説明

液体試料を採取するための試料採取システム用の組み合わせ駆動部

少なくとも1つの分析補助手段112を有する液体試料を採取するための試料採取システム110が提案されている。試料採取システム110は、分析補助手段112と連結するための連結部材152と、連結部材152の静止位置から偏向位置への移動を駆動するための少なくとも1つの駆動ユニット160とを有する。駆動ユニット160は、様々な回転方向への回転運動を発生させるように構成されているエネルギー変換機162を有する。駆動ユニット160は、少なくとも1つの回転方向感知部材194、218;242を備えた連結装置を有し、この連結装置は、第1回転方向では、エネルギー変換機162を第1システム機能に連結し、第1回転方向とは異なる第2回転方向では、エネルギー変換機162を、第1システム機能とは異なる第2システム機能に連結するように備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの分析補助手段を用いて液体試料の採取するための試料採取システムに関する。本発明は、さらに、液体試料を採取する方法にも関する。この種の試料採取システムおよび方法は、体液の少なくとも1つの検体、たとえば代謝産物とくに血糖の濃度を測定するために、とくに、病院領域、介護施設領域または「家庭での監視(ホームモニタリング)」概念の領域における医学診断に用いられる。
【背景技術】
【0002】
体液、たとえば間質液の血液試料、またはこれ以外の試料を検査することにより、臨床検査において、病理学状態の早期および信頼性のある識別が可能であり、体の状態を目的に応じて、かつ根拠に基づいて管理することが可能である。医学診断は、通常、検査を行う個人の血液または間質液から試料を採取することを前提としている。
【0003】
試料を採取するために、検査すべき人の皮膚、たとえば指腹または耳たぶに、殺菌した先のとがった、または鋭利なランセットを用いて孔を開け、分析のために数マイクロリットル以下の少量の血液を採取することができる。この方法は、とくに、試料採取直後に試料の分析が行われる場合に適している。
【0004】
とくに、いわゆる「ホームモニタリング」の領域においては、すなわち家で医学に詳しくない人が、血液または間質液の簡単な分析を自身で行い、それも、とくに糖尿病患者が、血糖濃度を管理するために規則的に1日に何度も血液の採取をする。この領域では、ランセットおよびこれに適した機器(いわゆる穿刺補助部)が提案され、これにより、痛みが少なく再現性のある試料採取が可能となっている。このようなランセットおよび機器(穿刺補助部)は、たとえば、国際公開第98/48695号パンフレット、米国特許第4,442,836号明細書、米国特許第5,554,166号明細書または国際公開第2006/013045号パンフレットの対象物である。
【0005】
このように、血糖を自らの手で測定することは、今日世界中で糖尿病の管理において広まっている方法である。従来技術の血糖機器は、通常、中に検査部材(検査帯)が挿入された分析機器を有する。検査部材は、これ以前に穿刺補助部を用いてたとえば指腹から採取された試料滴と接触する。
【0006】
液体試料、たとえば、血液または尿などの体液の分析には、しばしば分析機器が用いられるが、分析されるべき試料は、検査部材の検査域上に置かれ、この検査域で、必要な場合分析前に、1つまたは複数の試薬と反応する。検査部材の、光学的とくに測光および電気化学的な評価は、試料の検体濃度の迅速な決定のために行われる最も一般に使用されている方法である。試料分析のために検査部材を用いる分析システムは、一般に分析、環境分析の分野、および、とくに、医学診断の分野で用いられている。毛細管血からの血糖診断の領域では、測光または電気化学的に評価される検査部材はとくに大きな意義を有する。
【0007】
種々の形態の検査部材が存在する。公知であるのは、たとえば、実質的に四角形の、スライドとも称される小さい板であり、その中央に複数層の検査域が設けられているものである。帯状に形成された診断検査部材は、検査帯と称される。従来技術では、検査部材について、包括的に、たとえば、加国特許出願公開第2311496号明細書、米国特許出願公開第5,846,837号明細書、米国特許出願公開第6,036,919号明細書または国際公開第97/02487号パンフレットの文献に説明されている。
【0008】
従来技術でさらに公知の複数層の検査部材は、多数の検査域を備えた分析テープである。この分析テープは、カセットに巻き付けられ、分析機器で用いられるために配設されている。このようなカセットおよび分析テープは、たとえば、独国特許出願公開第10332488号明細書、独国特許出願公開第10343896号明細書、欧州特許出願公開第1424040号明細書、国際公開第2004/056269号パンフレットおよび米国特許出願公開第2006/0002816号明細書の文献に説明されている。
【0009】
多数のシステム構成要素(ランセット、穿刺補助部、検査部材および分析機器)は広い空間を必要とし、相対的に複雑な操作を前提とする。それと同様、高度に統合されしたがって操作が容易であるシステムも出てきており、たとえば、検査部材が分析機器に収納され、測定のために利用可能となる。小型化への次の一歩は、たとえば、複数の機能または機能部材を唯一の分析補助手段(ディスポ)への統合により達成されうる。検査部材上での穿刺過程と感知分析濃度の検出とを適切に組み合わせることにより、たとえば、操作の流れは明らかにより容易になりうる。
【0010】
米国特許出願公開第2006/0155317号明細書より、皮膚の表面に刺し傷をつけるためのランセット装置が公知であるが、この装置は、ランセットと試料収容ユニットとを備えた参照部材形態の統合された検査部材を有する。検査部材は、一度ランセット装置の連結機構に固定連結される。連結機構の第1位置において、連結棒および連接棒により、検査部材のランセットが操作され、穿刺用移動を行う。続いて、連結機構全体が、この中に固定接続された検査部材と共に、揺動移動により、第2位置へと動かされ、ここには、穿刺位置を越えたところに、試料を収容するための検査部材の試料収容路の開口部がある。
【0011】
国際公開第2005/107596号パンフレットからは、テープ上に互いに距離を隔てた多数のランセットを設けることが公知である。ある実施の形態によれば、テープはランセットのみならず、ランセットのうちの1つにそれぞれ関連付けられる多数の検査部材もその上に支持している。したがって、多数の互いに距離を隔てて配された分析補助手段を有するテープであり、これにより、穿刺過程と試料収納過程とを1つの試料採取システムに統合することが可能になる。
【0012】
統合測定システムにとっては、外形寸法がとくに重要である。統合システムの1つの目的は、従来の統合されていないシステムよりもあまり大きくない機器を提供することでなければならない。この方向での1つのアプローチは、1つの移動の経過が複数の機能を担う組み合わせ駆動部を用いることにある。たとえば、国際公開第2006/013045号パンフレットには、電気で駆動されるモーターが、一方では、機械的なエネルギー貯蔵部にエネルギーを与え、同時にまたはこれとは時間的に依存せず、さらなるシステム機能を作動するシステムが公知である。このシステムの機能は、たとえば、カートリッジの搬送または検査部材の搬送でありうる。モーターを時間的に順次、様々な機能のために使用するために、モーターを、まさに所望される対応するシステム機能に能動的に連結し、または、このシステム機能からの連結を解除する歯車装置または連結部が提案される。様々な連結システムが提案されている。
【0013】
国際公開第2006/013045号パンフレットに提案された装置は、したがって、より高い統合度への実質的な一歩を示している。しかし、ここに全ての統合の可能性が出つくしているわけではない。というのも、国際公開第2006/013045号パンフレットに提案されたシステムには、依然として、通常別の駆動部でエネルギーを供給せねばならないさらなるシステム機能が存在する。さらに、駆動部をさらなるシステム機能と連結させる国際公開第2006/013045号パンフレットで提案された能動的な連結部材は、技術的に労力がかかり、状況によっては障害に対して弱い。
【発明の概要】
【0014】
発明の目的
したがって、本発明の目的は、試料採取システム、とくに上述の記載による試料採取システムであって、液体試料とくに体液を採取するのに適し、かつ公知のシステムの欠点を防ぐ試料採取システムを提供することにある。とくに、この試料採取システムは、高度に統合され、この試料採取システムの様々なシステム機能のために容易で障害に弱くない組み合わせ駆動部を提供すべきである。
【0015】
発明の説明
この目的は、請求項1の特徴を有する試料採取システムにより達成される。個々におよび組み合わせて実現可能である本発明の有利なさらなる構成は、従属請求項に示されている。全請求項の文言は、これにより本明細書の内容を成している。
【0016】
提案された試料採取システムは、とくに、検体検出、たとえば血糖の定性的および/または定量的検出を行うために、液体試料とくに体液を採取するように備えられるべきである。「試料採取システム」とは、この液体試料を発生させ、および/または、液体試料を受容し、および/または、受容した試料を少なくとも部分的にすでに処理する、すなわち、全体的にまたは部分的に分析するために設けられたシステムとして理解されるべきである。「試料採取システム」の概念の概念内容は、ここまで広く解釈されるべきである。
【0017】
試料採取システムは、少なくとも1つの分析補助手段を有する。この分析補助手段は、たとえば、試料の受容、試料の生成、試料の分析、これらの作用の組み合わせまたは類似の課題を担うことができる。特に好ましくは、分析補助手段は、液体試料の分析の為に少なくとも1つのランセットおよび/または少なくとも1つの検査域を備えた少なくとも1つの検査部材を有する。たとえば、ランセットとは、ランセット針先またはとがった部材を備えたランセットのことでありえ、たとえば、指腹または耳たぶの領域で皮膚部分に孔を開けるのに適している。この検査部材は、たとえば、上述の検査部材のうちの1つにより構成されることができ、たとえば、それぞれ適切な検出用化学物質を用いた光学的な検体検出および/または電気化学的な検体検出用の検査域を含むことができる。
【0018】
とくに好適であるのは、複数の分析補助手段を設けるか、または、分析補助手段のサブユニット(たとえば、複数個のランセットおよび/または複数個の検査部材)を複数個有する1つの分析補助手段を設けることである。たとえば、試料採取システムは、複数の分析検査部材を受容し配設するのに適した部材、たとえば、とくにドラム弾倉カートリッジ、棒状カートリッジ、列状カートリッジまたはジグザグカートリッジなどのカートリッジ、多数の分析補助手段を備えた分析テープ、上に複数の分析補助手段が配置されている分析板、または、これらの多数の分析検査部材を配設し使用することができる類似の部材を有する。特に好適であるのは、本発明の枠内で、分析補助手段が分析テープを有し、この分析テープ上にランセットおよび/または検査域が多数配置されている場合である。この場合、ランセットと検査域とが交互に配されているのも好ましく、その結果、たとえば、各ランセットが、それぞれ後置される1つの検査域に割り当てられる。ランセットのみを有するテープ、および、検査域のみを有するテープも、本発明の枠内で適用されうる。上にランセットが配置された分析テープは、「テープ上のランセット(lancet on tape)(LOT)分析テープ」として公知である。「テープ」という概念は、「分析テープ」との関連で、好ましくはこの分析テープが連続的な担体帯を有し、たとえば、ポリマー材料(たとえば、ポリエステル薄膜)、紙材料または接合材料製の担体帯であると理解される。しかし、「テープ」という概念は、連続的なテープに限定されず、原理的には、隣接する分析補助手段(たとえば、ランセットおよび/または検査部材)を連続的に接続する技術を包含し、たとえば、これらの分析補助手段を適用位置へと連続的に供給することを含む。したがって、たとえば、リンクチェーン、ホックおよびホックの留め金による接続、中間部材を介した接続部、または、隣接する分析補助手段間の類似の様式の連続接続もこの概念に共に含まれる。さらに、本発明は、分析テープの使用に限定されず、たとえば、分析補助手段のこれ以外の配設方法にも採用されうる点が指摘される。
【0019】
この試料採取システムは、分析補助手段に連結するための連結部材と、この連結部材の静止位置から偏向位置への移動を駆動するための少なくとも1つの駆動ユニットとを有する。この連結は、好ましくは、分析補助手段(たとえば、ランセット)の使用後に、再びこれとの連結が行われ、続いて新たに次の分析補助手段(たとえば、検査部材、たとえば、同じ分析テープ上に、先に使用されたランセットと同様に配置された検査部材)が連結されうるように行われる。
【0020】
連結とは、とくに、物理的な接触を作ることとして理解され、連結解除とは、この接触の放棄または分離であると理解されうる。連結部材は、能動的におよび/または受動的に、適用位置の分析補助手段に連結され、これにより、この分析補助手段を、規定された路を1つまたは複数の偏向位置へ移動させる。異なる様式の分析補助手段のために、様々な偏向位置が設けることができ、たとえば、検査部材による試料受容のための偏向位置や、ランセットの穿刺用移動用の偏向位置を設けることができる。
【0021】
「能動的な」連結とは、連結部材による分析補助手段との様々な様式の連結であると理解されうる。したがって、たとえば、連結部材は、分析補助手段を、たとえばグリッパーおよび/または他の様式で形成された開閉機構を用いて、能動的に把持し、これにより、能動的な連結および連結解除が可能となる。これに反して、この意味合いで受動的な連結とは、能動的な開閉なしに連結を行うことと理解され、すなわち、たとえば、連結部材により、分析補助手段に単純に力をかけること、または、錨爪により連結を行うことであると理解される。
【0022】
能動的な連結または受動的な連結は、別の意味合いで理解することも可能である。この場合も、連結部材により、分析補助手段を能動的または受動的に駆動するとの意味合いで、2つの可能性が実現可能である。能動的な連結とは、連結部材が分析補助手段に、(たとえば、形状連結および/または締め付け連結により、たとえば、ランセットまたは検査部材の把持により、または、錨爪を用いた微細構造により行われ、これらは、連結部材が引き戻される場合には、ランセットまたは検査部材も共に引き戻す)ように連結され、その結果ランセットまたは検査部材の、偏向位置から静止位置への帰還移動も、連結部材によりガイドされ、および駆動されると理解されうる。これに反して受動的な連結の場合は、連結部材は分析補助手段(たとえばランセットまたは検査部材)を偏向位置へスライドするまたは押す。分析補助手段の静止位置への帰還移動は、追加的な駆動部材により行われねばならず、たとえば、バネ(ランセットまたは検査部材の偏向時には引っ張られ、かつ引張り解除の際にはランセットまたは検査部材に作用する)により行われ、その結果、ランセットまたは検査部材の静止位置への帰還移動が行われる。
【0023】
分析補助手段への連結部材の連結は様々な方法で行われうるが、たとえば、分析補助手段の構成に合わせることができる。基本的には、任意の駆動部が用いられうるが、この駆動部は、分析補助手段の所定分だけ巻き上げるのに適したものである。例として、偏心駆動部、膝継ぎ手駆動部または類似の駆動部を挙げることができる。しかし、本発明の枠内では、とくに分析テープが用いられる場合には、連結部材が、連接駆動部および/またはクランク駆動部を有するのがとくに好ましい。連接駆動部は、たとえば連接棒を有しうる。連接駆動部および/またはクランク駆動部は、適用位置に配置された分析補助手段に連結されるように構成されるべきである。「適用位置」とは、本発明の枠内では、試料採取システムの試料採取機能のために、分析補助手段が投入されうる位置であると理解されるべきである。たとえば、ランセットが皮膚部分に孔を開けるために穿刺用移動を行う位置、および/または、検査部材が液体試料を収集または受容するために投入される位置である。この双方の場合において、分析補助手段(すなわち、1つの場合ではランセットが、もう一方の場合には検査部材)が、上述の機能を担うために、静止位置から偏向される。異なる様式の分析補助手段(たとえば、ランセットおよび検査部材)が設けられる場合、これらの異なる様式の分析補助手段のために複数の適用位置が設けられうる。すべての分析補助手段に対して、1つの同一の適用位置が用いられるのが好ましい。たとえば、適用位置は、試料採取システムの筐体にある開口を含み、たとえば、蓋またはスライダーにより閉鎖可能な開口である。
