説明

液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置

【課題】液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置において、非微細化液体の排出のための配管施工を解消し、施工工事を簡単にすることを目的とする。
【解決手段】吸込口4と排気口5を有する本体ケース6と、吸込口4と排気口5を結ぶ風路に設けた熱交換器7およびファンモータ8a、液体微細化手段9と、この液体微細化手段9と排気口5を結ぶ風路24に設けた補助熱交換器23とを備え、液体微細化手段9は、回転手段13と、上方の回転板16aに液体を供給する上供給手段と、下方の回転板16bに液体を供給する下供給手段18とを有し、この下供給手段18は貯水手段19とこの貯水手段19から下方の回転板16bへ液体を供給する水路20とを有し、液体微細化手段9と補助熱交換器23を結ぶ風路24の上面にこの風路24の一部を遮るようにリブ25を設け、このリブ25の端部に対応する補助熱交換器23の部分に導水路26を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、サウナ装置に用いられる液体微細化装置の構成は、次のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の通気路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と排気口間に設けた微細化手段とを備え、前記微細化手段は、給水管から液体を噴射させる構成となっていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−63103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例で課題となるのは、ノズルから噴出された液体のうち、微細化できなかった液体を排出するために、サウナ室に配管を施工しなければならず、施工作業が煩雑になるということである。
【0006】
すなわち、ノズルから液体を噴出して液体を微細化するタイプのものでは、液体を完全に微細化することができず、サウナ装置に残った大量の非微細化液体を処理するためにサウナ室に配管を延長して、この非微細化液体をサウナ室に排出するようになっている。このような配管をサウナ室に美観的に施工するのは非常に煩雑な作業となっている。
【0007】
そこで本発明は、施工作業を簡単に行えるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた送風手段および第1の加熱手段と、この第1の加熱手段と前記排気口を結ぶ風路に設けた液体微細化手段と、この液体微細化手段と前記排気口を結ぶ風路に設けた第2の加熱手段とを備え、前記液体微細化手段は、上下方向に開口した筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段とを有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸の軸方向に所定間隔で固定した複数の回転板とを有し、前記液体供給手段は、上方の回転板に液体を供給する上供給手段と、下方の回転板に液体を供給する下供給手段とを有し、この下供給手段は、前記筒状の経路の内壁に設けた貯水手段と、この貯水手段から下方の回転板へ液体を供給する水路とを有し、前記液体微細化手段と第2の加熱手段を結ぶ風路の上面に、この風路を通る風の上層部分の一部が衝突するリブを前記風路の上面から下方に突出形成し、このリブは中央部から両端部に向けてその下面と前記風路の下面との距離が短くなるように形成し、このリブの両端部に対応する前記第2の加熱手段の部分には、前記液体微細化手段への導水路を設けた構成とし、これにより、上記目的を達成している。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明は、液体微細化手段を、回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段とにより構成することにより、液体微細化手段において、高速で回転する回転手段に微細化に必要な最低限の液体を供給して液体を微細化するので、結果として、液体の微細化時に大量の排液が発生しないものとなる。
【0010】
