説明

液体循環装置及びこれを用いた家庭用水耕栽培装置

【課題】容器内の液体を万遍なく当該容器内において循環させることができる液体循環装置及びこれを用いた家庭用水耕栽培装置を提供する。
【解決手段】液体6を収容するための容器2と、液体中に開口した入口3a及び出口3bを有し、液体6を循環させるための循環経路3と、該循環経路3にエア供給口4aを介して接続され、液体6を前記入口3aから吸い込んで一方向に流通させ、前記出口3bから送出させるためのエア供給管4と、エア供給管4に接続されたエアポンプ5とを備え、循環経路3の前記入口3a及び前記出口3bの一方又は両方は、容器2の内壁面の近傍にて内壁面に沿う方向に開口し、前記エア供給口4aは、循環経路3における前記液体6の流通方向で上昇している部分に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の液体(液肥)を効率よく循環することができる液体循環装置及びこれを用いた家庭用水耕栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機水耕栽培装置が特許文献1に記載されている。特許文献1では、エアリフト方式の揚水ポンプを栽培槽に取り付け、養液槽中のエアマットと揚水ポンプに取り付けたエアポンプとを接続し、養液中に気泡を吹き込むと同時に養液の揚水を行うものである。
栽培槽に供給された養液たる液肥は、その容器内に万遍なく行き渡らせることが望まれている。しかしながら、特許文献1をはじめとする従来の水耕栽培装置においては、エアリフタを用いたいわゆる上下方向での液肥の供給と排出による循環である。水耕栽培の栽培容器は一般的に横幅又は奥行(又はその両方)が大きいため、栽培容器の任意の位置の上側から液肥を供給し、栽培容器の任意の位置の下側から排水する機構を備えても、液肥が栽培容器内を万遍なく循環しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4324648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、容器内の液体を万遍なく当該容器内において循環させることができる液体循環装置及びこれを用いた家庭用水耕栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、液体を収容するための容器と、該容器内の液体中に開口した入口及び出口を有し、前記液体を循環させるための循環経路と、該循環経路にエア供給口を介して接続され、前記循環経路にエアを供給して前記液体を前記入口から前記循環経路内に吸い込んで一方向に流通させ、前記出口から送出させるためのエア供給管と、該エア供給管に接続されたエアポンプとを備え、前記循環経路の前記入口及び前記出口の一方又は両方は、前記容器の内壁面の近傍にて前記内壁面に沿う方向に開口し、前記エア供給口は、前記循環経路における前記液体の流通方向で上昇している部分に設けられていることを特徴とする液体循環装置を提供する。
【0006】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記循環経路は循環パイプであり、前記装置は、前記循環パイプを前記容器に保持するための保持手段をさらに備えていることを特徴としている。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記保持手段は前記容器の底面又は内壁面に固定され、前記液体内を延びている前記循環パイプに上側から接して配置された保持部材であることを特徴としている。
【0007】
請求項4の発明では、請求項2の発明において、前記保持手段は前記液体よりも比重が大きい材質で形成されたパイプ部材であり、該パイプ部材は前記循環パイプの全部又は一部を形成していることを特徴としている。
請求項5の発明では、請求項2の発明において、前記保持手段は前記容器の底又は側壁内に形成され、前記循環パイプを挿通させた保持孔を含むことを特徴としている。
【0008】
請求項6の発明では、請求項1の発明において、前記循環経路は、前記容器の底又は側壁内を延びる流路を含むことを特徴としている。
請求項7の発明では、請求項6の発明において、前記入口及び前記出口は前記容器の底面又は内壁面に開口して設けられることを特徴としている。
