説明

液晶表示パネルの製造方法

【課題】液晶滴下法で製造する液晶の真空下での劣化及び基板内の気泡の発生を抑制した
液晶表示パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】複数の液晶表示パネル形成領域22からなるパネル領域22Aが形成された
第1マザー基板11Mと第2マザー基板14Mを用意する第1の工程と、第1マザー基板
11Mと第2マザー基板14Mの少なくとも一方に、複数の液晶表示パネル形成領域22
のそれぞれ外周囲に沿って環状にシール材17を塗布する第2の工程と、環状に塗布され
たシール材17の内側に液晶18aを滴下する第3の工程と第1マザー基板11Mと第2
マザー基板14Mを真空中で貼り合せる第4の工程と、マザー基板10Mを各液晶表示パ
ネル10pに分断する第5の工程とを有する液晶表示パネル10の製造方法であって、第
3の工程において、第1マザー基板11M又は第2マザー基板14Mのパネル領域22A
外の複数箇所に液晶18bを滴下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶滴下(One Drop Fill:以下、「ODF」という)法を用いた液晶表示
パネルの製造方法に関し、詳しくは、真空下に曝される液晶の劣化を抑制し、且つ液晶層
内の気泡の発生を抑制したODF法を用いた液晶表示パネルの製造方法に関するものであ
る。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルに液晶を封入する方法としてODF法が知られている。ODF法は、各
種配線等が形成された一対の基板を貼り合わせる前に、下側に配置される例えばアレイ基
板の各液晶表示パネル形成領域を囲むようにシール材を閉ループ状に塗布し、その内側に
液晶を滴下し、その後、上側にカラーフィルター基板を覆い被せ、紫外線の照射等により
シール材を硬化させて貼り合わせる方法である。
【0003】
ODF法では、閉ループ状に塗布したシール材の内側に液晶を直接滴下して封入するた
め、液晶注入口を形成する必要が無くなるので、液晶表示装置の額縁領域を狭くし、表示
領域を大きくすることができ、且つ製造工程数の簡易化を図ることができる。また、従来
から採用されている真空注入法では、薄型パネルに形成された液晶注入口に封止材を塗布
することが困難であることや、大型液晶表示装置の製造時の液晶の注入時間が増大すると
いった課題が存在しているが、ODF法はこれらの課題を解決する方法として注目されて
いる。
【0004】
また、下記特許文献1にはODF法で製造される液晶表示装置の発明が開示されている
。下記特許文献1に示されている液晶表示装置の製造方法によれば、液晶の粘性を小さく
抑えたODF法に最も適した液晶材料を用いることにより、応答速度、特に中間調の高速
化を図り、表示特性の更なる向上が可能となるとされている。更に、下記特許文献2には
、液晶組成分中に高揮発性の液晶組成成分を含有させた液晶表示素子の製造方法が開示さ
れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−001482号公報
【特許文献2】特開2004−029452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ODF法を用いる場合、液晶を滴下後、真空中で一対の基板の貼り合わせを行
うため、液晶が真空下に曝されることによって発生する品質劣化の問題がある。すなわち
、通常、液晶は常温・常圧下ではほとんど変質しないが、液晶表示パネル形成領域ごとに
少量滴下された液晶は、貼り合わせを行う際に真空に接する面積が大きい上、高真空下に
曝されるので、液晶中に含まれる成分の揮発が起こり、製品に悪影響を与えるおそれがあ
る。これは、液晶には、液晶の粘性を小さくするために、易気化成分が添加されているた
めである。
【0007】
この液晶中の成分の揮発は、液晶滴下後に一対のマザー基板が近接配置された後に真空
排気されるため、図13Aに示すように、一対のマザー基板の中央部よりも周辺領域(斜
線で示した領域)で生じ易い。すなわち、発明者の実験によれば、図13Bに示すように
、真空下におけるODF法による液晶中の揮発性成分の変化量は、一対のマザー基板の周
辺領域における値をcとし、中央部における値をbとしたとき、一対のマザー基板の中央
部では小さく、周辺領域では大きく、c>bとなっている。
【0008】
このことは、製造工程中の大判のマザー基板の周辺領域に位置していた液晶表示パネル
