説明

液処理装置

【課題】 コンタクトレンズ等を容易に液処理するのに用いられる、処理液の外部への零れ落ちが効果的に防止され得る新規構造の液処理装置の提供。
【解決手段】 ボトル12に着脱可能にハウジング14を設けた。そして、ハウジング14のボトル12への装着状態下で、ボトル12に収容された処理液16の一部をハウジング14の処理室32に流動させ且つ逆流を阻止して貯留させる流動制御機構46,50を設けた。更に、ハウジングの処理室32に処理液16と被処理物47を収容した状態で封止する蓋部材52を設けた。これにより、ボトル12から取り外したハウジング14の処理室32内で被処理物47を処理液16に浸漬させて液処理可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズや貴金属製品などを洗浄や殺菌等の目的で液処理する際に使用される液処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品の使用に際して異物の付着や酸化等の変化が問題となる場合に、当該物品を洗浄液や殺菌液、反応液等の適当な処理液に浸漬して液処理することが行われている。例えば、コンタクトレンズにあっては、使用に際してたんぱく質や脂肪、カルシウム等が付着し易く、それらの付着を放置すると見え方が低下し、細菌増殖や眼疾患等も懸念されることから、定期的な洗浄や殺菌等の液処理が必要とされている。
【0003】
ところで、かかるコンタクトレンズの洗浄等の作業には、一般に、コンタクトレンズが浸漬される程度の洗浄液を収容する洗浄容器が用いられており、この洗浄容器に洗浄液とコンタクトレンズを入れてねじ蓋で密閉するようになっていた。
【0004】
しかし、このような従来構造の洗浄容器では、一回毎に洗浄液を交換しなければならないから、洗浄容器とは別に液収容ボトルを準備しておいて、この液収容ボトルから洗浄容器に所定量の洗浄液を注入しなければならず、使いづらかった。
【0005】
特に、液収容ボトルから洗浄容器に注入する際、液洗浄ボトルを反転させて量を加減しつつ洗浄容器へ処理液を注入する作業を行わなければならず、その作業自体が面倒であった。しかも、液収容ボトルから処理液を流出させると同時に別体の小さな洗浄容器に注入しなければならないことから、その際に処理液が零れたり滴ることで周囲を濡らし易いという問題があった。更に、ボトルから流出する処理液を洗浄容器の小さな注入口に正確に導きつつ、ボトルから流出させる液量を調節することが難しいという問題もあった。
【0006】
なお、特開2005−17826号公報(特許文献1)には、液収容ボトルの上部に洗浄用スペースを一体形成した構造が提案されている。しかし、左右二つのコンタクトレンズを収容させ得る洗浄用スペースを液収容ボトルの上部に一体形成すると、液収容ボトルが著しく大型化してしまい、出張や旅行等に際して持ち歩くことが難しくなる。加えて、コンタクトレンズの洗浄等に際しては、洗浄効果の向上等の目的で、洗浄液にコンタクトレンズを浸漬せしめた状態で振り洗いを必要とすることもあるが、大型の液収容ボトル自体を手で持って振らなければならず、実用上は振り洗いができないという新たな問題も生ずるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−17826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、コンタクトレンズ等の物品を液処理するのに用いられる液処理装置であって、以下の(ア)〜(ウ)の目的を達成し得る、新規な構造の液処理装置を提供することにある。
(ア)ボトルに収容された処理液を処理室に注入する作業が容易であること。
(イ)ボトルから処理室へ処理液を注入するに際して、処理液の外部への零れ落ちが防止されること。
(ウ)処理液に浸漬せしめた物品の振り洗いも容易に行うことが出来ること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、処理液を収容する中空のボトルに対して、該処理液を外部に流出させる流出口が形成されている一方、該ボトルに着脱可能なハウジングが設けられて該ハウジング内に処理室が形成されており、該ハウジングの該ボトルへの装着状態において該ボトルの該流出口が該処理室に接続されるようになっていると共に、該ハウジングの該ボトルへの装着状態において該流出口を通じての該処理液の該処理室への流動を許容し且つ逆流を阻止せしめることにより該処理液の一部を該ボトルから該流出口を通じて該処理室に流動させて貯留させる流動制御機構が設けられている一方、該ハウジングの該処理室を開閉可能に封止して、該処理室に対して該処理液と被処理物を収容せしめた状態で封止し得る蓋部材が設けられており、該ボトルから取り外した該ハウジングにおける該蓋部材で密閉された該処理室内で該被処理物を該処理液に浸漬せしめて処理し得るようにされている液処理装置にある。
【0010】
本態様に従う構造とされた液処理装置では、ボトルの流出口が処理室に接続された状態下で、ボトル内の処理液が流出口から処理室に向けて導き入れられることとなる。それ故、従来構造のボトルと完全に別体の洗浄容器を使用する場合のようにボトルから処理液を一端外部に流出させて処理室の注入口から流入させる必要がない。従って、処理液をボトルから処理室に注入するに際して、その作業を容易に行うことが出来ると共に、処理液の外部への零れ出しや滴り落ち等が効果的に防止され得る。
【0011】
しかも、本態様の液処理装置では、処理室を形成するハウジングがボトルから取り外し可能とされていると共に、ハウジングをボトルから取り外した状態下でハウジング内の処理室が密閉可能とされている。それ故、コンタクトレンズ等の被処理物を処理室内で処理液に浸漬せしめた状態下で、ボトルから取り外したハウジングを手で振って振り洗いすることも容易となる。
【0012】
さらに、本態様の液処理装置では、例えばボトルの流出口に着脱可能とされたハウジングを、かかるボトルの流出口の蓋体として利用することも可能である。そして、ハウジングをボトルの流出口の蓋体としてボトルに連続装着可能とすれば、ハウジングでボトルの流出口を蓋した状態で、ボトルとハウジングを一体的に取り扱い、例えば使用者が携行することも容易となる。
【0013】