また、請求項8の発明では、請求項1〜7のいずれかに記載の液体循環装置と、前記容器内の前記液体の液面を覆う蓋材と、該蓋材に形成された多数の貫通孔とを備えたことを特徴とする家庭用水耕栽培装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、循環経路の中を通る液体が入口から流入し、エアポンプによってエア供給管から供給されるエアで一方向に流通させられ出口から流出するので、その流れを利用して容器内の液体を万遍なく循環させることができる。また、エア供給口は、循環経路における液体の流通方向で上昇している部分に設けられ、循環経路内の流通方向を確実に入口から出口へと導くように形成することができる。したがって、出口から流出した液体は容器内を循環しながら入口に向かう。このため、容器内の液体が万遍なく循環する。
【0010】
請求項2の発明によれば、循環パイプを容器に保持するための保持手段をさらに備えるため、循環パイプが容器内で移動することはなく、普遍的に循環パイプを用いた容器内の液体の万遍ない循環を実現することができる。
請求項3の発明によれば、保持手段は容器内面に固定され、循環パイプの上側にて接して配置されているため、循環パイプが浮力により液面方向に上昇することを確実に防止して、循環パイプが移動することによる液体の予期しない方向への流通を防止することができる。
【0011】
請求項4の発明によれば、液体よりも比重が大きいパイプ部材を用いて循環パイプの全部または一部を保持手段として形成するため、循環パイプが容器内で移動することはない。したがって、循環パイプが移動することによる液体の予期しない方向への流通を防止することができる。
請求項5の発明によれば、循環パイプを配設可能な保持孔を容器の底又は側壁に形成して保持手段を形成するため、ここに循環パイプを配設して循環パイプを確実に固定保持することができる。したがって、循環パイプが移動することによる液体の予期しない方向への流通を防止することができる。
【0012】
請求項6の発明によれば、循環経路として、容器の底又は側壁内を延びる流路を用いるため、底又は側壁自体が液体を循環させる役割を果たす。したがって、例えば側壁を加工して形成された管状経路の中を通る液体が入口から流入し、エアポンプによってエア供給管から供給されるエアで一方向に流通させられ出口から流出するので、容器内の液体を万遍なく循環させることができる。
【0013】
請求項7の発明によれば、入口と出口は容器の底面又は内壁面に開口して設けられるため、容器の加工のみで液体を循環させることができる循環経路の役割を果たすものが形成される。このため、部品点数が減少し、見栄えのよい液体循環装置を得ることができる。
請求項8の発明によれば、多数の貫通孔が形成された蓋材を用いることで、この貫通孔に苗を定植して水耕栽培を行うことができる。このとき、苗の肥料となる液肥が効率よく循環するので、苗の発育の促進が図られる。また、容器とエアポンプと循環経路及び蓋材のみで水耕栽培を行うことができるので、家庭用の水耕栽培キットとして手軽に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る液体循環装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】本発明に係る液体循環装置を用いた家庭用水耕栽培装置の概略断面図である。
【図5】図1〜図3の例に対して別の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明に係る別の液体循環装置の平面図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】図6のD−D断面図である。
【図9】本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図である。
【図10】図9のE−E断面図である。
【図11】図9のF−F断面図である。
【図12】本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図である。
【図13】図12のG−G断面図である。
【図14】図12のH−H断面図である。
【図15】本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図である。
【図16】図15のI−I断面図である。
【図17】図15のJ−J断面図である。
【図18】本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図である。
【図19】図18のK−K断面図である。
【図20】図18のL−L断面図である。
