説明

液体塗布具

【課題】布面に孔を有する塗布体であって、塗布時に液体化粧料等の塗布液を塗り広げるときに、被塗布面と塗布具との間の潤滑性に優れる液体塗布具を提供する。
【解決手段】液体塗布具は、繰出し機構16によってピストン体18を軸筒10内で先方に移動することによって、化粧料などの塗布液を塗布体14に圧送する装置構成を有しており、当該塗布液を塗布体14の吐出孔14a,14a…から吐出させて先端面(塗布面)14cに供給するものであって、その先端面14c形状を凸状球面とし、該塗布面に吐出孔14a,14a…を2箇所以上貫通形成し、少なくとも1つの吐出孔14aを前記尖端面14cの略中央に形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料を塗布する液体塗布具であって、特に液状口紅、液状ファンデーション、クリーム状化粧料の液体塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体化粧料等の塗布液を塗布する塗布具(液体塗布具)は、軸配設の収容部から軸先端に設けた柔軟な塗布体の吐出孔に塗布液を押し出しできるようにして、この塗布体を肌などの対象部に滑らせて対象部に塗り付け可能にしている。
【0003】
液体塗布具には、軸やキャップだけでなく、塗布部の吐出孔が様々な形状、例えば、ロゴや絵等で宣伝に繋げる技術が開示されている(例えば、特開2008−67959号公報(:特許文献1)、特開2008−154657号公報(:特許文献2)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−67959号公報
【特許文献2】特開2008−154657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の液体塗布具においては、吐出孔の前部の部分から同時に塗布用物質を押し出すことができ、見栄えが良好で、被塗布部が面のような場合にも塗布しやすい塗布用容器の提供を目的としているが、吐出部の絞り流路の延長線上に位置する絞り流路対向部分は無孔部となっており、これは塗布面の略中心部に吐出孔が無いことと同義のものである。
【0006】
この場合、唇に塗布する、口紅化粧料の場合、最初に塗布面と唇が接触する部分は、使用者が特に意識しない場合、すなわち、通常の使用では塗布面の略中央部が唇と接触することになる。また、塗布面が凸状に形成されている場合、略中央部が最も、接触圧が高くなる。
【0007】
その場合、略中央部には、化粧料がなく、特に、液状口紅等のように、広い面積に塗布する場合、液量不足により、最初に、塗布した化粧料がなく、特に液体口紅等のように広い面積に塗布する場合、液量不足により、最初に塗布した化粧料を、塗布具を前後左右に動かして塗り広げる際、再度、塗布面に掻き取ってしまう不具合がある。
【0008】
さらに、孔が1つの場合、液量不足になる場合がある。この場合も、特に液状口紅等のように、広い面積に塗布する場合、液量不足により、最初に塗布した化粧料を塗布具によって前後左右に塗り広げる際に、再度、塗布面に掻き取ってしまう不具合がある。
【0009】
また、特許文献2の液体塗布具においては、容器本体から塗布軸が直接取り付けられているが、使用時における塗布軸の動きによって塗布軸が取り外れる虞がある。
【0010】
本発明は、上記の実情に鑑み、塗布面に孔を有する塗布体であって、塗布時に液体化粧料等の塗布液を塗り広げるときに、被塗布面と塗布具との間の潤滑性に優れる液体塗布具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、塗布液を圧送する装置を備え、当該塗布液を塗布体の吐出孔から吐出させて塗布面に供給する塗布具において、
塗布体の先端部の塗布面形状を平面または凸状球面とし、
該塗布面に吐出孔を2箇所以上貫通形成し、
少なくとも1つの吐出孔を前記塗布面の略中央に形成したことを特徴とする液体塗布具である。
【0012】
本発明は、塗布液を圧送する装置を備え、塗布体の吐出孔から圧送された塗布液を吐出させて塗布面に供給する塗布具において、
塗布体の先端部の塗布面形状を平面または凸状球面とし、
該塗布面に吐出孔を2箇所以上貫通形成すると共に該塗布面の表面に有底の溝を形成し、
貫通形成された吐出孔のうちの少なくとも1つの吐出孔を前記塗布面の略中央に形成し、かつ、その1つの吐出孔を他の吐出孔と前記有底の溝によって連結したことを特徴とする液体塗布具である。
【0013】
また、本発明においては、塗布面を見て、前記吐出孔の少なくとも1つが、三角形等の多角形形状の孔に形成され、かつ、有底の溝が該多角形形状の溝に形成されており、
前記少なくとも1つの吐出孔が他の吐出孔に該有底の溝で連結されていることが好適である。
【0014】
また、本発明においては、塗布面を見て、前記吐出孔の少なくとも1つの孔が、縁部に曲線を有する孔に形成され、かつ、有底の溝が吐出孔と相似形状の溝に形成されており、
