液体吐出器
【課題】外周上下縁部を容器体A内周に摺動可能に嵌合させた筒状の摺動部30の内周上部に底板31の周縁部を連結した可動底壁Cを、吐出機構Bによる収容液の吐出に伴う容器体A内の負圧化により上昇させる液体吐出器であって、衝撃による可動底壁の変形を防止して、液の漏出や空気の侵入を防止する液体吐出器を提案する。
【解決手段】衝撃による可動底壁Cの変形を防止する耐衝撃性部材Dを可動底壁に装着した。例えば、可動底壁の裏側に嵌着し、摺動部内周に嵌合させた固定筒45を備えた耐衝撃性部材や、可動底壁の裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えた耐衝撃性部材や、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着した耐衝撃性部材を設けている。
【解決手段】衝撃による可動底壁Cの変形を防止する耐衝撃性部材Dを可動底壁に装着した。例えば、可動底壁の裏側に嵌着し、摺動部内周に嵌合させた固定筒45を備えた耐衝撃性部材や、可動底壁の裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えた耐衝撃性部材や、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着した耐衝撃性部材を設けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出器として、周縁部の摺動部を容器体内周に摺動上昇可能に嵌合させた可動底壁を備えたものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記従来の液体吐出器は、吐出機構により容器体内の収容液を吐出した際に容器体内が負圧化し、それに伴って可動底壁が上昇する如く構成している。従って、容器体内には常時液のみが収容され、液の吐出により空気が容器体内に浸入することはなく、常時液と空気の分離を図れる機構を備えたものである。
【0004】
従来の液体吐出器の可動底壁は、上下縁外周を摺動可能に容器体内周に嵌合させた筒状の摺動部を備えており、摺動部の内周縁に底板の周縁部を一体に連結して構成している。この様な可動底壁は、例えば、容器の落下等による衝撃を受けた際に可動底壁が変形する等して、液が摺動部下方へ漏出したり、可動底壁上方の容器体内に空気が浸入する等の不都合を生じる場合がある。
【0005】
この様な不都合を解消する上で、摺動部の縦幅を大きく採るということが行われている。これにより上記した不都合を極力回避することができるものの、反面容器体内の容量が減少するという問題が生じる。或いは容量の変更がなければ容器体を大きくしなければならないという不都合が生じる。
【特許文献1】特開2004−001817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、容器落下等による衝撃があっても可動底壁の変形を極力防止でき、その結果、液の可動底壁下方への漏出や容器体内への空気の浸入等の不都合を防止でき、しかも、可動底壁の摺動部の縦幅を極力小さくしてもこの様な効果を発揮できる液体吐出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、外周上下縁部を容器体A内周に摺動可能に嵌合させた筒状の摺動部30の内周上部に底板31の周縁部を連結した可動底壁Cを、吐出機構Bによる収容液の吐出に伴う容器体A内の負圧化により上昇させる液体吐出器であって、衝撃による可動底壁Cの変形を防止する耐衝撃性部材Dを可動底壁Cに装着したことを特徴とする液体吐出器として構成した。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏側に嵌着するとともに、摺動部30内周に嵌合させた固定筒45を備えている。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の中央部上面より起立し、基板40上面周縁部に固定筒45を起立してなる。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えている。
【0011】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第4の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の上面中央より起立するとともに、摺動部30下面に上面を当接支持した支持筒46を基板40の周縁部より起立し、支持筒46を上記支持部として構成した。
【0012】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第5の手段に於いて、支持筒46外面に漏洩検査用の凹溝47を縦設した。
【0013】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、容器体A内周面に周縁部を摺動せずに近接させた基板40を、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着してなる。
【0014】