また、液体微細化手段と第2の加熱手段を結ぶ風路の上面にリブを設け、このリブは中央部から両端部に向けてその下面と前記風路の下面との距離が短くなるように形成し、このリブの端部に対応する第2の加熱手段の部分に導水路を設けたことにより、液体微細化手段で微細化されずリブに衝突して付着した非微細化液体の風路内での第2の加熱手段への落下を防ぎ、非微細化液体を液体微細化手段に戻すことができるので、非微細化液体の排出のための配管施工を解消することができ、その結果として、施工作業が簡単になるという効果を奏する。
【0011】
しかも、液体微細化手段で微細化されず残った非微細化液体を第2の加熱手段を通過させないため、非微細化液体内のスケールによる第2の加熱手段の目詰まりを防ぐことができるとともに、第2の加熱手段を通過する気流の流速のバラツキを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図
【図2】同液体微細化装置の垂直断面の構成図
【図3】(a)同液体微細化装置の内部(加湿用風路)の斜視図、(b)同液体微細化装置の内部(加熱用風路)の斜視図
【図4】同液体微細化手段の垂直断面の構成図
【図5】同風路内部の斜視図
【図6】同導水路下部の構成図
【図7】同開口の構成図
【図8】(a)同風路の他の構成を示す斜視図、(b)同風路内部の他の構成を示す斜視図
【図9】同リブの構成を示す拡大図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図であり、この図1に示すように、サウナ室1の天井面2には、液体微細化装置3が取り付けられている。
【0015】
図2は本発明の実施の形態における液体微細化装置の垂直断面の構成図、図3は同内部の斜視図、図4は同液体微細化手段の垂直断面の斜視構成図、図5は同風路内部の斜視図、図6は同導水路下部の構成図、図7は同開口の構成図、図8は同風路内部の他の構成を示す斜視図である。
【0016】
液体微細化装置3は、図2と図3に示すように、吸込口4と排気口5を有する本体ケース6と、この本体ケース6内の吸込口4と排気口5とを結ぶ風路に設けた第1の加熱手段としての熱交換器7および送風手段としてのファンモータ8aと、このファンモータ8aと排気口5との間に設けた液体微細化手段9とを備えた構成としている。
【0017】
なお、本実施の形態では、一例として、吸込口4と排気口5とを結ぶ風路は、吸込口4から熱交換器7を通過後、図3(a)に示す、液体微細化手段9を経由する加湿用の風路(矢印A)と、図3(b)に示す、液体微細化手段9を経由しない加熱用の風路(矢印B)の2風路に分岐した構成としている。
【0018】
まず、加湿用の風路(矢印A)構成から説明する。
【0019】
図2に示すように、ファンモータ8aから液体微細化手段9へ通じる風路は、ケーシング10aとダクト11aにより形成されており、矢印Aに示すように、筒状の経路12の下側開口に接続している。
【0020】
液体微細化手段9は、吸込口4と排気口5とを結ぶ風路(加湿用の風路)内の筒状の経路12と、この筒状の経路12の内部に設けた回転手段13と、この回転手段13に液体を供給する液体供給手段として、上方の回転板16aに液体を供給する上供給手段と、下方の回転板16bに液体を供給する下供給手段18とを有し、上供給手段として給水管14を備えている。
【0021】
回転手段13は、上下方向に向けて配置した回転軸15を有し、この回転軸15の軸方向に、回転軸15を中心として回動する複数の回転板16a,16bを所定間隔で固定している。本実施の形態では、回転軸15の上方に設けた1枚の回転板16aと、下方に設けた3枚の回転板16bを設けた構成としている。
【0022】
回転手段13の上部には、回転軸15を駆動するためのモータ17を備え、回転手段13の下部には、モータ17の駆動により高速回転する回転軸15および複数の回転板16a,16bを支えるための保持部(図示せず)を備えている。
【0023】
筒状の経路12の内壁には、内壁に付着した液体を下方の回転板16bへと供給する下供給手段18として、環状形状の貯水手段19および水路20を設けている。
【0024】
また下供給手段18は、筒状の経路12の内壁に付着した液体を下方の回転板16bへと供給するために、本実施の形態では、上方の回転板16aと下方の回転板16bとの間に、筒状の経路12の内壁に沿って貯水手段19を設け、この貯水手段19から下方の回転板16bへと液体を供給する水路20を設ける構成とする。
【0025】
また、図4(a)(b)に示すように、筒状の経路12の上方の外側には、第2の加熱手段として設けた補助熱交換器23と本体ケース6に囲まれた風路24が形成され、この風路24の上面に、風路24の上流側に向けて凸形状であるリブ25を設けている。また図4(b)に示すようにリブ25の高さを風路24内の側面側より中央側を低くすることにより、リブ25の下面が中央部から両端部に向けて低くなるように形成されている。
