説明

液体微細化ユニットおよび液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置

【課題】本発明は液体微細化ユニットに関するもので、霧化効率を向上することを目的とするものである。
【解決手段】霧化筒12内の回転軸13の上下方向に配置した複数の回転板14a〜14cと、上方の回転板14a上に水を供給する水供給手段15と、霧化筒12内面に設けた貯水部18a、18bと、ここで捕集した水を下方の回転板14b,14cに供給する水路19a、19bとを備え、霧化筒12の上方に設けた空気流出口11に対応する下方部分は、水路19a、19bの貯水部18a、18bへの非連結部20とし、この非連結部20外周の霧化筒12の内周部分は、水路19a、19bの貯水部18a、18bへの連結部21とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体微細化ユニットおよび液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、サウナ装置に用いられる液体微細化ユニットの構造は、以下のようになっていた。
【0003】
すなわち、上下方向に配置された霧化筒と、この霧化筒内に上下方向に配置された回転軸と、この回転軸の上下方向に所定間隔をおいて配置された複数の回転板と、これら複数の回転板上に水を供給する水供給手段とを備え、前記水供給手段は、回転する回転板の上面に液体を供給し、回転板から液体を遠心力により外方に飛散させて霧化させ、発生した霧化粒子を霧化筒の外に搬送する構成となっていた(例えば下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−300135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例における課題は、水の霧化効率が悪いということであった。
【0006】
すなわち、回転板の遠心力により霧化された霧化粒子は、霧化筒内を流れる空気に搬送される間に霧化筒内壁面や水供給手段と接触し、そこで比較的大きな水滴に成長するので、結果として霧化筒内で再液化しやすく、これにより水の霧化効率が悪くなっていた。
【0007】
そこで本発明は、水の霧化効率を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そしてこの目的を達成するために本発明は、上下方向に配置された霧化筒と、前記霧化筒内に上下方向に配置された回転軸と、この回転軸の上下方向に所定間隔をおいて配置された複数の回転板と、これら複数の回転板のうち、上方の回転板上に水を供給する水供給手段と、これら複数の回転板間の前記霧化筒内面に設けた環状の水捕集手段と、この水捕集手段により捕集した水を下方の回転板上に供給する捕集水供給手段とを備え、前記霧化筒は、下方に空気流入口、上方に空気流出口を有し、前記空気流出口は、前記霧化筒内の上方の回転板よりも上部で、前記霧化筒の外周面の一部に形成し、前記空気流出口に対応する下方部分は、前記捕集水供給手段の前記水捕集手段への非連結部とし、この非連結部外周の前記霧化筒の内周部分は、前記捕集水供給手段の前記水捕集手段への連結部とする構成とし、これにより上記目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は、上下方向に配置された霧化筒と、前記霧化筒内に上下方向に配置された回転軸と、この回転軸の上下方向に所定間隔をおいて配置された複数の回転板と、これら複数の回転板のうち、上方の回転板上に水を供給する水供給手段と、これら複数の回転板間の前記霧化筒内面に設けた環状の水捕集手段と、この水捕集手段により捕集した水を下方の回転板上に供給する捕集水供給手段とを備え、前記霧化筒は、下方に空気流入口、上方に空気流出口を有し、前記空気流出口は、前記霧化筒内の上方の回転板よりも上部で、前記霧化筒の外周面の一部に形成し、前記空気流出口に対応する下方部分は、前記捕集水供給手段の前記水捕集手段への非連結部とし、この非連結部外周の前記霧化筒の内周部分は、前記捕集水供給手段の前記水捕集手段への連結部とする構成としたので、水の霧化効率を向上させることができる。