第8の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第7の手段に於いて、基板40が、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に所定幅の上下動が可能に嵌合させた可動筒61を上面中央より起立し、外周縁に周方向複数突設した突部60の外面を、容器体A内周面に摺動せずに近接させ、且つ、下面に通気用孔50付き底筒62を垂設してなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では衝撃による可動底壁Cの変形を防止する耐衝撃性部材Dを可動底壁Cに装着しているため、衝撃により可動底壁Cが変形することを極力防止でき、その結果、収容液が可動底壁C下方へ漏出したり、或いは、空気が浸入する等の不都合をより確実に防止できる。しかも、この様な効果を可動底壁Cの摺動部30の縦幅を小さくしても充分発揮できる。
【0016】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏側に嵌着するとともに、摺動部30内周に嵌合させた固定筒45を備えている場合には、構造が極めて簡単で摺動部30の縦幅の狭い可動底壁Cを用意すれば簡単に従来品に適用できる利点がある。また、可動底壁C及び耐衝撃性部材Dにより容器体内の縦幅をとらなくて済むため、容器体の大きさを不必要に大きくするという不都合を解消できる。
【0017】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の中央部上面より起立し、基板40上面周縁部に固定筒45を起立してなる場合には、可動底壁Cに対して耐衝撃性部材Dの組み付けが行い易く、また、一旦装着した耐衝撃性部材Dが外れにくい等の利点がある。
【0018】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えている場合には、安定した摺動部30の支持を行えて、可動底壁Cの変形を防止できる。
【0019】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の上面中央より起立するとともに、摺動部30下面に上面を当接支持した支持筒46を基板40の周縁部より起立し、支持筒46を上記支持部として構成した場合には、可動底壁Cに対して耐衝撃性部材Dの組み付けが容易に行える利点があり、また、支持筒46により可動底壁Cの摺動部30を短くしても従来品の如き長い摺動部と同様の耐衝撃性を得られ、しかも支持筒46と比較して充分小さい幅でも同様の耐衝撃性を得られる。
【0020】
支持筒46外面に漏洩検査用の凹溝47を縦設した場合には、漏洩検査をより正確に行える利点がある。
【0021】
耐衝撃性部材Dが、容器体A内周面に周縁部を摺動せずに近接させた基板40を、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着してなる場合には、同様に衝撃により可動底壁Cが変形することを極力防止でき、その結果、収容液が可動底壁C下方へ漏出したり、或いは、空気が浸入する等の不都合をより確実に防止できる。しかも、この様な効果を可動底壁Cの摺動部30の縦幅を小さくしても充分発揮できる。従ってこの場合も容器体の大きさを不必要に大きくするという不都合を解消できる。
【0022】
基板40が、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に所定幅の上下動が可能に嵌合させた可動筒61を上面中央より起立し、外周縁に周方向複数突設した突部60の外面を、容器体A内周面に摺動せずに近接させ、且つ、下面に通気用孔50付き底筒62を垂設してなる場合には、漏洩検査を正確に行える利点を兼ね備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1乃至図4は本発明の液体吐出器の一例を示し、液体吐出器1は、容器体Aと、容器体A上端に装着した吐出機構Bと、容器体A内に装着した可動底壁C及び耐衝撃性部材Dと、キャップEとを備えている。
【0025】
容器体Aは、底壁10の周縁より周壁11を立設し、別に形成した頂壁12を嵌着して構成しており、頂壁12の中央部には吸引口13を開口している。また、底壁10には通気用の透孔14を穿設しており、周壁11の内周下端部には漏洩検査用の凹溝15を周設している。
【0026】
吐出機構Bは、容器体A上に装着して容器体A内の液を外部へ吐出するための機構であり、この様な作用をは果たすものであれば、図示例のものに限らず、公知の機構を採用できる。本例では、容器体Aの吸引口13と連通する吸込み弁(図示せず)付きシリンダ(図示せず)を備え、シリンダ内を摺動するピストン(図示せず)とピストンロッド(図示せず)を介して連結した押下げヘッド20をコイルスプリング(図示せず)により常時上方に付勢し、また、ピストンロッドには吐出弁(図示せず)を設け、押下げヘッド20の先端中央にピストンロッド内と連通する吐出口21を開口している。そして、押下げヘッド20の押し下げによりシリンダ内の液が加圧されて吐出弁を開き、ピストンロッドから吐出口21を介して外部へ吐出され、また、押下げヘッド20の押圧を解除すれば、上方付勢力でピストンが上昇するとともに、負圧化したシリンダ内に吸込み弁を開いて容器体A内の液が吸引される如く構成している。
【0027】