前記少なくとも1つの吐出孔が他の吐出孔に該有底の溝で連結されていることが好適である。
【0015】
また、本発明においては、少なくとも有底状の溝が、塗布面を見て、圧送された塗布液を塗布面に吐出する吐出孔の外側に少なくとも配置されていることが好適である。
【0016】
また、本発明においては、塗布体が、JIS K6253に規定されるデュロメータ硬度Aで60〜90であることが好適である。
【0017】
また、本発明においては、塗布体が、シリコーンゴムで構成されたものであることが好適である。
【0018】
また、本発明においては、塗布体が、LIM成型で形成されたものであること好適である。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明において、塗布体の先端部の塗布面形状を平面または凸状球面とし、該塗布面に吐出孔を2箇所以上貫通形成し、少なくとも1つの吐出孔を前記塗布面の略中央に形成したことによって、塗布液を被化粧面に塗り広げるときに、被化粧面等の被塗布面と塗布体の間の潤滑性に優れるため、化粧料等塗布液の塗りでムラになりにくく、中心部を塞ぐことにより過剰な塗布液の吐出を防ぎ滑らかな吐出を得ることができる。
【0020】
しかも、少なくとも1つの吐出孔を前記塗布面の略中央に化粧料などの塗布液の吐出孔が存在することにより、確実に化粧料等塗布液が塗布面の中央部に吐出される。よって、化粧料の塗布に使用した場合に、広い面積に化粧料を塗り広げるとき、使用者が特に意識しない場合、すなわち、通常の使用の場合では、塗布面の略中央部分が唇と接触することになる。また、塗布面が凸状に形成されている場合、略中央部の接触圧が最も高くなっても、略中央部に化粧料が存在し、また、孔の中に化粧料が存在しているので、塗布具を前後左右に塗り広げる際に、再度塗布面で化粧料を掻き取ってしまう不具合が解消される。
【0021】
また、本発明において、少なくとも有底状の溝が、塗布面を見て、圧送された塗布液を塗布面に吐出する吐出孔の外側に少なくとも配置されていることによって、塗布面前面に有底状の溝内に化粧料が残存し、さらに塗り広げるときに被化粧面と塗布具との間の潤滑性に優れるため、化粧料の塗りムラが生じにくい。
【0022】
また、本発明においては、吐出孔および有底の溝によって塗布面に趣向を凝らした形状加工が可能であるため、意匠性に優れる塗布体の塗布面を提供できる。
【0023】
また、本発明において、吐出孔として、三角形や矩形状等の多角形形状または縁部に曲線を有する概略曲線状の細長い孔を少なくとも複数持つことで、化粧料等塗布液を吐出する際に、スムーズな吐出が可能である。
【0024】
また、塗布体の構成を、仮に、吐出孔が連続して閉じた形で連結されたものにすると、その内側の塗布面を保持するため、複雑な装置になるが、本発明のように、塗布体の塗布面に吐出孔を2箇所以上貫通形成し、少なくとも1つの吐出孔を前記塗布面の略中央に形成し、その1つの吐出孔を他の吐出孔と前記有底の溝によって連結した構成にすることにより、簡単な構造で、塗布液の対象面への塗り広げを適切に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る液体塗布具の第1の実施形態の説明図であって該液体塗布具の全体説明断面図を示す。
【図2】第1の実施形態に係る塗布体に継手及び先軸を組立てた(部組した)説明図である。
【図3】第1の実施形態に係る塗布体の説明図であって、(a)は斜視図、(b)は先方からの視図、(c)は側面からの視図、(d)は縦断面図、(e)は他の側面からの視図、(f)は後方からの斜視図、(g)は後方からの視図である。
【図4】(a)、(b)は第1の実施形態に係る継手の側面図、断面図である。
【図5】(a)、(b)は第1の実施形態に係る先軸の側面図、断面図を示す。
【図6】本発明に係る液体塗布具の第2の実施形態の説明図であって該液体塗布具の全体説明断面図を示す。
【図7】第2の実施形態に係る塗布体に継手及び先軸を組立てた(部組した)部品図である。
【図8】本発明に係る液体塗布具の第2の実施形態にかかる塗布体の説明図であって、(a)は斜視図、(b)は先方からの視図、(c)は側面からの視図、(d)は縦断面図、(e)は他の側面からの視図、(f)は後方からの斜視図、(g)は後方からの視図である。
【図9】(a)、(b)は第2の実施形態に係る継手の側面図、断面図である。
【図10】本発明に係る液体塗布具の第3の実施形態にかかる塗布体の説明図であって、(a)は斜視図、(b)は先方からの視図、(c)は側面からの視図、(d)は縦断面図、(e)は他の側面からの視図、(f)は後方からの斜視図、(g)は後方からの視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1〜図5は本発明に係る液体塗布具の第1の実施形態の説明図である。図1は液体塗布具の全体説明断面図を示し、図2は塗布体に継手及び先軸を組立てた(部組した)説明図、図3は塗布体の説明であって、(a)は斜視図、(b)は先方からの視図、(c)は側面からの視図、(d)は縦断面図、(e)は他の側面からの視図、(f)は後方からの斜視図、(g)は後方からの視図、図4(a)、(b)は継手の側面図、断面図、図5(a)、(b)は先軸の側面図、断面図を示す。