【0010】
すなわち、本発明においては、回転軸の上下方向に、所定間隔をおいて配置した複数の回転板間の前記霧化筒内面に捕集水手段を設けるとともに、この捕集水手段により捕集した水を下方の回転板上に供給する捕集水供給手段を設けたので、霧化筒内面を伝って下方に滴る水は捕集水手段で捕集し、その後捕集水供給手段により下方の回転板上に供給し、再び下方の回転板で霧化できる。このため、回転板に供給された水を効果的に霧化することができる。
【0011】
そして、霧化筒内で複数の回転板によって霧化された十分な量の霧化粒子は、下方の空気流入口から上方の空気流出口に向けて流れる空気により、上方に向けて搬送される。このとき、霧化筒外周面の上方に形成した空気流出口に対応する下方部分は、捕集水供給手段の水捕集手段への非連結部としているので、空気流出口へ流れる空気に含まれる霧化粒子が、捕集水供給手段に接触することがなく、この結果として、空気流出口付近での霧化粒子の再液化を防止することができる。
【0012】
以上のように、霧化筒内の上方の回転板に少量の水を供給し、霧化できなかった水を捕集して下方の回転板に再供給することにより、供給したほぼすべての水を霧化することができる上、霧化粒子が再液化するのを防止できるので、本微細化ユニットでは水の霧化効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態におけるサウナ装置の斜視図
【図2】同サウナ装置の断面図
【図3】同サウナ装置の微細化ユニットの上面図
【図4】同サウナ装置の微細化ユニットの拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の液体微細化ユニットおよびこのユニットを使用した液体微細化装置を、サウナ装置に適用した実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態のサウナ装置の斜視図であり、この図1に示すように、サウナ室1の天井面2の上面側には、液体微細化装置3が取り付けられている。また、液体微細化装置3には図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源からのパイプ3aおよび市水を供給する水道管3bを接続する構成としている。
【0016】
液体微細化装置3は、図2に示すように、下面に吸込口4と排気口5を有する本体ケース6と、この本体ケース6内の吸込口4と排気口5とを結ぶ風路に設けた熱交換器7aおよび送風機8と、この送風機8と排気口5との間に設けた液体微細化ユニット9とを備えた構成としている。
【0017】
そして、液体微細化ユニット9の下流には加熱手段として小型の熱交換器7bを設ける構成とし、その下流に本体ケース6の排気口5が図1のサウナ室1の天井排気口(図示せず)に連結されている。
【0018】
すなわち、液体微細化装置3の本体ケース6内には、吸込口4から熱交換器7a、送風機8、液体微細化ユニット9、熱交換器7bを順に経由して排気口5に至る風路を備えた構成としている。
【0019】
加熱手段としての熱交換器7aおよび熱交換器7bには、上述の熱源からのパイプ3aまたは市水を供給する水道管3bを接続し、温水(水)を循環させる構成としている。
【0020】
つまり、図1のサウナ室1の天井吸気口(図示せず)から、図2の吸込口4を介して液体微細化装置3の本体ケース6内に吸引された空気は、液体微細化ユニット9の上流側に配置されている大容量の熱交換器7aで加熱後、送風機8により液体微細化ユニット9内に送風され、この液体微細化ユニット9から排出される空気は小型の熱交換器7bにより再加熱されて、排気口5からサウナ室1内に供給される構成となっている。
【0021】
次に、図2を用いて、液体微細化装置3に内臓された液体微細化ユニット9の構成について詳細に説明する。
【0022】