可動底壁Cは、気密性,液密性を得る目的で比較的柔軟性のある材質で構成され、例えば、シリコーンゴム等のエラストマーが好ましく使用できる。可動底壁Cは、外周上下縁部を容器体A内周に摺動可能に嵌合させた筒状の摺動部30を備え、摺動部30の内周上部に外周縁を一体に連結した底板31を備えている。図示例に於ける摺動部30は筒状基部30a の下部にスカート状部30b を、上部に肉薄の逆スカート状部30c を備え、各スカート状部30b 及び逆スカート状部の先端部外面をそれぞれ下部摺動面f1及び上部摺動面f2として容器体A内面に摺動可能に圧接している。底板31は、筒状基部30a の上面内側に周縁部を連結し、中央に向かって傾斜上昇し、中央部を円筒状に上方へ隆起させた隆起部31a に形成している。また、隆起部31a の外縁下面から下方へ係止筒32を垂設し、係止筒32の外周下端部に係止突条33を周設している。摺動部30の縦幅は従来のこの種の摺動部の縦幅の約半分程度の短い縦幅として構成している。
【0028】
耐衝撃性部材Dは、衝撃による可動底壁Cの変形を防止するためのもので、剛性を備えた材質で形成され、例えば、合成樹脂の中からその材質選択或いは密度調整等の手段により剛性を備えた材質を選択して使用することができるが、アルミ,鉄,その他等の金属を使用することも可能である。
【0029】
本例の耐衝撃性部材Dは、可動底壁Cの裏側に嵌着するとともに、摺動部30内周に嵌合させた固定筒45を備えている。耐衝撃性部材Dは、円板状の基板40の中央に通気孔41を穿設し、通気孔41周縁の基板40上面からは係止筒32外周に嵌合させる嵌合筒42を立設し、その内周基部に係合突条43を突設している。また、基板40の上面周縁部からは、対向位置に一対の通気用の切溝44を縦設した固定筒45を立設している。そして、係止筒32の外周に嵌合筒42を嵌合させるとともに、摺動部30の内周に固定筒45を嵌合させて、可動底壁C下面に耐衝撃性部材Dを嵌着している。その際、係止突条33上面に係合突条43が乗り越え係合して抜け出しの防止を図っている。また、基板40の下面が摺動部30の下面と等しいか若干上方に位置する如くその大きさを調整している。
【0030】
尚、耐衝撃性部材Dとして、固定筒45を摺動部30内周に嵌合させたのみの構成も可能であり、また、固定筒45の可動底壁Cへの装着をより確実にするための手段として、上記した基板40及び嵌合筒42の構成以外のものを採用しても良い。
【0031】
上記の如く構成した液体吐出器1を使用する場合には、例えば、図1の状態からキャップEを外し、押下げヘッド20を押し下げることで内蔵吐出機構の作用で吐出口21より液を吐出し、また、押下げヘッド20の上昇時に吸引口13より容器体A内の液を吸引する。それに伴って容器体A内が負圧化し、可動底壁C及び耐衝撃性部材Dが吐出液の量に起因する所定幅だけ上昇する。
【0032】
尚、本例の場合には、漏洩検査用の凹溝15を利用して漏洩検査を正確に行える如く構成している。漏洩検査としては、例えば、容器体Aに耐衝撃性部材Dを付けた可動底壁Cを嵌着し、吸引口13から空気等の検査気体を圧入し、漏洩があれば底壁10の透孔14より漏洩気体が排出されるため、それを検知することで漏洩の有無を検査できる。可動底壁Cの摺動部30と容器体A内周との間から気体が漏れた際に、漏洩検査用の凹溝15がないと漏洩した気体が透孔14から漏出するのを妨害して検査の正確性が阻まれることとなる。
【0033】
図5乃至図8は他の例を示し、図1の例に於いて、別形態の耐衝撃性部材Dを設けた例を示す。本例に於ける耐衝撃性部材Dは、可動底壁Cの裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えた例であり、環状支持部として支持筒46を採用している。図示例では、中央部を円筒状に隆起させて隆起部40a に形成した基板40を備え、隆起部40a の上面縁部より嵌合筒42を起立し、基板40の上面周縁部より隆起部40a の下面レベルまでの支持筒46を起立している。支持筒46の対向位置外面には一対の漏洩検査用の凹溝47を縦設している。また、基板40の下面中央部より下方に内底筒48を、周縁部に外底筒49をそれぞれ垂設し、各内外底筒にはそれぞれ通気用孔50を穿設している。その他の構成は図1に示す例と同様であるため、同符号を付して説明を省略する。
【0034】
上記の如く構成した液体吐出器1を使用する場合には、図1の例と同様の方法で行える。尚、本例の場合には、耐衝撃性部材Dに漏洩検査用の凹溝47を設けて漏洩検査を正確に行える如く構成している。漏洩検査としては、例えば、容器体Aに耐衝撃性部材Dを付けた可動底壁Cを嵌着し、吸引口13から空気等の検査気体を圧入し、漏洩があれば底壁10の透孔14より漏洩気体が排出されるため、それを検知することで漏洩の有無を検査できる。可動底壁Cの摺動部30と容器体A内周との間から気体が漏れた際に、漏洩検査用の凹溝47がないと漏洩した気体が透孔14から漏出するのを妨害して検査の正確性が阻まれることとなる。
【0035】
図9乃至図12は更に他の例を示し、図1の例に於いて、更に別形態の耐衝撃性部材Dを設けた例を示す。本例に於ける耐衝撃性部材Dは、容器体A内周面に周縁部を摺動せずに近接させた基板40を、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着してなる形態を示す。
【0036】
