説明

液晶表示素子及びこれを備える情報端末

【課題】液晶表示素子において、表示領域の外側の領域に液晶が入らないようにして、低コスト化を図り、品質や信頼性を向上させる。
【解決手段】液晶表示素子1を、第1基板6と、第1基板に対向する第2基板7と、第1基板と第2基板との間に設けられ、液晶が充填される表示領域20を規定するシール材10と、第1基板、第2基板及びシール材によって規定された液晶注入口22とを備えるものとし、液晶注入口の両側方の第1基板、第2基板及びシール材を、同一平面上に位置させ、第1基板、第2基板及びシール材が同一平面上に位置する両側の領域23の液晶注入口からの長さを、それぞれ、第1基板、第2基板及びシール材が同一平面上に位置する領域の表面粗さをRa(μm)として、0.26e0.64Ra(mm)以上の長さとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子及びこれを備える情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各企業及び各大学等において、電子ペーパーなどの液晶表示素子の開発が盛んに進められている。例えば、電子ペーパーは、電子ブックを筆頭に、モバイル端末のサブディスプレイやICカードの表示部等、多様な情報端末への応用が提案されている。
液晶表示素子は、2枚の基板の間に挟まれた液晶の周囲をシール材で封止した構造を有する。このような構造を有する液晶表示素子を製造する場合、2枚の基板及びシール材によって規定される表示領域に液晶を充填する方法として、真空注入法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−215480号公報
【特許文献2】特開2008−89901号公報
【特許文献3】特開2007−226227号公報
【特許文献4】特開2006−251189号公報
【特許文献5】特開平4−243221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、真空注入法によって液晶注入口から表示領域に液晶を充填する液晶注入工程において、例えば図11に示すように、液晶を充填する必要のない表示領域の外側の領域、即ち、シール材の外側の領域にも液晶が入ってしまう。そして、表示領域の外側の領域に液晶が入ってしまうと、液晶注入工程の後に、この不要な液晶を洗い流す洗浄工程が必要になり、コストが高くなる。また、液晶の洗浄が不十分であると、電極や端子等の腐食などが生じ、品質や信頼性を低下させることになる。
【0005】
そこで、表示領域の外側の領域に液晶が入らないようにして、低コスト化を図り、品質や信頼性を向上させたい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本液晶表示素子及びこれを備える情報端末は、第1基板と、第1基板に対向する第2基板と、第1基板と第2基板との間に設けられ、液晶が充填される表示領域を規定するシール材と、第1基板、第2基板及びシール材によって規定された液晶注入口とを備え、液晶注入口の両側方の第1基板、第2基板及びシール材は、同一平面上に位置し、第1基板、第2基板及びシール材が同一平面上に位置する両側の領域の液晶注入口からの長さが、それぞれ、第1基板、第2基板及びシール材が同一平面上に位置する領域の表面粗さをRa(μm)として、0.26e0.64Ra(mm)以上の長さである。
【発明の効果】
【0007】
したがって、本液晶表示素子及びこれを備える情報端末によれば、表示領域の外側の領域に液晶が入らないようにすることができ、低コスト化を図り、品質や信頼性を向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の液晶表示素子に含まれる表示部の構成を示す模式図である。
【図2】本実施形態の液晶表示素子に含まれる表示部の構成を示す模式的断面図である。
【図3】本実施形態の液晶表示素子の構成を示す模式図である。
【図4】(A)、(B)は、本実施形態のコレステリック液晶を用いた液晶表示素子の表示原理を説明するための模式図である。
【図5】本実施形態の液晶表示素子における表面粗さの定義を説明するための図である。
【図6】本実施形態の液晶表示素子における表面粗さの測定方法を説明するための図である。
【図7】液晶伝播距離の測定方法を説明するための図である。
【図8】表面粗さと液晶伝播距離との関係を示す図である。
【図9】本実施形態の情報端末の構成を示す模式図である。
【図10】本実施形態の液晶表示素子に含まれる表示部の変形例の構成を示す模式図である。
【図11】本発明の課題を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる液晶表示素子及びこれを備える情報端末について、図1〜図9を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる液晶表示素子は、例えば、コレステリック液晶を用いた電子ペーパーである。なお、液晶表示素子を、液晶表示装置、又は、表示装置ともいう。
ここで、コレステリック液晶は、コレステリック相が形成される液晶組成物であって、例えば電子ペーパーの表示部に用いるのに適している。このコレステリック液晶は、半永久的な表示保持特性(メモリ性)、鮮やかなカラー表示特性、高コントラスト特性、及び、高解像度特性等の優れた特長を有している。なお、詳しくは後述する。
【0010】
本液晶表示素子は、図2に示すように、青(B)、緑(G)及び赤(R)用コレステリック液晶を用いたフルカラー表示が可能な液晶表示素子1であって、青(B)表示部2、緑(G)表示部3、赤(R)表示部4を、この順に光入射面(表示面)側から積層した構造になっている。また、本実施形態では、R表示部4の下側に可視光吸収層(光吸収層)5が設けられている。なお、図2中、上側が表示面であり、外光は、図2中、上側から表示面に向かって入射するようになっている。また、表示部をパネルともいう。
【0011】
このうち、B表示部2は、対向配置された一対の上基板6及び下基板7と、プレーナ状態で青色の光を反射する青(B)用液晶層8と、液晶に電圧を加えるための電極9と、両基板間に充填された液晶を封止するシール材10とを備える。