【0026】
液体微細化手段9で加湿された空気は、矢印に示すように、風路24から補助熱交換器23を通り、排気口5へ導かれる。
【0027】
次に、液体微細化手段9を経由しない加熱用の風路(矢印B)構成を説明する。
【0028】
図3(b)の矢印Bで示すように、加熱用の風路は、ファンモータ8bからケーシング10bとダクト11bを経由し、排気チャンバー21内で、加湿用の風路(矢印A)と合流し、排気口5から排出される。なお、本実施の形態では、ファンモータ8aとファンモータ8bは、2ファン1モータで構成している。
【0029】
以上の構成において、次に動作(加湿用)を説明する。
【0030】
サウナ室1内において、サウナを使用する場合、まず、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源から、図1に示すパイプ22を介し、図2に示す熱交換器7に温水が供給される。
【0031】
この状態で、熱交換器7が運転され、図3(a)(b)に示すファンモータ8a、ファンモータ8bが駆動されると、ファンモータ8aが吸込口4を介してサウナ室1内の空気を吸い込み、吸い込まれた空気は熱交換器7によって加熱される。
【0032】
加熱された空気は、ファンモータ8aによって、ケーシング10aとダクト11aを介して、筒状の経路12の下側開口へと送られるとともに、ファンモータ8bによって、ケーシング10bとダクト11bを介して、排気チャンバー21に送られる。
【0033】
一方、モータ17が駆動されると、回転軸15が高速回転し、それにともない回転板16aおよび回転板16bが高速回転される。
【0034】
このとき、給水管14は、高速回転する上方の回転板16aの上面の中央近傍に水を供給する。上方の回転板16aに供給された水は、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、上方の回転板16aの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。以下本実施の形態では一例として液体が水の場合について説明する。
【0035】
このように、上方の回転板16aから遠心力で飛散し微細化された水の一部は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が加速される。
【0036】
このように、給水管14から上方の回転板16aの上面に供給された水は、この時点で大部分が微細化され、筒状の経路12の下側開口から流入した加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となり、筒状の経路12の上側開口から流出する。
【0037】
一方、上方の回転板16aの回転によって筒状の経路12の内壁に衝突しても微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴は、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水手段19に流れ落ち、貯水される。貯水手段19に貯まったわずかな水は、貯水手段19の底部に設けた傾斜により各水路20に向かって流れ、水路20を介して、貯水手段19の三方向から、下方の回転板16bへと運ばれる。
【0038】
このように、上方の回転板16aに供給された温水は、上方の回転板16aが高速回転することによって大部分が微細化されるのに加え、わずかに残った微細化されなかった一部の水滴も、筒状の経路12に設けた下供給手段18を介して、高速回転する下方の回転板16bへと運ばれ、上方の回転板16aと同様に下方の回転板16bが高速回転することにより、微細化が行われる。
【0039】
すなわち、筒状の経路12の内壁から、貯水手段19および水路20を介して、下方の回転板16bに供給されたわずかな水滴は、高速回転による遠心力で下方の回転板16bの外周方向に向かって薄膜状に広がって、外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされ、吹き飛ばされた水滴が筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進されるとともに、筒状の経路12内を下から上へ流れる高温低湿の乾燥空気と混合し、ほぼ完全に微細化される。
【0040】
一方、筒状の経路12の下側開口から液体微細化手段9へ流入した高温低湿の乾燥空気は、まず下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされた水と接触し、水を微細化して、湿度が上昇するとともに、気化熱を奪われ、温度は少し下がった空気となる。
