図、(ロ)は、その製造工程を示す図である。
【図10】(イ)は、本願発明の実施例6の液体化粧料塗布具の正面図、(ロ)は、その製造工程を示す図である。
【図11】(イ)は、本願発明の実施例7の液体化粧料塗布具の正面図、(ロ)は、本願発明の実施例7の液体化粧料塗布具の側面図、(ハ)は、その製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先端を変形させた軸体において、塗布体を一体に固持する液体化粧料塗布具を簡易且つ正確に製造するという目的を、塗布体の部材及び形状の変更で実現した。
【実施例1】
【0020】
図1において示すものは、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布具12aを具える液体化粧料塗布容器1であって、該液体化粧料塗布容器1は、マスカラ等の液体化粧料3を貯留し、外周面に雄ネジ部5を螺設するとともに、その内部では孔部7において後述する塗布体13a、及び該塗布体13aを先端に固持する固持軸14aの表面に密着自在となり、それらの表面に過剰に付着したマスカラ等の液体化粧料3を除去するシゴキ6を有する別体の開口部4を固持してなる塗布容器本体2と、その開口部9において内周面に雌ネジ部10を螺設するものであって、実施例1の液体化粧料塗布具12aにおける固持軸14aの一端に形成された根元部15を保持してなるキャップ8とから構成されるものである。
【0021】
ここで、キャップ8内に保持される本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具12aは、固持軸14aと、塗布体13aとから構成されるものである(図2参照)。
即ち、該固持軸14aは、気密性を維持するパッキン11を装着するとともに、一端においてキャップ8に内装、固持される根元部15を形成し、他端においては湾曲させるとともに、凹陥状の塗布体13aの保持部14’を形成してなるものである。そして、この凹陥状の保持部14’には後述する塗布体13aの係止突縁13”’が嵌合する係止凹縁14”が凹設されている。
さらに、該塗布体13aは、弾性により変形可能となるように一体に成形し、平面状のブラシ状の塗布部13’aと取付部13”aとからなるものである。そして、該取付部13”aには上記保持部14’内に凹設される係止凹縁14”に嵌合する係止突縁13”’が突設されている。
なお、実施例1の液体化粧料塗布具12aにおいては、固持軸14aの保持部14’の反対側には鋸歯状の塗布部16が固持軸14aの成形と同時に形成されている。
【0022】
そこで、本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具12aは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14aの湾曲した先端において形成される凹陥状の塗布体13aの保持部14’に対して、弾性により変形可能となるように一体に成形されたブラシ状の塗布部13’aと取付部13”aとからなる平面状の塗布体13aを挿嵌する。そのため、該平面状の塗布体13aの取付部13”aはその弾性により保持部14’内の形状に合わせて湾曲する。そして、該塗布体13aの取付部13”aに突設された係止突縁13”’と保持部14’内に凹設された係止凹縁14”とを嵌合させることで、保持部14’の形状に合わせて変形した塗布体13aは保持部14’内に固定することができる。その結果、先端が湾曲した固持軸14aの先端に対してブラシ状の塗布体13aを簡易且つ正確に固持させた液体化粧料塗布具12aとするものである(図3参照)。
【実施例2】
【0023】
図4において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例2の液体化粧料塗布具12bである。該液体化粧料塗布具12bは、実施例1の液体化粧料塗布具12aと同様に固持軸14bと塗布体13bとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14bは、その他端において屈曲するとともに、凹陥状の塗布体13bの保持部14’を形成するものである。
さらに、塗布体13bは、弾性により変形可能なように一体に成形し、塗布部13’bと取付部13”bとからなるものである。その上、該取付部13”bの塗布部13’bの反対面に上記保持部14’内の屈曲に合致するように塗布体13bの屈曲を促す凹溝部17を形成してなるものである。なお、該凹溝部17は塗布体13bの屈曲を促すものであるので、取付部13”bにおいて塗布部13’bの反対面だけでなく、塗布部13’b側に設けるものであっても良い。
そして、実施例1の液体化粧料塗布具12aの固持軸14aの保持部14’と同様に、固持軸14bの塗布体13bの保持部14’には、塗布体13bの係止突縁13”’が嵌合する係止凹縁14”が凹設されている。
【0024】
そこで、本願発明の実施例2の液体化粧料塗布具12bは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14bの屈曲した先端において形成される凹陥状の塗布体13bの保持部14’に対して、弾性により変形可能なように一体に成形されたブラシ状の塗布部13’bと取付部13”bとからなる平面状の塗布体13bを挿嵌する。そのため、該平面状の塗布体13bの取付部13”bは保持部14’内の屈曲に合致するように凹溝部17が屈曲するとともに、その弾性により保持部14b’内の形状に合わせて密着、変形するものである。そして、該塗布体13bの取付部13”bに突設された係止突縁13”’と保持部14’内に凹設された係止凹縁14”とを嵌合させることで、保持部14’の形状に合わせて変形した塗布体13bは保持部14’内に固定することができる。その結果、先端が屈曲した固持軸14bの先端に対してブラシ状の塗布体13bを簡易且つ正確に固持させた液体化粧料塗布具12bとするものである(図5参照)。
【実施例3】
【0025】
図6において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例3の液体化粧料塗布具12cであり、該液体化粧料塗布具12cは、実施例1又は2の液体化粧料塗布具12a、12bと同様に固持軸14cと塗布体13cとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14cは、その他端において塗布体13cの凹陥状の保持部14’を形成するものである。そして、該固持軸14cの保持部14’においては、長軸方向に沿って対向する面19、19の一部を軸心方向に向って断面テーパ状に成形してなるものである。