【0028】
第1の実施形態に係る液体塗布具は、図1に示すように、概略筒状の軸筒10内部に配設した収容部10b内に化粧料等の塗布液12を収容し、使用者の肌等の対象部位に接しさせて塗布する塗布体14を軸筒10の軸筒先端部10aに固定し、軸筒10の後部に設けた繰出し機構16によって軸筒10の収容部10b内に収容した化粧料を塗布体14の吐出孔14a,14a…から吐出する液体化粧料塗布具1である。
【0029】
そして、この液体化粧料塗布具1においては、軸本体の収容部10b内に流動性のある化粧料等の塗布液12は、実施形態で、25℃でずり速度5sec−1における粘度が0.3Pa・sec〜50Pa・secの範囲にある。
【0030】
前記繰出し機構16は、前記軸筒10内部の収容部10bに向けて前進・後退して収容空間内の容積を減少・増大させるピストン体18と、該ピストン体18の後部に軸状部材(「ねじ棒」とも称する)20の前部を係合して、この軸状部材20を使用者の操作力によって前後動させて前記ピストン体18を前進・後退動作させる駆動機構(回転操作部材22、軸状部材20、固定筒状体24、内筒材26等からなる)とを有している。
【0031】
詳細には、図1に示すように、液体化粧料塗布具1は主要部材として外筒である軸筒10、先軸28、継手30、塗布液12、繰出し機構16、及びキャップ10cを有してなる。
【0032】
〔軸筒10〕
軸筒10は、概略中空筒状を呈し、その軸筒先端部10aが先細に形成され、その軸筒先端部10aの外径寸法がキャップ10cの内径寸法とほぼ同一に形成されている。その軸筒先端部10aに着脱可能にキャップ10cが嵌合される。装着時に設定した軸筒先端部10a及びキャップ10cの互いの対向部分には、リブ状の凹凸部が形成され、それら同士によって凹凸嵌合するようにして、軸筒先端部10aに対してキャップ10cが不意の力で外れないようになっている。
【0033】
軸筒10の軸筒先端部10aの開口から内部には、先軸28及び継手30が塗布体14の後端部(塗布体後端部)14bを介在して(軸筒10の軸筒先端部10a内周面に嵌着した先軸28内周面と継手30外周面によって塗布体14の塗布体後端部14b及び塗布体内周面の凹凸係合部14dを挟み付けて固定して)液密に嵌着される。また、軸筒10の後端には繰出し機構16が配されている。
【0034】
そして、この繰出し機構16のピストン体(ガスケット)18は、軸筒10の後端開口から挿入して、本体中央部の内壁に密着して摺動可能に設けられている。
【0035】
したがって、軸筒10内と、先軸28及び継手30の後端部と、ピストン体18とに囲まれる空間部分は、塗布液12の収容部10bとして形成されている。
〔繰出し機構16〕
図1に示すように、第1の実施形態に係る液体化粧料塗布具1においては、軸筒10の後端には一体になった繰出し機構16が配されており、繰出し機構16は、使用者の操作入力によってその構成要素のピストン体18を軸筒10中央部の内壁に密着して液密に摺動し、これによって、前記収容部10bの容積を減少・増大して塗布液12を加圧・減圧する。
【0036】
繰出し機構16は、主要部材として回転操作部材22、軸状部材20、この軸状部材20を出没させる固定筒状体24(これらは駆動機構に相当する)、及び上述のピストン体18を有してなる。
【0037】
そして、回転操作部材22は互いに回転不能に接合させた外筒キャップ32と内筒材26とからなり、回転操作部材22全体は軸筒10に回転可能に設けられる。この回転操作部材22に軸状部材20は軸方向摺動可能でかつ回転方向に固定されている。
【0038】
〔固定筒状体24〕
固定筒状体24は環状部材からなり、軸筒10に回転及び進退動不能に取り付けられている。固定筒状体24の内周部に雌ネジが形成されていて、軸状部材20の外周の雄ネジが螺合するようになっている。回転操作部材22を回転させることによって、軸状部材が回転し、固定筒状体24の雌ネジに螺合する軸状部材20の雄ネジによって軸状部材20が繰出されるのでピストン体18が前進・後退する。
【0039】
また、固定筒状体24及び回転操作部材22(内筒材26先方外周面)同士の噛み合わせ部34はラチェットが形成されている。回転操作部材22は、固定筒状体24(それの固定された軸筒10)に対して両方向に回転可能になっており、液体化粧料を吐出する一方向へ回転させたときには、ラチェットによる手指にクリック感を生じさせつつ吐出させ、他方向へ回転させたときには、設定された回転力以上の入力をしたときに回転するように回転規制されている。つまり、その他方向に一定以上の回転力が加わった時に、その規制を解除して回転可能にするトルクリミッタ機能を付与できる。
【0040】