【0041】
次に筒状の経路12内を下から上へ上昇し、上方の回転板16aの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされた水と接触し、水を微細化して、さらに湿度が上昇するとともに、さらに気化熱を奪われ、温度の低下した空気となる。
【0042】
この温度の低下した空気を第2の加熱手段として設けた補助熱交換器23を通過させることにより温度を上昇させ、さらに排気チャンバー21内で、加熱用の風路(矢印B)と合流し高温高湿の空気として排気口5からサウナ室1の内部へ供給するのである。
【0043】
このとき、液体微細化手段9と補助熱交換器23とを結ぶ風路24の上面に、この風路24を通る風の上層部分の一部が衝突するリブ25を風路24の上面から下方に突出形成し、このリブ25は中央部から両端部に向けてその下面と風路24の下面との距離が短くなるように形成されている。
【0044】
この複数のリブ25と、このリブ25の端部に対応する補助熱交換器23の部分に設けた導水路26により、液体微細化手段9で微細化されず残った非微細化水を液体微細化手段9に戻すことができ、再度微細化できるのである。
【0045】
液体微細化手段9から風路24への空気の流入は図4の矢印で示すように斜め上方向で、風路24の上面に当たるため、複数のリブ25を風路24の上面に設けることにより、非微細化水が含まれていた場合には、リブ25の液体微細化手段9側に非微細化水の水滴が付着する。
【0046】
この付着した水滴は、気流によりリブ25の端部に移動するが、リブ25は風路24の上流側に向けて凸形状であるため、付着した水滴のリブ25の端部への移動は促進される。さらにリブ25は中央部から両端部に向けてその下面と風路24の下面との距離が短くなるように形成しているため、重力の作用も働き、付着した水滴のリブ25の端部への移動はより促進され、風路24内での補助熱交換器23への落下を防ぐことができる。
【0047】
そしてリブ25の端部に移動した水滴は、風路24の側面を伝って下降し、補助熱交換器23のリブ25の端部に対応する部分に設けた導水路26に到達する。このとき図に示すように風路24内の側面の上下方向に壁面ガイド27を設けることにより、水滴が気流に飛ばされることなく、風路24の側面を下降できる。
【0048】
また、壁面ガイド27と導水路26とは、図に示すように間隙を有しており、壁面ガイド27を伝って下降し導水路26に到達した水滴の流れを妨げないようにしている。
【0049】
導水路26は補助熱交換器23と同様に傾斜しており、水滴を液体微細化手段9側に流すことができる。ここで図に示すように、導水路26は一端を上側に折り曲げ樋形状に構成しており、導水路26上を流れる水滴が補助熱交換器23を通過する気流に吸引されるのを防止できる。
【0050】
導水路26上を液体微細化手段9側に流れた水滴は、図6に示す筒状の経路12の開口28を通り、貯水手段19へ流下する。すなわち、開口28は貯水手段19の上側に設け、導水路26は開口28内の下側に当接するように設けている。
【0051】
貯水手段19へ流下した水滴は、前述したように、各水路20に向かって流れ、水路20を介して、貯水手段19の三方向から、下方の回転板16bへと運ばれ、再び微細化される。
【0052】
筒状の経路12の開口28には、図7に示すように開口遮蔽板29を設けている。筒状の経路12内は、下から上への気流があるため、この気流により貯水手段19内の水滴が風路24内へ逆流するのを防止している。
【0053】
以上のような構成と動作によれば、上述のとおり、図4〜図6に示すように、液体微細化手段9から風路24へ流入した空気に含まれる非微細化水を、風路24の上面に設けたリブ25により捕捉し、風路24の側面まで移動させ、壁面ガイド27により導水路26まで落下させ、導水路26上を筒状の経路12の開口28まで傾斜に従い流し、開口28から貯水手段19へ流下させることにより、再度微細化させることができる。
【0054】
すなわち、非微細化水を貯めずに液体微細化手段9に繰り返し戻すことにより、給水管14により供給した液体をほとんど微細化でき、わずかに残った非微細化水を特別に排出せずとも、液体微細化手段9に残った熱によって自然に乾燥できる程度の分量となるので、微細化できなかった液体を排水として処理するための配管施工の工事が不要となり、結果として、サウナ装置の施工作業が簡単になるという効果を奏する。
【0055】
また、液体微細化手段で微細化されず残った非微細化水が補助熱交換器23を通過しないように、通過前に回収したため、非微細化水内のスケールによる補助熱交換器23の目詰まりを防ぐことができる。