は、液晶中の揮発性を有する成分量が多く減っている(変化している)ことを意味する。
さらに、一対のマザー基板の周辺領域における揮発性成分の変化量cは、今回の場合中央
部の変化量bに対して10倍ほど大きくなっていることから、一対のマザー基板の周辺領
域では中央部よりも著しい液晶の劣化が起こっていることがわかる。さらに、従来の液晶
注入口を形成する真空注入法を用いて液晶を注入する場合、図13Bに示すように、液晶
中の揮発性成分の変化量aは、c>a>bの関係となっている。すなわち、ODF法による
一対のマザー基板の周辺領域の揮発性成分の変化量cはaの約2倍強となり、一方、中央
部の変化量bはaの約1/5程となっている。このことは、ODF法を採用すると、真空
注入法を用いた場合と比べても、一対のマザー基板の周辺領域の揮発性成分の変化量は大
きく、中央部では揮発性成分の変化量が小さいことを意味している。
【0009】
発明者等は、このような液晶中の揮発性成分の揮発による劣化及び気泡の発生を抑制す
べく種々実験を重ねてきた。その結果、液晶中の揮発性成分が揮発し易いマザー基板の最
も外周側に位置する液晶表示パネル形成領域よりもさらに外側に液晶を滴下しておくと、
マザー基板の液晶表示パネル形成領域の液晶よりも先に、この外側に滴下した液晶から揮
発性成分が揮発するため、液晶表示パネル形成領域内の液晶中の揮発成分が揮発し難くな
ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、ODF法を用いて製造する液晶表示装置において、真空下
に曝される液晶の劣化を抑制し、且つ液晶層内の気泡の発生を抑制した液晶表示装置の製
造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の液晶表示パネルの製造方法は、
複数の液晶表示パネル形成領域からなるパネル領域が形成された第1マザー基板及び第
2マザー基板を用意する第1の工程と、
前記第1マザー基板及び第2マザー基板の少なくとも一方に、前記複数の液晶表示パネ
ル領域のそれぞれ外周囲に沿って環状にシール材を塗布する第2の工程と、
前記環状に塗布されたシール材の内側に液晶を滴下する第3の工程と
前記第1マザー基板と前記第2マザー基板を真空中で貼り合せる第4の工程と、
前記マザー基板を各液晶表示パネルに分断する第5の工程とを有する液晶表示パネルの
製造方法であって、
前記第3の工程において、前記第1マザー基板又は前記第2マザー基板の前記パネル領
域外の複数箇所に前記液晶を滴下することを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【0012】
液晶中には、液晶の粘性を小さくするため、易気化成分が添加されている。ODF法で
液晶表示パネルを製造する場合、液晶滴下後に広い面積で液晶が真空下に曝されるため、
易気化成分が容易に揮発するので、液晶の品質の劣化及び気泡の発生が生じる虞がある。
この現象は、ODF法による液晶表示パネルの製造工程では、液晶滴下後に第1マザー基
板及び第2マザー基板が近接配置された後に真空排気されるため、第1マザー基板及び第
2マザー基板の周辺領域で生じ易い。なお、このような現象は、シール剤によって液晶注
入口を形成してこの液晶注入口から液晶を注入する場合には、液晶が真空下に曝される面
積が小さいため、生じ難い。
【0013】
本発明の液晶表示パネルの製造方法では、ODF法によって液晶表示パネルを作製する
際、第1マザー基板又は第2マザー基板の周辺部のパネル領域外にも液晶を複数箇所に滴
下している。このようにすると、液晶滴下後に真空下に曝されても、第1マザー基板及び
第2マザー基板が近接配置されているために、第1マザー基板及び第2マザー基板の最外
周囲に位置する液晶から劣化ないし気泡の発生が生じるようになる。そのため、第1マザ
ー基板及び第2マザー基板の外周側の液晶表示パネル形成領域の液晶の劣化ないし液晶内
の気泡の発生を遅らせることができ、結果的に、両基板の貼り合わせが完了するまで、外
周側の液晶表示パネル形成領域の液晶の劣化ないし液晶内の気泡の発生を抑制することが
できる。そのため、本発明の液晶表示パネルの製造方法によれば、第1マザー基板及び第
2マザー基板によって同時に製造する全ての液晶表示パネルについて、液晶の劣化及び液
晶内の気泡の発生が少ない液晶表示パネルを製造することができるようになる。
【0014】
また、本発明の液晶表示パネルの製造方法においては、前記第2の工程において、更に
、前記シール材を、前記第1マザー基板又は第2マザー基板の前記パネル領域の外周側を