液体微細化ユニット9は、下方に空気流入口10、上方に空気流出口11を有する霧化筒12を上下方向に配置し、この霧化筒12内には、霧化筒12の天面から下方に向けて上下方向に配置した回転軸13と、この回転軸13の上下方向に所定間隔をおいて配置された複数の回転板14a〜14cと、これら複数の回転板14a〜14cのうち、上方の回転板14a上に水を供給する水供給手段15とを備えている。
【0023】
回転軸13の上端は霧化筒12の天面を貫通して、天面の上方に配置されたモータ16と連結する構成とし、回転軸13の下端は下方に向かって垂直方向に延びた構成としている。
【0024】
複数の回転板14a〜14cは、親水性を有する樹脂で平板状に形成し、水供給手段15は、上方の回転板14a上面の中心付近に水を供給する構成としている。
【0025】
霧化筒12の下方に設けた空気流入口10の上流には送風機8を連結する構成とし、霧化筒12の上方に設けた空気流出口11は、霧化筒12内の上方の回転板14aよりも上部で、霧化筒12の外周面の一部に形成し、小型の熱交換器7bを連結する構成としている。つまり、送風機8からの空気を霧化筒12の下方の空気流入口10に強制的に流入させ、霧化筒12内を下から上向きに通風して、霧化筒12の上方の空気流出口11から排出する構成としている。
【0026】
次に、図3および図4を用いて霧化筒12内の構成について詳細に説明する。
【0027】
複数の回転板14a〜14c外周の霧化筒12内面には、回転軸13方向に突出させた複数の水破砕板17a〜17cを設けている。
【0028】
水破砕板17a〜17cは、図4に示すように、回転板14a〜14cの外周に略均等な間隔で配置されており、各水破砕板17a〜17cの回転板14a〜14cに対向する面は、各回転板14a〜14cの接線に対して略直交する衝突面を構成している。
【0029】
そして、複数の回転板14a〜14c間の霧化筒12内面には、霧化筒12内の水を捕集する水捕集手段として、上面が開口する樋状に形成した環状の貯水部18a、18bを設けている。そして、この貯水部18a、18bにより捕集した水を下方の回転板14b、14c上に供給する捕集水供給手段として、上面が開口する樋状の水路19a、19bが設けられている。
【0030】
つまり、図3に示すように、貯水部18aおよび水路19aは上方の回転板14aと中段の回転板14bとの間に、貯水部18bおよび水路19bは中段の回転板14bと最下段の回転板14bとの間に、それぞれ霧化筒12内面の上下方向に間隔をあけて配置している。したがって、貯水部18aおよび水路19aは、水破砕板17aと水破砕板17bとの間に、貯水部18bおよび水路19bは、水破砕板17bと水破砕板17cの間に設け、霧化筒12内壁の上下方向に交互に設ける構成としている。
【0031】
また、複数の水破砕板17a〜17cは、図3および図4に示すように、貯水部18a,18bの内周よりも回転軸13の方向に突出するように構成している。
【0032】
これにより、空気流入口10から霧化筒12内に送風したときには、霧化筒12内壁と回転板14a〜14cとの隙間を上昇する空気が、貯水部18a,18bの内周、および水路19a,19bの外壁、ならびに水破砕板17a〜17cの表面と接触する構成となっている。
【0033】
次に、図3および図4を用いて、霧化筒12内の貯水部18a、18bおよび水路19a、19bの構成について説明する。
【0034】
本実施の形態においては、霧化筒12内壁の空気流出口11に対応する下方部分は、水路19a,19bの貯水部18a,18bへの非連結部20としている。一方、霧化筒12の非連結部20外周の霧化筒12の内周部分は、水路19a,19bの貯水部18a,18bへの連結部21としている。
【0035】
上述の霧化筒12の連結部21においては、環状に形成した貯水部18a,18bに水路19a,19bを連結する構成としているので、貯水部18a,18bが霧化筒12内面で捕集した水を、水路19a,19bを介して下方の回転板14b,14cに供給することができる。
【0036】
一方、上述の霧化筒12の非連結部20においては、貯水部18a,18bに水路19a,19bを連結しない構成としている。すなわち、霧化筒12内壁の空気流出口11に対応する下方部分には、水路19a,19bを設けないので、霧化筒12内の空気流出口11側の風路を上昇する空気が水路19a,19bと接触することがなく、風路を妨げない構成としている。