【0056】
さらに、リブ25を風路24の上面に設けることにより、液体微細化手段9から風路24へ流入した空気の上面に近い流れの一部を下向きに変えることにより(図4の矢印、途中から下向きに屈曲)、補助熱交換器23を通過する気流の流速のバラツキを低減できる。
【0057】
また、図4において風路24の上面は平らとし、リブ25の高さを風路24内の側面側より中央側が低くすることにより、リブ25の下面が中央部から両端部に向けて風路24の下面との距離が短くなるように形成したが、図8(a)に示すように風路の上面を、中央部から両端部に向けて前記風路の下面との距離が短くなるように傾斜させ、リブ25の下面を風路24の上面と平行に傾斜させる、すなわち図8(b)に示すようにリブ25の高さを傾斜部では同じ高さ(例えば10mm)とすることによっても、リブ25の下面が中央部から両端部に向けて風路24の下面との距離が短くなるように形成できる。傾斜の角度は、付着した水滴のリブ25の端部への移動が重力の作用により促進されればよく、10〜30°、好ましくは20°である。
【0058】
また、リブ25の高さは風路24の上流側を下流側より低く形成しており、上流側のリブ25に水滴が付着しすぎないようにし、下流側までのリブ25全体で水滴を回収できる。
【0059】
次に図9を用いてリブ25の構成を説明する。
【0060】
図9に示すように、リブ25の厚みCはリブ25の間隔Dより大きくしている。すなわち、付着した水滴がリブ25の下面を伝って落下せず端部まで移動できるように、リブ25の厚みCは5mm前後必要である。リブ25の間隔Dは液体微細化手段9から風路24へ流入した非微細化水を含んだ空気が間隙に流れ込み、間隙の上面で水滴が成長してリブ25の下面まで到達せずに落下してしまわないようにリブ25の厚みCより小さくしている。なお、厚みC、間隔Dは後述するように略台形であり、寸法C、Dは各々の平均値である。
【0061】
また、リブ25の長手方向の断面は、下底が上底より小さい略台形としている。間隙内で付着した水滴がリブ25の下面まで移動しやすいからである。
【0062】
また、リブ25の長手方向の断面の下底両端は、湾曲面(R)をつけている。角部で水滴が落下しにくくするためであるが、付着した水滴をリブ25の下面を伝って落下せず端部まで移動させるには水滴径より大きい直線部も必要であり、Rは1mm以下が好ましい。
【0063】
なお、本実施の形態では給水管14から水を供給する場合で説明したが、熱交換器7に供給される温水を利用してもよく、温水を利用した場合補助熱交換器23による加熱量を低減、あるいは排気口5からサウナ室1の内部へ供給する空気の温度を高くできる。
【0064】
このように、上記の液体微細化装置3をサウナ室1に設置してサウナ装置として利用した場合、供給した液体をほぼ完全に微細化することができ、わずかに残った非微細化水を特別に排出せずとも、液体微細化手段9に残った熱によって自然に乾燥できる程度の分量となるので、微細化できなかった温水を排水として処理するための配管施工の工事が不要となり、結果として、サウナ装置の施工作業が簡単になるという効果を奏する。
【0065】
しかも、液体微細化手段で微細化されず残った非微細化水を第2の加熱手段を通過させないため、非微細化水内のスケールによる第2の加熱手段の目詰まりを防ぐことができるとともに、第2の加熱手段を通過する気流の流速のバラツキを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明の液体微細化装置は、液体を効率よく、ほぼ完全に微細化することが可能となるため、微細化されなかった液体を特別に排出しなくても自然に乾燥させることもできるので、排液手段を別途設ける必要のないものとなる。
【0067】
したがって、例えば、サウナ装置、加湿装置、冷却装置、噴霧装置、洗浄装置、植物育成設備等への活用が期待される。また、温水だけでなく、油や洗剤等のその他の液体の微細化設備にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
4 吸込口
5 排気口
6 本体ケース
7 熱交換器
8a、8b ファンモータ
9 液体微細化手段
10a、10b ケーシング
11a、11b ダクト
12 筒状の経路
13 回転手段
14 給水管
15 回転軸
16a、16b 回転板
17 モータ
18 下供給手段
19 貯水手段
20 水路
21 排気チャンバー
22 パイプ
23 補助熱交換器
24 風路
25 リブ
26 導水路
27 壁面ガイド
28 開口