さらに、塗布体13cは、弾性により変形可能なように一体に成形し、ブラシ状の塗布部13’cと取付部13”cとからなるものである。その上、該取付部13”cの塗布部13’cの反対側において、上記保持部14’内の長軸方向に沿って対向する面19、19に当接する一対の脚部18、18を一体に成形してなるものである。
なお、上記実施例1及び実施例2の液体化粧料塗布具12a、12bの固持軸14a、14bの保持部14’と同様に、固持軸14cにおける塗布体13cの保持部14’には、塗布体13cの係止突縁13”’が嵌合する係止凹縁14”が凹設されている。
【0026】
そこで、本願発明の実施例3の液体化粧料塗布具12cは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14cの先端において形成される凹陥状の塗布体13cの保持部14’に対して、弾性により変形可能なように一体に成形されたブラシ状の塗布部13’cと取付部13”cとからなる平面状の塗布体13cを挿嵌する。そのため、固持軸14cの保持部14’内では長軸方向に沿って対向する面19、19の一部が軸心方向に向って断面テーパ状に形成されているので、塗布体13cの取付部13”cの裏面に形成された一対の脚部18、18は内方に向かって変形し、固持軸14cの保持部14’cの係止凹縁14”に対して塗布体13cの係止突縁13”’を嵌合させることにより、該塗布体13cは保持部14’内に弾性により変形したままで固定されるものである。それとともに、該脚部18、18の内方に向かっての変形に伴い塗布体13cの取付部13”cは外方に向かって膨出するように変形するので、該取付部13”cと一体に成形される塗布部13’cは放射状に拡開するものとなる。その結果、固持軸14cの先端に対して放射状に拡開したブラシ状の塗布体13cを簡易且つ正確に固持させた液体化粧料塗布具12cとするものである(図7参照)。
【0027】
なお、上述した本願発明の実施例1又は実施例2の液体化粧料塗布具12a、12bのように固持軸14a、14bの先端を湾曲又は屈曲させた上で塗布体13a、13bを簡易且つ正確に固持させるものにおいても、実施例3の塗布体13c及び固持軸14cのように、塗布体13cの裏面には脚部18、18を形成し、固持軸14cの保持部14’内には長軸方向に沿って対向する面19、19の少なくとも一部を軸心方向に向って断面テーパ状とすることによって、先端が湾曲し又は屈曲した固持軸14a、14bの保持部14’内に固持される塗布体13a、13bの塗布部13’a、13’bを湾曲し又は屈曲させるとともに、放射状に拡開させることもできる。
【実施例4】
【0028】
図8において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例4の液体化粧料塗布具12dであり、該液体化粧料塗布具12dは、実施例1乃至3の液体化粧料塗布具12a乃至12cと同様に固持軸14dと塗布体13dとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14dは、その他端において湾曲するとともに、該湾曲部分において固持軸14dを貫通する保持孔20を穿設した上で、該保持孔20内において後述する塗布体13dの取付部13”dに形成した係止突縁22が係止できるように保持孔20と直交する方向に係止溝21が配設されている。
さらに、塗布体13dは、弾性により変形可能なように塗布部13’dと取付部13”dとを平面状に一体に成形し、側面方向に係止突縁22が配設される断面十字形状の取付部13”dにおいて、その上下方向にブラシ状の塗布部13’dが形成されるものである。
【0029】
そこで、本願発明の実施例4の液体化粧料塗布具12dは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14dの先端の湾曲部分において形成される保持孔20に対して、弾性により変形可能なように一体に成形され、上下方向にブラシ状の塗布部13’dと、側面方向に係止突縁22を配設する取付部13”dとからなる平面状の塗布体13dを挿嵌する。そのため、該塗布体13dは、固持軸14dの保持孔20内で塗布体13dの取付部13’dに沿って配設される係止突縁22が、保持孔20内の係止溝21に沿って変形しつつ係止して固定されるものである。その結果、湾曲しつつ、固持軸14dの先端に対して上下方向にブラシ状の塗布部13’dを有する塗布体13dを簡易且つ正確に固持させた塗布液体化粧料塗布具12dとするものである。
【実施例5】
【0030】
図9において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例5の液体化粧料塗布具12eであり、該液体化粧料塗布具12eは、実施例1乃至4の液体化粧料塗布具12a乃至12dと同様に固持軸14eと塗布体13eとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14eは、その他端において径小であって湾曲した取付端25が形成されるとともに、該取付端25の根元部において径外方向に突出し、後述する塗布体13e内で周設する係合溝24と一体に係合する係合縁26が周設されている。
さらに、塗布体13eは、弾性により変形可能なように一体に成形されるものであって、取付孔23の内周面において係合溝24を溝設する円筒状の取付部13”eと、該取付部13”eの外周面において互いに対向するように配置された二組の塗布部13’eとからなるものである。
【0031】
そこで、本願発明の実施例5の液体化粧料塗布具12eは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14eの先端における湾曲した取付端25に対して、弾性により変形可能なように一体に成形された塗布体13eの取付孔23を挿嵌する。そのため、該塗布体13eの取付部13”eは固持軸14eにおける湾曲部分の取付端25に合わせて変形する。そして、該取付端25の根元部に形成された係合縁26と、塗布体13eをなす取付部13”eの取付孔23内において周設された係合溝24とを係合させることで、固持軸14eの取付端25の形状に合わせて変形した塗布体13eを固定することができる。その結果、塗布体13eの取付部13’eの外周面において互いに対向するように配置された二組の塗布部13’eを固持軸14eの取付端25に合わせて湾曲させた塗布体13eを簡易且つ正確に固持させる液体化粧料塗布具12eとするものである(図9参照)。