【図21】本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図である。
【図22】図21のM−M断面図である。
【図23】図21のN−N断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る液体循環装置の平面図であり、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図である。
図示したように、本発明に係る液体循環装置1は、容器2と、循環パイプ3と、エア供給管4と、エアポンプ5とで形成されている。なお、エアポンプ5は図1のみに記載し、以降の図では省略している。容器2は、例えば発泡スチロールを用いて形成する。容器2内には、液体6が収容されている。すなわち、容器2は液体6である程度まで満たされている。液体6の循環経路たる循環パイプ3は、容器2の壁面に沿って配設されている。
【0016】
図1を参照すれば、循環パイプ3は容器2の内壁面に沿って配設されている。この循環パイプ3が、後述するように、容器2内の液体を万遍なく循環させるものである。循環パイプ3の入口3aから出口3bに向かって上昇している部分に、エア供給口4aを介してエア供給管4が接続されている(図3参照)。このエア供給管4は、エアポンプ5と接続され、このエアポンプ5からエアが供給される。エアポンプ5から供給されたエアは、エア供給管4を通って循環パイプ3内に流入する。このとき、循環パイプ3が出口3bに向かって上昇している位置にエア供給口4aが接続されているため、エアは自然上昇により出口3b方向に流通する。この自然上昇による出口3bへの流通は、エア供給管4の接続位置や、接続方向等を調整したり、循環パイプ3の長さや径、あるいは配設されている高さ等により適宜考慮したりすることで、最適化することができる。なお、エア供給管4は液体の逆流を防止するため、一旦水面より高い位置を通すことが好ましい。また、エアを供給しているため、液体内の溶存酸素の管理も適切に行うことができる。
【0017】
上述したように、循環パイプ3は、その端部に入口3aと出口3bを有している。入口3a及び出口3bは、容器2内の液体6中に開口している。この入口3aは、容器2の壁面に沿った下側に配設される。一方、出口3bは容器2の壁面に沿った上側に配設される。容器2内の液体は、この入口3aから流入し、循環パイプ3を通って出口3bから流出する。この入口3aと出口3bは、容器の内壁面に沿って対向している。したがって、出口3bから流出した液体6は内壁面に沿って効率よく入口3aに向かって流通する。このとき、出口3bから流出した液体6の全てが入口3aに流入するのではなく、ある程度容器2の内壁面に沿って循環してから入口3aに流入する。すなわち、出口3bから流出した液体6は、容器2の内壁面に沿って容器2内を万遍なく循環し、やがて入口3aに流入する。このとき、入口3aが容器2の下側に、出口3bが容器2の上側にあるので、出口3bから流出した液体6は容器2内を循環しながら容器下側の入口3aに向かい、容器2内の上下方向においても液体6が万遍なく循環することになる。
【0018】
換言すると、エア供給口4aは、循環経路たる循環パイプ3における液体6の流通方向で上昇している部分に設けられ、出口3bは、エア供給口4aよりも上側に位置し、エア供給口4aから出口までの循環パイプ3は、液体6の流通方向において上昇しているか、又は水平に形成されている。このため、循環パイプ3内の流通方向を確実に入口3aから出口3bへと導くように形成することができる。また、循環パイプ3には上昇部分があり、この上昇部分と接続しているエア供給口4aよりも出口3bは上側にあるため、出口3bは入口3aよりも上側、より好ましくは入口3aが容器2の下側に、出口3bが容器2の上側にあることになる。したがって、容器上側の出口3bから流出した液体6は容器2内を循環しながら容器下側の入口3aに向かう。このため、容器2内の上下方向においても液体が万遍なく循環する。
【0019】
容器2の側壁を横断面にて多角形状、図1のように例えば矩形形状とし、入口3a及び出口3bを容器2の一の角部2aを介在させて対向するように配置すれば、効率のよい液体の循環を実現することができる。出口3bから流出した液体6が一旦角部2aに当たることで、効率のよい循環を実現している。