なお、本態様における流動制御機構の逆流防止機能は、ボトルの流出口から出た処理液のボトル内への流入を完全に阻止する完全逆流防止機能とすることで、外部からボトル内への細菌等の異物侵入を効果的に防止することが出来る。尤も、かかる流動制御機構における逆流防止機能は、少なくとも必要量の処理液を処理室に残留させるものであれば良く、それを限度として逆流を許容するものであっても良く、例えば処理室での必要量を超えて過剰にボトルから流出した処理液のボトル内への返戻を許容することで、処理液の効率的な使用が実現可能となる。
【0014】
また、本態様における蓋部材は、処理室への被処理物の出し入れを実現するのに開口可能とされると共に、処理室内で処理液に浸漬せしめた被処理物を振り洗い等するのに密閉可能とされていれば良い。例えば、ヒンジ構造を採用して蓋部材をハウジングに連結状態で開閉可能としたり、螺着構造を採用して蓋部材をハウジングから独立構造で開閉可能に構成することも可能である。なお、ハウジングの処理室の蓋部材による開閉部位には、必要に応じてシール部材が配設され、液密性の向上が図られ得る。
【0015】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る液処理装置であって、前記ボトルが、手による押圧力で弾性変形し且つ該押圧力の除去により初期形状に復元する弾性部材であると共に、前記流出口から該ボトル内の底部に延びて開口する流出流路が形成されており、該ボトルを正立状態のまま手で押圧して弾性変形させることにより、前記処理液が該流出流路を通じて該流出口から外部に流出されるようになっている。
【0016】
本態様の液処理装置では、ボトルの周壁を手で掴んで押圧変形させることでボトルの内圧を高めて内部の処理液を流出口から外部に流出させ、流出口に接続されたハウジングの処理室に送ることが出来る。特に、流出口に向けてボトル内の処理液を送る流出流路がボトル内の底部近くに開口されており、ボトルを押圧変形させることでボトル内の底部近くから処理液が流出口に向けて送られることから、ボトルを手で持って傾けたり反転させたりする必要なく、ボトルをテーブル等の上に載置したままの正立状態でも略最後まで処理液を流出させることが出来て、使用性の更なる向上が図られ得る。
【0017】
なお、本態様における流出流路は、例えば流出口からボトル内の底部近くまで延びるチューブ等によって構成され得る。また本態様では、ボトルを反転させて処理液を流出させる必要がないことから、流出口の位置をボトルの上端部に設ける必要はなく、ボトルの高さ方向の中間部分に流出口を形成することも可能となる。
【0018】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る液処理装置であって、前記ボトルにおいて上方に向かって突出する流出口部が形成されており、該流出口部の先端部分に前記流出口が開口せしめられていると共に、前記ハウジングの底部に開口して装着凹部が形成されており、該装着凹部に対して該流出口部が差し込まれて装着されるようになっている。
【0019】
本態様の液処理装置では、ボトルの流出口部とハウジングの装着凹部とを利用して、ハウジングのボトルに対する装着の安定性の向上等を図ることが可能となる。また、ボトルの流出口を覆うキャップを、別体形成する他、本態様によればハウジングによって兼ねることも可能となる。なお、ハウジングのボトルへの装着状態の安定性を更に向上させる等の目的で、ハウジングの装着凹部に対して流出口部が圧入状態で嵌着されるようにしたり、ハウジングの装着凹部と流出口部がねじ構造で螺着されるようにする等しても良い。
【0020】
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れかの態様に係る液処理装置であって、前記ハウジングにおいて上方に向かって開口して形成された処理凹所により前記処理室が形成されていると共に、該ハウジングの前記ボトルへの装着状態において一方の端部が前記流出口に接続され且つ他方の端部が該処理凹所に連通せしめられる液供給流路が形成されており、該液供給流路の該他方の端部が該処理凹所の外周壁部において規定液面より高い位置に開口されていることにより前記流動制御機構が構成されている。
【0021】
本態様の液処理装置では、ボトルから流出されてハウジングの液供給流路を通じて導かれた処理液が、処理凹所の外周壁部に形成された流路開口部を通じて処理凹所に導き入れられる。その際、処理凹所の外周壁部に形成された流路開口部よりも低い処理凹所内の流入した処理液は、処理凹所から流路開口部を通じて逆流することがなく、処理凹所内に安定して貯留され得る。
【0022】
換言すれば、処理凹所の流路開口部の高さを超えてハウジング内に流入せしめられた過剰な処理液は、液供給流路を通じてハウジングからボトル内に逆流させて返戻させることも可能である。これにより、ボトルから処理凹所に導き入れられる処理液の量を自動的に適正に調節することも可能となる。なお、本態様における規定液面は、処理凹所に収容することを予定している処理液の液表面レベル(高さ)であって、特に処理凹所への最大注入量を設定したものとされる。
【0023】
本発明の第五の態様は、前記第四の態様に係る液処理装置であって、前記ハウジングの前記液供給流路が、前記処理凹所の外周壁部の上端面を越えて該処理凹所に開口されており、該液供給流路から該外周壁部を越流して該処理凹所に前記処理液が流入されるようになっていると共に、前記蓋部材が、該処理凹所の外周壁部の上端面に押し付けられて該処理凹所の開口を覆蓋することにより該処理凹所が封止されるようになっている。
【0024】
すなわち、前記第四の態様において処理凹所の外周壁部の流路開口部として採用される構造は、例えば外周壁部の適当な高さ位置に開口する孔であっても良いが、その他、本態様に記載のように、処理凹所の外周壁部の頂部を超えて処理凹所に流入する越流堰の態様であっても良い。また、外周壁部の上端面を全周に亘って同じ高さで形成する他、外周壁部の上端面を周上で部分的に低くして、そこを越流堰のように利用して流路開口部を構成することも可能である。処理凹所の外周壁部に設けられた流路開口部としての堰よりも低い処理凹所内の処理液は、処理凹所から堰を超えて逆流することがなく、処理凹所内に安定して貯留され得る。