【実施例6】
【0032】
図10において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例6の液体化粧料塗布具12fであり、該液体化粧料塗布具12fは、実施例1乃至5の液体化粧料塗布具12a乃至12eと同様に固持軸14fと塗布体13fとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14fは、その他端において、固持軸の14fの長軸方向に軸線を中心として螺旋状に回転し、その端面が略四辺形状である螺旋取付端27が形成されるとともに、該螺旋取付端27の根元部において径外方向に突出し、後述する塗布体13f内で周設する係合溝24と一体に係合する係合縁26が周設されている。
さらに、塗布体13fは、弾性により変形可能なように一体に成形されるものであって、断面略四辺形状の取付孔23の内周面において係合溝24を溝設する取付部13”fと、該取付部13”fの外周面において互いに対向するように配置された二組の塗布部13’fとからなるものである。
【0033】
そこで、本願発明の実施例6の液体化粧料塗布具12fは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14fの先端における固持軸14fの長軸方向に軸線を中心として螺旋状に回転する螺旋取付端27に対して、弾性により変形可能なように一体に成形された塗布体13fの取付孔23を挿嵌する。そのため、該塗布体13fの取付部13”fは固持軸14f先端における螺旋取付端27に合わせて螺旋状に回転しながら変形する。そして、該螺旋取付端27の根元部に形成された係合縁26と、塗布体13fをなす取付部13”fの取付孔23内において周設された係合溝24とを係合させることで、固持軸14fの螺旋取付端27の螺旋形状に合わせて変形した塗布体13fを固定することができる。その結果、塗布体13fの取付部13”fの外周面において互いに対向するように配置された二組の塗布部13’fを固持軸14fの螺旋取付端27に合わせて回転して螺旋状に変形させた塗布体13fを簡易且つ正確に固持させる液体化粧料塗布具13fとするものである(図10参照)。
【実施例7】
【0034】
図11において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例7の液体化粧料塗布具12gであり、該液体化粧料塗布具12gは、実施例1乃至6の液体化粧料塗布具12a乃至12fと同様に固持軸14gと塗布体13gとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14gは、その他端内部において、固持軸14gの長軸方向の軸線に沿うように内部孔28が形成されている。該内部孔28では、その断面は後述する塗布体13gの取付部13”gの断面と同一形状であるとともに、かつ該内部孔28と固持軸14gの外周面とを連通させてなる開口28’を有するものであり、該固持軸14gの端面から長軸方向の軸線に沿ってその断面を右回転させながら孔状に形成してなるものである。ここで、該固持軸14gの内部孔28の断面は、開口28’を持って固持軸14gの外周面と連通しているので、固持軸14gの外周面には固持軸14gの長軸方向の軸線を中心として螺旋状に内部孔28に連通するスリット29が形成されるものである。
さらに、塗布体13gは、弾性により変形可能なように一体に成形されるものであって、前述の固持軸14gの内部に形成される内部孔28の断面形状と同一の断面形状である取付部13”gと、該取付部13”gの外周面において直列状に配置された塗布部13’gとからなるものである〔図11(ハ)参照〕。
【0035】
そこで、本願発明の実施例6の液体化粧料塗布具12gは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14gの端面から内部孔28に対して、弾性により変形可能なように一体に成形された塗布体13gの取付部13”gを、内部孔28の断面の開口28’に対して、該取付部13”gに配置された塗布部13’gを各々合致させて挿嵌をするものである。そして、該塗布体13gの取付部13”gを固持軸14gの内部孔28に対して挿嵌するにつれ、該内部孔28は、その断面を塗布体13gの取付部13”gと同一の断面形状とするものであって、しかもその断面を回転させるようにして形成するので、該取付部13”gは固持軸14gの長軸方向に軸線を中心として回転しながら挿入されていくものである。それと同時に、前記取付部13”gの外周面に配置される塗布部13’gは固持軸14gの外周面に形成されるスリット29に沿って挿入されていくものとなる。その結果、塗布体13gの取付部13”gの外周面に直列状に配置される塗布部13’gが固持軸14gにおいて螺旋状に配置される塗布部13’gとなる塗布体13を簡易且つ正確に固持させる液体化粧料塗布具13gとするものである(図11参照)。
【0036】
なお、本願発明において、固持軸14a〜gに対して塗布体13a〜gを固持させるにあたっては、上述の実施例1乃至実施例7におけるように、取付部13”aに突設された係止突縁13”’と保持部14’内に凹設された係止凹縁14”との嵌合(実施例1、2、3)、塗布体13dの取付部13’dに沿って配設される係止突縁22と保持孔20内の係止溝21との係止(実施例4)、取付端25(27)の根元部に形成された係合縁26と取付部13”e(13”f)の取付孔23内において周設された係合溝24との係合(実施例5、6)、更には固持軸14g内に形成される内部孔28内に塗布体13gの取付部13’gを挿嵌してなるもの(実施例7)だけではなく、固持軸14a〜14g及び塗布体13a〜13gの材質や変形状態から接着、溶着、カシメ又はそれらに併用等を適宜選択して用いるものである。その結果、塗布体13a〜13gを固持軸14a〜14gに対して確実に固定することができるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