【0037】
また、本実施の形態では、図3および図4に示すように、霧化筒12の非連結部20の空気流出口11部分は略直線状に形成している。そして、略平板状の熱交換器7bを、非連結部20上方に形成した空気流出口11に連結した構成としている。霧化筒12の非連結部20は略平面状に形成し、霧化筒12の下部まで水路19a,19bの貯水部18a,18bへの非連結部20としている。
【0038】
また、霧化筒12の上面から見ると、図4のように、霧化筒12内壁には、非連結部20と連結部21との接続部分を外側に膨出させた膨出部22を形成している。
【0039】
本実施の形態では、霧化筒12の空気流出口11に対応する下方部分である非連結部20は略平面状に形成し、霧化筒12全体を略角筒形状に構成し、非連結部20と連結部21との接続部分は、略直角に屈折させることで、上述の膨出部22を構成としている。この膨出部22を形成したことにより、霧化筒12の空気流出口11側の風路を膨らませ、この結果、空気流出口11側の風路の断面積を拡大した構成となっている。
【0040】
また、貯水部18a,18bと水路19a,19bは上部を開口した樋状に形成している。
【0041】
そして、図4に示すように、貯水部18a,18bの底面はそれぞれ、水路19a,19bとの連結部分に向かって下方に傾斜する構成としており、さらに、本実施の形態においては、貯水部18a,18bの水路19a,19bとの連結部分の間には分水嶺23を設けているので、貯水部18a,18bで捕集した水が水路19a,19bとの連結部分に向かって流れるように構成している。
【0042】
また、水路19a,19bはそれぞれ、回転板14b,14cそれぞれの上面に向かって下方に傾斜した構成とし、それぞれ水路19a,19bを介して水が下方の回転板14b,14dの上面に供給される構成としている。
【0043】
そして、図4に示すように、霧化筒12内壁の連結部21において、略等間隔に貯水部18a,18bに連結し、水路19a,19bそれぞれから下方の回転板14b,14cへ略均一に水供給するように構成している。
【0044】
以上のような構成において、次に動作を説明する。
【0045】
図1のサウナ室1内において、サウナを使用する場合、まず、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源から、パイプ3aを介し、図2に示す熱交換器7aに高温の温水が循環供給されて加熱運転状態となる。また、循環する温水の一部または水道管3bからの水は、図2に示す水供給手段15へと供給される。水供給手段15に供給される水は、極めて少量であって、この時点では、水供給手段15から排出されていない。
【0046】
図2に示す吸込口4を介して本体ケース6内に吸引された空気は、霧化筒12の上流側に配置されている大容量の熱交換器7aで加熱され、高温乾燥状態で送風機8により霧化筒12の空気流入口10に強制的に流入され、霧化筒12内を下側から上向きに、霧化筒12の内壁と複数の回転板14a〜14c、貯水部18a、18bおよび水路19a、19bならびに水破砕板17a〜17cとの隙間を通風し、空気流出口11に向けて送風されている。
【0047】
また、図2に示す霧化筒12の天面上方に配置したモータ16により回転軸13は高速回転させており、その状態で、水供給手段15により、上方の回転板14a上に水が供給される。
【0048】
すると、上方の回転板14aの外周から水が接線方向に勢いよく飛散され、回転板14aの接線に対して略直交する水破砕板17aの衝突面に衝突して霧化される。また、飛散した一部の霧化粒子は霧化筒12の内面に衝突してさらに霧化が促進される。このようにして霧化された霧化粒子は図2の送風機8によって霧化筒12の空気流入口10から空気流出口11に向けて流れる温風に搬送され、熱交換器7bで再加熱後、図2に示す本体ケース6の排気口5を介して図1のサウナ室1の天井排気口(図示せず)からサウナ室1内に高温多湿の蒸気として供給される。
【0049】