【0025】
本発明の第六の態様は、前記第四又は第五の態様に係る液処理装置であって、前記ハウジングにおいて、前記処理凹所を形成する壁部が二重壁構造とされており、かかる二重壁の隙間を利用して前記液供給流路が形成されている。
【0026】
本態様の液処理装置では、処理凹所の壁部を、その全体又は部分的に二重壁構造とし、二重壁の隙間を液供給流路として利用することで、ハウジングにおける液供給流路を少ない部品点数で形成することが可能となる。また、本態様では、処理凹所の底部から周壁部にかけて延びる部分を二重壁構造とした態様が好適に採用され得、それによって、ハウジングの底部においてボトルの流出口に接続されると共に、該ボトルの流出口から流入する処理液を処理凹所の開口部の外周側まで導いて、処理凹所の外周壁部に形成した流路開口部にまで導く液供給流路を、かかる二重壁の隙間を利用して形成することが可能となる。
【0027】
本発明の第七の態様は、前記第一〜六の何れかの態様に係る液処理装置であって、前記ハウジングにおいて前記蓋部材が蝶番構造で開閉可能に連結されている。
【0028】
本発明では、ハウジングから蓋部材が分離独立形成されていて、例えばネジ式で着脱可能にされる構造も採用可能であるが、本態様の液処理装置では、ハウジングに蓋部材を一体化させておくことが出来るから、蓋部材の紛失を防止する等して使用性の向上が図られ得る。なお、本態様において蝶番構造は、例えば連結軸回りに回動可能とした構造の他、薄肉樹脂や薄肉弾性板等で屈曲可能又は湾曲可能に、ハウジングと蓋部材を連結した構造等であっても良い。
【0029】
本発明の第八の態様は、前記第一〜七の何れかの態様に係る液処理装置であって、前記ハウジングには、前記ボトルから取り外された状態で平坦な載置面に静置することができる底面が形成されている。
【0030】
本発明のハウジングは、蓋部材によって処理室が密閉可能とされていることから、ハウジングをボトルから取り外した状態において静置できることは必須でないが、平坦な載置面にハウジングを載置可能とすることで取り扱いが容易となる。尤も、かかるハウジングは、例えば、特別な形状や構造の載置台と組み合わされて、当該載置台に対してハウジングをセットすることで、特定の上下方向を保ちつつハウジングが静置される構造を採用することも可能である。
【0031】
本発明の第九の態様は、前記第一〜八の何れかの態様に係る液処理装置であって、前記ハウジングにおける前記処理室の内面に対して抗菌処理が施されている。
【0032】
本態様の液処理装置では、比較的に大きい容積のボトルをより安全に採用することが可能であり、特にボトルの流出口がハウジングの液流路に接続される本発明の液処理装置において、ボトルの流出口から流出した処理液のボトル内への逆流の可能性が否定できない場合でも、ボトル内の処理液における細菌汚染に対して、処理液への薬品添加を抑えつつ、対抗することが可能となる。
【0033】
本発明の第十の態様は、前記第一〜九の何れかの態様に係る液処理装置であって、前記被処理物がコンタクトレンズであり、前記処理液がコンタクトレンズの洗浄液である。
【0034】
本意態様の液処理装置では、コンタクトレンズの使用者が任意の場所でコンタクトレンズを洗浄処理する場合にも、洗浄液の外部への零れ出しや滴り落ちが可及的に防止されることから、安心して容易に作業することが可能となる。しかも、ハウジングをボトルから取り外した状態でコンタクトレンズを洗浄液に浸漬せしめて振り洗いすることも出来、その作業性の向上も図られ得る。なお、本態様において採用される洗浄液には、必要に応じて適当な物質が添加され、洗浄液としての機能に対して、保存液としての機能や殺菌液としての機能等が、必要に応じて適宜に付加され得る。
【発明の効果】
【0035】
本発明に従う構造とされた液処理装置は、以下(一)〜(三)の効果を発揮し得る。
(一)ボトルに対してハウジングを一体的に連結せしめた状態で、ボトルに収容された処理液をハウジングの処理室に注入できるから、かかる作業を容易に行うことが可能となる。
(二)ボトルにハウジングを連結することで、ボトルの流出口に対してハウジングの処理室が接続されることから、ボトルから処理室へ処理液を注入するに際しての処理液の外部への零れ落ちやボトルからの滴り落ちが防止される。
(三)ボトルから取り外したハウジングの処理室が密閉可能とされているから、当該処理室において処理液に浸漬せしめた物品の振り洗いも、ボトルから取り外したハウジングによって容易に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第一の実施形態である液処理装置としてのコンタクトレンズ洗浄処理装置の縦断面図。
【図2】図1に示されたコンタクトレンズ洗浄処理装置の使用状態を説明する縦断面図。
【図3】図2に示されたコンタクトレンズ洗浄処理装置を構成するハウジングの平面図。
【図4】図2に示されたコンタクトレンズ洗浄処理装置を構成するハウジングの使用状態を説明する縦断面図。
【図5】図2に示されたコンタクトレンズ洗浄処理装置を構成するハウジングのシール構造の別例を示す第二の実施形態としての縦断面図。
【図6】図2に示されたコンタクトレンズ洗浄処理装置を構成するハウジングの液供給流路の別例を示す第三の実施形態としての縦断面図。
【図7】図6に示されたハウジングの蓋部材による処理室の密閉状態を示す縦断面図。
【図8】本発明のハウジングの別形状を示す第四の実施形態としての液処理装置の正面図。
【図9】図8に示された液処理装置の平面図。
【図10】本発明のハウジングの更に別形状を示す第五の実施形態としての液処理装置の図8に対応する平面図。
【図11】本発明のハウジングの更に別形状を示す第六の実施形態としての液処理装置の図8に対応する正面図。
【図12】図11に示された液処理装置の平面図。
【図13】本発明のボトルの別形状を示す第七の実施形態としての液処理装置の部分断面正面図。
【図14】本発明のボトル及びハウジングの更に別形状を示す第八の実施形態としての液処理装置の部分断面正面図。
【図15】本発明のボトルの更に別形状を示す第九の実施形態としての液処理装置の部分断面正面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0038】