先端が変形した固持軸に塗布体を簡易且つ正確に固持させることができるので、マスカラのみならず他の液体化粧料塗布容器に具えられる液体化粧料塗布具にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 液体化粧料塗布容器
2 塗布容器本体
3 マスカラ等の液体化粧料
4 開口部
5 雄ネジ部
6 シゴキ
7 孔部
8 キャップ
9 開口部
10 雌ネジ部
11 パッキン
12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g
液体化粧料塗布具
13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g 塗布体
13’a、13’b、13’c、13’d、13’e、13’f、13’g
塗布部
13”a、13”b、13”c、13”d、13”e、13”f、13”g
取付部
13”’ 係止突縁
14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g 固持軸
14’ 保持部
14” 係止凹縁
15 根元部
16 (鋸歯状の)塗布部
17 凹溝部
18 脚部
19 面
20 保持孔
21 係止溝
22 係止突縁
23 取付孔
24 係合溝
25 取付端
26 係合縁
27 螺旋取付端
28 内部孔
28’ 開口
29 スリット
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液体化粧料塗布容器をなすキャップ内において一体に保持され、塗布容器本体内に貯留されるマスカラ等の液体化粧料を塗布する液体化粧料塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体化粧料塗布容器をなすキャップ内において一体に保持される液体化粧料塗布具は、キャップ内に保持される軸体の先端側面において単列又は複数列のブラシ状又は櫛状の塗布体を配置するものである。そして、軸体の先端側面において単列又は複数列の該塗布体を配置するにあたっては、軸体の先端側面に凹設する係止溝に別体の塗布体を嵌合させるものや、軸体と塗布体とを一体に成形するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
その上、上記液体化粧料塗布具において、例えばブラシ状の塗布体では、使用者の使い心地を高めるため、塗布体であるブラシを出来うる限り細くし、櫛状の塗布体では、睫毛の形状に合致するように、軸体の先端を折曲又は湾曲させるものである。特に湾曲する櫛状の塗布体では、睫毛を満遍なく梳くことができるように、該櫛状の塗布体を構成する櫛歯を放射状に拡開させるものである。
【0004】
ところで、上記液体化粧料塗布具を製造するにあたっては、軸体と櫛状の塗布体とを一体に成形する場合には、例えば折曲又は湾曲等のように軸体の一端を変形させることは金型を割り型にする事により比較的容易である。
しかしながら、ブラシ状の塗布体の場合、塗布体をなすブラシを出来うる限り細く成形しようとするため、軸体との一体成形が困難で、ブラシ状の塗布体は軸体と別体で構成するのが一般的である。
【0005】
そして、軸体と別に単独で成形されるブラシ状または櫛状の塗布体は、そのブラシまたは櫛を平行に配置して成形する場合は抜き型で可能だが、放射状、屈曲状、螺旋状に配置して成形するには、金型から抜き出すことが不可能なため、割り型となる。
そのため、金型の合わせに非常に精密度を要するため製造が困難であってコストがかかる上、例え金型を製造してもその維持コストは非常に高くなるものである。
また、割り型構造が適用できるのは、単列ブラシまたは櫛の場合のみで、複数列のブラシまたは櫛の場合は、金型から抜き出すことができず製造自体不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−7188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、軸体の先端に対して、ブラシ状又は櫛状の塗布体を、湾曲状、屈曲状、放射状、螺旋状に、簡易且つ正確に固持できないことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、液体化粧料塗布具を構成し、先端が変形する軸体に対してブラシ状又は櫛状の塗布体を、該軸体の形状に合わせて変形させて固持させることを特徴とする。
【0009】
第1の特徴として、軸体と、塗布体とから構成され、
該軸体は、一端ではキャップに内装、固持される根元部を形成し、他端では軸体の軸線方向又は軸線を中心とする回転方向に対して変形した変形部を形成するとともに、該変形部に塗布体の保持部を形成し、
該塗布体は、変形可能であって、塗布部と取付部とを一体に形成するものであって、
該塗布体を、保持部における軸体の変形に合わせて変形させるとともに、保持部に固持するものである。
【0010】
そのため、液体化粧料塗布具を構成する軸体の先端が、例えば湾曲、屈曲又は螺旋状等のように変形していても、該軸体の先端の変形部に形成する塗布体の保持部に対して塗布具を固持させることで、この塗布体は軸体の先端の変形に合わせて変形するため、軸体の先端に形成された保持部に対して塗布体を簡易且つ正確に固持させることができる。
【0011】
第2の特徴として、第1の特徴を踏まえて、上記塗布体において、塗布体の変形方向側又は変形方向の反対側に保持部の変形に対応する凹溝部を配設するものである。
【0012】
そのため、塗布体を変形させる際には、塗布体の変形方向側又は変形方向の反対側に形成される凹溝部が塗布体の迅速な変形を促すとともに、該塗布体は変形した保持部に対して密着するものとなる。その結果、軸体の先端に形成された保持部に対して塗布体は密着して、簡易且つ正確に固持させることができる。
【0013】
さらに、第1の特徴乃至第2の特徴において、塗布体は平面状に成形すれば足りるので、塗布体は簡易且つ正確に成形することができる。
【0014】
第3の特徴として、塗布体を軸体の保持部に固持する際に、一方の凹部に対して他方の凸部を係止嵌合させるだけではなく、一方と他方とを互いに接着、溶着、カシメ、又はそれらの併用するものである。
【0015】