一体に囲むように、環状に塗布し、前記第3の工程において、前記パネル領域の外周側を
一体に囲むように環状に形成されたシール材の外周側に前記液晶を複数箇所滴下すること
が好ましい。
【0015】
本発明の液晶表示パネルの製造方法によれば、マザー基板に形成される複数の液晶表示
パネル形成領域とマザー基板のパネル領域の外周囲に滴下される液晶との間に、一体にシ
ール材によって壁が形成されている。そのため、マザー基板のパネル領域の外周囲に滴下
した液晶がマザー基板の液晶表示パネル形成領域内に侵入することを抑制することができ
るので、液晶表示パネルの実装領域の端子部などが液晶によって汚染されることを抑制す
ることができるようになる。
【0016】
また、本発明の液晶表示パネルの製造方法においては、前記第2の工程において、前記
シール材を、前記第1マザー基板又は第2マザー基板の前記パネル領域の外周側に、前記
マザー基板の分断線上を避けて、環状に複数箇所に塗布し、前記第3の工程において、前
記パネル領域の外周側に形成した複数箇所の環状のシール材の内部にも前記液晶を滴下す
るようにしてもよい。
【0017】
本発明の液晶表示パネルの製造方法によれば、マザー基板のパネル領域の外周側に滴下
される液晶は、マザー基板の分断線上を避けて形成した、複数の液晶表示パネル形成領域
の更に外周側に形成した環状のシール材の内部に滴下されている。そのため、マザー基板
を分断した際に、マザー基板上に液晶が残ることがないので、個々の液晶表示パネルの外
周部を液晶で汚すことなく製造することができ、また、余計な洗浄工程を設ける必要がな
くなる。
【0018】
また、本発明の液晶表示パネルの製造方法においては、前記第3の工程において、前記
第1マザー基板又は前記第2マザー基板の前記パネル領域外に滴下する液晶の高さを、前
記液晶表示パネル形成領域内に滴下する液晶の高さよりも低くなるようにするとより好ま
しい。
【0019】
本発明の液晶表示パネルの製造方法によれば、マザー基板のパネル領域の外周囲に滴下
する液晶の高さを液晶表示パネル形成領域内に滴下する液晶の高さより低くなるようにし
たので、無駄な液晶量を少なくすることができ、効率よく液晶の劣化ないし液晶内の気泡
の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1Aは実施形態1〜3に共通する液晶表示パネルの平面図であり、図1Bは図1AのIB−IB線に沿った断面図である。
【図2】実施形態1の液晶表示パネルの製造工程を示したフローチャートである。
【図3】図3Aは実施形態1の一方のマザー基板にシール材を塗布する工程を示す斜視図であり、図3Bは液晶を滴下する工程を示す斜視図であり、図3Cは両マザー基板を対向配置した斜視図である。
【図4】図4Aは図3CのIVA−IVA線での断面図であり、図4Bは図4Aに続く貼り合せ後の断面図である。
【図5】図5Aは分断工程の切断線を示す平面図であり、図5Bは分断後の液晶表示パネルを示す平面図である。
【図6】実施形態2の液晶表示パネルの製造工程を示すフローチャートである。
【図7】図7Aは実施形態2の一方のマザー基板にシール材を塗布する工程を示す斜視図であり、図7Bは液晶を滴下する工程を示す斜視図であり、図7Cは両マザー基板を対向配置した斜視図である。
【図8】図7Aは図6CのVIIA‐VIIA線での断面図であり、図7Bは図7Aに続く貼り合せ後の断面図である。
【図9】実施形態3の液晶表示パネルの製造工程を示すフローチャートである。
【図10】図10Aは実施形態3の一方のマザー基板にシール材を塗布する工程を示す斜視図であり、図10Bは液晶を滴下する工程を示す斜視図であり、図10Cは両マザー基板を対向配置した斜視図である。
【図11】図11Aは図10CのXIA‐XIA線での断面図であり、図11Bは図11Aに続く貼り合せ後の断面図である。
【図12】図12Aは実施形態4の一方のマザー基板にシール材を塗布する工程を示す斜視図であり、図12Bは液晶を滴下する工程を示す斜視図であり、図12Cは両マザー基板を対向配置した斜視図である。
【図13】図13Aは従来の真空下での液晶内の揮発成分の揮発しやすい部分を示す平面図であり、図13Bは液晶内の揮発成分の揮発する位置による変化量の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、実施形態及び図面を参照しながら詳細に
説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためにODF
法を用いた液晶表示パネルの製造方法を例にとって説明するものであって、本発明をこの