図1〜2には、液処理装置に関する本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズ用洗浄装置10が示されている。この洗浄装置10は、ボトル12とハウジング14を含んで構成されており、ハウジング14がボトル12に対して着脱可能に組み合わされている。
【0039】
ボトル12は、処理液としてのコンタクトレンズ用洗浄液16を収容保存するものであり、有底の中空筒体形状を有するボトル本体18が採用されている。このボトル本体18の上端開口部は、上方に向かって突出するボトルネック部20とされており、このボトルネック部20に対して、ノズル22が固着されることによって、上方に向かって突出する流出口部23が構成されている。
【0040】
ノズル22には、中央部分に小径の流出口24が形成されて上方に向かって開口されていると共に、流出口24の外周側において下方に向かって突出する嵌着筒部26が一体形成されている。そして、この嵌着筒部26が、ボトル本体18のボトルネック部20に圧入されて流体密に嵌合されることにより、ボトルネック部20にノズル22が取り付けられている。尤も、嵌着筒部26は、ボトルネック部20に対して螺着や接着、溶着等で固着されていても良い。
【0041】
また、ノズル22の流出口24は、小径筒形状で下方に突出されており、この流出口24の下方突出端部に対してチューブ28が接続されることで処理液の流出流路が構成されている。即ち、かかるチューブ28はボトル12内に収容されて上下方向に延びており、チューブ28の上端が流出口24を通じてボトル12の外部に連通されている一方、チューブ28の下端がボトル本体18の底部近くに開口されている。なお、ボトル12の内部領域は、ノズル22の流出口24だけを通じて外部に連通されており、流出口24を閉鎖することでボトル12内が流体密とされるようになっている。
【0042】
さらに、ボトル本体18は、平坦なテーブル等の載置面に対して安定して置くことができる底面30を有している。また、かかるボトル本体18は、ガラスや硬質樹脂等の剛性材料で形成されていても良いが、本実施形態のボトル本体18は、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル等の弾性を有する可撓性の合成樹脂材料で形成された弾性部材とされている。これにより、ボトル本体18は、手で把持して押圧力を外周面に及ぼすことで比較的に容易に圧搾変形し、且つ押圧力を除くことで初期形状に速やかに膨出復元し得るようになっている。
【0043】
要するに、本実施形態のボトル12は、反転させなくても、その流出口24を上方に向けたままで、例えばボトル12をテーブル等に置いたままで、ボトル本体18の外周面を手で押圧することで、ボトル12の内部圧力が高められ、この圧力によってボトル12内の洗浄液16を、流出口24から外部に流出させることが出来るようになっている。しかも、その際、ボトル12内の洗浄液16は、ボトル12内の底部からチューブ28に流入し、チューブ28を通じて流出口24に導かれることから、ボトル12を反転させて倒立状態とせずとも、それを正立状態としたままで、ボトル12内の洗浄液16を殆ど余すところなく、流出口24から流出させることが出来るようになっている。
【0044】
一方、ハウジング14は、上方に向かって開口する処理室としての処理凹所32を有している。ハウジング14の外周形状や具体的構造は、後述する他の実施形態からも判るとおり限定されるものでないが、本実施形態では、全体として半球形状とされている。
【0045】
また、本実施形態のハウジング14は、処理凹所32を形成するカップ部材34が、それと別体形成されたハウジング本体36に対して組み付けられて固着されることによって構成されている。なお、カップ部材34やハウジング本体36は、使用時の変形が阻止される程度の硬質材料で形成されることが望ましいが、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン等の弾性材料であっても肉厚寸法を調節することで、処理凹所32に対して問題となる程の変形が防止できれば良い。
【0046】
すなわち、ハウジング本体36は、水平な大円が上端面とされた半球形状を有しており、その円形上端面の中央に開口して円形凹所38が形成されている。一方、カップ部材34は、かかる円形凹所38の内面よりも一回り小さな外面を備えた薄肉の略カップ形状とされており、円形凹所38内に嵌め入れられて収容状態で組み付けられている。
【0047】
また、図3にも示されているように、カップ部材34の底部中央には、下方に向かって突出して高台状の環状突起40が一体形成されている。この環状突起40は周上の複数箇所で分断されており、環状突起40の内周側と外周側とを連通する連通溝42が形成されている。
【0048】
更にまた、カップ部材34の開口側端部の外周面には、径方向外方に向かって突出する外方突起44が、周上の複数箇所に一体形成されている。
【0049】
そして、カップ部材34がハウジング本体36の円形凹所38に嵌め入れられた際、カップ部材34の環状突起40の突出先端面が円形凹所38の底面に当接されていると共に、カップ部材34の外方突起44の突出先端面が円形凹所38の開口部内周面に当接されている。これにより、カップ部材34とハウジング本体36の円形凹所38との間には、環状突起40及び外方突起44の当接部位を除く対向面間の全体に広がる隙間46が形成されている。換言すれば、ハウジング14における処理凹所32は、その壁部が、ハウジング本体36とカップ部材34とによって二重壁構造とされており、かかる壁部の略全体に亘って広がるように隙間46が形成されている。
【0050】
なお、本実施形態では、カップ部材34で形成される処理凹所32が、そこに収容されるコンタクトレンズ47の前面の曲率半径よりも大きな曲率半径と該コンタクトレンズ47の外径寸法(DIA)よりも大きな外径寸法とをもった凹形球面形状の底面と、該底面の外周部分から湾曲して上方に向かって立ち上がる筒形状の周壁面とからなる内面形状とされている。そして、この処理凹所32の内面形状よりも一回り大きな略相似形状の内面をもって、ハウジング本体36の円形凹所38が形成されている。
【0051】