また、霧化筒12内で水破砕板17aや内壁に衝突したが霧化されなかった比較的大きな粒子は、貯水部18aにより捕集された後に樋状の水路19aを介して下方の回転板14b上に供給され、次に回転板14bの外周から水が勢いよく飛散されて、回転板14bの外周に沿って設けた水破砕板17bの衝突面と衝突して霧化され、また一部は霧化筒12の内面に衝突して霧化が促進される。このように霧化された霧化粒子は送風機8により、霧化筒12の空気流入口10から空気流出口11に向けて流れる温風に搬送され、熱交換器7bで再加熱後、図2に示す本体ケース6の排気口5を介してサウナ室1の天井排気口(図示せず)からサウナ室1内に供給される。
【0050】
以降この繰り返しが3段の回転板14a〜14cで行われ、十分な量の霧化粒子が温風とともにサウナ室1内に供給される。
【0051】
このような作用により、霧化筒12内で上方の回転板14aに少量の水を供給して、上方の回転板14aや上方の水破砕板17aでは霧化できなかった水を貯水部18aにより捕集して水路19aにより下方の回転板14bに供給し、下方の水破砕板17bにより霧化を促進している。この工程を3段の回転板14a〜14cで繰り返すことにより、供給したほぼすべての水を霧化することができるので、水の霧化効率を向上することができる。
【0052】
そして、上述のとおり、霧化筒12外周面の上方に形成した空気流出口11に対応する下方部分は、水路19a,19bを設けない非連結部20としているので、霧化粒子の再液化を抑えて霧化効率を向上することができる。
【0053】
すなわち、空気流入口10から霧化筒12内へと送風された高温の空気は、霧化筒12内での気化作用により、空気流出口11に向けて上昇するにつれて温度が低下し、飽和水蒸気量が低下する。このため、回転板14a〜14cにより生成された霧化粒子は、空気中ですべてが気化することなく、微細な粒子形状を維持したまま、空気流入口10から霧化筒12内に送風される空気により運搬される。
【0054】
このように霧化筒12内を上昇する空気は、霧化粒子を含んだ状態で、回転板14a〜14cと、貯水部18a,18bの外壁面、水路19a,19bの外壁面、そして水破砕板17a〜17cとの隙間を通過することになる。このとき、霧化筒12内を上昇する空気により搬送される霧化粒子は、貯水部18a,18bや水路19a,19bの外底面に付着して凝縮し、再液化しやすい状態となるが、本実施の形態においては、霧化筒12の空気流出口11の下方部分は、水路19a,19bを設けない非連結部20としているので、霧化粒子の再液化を抑えることができる。
【0055】
つまり、霧化筒12内壁と回転板14a〜14cの外周との隙間を上昇する空気の風量は均一ではなく、霧化筒12内を上昇するにつれて、回転軸13より空気流出口11側の風量が増加するため、回転軸13より空気流出口11側を通過する霧化粒子の量は、霧化筒12内風路の他の部分に比べて多くなっている。
【0056】
したがって、霧化筒12の回転軸13より空気流出口11側を通過する霧化粒子は、特に、霧化筒12の空気流出口11に対応する下方部分、すなわち霧化筒12内壁の非連結部20や、貯水部18a、18bの外底面および水路19a,19bの外底面に付着しやすくなっている。
【0057】
このため、空気流出口11に対応する下方部分を、水路19a,19bの貯水部18a,18bへの非連結部20とする構成ではなく、この下方部分にも水路19a,19bを貯水部18a,18bに連結する構成としてしまうと、上述のように霧化筒12の回転軸13より空気流出口11側を通過する多くの霧化粒子が水路19a,19bの外底面に付着し、そこで凝縮して再液化しやすくなる。その一方で、霧化筒12の回転軸13より空気流出口11側の隙間を空気流出口11に向かって上昇する空気の風量が他の部分に比べて多くなっているために、水路19a,19bの外底面に付着した霧化粒子が再液化した水滴は、水路19a,19bの外底面に付着したままそこで保持されてしまうので、この結果として水路19a,19bの外底面から回転板14b、14cへと水が流れず、回転板14b、14cに水を再供給することができなくなってしまう。
【0058】