【0024】
連結部材の移動を駆動する駆動ユニットは、エネルギー変換機を有する。このエネルギー変換機は、好ましくは電気機械エネルギー変換機として構成されている。「電気機械エネルギー変換機」とは、本発明の枠内では、電気エネルギーを、たとえば電気エネルギー供給部(たとえば、電線)を介しておよび/または電気エネルギー貯蔵部(たとえば、蓄電池、乾電池または容量)を介して準備された電気エネルギーを、機械エネルギーに変換するよう備えられた変換機であると理解されるべきである。この際、本発明の枠内では、とくに電気モーターの使用が好ましい。または、追加的に、エネルギー変換機は、これ以外の様式の電気機械エネルギー変換機を有してもよく、これらはたとえば、アクチュエーター、ポンプもしくは類似の変換機またはこれらの変換機の組み合わせである。原理的には、好適であるとして投入される電気から機械へ(すなわち、電気機械)エネルギー変換機の代わりに、任意のこれ以外の様式のエネルギー変換機も考えることができ、したがって、エネルギー形式を機械エネルギー、好ましくは回転エネルギーに変換するために備えられている変換機も考えることができる。たとえば、機械的に操作される駆動部、したがって、機械から機械へのエネルギー変換機も可能である。この点では、エネルギー変換機という概念は、広い意味合いで解釈され、基本的にはエネルギー形態(たとえば電気および/または機械エネルギー)を移動エネルギーに変換するいかなる様式の駆動部も包含するべきである。
【0025】
エネルギー変換機は、異なる回転方向を含む回転運動を発生させるように構成されている。電気モーターを使用する際には、たとえば、単純な極性変換により行われることができ、これにより、回転方向の逆転が行われる。
【0026】
本発明の基本的な思想は、(好ましくは電気機械)エネルギー変換機のこの異なる回転方向を、様々なシステム機能のために利用することにより、試料採取システムの統合度を高めるという点にある。このために、駆動ユニットは、さらに連結装置を有し、この連結装置が、エネルギー変換機に連結されることができ、これにより準備される機械的なエネルギー、とくに回転エネルギーを、様々なシステム機能に供給しうる。このために、連結装置は、少なくとも1つの回転方向感知部材を有し、エネルギー変換機を、第1回転方向では、少なくとも1つの第1システム機能に連結し、第1回転方向とは異なる第2回転方向では、第1システム機能とは異なる少なくとも1つの第2システム機能に連結するよう備えられている。したがって、回転方向感知部材を用いることにより、様々なシステム機能間での切り替えが可能となる。
【0027】
システム機能の連結または連結解除とは、各システム機能を活性化させ、およびこれを使用するか、非活性化させ、およびもはやこれを使用しないという、試料採取システムの作用のことであると理解されるべきである。この際、第1および/または第2システム機能とは、試料採取システムの多数の可能な機能またはそのような機能の組み合わせでありえる。特に好適であるのは、第1システム機能および/または第2システム機能は、試料採取システムの以下の機能の少なくとも1つを含むことであり、これらは、分析補助手段のランセットの穿刺用移動を駆動すること、分析補助手段の検査部材を試料受容用に移動させること、ランセットの穿刺用移動を駆動するために、エネルギー貯蔵部、とくに機械的なエネルギー貯蔵部(たとえばバネ部材)を引っ張ること、分析補助手段を適用位置に配設するために、分析補助手段を搬送する機能、分析補助手段(とくに、分析補助手段の検査部材)を測定位置(とくに、検査部材を光学的および/または電気化学的に評価するための測定位置)に配設するために、分析補助手段を搬送する機能、適用位置で分析補助手段をカートリッジから配設するために、試料採取システムのカートリッジを搬送する機能(たとえば、カートリッジのさらなるタイミング取り)、分析補助手段を適用位置に配設するために、複数の分析補助手段を含む分析テープを搬送する機能(たとえば、検査部材を配設するために分析テープのさらなるタイミングを取ること、および/または、ランセットを配設するためにさらなるタイミングを取ること)、および、分析補助手段を適用位置に配設するために、複数の分析補助手段を含む分析板を搬送する機能である。または、追加的に、これ以外のシステム機能も採用可能である。単一の周期の枠内で、様々な段階で何度もその回転方向に回転されるような周期を使用可能で、全体としてまたは部分的に、異なるシステム機能がそれぞれ連結される。たとえば、1周期は、4つの段階を含みうる。
−第1段階:第1回転方向へ回転、システム機能Aと連結
−第2段階:第2回転方向へ回転、システム機能Bと連結
−第3段階:第1回転方向へ回転、システム機能Cと連結
−第4段階:第2回転方向へ回転、システム機能Dと連結
【0028】
しかし、これ以外の構成も考えられ、たとえば、4つの段階よりも少ないまたは多い段階を有する周期、および/または、1つの段階に複数のシステム機能を連結させること、および/または、様々な段階で1つのシステム機能の連結を繰り返すこと(すなわち、たとえば、上述の例ではシステム機能Aとシステム機能Cとが同一である)が考えられる。少なくとも1つの第1システム機能と、少なくとも1つの第2システム機能とは、それぞれ1つまたは複数のシステム機能を含みうる。複数の第1システム機能および/または第2システム機能とが存在している場合には、これらは、たとえば同時に、時間的に重複して、または、時間的にずらして行われることができる。これらは、たとえば、エネルギー変換機の同一の回転方向で、異なる角度位置において、複数のシステム機能が連結され、後に例に基づいて詳細に説明するように、たとえば、一部分に歯のついた歯車またはこれに類似の連結機構により行うことができる。別の方法では、複数のシステム機能を、同じ回転方向で時間的にずらして連結することも可能である。同じ方向の回転に複数のシステム機能を時間的にずらして連結する重要な例は、エネルギー貯蔵部を引っ張りまたは付勢し、続いて解除する工程である。さらなる例については、以下に詳述する。
【0029】
異なるシステム機能を活性化またはこれにエネルギーを供給するために、エネルギー変換機の2つの異なる回転方向を用いると提案した試料採取システムは、システムの複雑さおよびシステムの信頼性に関して、従来の統合型の試料採取システム(たとえば、上述した、従来技術より後置のシステム)に対して多数の利点がある。したがって、とくに双方の回転方向を利用することにより、統合度は顕著に高まる。さらに、(たとえば、国際公開第2006/013045号パンフレットに記載された連結機構による)個々のシステム機能の能動的な連結および連結解除は、必須ではなくなる。したがって、システム機能を連結または連結解除するための独立した連結運動(追加的なアクチュエーター、使用者の関与などを必要とする)を省略することができる。様々なシステム機能が、たとえば、電気モーターまたはこれ以外の様式で形成されたエネルギー変換機の回転方向のみにより活性化されるか、または連結でき、たとえば、試料採取システムの電子制御部により容易に実現可能である。たとえば、このために、試料採取システムは、制御部、たとえば、マイクロコンピュータおよび/またはこれ以外の様式の電子制御部を有し、エネルギー変換機の回転方向が予め与えられることにより、異なるシステム機能に連結される。このようにして、追加的な連結部材の操作を必要とせずとも、試料採取システムの作動の個々の段階またはタイミング周期が、容易に制御可能となる。
【0030】
試料採取システムは、様々な方法で、さらに有利に構成することができる。このさらなる構成は、とくに、試料採取システムの機能性に依存しうる。試料採取システムが、たとえば、皮膚部分に孔を開けるためのランセットを有する場合には、試料採取システムが、さらに1つの機械的なエネルギー貯蔵部を有するのがとくに好ましい。この機械的なエネルギー貯蔵部は、分析補助手段のランセットの穿刺用移動のためにエネルギーを出力し、このエネルギーが連結部材を介してランセットに伝えられるように備えられるべきである。この連結は、好ましくは、ランセットの穿刺用移動時には、約2〜3m/秒の速度に達するように形成され、その結果、機械的なエネルギー貯蔵部として、好ましくは蓄積されたエネルギーを迅速に出力する位置にあるエネルギー貯蔵部を利用する。このために、とくにエネルギー貯蔵部は、バネ部材、たとえば、コイルバネ、螺旋バネ、リーフバネ、皿バネまたはこれ以外の様式のバネ部材を含むのが有利であると判明している。さらに、追加的に、この機械的なエネルギー貯蔵部は、たとえばエラストマー部材(たとえば、圧縮および伸張により引張り可能なゴム部材)などの弾性部材を含むこともでき、その結果、エネルギーが貯蔵される。これ以外の様式のエネルギー貯蔵部も採用可能で、たとえば、空気圧蓄圧器またはこれ以外の様式の貯蔵部が採用可能である。
【0031】
この種の機械的なエネルギー貯蔵部を用いた場合、試料採取システムは、とくに貯蔵された機械的なエネルギーを急激に解除し、ランセットに伝えることができる装置を有するべきである。基本的には、多くの解除機構を採用することができるが、たとえば、解除のための機械的なスイッチを有する解除機構である。たとえば、このスイッチは、使用者の行動により活性化されうる。または、追加的に、この場合も、試料採取システムの電子制御部を介して活性化されうる。しかし、本発明の枠内で特に好適であるのは、ランセット移動の解除、すなわち、ランセットへのエネルギー貯蔵部のエネルギーの解除も、駆動ユニットを介して、とくにエネルギー変換機の回転運動を介して行われる場合である。このために、駆動ユニットは、たとえば歯車伝動装置を有することができ、歯車伝動装置は、エネルギー変換機の第1の角度位置領域において機械的なエネルギー貯蔵部を付勢し、これを付勢状態に留めるように備えられ、ここの歯車伝動装置は、さらに第2の角度位置領域においてエネルギー貯蔵部を解除し、ランセットの穿刺用移動のためにエネルギーを準備するように備えられている。このために、歯車伝動装置は、たとえば、1つまたは複数の部分的に歯のついた歯車を有し、この部分的に歯のついた歯車は、少なくとも1つの第1外周領域において、歯がついており、少なくとも1つの第2外周領域において、歯がついていない。「歯車」という概念は、この場合、広く解釈されるべきで、多くの可能な歯車システム、たとえば、平歯車、かさ歯車、ウォーム歯車、ラックピニオン、スピンドル歯車、丸穴車、遊星歯車または類似の物を含む。加えて、歯車伝動装置は、さらに遮断部を含み、この遮断部は、第1角度位置領域においては、エネルギー貯蔵部の所望しない付勢解除を妨げるように備えられている。たとえば、この遮断部は、第1角度位置領域におけるエネルギー貯蔵部の付勢解除を妨げるラチェットを有する。これ以外の様式の遮断部も、実現可能である。
【0032】
全体として、全駆動ユニットが、歯車システムを有し、上述の歯車システムが個々にまたは組み合わされて採用されうる。したがって、この場合も、歯車システムは、たとえば、以下の歯車装置部材、すなわち、平歯車装置、かさ歯車装置、ウォーム歯車装置、ラックピニオン、スピンドル歯車装置、丸穴車装置、遊星歯車装置のうちの1つまたは複数を含む。歯車システムは1つの平面に配置される。しかし、歯車伝動装置の個々の部材または複数の部材は、たとえば、かさ歯車装置の枠内で、この平面から突出することもできる。好ましくは、この歯車伝動装置の平面は、分析補助手段が偏向位置へ移動する平面、たとえば、検査部材の試料取得用移動または試料受容移動および/またはランセットのランセット移動が行われる平面でもあるのが好ましい。これにより、試料採取システム全体をとくに平坦な構成にすることができる。しかしながら、これ以外の構成も考えられ、たとえば、ランセットの移動および/または試料取得用移動を、歯車伝動装置の平面に対して垂直に行うことが考えられる。
【0033】
本発明の特に好適な実施の形態では、連結装置は、第1駆動輪と第2駆動部材とを有する。この第1駆動輪は、たとえば上述の歯車のうちの1つおよび/またはこの種の歯車の組み合わせでありうる。好ましくは第2駆動部材も輪として構成され、しかしながら、この場合、駆動棒を共に有しうる。この場合も、1つまたは複数の上述の歯車伝動装置を採用することができる。
【0034】
第1駆動輪は、エネルギー変換機と連結している。この連結は、直接連結であってもよいし、関節連結、すなわち、中間歯車または中間連結部を介して行われてもよく、第1駆動輪がエネルギー変換機を介して駆動可能であり、それも好ましくは両回転方向で駆動可能であるように行われている。第2駆動部材が、第1システム機能および/または第2システム機能と連結されている。第1駆動輪と第2駆動部材とは、回転方向感知部材により互いに接続されている。この回転方向感知部材は、第1回転方向(たとえば、時計回り方向または反時計回り方向)では、第1駆動輪と第2駆動部材とを互いに連結し、第2回転方向(たとえば、時計回り方向とは逆の方向または時計回り方向)では第1駆動輪と第2駆動部材との連結を解除するように構成されている。本発明のこのさらなる構成により、第1駆動輪と、第2駆動部材と、回転方向感知部材とを用いることにより、所定の回転方向を容易に設定することにより、システム機能は連結または連結解除されうる。
【0035】
特に好ましくは、2つ、またはなおいっそう多い回転方向感知部材により、第1駆動輪と接続された第2駆動部材が2つまたはなおいっそう多く備えられている場合である。この際、各回転方向感知部材は、第1駆動輪が、異なる回転方向で、それぞれ異なる駆動部材と連結されるように構成されている。したがって、たとえば、第1回転方向の第1駆動輪は、第1の第2駆動部材と連結され、第2回転方向では、第2の第2駆動部材と連結されうる。このようにして、それぞれ異なるシステム機能が第1駆動輪に連結されることができ、回転方向に応じて活性化されうる。回転方向感知部材の「回転方向感度」とは、この場合、第1駆動輪と第2駆動部材との連結が生じる方向か、連結解除が生じる方向であると理解されるべきである。これらの方向は、2つ以上の第2駆動部材についても、それぞれ異なるべきである。
【0036】
本発明のさらなる好適な構成は、回転方向感知部材の好適な構成に関する。したがって、特に好ましいのは、この回転方向感知部材が、少なくとも1つのフリーホイールを有する構成である。フリーホイールとは、2つの部材間の回転連結部であると理解されるべきで、この回転連結部は、これらの2つの部材の第1部材の一方の回転方向で、第2の部材との締め付け連結または形状連結を引き起こし(そして、これにより従動を引き起こし)、他方の回転方向では、この締め付け連結または形状連結が行われない。この種のフリーホイールは、一方向クラッチとも称される。
【0037】
フリーホイールは、従来技術より様々な実施の形態が公知である。本発明の枠内では、フリーホイールは、制動ローラーフリーホイール(「ローラー」とは、ローラーとも球体とも理解されうる)、制動子フリーホイール、ラチェットフリーホイール、摩擦遮断(Reibrichtsperren)フリーホイール、カムレバーフリーホイール、または、これらのフリーホイールおよび/またはこれ以外の様式のフリーホイールの組み合わせを含むのが特に好ましい。一般的なフリーホイールにおいて公知のフリーホイールの空動きの問題、すなわち、従動方向の回転領域(この従動方向であっても、従動が生じない回転領域)の問題を回避するために、フリーホイールは、さらに、少なくとも1つのフリーホイール遮断部を有することができる。フリーホイールの空動きを低減するためのこの種のフリーホイール遮断部は、従来技術より公知である。
【0038】