循環パイプ3は、保持手段を用いて容器2内に保持されている。このように循環パイプ3を確実に保持することで、循環パイプ3が容器2内で移動することはなく、普遍的に循環パイプ3を用いた容器2内の液体6の万遍ない循環を実現することができる。図では、保持手段として保持部材7を用いた例を示している。この保持部材7は、例えば略直方体形状であり、その一側面が容器2の内壁面に接着等で固定される。そして、保持部材7の下面は循環パイプ3の上側と接し、ここで循環パイプ3が浮力により液面方向に上昇することを確実に防止している。したがって、循環パイプ3が移動することによる液体6の予期しない方向への流通を防止することができる。保持部材7は、例えば発泡スチロールで形成されている。なお、保持部材7は底面に固定してもよい。
【0020】
一方で、他の保持手段として、保持部材8が利用されている。この保持部材8は、循環パイプ3を挟み込んだ状態で、容器2の内壁面に接着等で固定されている。図では、循環パイプ3が斜め方向に傾斜して延びている箇所にて保持部材8が用いられている。このように循環パイプ3自体を保持する機構を有するものでも、確実に循環パイプ3の移動を防止できる。保持部材8は、保持部材7と同様の材質、すなわち発泡スチロールで形成してもよい。
【0021】
図4は本発明に係る液体循環装置を用いた家庭用水耕栽培装置の概略断面図である。
図示したように、本発明に係る家庭用水耕栽培装置9は、本発明に係る液体循環装置1に加え、蓋材10が追加されている。この蓋材10は液体6の液面上に載置されて液面を覆うものである。蓋材10には多数の貫通孔11が形成されている。このような家庭用水耕栽培装置9を用いて水耕栽培を行う場合、まず容器2内に液体6たる液肥を充填する。そして、蓋材10の貫通孔11に苗を定植し、これを液面に載置する。この後、エアポンプを作動させて液肥を循環させる。本発明に係る液体循環装置1を用いているので、苗の肥料となる液肥が効率よく容器2内を循環し、苗の発育の促進が図られる。また、この水耕栽培装置9を用いれば、容器2とエアポンプ5(図1参照)と循環パイプ3及び蓋材10のみで水耕栽培を行うことができるので、家庭用の水耕栽培キットとして手軽に利用することができる。なお、以降で説明する例の液体循環装置に蓋材10を設ければ、全て家庭用水耕栽培装置9として適用できる。
【0022】
図5は図1〜図3の例に対して別の例を示す概略断面図である。
図示したように、循環パイプ3が途中で折れ曲がり、垂直に立ちあがっている。図1〜図3の例では、容器2の下側に位置する入口3aから容器2の上側に位置する出口3bまで、循環パイプ3がある側面に沿って斜め上方に傾斜して上昇している。これに対し、図5で示す例では、このような斜めの傾斜部分はなく、垂直に立ちあがっている立ち上がり部12を有している。このような立ち上がり部12も、入口3aから出口3bに向かう上昇部分となり、ここにエア供給口4aを接続することにより、循環パイプ3を用いた容器2内の液体6の循環を実現することができる。容器2内の液体6の循環は、エア供給口4aから出口3bまでのルート、及びエア供給口4aの循環パイプに対する接続位置が重要である。エア供給口4aが循環パイプ3の上昇部分に設けられることで、その他の部分の循環パイプ3はどのような形状であってもよい。例えば、図のような水平部分のみではなく、波型のように凹凸を繰り返していたりしてもよい。エアポンプ5から供給されるエアにより、循環パイプ3内の一方向の流通を形成できていれば、循環パイプ3の形状や径等は適宜変更可能である。
【0023】
図6は本発明に係る別の液体循環装置の平面図であり、図7は図6のC−C断面図、図8は図6のD−D断面図である。
図示したように、図1〜図3の例と比べて異なる点は、保持部材13及び保持部材14の構造である。すなわち、循環パイプ3の水平部分を保持する保持部材13は、例えば発泡スチロールで形成され、容器2に嵌め込んで固定される。より詳しくは、容器2の内壁面には縦溝15が形成され、この縦溝15に保持部材13をスライドさせて嵌め込むことで固定される。一方で、循環パイプ3の斜め方向に上昇する部分を保持するための保持部材14は、図1〜図3の例と同様にパイプ3を挟んで保持するものである。しかし、その下側が容器と一体に形成され、上側は別体の例えば発泡スチロールからなる部材14aである点が異なる。部材14aは、保持部材13と同様に、容器2に形成された縦溝15にスライドさせて嵌め込んで固定される。保持部材13も部材14aも、さらに容器2も発泡スチロール製とすることで、縦溝15を介してスライドさせても、その材質による弾性と摩擦力で固定される。このようにして、循環パイプ3が浮力により液面方向に上昇することを確実に防止し、循環パイプ3が移動することによる液体6の予期しない方向への流通を防止することができる。その他の構成、作用、効果は図1〜図3の例と同様である。