実施形態に記載されたODF法を用いた液晶表示パネルの製造方法に特定することを意図
するものではなく、本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等し
く適応し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面にお
いては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に
縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものでは
ない。また、以下に述べるアレイ基板及びカラーフィルター基板の「表面」とは各種配線
が形成された面ないしは液晶と対向する側の面を示すものとし、「裏面」とは表示面側(
カラーフィルター基板の場合)ないしバックライト側(アレイ基板の場合)の面を示すも
のとする。
【0022】
[実施形態1]
まず、図1を参照して、実施形態1のODF法を用いた液晶表示パネルの製造方法によ
って製造される液晶表示パネル10の構成について説明する。図1A及び図1Bに示すよ
うに、実施形態1の液晶表示パネル10は、ガラス等からなる第1透明基板12上に各種
配線等を形成したアレイ基板11と、ガラス等からなる第2透明基板15上にカラーフィ
ルター等を形成したカラーフィルター基板14とが対向配置されている。
【0023】
アレイ基板11は、カラーフィルター基板14と対向配置させたときに所定スペースの
実装領域12aが形成されるように、カラーフィルター基板14より若干サイズが大きい
ものが使用されている。この実装領域12aには、液晶18aを駆動するドライバーIC
21等が配置されている。
【0024】
アレイ基板11とカラーフィルター基板14は、その周辺にシール材17が環状に塗布
され、内部に液晶18aが封入された状態で貼り合わされている。なお、このシール材1
7で囲まれた領域の内側に表示領域19が形成され、表示領域19の外側が非表示領域2
0となっている。なお、アレイ基板11とカラーフィルター基板14とは、一定の隙間(
セルギャップ)を有するようにフォトスペーサー(図示省略)が形成され、また、アレイ
基板11とカラーフィルター基板14の裏側にはそれぞれ偏光板(図示省略)が形成され
ている。
【0025】
次に、図2〜図5を参照して実施形態1の液晶表示パネルの製造工程を説明する。なお
、以下の説明は、図2のフローチャートに沿って説明する。
【0026】
アレイ基板側の第1マザー基板11M(以下単に第1マザー基板という)は、ガラス等
の第1透明基板12上に、金属膜や絶縁膜、樹脂膜等の成膜とパターニングを繰り返して
信号線や走査線などの各種配線、スイッチング素子としての薄膜トランジスター(TFT
:Thin Film Transistor)、ITO(Indium Thin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide
)等の透明導電性材料からなる下電極、電極間絶縁膜、ITOやIZO等の透明導電性材
料からなる上電極、配向膜などを備え、複数個の液晶表示パネル形成領域22を含むよう
にパネル22Aを形成する。なお、これらの下電極、電極間絶縁膜、上電極等の構成は、
周知のFFSモードの液晶表示装置の場合と相違はないので、図1Bではこれらを総称し
て構造物13として表している。そして、配向膜にラビング処理をして第1マザー基板1
1Mが完成される(ステップS1)。
【0027】
また、カラーフィルター側の第2マザー基板14M(以下単に第2マザー基板という)
は、ガラス等の第2透明基板15上に金属膜や樹脂膜、絶縁膜等の成膜とパターニングを
繰り返し、遮光層、カラーフィルター層、オーバーコート層、配向膜等を備えるように形
成される。なお、図1Bではこれらを総称して構造物16として表している。そして、配
向膜にラビング処理をして第2マザー基板14Mが完成される(ステップS2)。
【0028】
次に、図3Aに示すように第1及び第2マザー基板11M、14Mを貼り合せるための
パネルシール材17を塗布する。パネルシール材17は、例えば専用のシールディスペン
サー23を用いて、各液晶表示パネル形成領域22の周囲を囲むように環状に塗布する(
ステップS3)。なお、実施形態1の液晶表示パネル10の製造方法では、図3Aに示す
ように第1マザー基板11M側に形成した例を示す。また、パネルシール材は熱硬化性、
紫外線硬化性あるいはこれらを組み合わせたものを用いることができる。
【0029】