上述のフリーホイールの使用に代えて、または、追加的に、回転方向感知部材は、別の様式で構成することもできるか、別の様式の回転方向感知部材を有することもできる。この種の別の構成の回転方向感知部材は、たとえば、異なる平面で連結部を有し、各1つの回転方向に対して1つの平面が利用される。したがって、たとえば、回転方向感知部材は、エネルギー変換機に連結された第1駆動輪を少なくとも1つと、異なるシステム機能に連結され、かつ異なる平面に配置された第2駆動部材を少なくとも2つ有する。「駆動部材」という表現に関しては、この場合も、上述の可能性を指摘する。第1駆動輪は、第1回転方向では、第1平面上に配置され、第1の第2駆動部材に連結されるように備えられ、第1駆動輪は、第2回転方向では、第2平面上に配置され、第2の第2駆動部材に連結されるように備えられている。このような異なる平面の利用は、たとえば、第1駆動輪を第1の軸上に配置し、この軸にノッチまたはねじが設けられ、この中に、第1駆動部材の噛合部材(たとえば、ねじ部分、歯形付き部分、ピン、ボルトまたは針)が噛合することにより行われる。第1回転方向では、第1駆動輪は、第1回転方向で第1の面に「ねじこまれ」、これに反して、第2回転方向では、駆動輪は、第2の面に運ばれる(ねじこまれる)。異なる平面へこれ以外の方法で運ぶことも考えられる。この提案された可能性も、本発明の思想の実現を示しており、異なるシステム機能への連結のために、エネルギー変換機の異なる回転方向を利用することができる。
【0039】
1つの同一の回転方向でも、異なるシステム機能が互いに連結されることができる。したがって、たとえば、第1回転方向で2つ以上のシステム機能がエネルギー変換機に連結され、または、追加的に、第2回転方向で少なくとも2つの異なるシステム機能がエネルギー変換機に連結されるように、試料採取システムは構成されうる。
【0040】
特に好ましくは、本発明のさらなる構成の枠内で、回転方向のうちの1つ(すなわち、第1回転方向または第2回転方向)で、機械的なエネルギー貯蔵部にエネルギーが付勢されるシステム機能と、検査部材が偏向位置へと移送されかつ液体試料が検査部材の検査域上に塗布されうるシステム機能とが、同時にエネルギー変換機に連結される。エネルギー貯蔵部の付勢と試料取得用移動との連結は、この双方のシステム機能とも通常ゆっくりとした移動を必要とするので、とくに好ましい。したがって、たとえば、検査部材を用いた試料取得用移動、すなわち、たとえば、テープ上に配置された検査域を用いた血液滴の採取は、通常、数cm/秒の速度での運動で行われる。
【0041】
エネルギー貯蔵部の付勢と試料取得用移動とのための回転方向を組み合わせて利用する際に、エネルギー変換機が、第1回転方向とは異なる第2回転方向で、分析補助手段が適用位置に配設されるシステム機能に連結可能なように、連結装置が備えられる場合には、さらに、とくに好ましい。
【0042】
本発明では、異なるシステム機能に連結するために、同一の駆動ユニットを連結装置と共に投入すると、多くの場合で、これらのシステム機能が異なる様式の駆動エネルギーの準備を必要とするとの技術的な挑戦が生じる。したがって、たとえば、システム機能に応じて、準備すべき力、準備すべきトルク、準備すべきエネルギー量、連結時間またはこれ以外のパラメータが変動する。1つの同一のシステム機能内でも、最適な連結、または上述のパラメータおよび/またはこれ以外のパラメータのうちの1つまたは複数の最適なパラメータの準備は、試料採取システムの使用時間に渡って変わりうる。この種の変化の典型的な例は、通常、試料採取システムの搬送機能が連結されるべき際に生じる。重要な例は、1つまたは複数のテープ、たとえば分析テープ(複数の分析補助手段、たとえば、複数のランセットおよび/または検査部材または検査域を含む分析テープ)の搬送機能である。この種のテープは、たとえば、巻き付けおよび/または巻き取りにより配設されうる。この種のスプール(たとえば、物品巻き付け部および/または巻き取り部)への巻き上げ、または巻き解きの量が増えるにつれ、スプールへの巻き取り条件が変わるが、回転軸からのテープの繰り出し位置の距離が、長くまたは短くなるからである。したがって、たとえば、スプール上への巻き数が大きい際には、回転軸からの繰り出し点の距離が、巻き数が少ないときよりも長くなる。テープが所定の区間分だけ巻かれる場合には、したがって、回転角度または巻き付け角度は、回転軸からの距離に反比例しているので、小さい巻き数の場合よりも小さな回転角度のみが必要である。分析補助手段を常に適用位置および/または測定位置に正確に位置づけるためには、各システム機能への連結の普遍性を、試料採取システムの作動期間にわたって保証するようなさらなる技術的な方策が望ましい。
【0043】
本発明の好適な構成によれば、試料採取システムは、したがって、とくに少なくとも1つの駆動ユニットは、少なくとも1つのトルクリミッター(Rutschkupplung)を有する。トルクリミッターとは、本発明の枠内では、伝えられるべきトルクおよび/または伝えられるべき力に基づいて自動的に切り替えられる部材として理解されるべきである。したがって、トルクリミッターは、たとえば、最大力および/または最大トルクを有し、システム機能への連結に必要な力または必要なトルクが、この最大力または最大トルクを上回った場合には、自動的に連結を妨げる。または、逆方向への自動的な切り替えも可能であり、その結果、最大力または最大トルクより上では連結が行われ、これに反して、逆にこれ未満の場合にはこの連結が行われない。
【0044】
この種のトルクリミッターは、多くの様々な形態が公知である。したがって、少なくとも1つのトルクリミッター、たとえば、以下のトルクリミッターのうちの少なくとも1つを含む。これらは、締め付け連結トルクリミッター(とくに、摩擦クラッチを備えたトルクリミッター)、形状連結トルクリミッター(とくに、少なくとも1つのバネで付勢された第1噛合部材を備えたトルクリミッター)であって、最大力および/または最大トルクに達すると、少なくとも1つの第2噛合部材との噛合を解除するトルクリミッター、螺旋バネを備えたトルクリミッター、バネアームを備えたトルクリミッター、および柔軟性のあるプラスチックおよび/または金属製の部材を備えたトルクリミッターである。この種のトルクリミッターの様々な実施の形態については、以下に詳細に説明する。
【0045】
トルクリミッターは、しばしば、安全ラッチまたは過負荷クラッチとも称される。最大トルクおよび/または最大力は、この場合厳密に定義された値に一致せねばならないことはなく、トルクリミッターの連結と連結解除との間で、連続的におよび/または段階的に移行することができる。
【0046】
上述したように、トルクリミッターは、試料採取システムおよび/または駆動ユニットおよび/または連結装置内部の様々な位置で設けることができる。複数のトルクリミッターを採用することも考えられる。試料採取システムは、1つまたは複数のトルクリミッターを、全体としてまたは部分的に、様々な位置で有することができる。特に好ましいのは、駆動ユニットが少なくとも1つのトルクリミッターを有する場合である。または、追加的に、1つまたは複数のトルクリミッターを、試料採取システムの別の位置に設けることもできる。この場合、試料採取システム、とくに駆動ユニットは、本発明のさらなる構成という意味合いで、トルクリミッターを全体としてまたは部分的に有する。したがって、駆動ユニットは、トルクリミッターを完全に包含するのではなく、トルクリミッターをたとえば部分的にのみ有することもできる。したがって、たとえば、トルクリミッターの1部分を駆動ユニットに統合することができ、トルクリミッターの第2の部分を、試料採取システムの別の要素、たとえば、連結されるべきシステム機能を提供する要素に有することができる。
【0047】
上述したように、とくに、連結されるべきシステム機能が少なくとも1つの搬送機能を含む際には、連結パラメータが変わるという問題、たとえば、準備すべき力、準備すべきトルク、準備すべきエネルギー、連結の所要時間、連結区間もしくは類似のパラメータ、または、上述のもしくはこれ以外の連結パラメータの組み合わせが変わるという問題が生じる。したがって、第1システム機能および/または第2システム機能は、たとえば、試料採取システムの以下の機能のうちの少なくとも1つを含むことができる。これらの機能とは、分析補助手段を測定位置に配設するために、分析補助手段を搬送する機能、カートリッジから分析補助手段を適用位置に配設するために、試料採取システムのカートリッジを搬送する機能、分析補助手段を適用位置に配設するために、複数の分析補助手段を含む分析テープを搬送する機能、および、分析補助手段を適用位置に配設するために、複数の分析補助手段を含む分析板を搬送する機能である。この場合、測定位置および/または適用位置に位置づけられた際に、さらなる搬送機能の実施を中断または妨げるようにトルクリミッターが備えられているのが好ましい。たとえば、搬送機能のさらなる実施が、駆動ユニットまたは連結部材側で、最大力および/または最大トルクを上回るトルクおよび/または力の準備を必要とすることにより行われうる。たとえば、試料採取システムがさらに、少なくとも1つの阻止部材を有することにより行われることができ、この阻止部材は、測定位置および/または応用位置において、トルクリミッターの最大力および/または最大トルクを上回る遮断力および/または遮断トルクを発生させるために備えられている。このようにして、搬送機能のさらなる実施が妨げられうる。
【0048】
この種の阻止部材は、様々な方法で作ることができる。したがって、この阻止部材は、たとえば孔を有することができ、たとえば、テープ(たとえば、1つまたは複数の検査部材および/または1つまたは複数のランセットを備えた分析テープ)中の1つまたは複数の孔である。これらの孔に、阻止部材の遮断部が噛合し、テープのさらなる搬送を妨げる。阻止部材は、たとえば、テープの縦伸張方向を横断する方向の段として形成されることができ、分析補助手段、たとえばランセットおよび/または検査部材が、測定位置および/または適用位置に達するとすぐに、この段が、試料採取システムのストッパーに打ち当たる。阻止部材は、その後、トルクリミッターの最大力および/または最大トルクを上回る逆方向の力および/または逆トルクをかけ、その結果、搬送機能の連結解除が生じ、さらなる搬送が妨げられる。トルクリミッターは、その後滑りきる。
【0049】
または、追加的に、阻止部材の多くのさらなる様式が考えられ、実現可能である。したがって、たとえば、分析テープにおいて、異なるサイズとくに異なる厚さを備えた箇所(規定の位置に配置され、試料採取システムの対応する機構と協働する)を設けることにより、逆方向の力および/または逆トルクを与えることができる。これらの場所が、たとえば、所定の箇所においてより厚い部分であると、この機構により認識、たとえば検知、好ましくは自動的に検知され、所望の逆トルクおよび/または所望の逆方向の力が、分析テープに伝えられうる。分析テープのこの種の箇所(分析テープのこれ以外の部分とは異なる形状を有する箇所)の例は、その拡大、たとえば分析テープの厚さが変わることにより各場所において作用可能である検査部材、検査域またはランセットでありうる。したがって、たとえば、阻止部材は、グリッパー、とくに、永続的に閉鎖しているグリッパーを備えた機構を有しうる。このグリッパーにより、たとえば、分析テープの厚さを走査することができる。したがって、たとえば、グリッパー、とくにバネで付勢されたグリッパーを設けることができ、これを通ることにより、分析テープがほぼ摩擦なしで引っ張られることができる。厚さが異なる、たとえばより厚い箇所(たとえば、所定の使用されるべきランセット)が、このために設けられたグリッパーの縁に対して当たると、逆方向の力が、分析テープにかけられ、この力が、巻き付け部たとえば巻き取り部で、逆トルクに変換される。続いて、さらなる方法工程において、阻止部材が再び解除されることができ、分析テープのさらなる搬送が可能になる。このために、たとえば、このグリッパーは、自動的にまたは手動で、短時間開きまたは他の方法で解除されうる。説明した阻止部材に代えて、または、追加的に、逆方向の力および/または逆トルクを生成するための他の様式の阻止部材も考えられる。
【0050】
阻止部材の使用には、とくに、駆動移動が、適用位置および/または測定位置での精確な位置づけに必要な搬送路に対して調整するにはおよばず、したがって、これをより大きくすることができるという利点がある。たとえば、上述の繰り出しおよび/または巻き付け効果により必要な搬送路の変更も、これにより防ぐことができる。
【0051】
特に好ましいのは、少なくとも1つの分析補助手段が、少なくとも1つの分析テープを有し、この分析テープが、少なくとも1つの検査部材(たとえば、少なくとも1つの検査域を備えた検査部材)と、少なくとも1つのランセットとを有する場合である。たとえば、ある巻き付け方向で配置された複数の検査域、ある巻き付け方向で配された複数のランセット、および/または、交互に配置された複数の検査域およびランセットを備えた分析テープでありうる。この種の分析テープは、たとえば、1つまたは複数のスプールおよび/または巻き付け部に収納されることができ、たとえば、後述するテープカセットの構成要素となりうる。たとえば、未使用の検査部材および/またはランセットを含む少なくとも1つの物品巻き付け部、および/または、使用済みの検査部材および/またはランセットを含む少なくとも1つの巻き取り部が存在しうる。この場合、上述の搬送機能は、たとえば、物品巻き付け部および/または巻き取り部の駆動を含むことができ、巻き取り部の駆動が好ましい。たとえば、巻き取り部は、巻き付け駆動部、たとえば、駆動ユニットの構成要素である巻き付け駆動歯車を介して駆動されうる。巻き付け駆動部と、巻き付け部たとえば巻き取り部との間の連結は、たとえば、少なくとも1つの上述のトルクリミッターにより行われうる。
【0052】
全体として、本発明による少なくとも1つのトルクリミッターの使用により、試料採取システムの安定した均等の作動が、技術的に容易に実現可能である。様々なシステム機能への連結では、連結パラメータを変えることができ、これにより、顕著に改良または容易にすることができる。しかし、全般的には、試料採取システムがトルクリミッターを有するという上述しかつ以下に説明する実施の形態は、本発明のこれ以外の態様の実現と独立して採用可能であるという点を指摘する。したがって、試料採取システムと、通常消費材として構成されている分析補助手段との連結を全般的に改善および/または均等化するために、液体試料を採取するための試料採取システムは、全般的に、少なくとも1つの分析補助手段を有し、トルクリミッターを備えるように装備されている。したがって、たとえば、上述したように、任意の巻き付け駆動、および/または、分析補助手段を搬送および/またはこれ以外の方向で移動させるこれ以外の様式の搬送機能を、少なくとも1つのトルクリミッターを用いて行うことができる。駆動ユニットを、様々なシステム機能に連結することは、この場合、必ずしも必要ではない。しかし、トルクリミッターの使用は、様々なシステム機能への連結を含む構成には、上述の理由により特に有利である。
【0053】
さらに、1つ、複数、またはすべてのシステム機能に連結するために、上述のように1つまたは複数のトルクリミッターを用いるのは、必ずしも必要ではない点を指摘する。試料採取システムは、上述のトルクリミッターなしでも完全に実施可能である。したがって、たとえば、試料採取システムおよび/または駆動ユニットは、完全にまたは部分的に、この連結を制御しおよび/または実施することができる電子制御部を用いて構成することもできる。この場合、たとえば、トルクリミッターは省かれるが、必要な各連結パラメータが、たとえば、電子制御部により準備され、および/または設定され、および/または調整されうるからである。しかし、少なくとも1つの電子制御部を試料採取システムおよび/または駆動ユニットに用いた場合にも、基本的には、1つまたは複数のトルクリミッターを、試料採取システムおよび/または駆動ユニットに設けることができる。とくに有利であるのは、1つまたは複数のトルクリミッターを、たとえば完全に機械的な駆動ユニットおよび/または完全に機械的な連結の場合に用いることである。
【0054】
上述の試料採取システムのうちのある可能な構成は、好ましくは、上述したように、全体として1つの試料採取周期を形成する様々な順次実施される作動段階の枠組みで用いられうる。特に好ましいのは、液体試料の発生(たとえば、ランセットの移動)と、検査部材を用いた液体試料の採取とを含む試料採取システムおよび方法である。このために、たとえば、試料採取システム上で、上述の構成にしたがって行われることができる液体試料を採取する方法が提案され、上述の提案された方法または試料取得シーケンスを実施するために備えられた試料採取システムが提案される。以下に説明する方法工程は、好ましくは、以下で述べる順序で実施されうるのが好ましいが、これ以外の説明を行わない方法工程を追加的に実施してもよい。または、説明する順序とは異なる順序も可能である。さらに、方法工程a)〜d)の順序は、周期的にまたは非周期的に変えることもでき、その結果、a)、b)、c)、d)の順序の代わりに、たとえば、d)、a)、b)、c)の順序またはc)、d)、a)、b)の順序で行うことも可能である。さらに、個々のまたは複数の方法工程を繰り返して行うことも可能であり、または、個々の方法工程を時間的に並行して、または時間的に重複して行うことも可能である。