また、円形凹所38が開口するハウジング本体36の上端面には、外周縁部を全周に亘って連続して延びる周堤48が形成されており、この周堤48で囲まれた上端面の中央部分が、周堤48よりも一段低くされている。そして、この周堤48内で低くされた上端面の中央部分において、円形凹所38が開口形成されている。また、この円形凹所38内に組み付けられたカップ部材34は、その全体が円形凹所38内に収容される大きさであり、カップ部材34で形成された処理凹所32の外周壁の上端面50が、周堤48内で低くされたハウジング本体36の上端面と略同じ高さ(略同一面上)に位置せしめられている。
【0052】
さらに、ハウジング本体36は、その外周面形状が半球状とされていると共に、内部に形成された円形凹所38が浅底形状とされていることにより、円形凹所38の底部中央の肉厚寸法が大きく確保されている。そして、この厚肉とされた円形凹所38の底部中央において、下方に向かって開口する装着凹部51が形成されている。この装着凹部51は、円形凹所38の底部を上下に貫通しており、上端部が絞られて円形凹所38の底部中央に開口している。
【0053】
而して、図1〜2に示されているように、ハウジング本体36の装着凹部51の下側開口部に対して、ボトル12の流出口部23が差し込まれて嵌め入れられることにより、ハウジング14がボトル12に対して着脱可能に装着されるようになっている。また、かかる装着状態下、ボトル12の流出口部23がハウジング本体36の装着凹部51に対して流体密に嵌合されることにより、ボトル12の流出口部23に形成された流出口24が、ハウジング14においてハウジング本体36とカップ部材34との間に形成された隙間46に接続されるようになっている。
【0054】
これにより、ボトル12の流出口24(一方の端部)から流出される洗浄液16が、隙間46に流入され、隙間46の中央から連通溝42を経て更に外方突起44,44間を通過して隙間46の上側開口部から流出せしめられることで、カップ部材34の外周壁の上端面50を越流して処理凹所に流れ込むようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、処理凹所32の外周壁の略全体に亘って形成された隙間46によって、ボトル12の流出口24から供給された洗浄液16を隙間46の上側開口部(他方の端部)から処理凹所32に導き入れる液供給流路が構成されている。
【0055】
また、隙間46の上側開口部から流出された洗浄液16は、ハウジング本体36の外周縁部に突設された周堤48により、ハウジング14から周堤48を乗り越えて外部に溢れ出すことが防止されている。即ち、この周堤48よりも、カップ部材34の外周壁の上端面50が低くされていることから、隙間46の上側開口部からハウジング14の上端面に流出された洗浄液16は、その全部が、カップ部材34の外周壁の上端面50を越流して処理凹所32に導かれるようになっている。
【0056】
しかも、このカップ部材34の外周壁の上端面50を越流して処理凹所32に導き入れられた処理液16は、その自由水面が、カップ部材34の外周壁の上端面50を超えない限り、かかる上端面50を越流して隙間46から逆流することが無い。それ故、ボトル12の周壁を手で押圧して処理液16を処理凹所32に流入させることで、処理凹所32内に必要量の処理液16を貯留させることが出来る。即ち、本実施形態では、ハウジング14のボトル12への装着状態下で、処理凹所32の規定液面よりも高い位置に隙間46が開口されていることで、処理凹所32からの処理液の逆流を防止する流動制御機構が構成されている。
【0057】
なお、本実施形態では、ハウジング14の上端面において、液供給流路としての隙間46の開口部分が、カップ部材34の外周壁の上端面50に比して、それよりも高い周堤48で取り囲まれていることから、ボトル12の押圧操作を誤って多量の処理液16がボトル12からハウジング14に流入しても、ハウジング14から周堤48を越流して外部にまで溢れ出すことが防止され得る。そして、万一、カップ部材34の外周壁の上端面50よりも高い水面まで、隙間46から処理液16がハウジング14に流入しても、手によるボトル12の押圧力を解除することで、該上端面50を超える水位を与える処理液16の余剰分は、隙間46からボトル12内に向かって逆流方向に速やかに吸引され得る。それ故、ハウジング14の処理凹所32には、最も多くてもカップ部材34の外周壁の上端面50を超えない水面をもって適当量の処理液16が収容されるように調節されるのである。
【0058】
さらに、ハウジング14には、蓋部材52が組み付けられている。この蓋部材52は、ハウジング14に形成された処理凹所32を流体密に覆蓋し得るものであれば良く、後述する他の実施形態に示すとおり具体的な形状や構造は限定されないが、本実施形態では、ハウジング14を含む全体デザインや手での持ち易さ等も考慮して、ハウジング14と対を為す半球形状とされている。
【0059】
そして、ハウジング14と蓋部材52とは、各大円となる上端面と下端面とが突き合わされるようにして重ね合わされて組み合わされるようになっている。また、ハウジング14と蓋部材52における各外周の対応する一箇所が蝶番54で連結されており、この蝶番54による回動軸回りの相対的な揺動変位に基づいて、蓋部材52がハウジング14に対して開閉作動されるようになっている。
【0060】
そして、蓋部材52の開位置において、ハウジング14の処理凹所32が外部に開放される一方、蓋部材52の閉位置において、図2に示されているように、かかる処理凹所32が覆蓋されるようになっている。
【0061】
また、蓋部材52には、ハウジング14への重ね合わせ面となる下端面において、中央部分で下方に向かって突出する円板形状のシール突部56が形成されている。このシール突部56の外径寸法は、ハウジング14の周堤48の内径寸法と同じか僅かに小さくされており、蓋部材52が閉作動されてハウジング14の上端面に重ね合わされる際、シール突部56が周堤48の内周に入り込み、シール突部56の突出先端面(突出下端面)が、処理凹所の外周壁部の上端面であるハウジング14のカップ部材34の周壁の上端面50に対して押し付けられて密着されるようになっている。これにより、カップ部材34内に形成された処理凹所32の開口が、シール突部56で流体密に覆蓋され、外部空間から遮断された密閉領域とされるようになっている。