本例に於ける可動底壁Cは、基本的に図1の可動底壁Cと同じ構造であるが、図1の例と比較して係止筒32が、その下面を摺動部30の下面と同レベルまで延長している点の相違がある。また、耐衝撃性部材Dは、基板40の外周縁に周方向等間隔に複数の突部60を突設しており、各突部60の外面がそれぞれ容器体Aの内周面と摺動しないがごく僅かな隙間を開けて突設している。また、基板40上面中央部に立設した可動筒61を係止筒32の外周に上下動可能に遊嵌しており、可動筒61の内周上端部には係合突条43を突設し、可動底壁Cに対して耐衝撃性部材Dが相対下降した際に、係合突条43が係止突条33と係合してそれ以上の相対下降を行わないように構成している。また、基板40下面には底筒62を突設しており、底筒62には通気用孔50を穿設している。その他の構成は図1の例と同様であるため、同符号を付して説明を省略する。
【0037】
上記の如く構成した液体吐出器1を使用する場合には、例えば、図9の状態からキャップEを外し、押下げヘッド20を押し下げることで内蔵ポンプ機構の作用で吐出口21より液を吐出し、また、押下げヘッド20の上昇時に吸引口13より容器体A内の液を吸引する。それに伴って容器体A内が負圧化し、可動底壁Cが液の減少に起因する所定幅だけ上昇する。可動底壁C及び耐衝撃性部材Dは当初図12(a)に示す如く、耐衝撃性部材Dの基板40上面が可動底壁Cの摺動部30下面に当接した状態であり、基板40の下面は底筒62を介して容器体底壁10と近接している。この状態から収容液の吐出により可動底壁Cが上昇するが、図12(b)に示す如く、可動底壁Cの係止突条33が耐衝撃性部材Dの係合突条43に当接するまでは耐衝撃性部材Dは動かず、両者が当接した後、耐衝撃性部材Dが可動底壁Cともども上昇する。従って、この後は可動底壁Cと耐衝撃性部材Dとは同じ間隔を保って上昇する。
【0038】
尚、本例の場合も、可動底壁Cの漏洩検査を正確に行える。漏洩検査としては、同様に、容器体Aに耐衝撃性部材Dを付けた可動底壁Cを嵌着し、吸引口13から空気等の検査気体を圧入し、漏洩があれば基板40の各突部60間より通気用孔50を介して透孔14より漏洩気体が排出されるため、それを検知することで漏洩の有無を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】液体吐出器の半断面図である。(実施例1)
【図2】耐衝撃性部材の平面図である。(実施例1)
【図3】耐衝撃性部材の底面図である。(実施例1)
【図4】液体吐出器の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図5】液体吐出器の半断面図である。(実施例2)
【図6】耐衝撃性部材の平面図である。(実施例2)
【図7】耐衝撃性部材の底面図である。(実施例2)
【図8】液体吐出器の要部拡大断面図である。(実施例2)
【図9】液体吐出器の半断面図である。(実施例3)
【図10】耐衝撃性部材の平面図である。(実施例3)
【図11】耐衝撃性部材の底面図である。(実施例3)
【図12】液体吐出器の要部拡大断面図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0040】
1…液体噴出器
A…容器体
10…底壁,11…周壁,12…頂壁,13…吸引口,14…通気用の窓孔,15…凹溝
B…吐出機構
20…押下げヘッド,21…吐出口
C…可動底壁
30…摺動部,30a …筒状基部,30b …スカート状部,30c …逆スカート状部,
f1…下部摺動面,f2…上部摺動面,31…底板,31a …隆起部,32…係止筒,
33…係止突条
D…耐衝撃性部材
40…基板,40a …隆起部,41…通気孔,42…嵌合筒,43…係合突条,
44…通気用の切溝,45…固定筒,46…支持筒,47…凹溝,48…内底筒,
49…外底筒,50…通気用孔,60…突部,61…可動筒,62…底筒
E…キャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出器として、周縁部の摺動部を容器体内周に摺動上昇可能に嵌合させた可動底壁を備えたものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記従来の液体吐出器は、吐出機構により容器体内の収容液を吐出した際に容器体内が負圧化し、それに伴って可動底壁が上昇する如く構成している。従って、容器体内には常時液のみが収容され、液の吐出により空気が容器体内に浸入することはなく、常時液と空気の分離を図れる機構を備えたものである。
【0004】
従来の液体吐出器の可動底壁は、上下縁外周を摺動可能に容器体内周に嵌合させた筒状の摺動部を備えており、摺動部の内周縁に底板の周縁部を一体に連結して構成している。この様な可動底壁は、例えば、容器の落下等による衝撃を受けた際に可動底壁が変形する等して、液が摺動部下方へ漏出したり、可動底壁上方の容器体内に空気が浸入する等の不都合を生じる場合がある。
【0005】
この様な不都合を解消する上で、摺動部の縦幅を大きく採るということが行われている。これにより上記した不都合を極力回避することができるものの、反面容器体内の容量が減少するという問題が生じる。或いは容量の変更がなければ容器体を大きくしなければならないという不都合が生じる。