そのため、軸体の保持部での変形状態に合わせて固持方法を適宜選択することにより、変形している軸体の保持部に対して塗布体が離脱することなく確実に固持させることができる。
【0016】
なお、上記本願発明である液体化粧料塗布具を構成する塗布体には、軸体の変形に対する変形のし易さ等を考慮して、例えば軟質樹脂、エラストマー、又はゴム等が適している。一方軸体には、液体化粧料の塗布時に塗布体を睫毛に押しつける弾性等を考慮して、例えば軟質樹脂、硬質樹脂、又は金属等が適している。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の液体化粧料塗布具では、塗布体は軸体の先端の変形によらず平面状に成形され、しかも該軸体の保持部に対して固持する平面状の塗布体は保持部の形状に合わせて変形するので、塗布体を軸体の先端の変形に簡易且つ正確に取り付けられる。その結果、液体化粧料塗布具の製造における作業効率を向上させて、液体化粧料塗布具の製造コストの低減を図ることができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器の断面図である。
【図2】本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの正面図である。
【図3】本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの製造工程を示す図である。
【図4】本願発明の実施例2の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの正面図である。
【図5】本願発明の実施例2の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの製造工程を示す図である。
【図6】本願発明の実施例3の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの製造工程を示す図である。
【図7】本願発明の実施例3の液体化粧料塗布具を具える液体化粧料塗布容器のキャップの製造工程における塗布体の変化を示す拡大断面図である。
【図8】(イ)は、本願発明の実施例4の液体化粧料塗布具の正面図、(ロ)は、その製造工程を示す図である。
【図9】(イ)は、本願発明の実施例5の液体化粧料塗布具の正面図、(ロ)は、その製造工程を示す図である。
【図10】(イ)は、本願発明の実施例6の液体化粧料塗布具の正面図、(ロ)は、その製造工程を示す図である。
【図11】(イ)は、本願発明の実施例7の液体化粧料塗布具の正面図、(ロ)は、本願発明の実施例7の液体化粧料塗布具の側面図、(ハ)は、その製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先端を変形させた軸体において、塗布体を一体に固持する液体化粧料塗布具を簡易且つ正確に製造するという目的を、塗布体の部材及び形状の変更で実現した。
【実施例1】
【0020】
図1において示すものは、本願発明の実施例1である液体化粧料塗布具12aを具える液体化粧料塗布容器1であって、該液体化粧料塗布容器1は、マスカラ等の液体化粧料3を貯留し、外周面に雄ネジ部5を螺設するとともに、その内部では孔部7において後述する塗布体13a、及び該塗布体13aを先端に固持する固持軸14aの表面に密着自在となり、それらの表面に過剰に付着したマスカラ等の液体化粧料3を除去するシゴキ6を有する別体の開口部4を固持してなる塗布容器本体2と、その開口部9において内周面に雌ネジ部10を螺設するものであって、実施例1の液体化粧料塗布具12aにおける固持軸14aの一端に形成された根元部15を保持してなるキャップ8とから構成されるものである。
【0021】
ここで、キャップ8内に保持される本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具12aは、固持軸14aと、塗布体13aとから構成されるものである(図2参照)。
即ち、該固持軸14aは、気密性を維持するパッキン11を装着するとともに、一端においてキャップ8に内装、固持される根元部15を形成し、他端においては湾曲させるとともに、凹陥状の塗布体13aの保持部14’を形成してなるものである。そして、この凹陥状の保持部14’には後述する塗布体13aの係止突縁13”’が嵌合する係止凹縁14”が凹設されている。
さらに、該塗布体13aは、弾性により変形可能となるように一体に成形し、平面状のブラシ状の塗布部13’aと取付部13”aとからなるものである。そして、該取付部13”aには上記保持部14’内に凹設される係止凹縁14”に嵌合する係止突縁13”’が突設されている。
なお、実施例1の液体化粧料塗布具12aにおいては、固持軸14aの保持部14’の反対側には鋸歯状の塗布部16が固持軸14aの成形と同時に形成されている。
【0022】
そこで、本願発明の実施例1の液体化粧料塗布具12aは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14aの湾曲した先端において形成される凹陥状の塗布体13aの保持部14’に対して、弾性により変形可能となるように一体に成形されたブラシ状の塗布部13’aと取付部13”aとからなる平面状の塗布体13aを挿嵌する。そのため、該平面状の塗布体13aの取付部13”aはその弾性により保持部14’内の形状に合わせて湾曲する。そして、該塗布体13aの取付部13”aに突設された係止突縁13”’と保持部14’内に凹設された係止凹縁14”とを嵌合させることで、保持部14’の形状に合わせて変形した塗布体13aは保持部14’内に固定することができる。その結果、先端が湾曲した固持軸14aの先端に対してブラシ状の塗布体13aを簡易且つ正確に固持させた液体化粧料塗布具12aとするものである(図3参照)。
【実施例2】
【0023】
図4において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例2の液体化粧料塗布具12bである。該液体化粧料塗布具12bは、実施例1の液体化粧料塗布具12aと同様に固持軸14bと塗布体13bとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14bは、その他端において屈曲するとともに、凹陥状の塗布体13bの保持部14’を形成するものである。