【0062】
なお、本実施形態では、蓋部材52の閉位置において、シール突部56の突出先端面が、ハウジング14のカップ部材34の周壁の上端面50だけでなく、周堤48の内周側に位置するハウジング本体36の上端面の略全面にまで押し付けられて密着されるようになっている。それにより、ハウジング14の上端面における隙間46の開口が全体に亘って密閉されるようになっている。
【0063】
また、本実施形態では、シール突部56の突出先端面の中央部分において、更に下方に突出する中央突部58が形成されている。この中央突部58は、球状凸面をもった円形台地状とされており、その外径寸法が処理凹所32の開口径よりも僅かに小さくされることで、蓋部材52の閉位置において、かかる中央突部58が処理凹所32の開口部から内方に入り込むようになっている。
【0064】
この中央突部58が処理凹所32に入り込むことで、蓋部材52で密閉された処理凹所32の中央部分における最大深さ寸法が小さくされている。これにより、処理凹所32に収容せしめたコンタクトレンズ47の不必要な変位や変形、反転等を防止することが出来ると共に、処理凹所32に収容された洗浄液16の水中に中央突部58を突出させることで、コンタクトレンズ47の洗浄液16への浸漬状態が効率的に且つ一層安定して発現され得るようにすることが出来る。
【0065】
上述の如き構造とされた本実施形態の洗浄装置10を用いてコンタクトレンズ47の洗浄処理を行うに際しては、先ず、図1に示されているように、ボトル12の流出口部23に対してハウジング14を嵌着固定して装着する。次に、ハウジング14の蓋部材52を開位置としたままで、ボトル12の手で押圧することにより、ボトル12内の洗浄液16をハウジング14側に流動させ、処理凹所32内に所定量の洗浄液16を流入させて貯留させる。
【0066】
なお、処理凹所32内に流入させる洗浄液16の量は、コンタクトレンズ47を完全に浸漬せしめ得る量であれば良いが、必要以上の使用を避ける等の目的で、処理凹所32の内面に対して、目視可能な凹凸や印刷等により規定水量を表す水面位置を参考的に表示しておくことが好ましい。必要量の洗浄液16を処理凹所32に流入させた後は、ボトル12への押圧力を除去することで、ボトル12が弾性復元し、洗浄液16の流出量に対応する量の大気が隙間46から流出口24及びチューブ28を通じてボトル12内に流入される。
【0067】
そして、洗浄液16を処理凹所32内に貯留する前又は貯留した後に、処理凹所32にコンタクトレンズ47を投入して、コンタクトレンズ47を洗浄液16に浸漬せしめる。その後、図2に示されているように、ハウジング14において蓋部材52を閉操作することで、洗浄液16とコンタクトレンズ47を収容せしめた処理凹所32を密閉状態とする。
【0068】
次いで、蓋部材52で処理凹所32が密閉されたハウジング14を、ボトル12から取り外して、図4に示されているように単体とする。このようにハウジング14を単体とすることで、小型のハウジング14を手で持って容易に振り洗いすることが出来るし、小型のハウジング14をボトル12から独立させて適当な場所に載置しておくことも出来る。
【0069】
なお、ハウジング14は、ボトル12の流出口部23に装着することでキャップとしても機能し得るが、上述のようにハウジング14を取り外して利用する場合には、ボトル12の流出口部23を覆蓋する着脱可能なキャップを別途に設けることが望ましい。
【0070】
また、上述のようにハウジング14をボトル12から取り外して適当な場所に単体で載置する場合には、ハウジング14の底面を、平坦な載置面に載置可能な支持面とすることが好適である。本実施形態では、ハウジング14の下端に設けられた円形凹所38の開口周縁部が、全周に亘って平面上に位置せしめられており、この開口周縁部においてテーブル等の平坦な載置面に対して安定して載置され得るようになっている。なお、必要に応じて、ハウジング14を安定して支持せしめるために、ハウジング14の底部表面に対応した受面形状を備えた載置台を準備することも可能であり、そのような載置台を採用すれば、万一ハウジング14の円形凹所38から洗浄液16が滴り落ちても、周囲を汚すことが防止できる。
【0071】
そして、必要な洗浄処理が完了したら、ハウジング14において蓋部材52を開操作し、開放された処理凹所32からコンタクトレンズ47を取り出して装用等することが出来るのである。
【0072】
従って、上述の如き洗浄装置10によれば、洗浄に必要な量の洗浄液16をボトル12から処理凹所32に流動させる際、ボトル12からハウジング14内の流路を通じて処理凹所32に対して洗浄液16を直接に導き入れることが出来るのであり、洗浄液16を一端ボトル外部に流出させる必要がないことから、その作業を容易に行うことが出来ると共に、洗浄液16の外部への零れ出しも防止され得る。
【0073】
また、かかる液処理装置10では、洗浄液16とコンタクトレンズ47を収容せしめたハウジング14を、ボトル12から取り外して単体とすることが出来ることから、洗浄状態下のコンタクトレンズ47の取り扱いが容易になる。それ故、例えば、ハウジング14におけるコンタクトレンズ47の振り洗いや、狭い場所等への取り置き等も容易とされる。
【0074】
なお、本発明は上述の第一の実施形態としての洗浄装置10の具体的構造に限定されるものでなく、必要に応じて適当な構造を追加や削除したり、特定の構造を変更したりすることも可能である。例えば、ボトル12の内面に加えて、チューブ28,流出口24等の洗浄液16が接する面には、公知の有機系又は無機系の抗菌剤を成形時に添加したり成形後に皮膜形成する等して抗菌処理が施され得る。また、ハウジング14の隙間46や処理凹所32、蓋部材52の下端面等にも、同様な抗菌処理を施すことが好ましい。なお、かかる抗菌処理は、より具体的には例えば銀や亜鉛、安息香酸エステル、フェノール系化合物、ハロゲン化炭化水素などの有機/無機抗菌微生物剤を成形用ポリマーに含有させたり、かかる有機/無機抗菌微生物剤を成形後のポリマー表面にコーティングする他、酸化チタン等の光触媒機能を持たせる処理を施すことによって実施される。
【0075】