また、上記の回転操作部材22の他方向への回転等によって繰出し機構16がピストン体18を後退させて軸筒10の収容部10b内部の塗布液12を減圧する機能を有しており、これによって、繰出し機構16が塗布液12に対する加圧を停止した以後に、塗布液12を前記繰出し機構16によって減圧でき、塗布体14の液連通孔36及び継手30の塗布液流通孔30a内に液体化粧料を戻すことができる。その他、繰出し機構16において、上記回転操作部材22の噛み合わせ部34が他方向への回転規制を回転停止させるものにして、液体化粧料の戻しをしないようにすることもできる。
【0041】
〔回転操作部材22、内筒材26〕
回転操作部材22は、互いに通常は相対回転不能で一定以上の回転力によって相対回転するように接合させた外筒キャップ32と内筒材(「繰り出し体」とも称する)26とからなり、回転操作部材22全体は軸筒10の後部内に内筒材26を挿入して回転可能に設けられる。
【0042】
〔塗布体14〕
図1に示すように、液体塗布具は、繰出し機構16によってピストン体18を軸筒10内で先方に移動することによって、化粧料などの塗布液を塗布体14に圧送する装置構成を有しており、当該塗布液を塗布体14の吐出孔14a,14a…から吐出させて先端面(塗布面に相当)14cに供給するものである。
【0043】
前記塗布体14は、その先端部の先端面14c形状を凸状球面としている。なお、本発明においては、先端面14cが平面であってもよい。なお、先端面14cの厚さは0.5mm〜1.5mmとするのが望ましい。
【0044】
該塗布面に吐出孔14a,14a…を2箇所以上貫通形成している。図3の場合、尖端面から見て三角形形状の吐出孔が6箇所貫通形成されている。
そして、前記少なくとも1つの吐出孔14a,14a…を前記先端面14cの略中央(軸心部付近)に形成したものである。ここでいう略中央は、先端面14cから見た図3の(b)に示すように、厳密な中心位置でなく、中心位置からは少しずれた位置(直径のほぼ1/2〜1/4以内の位置)を含む趣旨である。
【0045】
塗布体14は先方から先端面14cを見て、前記複数の吐出孔14a,14a…がいずれも、三角形等の多角形形状の孔に形成されていて、環状に配列されているものである。
【0046】
なお、本発明はこれに限定されず、複数の吐出孔14a,14a…は、少なくとも1つが多角形形状に形成されていることが好ましい。また、複数の吐出孔14a,14a…は、少なくとも1つが円形、楕円形、曲線等の縁部に曲線を有する孔に形成することが好ましい。つまり、一部の吐出孔が丸っぽい孔で、他の吐出孔が角張ったりして1つまたは複数の吐出孔で各種の模様を型取った形状に形成できる。
【0047】
また、前記塗布体14は、先端に前記吐出孔14a,14a…が開口しており、かつ、塗布体後端部14bにその吐出孔14a,14a…に連通する連通孔36が開放した柔軟弾性体からなる概略筒状体であって、前記塗布体14の塗布体後端部14bには内周面及び外周面に段状の凹凸係合部14d、14eを設けたものである。塗布液12が繰出し機構16によって加圧された際に、連通孔36を介して吐出孔14a,14a…から吐出され、先端面14cに滞留するようになっている。
【0048】
塗布体14と被塗布面との摩擦係数は0.04〜0.7とすることが望ましい。塗布体表面を球面化、あるいは、周縁部の角を取り曲面化することにより、塗布体と被塗布面との摩擦係数を調整することが可能である。摩擦係数が0.04より下回ると塗布体と被塗布面とで滑ってしまい塗布することが困難になってしまい、摩擦係数が0.7を上回ると塗布体を動かす度に被塗布面に引っ掛かってしまい快適な塗布ができなくなる。
【0049】
塗布体14は円柱体先端部を斜めに切り落とした平面の先端形状を呈し(先端面14c)、前記複数の吐出孔14a,14a…が先端面14cに開口し、塗布体14内部にはその吐出孔14a,14a…に連通する連通孔36が形成される。塗布体14の軸方向中程から塗布体後端部14bに前記連通孔36が開口しており、連通孔36は、前記吐出孔14a,14a…から塗布体後端部14bまで連通している。第1の実施形態では、連通孔36が塗布体14内部で大部分を占めており、塗布体14は厚膜状を呈している。
【0050】
塗布体14において連通孔36の後端部付近に段状に縮径した箇所が、上記塗布体内周面の凹凸係合部14dになっている。また、塗布体14の外周面に、段状に凹みを設けその凹みが凹凸係合部14eになっている。このように本発明の凹凸係合部14eは面上に突出している箇所の他凹み部も含むものである。
【0051】
塗布体14は、具体的には、JIS K6253に規定されるデュロメータ硬度Aで60〜90であることが好適である。
【0052】
また、塗布体14は、必要な塗布性能が得られるように透明または半透明のシリコーン樹脂性またはウレタン樹脂製のゴム弾性樹脂で一体成形されている。
【0053】
塗布体14はさらに具体的には、シリコーンゴムで構成されたことが好ましい。
【0054】
塗布体14の製造は、LIM成型法によって形成されたものであることが好ましい。