【特許文献1】特開2004−001817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、容器落下等による衝撃があっても可動底壁の変形を極力防止でき、その結果、液の可動底壁下方への漏出や容器体内への空気の浸入等の不都合を防止でき、しかも、可動底壁の摺動部の縦幅を極力小さくしてもこの様な効果を発揮できる液体吐出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、外周上下縁部を容器体A内周に摺動可能に嵌合させた筒状の摺動部30の内周上部に底板31の周縁部を連結した可動底壁Cを、吐出機構Bによる収容液の吐出に伴う容器体A内の負圧化により上昇させる液体吐出器であって、衝撃による可動底壁Cの変形を防止する耐衝撃性部材Dを可動底壁Cに装着したことを特徴とする液体吐出器として構成した。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏側に嵌着するとともに、摺動部30内周に嵌合させた固定筒45を備えている。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の中央部上面より起立し、基板40上面周縁部に固定筒45を起立してなる。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えている。
【0011】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第4の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の上面中央より起立するとともに、摺動部30下面に上面を当接支持した支持筒46を基板40の周縁部より起立し、支持筒46を上記支持部として構成した。
【0012】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第5の手段に於いて、支持筒46外面に漏洩検査用の凹溝47を縦設した。
【0013】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、耐衝撃性部材Dが、容器体A内周面に周縁部を摺動せずに近接させた基板40を、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着してなる。
【0014】
第8の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第7の手段に於いて、基板40が、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に所定幅の上下動が可能に嵌合させた可動筒61を上面中央より起立し、外周縁に周方向複数突設した突部60の外面を、容器体A内周面に摺動せずに近接させ、且つ、下面に通気用孔50付き底筒62を垂設してなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では衝撃による可動底壁Cの変形を防止する耐衝撃性部材Dを可動底壁Cに装着しているため、衝撃により可動底壁Cが変形することを極力防止でき、その結果、収容液が可動底壁C下方へ漏出したり、或いは、空気が浸入する等の不都合をより確実に防止できる。しかも、この様な効果を可動底壁Cの摺動部30の縦幅を小さくしても充分発揮できる。
【0016】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏側に嵌着するとともに、摺動部30内周に嵌合させた固定筒45を備えている場合には、構造が極めて簡単で摺動部30の縦幅の狭い可動底壁Cを用意すれば簡単に従来品に適用できる利点がある。また、可動底壁C及び耐衝撃性部材Dにより容器体内の縦幅をとらなくて済むため、容器体の大きさを不必要に大きくするという不都合を解消できる。
【0017】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の中央部上面より起立し、基板40上面周縁部に固定筒45を起立してなる場合には、可動底壁Cに対して耐衝撃性部材Dの組み付けが行い易く、また、一旦装着した耐衝撃性部材Dが外れにくい等の利点がある。
【0018】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えている場合には、安定した摺動部30の支持を行えて、可動底壁Cの変形を防止できる。
【0019】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の上面中央より起立するとともに、摺動部30下面に上面を当接支持した支持筒46を基板40の周縁部より起立し、支持筒46を上記支持部として構成した場合には、可動底壁Cに対して耐衝撃性部材Dの組み付けが容易に行える利点があり、また、支持筒46により可動底壁Cの摺動部30を短くしても従来品の如き長い摺動部と同様の耐衝撃性を得られ、しかも支持筒46と比較して充分小さい幅でも同様の耐衝撃性を得られる。
【0020】
支持筒46外面に漏洩検査用の凹溝47を縦設した場合には、漏洩検査をより正確に行える利点がある。
【0021】
耐衝撃性部材Dが、容器体A内周面に周縁部を摺動せずに近接させた基板40を、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着してなる場合には、同様に衝撃により可動底壁Cが変形することを極力防止でき、その結果、収容液が可動底壁C下方へ漏出したり、或いは、空気が浸入する等の不都合をより確実に防止できる。しかも、この様な効果を可動底壁Cの摺動部30の縦幅を小さくしても充分発揮できる。従ってこの場合も容器体の大きさを不必要に大きくするという不都合を解消できる。
【0022】