また、各液晶表示パネル形成領域22には、アレイ基板11とカラーフィルター基板1
4間のセルギャップを一定に保つためのフォトスペーサー(図示省略)を設ける必要があ
るが、このフォトスペーサーは第1マザー基板又は第2マザー基板のいずれか一方の表面
に形成すればよい。
【0030】
次に、図3Bに示すように第1マザー基板11Mに専用の液晶滴下装置24を用いて液
晶18を滴下する(ステップS4、S5)。ここでは、液晶18を、各液晶表示パネル形
成領域22の略中央部、すなわち、第1マザー基板11Mに形成されたパネルシール材1
7の内側に液晶18aとして滴下し、液晶表示パネル形成領域22の外側、つまりパネル
領域22Aの外側に液晶18bとして複数個所滴下する。なお、液晶18aと液晶18b
の滴下する順番は、特に限定はなく、液晶18aを先に滴下した後、液晶18bを滴下し
てもよい。またその反対に、液晶18bを滴下した後、液晶18aを滴下してもよい。
【0031】
次に、第1及び第2マザー基板11M、14Mの貼り合わせを、公知の真空発生装置を
用いて真空状態にした貼り合せ装置25内で行う(ステップS6)。貼り合せは図3C及
び図4Aに示すように、パネルシール材17を塗布し液晶18a、18bを滴下した第1
マザー基板11Mと、第2マザー基板14Mを対向配置し、第1及び第2マザー基板11
M、14Mを貼り合せ、滴下した液晶18aを液晶表示パネル形成領域22内に充填させ
る(図4B参照)。なお、貼り合わせた第1及び第2マザー基板を10Mとする。
【0032】
このとき、実施形態1の液晶表示パネル10の製造方法では、第1マザー基板11Mの
液晶表示パネル形成領域22内に液晶18aを滴下するだけでなく、パネル領域22Aの
外側にも液晶18bを複数箇所に滴下している。このようにすることで、前述したように
、液晶の揮発性成分が揮発しやすいマザー基板10Mの最も外側にある液晶表示パネル形
成領域22(図13A斜線部参照)よりもさらに外側に滴下した液晶18bの揮発性成分
が先に揮発し始め(図4Aの矢印参照)、液晶表示パネル形成領域22内に滴下した液晶
18aの劣化ないし液晶内の気泡の発生を遅らせることができ、第1及び第2マザー基板
11M,14Mの貼り合わせが完了するまでに、第1及び第2マザー基板11M,14M
の最も外側にある液晶表示パネル形成領域22内の液晶が劣化ないし液晶内の気泡の発生
を抑制することができる。そして、パネルシール材17を加熱あるいは、紫外線を照射す
ることで硬化させ、貼り合わせが完了する。
【0033】
その後、図5Aに示すように、貼り合わせが完了したマザー基板10Mを切断線26に
沿って図5Bに示すように、個々の液晶表示パネル10pに分断する分断工程及び、基板
上に残った外側に添付した液晶18bを洗浄する洗浄工程を行う(ステップS7)。そし
て、個々の液晶表示パネルに分断した液晶表示パネル10pにドライバーIC21等を設
置し、図1に示すような実施形態1の液晶表示パネル10が完成する(ステップS8)。
【0034】
以上より、実施形態1の液晶表示パネルの製造方法によれば、第1マザー基板及び第2
マザー基板によって同時に製造する全ての液晶表示パネルについて、液晶の劣化及び液晶
内の気泡の発生が少ない製造歩留まりのよい液晶表示パネルを製造することができるよう
になる。
【0035】
[実施形態2]
実施形態1の液晶表示パネルの製造方法では、単にパネル領域の外側に液晶を滴下した
場合を示した。実施形態2の液晶表示パネルの製造方法では、複数の液晶表示パネル形成
領域を一体に囲むようにパネル領域22Aの外側に環状のシール材を形成し、この環状の
シール材の外側に液晶を滴下する場合を説明する。なお、実施形態2の液晶表示パネルの
製造方法では、シール材を形成する位置が異なるのみなので、実施形態1の液晶表示パネ
ルの製造方法と共通する構成には同一の符号を参照し、詳細な説明は省略する。
【0036】
実施形態2の液晶表示パネル10Aの製造工程を図1及び図1、図6〜図8を参照して
説明する。なお、以下、図6のフローチャートに沿って説明する。
【0037】
実施形態2の液晶表示パネル10Aの製造方法は、図6のフローチャートに示すように
、実施形態1の液晶表示パネル10の製造方法に比べて、シール材を複数の液晶表示パネ
ル形成領域を一体に囲むようにパネル領域22Aの外側に環状に形成する工程が追加され
ている。なお、他の工程は実施形態1と同じである。この液晶表示パネル形成領域を一体
に囲むように環状に形成したシール材を外周環状シール材という。
【0038】