また、ハウジング14の処理凹所32に対する蓋部材52による流体密性を向上させるために、蓋部材52のシール突部56を、シリコーンゴム等の弾性の高いシール材で形成し、それを蓋部材52本体に固着しても良い。
【0076】
その他、第一の実施形態の洗浄装置10に比して異なる構成を採用した態様の幾つかを、以下に具体的に例示するが、第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、各図中に第一の実施形態と同一の符号を付することで詳細な説明を省略する。
【0077】
先ず、図5に示された第二の実施形態としての洗浄装置60は、第一の実施形態に比して、処理凹所32のシール構造の別態様を例示するものである。本態様の蓋部材52には、ハウジング14への重ね合わせ面上で、ハウジング14のカップ部材34の周壁の上端面50に対応する部分に位置して、シール突片62が形成されている。このシール突片62は、蓋部材52と一体形成されていても良いし、適当なゴム材料で別体形成されたものを蓋部材52に固着して形成されていても良い。特に本実施形態のシール突片62は、先細の薄肉断面形状を有しており、径方向で斜めに傾斜して突出せしめられており、カップ部材34の周壁の上端面50への押し付け方向で一層大きな弾性が発揮されるようになっている。
【0078】
次に、図6〜7に示された第三の実施形態としての洗浄装置64は、第一の実施形態に比して、隙間46から処理凹所32への洗浄液16の流入部分の構造の別態様を例示するものである。本態様において処理凹所32を形成するカップ部材34の周壁部には、上端縁部において切欠状の流入口66が、周上で適数箇所に形成されている。かかる流入口66を形成することで、処理凹所32に貯留される洗浄液16の最高水位を、カップ部材34の周壁部の上端から所定量だけ下げて設定することが可能となる。なお、蓋部材52に設けられて処理凹所32を覆蓋するシール突部56には、カップ部材34の流入口66に対応する各位置に嵌合突起68が突設されており、蓋部材52が閉操作された際、かかる嵌合突起68が流入口66に嵌まり合って流入口66を覆蓋することにより処理凹所32の流体密性が確保されるようになっている。
【0079】
また、本発明で採用されるボトル12としても、円筒形状で立ち上がる中空構造の他、扁平な筒形状で立ち上がる中空構造等も採用可能であり、例えば、図8〜9に示された第四の実施形態としての洗浄装置70のように、高さ方向で断面の形状や大きさが変化する筒形状で立ち上がる中空構造のボトル12なども採用され得る。特に、かかる洗浄装置70のボトル12のように、下部が下方に向かって広がる形状を採用することにより、ボトル12を載置した場合の安定性の向上も図られ得る。
【0080】
なお、図8〜9に示された第四の実施形態の洗浄装置70では、第一の実施形態に示された球状外周面のハウジング14及び蓋部材52に比して、それぞれ円柱外周面を有するハウジング14及び蓋部材52が採用されている。このように、ボトル12の他、ハウジング14及び蓋部材52の形状も適宜にデザイン変更することが出来、例えば図10に示す第五の実施形態の洗浄装置72のように、矩形外周面を有するハウジング14及び蓋部材52や、図11〜12に示す第六の実施形態の洗浄装置74のように、協働して角錐形外周面を呈するハウジング14及び蓋部材52等も採用可能である。なお、図10に示された第五の実施形態の洗浄装置72の正面図は、第四の実施形態の洗浄装置70を示す図8と同じに表れることから省略する。また、第四〜六の実施形態におけるハウジング14及び蓋部材52の内部構造は、第一の実施形態と同じであるから、それらの図示を省略する。
【0081】
さらに、第一の実施形態の洗浄装置10のボトル12では、上端部に突出する流出口部23が設けられていたが、ボトルの高さ方向の中間部分に位置して流出口部を形成することも可能である。具体的には、例えば、図13に記載の本発明の第七の実施形態である洗浄装置80に示されているように、縦形筒体構造のボトル82の高さ方向中間部分において外周面から側方に延び出して上方に向かって先端部が屈曲された90度ベント管形状の流出口部84を形成し、この流出口部84の突出先端部に対して別体のハウジング14を着脱可能に装着しても良い。
【0082】
また、図13に示された第七の実施形態では、ボトル82の上端部に開口部86が形成されており、この開口部86を通じて洗浄液16をボトル82内に充填可能とされていると共に、かかる開口部86を蓋するキャップ88が螺着等で取り付けられているが、例えば図14に記載の第八の実施形態に示されているように、流出口部23の他に開口部を持たない構造のボトル90を採用しても良い。このようなボトル90は、合成樹脂のブロー成形等で製造することが出来、流出口部23を通じて洗浄液16をボトル90内に充填することが可能である。
【0083】
更にまた、図15に記載の第九の実施形態に示されているように、例えば高さ方向の中間部分に段差部が形成されたボトル92を採用し、この段差部の段差面94において上方に向かって突出する流出口部96を形成しても良い。このように、ボトル92の段差面94に流出口部96を形成することにより、流出口部96に装着されたハウジング14を、ボトル92の段差による切欠状部分へ収容せしめた状態で配設することが可能となる。それ故、ボトル92に装着したハウジング14の外方への突出量を抑えることが出来、それを携行等するのが容易になると共に、外方に突出したハウジング14が他部材に引っ掛かったりして予期せず脱落してしまうことも防止できる。
【0084】
さらに、図示はしないが、例えばハウジング14をボトル12の流出口部に対して螺着にて着脱可能とすることで、ハウジング14のボトル12への装着状態がより確実に保持されるようにすることや、ハウジング14におけるボトル12の流出口部23への装着部分にOリング等のシール部材を配設して液漏れの防止を一層確実にすること等も可能である。
【0085】
また、ボトル12を押圧して洗浄液16をハウジング14の処理凹所32に導き入れる際、過剰にハウジング14から流出した洗浄液16を処理凹所32に流入して溢れた後に又は処理凹所32に流入する前に、ハウジング14に向けて返戻せしめる返戻用流路を形成しても良い。
【0086】