基板40が、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に所定幅の上下動が可能に嵌合させた可動筒61を上面中央より起立し、外周縁に周方向複数突設した突部60の外面を、容器体A内周面に摺動せずに近接させ、且つ、下面に通気用孔50付き底筒62を垂設してなる場合には、漏洩検査を正確に行える利点を兼ね備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1乃至図4は本発明の液体吐出器の一例を示し、液体吐出器1は、容器体Aと、容器体A上端に装着した吐出機構Bと、容器体A内に装着した可動底壁C及び耐衝撃性部材Dと、キャップEとを備えている。
【0025】
容器体Aは、底壁10の周縁より周壁11を立設し、別に形成した頂壁12を嵌着して構成しており、頂壁12の中央部には吸引口13を開口している。また、底壁10には通気用の透孔14を穿設しており、周壁11の内周下端部には漏洩検査用の凹溝15を周設している。
【0026】
吐出機構Bは、容器体A上に装着して容器体A内の液を外部へ吐出するための機構であり、この様な作用をは果たすものであれば、図示例のものに限らず、公知の機構を採用できる。本例では、容器体Aの吸引口13と連通する吸込み弁(図示せず)付きシリンダ(図示せず)を備え、シリンダ内を摺動するピストン(図示せず)とピストンロッド(図示せず)を介して連結した押下げヘッド20をコイルスプリング(図示せず)により常時上方に付勢し、また、ピストンロッドには吐出弁(図示せず)を設け、押下げヘッド20の先端中央にピストンロッド内と連通する吐出口21を開口している。そして、押下げヘッド20の押し下げによりシリンダ内の液が加圧されて吐出弁を開き、ピストンロッドから吐出口21を介して外部へ吐出され、また、押下げヘッド20の押圧を解除すれば、上方付勢力でピストンが上昇するとともに、負圧化したシリンダ内に吸込み弁を開いて容器体A内の液が吸引される如く構成している。
【0027】
可動底壁Cは、気密性,液密性を得る目的で比較的柔軟性のある材質で構成され、例えば、シリコーンゴム等のエラストマーが好ましく使用できる。可動底壁Cは、外周上下縁部を容器体A内周に摺動可能に嵌合させた筒状の摺動部30を備え、摺動部30の内周上部に外周縁を一体に連結した底板31を備えている。図示例に於ける摺動部30は筒状基部30a の下部にスカート状部30b を、上部に肉薄の逆スカート状部30c を備え、各スカート状部30b 及び逆スカート状部の先端部外面をそれぞれ下部摺動面f1及び上部摺動面f2として容器体A内面に摺動可能に圧接している。底板31は、筒状基部30a の上面内側に周縁部を連結し、中央に向かって傾斜上昇し、中央部を円筒状に上方へ隆起させた隆起部31a に形成している。また、隆起部31a の外縁下面から下方へ係止筒32を垂設し、係止筒32の外周下端部に係止突条33を周設している。摺動部30の縦幅は従来のこの種の摺動部の縦幅の約半分程度の短い縦幅として構成している。
【0028】
耐衝撃性部材Dは、衝撃による可動底壁Cの変形を防止するためのもので、剛性を備えた材質で形成され、例えば、合成樹脂の中からその材質選択或いは密度調整等の手段により剛性を備えた材質を選択して使用することができるが、アルミ,鉄,その他等の金属を使用することも可能である。
【0029】
本例の耐衝撃性部材Dは、可動底壁Cの裏側に嵌着するとともに、摺動部30内周に嵌合させた固定筒45を備えている。耐衝撃性部材Dは、円板状の基板40の中央に通気孔41を穿設し、通気孔41周縁の基板40上面からは係止筒32外周に嵌合させる嵌合筒42を立設し、その内周基部に係合突条43を突設している。また、基板40の上面周縁部からは、対向位置に一対の通気用の切溝44を縦設した固定筒45を立設している。そして、係止筒32の外周に嵌合筒42を嵌合させるとともに、摺動部30の内周に固定筒45を嵌合させて、可動底壁C下面に耐衝撃性部材Dを嵌着している。その際、係止突条33上面に係合突条43が乗り越え係合して抜け出しの防止を図っている。また、基板40の下面が摺動部30の下面と等しいか若干上方に位置する如くその大きさを調整している。
【0030】
尚、耐衝撃性部材Dとして、固定筒45を摺動部30内周に嵌合させたのみの構成も可能であり、また、固定筒45の可動底壁Cへの装着をより確実にするための手段として、上記した基板40及び嵌合筒42の構成以外のものを採用しても良い。
【0031】
上記の如く構成した液体吐出器1を使用する場合には、例えば、図1の状態からキャップEを外し、押下げヘッド20を押し下げることで内蔵吐出機構の作用で吐出口21より液を吐出し、また、押下げヘッド20の上昇時に吸引口13より容器体A内の液を吸引する。それに伴って容器体A内が負圧化し、可動底壁C及び耐衝撃性部材Dが吐出液の量に起因する所定幅だけ上昇する。
【0032】
尚、本例の場合には、漏洩検査用の凹溝15を利用して漏洩検査を正確に行える如く構成している。漏洩検査としては、例えば、容器体Aに耐衝撃性部材Dを付けた可動底壁Cを嵌着し、吸引口13から空気等の検査気体を圧入し、漏洩があれば底壁10の透孔14より漏洩気体が排出されるため、それを検知することで漏洩の有無を検査できる。可動底壁Cの摺動部30と容器体A内周との間から気体が漏れた際に、漏洩検査用の凹溝15がないと漏洩した気体が透孔14から漏出するのを妨害して検査の正確性が阻まれることとなる。
【0033】