さらに、塗布体13bは、弾性により変形可能なように一体に成形し、塗布部13’bと取付部13”bとからなるものである。その上、該取付部13”bの塗布部13’bの反対面に上記保持部14’内の屈曲に合致するように塗布体13bの屈曲を促す凹溝部17を形成してなるものである。なお、該凹溝部17は塗布体13bの屈曲を促すものであるので、取付部13”bにおいて塗布部13’bの反対面だけでなく、塗布部13’b側に設けるものであっても良い。
そして、実施例1の液体化粧料塗布具12aの固持軸14aの保持部14’と同様に、固持軸14bの塗布体13bの保持部14’には、塗布体13bの係止突縁13”’が嵌合する係止凹縁14”が凹設されている。
【0024】
そこで、本願発明の実施例2の液体化粧料塗布具12bは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14bの屈曲した先端において形成される凹陥状の塗布体13bの保持部14’に対して、弾性により変形可能なように一体に成形されたブラシ状の塗布部13’bと取付部13”bとからなる平面状の塗布体13bを挿嵌する。そのため、該平面状の塗布体13bの取付部13”bは保持部14’内の屈曲に合致するように凹溝部17が屈曲するとともに、その弾性により保持部14b’内の形状に合わせて密着、変形するものである。そして、該塗布体13bの取付部13”bに突設された係止突縁13”’と保持部14’内に凹設された係止凹縁14”とを嵌合させることで、保持部14’の形状に合わせて変形した塗布体13bは保持部14’内に固定することができる。その結果、先端が屈曲した固持軸14bの先端に対してブラシ状の塗布体13bを簡易且つ正確に固持させた液体化粧料塗布具12bとするものである(図5参照)。
【実施例3】
【0025】
図6において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例3の液体化粧料塗布具12cであり、該液体化粧料塗布具12cは、実施例1又は2の液体化粧料塗布具12a、12bと同様に固持軸14cと塗布体13cとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14cは、その他端において塗布体13cの凹陥状の保持部14’を形成するものである。そして、該固持軸14cの保持部14’においては、長軸方向に沿って対向する面19、19の一部を軸心方向に向って断面テーパ状に成形してなるものである。
さらに、塗布体13cは、弾性により変形可能なように一体に成形し、ブラシ状の塗布部13’cと取付部13”cとからなるものである。その上、該取付部13”cの塗布部13’cの反対側において、上記保持部14’内の長軸方向に沿って対向する面19、19に当接する一対の脚部18、18を一体に成形してなるものである。
なお、上記実施例1及び実施例2の液体化粧料塗布具12a、12bの固持軸14a、14bの保持部14’と同様に、固持軸14cにおける塗布体13cの保持部14’には、塗布体13cの係止突縁13”’が嵌合する係止凹縁14”が凹設されている。
【0026】
そこで、本願発明の実施例3の液体化粧料塗布具12cは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14cの先端において形成される凹陥状の塗布体13cの保持部14’に対して、弾性により変形可能なように一体に成形されたブラシ状の塗布部13’cと取付部13”cとからなる平面状の塗布体13cを挿嵌する。そのため、固持軸14cの保持部14’内では長軸方向に沿って対向する面19、19の一部が軸心方向に向って断面テーパ状に形成されているので、塗布体13cの取付部13”cの裏面に形成された一対の脚部18、18は内方に向かって変形し、固持軸14cの保持部14’cの係止凹縁14”に対して塗布体13cの係止突縁13”’を嵌合させることにより、該塗布体13cは保持部14’内に弾性により変形したままで固定されるものである。それとともに、該脚部18、18の内方に向かっての変形に伴い塗布体13cの取付部13”cは外方に向かって膨出するように変形するので、該取付部13”cと一体に成形される塗布部13’cは放射状に拡開するものとなる。その結果、固持軸14cの先端に対して放射状に拡開したブラシ状の塗布体13cを簡易且つ正確に固持させた液体化粧料塗布具12cとするものである(図7参照)。
【0027】
なお、上述した本願発明の実施例1又は実施例2の液体化粧料塗布具12a、12bのように固持軸14a、14bの先端を湾曲又は屈曲させた上で塗布体13a、13bを簡易且つ正確に固持させるものにおいても、実施例3の塗布体13c及び固持軸14cのように、塗布体13cの裏面には脚部18、18を形成し、固持軸14cの保持部14’内には長軸方向に沿って対向する面19、19の少なくとも一部を軸心方向に向って断面テーパ状とすることによって、先端が湾曲し又は屈曲した固持軸14a、14bの保持部14’内に固持される塗布体13a、13bの塗布部13’a、13’bを湾曲し又は屈曲させるとともに、放射状に拡開させることもできる。
【実施例4】
【0028】
図8において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例4の液体化粧料塗布具12dであり、該液体化粧料塗布具12dは、実施例1乃至3の液体化粧料塗布具12a乃至12cと同様に固持軸14dと塗布体13dとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14dは、その他端において湾曲するとともに、該湾曲部分において固持軸14dを貫通する保持孔20を穿設した上で、該保持孔20内において後述する塗布体13dの取付部13”dに形成した係止突縁22が係止できるように保持孔20と直交する方向に係止溝21が配設されている。
さらに、塗布体13dは、弾性により変形可能なように塗布部13’dと取付部13”dとを平面状に一体に成形し、側面方向に係止突縁22が配設される断面十字形状の取付部13”dにおいて、その上下方向にブラシ状の塗布部13’dが形成されるものである。
【0029】