更にまた、ハウジング14の処理凹所32を覆蓋する蓋部材52において、処理凹所32を外部空間に対する密閉状態を確保しつつ、ボトル12からの液供給流路である隙間46に対しては処理凹所32が連通状態とされるように、例えばカップ部材34の外周壁の上端面50との間に僅かな間隙を残す半シール状態が必要に応じて発現されるようにすると共に、この半シール状態から完全シール状態に移行させて、処理凹所32を外部空間及び隙間46からも遮断させることが出来るようにしても良い。このような半シール状態と完全シール状態を設定可能とすることにより、例えば半シール状態下で、ボトル12及びハウジング14を反転させて倒立状態とし、ボトル12内の洗浄液16を重力作用でハウジング14の処理凹所32内に流動させることが出来、その後、ボトル12及びハウジング14を再反転させて正立状態として所定量の洗浄液16を処理凹所32に残留させてから完全シール状態とすることも可能となる。
【0087】
なお、前記実施形態においては、被処理物がコンタクトレンズ47であり、処理液がコンタクトレンズ用洗浄液16であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、貴金属製品等を被処理物とし、それに応じた処理液を用いることも可能である。
【0088】
その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更を加えて実施することが可能であり、そのような各態様も、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明の範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
10,60,64,70,72,74,80:洗浄装置(液処理装置)、12,82,90,92:ボトル、14:ハウジング、16:洗浄液(処理液)、23,84,96:流出口部、24:流出口、28:チューブ、32:処理凹所(処理室)、47:コンタクトレンズ(被処理物)、50:上端面、51:装着凹部、52:蓋部材、54:蝶番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を収容する中空のボトルに対して、該処理液を外部に流出させる流出口が形成されている一方、該ボトルに着脱可能なハウジングが設けられて該ハウジング内に処理室が形成されており、
該ハウジングの該ボトルへの装着状態において該ボトルの該流出口が該処理室に接続されるようになっていると共に、該ハウジングの該ボトルへの装着状態において該流出口を通じての該処理液の該処理室への流動を許容し且つ逆流を阻止せしめることにより該処理液の一部を該ボトルから該流出口を通じて該処理室に流動させて貯留させる流動制御機構が設けられている一方、
該ハウジングの該処理室を開閉可能に封止して、該処理室に対して該処理液と被処理物を収容せしめた状態で封止し得る蓋部材が設けられており、
該ボトルから取り外した該ハウジングにおける該蓋部材で密閉された該処理室内で該被処理物を該処理液に浸漬せしめて処理し得るようにされていることを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記ボトルが、手による押圧力で弾性変形し且つ該押圧力の除去により初期形状に復元する弾性部材であると共に、
前記流出口から該ボトルの底部に延びて開口する流出流路が形成されており、
該ボトルを正立状態のまま手で押圧して弾性変形させることにより、前記処理液が該流出流路を通じて該流出口から外部に流出されるようになっている請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記ボトルにおいて上方に向かって突出する流出口部が形成されており、該流出口部の先端部分に前記流出口が開口せしめられていると共に、
前記ハウジングの底部に開口して装着凹部が形成されており、該装着凹部に対して該流出口部が差し込まれて装着されるようになっている請求項1又は2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記ハウジングにおいて上方に向かって開口して形成された処理凹所により前記処理室が形成されていると共に、
該ハウジングの前記ボトルへの装着状態において一方の端部が前記流出口に接続され且つ他方の端部が該処理凹所に連通せしめられる液供給流路が形成されており、
該液供給流路の該他方の端部が該処理凹所の外周壁部において規定液面より高い位置に開口されていることにより前記流動制御機構が構成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記ハウジングの前記液供給流路が、前記処理凹所の外周壁部の上端面を越えて該処理凹所に開口されており、該液供給流路から該外周壁部を越流して該処理凹所に前記処理液が流入されるようになっていると共に、
前記蓋部材が、該処理凹所の外周壁部の上端面に押し付けられて該処理凹所の開口を覆蓋することにより該処理凹所が封止される請求項4に記載の液処理装置。
【請求項6】
前記ハウジングにおいて、前記処理凹所を形成する壁部が二重壁構造とされており、かかる二重壁の隙間を利用して前記液供給流路が形成されている請求項4又は5に記載の液処理装置。
【請求項7】
前記ハウジングにおいて前記蓋部材が蝶番構造で開閉可能に連結されている請求項1〜6の何れか1項に記載の液処理装置。
【請求項8】
前記ハウジングには、前記ボトルから取り外された状態で平坦な載置面に静置することができる底面が形成されている請求項1〜7の何れか1項に記載の液処理装置。
【請求項9】
前記ハウジングにおける前記処理室の内面に対して抗菌処理が施されている請求項1〜8の何れか1項に記載の液処理装置。
【請求項10】
前記被処理物がコンタクトレンズであり、前記処理液がコンタクトレンズ用洗浄液である請求項1〜9の何れか1項に記載の液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−251246(P2011−251246A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126542(P2010−126542)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】