まず、上記実施形態1と同様に、第1マザー基板11AM及び第2マザー基板14AM
を用意する。この工程は上記実施形態1で説明したステップS1及びステップS2と同一
であるので、詳細な説明は省略する(ステップS1A、S2A)。
【0039】
次に、図7Aに示すように第1及び第2マザー基板11AM、14AMを貼り合せるた
めのシール材17Aを塗布する(ステップS3A、S4A)。このシール材17Aは、液
晶表示パネル形成領域22を囲むように環状に形成されるパネルシール材17Aa(ステ
ップS3A)と、パネル領域22Aの外側に形成される外周環状シール材17Abとから
なる(ステップS4A)。これらのシール材17Aは、図7Aに示すように、実施形態1
と同様に例えば専用のシールディスペンサー23を用いて、第1マザー基板11BM側に
形成する。なお、シール材は熱硬化性、紫外線硬化性あるいはこれらを組み合わせたもの
を用いることができる。
【0040】
次に、図7Bに示すように第1マザー基板11AMに専用の液晶滴下装置24を用いて
液晶18Aを滴下する。ここでは、液晶18Aを、各液晶表示パネル形成領域22の中央
部、すなわち、第1マザー基板11Mに形成されたパネルシール材17Aaの内側に液晶
18Aaとして滴下し(ステップS5A)、外周環状シール材17Abの外側に液晶18
Abとして複数箇所に滴下する(ステップS6A)。なお、先述したように、ステップS
5AとステップS6Aの順番が逆でも構わない。
【0041】
次に、第1及び第2マザー基板11AM、14AMの貼り合わせを、実施形態1と同様
に公知の真空発生装置を用いて真空状態にした貼り合せ装置25内で行う(ステップS7
A)。貼り合せは図7C、図8Aに示すように、シール材17Aを塗布し液晶18Aを滴
下した第1マザー基板11AMと、第2マザー基板14AMを対向配置し、第1及び第2
マザー基板11AM、14AMを貼り合せ、滴下した液晶18Aaを液晶表示パネル形成
領域22内に充填させる(図8B参照)。
【0042】
このとき、実施形態2の液晶表示パネル10Aの製造方法では、第1マザー基板11A
Mの液晶表示パネル形成領域22内に液晶18Aaを滴下するだけでなく、パネル領域2
2Aの外側に塗布した環状の外周環状シール材17Abの外側にも液晶18Abを複数箇
所に滴下している。このようにすることで、液晶内の揮発性成分の揮発を抑制すると共に
、マザー基板10AMの外周環状シール材17Abの外側に滴下した液晶18Abがマザ
ー基板10AMの内側に侵入することを抑制することができる。そして、各シール材17
Aa、17Abを加熱あるいは、紫外線を照射することで硬化させ、貼り合わせが完了す
る。
【0043】
その後、実施形態1と同様に、貼り合わせが完了したマザー基板10AMを切断線26
に沿って複数の液晶表示パネル10Apに分断する分断工程及び、基板上に残った外側に
添付した液晶18Abを洗浄する洗浄工程を行う(ステップS8A)。そして、個々に分
断した液晶表示パネル10Ap(図5B参照)にドライバーIC21等を設置し、図1に
示すような実施形態2の液晶表示パネル10Aが完成する(ステップS9A)。
【0044】
以上より、実施形態2の液晶表示装置の製造方法によれば、実施形態1と同様に液晶の
成分変化を抑制することで不良品の発生を抑制し、製造歩留まりのよい液晶表示パネルを
製造することができるとともに、液晶表示パネルの実装領域の端子部などが液晶によって
汚染されることを抑制することができるようになる。
【0045】
[実施形態3]
実施形態2の液晶表示パネルの製造方法では、パネル領域の外側に滴下した液晶が液晶
表示パネル形成領域に侵入するのを抑制するために外周環状シール材を形成した場合を説
明した。実施形態3の液晶表示パネルの製造方法では、パネル領域の外側に小さな環状の
シール材を複数個形成し、この小さな環状のシール材の内側に液晶を滴下する場合を説明
する。なお、実施形態3の液晶表示パネルの製造方法では、シール材を形成する位置が異
なるのみなので、実施形態1の液晶表示パネルの製造方法と共通する構成には同一の符号
を参照し、詳細な説明は省略する。
【0046】
実施形態3の液晶表示パネルの製造工程を図1、図9〜図11を参照して説明する。な
お、以下、図9のフローチャートに沿って説明する。
【0047】
実施形態3の液晶表示パネル10Bの製造方法は、図9のフローチャートに示すように
、実施形態1の液晶表示パネル10の製造方法に比べて、シール材をパネル領域の外側に
小さな環状のシール材を複数個形成する工程が追加されている。なお、他の工程は実施形