【0055】
なお、その塗布体14を挟持する先軸28及び継手30や軸筒等の部材は必要な気密性能や支持性能が得られる密度及び剛性を有する構成で成形されている。
【0056】
〔継手30〕
前記継手30は、図2、図4に示すように、内部に塗布液流通孔30aの形成された概略中空筒状体であって先方部及び後方部の外周面に凹凸係合部30b及び30cを設けたものである。また、前記先軸28は図2、図5に示すように、内部に空間28aのある概略中空筒状体であって先方部及び後方部の内周面に凹凸係合部28b及び28cを設けたものである。
【0057】
詳しくは、継手30は、図1、図2、図4に示すように、先方部よりも後方部が段状に拡径し大径になって軸方向先方部から後方部に亘って内部を貫通する内部中空部の塗布液流通孔30aが軸方向に先方部から中央部にかけてほぼ同径に形成されている全体が概略筒状のものである。継手30の先方部では後方に行くほど徐々に拡径して一定位置で段状に縮径する部分が本発明の継手30先方部の凹凸係合部30bである。また、継手30後方部の太径になっている部分の外周に環状に凸部をリブ状またはかまぼこ状に盛り上げて複数形成しているものであって、この凸部が継手30後方部の凹凸係合部30cである。
【0058】
また、前記継手30の上記後方部の凹凸係合部30cのさらに後方の後端部にはフランジ部30dが拡径して形成されており、このフランジ部30dの外径は上記後方部の凹凸係合部30cの外径よりも大径に形成されている。
【0059】
〔先軸28〕
先軸28は、図2、図5に示すように、先方部が大径で後方部が小径の概略中空筒状体であり、この先軸28内周面の前部では段状に縮径して突出する凸部が環状に形成されている先方部の内周面の凹凸係合部28bである。そして、その先軸28後方部では、平坦部分が続き後端部近傍で凸状に立ち上がる部分が環状に内周を一周し形成されており、これが先軸28後方部の凹凸係合部28cである。この後方側の、凹凸係合部28c以後の部分の内周部は若干拡径して後端部に至る。
【0060】
なお、第1の実施形態における各部の材質は、軸状部材20及び固定筒状体24はABS樹脂を、ピストン体18はHDPE(高密度ポリエチレン)、軸筒10、キャップ10c、先軸28及び外筒キャップ32はPP(ポリプロピレン)を用いて成形することができる。各部には、その他適宜の材質の樹脂を用いることができる。
【0061】
〔係合関係の説明〕
以下に、本液体塗布具において、塗布体14、先軸28及び継手30を軸筒先端部10aに組付けた状態における各係合部の係合(係止)関係を説明する。
【0062】
図1、図2に示す、塗布体14、先軸28および継手30の組み立て(部組み)は、予め、前記塗布体後端部14bの外周を先軸28先方部で覆い、その状態で該塗布体後端部14bの連通孔36内に継手30先方部を挿入する。この状態から、先軸28後方部を軸筒先端部10aに固定して組付ける。
上記のように、前記塗布体後端部14bの外周を先軸28先方部で覆いかつ該塗布体後端部14bの連通孔36内に継手30先方部を挿入すると共に先軸後方部を軸筒先端部10aに固定した組付状態で、前記塗布体後端部14bの外周面の凹凸係合部14eを前記先軸先方部の内周面の凹凸係合部28bに当接・係止させる。また、前記塗布体後端部14bの内周面の凹凸係合部14dを前記継手30先方部の外周面の凹凸係合部30bに互いの段部同士を先後から当接・係止させる。それと共に、前記先軸後方部の内周面の凹凸係合部28cを継手30後方部の外周面の凹凸係合部30cに係合させる。
これらのようにして、前記塗布体14を前記継手30及び前記先軸28を介して軸筒10に固定するように塗布体14、継手30及び先軸28を形成したものである。
【0063】
ここで、第1の実施形態の液体塗布具では、図1、図2に示すように、上記のように前記塗布体後端部14bの外周面の凹凸係合部14eを前記先軸先方部の内周面の凹凸係合部28bに係止させた状態時に、前記継手30先方部の外周面の凹凸係合部30b及び前記先軸先方部の内周面の凹凸係合部28b同士の間隔を前記塗布体後端部14bの内周面及び外周面の凹凸係合部同士の間隔よりも狭くなるように形成して、前記塗布体後端部14bの内周面の凹凸係合部14dを前記継手30先方部の外周面の凹凸係合部30bに係止させ、前記塗布体後端部14bの内周面及び外周面の凹凸係合部14d及び14eの間の部分に圧縮応力を加えて変形させるようにすることが好ましい。このようにすれば、塗布体14の係合部が圧縮応力によって変形して、より強固に塗布体14を固定することができる。
【0064】
また、前記塗布体後端部14bの内周及び外周と前記継手30外周と前記先軸28内周には、図3〜図5に示すように、それぞれの塗布体後端部14bの内周面の凹凸係合部14d、外周面の凹凸係合部14e、継手30外周の先方部の凹凸係合部30b、及び先軸28先方部の凹凸係合部28b以外の箇所に平坦な面部を形成している。図3に示すように、塗布体14には、平坦な面部14f(内側)、14g(外側)を、図4に示すように、継手30には外周に平坦な面部30eを、図5に示すように先軸28には内周に平坦な面部28dを各凹凸係合部の先後に少なくとも一方に形成している。