【0055】
この方法は、以下の工程、すなわち、
a)エネルギー変換機が第1回転方向への第1回転運動を実施し、機械的なエネルギー貯蔵部が解除され、適用位置に配置された分析補助手段のランセットの穿刺用移動のためにエネルギーを出力する工程と、
b)エネルギー変換機が第2回転方向への第2回転運動を実施し、検査域を備えた検査部材は、液体試料を分析するために、適用位置へ移送される工程と、
c)エネルギー変換機が第1回転方向への第3回転運動を実施し、機械的なエネルギー貯蔵部がエネルギーで付勢され、液体試料を検査部材の検査域へ塗布するために、検査部材が偏向位置へと移送される工程と、
d)エネルギー変換機が第2回転方向への第4回転運動を実施し、ランセットは適用位置へ移送される工程と
を含む。
【0056】
上述したように、さらなる方法工程を設けることも可能である。したがって、たとえば、方法工程c)とd)との間、および/または、この方法のこれ以外の時点で、測定工程を設けることができ、上に液体試料が塗布された検査部材が評価される、すなわち測定される。たとえば、適用位置で直に行うこともでき、この場合、適用位置で、対応する測定装置(たとえば光学および/または電気化学測定装置)を設ける。または、追加的に、この測定を他の位置で行うこともでき、とくに、特別な測定位置において行うこともできる。このために、たとえば、別個の搬送工程を設けることができ、検査部材は、この上に塗布された試料と共に、測定位置へと移送される。この測定位置では、たとえば、対応する測定光学系またはこれ以外の様式の測定装置を設けることができる。とくに、別個の搬送工程は、方法工程c)とd)との間で行うこともできる。この搬送工程は、全体としてまたは部分的に、他の方法工程、たとえば方法工程d)と共に行うこともできる。この場合、たとえば、試料採取システムは、ランセットと検査部材上の検査域との間の距離が、測定位置と適用位置との間の距離と完全に一致するように備えられうる。ランセットが、方法工程d)で、適用位置へ送られると、同時に検査域も測定位置に送られる。しかし、これ以外の構成も可能である。
【0057】
上述の変形例で説明した方法により、高度に統合した方法で、好ましくは、単一のエネルギー変換機を用いて、試料取得に必要な様々な機能を次々と行う、または活性化することができる。さらなる提示していない方法工程は、たとえば、検査域上の液体試料の分析工程を含み、たとえば、上述したように、検査用化学物質を用いて、光学的および/または電気化学方法を用いて、試料の少なくとも1つの検体を定量的に検出する工程を含む。この検出は、適用位置でも直に行うことができるが、たとえば検査部材がこの適用位置において、光で照射され、たとえば変色が検出されることにより行われる。または、別個の分析位置を設けることもでき、検査部材が評価される。
【0058】
提示した実施の形態のうちの1つの試料採取システムと、上述の方法以外に、さらに、テープカセットを提案するが、上述の実施の形態の1つによる試料採取システムで採用するのに適している。テープカセットは、上述した分析テープ、すなわち、とくに、上に少なくとも1つの検査部材および/または少なくとも1つのランセットが配置されたテープを有する。さらに、このテープカセットは、少なくとも1つの物品巻き付け部(ここから、分析テープが巻き解かれ、配設されうる)と、少なくとも1つの巻き取り部、すなわちローラー(この上に、使用済みの分析テープが巻き付けられうる)とを有する。本発明によれば、さらに、連結部材の一部をテープカセットに統合し、したがって、交換可能なものとして構成されることが提案されている。このようにして、テープカセットの交換時の分析テープの連結が容易になるが、テープカセットの交換時に、テープカセットに残る連結部材の部分を、これ以外の交換されない連結部材に連結せねばならないのみで、感度を有するテープの新たな連結は必要ではないからである。とくに、(好ましくは、分析テープと直接相互作用する)連結部分は、テープカセットの交換可能な部分として構成されうる。これ以外に、テープカセットは、さらなる構成要素を有し、たとえば、筐体、基板およびさらなる部品を有する。テープカセットは、とくに、その機械的なサイズから、試料採取システム(たとえば、試料採取システムの筐体)に挿入または押し入れるのに適しており、使い捨て材料としてまたは複数回利用可能なすなわちリサイクル可能なテープカセットとして構成することができる。
【0059】
本発明の実施の形態
本発明のさらなる詳細および特徴は、従属請求項と関連付けられた以下の好適な実施の形態の説明より明らかになる。個々の特徴がそれ自体、または、複数の特徴が互いに組み合わせられて実現されることができる。本発明は、これらの実施の形態に限定されていない。これらの実施の形態は、図面で概略図示されている。個々の図面の同じ参照符号は、同じ部材、または、機能が同じ部材もしくは機能に関して互いに相応する部材を示す。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】分析テープを備えた試料採取システムの基本的な概念を示す図である。
【図1B】分析テープを備えた試料採取システムの基本的な概念を示す図である。
【図1C】分析テープの1実施の形態を示す図である。
【図2A】試料採取システムの1実施の形態を示した様々な透視図である。
【図2B】試料採取システムの1実施の形態を示した様々な透視図である。
【図2C】試料採取システムの1実施の形態を示した様々な透視図である。
【図3A】液体試料を採取するために図2A〜Cによる試料採取システムを用いて実施する方法の実施の形態を明示するために、試料採取の周期を示した図である。
【図3B】液体試料を採取するために図2A〜Cによる試料採取システムを用いて実施する方法の実施の形態を明示するために、試料採取の周期を示した図である。
【図3C】液体試料を採取するために図2A〜Cによる試料採取システムを用いて実施する方法の実施の形態を明示するために、試料採取の周期を示した図である。
【図3D】液体試料を採取するために図2A〜図2Cによる試料採取システムを用いて実施する方法の実施の形態を明示するために、試料採取の周期を示した図である。
【図4】回転方向感知部材の代替実施の形態を示す図である。
【図5A】回転方向感知部材として採用できるフリーホイールの複数の実施の形態を示す図である。
【図5B】回転方向感知部材として採用できるフリーホイールの複数の実施の形態を示す図である。
【図6】回転方向感知部材として採用できるフリーホイールの複数の実施の形態を示す図である。
【図7】回転方向感知部材として採用できるフリーホイールの複数の実施の形態を示す図である。
【図8A】回転方向感知部材として採用できるフリーホイールの複数の実施の形態を示す図である。
【図8B】回転方向感知部材として採用できるフリーホイールの複数の実施の形態を示す図である。
【図9】回転方向感知部材として採用できるフリーホイールの複数の実施の形態を示す図である。
【図10】巻き取り部を駆動するための、トルクリミッターの様々な実施の形態である。
【図11】巻き取り部を駆動するための、トルクリミッターの様々な実施の形態である。
【図12】巻き取り部を駆動するための、トルクリミッターの様々な実施の形態である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1AおよびBは、本発明の試料採取システム110の1実施の形態の基本的な概念を概略平面図で示す。この試料採取システムは、分析テープの形態での分析補助手段112を用いている。この種の分析テープ114のある実施の形態を、図1Cに例示する。
【0062】
図1AおよびBならびに続く図に、試料採取システムを例としてのみ、および部分的に示す。この試料採取システムは、図示されていないこれ以外の部品も有しうる。とくに、さらに電子部品を有することができ、これらはたとえば、試料の定性的および/または定量的分析を行いおよび評価するための部品(たとえば、電子制御部、表示部材、入出力手段および/またはこれ以外の部品)である。図面に示された試料採取システム110の構成要素は、基板116上に取り付けられている。これ以外に、さらなる部品、とくに、基板116を取り囲む筐体が存在する。この筐体は、たとえば試料採取システム110の適用位置118で開口(たとえば、蓋および/またはスライダーにより閉鎖可能な開口)を有し、この開口を通じて、分析補助手段112へのアクセスが可能となる。
【0063】
図1AおよびBでは、分析テープ114が送られるところが、概略的にのみ示されている。駆動システムのさらなる詳細に関しては示されていず、続く図2A〜図3Dから詳細が明らかになる。
【0064】
図1AおよびBに示したように、分析テープ114は、当初物品巻き付け部120に収納され、この物品巻き付け部120は、巻き上げられる分析テープ114と共にスプールとして形成されている。図1Cでのこの分析テープ114の一部分の図示から明らかであるが、この分析テープ114は、交互に配置された検査域124の形態での検査部材122を有する。この検査域124は、たとえば、担体テープ126上に押圧され、および/または積層され、および/または接着されることができる。また、この検査域124は、少なくとも1つの検出すべき検体と接触すると、少なくとも1つの化学的または物理的特性を変化させる検査用化学物質を含有している。電気化学的に検出可能な特性および/または光学的に検出可能な特性として、たとえば変色などがありえる。
【0065】
担体テープ126上の検査部材122間には、それぞれランセット128が載置されている。検査域124とランセット128とは、担体テープ126の同じ側にあるように配置されている。これらのランセット128と検査域124または検査部材122は、それ自体として1つの個別の分析補助手段112を形成し、その結果、分析補助手段全体も、個々の分析補助手段112も、本発明の枠内では同様に称することができる。図示した好適な実施の形態では、ランセット128と検査域124とが用いられているが、1つのランセット128と1つの検査部材122とがそれぞれ、一組130の互いに関連付けられる分析補助手段112を形成し、分析テープ114の走行方向132で、ランセット128に関連付けられた検査域124は、それぞれこのランセット128より後に設置されている。個々の分析補助手段112の間に、すなわち、ランセット128間および検査域124間で、担体テープ126上にマーキング134が設けられている。このマーキング134は、たとえば、試料採取システム110により光学的に認識されることができるが、これにより分析テープ114の所定の分析補助手段112を適用位置118に位置づけるために行われる。
【0066】
図1Cに図示された実施の形態とは異なる形態の分析補助手段112、分析テープ114、ランセット128および検査部材122も考えられる。たとえば、検査域124のみが設置されていて、ランセット128が存在しない分析テープ114も可能であり、または、ランセット128のみを有する分析テープ114も可能である。
【0067】
図1AおよびBの物品巻き付け部120から、ローラーシステム136(固定ローラー138と可動ローラー140とを有する)を介して、分析テープ114が適用位置118に送られる。分析テープ114が適用位置118に達する少し前に、方向転換システム142(方向転換ローラーを有する)により分析テープ114の方向が転換させられるように、ローラーシステム136が構成されている。分析テープ114は、適用位置118外では、ローラーシステム136により、実質的に、分析テープ114が図1AおよびBの紙面に対して垂直方向(すなわち、基板116に対して垂直方向)で配置される平面内で送られるのに対して、この分析テープ114は、適用位置118内では、方向転換システム142により、基板116に対して実質的に平行方向で運ばれる。この平行な方向付けにより、確実に、適用位置118の分析テープ114の偏向(以下参照、図1AおよびB参照)が生じ、分析テープ114の側部縁(図1C、分析テープ114の上部縁)が、試料取得方向に動くことができる。詳細については後述するように、たとえば、適用位置118に配置された検査域124上に、液体試料を受容するために利用され、または、適用位置118に配置されたランセット128を用いてランセット移動を行うために利用される。
【0068】
図1AおよびBの分析テープ114の移動は、矢印132で記されている。それゆえに、個々の分析補助手段112は適用位置118に(タイミングを取って)順次運ばれ、物品巻き付け部120は、巻き解き方向144(図1Aでは時計回り)に回転する。続いて、使用済みの分析補助手段112、すなわち、上に液体試料が塗布された検査域124またはランセット移動用に用いられたランセット128は、ローラーシステム136を介して、巻き上げ方向148(この実施の形態では、同様に時計回り)に回転する巻き取り部146上に運ばれる。たとえばこのようにして、この分析補助手段112が再び使用されることなく、安全で、衛生的で、かつ利用者に危険となることなく、確実に廃棄されることができる。
【0069】
さらに、図1AおよびBには、連結部分150が示されているが、連結部材152(図1AおよびBには完全に図示されていない。後続の図参照)の一部分を形成し、図1A、二頭矢印で示された偏向方向154で可動に設置されている。偏向方向154は、適用位置118において、分析テープ114の移動方向132に対して実質的に垂直の方向となっている。図1Aでは、連結部分150および分析補助手段112が、適用位置118で偏向していない位置にあるところを示し、図1Bでは、これらの部材が偏向位置にあるところを示している。連結部分150は、たとえば、連結部分150に入れられたスリット156を有することができ、これにより、分析テープ114の適用縁(すなわち、図1AおよびBの上縁)が、液体試料の塗布および/またはランセット移動のためにアクセス可能になり続けるように、分析テープ114がガイドされている。このスリット156により、分析テープ114は滑るようにガイドされる。
【0070】
この連結部分150は、連結部材152のさらなる部分と接続されるが、このさらなる部分とは、適用位置118にある分析テープ114の偏向を可能にし、偏向移動を実施するために駆動ユニット(後続の図参照)により駆動される部分である。可動ローラー140は、偏向時に(図1B参照)分析テープ114内で圧力が形成されるのを妨げる目的を有すが、この可動ローラー140は、偏向位置においては上方の状態にあるからであり(図1Aと対比させて図1B参照)、これにより偏向により分析テープ114上に生成された圧力が相殺される。
【0071】
試料採取システム110の図1AおよびBで示された全部分は、たとえば、これらの部材を個々にまたは複数個ずつ別々に試料採取システム110に取り込むことにより作られることができる。したがって、たとえば、物品巻き付け部120と巻き取り部146とを、別々に試料採取システム110に取り込み、分析テープ114をこれに応じて、ローラーシステム136に糸のように通す、たとえば、フィルムをカメラへ通すのと類似のことをすることも考えられる。このようにして、使用済みの分析テープ114を、未使用の新しい分析テープ114と交換することができる。
【0072】