態1と同じである。このパネル領域の外側に形成した複数個の小さな環状のシール材を外
側小環状シール材という。
【0048】
まず、上記実施形態1と同様に第1マザー基板11BM及び第2マザー基板14BMを
用意する。この工程は上記実施形態1で説明したステップS1、S2と同一であるので、
詳細な説明は省略する(ステップS1B、S2B)。
【0049】
次に、図10Aに示すように第1及び第2マザー基板11BM、14BMを貼り合せる
ためのシール材17Bを塗布する。このシール材17Bには、液晶表示パネル形成領域2
2を囲むように環状に形成されるパネルシール材17Baと(ステップS3B)、パネル
領域22Aの外側に形成される外側小環状シール材17Bbとがある(ステップS4B)
。また、この外側小環状シール材17Bbは、マザー基板10BMを切断する切断線26
Bと重なる位置を避けて塗布される。これらのシール材17Bは、図10Aに示すように
、実施形態1と同様に例えば専用のシールディスペンサー23を用いて、第1マザー基板
11BM側に形成する。なお、シール材は熱硬化性、紫外線硬化性あるいはこれらを組み
合わせたものを用いることができる。
【0050】
次に、図10Bに示すように第1マザー基板11BMに専用の液晶滴下装置24を用い
て液晶18Bを滴下する。ここでは、液晶18Bを、各液晶表示パネル形成領域22の中
央部、すなわち、第1マザー基板11Mに形成されたパネルシール材17Baの内側に液
晶18Baとして滴下し(ステップS5B)、外側小環状シール材17Bbの内側に液晶
18Bbとして滴下する(ステップS6B)。
【0051】
次に、第1及び第2マザー基板11BM、14BMの貼り合わせを、公知の真空発生装
置を用いて真空状態にした貼り合せ装置25内で行う(ステップS7B)。貼り合せは図
10C及び図11Aに示すように、シール材17Bを塗布し液晶18Bを滴下した第1マ
ザー基板11BMと、第2マザー基板14BMを対向配置し、第1及び第2マザー基板1
1BM、14BMを貼り合せ、滴下した液晶18Baを液晶表示パネル形成領域22内に
充填させる(図11B参照)。
【0052】
このとき、実施形態3の液晶表示パネル10Bの製造方法では、ODF法によって液晶
表示パネルを作製する際、第1マザー基板11BMの液晶表示パネル形成領域22内の他
に、外側小環状シール材17Bbの内部にも液晶18Bbを滴下している。このようにす
ることで、液晶表示パネル形成領域22の外側に滴下した液晶18Bbを外側小環状シー
ル材17Bbの中へ閉じ込めておくことができる。そして、シール材17Bを加熱あるい
は、紫外線を照射することで硬化させ、貼り合わせが完了する。
【0053】
その後、貼り合わせが完了したマザー基板10BMを複数の液晶表示パネル10Bpに
分断する分断工程を行う(ステップS8B)。このとき、外側小環状シール材17Bbを
形成することで、マザー基板10BMを分断した際に、パネル領域22Aの外側に滴下し
た液晶は外側小環状シール材17Bb内に閉じ込められているため、飛散することがない
ので特別な洗浄工程を設ける必要はない。その後、分断したそれぞれの液晶表示パネル1
0BpにドライバーIC21等を設置し、図1Aに示すような実施形態1の液晶表示パネ
ル10Bが完成する(ステップS9B)。
【0054】
以上より、実施形態3の液晶表示パネル10Bの製造方法によれば、実施形態1と同様
に液晶の成分変化を抑制することで不良品の発生を抑制し、製造歩留まりのよい液晶表示
パネルを製造することができるとともに、個々の液晶表示パネルの外周部を液晶で汚すこ
となく製造することができ、また、余計な洗浄工程を設ける必要がなくなる。
【0055】
なお、上記実施形態1〜3の液晶表示パネルの製造方法において、パネル領域の外側に
滴下する液晶の高さを、液晶表示パネル形成領域内に滴下する液晶よりも低くすることが
できる。このようにすることで、無駄な液晶量を少なくすることができ、効率よく液晶の
劣化ないし液晶内の気泡の発生を抑制することができる。
【0056】
また、上記実施形態1〜3では、液晶は液晶表示パネル形成領域内を先に滴下した場合
を説明したが、これに限らず、液晶表示パネル形成領域の外側を先に滴下してもよい。
【0057】
さらに、上記実施形態1〜3の液晶表示パネルの製造方法では、第1マザー基板にシー
ル材の塗布及び液晶の滴下をした場合を説明したが、これに限らず、第2マザー基板にシ
ール材の塗布及び液晶の滴下をしてもよく、また、シール材の塗布及び液晶の滴下を第1
マザー基板及び第2マザー基板のそれぞれ別々に行ってもよい。
【0058】