【0024】
図9は本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図であり、図10は図9のE−E断面図、図11は図9のF−F断面図である。
図示したように、図1〜図3の例と比べて異なる点は、循環パイプ3の保持手段である。保持部材16は、液体6よりも比重が大きい材質、例えばステンレスやセラミックス等の耐食性のある重量物からなるパイプ部材で形成される。これを循環パイプ3の入口3a及び出口3b付近に外側から嵌め込んで配設することで、容器内の位置を固定することができる。すなわち、保持部材16からなるパイプ部材が循環パイプ3の一部を形成している。また、循環パイプ3の途中部分においては、保持部材17を利用して保持している。保持部材17は、容器2の底面から立ち上がる立ち上がり部17aと、この立ち上がり部17aに取り付けられた保持具17bで構成される。保持具17bは例えば円形リングであり、ここに循環パイプ3を通すことで循環パイプ3を保持している。このようにして、循環パイプ3が浮力により液面方向に上昇することを確実に防止し、循環パイプ3が移動することによる液体6の予期しない方向への流通を防止することができる。その他の構成、作用、効果は図1〜図3の例と同様である。
【0025】
図12は本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図であり、図13は図12のE−E断面図、図14は図12のF−F断面図である。
図示したように、図1〜図3の例と比べて異なる点は、循環パイプ3の保持手段である。循環パイプ3は、液体6よりも比重が大きい材質、例えばステンレスやセラミックス等の耐食性のある重量物からなるパイプ部材で形成される。すなわち、このような重量物からなるパイプ部材で循環パイプの全部を形成する。また、循環パイプ3の途中部分が傾斜している場合においては、当該部分を保持部材18を利用して保持する。この保持部材18は、容器2と一体に形成され、循環パイプ3を単に載置してその高さを保持するものである。なお、保持部材18を別体として設けた場合は、液体に対して浮きあがらず、耐食性を有する材質を用いる。このようにして、循環パイプ3が浮力により液面方向に上昇することを確実に防止し、循環パイプ3が移動することによる液体6の予期しない方向への流通を防止することができる。その他の構成、作用、効果は図1〜図3の例と同様である。
【0026】
図15は本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図であり、図16は図15のI−I断面図、図17は図15のJ−J断面図である。
図示したように、図1〜図3の例と比べて異なる点は、循環パイプ3の保持手段である。すなわち、循環パイプ3は、容器2を加工して形成された保持孔19内に配設される。保持孔19は、容器2の側壁に形成され、循環パイプ3と接して覆うことができる径を有している。入口3a及び出口3b付近の循環パイプ3は、容器2の側壁から突出して容器2内に面している。このように、循環パイプ3の略全体を保持孔19で保持することで、循環パイプ3が浮力により液面方向に上昇することを確実に防止し、循環パイプ3が移動することによる液体6の予期しない方向への流通を防止することができる。なお、保持孔19は容器2の底に設けてもよい。その他の構成、作用、効果は図1〜図3の例と同様である。
【0027】
図18は本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図であり、図19は図18のK−K断面図、図20は図18のL−L断面図である。
図示したように、図1〜図3の例と比べて異なる点は、循環パイプ3が容器2の側壁に一体として形成された管状経路20で形成されている点である。すなわち、容器2の内壁の内部を加工し、管状の孔である管状経路20を形成する。このように、容器2の側壁に一体として形成された管状経路20を用いるため、側壁自体が液体6を循環させるための循環経路の役割を果たす。そして、この管状経路20の入口20a及び出口20bは、容器2の底面又は内壁面(図では内壁面)に開口して設けられる。これにより、容器の加工のみで液体を循環させることができる循環経路の役割を果たすものが形成される。このため、部品点数が減少し、見栄えのよい液体循環装置を得ることができる。また、入口20a及び出口20bの位置は、上述した入口3a及び出口3bと同様に、容器の下側及び上側に配置するため、出口20bから流出した液体は容器2内を循環しながら下側の入口20aに向かい、容器2内の上下方向においても液体が万遍なく循環する。また、容器2自体が循環パイプ3の役割を果たすのだから、特にそのための保持手段を設ける必要はない。なお、管状経路20は容器2の底に設けてもよい。その他の構成、作用、効果は図1〜図3の例と同様である。