図5乃至図8は他の例を示し、図1の例に於いて、別形態の耐衝撃性部材Dを設けた例を示す。本例に於ける耐衝撃性部材Dは、可動底壁Cの裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えた例であり、環状支持部として支持筒46を採用している。図示例では、中央部を円筒状に隆起させて隆起部40a に形成した基板40を備え、隆起部40a の上面縁部より嵌合筒42を起立し、基板40の上面周縁部より隆起部40a の下面レベルまでの支持筒46を起立している。支持筒46の対向位置外面には一対の漏洩検査用の凹溝47を縦設している。また、基板40の下面中央部より下方に内底筒48を、周縁部に外底筒49をそれぞれ垂設し、各内外底筒にはそれぞれ通気用孔50を穿設している。その他の構成は図1に示す例と同様であるため、同符号を付して説明を省略する。
【0034】
上記の如く構成した液体吐出器1を使用する場合には、図1の例と同様の方法で行える。尚、本例の場合には、耐衝撃性部材Dに漏洩検査用の凹溝47を設けて漏洩検査を正確に行える如く構成している。漏洩検査としては、例えば、容器体Aに耐衝撃性部材Dを付けた可動底壁Cを嵌着し、吸引口13から空気等の検査気体を圧入し、漏洩があれば底壁10の透孔14より漏洩気体が排出されるため、それを検知することで漏洩の有無を検査できる。可動底壁Cの摺動部30と容器体A内周との間から気体が漏れた際に、漏洩検査用の凹溝47がないと漏洩した気体が透孔14から漏出するのを妨害して検査の正確性が阻まれることとなる。
【0035】
図9乃至図12は更に他の例を示し、図1の例に於いて、更に別形態の耐衝撃性部材Dを設けた例を示す。本例に於ける耐衝撃性部材Dは、容器体A内周面に周縁部を摺動せずに近接させた基板40を、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着してなる形態を示す。
【0036】
本例に於ける可動底壁Cは、基本的に図1の可動底壁Cと同じ構造であるが、図1の例と比較して係止筒32が、その下面を摺動部30の下面と同レベルまで延長している点の相違がある。また、耐衝撃性部材Dは、基板40の外周縁に周方向等間隔に複数の突部60を突設しており、各突部60の外面がそれぞれ容器体Aの内周面と摺動しないがごく僅かな隙間を開けて突設している。また、基板40上面中央部に立設した可動筒61を係止筒32の外周に上下動可能に遊嵌しており、可動筒61の内周上端部には係合突条43を突設し、可動底壁Cに対して耐衝撃性部材Dが相対下降した際に、係合突条43が係止突条33と係合してそれ以上の相対下降を行わないように構成している。また、基板40下面には底筒62を突設しており、底筒62には通気用孔50を穿設している。その他の構成は図1の例と同様であるため、同符号を付して説明を省略する。
【0037】
上記の如く構成した液体吐出器1を使用する場合には、例えば、図9の状態からキャップEを外し、押下げヘッド20を押し下げることで内蔵ポンプ機構の作用で吐出口21より液を吐出し、また、押下げヘッド20の上昇時に吸引口13より容器体A内の液を吸引する。それに伴って容器体A内が負圧化し、可動底壁Cが液の減少に起因する所定幅だけ上昇する。可動底壁C及び耐衝撃性部材Dは当初図12(a)に示す如く、耐衝撃性部材Dの基板40上面が可動底壁Cの摺動部30下面に当接した状態であり、基板40の下面は底筒62を介して容器体底壁10と近接している。この状態から収容液の吐出により可動底壁Cが上昇するが、図12(b)に示す如く、可動底壁Cの係止突条33が耐衝撃性部材Dの係合突条43に当接するまでは耐衝撃性部材Dは動かず、両者が当接した後、耐衝撃性部材Dが可動底壁Cともども上昇する。従って、この後は可動底壁Cと耐衝撃性部材Dとは同じ間隔を保って上昇する。
【0038】
尚、本例の場合も、可動底壁Cの漏洩検査を正確に行える。漏洩検査としては、同様に、容器体Aに耐衝撃性部材Dを付けた可動底壁Cを嵌着し、吸引口13から空気等の検査気体を圧入し、漏洩があれば基板40の各突部60間より通気用孔50を介して透孔14より漏洩気体が排出されるため、それを検知することで漏洩の有無を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】液体吐出器の半断面図である。(実施例1)
【図2】耐衝撃性部材の平面図である。(実施例1)
【図3】耐衝撃性部材の底面図である。(実施例1)
【図4】液体吐出器の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図5】液体吐出器の半断面図である。(実施例2)
【図6】耐衝撃性部材の平面図である。(実施例2)
【図7】耐衝撃性部材の底面図である。(実施例2)
【図8】液体吐出器の要部拡大断面図である。(実施例2)
【図9】液体吐出器の半断面図である。(実施例3)
【図10】耐衝撃性部材の平面図である。(実施例3)
【図11】耐衝撃性部材の底面図である。(実施例3)
【図12】液体吐出器の要部拡大断面図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0040】
1…液体噴出器
A…容器体
10…底壁,11…周壁,12…頂壁,13…吸引口,14…通気用の窓孔,15…凹溝
B…吐出機構
20…押下げヘッド,21…吐出口
C…可動底壁
30…摺動部,30a …筒状基部,30b …スカート状部,30c …逆スカート状部,