しかし、このような糸通しは、糖尿病患者に多くみられるような身体的な障害を持つ患者には、非常に操作が困難であるので、図1AおよびBに示したように試料採取システム110の部分を、テープカセット158として構成することが好ましい。この場合、テープカセット158は、好ましくは、少なくとも、随意選択的な基板116、物品巻き付け部120、巻き取り部146および少なくとも随意選択的なローラーシステム136の部品を有する。連結部分150も、これに応じて、このテープカセット158の一部分でありうる。さらに、テープカセット158は、(図1AおよびBには図示されていないが)筐体を有することもでき、この筐体は、好ましくは、試料採取システム110のさらなる部材を、物品巻き付け部120、巻き取り部146および必要な場合連結部分150に連結することが可能となる。このようにして、テープカセット158は、完全に別体の構成要素として、試料採取システム110に取り込まれ、たとえば、駆動ユニットおよび/または連結部材152のさらなる部品と接続されうる。このようにして、身体的に障害のある患者も、完備したテープカセット158を交換することにより、容易に新しい補助手段112を試料採取システム110に取り込むことができる。
【0073】
図2A〜Cに、本発明の試料採取システム110の1実施の形態を様々な透視図で示す。続いて、この動作方法を、図3A〜Dに示すシーケンスに基づいて説明を行う。試料採取システム110は、稼動用に、好ましくは、たとえば、図1AおよびBの例と類似の、分析テープ114用のテープカセット158を備えている。このテープカセット158は、図2A〜Cでは、部分的にしか示されていず、その結果、たとえば基板116は図示されていない。テープカセット158の実質的なこれ以外の部材が基板116により隠されてしまうからである。この基板は、図2A〜Cでは、図示された構成の上に置かれる。
【0074】
この場合も、テープカセット158は、物品巻き付け部120、巻き取り部146、ローラーシステム136、方向転換システム142および連結部分150を有する。ローラーシステム136は、図2A〜Cでは付け根のみが図示され、図1AおよびBに図示されたローラーシステム136とは少し異なって構成されている。しかし、同様に図1AおよびBのローラーシステム136、とくに、固定ローラー138と可動ローラー140とを備えたローラーシステム136であって、かつ分析テープ114内の圧力形成を妨げるようなローラーシステム136を設けることも可能である。同様に、図2A〜Cには図示されていないが、テープカセット158の可能な筐体、および、この場合も試料採取システム110のさらなる構成要素、たとえば、電子制御部、入力手段、表示部材、データ記憶部、液体試料の定性的および/または定量的分析を行うための評価装置、試料採取システム110の筐体、または、これ以外の部品がある。
【0075】
図2A〜Cの試料採取システム110は、さらに、試料採取システム110の機能を駆動するための駆動ユニット160を有する。この駆動ユニット160は、エネルギー変換機も有し、エネルギー変換機の構成可能性は限定されないが、好ましくは、モーター162の形態での電気機械エネルギー変換機として構成されている。モーター162は、好ましくは、電気モーターとして形成されている。さらに、駆動ユニット160は歯車伝動装置164を有し、連結部材152に連結される。この連結部材152は、すでに図1AおよびBで説明したベルトカセット158の構成要素を形成する連結部分150以外に、図2A〜Cに示された実施の形態では、さらなる部材として、接続部材としての連接棒166を有し、この連接棒166は連結部分150に連結され、図1AおよびBの偏向方向154に沿った偏向移動を引き起こすことができる。
【0076】
駆動ユニット160全体は、図2A〜Cに示された実施の形態では、ベースプレート168上に載置されている。この際、モーター162は、ベースプレート168でスリット形態を有するモーターガイド部170に固定され、このモーター162の筐体の大部分は、ベースプレート168の下方(すなわち、このベースプレート168の、歯車伝動装置164に対向する側)に配置されている。さらに、ベースプレート168は、支柱172を利用しているが、この支柱172を介して、ベースプレート168は、たとえば試料採取システム110の筐体に取り付け可能となっている。図2A〜Cに例示された駆動ユニット160の取り付けの実施の形態以外に、駆動ユニットを取り付けまたは固定する可能性は多数考えられ、この例は、例示の目的のみのものとすべきである。
【0077】
歯車伝動装置164は、様々な方法で互いに連結された歯車を多数有する。出発点は、モーター歯車174であり、第1駆動輪として機能し、モーター162のモーター軸178に回転固定で接続されている。このモーター歯車174は、異なるシステム機能を駆動する第1駆動系180と第2駆動系182と接続している。
【0078】
第1駆動系180は、穿刺駆動歯車184を有し、モーター歯車174と直接噛合し、したがって、このモーター歯車174とは逆方向に回転する。この穿刺駆動歯車184の上方で、第1駆動系180は、さらに解除歯車186(図2AおよびCのみで図示され、図2Bでは省略されている)を有し、この解除歯車186の外周のほぼ半分のみが歯がついており、したがって、第1の歯のついた外周領域188と、第2の歯のついていない外周領域190とを有する。解除歯車186は、穿刺駆動歯車と共に、共通の軸192上で軸支されるが、この軸192によって回転固定で接続されるのではなく、この上で滑るように軸支されているのみである。さらに、解除歯車186と穿刺駆動歯車184とは、これらの部材間に配置された第1回転方向感知部材194(第1フリーホイール196の形態を有する)を介して接続されている。この第1フリーホイール196は、図2B(この図では、解除歯車186が省略されている)で認識できるが、これも軸192上に軸支され、穿刺駆動歯車184と回転固定で接続されている。フリーホイール196は、フリーホイールアームを使用しているが、このアームは、軸192から出発し、螺旋状でこの軸の周りを反時計方向で伸張している。このフリーホイールアーム198またはこのフリーホイールアーム198の端部は、解除歯車196の下面にある(図2A〜Cでは認識できない)従動ピンまたはこれ以外の構成を有する従動部材と噛合する。図2A〜Cの穿刺駆動歯車184が反時計方向に回転すると、この穿刺駆動歯車184が解除歯車186を従動させ、これに反して、逆の回転方向の場合は、これらの2つの歯車184、186は、互いに連結を解除することを意味する。換言すれば、モーター歯車174が時計方向に移動した場合にのみ、解除歯車186を駆動し、これに反して、逆の回転方向時には、解除歯車186はモーター歯車174から連結を解除され、したがって、従動しない。
【0079】
この図2Bに示した、第1回転方向感知部材194は、1つの方向では従動を引き起こすが、他の回転方向では連結解除を引き起こすこの種の回転方向感知部材の構成の1つの可能性に過ぎない。したがって、たとえば他の様式のフリーホイールを用いることもでき、たとえば、より多くの数のフリーホイールアーム198またはこのフリーホイールアームとは異なる構成のフリーホイールアームを備えたフリーホイールを用いることもできる。この種のフリーホイールアーム198(たとえば、アーム、突起またはラチェットとして構成可能である)を備えたフリーホイールを、本発明の枠内では、全般的に、ラチェットフリーホイールアームと称する。フリーホイールアーム198が余りにも広く広がると、試料採取システム110の作動時に非常に大きな雑音が形成されてしまい、また、第1フリーホイール196の空動きが大きくなるので、フリーホイール遮断部を設けて、空動きを小さくし、雑音の形成を低減させるのが有利である。このような随意選択的なフリーホイール遮断部は、この図示した第1フリーホイール196用の実施の形態では設けられていないが、追加的にこれを実装することは可能である。
【0080】
さらに、この第1駆動系180は、穿刺バネ歯車202を有し、少なくともある角度位置においては、解除歯車186と噛合する。この穿刺バネ歯車202は、機械的なエネルギー貯蔵部204(螺旋形態の穿刺バネ206である)と回転固定で接続されている。この穿刺バネ206の一方の端部は、穿刺バネ歯車202と接続され、この穿刺バネ206他方の端部は固定されている。この際、時計回り方向で穿刺バネ歯車202が回転する際には、穿刺バネ206を引張り、したがって、機械的なエネルギー貯蔵部204を付勢するように、穿刺バネ206は穿刺バネ歯車202の軸208の周りで配置されている。これに反して、反時計回り方向で穿刺バネ歯車202が回転する際には、穿刺バネ206の引張りを緩めし、したがって、機械的なエネルギー貯蔵部104の付勢を解除するように配置されている。
【0081】
さらに、解除歯車186には遮断部200が設けられ、ベースプレート168に固定して接続されている。この作用について、図2DおよびEに基づいて説明する。図2Dは、第1駆動系180の部分透視図であり、これにより、遮断部200が解除歯車186に噛合していることが明確である。遮断部200は、穿刺バネ206が引張り状態にある際に、穿刺バネ歯車202の回転(反時計回り方向の回転)および解除歯車186の回転(時計回り方向の回転)によりこの穿刺バネ206が突然引張りを緩めるのを妨げるのに役立つ。この遮断部200は、たとえば、弾性を有するように(たとえば、リーフスプリングとして)構成され、解除歯車186の下側で外周側に突出するラチェット201と接触する。このラチェット201は、図2Eで認識できるが、この図は、解除歯車186を下から示した図である。ラチェット201は、つめリング203の外側に設けられ、このつめリング203は、解除歯車186の下側、すなわち、この解除歯車186のフリーホイールアーム198の側に配置されている。内側では、このつめリング203は、2つの歯256を備えた歯のついた構造部154を有し、この2つの歯256は2つのフリーホイールアーム198と協働し、これらと共に第1回転方向感知部材194を形成する。さらに、解除歯車186は、この図で、軸192を受容するための孔205を有する。このラチェット201は、穿刺バネ206の引張り位置において(たとえば、形状連結により)遮断部200により保持されて、その結果解除歯車186の回転は反時計回り方向にのみ可能なように、外周で位置づけられている。解除機構に関しては、以下に、図3A〜Dに基づきさらに詳細に説明を行う。
【0082】
穿刺バネ歯車202は、偏心ボルト210を介して、連結部材152の連接棒166と接続され、その結果、穿刺バネ歯車202の回転運動は、連接棒166の移動に直接変換されることができ、したがって、穿刺バネ歯車202の回転運動は、連結部分150を介して、適用位置118にある分析補助手段112の偏向に直接変換されることができる。上述したように、この場合、この偏向は、様々な分析補助手段112に対して様々に構成され、その結果、たとえば、検査部材122に対してとは異なる偏向(すなわち、たとえば異なる偏向幅)が、ランセット128に対して行われることができる。様々な方法で行われうるが、たとえば、ランセット128と検査部材122とに対して異なるクランクを有するクランク駆動を用いることにより行われうる。また、たとえば、分析テープ114に対するランセット128の相対的な位置付けにより、穿刺深さに影響を与える。これ以外の様々な実施の形態の変形例が考えられる。
【0083】
これゆえに、第1駆動系180は、実質的に、たとえば、ランセット128の穿刺用移動および/または検査部材122の試料取得用移動のための分析補助手段112の偏向に役立つ。これらの様々なシステム機能は、第1駆動系180によりモーター歯車174へ、およびしたがってモーター162へ連結される。上述したように、この連結は、この場合、モーター歯車174が時計回り方向に回転する場合のみ行われる。
【0084】
さらに、図2A〜Cの試料採取システム110は、第2駆動系182を有する。この駆動系182は、まず、巻き付け駆動歯車212を有し、この巻き付け駆動歯車212が、モーター歯車174と噛合する。モーター歯車174がたとえば時計回り方向に回転すると、巻き付け駆動歯車212は反時計回り方向に回転する。
【0085】
巻き付け駆動歯車212と共に、巻き付け駆動歯車212の軸214上には搬送歯車216が収容されるが、巻き付け駆動歯車212と回転固定で接続されているのではない。巻き付け駆動歯車212と搬送歯車216とは、第2回転方向感知部材218(この実施の形態でも第2フリーホイール220として構成されうる)を介して互いに接続されている。この第2フリーホイール220の構成に関しては、上述の第1フリーホイール196の説明を指摘するが、その結果双方のフリーホイール196、220は、たとえば同一構成のものとして構成することができる。空動きを低減し、雑音の発生を抑えるために、フリーホイール遮断部が設けられうるが、図2Bには示唆されるのみで、参照符号222で記されている。
【0086】
この第2フリーホイール220は、巻き付け駆動歯車212が時計回り方向に回転する際にのみ、第2フリーホイール220が搬送歯車216を従動させるように構成されている。巻き付け駆動歯車212が、これに反して、反時計回り方向に回転すると、この巻き付け駆動歯車212と搬送歯車216との間の連結は生じない。または、モーター歯車174の回転方向側から表現すると、このモーター歯車174と搬送歯車216との連結は、モーター歯車174が反時計回り方向に回転する場合にのみ生じる。第2駆動系182は、したがって、モーター歯車174が反時計回り方向に回転する際にのみ、モーター162により駆動部と連結され、これに反して、モーター162が時計回り方向に回転する際には、連結解除される。
【0087】
この場合も、搬送歯車216は、たとえば図2Bより認識可能であるように、巻き付け歯車224と噛合する。この巻き付け歯車224は、(たとえば、歯のかみ合いにより)巻き取り部146と回転固定で接続され、これを駆動する。図示した駆動ユニット160の実施の形態では、モーター162による搬送歯車216の駆動は、時計回り方向でのみ可能になるので、巻き取り部146の駆動は反時計回り方向でのみ可能となり、したがって、この巻き取り部146の回転運動が可能になり、分析テープ114がこの巻き取り部146上に巻き上げられる。図2A〜Cで示された試料採取システム110の実施の形態では、例示的に、巻き取り部146のみが駆動される点が指摘される。または、これ以外の駆動部の構成も考えることができ、たとえば、物品巻き付け部120のみが駆動される(この際、巻き取り部146への巻き付けは、この巻き取り部146のバネ駆動部により行われうる)という構成も考えられる。または、物品巻き付け部120も巻き取り部146も駆動される組み合わせ駆動部も考えられる。
【0088】
図2A〜Cに示された試料採取システム110の動作方法および液体試料を採取するための本発明の方法について、以下に、図3A〜Dに基づいて工程毎に説明する。この図3A〜Dは、図2A〜Cに示された試料採取システム110を俯瞰図で示し、これらの個別の部材の動作方法および構成については、これらの図およびこれらの図の説明をかなり指摘することがありうる。
【0089】
したがって、出発点は、図3Aに示された試料採取システム110の状態である。提案する方法は、周期的な方法であることが好ましく、各方法工程(作動段階)は、それぞれ連続的に順次繰り返して行われるので、この方法を別の点、たとえば図3Bから開始することも可能でありうる。
【0090】
出発点は、図3Aに示す状態であり、この場合、ランセット128が適用位置118にある。この場合、連接棒166は、上方位置にあり、偏心ボルト210が、穿刺バネ歯車202のほぼ12時の位置にあるように、連接棒166は配置されている。穿刺バネ歯車202のこの位置で、穿刺バネ206は引っ張られ、したがって、機械的なエネルギー貯蔵部204が付勢されている。(穿刺バネ歯車202により隠れているので、図3Aでは認識可能ではない。)解除歯車186は、その歯がついた外周領域188が穿刺バネ歯車202の歯とまさに噛合する位置にある。上述したように、遮断部200が解除歯車186を留め、解除歯車186の時計回り方向への回転を妨げているので、穿刺バネ歯車202はこのようにまだ引張り位置に留められている。
【0091】