そして、水路19a,19bの外底面で再液化した水滴がさらに成長し、下方から吹き付ける温風でもそのまま保持できないほど大きく成長すると、水滴は重力により下方に滴下しやすくなり、その結果として、加湿運転を続けると、回転軸13より空気流出口11側では、水路19a,19bの外底面から多量の水滴が、回転板14a〜14cと霧化筒12内壁や環状の貯水部18a,18bとの隙間から霧化筒12の下方に滴下することとなる。
【0059】
以上のように、仮に回転軸13より空気流出口11側にも水路19a,19bを貯水部18a,18bに連結する構成とした場合には、上方の回転板14aに供給した水を下方の回転板14b、14cに再供給して効率的に霧化することができなくなるが、本実施の形態においては、空気流出口11に対応する下方部分を水路19a,19bの貯水部18a,18bへの非連結部20としているので、空気流出口11付近での霧化粒子の再液化を防止することができる。
【0060】
なお、本実施の形態では霧化筒12の空気流出口11に対応する下方部分は、水路19a、19bの貯水部18a、18bへの非連結部20としているが、図4に示すように、霧化筒12内壁から回転板14a〜14c方向に突出させた水破砕板17a〜17bを設けている。しかし、水破砕板17a〜17bは板状に形成しているので、樋状に形成した水路19a、19bとは異なり、外底面に霧化粒子が付着して再液化することがなく、結果として、霧化効率を妨げることがない。
【0061】
また、霧化筒12内壁や、霧化筒12内壁に環状に形成した貯水部18a、18bの外底面に付着した霧化粒子が凝縮し、再液化した場合には、再液化した水滴は重力により霧化筒12の内壁を伝って下方に流れ落ちて貯水部18a、18bに捕集され、水路19a,19bにより下方の回転板14b、14cの上面に再供給して霧化することができる。
【0062】
さらに、本実施の形態では非連結部20外周の霧化筒12の内周部分を水路19a,19bの貯水部18a,18bへの連結部21としているので、水路19a、19bの外底面に付着した霧化粒子が再液化したとしても、再液化した水滴は回転板14b,14cの上面に向かって下方に傾斜する水路19a、19bの外底面を伝わって、下方の回転板14b〜14c上へと再供給され、再度霧化することができる。
【0063】
以上に述べたように、霧化筒12内の上方の回転板14aに少量の水を供給し、霧化できなかった水を貯水部18a,18bで捕集して、霧化筒12内の連結部21において水路19a、19bを介して下方の回転板14b,14cに再供給することにより、供給したほぼすべての水を霧化することができる。そして、霧化筒12内の非連結部20には水路19a、19bを貯水部18a,18bに連結していないので、水路19a、19bによって空気流出口11付近で霧化粒子が再液化するのを防止でき、その結果として本実施の形態の液体微細化ユニット9では、水の霧化効率を向上することができる。
【0064】
以上のように、本実施の形態の液体微細化ユニット9を内臓した液体微細化装置3をサウナ運転に利用すると、水の霧化効率を向上させることが可能となる。
【0065】
さらに、本実施の形態によれば、従来液体微細化装置をサウナ運転に利用する場合に必要であったサウナ室1への排水経路の設置工事が不要となって工事性が良好となる。
【0066】
つまり、上記構成と動作によれば、供給した水を3段の回転板14a〜14cによって霧化し、十分な量の霧化された水が蒸気としてサウナ室1内に供給される一方、霧化筒12の下方へと滴り落ちる水の量を極めて少なくすることができるので、排水処理が不要となり、サウナ室1の美観を保つことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように本発明は、上下方向に配置された霧化筒と、前記霧化筒内に上下方向に配置された回転軸と、この回転軸の上下方向に所定間隔をおいて配置された複数の回転板と、これら複数の回転板のうち、上方の回転板上に水を供給する水供給手段と、これら複数の回転板間の前記霧化筒内面に設けた環状の水捕集手段と、この水捕集手段により捕集した水を下方の回転板上に供給する捕集水供給手段とを備え、前記霧化筒は、下方に空気流入口、上方に空気流出口を有し、前記空気流出口は、前記霧化筒内の上方の回転板よりも上部で、前記霧化筒の外周面の一部に形成し、前記空気流出口に対応する下方部分は、前記捕集水供給手段の前記水捕集手段への非連結部とし、この非連結部外周の前記霧化筒の内周部分は、前記捕集水供給手段の前記水捕集手段への連結部とする構成としたので、水の霧化効率を向上させることができる。
