説明

液体燃料燃焼装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燃焼不良を防止することができる液体燃料燃焼装置に関する。
【0002】以下、図3及び図4を参照して従来の技術を説明する。従来の液体燃料燃焼装置には、室内の空気を燃焼用空気として取り入れ、燃焼によって生じた排気をそのまま室内に徘出する開放式液体燃料燃焼装置と、室外の空気を燃焼用空気として取り入れ、排気も室外に排出する密閉式液体燃料燃焼装置とがある。
【0003】開放式液体燃料燃焼装置は、図3に示すように、燃料油タンク19と、この燃料油タンク19から落下した液体燃料3を貯蔵する補助燃料油タンク1と、気化器4と、前記補助燃料油タンク1から液体燃料3を送油パイプ7を介して気化器4に移送する電磁ポンプ2と、気化器4内にあって液体燃料3の気化を促進させる気化素子10と、この気化素子10を加熱するために気化器4の外壁に取り付けられたヒータ15と、気化器4で気化された気化燃料13を噴射するノズル5と、このノズル5から噴射された気化燃料13を燃焼用空気14との混合気として燃焼させるバーナ6と、前記ノズル5を開閉制御する電磁弁8と、この電磁弁8と補助燃料油タンク1との間に設けた逃がしパイプ9と、前記気化器4及びバーナ6を取り付けたバーナボックス16とを備えている。なお、火−多15はノズル5が変質油や不純液体燃料で詰まらないように液体燃料3を300℃程度に加熱する働きもしている。
【0004】一方、密閉式液体燃料燃焼装置は、図4に示すように、バーナ6と気化器4とをバーナカバー50の内部に配置し、当該バーナカバー50内に室外からの燃焼用空気14を送油ポンプ30で送り込み、排気が熱交換機70を通過して室外に排出され、送風用ファン71によって温風が室内に供給されるようになっている他は、上述した開放式液体燃料燃焼装置と略同様である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような液体燃料燃焼装置には以下のような問題点がある。すなわち、開放式液体燃料燃焼装置にあっては、燃焼作動中にはノズル5は燃焼用空気14が直接当たることによりノズル5が冷却され、気化燃料13に含まれるタールがノズル5に付着するので、比較的短い運転時間で燃焼不良が生じるという問題点がある。また、この開放式液体燃料燃焼装置において、実開昭60−143219号記載のようにノズルの先端部に遮蔽板を設けると、ノズルの先端部に乱流が生じるため、十分な燃焼用空気を吸引することができなくなる。また、密閉式液体燃料燃焼装置にあっては、燃焼用空空気14のノズル5のみな3らず、バーナ6事態にも当たるので、点火した直後のバーナ6の温度は低い。このため、ノズル5から噴射された気化燃料13がバーナ6内で再液化して混合気の濃度が低くなるので、着火不良が発生しやすくなる。さらに、着火はしても燃料熱でバーナ6の温度が上昇すると、バーナ6内の気化した燃料が再気化するので、混合気の濃度が高くなり、赤火となる異常が発生する。さらに、開放式液体燃料燃焼装置及び密閉式液体燃料燃焼装置に使用される気化気4は、燃料供給口41とノズル5とが両端部、すなわち気化素子10の両端部にあるので、両者の温度差が大きく液体燃料3に含まれるタールが気化素子10の一部に偏って付着し、燃焼不良が発生する。
【0006】本発明は上記事情に鑑みて創案されたものであって、燃焼不良が発生しない液体燃料燃焼装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するために、請求項1に係る液体燃料燃焼装置は、液体燃料を気化させる気化器と、この気化器で気化された気化燃料を噴射するノズルと、このノズルの先端から噴射された気化燃料を燃焼用空気との混合気として燃焼させるバーナとを備えた液体燃料燃焼装置において、前記ノズルの周囲に、当該ノズルを覆い燃焼用空気が前記ノズルに接触することを防止する円錐台状のカバー設け、該カバーの頂面をノズル先端側に配置したことを特徴としている。
【0008】
【実施例】図1は請求項1記載の発明に係る液体燃料燃焼装置の概略的構成図、図2は気化気のノズルとそれに取り付けられたカバーとの斜視図である。なお、従来のものと略同一の部品等には同一の符号を付して説明を行なう。
【0009】請求項1記載の液体燃料燃焼装置について図1及び図2を参照しつつ声明する。本液体燃料燃焼装置は、いわゆる開放式液体燃料燃焼装置であって、液体燃料3を気化させる気化器4と、この気化器4で気化された気化燃料13を噴射するノズル5と、このノズル5から噴射された気化燃料13を燃焼用空気14との混合気として燃焼させるバーナ6とを備えており、ノズル5の周囲に、燃焼用空気が前記ノズルに接触することを防止するカバー17が設けられている。