f1…下部摺動面,f2…上部摺動面,31…底板,31a …隆起部,32…係止筒,
33…係止突条
D…耐衝撃性部材
40…基板,40a …隆起部,41…通気孔,42…嵌合筒,43…係合突条,
44…通気用の切溝,45…固定筒,46…支持筒,47…凹溝,48…内底筒,
49…外底筒,50…通気用孔,60…突部,61…可動筒,62…底筒
E…キャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周上下縁部を容器体A内周に摺動可能に嵌合させた筒状の摺動部30の内周上部に底板31の周縁部を連結した可動底壁Cを、吐出機構Bによる収容液の吐出に伴う容器体A内の負圧化により上昇させる液体吐出器であって、衝撃による可動底壁Cの変形を防止する耐衝撃性部材Dを可動底壁Cに装着したことを特徴とする液体吐出器。
【請求項2】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏側に嵌着するとともに、摺動部30内周に嵌合させた固定筒45を備えている請求項1記載の液体吐出器。
【請求項3】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の中央部上面より起立し、基板40上面周縁部に固定筒45を起立してなる請求項2記載の液体吐出器。
【請求項4】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えている請求項1記載の液体吐出器。
【請求項5】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の上面中央より起立するとともに、摺動部30下面に上面を当接支持した支持筒46を基板40の周縁部より起立し、支持筒46を上記支持部として構成した請求項4記載の液体吐出器。
【請求項6】
支持筒46外面に漏洩検査用の凹溝47を縦設した請求項5記載の液体吐出器。
【請求項7】
耐衝撃性部材Dが、容器体A内周面に周縁部を摺動せずに近接させた基板40を、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着してなる請求項1記載の液体吐出器。
【請求項8】
基板40が、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に所定幅の上下動が可能に嵌合させた可動筒61を上面中央より起立し、外周縁に周方向複数突設した突部60の外面を、容器体A内周面に摺動せずに近接させ、且つ、下面に通気用孔50付き底筒62を垂設してなる請求項7記載の液体吐出器。
【請求項1】
外周上下縁部を容器体A内周に摺動可能に嵌合させた筒状の摺動部30の内周上部に底板31の周縁部を連結した可動底壁Cを、吐出機構Bによる収容液の吐出に伴う容器体A内の負圧化により上昇させる液体吐出器であって、衝撃による可動底壁Cの変形を防止する耐衝撃性部材Dを可動底壁Cに装着したことを特徴とする液体吐出器。
【請求項2】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏側に嵌着するとともに、摺動部30内周に嵌合させた固定筒45を備えている請求項1記載の液体吐出器。
【請求項3】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の中央部上面より起立し、基板40上面周縁部に固定筒45を起立してなる請求項2記載の液体吐出器。
【請求項4】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの裏面に嵌着した基板40の周縁部に、摺動部30底面を当接支持する環状支持部を備えている請求項1記載の液体吐出器。
【請求項5】
耐衝撃性部材Dが、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に嵌合した嵌合筒42を基板40の上面中央より起立するとともに、摺動部30下面に上面を当接支持した支持筒46を基板40の周縁部より起立し、支持筒46を上記支持部として構成した請求項4記載の液体吐出器。
【請求項6】
支持筒46外面に漏洩検査用の凹溝47を縦設した請求項5記載の液体吐出器。
【請求項7】
耐衝撃性部材Dが、容器体A内周面に周縁部を摺動せずに近接させた基板40を、摺動部30底面に基板40が当接する状態から、摺動部30底面と基板40上面とに隙間があく状態へ、可動底壁Cの上昇により可動底壁Cに対して相対下降が可能に装着してなる請求項1記載の液体吐出器。
【請求項8】
基板40が、可動底壁Cの底板31裏面中央に垂設した係止筒32に所定幅の上下動が可能に嵌合させた可動筒61を上面中央より起立し、外周縁に周方向複数突設した突部60の外面を、容器体A内周面に摺動せずに近接させ、且つ、下面に通気用孔50付き底筒62を垂設してなる請求項7記載の液体吐出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−105683(P2010−105683A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278491(P2008−278491)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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