また、パネル領域22Aの外側に形成されるシール材17Cの形成例として、図12A
〜図12Cに示す実施形態4の液晶表示装置10Cのように、マザー基板10CMの基板
辺に向かって開口するコの字状のシール材17Cbと、コの字状の開口辺を塞ぐとともに
、第1マザー基板の4辺に沿って形成された外周シール材17Ccからなるものでもよい
。このようにコの字状シール材17Cbと外周シール材17Ccを形成することで、実施
形態3では外側小環状シール材17Bbを一つ一つ形成しているのに対し、実施形態4で
はいわゆる一筆書きで形成することができるようになり、容易にパネルシール材17Ca
以外のシール材17Cb、17Ccを形成することができるようになる。なお、他の工程
は実施形態3の液晶表示装置の製造工程と共通するので説明は省略する。
【符号の説明】
【0059】
10、10A〜10C:液晶表示パネル 10p、10Ap〜10Cp:分断後の液晶
表示パネル 10M、10AM〜10CM:マザー基板 11:アレイ基板 11M、1
1AM〜11CM:第1マザー基板 12:第1透明基板 12a:実装領域 13:第
1構造物 14:カラーフィルター基板 14M、14AM〜14CM:第2マザー基板
15:第2透明基板 16:第2構造物 17:パネルシール材 17A:シール材
17Aa:パネルシール材 17Ab:外周環状シール材 17B:シール材 17Ba
:パネルシール材 17Bb:外側小環状シール材 17Ca:パネルシール材 17C
b:コの字状のシール材 17Cc:外周シール材 18、18A〜18C:液晶 18
a、18Aa〜18Ca:パネル内液晶 18b、18Ab〜18Cb:パネル外液晶
19:表示領域 20:非表示領域 21:ドライバーIC 22:液晶表示パネル形成
領域 22A:パネル領域 23:シールディスペンサー 24:液晶滴下装置 25:
装置 26、26B、26C:切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液晶表示パネル形成領域からなるパネル領域が形成された第1マザー基板及び第
2マザー基板を用意する第1の工程と、
前記第1マザー基板及び第2マザー基板の少なくとも一方に、前記複数の液晶表示パネ
ル領域のそれぞれ外周囲に沿って環状にシール材を塗布する第2の工程と、
前記環状に塗布されたシール材の内側に液晶を滴下する第3の工程と
前記第1マザー基板と前記第2マザー基板を真空中で貼り合せる第4の工程と、
前記マザー基板を各液晶表示パネルに分断する第5の工程とを有する液晶表示パネルの
製造方法であって、
前記第3の工程において、前記第1マザー基板又は前記第2マザー基板の前記パネル領
域外の複数箇所に前記液晶を滴下することを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【請求項2】
前記第2の工程において、更に、前記シール材を、前記第1マザー基板又は第2マザー
基板の前記パネル領域の外周側を一体に囲むように、環状に塗布し、
前記第3の工程において、前記パネル領域の外周側を一体に囲むように環状に形成され
たシール材の外周側に前記液晶を複数箇所滴下することを特徴とする請求項1に記載の液
晶表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前記第2の工程において、前記シール材を、前記第1マザー基板又は第2マザー基板の
前記パネル領域の外周側に、前記マザー基板の分断線上を避けて、環状に複数箇所に塗布
し、
前記第3の工程において、前記パネル領域の外周側に形成した複数箇所の環状のシール
材の内部にも前記液晶を滴下することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネルの製
造方法。
【請求項4】
前記第3の工程において、前記第1マザー基板又は前記第2マザー基板の前記パネル領
域外に滴下する液晶の高さを、前記液晶表示パネル形成領域内に滴下する液晶の高さより
も低くなるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示パネル
の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−203285(P2011−203285A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67534(P2010−67534)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】