【0065】
図2に示すように、上記のように前記塗布体後端部14bの内周面の凹凸係合部14dを前記継手30先方部の外周面の凹凸係合部30bに係止させ、かつ、前記塗布体後端部14bの外周面の凹凸係合部14eを前記先軸先方部の内周面の凹凸係合部28bに係止させた状態時に、前記塗布体14内周及び前記継手30外周の互いに対向する平坦な各面部14f及び30e同士が密着し、かつ、前記塗布体14外周及び前記先軸28内周の互いに対向する各面部14gと28d同士が密着するように形成したものである。このようにして、各面部14fと30e同士と各面部14gと28d同士とが密着して、液密性を向上できると共に、ねじれが生じないため外れにくくなる。なお、塗布体後端部14bの凹凸係合部14dより後側の段状に縮径した部分の内周面の径(内径)は例えばφ5.6(:内径5.6(mm))に形成されている。
【0066】
また、図2、図4に示すように、前記継手30後端部にはフランジ部30dが拡径して形成されており、上記のように前記塗布体後端部14bの内周面の凹凸係合部14dを前記継手30先方部の外周面の凹凸係合部30bに係止させ、かつ、前記塗布体後端部14bの外周面の凹凸係合部14eを前記先軸先方部の内周面の凹凸係合部28bに係止させた状態時に、前記フランジ部30dが前記先軸28後端面部に後方から当接するようにしている。このように、前記フランジ部30dが前記先軸28後端部に後方から当接するようにしたので、継手30が先軸28内に潜り込むことを確実に防止できる。
【0067】
図1、図2に示すように、前記軸筒10の軸筒先端部10a内周面に環状リブまたは凸部等の凹凸係合部10dが形成され、前記先軸28後方部の外周面に凹凸係合部28fが形成されており、前記軸筒先端部10a内周面の凹凸係合部10dを先軸28後方部の外周面の凹凸係合部28fに係合することによって前記塗布体14を前記継手30及び前記先軸28を介して前記軸筒10に固定している。
【0068】
前記塗布体後端部14bの連通孔36内に継手30先方部を挿入しかつ該塗布体後端部14bの外周を先軸28先方部で覆うと共に先軸28後方部を軸筒先端部10aに固定した組付状態で、前記軸筒10の軸筒先端部10a内周面の凹凸係合部10dと前記先軸後方部の外周面の凹凸係合部28f同士が係合する第1の係合位置と、前記先軸後方部の内周面の凹凸係合部28cと継手30後方部の外周面の凹凸係合部30c同士が係合する第2の係合位置とを、軸方向で同位置またはその近傍になるように形成したものである。これにより、先軸28及び継手30同士に係合力が先軸28の弾性力にのみ依存するのみではなく、軸筒10の弾性力も加わるので継手30が先軸28からより一層抜けにくくなる。また、第1の実施形態では、塗布体14について先端部塗布面形状を平面にするので対象部位への接触面積が大きくなり塗布性が向上する。
【0069】
以上のように、第1の実施形態に係る液体塗布具において、塗布体14の先端部の先端面14c形状を平面または凸状球面とし、該先端面14cに吐出孔14a,14a…を2箇所以上貫通形成し、少なくとも1つの吐出孔14aを前記先端面14cの略中央に形成したことによって、塗布時に化粧料等の塗布液が残存し、塗り広げるときに、被化粧面等の被塗布面と塗布具の間の潤滑性に優れるため、化粧料等塗布液の塗り状態がムラになりにくく、過剰な塗布液の吐出を防ぐことができる。
【0070】
しかも、少なくとも1つの吐出孔14aを前記先端面14cの略中央に化粧料などの塗布液の吐出孔14aが存在することにより、確実に化粧料等塗布液が塗布面の中央部に吐出される。よって、化粧料の塗布に使用した場合に、広い面積に化粧料を塗り広げるとき、使用者が特に意識しない場合、すなわち、通常の使用の場合では、塗布面である先端面14cの略中央部分が唇と接触することになる。また、先端面14cが凸状に形成されている場合、略中央部の接触圧が最も高くなっても、略中央部に化粧料が存在し、また、吐出孔14aの中に化粧料が存在しているので、塗布具を前後左右に塗り広げる際に、再度塗布面で化粧料を掻き取ってしまう不具合が解消される。
【0071】
本発明にかかる液体塗布具において、塗布体等の構成は、前記図3の第1の実施形態に限定されず、図6〜9に示す第2の実施形態に係る液体塗布具のように構成できる。図1〜図5と同様部分に同一符号を付している。図6は液体塗布具の全体説明断面図を示し、図7は塗布体に継手及び先軸を組立てた(部組した)部品図、図8は塗布体の説明であって、(a)は斜視図、(b)は先方からの視図、(c)は側面からの視図、(d)は縦断面図、(e)は他の側面からの視図、(f)は後方からの斜視図、(g)は後方からの視図、図9(a)、(b)、(c)は継手の先方からの視図、側面図、断面図である。
【0072】