29 開口遮蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた送風手段および第1の加熱手段と、この第1の加熱手段と前記排気口を結ぶ風路に設けた液体微細化手段と、この液体微細化手段と前記排気口を結ぶ風路に設けた第2の加熱手段とを備え、前記液体微細化手段は、上下方向に開口した筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段とを有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸の軸方向に所定間隔で固定した複数の回転板とを有し、前記液体供給手段は、上方の回転板に液体を供給する上供給手段と、下方の回転板に液体を供給する下供給手段とを有し、この下供給手段は、前記筒状の経路の内壁に設けた貯水手段と、この貯水手段から下方の回転板へ液体を供給する水路とを有し、前記液体微細化手段と第2の加熱手段を結ぶ風路の上面に、この風路を通る風の上層部分の一部が衝突するリブを前記風路の上面から下方に突出形成し、このリブは中央部から両端部に向けてその下面と前記風路の下面との距離が短くなるように形成し、このリブの両端部に対応する前記第2の加熱手段の部分には、前記液体微細化手段への導水路を設けたことを特徴とする液体微細化装置。
【請求項2】
前記液体微細化手段と第2の加熱手段を結ぶ風路の上面を、中央部から両端部に向けて前記風路の下面との距離が短くなるように傾斜させて、前記リブは中央部から両端部に向けてその下面と前記風路の下面との距離が短くなるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の液体微細化装置。
【請求項3】
前記リブの高さは、前記液体微細化手段と第2の加熱手段を結ぶ風路内の側面側より中央側が低い請求項1に記載の液体微細化装置。
【請求項4】
前記リブは、前記液体微細化手段と第2の加熱手段を結ぶ風路の上流側に向けて凸形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項5】
前記リブを複数設けた請求項1から4のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項6】
前記風路の下流側に向けて配置した複数のリブは、前記液体微細化手段と第2の加熱手段を結ぶ風路の上流側のリブの高さが下流側のリブの高さより低い請求項5に記載の液体微細化装置。
【請求項7】
前記風路の下流側に向けて配置した複数のリブの厚みは、前記リブの間隔より大きい請求項1から6のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項8】
前記リブの長手方向の断面は、下底が上底より小さい略台形である請求項1から7のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項9】
前記略台形であるリブの長手方向の断面の下底両端は、湾曲面を有する請求項8に記載の液体微細化装置。
【請求項10】
前記液体微細化手段と第2の加熱手段を結ぶ風路内の側面の上下方向に壁面ガイドを設けた請求項1から9のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項11】
前記壁面ガイドの下端と前記導水路とは、間隙を有している請求項10に記載の液体微細化装置。
【請求項12】
前記導水路は、前記第2の加熱手段側の一端を上側に折り曲げ樋形状に構成した請求項1から11のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項13】
前記貯水手段より上側の前記筒状の経路部分に導水開口を設け、この導水開口内の下側に前記導水路が当接するように構成した請求項1から12のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項14】
前記筒状の経路内の導水開口部に開口遮蔽板を設け、この開口遮蔽板は、前記開口を所定間隔あけて覆うように構成した請求項13に記載の液体微細化装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の液体微細化装置をサウナ室に設置したサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−160946(P2011−160946A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26187(P2010−26187)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】