【0010】気化器4のノズル5は、図2に破線で示すように円錐台状に形成されており、中心に噴射孔51が開設されている。気化器4は、このノズル5がバーナ6の開口部に対向するように配置される。
【0011】前記カバー17は、前記ノズル5を覆う円錐台部171と、この円錐台部171の縁部に形成されたフランジ部172とが一体に形成されたものである。前記円錐台部171は、カバー17をノズル5に取り付けてもノズル5に直接接触することがないような寸法に設定されている。すなわち、カバー17とノズル5との間に空気層が存在することができるように設定されているのである。これは、カバー17の熱伝導でノズル5が冷却されるのを防止するためである。前記カバー17のフランジ部172が気化器4の外壁に固定されることによって、当該カバー17はノズル5に取り付けられる。このカバー17は、頂面をノズル5の先端側に配置しているのである。
【0012】電磁ポンプ2から送油パイプ7を介して気化器4に供給された液体燃料3は、気化素子10によって気化される。気化燃料13は、ノズル5からバーナ6に向かって噴射されるが、その際、周囲の空気を燃焼用空気14としてバーナ6内に導入する。従って、バーナ6内では気化燃料13と燃焼用空気14との混合気が形成され、この混合気が燃焼するのである。ノズル5の周囲にはカバー17が取り付けられているので、バーナ6に導入される燃焼用空気14はノズル5に直接当たらず、ノズル5を冷却することもない。
【0013】なお、この実施例では、開放式液体燃料燃焼装置を例に挙げたが、本発明がこれに限定されるものではなく、密閉式液体燃料燃焼装置にも適用することができるのは勿論である。
【0014】

【発明の効果】
本発明に係る液体燃料燃焼装置は、液体燃料を気化させる気化器と、この気化器で気化された気化燃料を噴射するノズルと、このノズルの先端から噴射された気化燃料を燃焼用空気との混合気として燃焼させるバーナとを備えた液体燃料燃焼装置において、前記ノズルの周囲に、当該ノズルを覆い燃焼用空気が前記ノズルに接触することを防止する円錐台状のカバーを設け、該カバーの頂面をノズル先端側に配置した。
【0015】このため、この液体燃料燃焼装置によると、気化器のノズルに取り付けられたカバーのために燃焼用空気のバーナに対する導入に際してのノズルの冷却の度合いが従来のものより低い。このため、ノズルが冷却されることに起因するタールのノズルに対する付着が発生しないので燃焼不良は発生しにくい。
【0016】しかも、円錐台状のカバーの頂面を気化燃料を噴射するノズルの先端側に配設したので、前記カバーの外側に沿って流れる燃焼用空気が前記ノズルの先端より噴射される気化燃料と十分に混合されることができ、燃焼用空気が気化燃料と十分に混合されずに前記気化燃料によって乱流となることを確実に防止することができる。従って、前記乱流が発生して十分な空気が吸引されなくなることを確実に防止することができ、乱流の発生による燃焼不良を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明に係る液体燃料燃焼装置の概略的構成図である。
【図2】図1に示す液体燃料燃焼装置における気化器のノズルとそれに取り付けられたカバーとの斜視図である。
【図3】従来の液体燃料燃焼装置の概略的構成図である。
【図4】従来の液体燃料燃焼装置の概略的構成図である。
【符号の説明】
3 液体燃料
4 気化器
5 ノズル
6 バーナ
10 気化素子
13 気化燃料
14 燃焼用空気
17 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体燃料を気化させる気化器と、この気化器で気化された気化燃料を噴射するノズルと、このノズルの先端から噴射された気化燃料を燃焼用空気との混合気として燃焼させるバーナとを備えた液体燃料燃焼装置において、前記ノズルの周囲に、当該ノズルを覆い燃焼用空気が前記ノズルに接触することを防止する円錐台状のカバー設け、該カバーの頂面をノズル先端側に配置したことを特徴とする液体燃料燃焼装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【特許番号】第2714722号
【登録日】平成9年(1997)11月7日
【発行日】平成10年(1998)2月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−59537
【出願日】平成3年(1991)2月28日
【公開番号】特開平4−273903
【公開日】平成4年(1992)9月30日
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【参考文献】
【文献】実開 昭60−143219(JP,U)