続いて、図3Aに示した位置から、実際の解除過程が行われる。このために、図3Aでは矢印226で示唆したように、モーター歯車174が時計回り方向に回転する。この回転226が、穿刺駆動歯車184の反時計回り方向への回転228に伝動され、第1回転方向感知部材194を介して、ここから、解除歯車186へと伝動される。この回転228は、解除歯車186の歯のついた外周領域188を、穿刺バネ歯車202の歯への噛合から解除し、したがって、穿刺バネ歯車202は自由になる。この穿刺バネ歯車202は(図3Aに図示した)引張り位置には留められず、反時計回り方向へ回転し、引張りが緩められる。駆動ユニット160は、穿刺バネ歯車202を介して連接棒166を駆動し、今度は連接棒166が連結部分150を介して、適用位置118のランセット128に連結し、このランセット128を偏向位置へと駆動する。換言すれば、連結部材152を介して、ランセット128は穿刺用移動へと駆動され、図3Aに参照符号230により示されている。偏心ボルト210がその9時の位置に達した際に、ランセット128は、最も偏向した位置に達する。続いて、連接棒166は再び戻り始るが、穿刺バネ206がさらに引張りを緩めるからである。分析テープ114も、再び、非偏向位置へと戻される。この帰還移動は、たとえば、連結部材152により能動的に行われることも可能であるし、および/または、別の方法で、たとえば、分析テープ114の自身の引張りにより駆動されることも可能である。この場合、この実施の形態、連結部材152が分析補助手段112に受動的に連結されていることが明らかである。個々の分析補助手段112が、それぞれ、適用位置118で別々に連結され、前進移動のみが駆動される。または、能動的な連結も可能であり、この場合、ランセット128または分析補助手段112の帰還移動は駆動される。このランセット128の穿刺用移動により、たとえば、患者の皮膚部分に孔を開け、これにより、たとえば血液滴が発生する。
【0092】
さらに、モーター歯車174を時計回り方向に回転226させることによる解除工程では、モーター歯車174により、巻き付け駆動歯車212のみが駆動され、搬送歯車216は駆動されない。第2回転方向感知部材218の回転感知度による。巻き取り部146は、この工程時に動かず、巻き付け駆動歯車212は、残りの第2駆動系182を操作することなく空転する。
【0093】
図3Bで、試料採取システム110の第2作動段階を示すが、たとえば、図3Aの作動段階に続く段階である。図3Aによる段階では、穿刺用移動230のシステム機能を開始させるために、第1駆動系180がモーター歯車174に連結されたが、この図3Bに示した工程では、分析テープ114をさらに搬送させるために、第2駆動系182がモーター歯車174に連結される。このシーケンス、穿刺バネ206は引張りが緩和された位置にあり、偏心ボルト210が6時の位置にある。この引張りが緩和された位置は、規定されて形成されているが、たとえば規定のストッパーを設けるおよび/または穿刺バネ206を機械的な初期締め付け力で付勢することにより形成される。
【0094】
この第2作動段階、モーター162の回転方向は逆転し、たとえば、制御部を介して、このモーター162の極性を変換することにより行われうる。これに応じて、モーター歯車174は、反時計回り方向の回転運動232を行う。これに応じて、巻き付け駆動歯車212は、図3Bに参照符号234により示した時計回り方向に回転する。第2回転方向感知部材218の回転方向感知度に基づき、巻き付け駆動歯車212は搬送歯車216を従動させ、その結果、この搬送歯車216も時計回り方向の回転234を行う。搬送歯車216は、上述のように、巻き付け歯車224に噛合し、その結果、巻き取り部146は、反時計回り方向の回転236を行う。これにより、巻き取り部146上の分析テープ114が巻き上げられる。回転の所要時間またはモーター歯車174の回転角度を相当に制御することにより(これも、たとえば、試料採取システム110の制御部を介して行われうる)、検査域124の形態の検査部材122が1つだけ、適用位置118に動かされるよう作動されうる。好ましくは、図3Aで使用されたランセット128の後に続く検査部材122が、分析テープ114上にある。このようにして、分析テープ114上で、たとえば、正確に1つの分析補助手段112分だけタイミングが取られうる。
【0095】
第1回転方向感知部材194の回転方向感知度が逆転するがゆえに、このシーケンスでは、この第1駆動系180がモーター歯車174への連結を解除され、その結果、たとえば、穿刺バネ歯車202および解除歯車186は従動しない。(図3Bでは隠れている)穿刺駆動歯車184は、共に回転するが、しかし、第1回転方向感知部材194を介して解除歯車186への連結を解除されている。このようにして、このシーケンス部分においては、連接棒166が確実に変わらないようにする。図3Bで示されたシーケンス部分の結果、検査域124を備えた検査部材122の形態を有する新しい分析補助手段112が、再び適用位置118に位置づけられることである。穿刺バネ206は、引張りが緩められ、すなわち、エネルギー貯蔵部204は付勢が解除される。図3に示されたシーケンス部分では、モーター歯車174の反時計回り方向の回転方向を利用して、第2駆動系182を介して、分析テープ114のタイミングをさらに取るというシステム機能を、モーター162に連結させる。
【0096】
図3Cでは、第3のシーケンス部分を示すが、再び、第1駆動系180がモーター162に連結されている。モーター162は、このシーケンス部分では、再び図3Aと類似する時計回り方向の回転226を行うように制御されている。巻き付け駆動歯車212はこの場合も反時計回り方向に共に回転するが、搬送歯車216は、第2回転方向感知部材218の回転感知度に基づき、第2回転方向感知部材218により巻き付け駆動歯車212への連結を解除されており、静止している。したがって、分析テープ114はこの位置に留まり、検査部材122は適用位置118にある。
【0097】
これに反して、第1駆動系180が連結されるが、モーター歯車174が穿刺駆動歯車184を回転228するように駆動し、穿刺駆動歯車184も、第1回転方向感知部材194を介して解除歯車186を従動させる。この従動は、この解除歯車186の歯がついた外周領域188が、再び穿刺バネ歯車202の歯に噛合するまで、そして、穿刺バネ歯車202を時計回り方向への回転238に向けて駆動するまで行われる。この際、複数の工程が同時に行われる。第1に、穿刺バネ206は再び引っ張られ、その結果機械的なエネルギー貯蔵部204は付勢される。同時に、偏心ボルト210は連接棒166を動かす。連結部材152の連結部分150は、再び、分析テープ114に接触し、検査部材122を適用位置118に偏向させる。偏心ボルト210が9時の位置に至ると、検査部材122は偏向位置に位置づけられる。続いて、偏心ボルト210がこの9時の位置から12時の位置に動くと、検査部材122の非偏向位置への帰還移動が生じる。この検査部材122の移動は、試料受容のために利用されうる。したがって、たとえば、検査域124は試料取得移動240を行い、検査域124は、以前に孔を空けた皮膚部分に動かされ、そこでたとえば血液滴またはこれ以外の種類の液体試料を受容し、続いて、再び帰還移動を行う。
【0098】
試料取得用移動は、したがって、モーター174により歯車で伝動される。この試料取得用移動240は、したがって、穿刺用移動230時の先行する分析テープ114の偏向よりも著しく速度が遅く、試料取得にとって有利である。このようにして、確実に十分な量の液体試料が、検査域124上に載置させられる。
【0099】
図3Cに示した試料採取周期のシーケンス部分の結果として、穿刺バネ206は、図3Aと同様に再び引張り位置に置かれ、液体試料は適用位置118で検査域124上に出される。このシーケンス部分に続いて、(図示されていない)シーケンス部分が続き、この際、試料の定性的および/または定量的評価が行われる。このために、検査域124には、適用位置118において、たとえば光が照射され、適切な検出器により、たとえば検査域124の検査用化学物質の変色が確認され、ここから、液体試料の検体の濃度(たとえば、血糖濃度)が決められうる。または、追加的に、電気化学的な評価も可能であり、たとえば、分析テープ114または検査域124が電気的に接触することにより可能である。一般的には、図示した例または本発明の他の実施の形態では、検体濃度の測定は、適用位置118とは異なる位置で行うことができ、有利である。そのために、たとえば、少なくとも1つの別個の測定位置が設けられ、この位置に、(たとえば、後続する方法工程において)検査域124が動かされることができ、その位置で、この検査域124は、たとえば光学的におよび/または電気化学的に評価される。測定位置への検査域124の搬送は、以下に図3Dに基づいて説明する搬送工程と同時に行われることができ、または、別の搬送工程の枠内で実現することができる。
【0100】
続いて、図3Dでも、搬送シーケンスが行われるが、この際、分析テープ114は1つの位置、すなわち、1つの分析補助手段112の分だけさらにタイミングが取られ、その結果再び新しいランセット128が、適用位置118に置かれる。図3Dによるこの搬送のシーケンス部分でも、モーター歯車174が反時計回り方向に回転232するように、モーター162が駆動され、これにより、第1駆動系180の第1回転方向感知部材194がモーター162から連結解除される。
【0101】
この場合も、図3Bの場合と類似して、巻き付け駆動歯車212が駆動され、これと第2回転方向感知部材218が搬送歯車216とにより、搬送歯車216が駆動され、ここから、巻き付け歯車224も駆動され、その結果、巻き取り部146が再び、反時計回り方向へ回転運動236を行い、これにより、分析テープ114が巻き上げられる。このようにして、相当のタイミング取り(すなわち、モーター162の所要時間および/または回転角度を相当に制御することにより)、図3Cで使用した検査域124に続くランセット128を、適用位置118にタイミングを取って送る。図3Dのこれらのシーケンス部分の個々の段階に関しては、したがって、図3Bに関する説明を参照されたい。図3Bとの唯一の差異として、図3Dにおけるこの搬送シーケンス部分では、穿刺バネ206は引張り状態にあり、偏心ボルト210は12時の位置にある点が留意される。
【0102】
図3Dによる搬送シーケンス部分の結果は、再び、図3Aのシーケンス部分の出発点である。シーケンス部分の周期は、したがって新たに開始され、たとえば、新たな分析が行われる。
【0103】
上述したように、フリーホイール196、220の使用は、回転方向感知部材194、218を実現する1つの可能性にすぎない。または、追加的に、多くのさらなる可能性があり、すなわち、異なる回転方向でモーター162とモーター歯車174とを、異なる駆動系180、182に連結し、それぞれ1つの駆動系のみが能動的にまたは連結されるような多数のさらなる可能性がある。回転方向感知部材242のさらなる実現可能性を、図4に例示する。この場合も、モーター162が用いられ、このモーター162がモーター軸192を駆動する。この軸192上に、この場合もモーター歯車174の形態を有する第1駆動輪176がある。ボルト243を介して軸192に接続され、これにより、モーター歯車174が2つの平面244、246上を移動できる。第1駆動面244(この面は、図4、上方に配置されている)上では、モーター歯車174は第1駆動系の駆動部材248と噛合し、これに反して、第2駆動面246(図4、下方)上では、モーター歯車174は第2駆動系の駆動部材250と噛合している。双方の駆動系は、必ずしも、図3A〜Dの実施の形態の駆動系180、182と同一である必要はなく、たとえば、これらとは別のものと交換されていてもよい。
【0104】
2つの面244、246上のモーター歯車174の配置は、軸192の外周に配置されているノッチ252により作動される。ボルト243は、このノッチ252に収容されている。このようにして、たとえば、軸192が、(図4、上方から軸192を見て)反時計回り方向に回転することにより、モーター歯車174は、第2駆動面146に「ねじって下がる」。これに反して、軸192が、時計回り方向に回転すると、モーター歯車174は、第1駆動面244上に配置され、したがって、第1駆動系の駆動部材248と噛合する。ノッチ252は、ねじカーブにしたがって構成されている。双方の駆動系の駆動部材248、250は、たとえば、この場合も歯車として構成可能である。しかし、これ以外の構成も考えることができる。
【0105】
図5A〜9に、フリーホイール196、220の形態を有する回転方向感知部材194、218のさらなる複数の実施の形態を、様々な図で図示する。とくに、ラチェットフリーホイールの実施の形態およびカムレバーフリーホイールの形態の実施の形態を図示する。しかし、これにより、上述したように、他の様式のフリーホイールの使用を排除するものではない。
【0106】
図示したフリーホイール196、220が、作業方向で、入力側では出力側よりも速く回転すると、構成特有の回転角度および空動きに依存して、フリーホイールアーム198形態の従動子が手を伸ばし、出力側に最大トルクを伝える。最大トルクを上回る場合、フリーホイール196、220は壊れる。入力側が、作業方向とは逆の方向に回転すると、最小のトルク、すなわち、空転トルクのみが出力側に伝えられる。
【0107】
本試料採取システム110に適したフリーホイール196、220は、たとえば、約100mNmまでのトルクを伝えることができ、ほぼ0mNmの空転トルクを有しうる。加えて、フリーホイール196、220は、構成サイズが小さく、構造が単純で、構成が合成で、空動きが小さく、静かに動作すべきである。
【0108】
図5AおよびBに、第1のフリーホイール196、220を、様々な透視図で示す。このフリーホイールは、自動時計の分野のフリーホイールに基づいている。このフリーホイール196は、100mNmを上回るトルクに用に構築され、非常にわずかの空転トルク(<1mNm)を有する。
【0109】
図5AおよびBに図示されたフリーホイール196、220は、いわゆるカムレバーフリーホイールの実施の形態であり、すなわち、入力側260または出力側262(この場合、入力側260)が、カムレバー264の形態を有する少なくとも1つのフリーホイールアーム198と接続されており、このアームが、軸266を中心に揺動可能に軸支されている。図示した実施の形態では、2つのカムレバー264が設けられている。図2Aは、入力側260を取り除いたフリーホイール196、220を図示し、これに反して、図5Bでは、入力側260が半透明に図示されている。入力側260および出力側262は、したがって本実施の形態では、それぞれ6角形板として構成されるが、これ以外の実施の形態も考えられ、たとえば、菊座金形態の実施の形態も考えられる。
【0110】
カムレバー264は、非対称で形成され、出力側262の歯のついた構造部254と協働する。入力側260が反時計回り方向に回転運動する際には、カムレバー264は、この歯のついた構造部254の平坦な側面268を超えてスライドし、出力側262を駆動しない。これに反して、時計回り方向に回転運動する際には、カムレバー264の従動端270は、歯のついた構造部254の急勾配側面270に対して押圧され、出力側262を従動させる。出力側262内の第2の歯のついた構造部274は、湾曲したカムレバー264が常に外側の歯のついた構造部254に最適に当接されるのに役立つ。この外側の歯のついた構造部254と第2の歯のついた構造部274とは共同して、カムレバー264の走行路275を形成する。入力側260と出力側262との中央には、それぞれ、孔276、278が設けられ、これを通って、(図示されていない)1つまたは複数の軸がガイドされ、入力側260および/または出力側262と接続可能となる。フリーホイールアーム198を2つ設ける代わりに、フリーホイールアーム198をこれ以外の個数だけ設けることもでき、たとえば、この数を多くして、空動きをさらに回避するために利用することもできる。
【0111】
図5AおよびBによるカムレバー構造は、他の様式のフリーホイールに比べていくつかの利点があるが、これらは、とくに医療分野での応用には利点となる。空転トルクがとくに小さいことは、すでに述べた。フリーホイール198、264に潤滑剤が塗布されない際には、とくに利点となるが、この種の潤滑剤は、その粘度がゆえに空転方向にもトルクを作用させるからである。この代わりに、滑らかに作動する材料、とくに、たとえばポリアミドおよび/またはポリアセタール(PCM)などのプラスチックを採用することができる。または、追加的に、金属部品を採用することもできる。特に、レーザー焼結プロセスにより製造された金属部品が適している。
【0112】