そこで、本願発明の実施例4の液体化粧料塗布具12dは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14dの先端の湾曲部分において形成される保持孔20に対して、弾性により変形可能なように一体に成形され、上下方向にブラシ状の塗布部13’dと、側面方向に係止突縁22を配設する取付部13”dとからなる平面状の塗布体13dを挿嵌する。そのため、該塗布体13dは、固持軸14dの保持孔20内で塗布体13dの取付部13’dに沿って配設される係止突縁22が、保持孔20内の係止溝21に沿って変形しつつ係止して固定されるものである。その結果、湾曲しつつ、固持軸14dの先端に対して上下方向にブラシ状の塗布部13’dを有する塗布体13dを簡易且つ正確に固持させた塗布液体化粧料塗布具12dとするものである。
【実施例5】
【0030】
図9において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例5の液体化粧料塗布具12eであり、該液体化粧料塗布具12eは、実施例1乃至4の液体化粧料塗布具12a乃至12dと同様に固持軸14eと塗布体13eとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14eは、その他端において径小であって湾曲した取付端25が形成されるとともに、該取付端25の根元部において径外方向に突出し、後述する塗布体13e内で周設する係合溝24と一体に係合する係合縁26が周設されている。
さらに、塗布体13eは、弾性により変形可能なように一体に成形されるものであって、取付孔23の内周面において係合溝24を溝設する円筒状の取付部13”eと、該取付部13”eの外周面において互いに対向するように配置された二組の塗布部13’eとからなるものである。
【0031】
そこで、本願発明の実施例5の液体化粧料塗布具12eは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14eの先端における湾曲した取付端25に対して、弾性により変形可能なように一体に成形された塗布体13eの取付孔23を挿嵌する。そのため、該塗布体13eの取付部13”eは固持軸14eにおける湾曲部分の取付端25に合わせて変形する。そして、該取付端25の根元部に形成された係合縁26と、塗布体13eをなす取付部13”eの取付孔23内において周設された係合溝24とを係合させることで、固持軸14eの取付端25の形状に合わせて変形した塗布体13eを固定することができる。その結果、塗布体13eの取付部13’eの外周面において互いに対向するように配置された二組の塗布部13’eを固持軸14eの取付端25に合わせて湾曲させた塗布体13eを簡易且つ正確に固持させる液体化粧料塗布具12eとするものである(図9参照)。
【実施例6】
【0032】
図10において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例6の液体化粧料塗布具12fであり、該液体化粧料塗布具12fは、実施例1乃至5の液体化粧料塗布具12a乃至12eと同様に固持軸14fと塗布体13fとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14fは、その他端において、固持軸の14fの長軸方向に軸線を中心として螺旋状に回転し、その端面が略四辺形状である螺旋取付端27が形成されるとともに、該螺旋取付端27の根元部において径外方向に突出し、後述する塗布体13f内で周設する係合溝24と一体に係合する係合縁26が周設されている。
さらに、塗布体13fは、弾性により変形可能なように一体に成形されるものであって、断面略四辺形状の取付孔23の内周面において係合溝24を溝設する取付部13”fと、該取付部13”fの外周面において互いに対向するように配置された二組の塗布部13’fとからなるものである。
【0033】
そこで、本願発明の実施例6の液体化粧料塗布具12fは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14fの先端における固持軸14fの長軸方向に軸線を中心として螺旋状に回転する螺旋取付端27に対して、弾性により変形可能なように一体に成形された塗布体13fの取付孔23を挿嵌する。そのため、該塗布体13fの取付部13”fは固持軸14f先端における螺旋取付端27に合わせて螺旋状に回転しながら変形する。そして、該螺旋取付端27の根元部に形成された係合縁26と、塗布体13fをなす取付部13”fの取付孔23内において周設された係合溝24とを係合させることで、固持軸14fの螺旋取付端27の螺旋形状に合わせて変形した塗布体13fを固定することができる。その結果、塗布体13fの取付部13”fの外周面において互いに対向するように配置された二組の塗布部13’fを固持軸14fの螺旋取付端27に合わせて回転して螺旋状に変形させた塗布体13fを簡易且つ正確に固持させる液体化粧料塗布具13fとするものである(図10参照)。
【実施例7】
【0034】
図11において示すものは、キャップ8内に保持される本願発明の実施例7の液体化粧料塗布具12gであり、該液体化粧料塗布具12gは、実施例1乃至6の液体化粧料塗布具12a乃至12fと同様に固持軸14gと塗布体13gとから構成される点で共通するが、以下の点でその構成が相違する。即ち、一端においてキャップ8に保持される根元部15を形成する固持軸14gは、その他端内部において、固持軸14gの長軸方向の軸線に沿うように内部孔28が形成されている。該内部孔28では、その断面は後述する塗布体13gの取付部13”gの断面と同一形状であるとともに、かつ該内部孔28と固持軸14gの外周面とを連通させてなる開口28’を有するものであり、該固持軸14gの端面から長軸方向の軸線に沿ってその断面を右回転させながら孔状に形成してなるものである。ここで、該固持軸14gの内部孔28の断面は、開口28’を持って固持軸14gの外周面と連通しているので、固持軸14gの外周面には固持軸14gの長軸方向の軸線を中心として螺旋状に内部孔28に連通するスリット29が形成されるものである。
さらに、塗布体13gは、弾性により変形可能なように一体に成形されるものであって、前述の固持軸14gの内部に形成される内部孔28の断面形状と同一の断面形状である取付部13”gと、該取付部13”gの外周面において直列状に配置された塗布部13’gとからなるものである〔図11(ハ)参照〕。
【0035】