前記塗布体14はその先端部の先端面(塗布面)14c形状を平面または凸状球面(平面とすることもできる)としている点は、図3と同様であるが、該先端面14cに吐出孔14a,14a…を2箇所以上(第2の実施形態では4個)貫通形成すると共に該先端面14cの表面に有底の溝38を吐出孔14a,14a…を形成している。
【0073】
貫通形成された吐出孔14a,14a…のうちの少なくとも1つの吐出孔14aを前記先端面14cの略中央に形成し、かつ、その1つの吐出孔14aを他の吐出孔14aと前記有底の溝38によって連結したものである。
【0074】
前記吐出孔14a,14a…は、先方から見て正円形状の孔が環状に4個配列されており、有底の溝38は円形状を呈してその有底の溝38内に前記吐出孔14a,14a…が形成されている。
【0075】
なお、先端面14cを見て、前記吐出孔14a,14a…の少なくとも1つが、長円、楕円等の円形状の孔に形成され、かつ、有底の溝38が該円形状の溝を段状に凹ませるように形成されており、前記少なくとも1つの吐出孔14aが他の吐出孔14aに該有底の溝38の底面に開口して連結されていればよい。
【0076】
その他、先端面14cを見て、前記吐出孔の少なくとも1つの孔が、縁部に直線を有する孔(例えば四角形、正多角形等)に形成され、かつ、有底の溝38が多角形形状の溝に形成されており、前記少なくとも1つの吐出孔14aが他の吐出孔に該有底の溝で連結されていることも好ましい。
【0077】
また、少なくとも有底状の溝38が、先端面14cを見て、圧送された塗布液を塗布面に吐出する吐出孔14a,14a…の外側に少なくとも配置されている。第2の実施形態では、配列された吐出孔14a,14a…の外縁を取り囲んで有底の溝38から先端面14cに立ち上がっている。
【0078】
また、前記第2の実施形態において、少なくとも有底状の溝38が、先端面14cを見て、圧送された塗布液を塗布面に吐出する吐出孔の外側に少なくとも配置されていることによって、先端面14c前面に有底状の溝内に化粧料が残存し、さらに塗り広げるときに被化粧面と塗布具との間の潤滑性に優れるため、化粧料の塗りムラが生じにくい。
【0079】
また、吐出孔14a,14a…および有底の溝38によって塗布面に趣向を凝らした模様を形成でき、したがって意匠性に優れる塗布体の先端面14cを提供できる。
【0080】
また、塗布体14の構成を、仮に、吐出孔14a,14a…が連続して閉じた形で連結されたものにすると、その内側の塗布面を保持するため、複雑な装置になるが、第2の実施形態のように、塗布体14の先端面14cの塗布面に吐出孔14a,14a…を2箇所以上貫通形成し、少なくとも1つの吐出孔14aを前記先端面14cの略中央に形成し、その1つの吐出孔14aを他の吐出孔14aと前記有底の溝38によって連結した構成にすることにより、簡単な構造で、塗布液の対象面への塗り広げを適切に行なうことができる。
【0081】
第2の実施形態における継手30は、図7、図9に示すように、内部に塗布液流通孔30aの形成された概略中空筒状体であって先方部及び後方部の外周面に凹凸係合部30b及び30cを設けたものである。第1の実施形態の継手30と異なる点は、先方側の継手30の外周面(外周面)の平坦な面部30eを先後方向に長く形成していることと、塗布体14の先端面14cに吐出孔14a,14a…を取り囲むように後方に向けて凹ませた受け溝30fを形成していることである。第2の実施形態では、図8に詳しく示すように、先方から見て受け溝30fは塗布体14の軸心を取り囲むように形成され、かつ、その軸心付近に複数の吐出孔14a,14a…が集中して配置・形成されている。
【0082】
第2の実施形態に係る液体塗布具においては、継手30に前記のように受け溝30fを形成しているので、塗布体14の複数の吐出孔14a,14a…から均一に塗布液を吐出することができる。また、複数の吐出孔14a,14a…から吐出された塗布液について、塗布体14の先端面14cを被対象面に当接かつ摺動させて該被対象面に塗布液を塗る際に、前記受け溝30fにその凹み分の量が保持された状態になるので、前記先端面14cの塗布液を十分に被対象面に塗り付けることができる。
したがって、第2の実施形態に係る受け溝30fを形成した塗布体14は、効率が良く軽快な塗付を実現することができる。
また、塗布体14と継手30との空間部31を形成することで(図7参照)、先端面14cの柔軟性を失わずに過剰な先端面の変化を防止することができる。また、空間部31で少量であるが塗布液を保溜できるので、先端面14cが弾性変形する際に、該空間部31内の塗布液が柔軟なクッション作用を先端面14cに与えるので、柔軟性や使用感を向上できる。
【0083】
ここで、本発明にかかる液体塗布具において、塗布体は、前記図3の第1の実施形態、前記図8の第2の実施形態に限定されず、図10に示す第3の実施形態に係る塗布体のように構成できる。第3実施形態に係る滑塗布体14に形成された吐出孔14a,14a…の孔数は先方から見た環状に6個配列・形成されている。それ以外は第2の実施形態と同様の構成である。この場合、同一の部分に同一の符号を付している。