カムレバー構造では空転トルクが非常にわずかであるこれ以外の理由は、このフリーホイールでは空転方向で、フリーホイールアーム198の弾性および/または可塑性変形が必要ではないからである。これに代えて、カムレバー264を硬く形成することができ、その結果、変形に必要となる力が省かれる。同時に、この構造のフリーホイールアーム198は非常に頑健に形成することができ、これによりこの例では、100mNmを上回る高い最大トルクが得られる。
【0113】
図5AおよびBで図示した構造のさらなる利点は、雑音の発生が非常にわずかであることである。この場合、従来の弾性フリーホイールアーム198のように、急激に元に戻る弾性変形は生じないので、この場合、雑音を生じさせうる硬い部品がぶつかりあうことがない。カムレバー264は、むしろ、歯のついた構造254、278を超えてスライドし、雑音はわずかしか引き起こされない。
【0114】
図6に、フリーホイール196、220の実施の形態を示すが、実質的に図2Bのフリーホイール196に相当する。このフリーホイール196、220は2つのフリーホイールアーム198を有し、このアームが、作業方向(図6では、アーム196の時計回り方向への回転)で、(駆動されるべき駆動部材248、250の)歯のついた構造部254と噛合する。逆方向では従動は生じないが、フリーホイールアーム198が、歯のついた構造部254を超えてスライドするからである。歯のついた構造部254は、図6の例では、2つの歯256を有する。図6のフリーホイールの最大トルクは、約75mNmとして設計され、空転トルクは約11mNmである。
【0115】
図7、図6に代わるフリーホイール196、220の実施の形態を示す。この場合もフリーホイール196、220は、2つのフリーホイールアーム198を有し、これらのアームが、この実施の形態でも、駆動すべき駆動部材248、250の歯のついた構造部254を乗り越えてスライドする。この実施の形態では、従動方向は、フリーホイールアーム198の反時計回り方向の回転方向である。図6とは異なり、この例では、さらにより多くの数の歯256が設けられ、空動きがわずかとなる。図7のフリーホイール196、220の最大トルクは、約20mNmとして設計される。
【0116】
図8AおよびBに、フリーホイール196、220のさらなる変形例を示す。これらは、完全に薄鋼板から製造されうる。この場合も、入力側260と出力側262とが設けられることができ、この例では、それぞれ円状の薄鋼板から作られる。図8Aには、出力側262の上から見た俯瞰図を示し、図8Bには、側面図でフリーホイール196、220を示す。
【0117】
この板は、それぞれ孔276、278を有する。板からは、従動子レバー280、282の形態を有する逆方向に方向付けられたフリーホイールアーム198が打ち抜かれ、このレバーは、舌の形態を有する。この例では、それぞれ4つのこの種の従動子レバー280、282が設けられるが、しかし、これとは異なる数の実施の形態を排除するものではない。図8A、入力側260が反時計回り方向に回転すると、この舌の形状を有する従動子レバー280、282は、互いにその上を乗り越えてスライドし、従動は生じない(空転)。これとは逆に、時計回り方向の回転時には、従動子レバー280、282は互いに引っかかり、従動が生じる。
【0118】
この図8AおよびBに図示された変形例では、とくに平坦な構造が可能になり、2つの従動子レバー198場合では、最大トルクは、50mNmとして設計され、空転トルクは約2.8mNmとして設計される。4つのフリーホイールアーム198を有するこの図示した変形例では、フリーホイール196、220の最大トルクは、約100mNmとして設計され、空転トルクは約5.6mNmとして設計されている。
【0119】
図9、本発明のフリーホイール196、220のさらなる実施の形態を図示する。この場合、フリーホイールアーム198は、これに先立つ実施の形態のフリーホイールアーム198と比較すると、非常に短く、8つの歯を有する歯のついた構造部となっている。このフリーホイールアーム198には、2つの従動子アーム258が噛合する。この従動子アームは、フリーホイール196、220が時計回り方向に回転する場合、従動子アーム258を従動させ、これに反して、反時計回り方向の回転の場合には、従動させない。図9のフリーホイール196、220は、2つの従動子アーム258の場合、すなわち図9に図示した場合では、最大トルクは25mNm、空転トルクは約4.4mNmとして設計され、不図示の4つの従動子アーム258を備えた変形例では、最大トルクは約40mNm、空転トルクは約6.6mNmとして設計されている。
【0120】
図2A〜3Dに基づいて上述した試料採取システム110は、連結されるべきシステム機能を少なくとも1つ含むが、搬送機能、つまり巻き取り部146の駆動である。この駆動は、たとえば図2Bで認識可能であるように、巻き付け歯車224を介して行われる。基本的には、別の形式の巻き付け駆動も考えられる。この場合、巻き取り部146への巻き付け駆動への連結は、たとえば、固定されて行われ、たとえば、巻き取り部146が、たとえばテープカセット158の一構成要素としてこの巻き付け駆動部に回転固定で載置されることにより行われうる。したがって、たとえば、巻き付け駆動部が、巻き取り部146内部領域にある1つまたは複数のノッチに噛合することができ、その結果、巻き付け駆動部、とくに巻き付け歯車224の回転時に、巻き取り部146が従動する。直線状の駆動部も基本的には可能である。
【0121】
巻き付け駆動部と巻き取り部146との間を回転固定で接続することに代えて、または、これに追加して、上述したように、1つまたは複数のトルクリミッターの採用も可能である。駆動ユニット160の構成要素でありえ、たとえば、巻き付け駆動部の構成要素でありえる。この種のトルクリミッターの例を、図10〜12に示し、以下にこれについて説明する。トルクリミッターは、これらの図全体を参照符号284で示す。
【0122】
図10〜12、巻き取り部146から、それぞれ1つの巻き付け輪286のみを示すが、トルクリミッター284が見えるようにするためである。巻き付け輪286は、巻き付け駆動部288により駆動されるが、この巻き付け駆動部288は、駆動ユニット160の構成要素であり、たとえば、巻き付け歯車224を有しうる。この巻き付け駆動部288は、巻き付け輪286を駆動し、この巻き付け輪286上には、(図示されていない)使用済みの検査部材122および/またはランセット128を備えた分析テープ114が巻き上げられている。巻き付け輪286は、巻き取り部146の直接的な構成要素でありうる。または、巻き取り部146は、この巻き付け輪286上に単に載置するだけでもよい。
【0123】
トルクリミッター284は、この図示した実施の形態では、駆動ユニット160の部分的な構成要素でしかなく、巻き付け輪286と巻き付け駆動部288との部材を有している。図10に示された実施の形態では、トルクリミッター284は、巻き付け駆動部288の中央ハブ290と接続された螺旋バネ部材292を有するが、この螺旋バネ部材292は、たとえば、金属材料、たとえば、鋼バネから製造されうる。これ以外の材料、たとえば、プラスチック材料も基本的には採用可能である。以下に、さらなる例に基づいて説明するように、トルクリミッター284は、他の様式のバネ部材を有することも可能である。
【0124】
螺旋バネ部材292は、屈曲端部294で終了するが、この端部は、第1噛合部材296として作用する。この第1噛合部材296は、屈曲端部294とは異なる様式で構成することもできるが、第2噛合部材298と協働する。この第2噛合部材298は、図10で図示された実施の形態では、傾斜路形状の歯300の形態で構成されている。この第2噛合部材298を別の構成にすることも基本的には可能である。
【0125】
巻き付け駆動部288が回転方向302に回転すると、まず第1噛合部材296が第2噛合部材298に噛合する。この際、基本的には巻き付け輪286の内側周囲に渡って分散されている歯300の数は可能な限り多くなるように選択すべきで、これにより、空転を可能な限り少なくすることができる。図示した実施の形態では、11個の歯300が設けられるが、基本的にはこれ以外の数の歯300を設けることも可能である。
【0126】
この回転方向312への回転の際、螺旋バネ部材292が、噛合部材296、298と噛合することにより、分析テープ114が所望の位置に達するまで、巻き付け輪286を従動させる。この所望の位置に達するとは、たとえば、所定の検査域124および/または所定のランセット128、たとえば、次のランセット128および/または次の検査域124が、それぞれ適用位置118および/または測定位置に達することであると理解されうる。上述したように、この適用位置118および/または測定位置には、たとえば、阻止部材が設けられ、分析テープ114がさらに搬送されるのを妨げ、および/または、この搬送を困難にする。この阻止部材も、たとえば、試料採取システムと固定的に接続されている第1噛合部材を少なくとも1つと、分析テープ114と接続されている第2噛合部材とを有し、所望の適用位置および/または測定位置に達すると、双方の噛合部材は互いに噛合し、さらなる搬送を妨げる。グリッパーまたは他の様式の阻止部材も考えられる。その後、阻止部材は、分析テープ114に力をかけるが、この力は、この場合保持力に相当する。巻き付け駆動部288で、この保持力はトルクに変換され、巻き付け駆動部288の駆動トルクを無効にする。螺旋バネ部材292は、規定の最大トルクまで縮む。この最大トルクは、協働した際に螺旋バネ部材292の屈曲端部294が放射状に内側に動かされ、歯300がもはや従動させられないところまで動かされることにより引き起こされる。第1噛合部材296は、このトルク以降、第2噛合部材298と接触せず、トルクリミッター284を開放する。螺旋バネ部材292の屈曲端部294は、これ以降、巻き付け輪286にある歯300を乗り越え、これにより、駆動ユニット160が巻き取り部146との連結を解除し、その結果、もはや搬送機能は行われない。これにより、一方では、分析テープ114が誤った位置へとさらに搬送されるのが妨げられ、分析テープ114、阻止部材(たとえば、グリッパー)および/または駆動ユニット160の損傷が防止される。さらに、このようにして、上述したような巻き取り部146の巻き上げ度が異なる場合における駆動条件の変更を相殺することができる。
【0127】
上述したように、図10に示したトルクリミッター284は、多くの可能な実施の形態のうちの1つにすぎない。したがって、螺旋バネ部材292は、たとえば、金属製の螺旋バネ部材および/またはプラスチック製の螺旋バネ部材を含むことができ、たとえば形状連結、締め付け連結または材料連結で、中央ハブ290および/または巻き付け駆動部288の他の部材に固定可能である。または、バネ部材は、駆動されるべき部材に収容されてもよく、その結果、図10で示した原理を逆にすることができる。これにより、たとえば、巻き付け駆動部288が、たとえば歯300の形態を有する第2噛合部材298を有し、駆動されるべき巻き付け輪286が、第1噛合部材296を備えたたとえば螺旋バネ部材292の形態を有するバネ部材を有する。噛合部材296を複数個設けることも考えられる。
【0128】
図11および12に、これに代わるトルクリミッター284の実施の形態を示す。この代替実施の形態では、図10の実施の形態における螺旋バネ部材292は、この場合にはバネアーム306を有するバネ部材304と置き換えられる。図11および12による実施の形態では、バネ部材304またはバネアーム306の数が異なる。図11による実施の形態では、バネアーム306が1つしか設けられていないのに対して、図12による実施の形態では、複数のバネアーム306が存在する。このバネアーム306は、たとえば、トルクリミッター184の残りの構成要素と同様、たとえば、金属材料およびまたはプラスチック材料から製造されうる。これ以外の材料、とくに弾性特性を有する材料も基本的に採用できる。図12による実施の形態では、3つのバネアーム306が、均等に中央ハブ290の外周に分布され、これと連結されている。バネアーム306の数をこれ以外の数にするおよび/または別の配置にすることも、基本的には可能である。
【0129】
図11および12に図示した実施の形態でも、バネアーム306の端部に、第1噛合部材296が設けられている。この第1噛合部材296は、図示した実施の形態では、バネアーム306から放射方向に突き出た突起部308を有する。別の構成の第1噛合部材296も、基本的には可能である。
【0130】
突起部308の形態を有する第1噛合部材296も、巻き付け輪286の内側周囲に配置された歯300の形態を有する第2噛合部材298と協働する。たとえば、これらの歯300も、傾斜路形状で構成することができ、突起部308の外側面は、たとえば削り取られることができ、したがって、実質的に歯300の傾斜路と平行に構成することができる。平行ではない配置も、基本的には可能である。
【0131】
図11および12によるトルクリミッター284の作用は、基本的には、図10に基づいて説明した作用と類似している。この場合も、巻き付け輪286の歯300は突起部308により最大トルクまで従動させられる。巻き付け輪286がこの駆動部に対抗する逆トルクが最大トルクを上回ると、バネアーム306は内側に屈曲し、突起部308は放射方向で内側に動く。この最大トルク(突起部308が、歯300ともはや噛合しなくなる、または、巻き付け輪286と従動が生じなくなる時点)以降、搬送機能は中断する。この場合も、この最大トルクは、たとえば、1つまたは複数の阻止部材(たとえば、分析テープ114を所望の位置に留めるグリッパー)により与えられる。
【0132】
上述したように、図10〜12に図示したトルクリミッター284は、この種のトルクリミッターの可能な実施の形態を示しただけである。さらに、トルクリミッター284を、巻き付け輪286への連結のためおよび搬送機能のために用いるという可能性は、この種のトルクリミッター284を試料採取システム110に有利に採用する多くの可能性のうちの1つに過ぎないという点が指摘される。または、追加的に、たとえば、1つまたは複数のこれ以外のシステム機能を、1つまたは複数のトルクリミッター284を介して連結することができる。または、追加的に、駆動ユニット160はさらに、他の目的のため、たとえば、連結部材152の駆動および/またはエネルギー変換機162への連結という目的のためにも、1つまたは複数のトルクリミッター284を有することができる。したがって、たとえば、トルクリミッター284は、エネルギー変換機162に連結させる際にも、有益に採用することができ、たとえば、エネルギー変換機162が誤作動した際に、駆動ユニット160および/またはさらなる部材の損傷を回避するために採用することができる。さらに、トルクリミッター284は、たとえば、機械的なエネルギー貯蔵部204に連結する際にも採用可能であり、たとえば、穿刺バネ206の過剰付勢およびこれにより引き起こされる穿刺バネ206の損傷を回避するためにも採用されうる。これ以外の様々な構成が考えられる。
【符号の説明】
【0133】
110 試料採取システム
112 分析補助手段
114 分析テープ
116 基板
118 適用位置
120 物品巻き付け部
122 検査部材
124 検査域
126 担体テープ
128 ランセット
130 分析補助手段の組
132 分析テープの走行方向
134 マーキング
136 ローラーシステム
138 固定ローラー
140 可動ローラー
142 方向転換システム
144 巻き解き方向
146 巻き取り部
148 巻き上げ方向
150 連結部分
152 連結部材
154 偏向方向
156 スリット
158 テープカセット
160 駆動ユニット
162 モーター
164 歯車伝動装置
166 連接棒
168 ベースプレート
170 モーターガイド部
172 支柱
174 モーター歯車
176 第1駆動輪
178 モーター軸
180 第1駆動系
182 第2駆動系
184 穿刺駆動歯車
186 解除歯車
188 歯のついた外周領域
190 歯のついていない外周領域
192 軸
194 第1回転方向感知部材
196 第1フリーホイール
198 フリーホイールアーム
200 遮断部
201 ラチェット
202 穿刺バネ歯車
203 つめリング
204 機械的なエネルギー貯蔵部
205 孔
206 穿刺バネ
208 軸
210 偏心ボルト
212 巻き付け駆動歯車
214 軸
216 搬送歯車
218 第2回転方向感知部材
220 第2フリーホイール
222 フリーホイール遮断部