【0028】
図21は本発明に係るさらに別の液体循環装置の平面図であり、図22は図21のI−I断面図、図23は図21のJ−J断面図である。
図示したように、図1〜図3の例と比べて異なる点は、循環パイプ3の保持手段である。すなわち、循環パイプ3は、容器2の側壁を貫通し、一旦容器2の外側に出る。そして、容器2の外壁に沿って延び、再び容器2を貫通して容器2内に戻る。入口3a及び出口3bの位置は図1〜図3の例と同様である。このように、容器2を貫通させてこの貫通部分で循環パイプ3を保持してもよい。このようにして、循環パイプ3が浮力により液面方向に上昇することを確実に防止し、循環パイプ3が移動することによる液体6の予期しない方向への流通を防止することができる。その他の構成、作用、効果は図1〜図3の例と同様である。
【符号の説明】
【0029】
1 液体循環装置
2 容器
2a 角部
3 循環パイプ
3a 入口
3b 出口
4 エア供給管
4a エア供給口
5 エアポンプ
6 液体
7 保持部材
8 保持部材
9 家庭用水耕栽培装置
10 蓋材
11 貫通孔
12 立ち上がり部
13 保持部材
14 保持部材
15 縦溝
16 保持部材
17 保持部材
17a 立ち上がり部
17b 保持具
18 保持部材
19 保持孔
20 管状経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容するための容器と、
該容器内の液体中に開口した入口及び出口を有し、前記液体を循環させるための循環経路と、
該循環経路にエア供給口を介して接続され、前記循環経路にエアを供給して前記液体を前記入口から前記循環経路内に吸い込んで一方向に流通させ、前記出口から送出させるためのエア供給管と、
該エア供給管に接続されたエアポンプとを備え、
前記循環経路の前記入口及び前記出口の一方又は両方は、前記容器の内壁面の近傍にて前記内壁面に沿う方向に開口し、
前記エア供給口は、前記循環経路における前記液体の流通方向で上昇している部分に設けられていることを特徴とする液体循環装置。
【請求項2】
前記循環経路は循環パイプであり、
前記装置は、前記循環パイプを前記容器に保持するための保持手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体循環装置。
【請求項3】
前記保持手段は前記容器の底面又は内壁面に固定され、前記液体内を延びている前記循環パイプに上側から接して配置された保持部材であることを特徴とする請求項2に記載の液体循環装置。
【請求項4】
前記保持手段は前記液体よりも比重が大きい材質で形成されたパイプ部材であり、該パイプ部材は前記循環パイプの全部又は一部を形成していることを特徴とする請求項2に記載の液体循環装置。
【請求項5】
前記保持手段は前記容器の底又は側壁内に形成され、前記循環パイプを挿通させた保持孔を含むことを特徴とする請求項2に記載の液体循環装置。
【請求項6】
前記循環経路は、前記容器の底又は側壁内を延びる流路を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体循環装置。
【請求項7】
前記入口及び前記出口は前記容器の底面又は内壁面に開口して設けられることを特徴とする請求項6に記載の液体循環装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の液体循環装置と、
前記容器内の前記液体の液面を覆う蓋材と、
該蓋材に形成された多数の貫通孔と
を備えたことを特徴とする家庭用水耕栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−125307(P2011−125307A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289178(P2009−289178)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000139687)株式会社安永 (23)
【出願人】(509350756)農業生産法人株式会社夢農会 (1)
【Fターム(参考)】