【0084】
なお、本発明の液体塗布具は、上記した第1の実施形態〜第3の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0085】
すなわち、本発明の塗布具において、塗布体14の吐出孔14a,14a…として、上記第1〜第3の実施形態における三角形や円形状だけでなく、矩形状等の多角形形状または縁部に曲線を有する概略曲線状の細長い孔を少なくとも複数持つことで、化粧料等塗布液を吐出する際に、スムーズな吐出が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の液体塗布具は、化粧用口紅、ほお紅、アイシャドウ等の塗布液を人体の皮膚に直接塗布する化粧料塗布具が最も好適であるが、その他、流動性薬品を塗布する薬品製品や接着剤や塗料等の塗布液を物品に塗布する塗布具に利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 液体化粧料塗布具
10 軸筒
10a 軸筒の先端部(軸筒先端部)
10b 塗布液の収容部
10c キャップ
10d 先端部内周面の凹凸係合部
12 塗布液
14 塗布体
14a,14a… 吐出孔
14b 塗布体後端部
14c 先端面(塗布面)
14d 塗布体内周面の凹凸係合部
14e 塗布体外周面の凹凸係合部
14f 塗布体内周面の平坦面部
14g 塗布体外周面の平坦面部
16 繰出し機構
18 ピストン体
20 軸状部材
22 回転操作部材
24 固定筒状体
26 内筒材
28 先軸
28a 先軸内部の空間
28b 先軸先方部の内周面の凹凸係合部
28c 先軸後方部の内周面の凹凸係合部
28d 先軸の内周の平坦面部
28f 先軸後方部の外周面の凹凸係合部
30 継手
30a 継手の塗布液流通孔
30b 継手先方部の外周面の凹凸係合部
30c 継手後方部の外周面の凹凸係合部
30d 継手後端部のフランジ部
30e 継手の外周面の平坦面部
30f 受け溝
31 塗布体と継手との空間部
32 外筒キャップ
34 噛合い部
36 塗布体の連通孔
38 有底の溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を圧送する装置を備え、当該塗布液を塗布体の吐出孔から吐出させて塗布面に供給する塗布具において、
塗布体の先端部の塗布面形状を平面または凸状球面とし、
該塗布面に吐出孔を2箇所以上貫通形成し、
少なくとも1つの吐出孔を前記塗布面の略中央に形成したことを特徴とする液体塗布具。
【請求項2】
塗布液を圧送する装置を備え、塗布体の吐出孔から圧送された塗布液を吐出させて塗布面に供給する塗布具において、
塗布体の先端部の塗布面形状を平面または凸状球面とし、
該塗布面に吐出孔を2箇所以上貫通形成すると共に該塗布面の表面に有底の溝を形成し、
貫通形成された吐出孔のうちの少なくとも1つの吐出孔を前記塗布面の略中央に形成し、かつ、その1つの吐出孔を他の吐出孔と前記有底の溝によって連結したことを特徴とする液体塗布具。
【請求項3】
塗布面を見て、前記吐出孔の少なくとも1つが、円形状の孔に形成され、かつ、有底の溝が前記吐出孔と相似形状の溝に形成されており、
前記少なくとも1つの吐出孔が他の吐出孔に該有底の溝で連結されていることを特徴とする請求項2に記載の液体塗布具。
【請求項4】
塗布面を見て、前記吐出孔の少なくとも1つの孔が、縁部に曲線を有する孔に形成され、かつ、有底の溝が多角形形状の溝に形成されており、
前記少なくとも1つの吐出孔が他の吐出孔に該有底の溝で連結されていることを特徴とする請求項2に記載の液体塗布具。
【請求項5】
少なくとも有底の溝が、塗布面を見て、圧送された塗布液を塗布面に吐出する吐出孔の外側に少なくとも配置されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の液体塗布具。
【請求項6】
塗布体が、JIS K6253に規定されるデュロメータ硬度Aで60〜90であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液体塗布具。
【請求項7】
塗布体が、シリコーンゴムで構成されたものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液体塗布具。
【請求項8】
塗布体が、LIM成型で形成されたものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の液体塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−135465(P2012−135465A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290327(P2010−290327)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)