224 巻き付け歯車
226 モーター歯車の時計回り方向の回転
228 穿刺駆動歯車の回転
230 穿刺用移動
232 モーター歯車の反時計回り方向の回転
234 巻き付け駆動歯車および搬送歯車の時計回り方向の回転
236 巻き取り部の反時計回り方向の回転
238 穿刺バネ歯車の時計回り方向への回転
240 試料受容用移動
242 回転方向感知部材
243 ボルト
244 第1駆動面
246 第2駆動面
248 第1駆動系の駆動部材
250 第2駆動系の駆動部材
252 ノッチ
254 歯のついた構造部
256 歯
258 従動子アーム
260 入力側
262 出力側
264 カムレバー
266 軸
268 平坦な側面
270 従動端部
272 急傾斜の側面
274 第2の歯のついた構造部
275 路
276 孔
278 孔
280 従動子レバー
282 従動子レバー
284 トルクリミッター
286 巻き付け輪
288 巻き付け駆動部
290 中央ハブ
292 螺旋バネ部材
294 屈曲端部
296 第1噛合部材
298 第2噛合部材
300 歯
302 回転方向
304 バネ部材
306 バネアーム
308 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの分析補助手段(112)を有する液体試料を採取するための試料採取システム(110)であって、
前記試料採取システム(110)は、前記分析補助手段(112)と連結するための連結部材(152)と、
前記連結部材(152)の静止位置から偏向位置への移動を駆動するための少なくとも1つの駆動ユニット(160)と
を有し、
前記駆動ユニット(160)が、少なくとも1つの回転方向の回転運動を発生させるように構成されているエネルギー変換機(162)を有し、
前記駆動ユニット(160)が、さらに、前記エネルギー変換機(162)に連結させ、かつ前記エネルギー変換機により得られた機械エネルギーを複数の異なるシステム機能に供給するための少なくとも1つの回転方向感知部材(194、218;242)を備えた連結装置を有し、
前記連結装置は、第1回転方向において、前記エネルギー変換機(162)が第1システム機能と連結され、
前記第1回転方向とは異なる第2回転方向において、前記エネルギー変換機(162)が前記第1システム機能とは異なる第2システム機能と連結されてなる
試料採取システム(110)。
【請求項2】
前記第1システム機能および/または前記第2システム機能が、前記試料採取システム(110)の、つぎの機能のうち少なくとも1つを含み、
当該機能が、
分析補助手段(112)のランセット(128)の穿刺用移動を駆動する機能、
前記分析補助手段(112)の検査部材(122)を試料受容用に移動させる機能、
前記ランセット(128)の穿刺用移動を駆動するために、エネルギー貯蔵部(204)、とくに機械的なエネルギー貯蔵部(204)、とくにバネ部材を引っ張る機能、
前記分析補助手段(112)を適用位置(118)に配設するために、分析補助手段(112)を搬送する機能、
前記分析補助手段(112)を測定位置に配設するために、分析補助手段(112)を配設する機能、
カートリッジから前記分析補助手段(112)を適用位置(118)で配設するために、前記試料採取システム(110)のカートリッジを搬送する機能、
分析補助手段(112)を適用位置(118)に配設するために、複数の分析補助手段(112)を含む分析テープ(114)を搬送する機能、および
分析補助手段(112)を適用位置(118)に配設するために、複数の分析補助手段(112)を含む分析板を搬送する機能である
請求項1記載の試料採取システム(110)。
【請求項3】
前記分析補助手段(112)が、少なくとも1つのランセット(128)、および/または、前記液体試料を分析するための1つの検査域(124)を備えた少なくとも1つの検査部材(122)を有する請求項1または2記載の試料採取システム(110)。
【請求項4】
前記分析補助手段(112)が、分析テープ(114)を有し、前記分析テープ(114)は、交互に配された多数のランセット(128)と検査域(124)とを有する請求項3記載の試料採取システム(110)。
【請求項5】
前記連結部材(152)が、連接駆動部(166)および/またはクランク駆動部を有し、前記連接駆動部(166)および/またはクランク駆動部は、適用位置(118)に配置された分析補助手段(112)に連結されるように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項6】
前記エネルギー変換機(162)が、電気モーター(162)を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項7】
前記分析補助手段(112)のランセット(128)の穿刺用移動のために、エネルギーを出力するよう備えられた機械的なエネルギー貯蔵部(204)を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項8】
前記機械的なエネルギー貯蔵部(204)が、以下の部材、すなわち、とくにコイルバネ、螺旋バネ、リーフバネ、皿バネであるバネ部材(206)と、とくにエラストマー部材である弾性部材と、空気圧蓄圧器とのうちの少なくとも1つを有する請求項7記載の試料採取システム(110)。
【請求項9】
前記駆動ユニット(160)が、歯車伝動装置(186)を有し、前記歯車伝動装置(186)は、前記エネルギー変換機(162)の第1角度領域において、機械的なエネルギー貯蔵部(204)を付勢し、この付勢状態で留めるように備えられ、前記歯車伝動装置(186)は、第2角度領域において、機械的なエネルギー貯蔵部(204)を解除し、エネルギーを前記ランセット(128)の穿刺用移動のために出力するように備えられている請求項7または8記載の試料採取システム(110)。
【請求項10】
前記歯車伝動装置(186)が、少なくとも1つの部分的に歯のついた歯車(186)を有し、少なくとも第1外周領域(188)で歯がついており、少なくとも第2の外周領域(190)で歯がついていない請求項9記載の試料採取システム(110)。
【請求項11】
前記歯車伝動装置が、さらに遮断部を有し、前記遮断部は、前記第1角度位置領域においては、前記エネルギー貯蔵部(204)の付勢解除を妨げるように備えられている請求項9または10記載の試料採取システム(110)。
【請求項12】
前記機械的なエネルギー貯蔵部(204)を付勢状態に留めるための遮断部(200)が設けられている請求項9〜11のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項13】
複数の分析検査部材(122)を受容し配設するのに適した以下の部材、すなわち、とくにドラム弾倉カートリッジ、棒状カートリッジ、列状カートリッジ、テープカセット(158)またはジグザグカートリッジなどのカートリッジと、分析テープ(114)と、分析板とのうちの少なくともいずれか1つを有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項14】
前記駆動ユニット(160)が、歯車システムを有し、前記歯車システムが、以下の歯車装置部材、すなわち、平歯車装置、かさ歯車装置、ウォーム歯車装置、ラックピニオン、スピンドル歯車装置、丸穴車装置、遊星歯車装置のうちの少なくとも1つを含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項15】
前記連結装置が、第1駆動輪(184、212)と第2駆動部材(186、216)とを有し、前記第1駆動輪(184、212)は、エネルギー変換機(162)と連結され、前記第2駆動部材(186、216)が、第1システム機能および/または第2システム機能と連結され、前記第1駆動輪(184、212)と前記第2駆動部材(186、216)とは、前記回転方向感知部材(194、218;242)により互いに接続され、前記回転方向感知部材(194、218;242)は、第1回転方向では、第1駆動輪(184、212)と第2駆動部材(186、216)とを互いに連結し、前記第2回転方向では第1駆動輪(184、212)と第2駆動部材(186、216)との連結を解除する請求項1〜14のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項16】
前記連結装置が、2つの回転方向感知部材(194、218;242)により前記第1駆動輪(184、212)に接続された第2駆動部材(186、216)を2つ有し、双方の前記回転方向感知部材(194、218;242)が、対抗する回転方向感度を有し、前記第2駆動部材(186、216)は、それぞれ異なるシステム機能に連結されている請求項15記載の試料採取システム(110)。
【請求項17】
前記回転方向感知部材(194、218;242)が、少なくとも1つのフリーホイール(196、220)、とくに以下のフリーホイール(196、220)、すなわち、制動ローラーフリーホイール、制動子フリーホイール、ラチェットフリーホイール、摩擦遮断フリーホイールおよびカムレバーフリーホイールのうちの少なくとも1つ有する請求項1〜16のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項18】
前記フリーホイール(196、220)が、フリーホイールの空動きを低減するためのフリーホイール遮断部(222)を有する請求項17記載の試料採取システム(110)。
【請求項19】
前記回転方向感知部材(194、218;242)が、前記エネルギー変換機(162)に連結された第1駆動輪(176)と、異なるシステム機能に連結され、かつ異なる平面(244、246)に配置された第2駆動部材(248、250)を少なくとも2つと有し、第1駆動輪(176)が、第1回転方向では、第1平面(244)上に配置され、前記第2駆動部材(248、250)のうちの第1の駆動部材(248)に連結されるように備えられ、第1駆動輪(176)は、第2回転方向では、第2平面(246)上に配置され、前記第2駆動部材(248、250)のうちの第2の駆動部材(250)に連結されるように備えられている請求項1〜18のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項20】
前記エネルギー変換機(162)が、第1回転方向または第2回転方向で、機械的なエネルギー貯蔵部(204)をエネルギーで付勢するシステム機能に連結されることができ、かつ同時に、液体試料を検査部材(122)の検査域(124)上に塗布するために検査部材(122)を偏向位置へと移送するシステム機能に連結できるように、連結装置が備えられている請求項1〜19のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項21】
前記エネルギー変換機(162)が前記第2回転方向で、分析補助手段(112)を適用位置(118)に配設するシステム機能に連結されうるように、連結装置が備えられている請求項20記載の試料採取システム(110)。
【請求項22】
前記試料採取システム(110)が、
a)前記エネルギー変換機(162)が前記第1回転方向への第1回転運動を実施し、機械的なエネルギー貯蔵部(204)が解除され、適用位置(118)に配置された分析補助手段(112)のランセット(128)の穿刺用移動のためにエネルギーを出力するシーケンスと、
b)前記エネルギー変換機(162)が第2回転方向への第2回転運動を実施し、検査域(124)を備えた検査部材(122)は、液体試料を分析するために、適用位置(118)へ移送されるシーケンスと、
c)前記エネルギー変換機(162)が前記第1回転方向への第3回転運動を実施し、前記機械的なエネルギー貯蔵部(204)がエネルギーで付勢され、液体試料を検査部材(122)の検査域(124)へ塗布するために、検査部材(122)が偏向位置へと移送されるシーケンスと、
d)前記エネルギー変換機(162)が前記第2回転方向への第4回転運動を実施し、ランセット(128)は適用位置(118)へ移送されるシーケンスと
を実施するように備えられている請求項1〜21のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項23】
前記試料受容シーケンスが、さらに、前記検査部材(122)がその上に塗布された液体試料と共に、測定位置へと移送される搬送工程を含む請求項22記載の試料採取システム(110)。
【請求項24】
前記搬送工程が、前記方法工程c)とd)との間で実施される請求項23記載の試料採取システム(110)。
【請求項25】
前記試料採取システム(110)、とくに駆動ユニット(160)が、少なくとも1つのトルクリミッター(284)を全体としてまたは部分的に有する請求項1〜24のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の試料採取システム(110)に用いられ、分析ベルト(114)と、物品巻き付け部(120)と、前記分析ベルト(114)を収容するための巻き取り部(146)と、連結部分(150)とを有し、前記連結部分(150)が、前記試料採取システム(110)の前記連結部材(152)の一部分として作用するように備えられているテープカセット(158)。
【請求項27】
液体試料を採取する方法であって、少なくとも1つの分析補助手段(112)を有する試料採取システム(110)が用いられ、前記試料採取システム(110)が、さらに、前記分析補助手段(112)と連結するための連結部材(152)と、前記連結部材(152)の静止位置から偏向位置への移動を駆動するための少なくとも1つの駆動ユニット(160)とを有し、
前記駆動ユニット(160)が、様々な回転方向への回転運動を発生させるように構成されているエネルギー変換機(162)を有し、前記駆動ユニット(160)は、さらに、前記エネルギー変換機(162)に連結させるため、および、前記エネルギー変換機により準備された機械エネルギーを複数の異なるシステム機能に供給するための少なくとも1つの回転方向感知部材(194、218;242)を備えた連結装置を有し、
前記連結装置が、第1回転方向において、前記エネルギー変換機(162)が第1システム機能と連結され、
前記第1回転方向とは異なる第2回転方向において、前記エネルギー変換機(162)が、前記第1システム機能とは異なる第2システム機能と連結され、
前記方法が、
a)前記エネルギー変換機(162)が前記第1回転方向への第1回転運動を実施し、機械的なエネルギー貯蔵部(204)が解除され、適用位置(118)に配置された分析補助手段(112)のランセット(128)の穿刺用移動のためにエネルギーを出力する工程と、
b)前記エネルギー変換機(162)が第2回転方向への第2回転運動を実施し、検査域(124)を備えた検査部材(122)が、液体試料を分析するために、適用位置(118)へ移送される工程と、
c)前記エネルギー変換機(162)が前記第1回転方向への第3回転運動を実施し、前記機械的なエネルギー貯蔵部(204)がエネルギーで付勢され、液体試料を検査部材(122)の検査域(124)へ塗布するために、検査部材(122)が偏向位置に移送される工程と、
d)前記エネルギー変換機(162)が前記第2回転方向への第4回転運動を実施し、ランセット(128)は適用位置(118)へ移送される工程と
を含む方法。
【請求項28】
さらに、前記検査部材(122)がその上に塗布された液体試料と共に、測定位置へと移送される搬送工程を含む請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記搬送工程が、前記方法工程c)とd)との間で実施される請求項28記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−538783(P2010−538783A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525362(P2010−525362)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062547
【国際公開番号】WO2009/037341
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】