【0068】
また、従来必要であった排水経路の設置工事が不要となって工事性が良好となり、サウナ室内の美観も保てるものとなる。
【符号の説明】
【0069】
1 サウナ室
3 液体微細化装置
4 吸込口
5 排気口
6 本体ケース
7a,7b 熱交換器
8 送風機
9 液体微細化ユニット
10 空気流入口
11 空気流出口
12 霧化筒
13 回転軸
14a、14b、14c 回転板
15 水供給手段
16 モータ
17a、17b、17c 水破砕板
18a、18b 貯水部
19a、19b 水路
20 非連結部
21 連結部
22 膨出部
23 分水嶺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に配置された霧化筒と、前記霧化筒内に上下方向に配置された回転軸と、この回転軸の上下方向に所定間隔をおいて配置された複数の回転板と、これら複数の回転板のうち、上方の回転板上に水を供給する水供給手段と、これら複数の回転板間の前記霧化筒内面に設けた環状の水捕集手段と、この水捕集手段により捕集した水を下方の回転板上に供給する捕集水供給手段とを備え、前記霧化筒は、下方に空気流入口、上方に空気流出口を有し、前記空気流出口は、前記霧化筒内の上方の回転板よりも上部で、前記霧化筒の外周面の一部に形成し、前記空気流出口に対応する下方部分は、前記捕集水供給手段の前記水捕集手段への非連結部とし、この非連結部外周の前記霧化筒の内周部分は、前記捕集水供給手段の前記水捕集手段への連結部とする構成とした液体微細化ユニット。
【請求項2】
前記霧化筒の前記非連結部の前記空気流出口部分は略直線状に形成した請求項1に記載の液体微細化ユニット。
【請求項3】
前記霧化筒の前記非連結部は、前記霧化筒の下部まで前記捕集水供給手段の前記水捕集手段への非連結部とした請求項1に記載の液体微細化ユニット。
【請求項4】
前記霧化筒の前記非連結部と前記連結部との接続部分を、外方に膨出させた膨出部を形成した請求項1に記載の液体微細化ユニット。
【請求項5】
前記水捕集手段および前記捕集水供給手段は、樋状に形成した請求項1から4のいずれか一つに記載の液体微細化ユニット。
【請求項6】
前記水捕集手段の底面は、前記捕集水供給手段との連結部分に向かって下方に傾斜する構成とした請求項5に記載の液体微細化ユニット。
【請求項7】
前記捕集水供給手段は、前記霧化筒の前記連結部において略等間隔に前記水捕集手段へ連結する構成とした請求項1から6のいずれか一つに記載の液体微細化ユニット。
【請求項8】
吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ本体内風路に第1の加熱手段と送風機と請求項1から7のいずれか一つに記載の液体微細化ユニットとを備えた液体微細化装置。
【請求項9】
前記液体微細化ユニットの下流に第2の加熱手段を設けた請求項8記載の液体微細化装置。
【請求項10】
前記第2の加熱手段は、前記霧化筒の前記空気流出口に連結する構成とした請求項9に記載の液体微細化装置。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか一つに記載の液体微細化装置を、サウナ室の天井部に設けたサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−234947(P2011−234947A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109806(P2010−109806)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】