そこで、本願発明の実施例6の液体化粧料塗布具12gは以上の構成を具えるので、次のようにして製造されるものである。即ち、固持軸14gの端面から内部孔28に対して、弾性により変形可能なように一体に成形された塗布体13gの取付部13”gを、内部孔28の断面の開口28’に対して、該取付部13”gに配置された塗布部13’gを各々合致させて挿嵌をするものである。そして、該塗布体13gの取付部13”gを固持軸14gの内部孔28に対して挿嵌するにつれ、該内部孔28は、その断面を塗布体13gの取付部13”gと同一の断面形状とするものであって、しかもその断面を回転させるようにして形成するので、該取付部13”gは固持軸14gの長軸方向に軸線を中心として回転しながら挿入されていくものである。それと同時に、前記取付部13”gの外周面に配置される塗布部13’gは固持軸14gの外周面に形成されるスリット29に沿って挿入されていくものとなる。その結果、塗布体13gの取付部13”gの外周面に直列状に配置される塗布部13’gが固持軸14gにおいて螺旋状に配置される塗布部13’gとなる塗布体13を簡易且つ正確に固持させる液体化粧料塗布具13gとするものである(図11参照)。
【0036】
なお、本願発明において、固持軸14a〜gに対して塗布体13a〜gを固持させるにあたっては、上述の実施例1乃至実施例7におけるように、取付部13”aに突設された係止突縁13”’と保持部14’内に凹設された係止凹縁14”との嵌合(実施例1、2、3)、塗布体13dの取付部13’dに沿って配設される係止突縁22と保持孔20内の係止溝21との係止(実施例4)、取付端25(27)の根元部に形成された係合縁26と取付部13”e(13”f)の取付孔23内において周設された係合溝24との係合(実施例5、6)、更には固持軸14g内に形成される内部孔28内に塗布体13gの取付部13’gを挿嵌してなるもの(実施例7)だけではなく、固持軸14a〜14g及び塗布体13a〜13gの材質や変形状態から接着、溶着、カシメ又はそれらに併用等を適宜選択して用いるものである。その結果、塗布体13a〜13gを固持軸14a〜14gに対して確実に固定することができるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
先端が変形した固持軸に塗布体を簡易且つ正確に固持させることができるので、マスカラのみならず他の液体化粧料塗布容器に具えられる液体化粧料塗布具にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 液体化粧料塗布容器
2 塗布容器本体
3 マスカラ等の液体化粧料
4 開口部
5 雄ネジ部
6 シゴキ
7 孔部
8 キャップ
9 開口部
10 雌ネジ部
11 パッキン
12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g
液体化粧料塗布具
13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g 塗布体
13’a、13’b、13’c、13’d、13’e、13’f、13’g
塗布部
13”a、13”b、13”c、13”d、13”e、13”f、13”g
取付部
13”’ 係止突縁
14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g 固持軸
14’ 保持部
14” 係止凹縁
15 根元部
16 (鋸歯状の)塗布部
17 凹溝部
18 脚部
19 面
20 保持孔
21 係止溝
22 係止突縁
23 取付孔
24 係合溝
25 取付端
26 係合縁
27 螺旋取付端
28 内部孔
28’ 開口
29 スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、塗布体とから構成され、
該軸体は、一端ではキャップに内装、固持される根元部を形成し、他端では軸体の軸線方向又は軸線を中心とする回転方向に対して変形した変形部を形成するとともに、該変形部に塗布体の保持部を形成し、
該塗布体は、変形可能であって、塗布部と取付部とを一体に形成するものであって、
該塗布体を、保持部における軸体の変形に合わせて変形させるとともに、保持部に固持する
ことを特徴とする液体化粧料塗布具。
【請求項2】
上記塗布体において、塗布体の変形方向側又は変形方向の反対側に保持部の変形に対応する凹溝部を配設する
ことを特徴とする請求項1記載の液体化粧料塗布具。
【請求項3】
塗布体を軸体の保持部に固持する際に、一方の凹部に対して他方の凸部を係止嵌合させるだけではなく、一方と他方とを互いに接着、溶着、カシメ、又はそれらの併用する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の液体化粧料塗布具。
【請求項1】
軸体と、塗布体とから構成され、
該軸体は、一端ではキャップに内装、固持される根元部を形成し、他端では軸体の軸線方向又は軸線を中心とする回転方向に対して変形した変形部を形成するとともに、該変形部に塗布体の保持部を形成し、
該塗布体は、変形可能であって、塗布部と取付部とを一体に形成するものであって、
該塗布体を、保持部における軸体の変形に合わせて変形させるとともに、保持部に固持する
ことを特徴とする液体化粧料塗布具。
【請求項2】
上記塗布体において、塗布体の変形方向側又は変形方向の反対側に保持部の変形に対応する凹溝部を配設する
ことを特徴とする請求項1記載の液体化粧料塗布具。
【請求項3】
塗布体を軸体の保持部に固持する際に、一方の凹部に対して他方の凸部を係止嵌合させるだけではなく、一方と他方とを互いに接着、溶着、カシメ、又はそれらの併用する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の液体化粧料塗布具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−125465(P2011−125465A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285819(P2009−285819)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
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