ここで、B用液晶層8は、青色を選択的に反射するように調整されたB用コレステリック液晶を、上基板6、下基板7及びシール材10に囲まれた領域(表示領域)20に封入することによって形成される(図1参照)。つまり、B用液晶層8は、上基板6と下基板7との間に挟まれており、その外周がシール材10で封止されている。
【0012】
G表示部3は、対向配置された一対の上基板6及び下基板7と、プレーナ状態で緑色の光を反射する緑(G)用液晶層11と、液晶に電圧を加えるための電極9と、両基板間に充填された液晶を封止するシール材10とを備える。
ここで、G用液晶層11は、緑色を選択的に反射するように調整されたG用コレステリック液晶を、上基板6、下基板7及びシール材10に囲まれた領域(表示領域)20に封入することによって形成される(図1参照)。つまり、G用液晶層11は、上基板6と下基板7との間に挟まれており、その外周がシール材10で封止されている。
【0013】
R表示部4は、対向配置された一対の上基板6及び下基板7と、プレーナ状態で赤色の光を反射する赤(R)用液晶層12と、液晶に電圧を加えるための電極9と、両基板間に充填された液晶を封止するシール材10とを備える。
ここで、R用液晶層12は、赤色を選択的に反射するように調整されたR用コレステリック液晶を、上基板6、下基板7及びシール材10に囲まれた領域(表示領域)20に封入することによって形成される(図1参照)。つまり、R用液晶層12は、上基板6と下基板7との間に挟まれており、その外周がシール材10で封止されている。
【0014】
これらの各表示部2〜4の上基板6及び下基板7は、透光性を有する基板である。本実施形態では、ポリカーボネート(PC)フィルム基板を用いている。なお、プラスチックフィルム基板としてのPC基板に代えて、ガラス基板やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルム基板を使用することもできる。なお、本実施形態では、上基板6及び下基板7は、いずれも透光性を有する基板としているが、最下層に配置されるR表示部4の下基板7は不透光性であっても良い。
【0015】
また、各表示部2〜4の電極9は、走査電極9A及びデータ電極9Bである。本実施形態では、各表示部2〜4の上基板6の液晶層側に、図3中、左右方向に延びる複数の帯状の走査電極9Aが並列に設けられている。また、各表示部2〜4の下基板7の液晶層側に、図3中、上下方向に延びる複数の帯状のデータ電極9Bが並列に設けられている。そして、各表示部2〜4の走査電極9A及びデータ電極9Bは、上基板6及び下基板7の対向する面のそれぞれに、上基板6及び下基板7の電極形成面を法線方向から見た場合に互いに交差して対向配置されるように設けられている。このため、走査電極9Aとデータ電極9Bとの各交差領域が画素となり、複数の画素がマトリクス状に配列された表示画面が構成される。なお、走査電極9Aとデータ電極9Bの各交差領域に設けられた部分を、画素電極という。ここでは、320×240ドットのQVGA表示ができるように、透明電極をパターニングして、複数の走査電極9A及び複数のデータ電極9Bを設けている。これらの走査電極9A及びデータ電極9Bの形成材料としては、例えばインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide;ITO)が代表的であるが、その他インジウム亜鉛酸化物(Indium Zic Oxide;IZO)、銀ナノワイヤ等の透明導電膜を用いることができる。
【0016】
なお、図示していないが、これらの走査電極9A及びデータ電極9Bの上には、それぞれ、液晶分子の配列を制御するために、例えばポリイミド樹脂などからなる配向膜を設けるのが好ましい。
また、各表示部2〜4の複数の走査電極9Aには、これらを駆動する走査電極用ドライバICが実装された走査電極駆動回路13が接続されている。本実施形態では、走査電極駆動回路13は、各表示部2〜4の走査電極9Aを駆動する走査電極用ドライバICとして、共通の走査電極用ドライバICを備える。このように、各表示部2〜4の走査電極9Aを駆動するために、それぞれ、走査電極用ドライバICを設けることなく、走査電極駆動回路13の構成を簡略化している。なお、走査電極用ドライバICの共通化は必要に応じて行なえば良く、各表示部2〜4の走査電極9Aを駆動するために、それぞれ、走査電極用ドライバICを設けても良い。
【0017】
また、各表示部2〜4の複数のデータ電極9Bには、これらを駆動するデータ電極用ドライバICが実装されたデータ電極駆動回路14が接続されている。本実施形態では、データ電極駆動回路14は、各表示部2〜4のデータ電極9Bを駆動するために、それぞれ、データ電極用ドライバICを備える。
そして、これらの走査電極駆動回路13及びデータ電極駆動回路14は、制御回路15から出力された所定の信号に基づいて、走査信号やデータ信号を所定の走査電極9A又はデータ電極9Bに出力するようになっている。これにより、各液晶層8、11、12に所定のパルス電圧が印加されるようになっている。
【0018】
また、各表示部2〜4のシール材10は、図1、図2に示すように、上基板6と下基板7との間に、上基板6及び下基板7の外周に沿って設けられている。このシール材10によって、上基板6と下基板7との間に挟まれた液晶が封止される。つまり、シール材10によって液晶が充填される表示領域(表示エリア)20が規定される。なお、シール材10は、上基板6及び下基板7の周縁部に設けられるため、周辺シールともいう。
【0019】
なお、図示していないが、各表示部2〜4の各液晶層8、11、12の厚さ、即ち、セルギャップを均一に保持するために、各表示部2〜4の各液晶層8、11、12内にスペーサが設けられている。例えば、樹脂製又は無機酸化物製の球状スペーサを散布して形成したり、構造体による柱状スペーサを複数形成したりすれば良い。なお、各液晶層8、11、12のセルギャップdは、約3μm≦d≦約6μmの範囲であることが好ましい。
【0020】
ところで、上述のB、G、R用液晶層8、11、12を構成する液晶組成物は、ネマティック液晶混合物にキラル性の添加剤(カイラル材ともいう)を数十wt%の含有率で比較的大量に添加したコレステリック液晶である。本実施形態では、ネマティック液晶混合物にカイラル材を約10〜約40wt%添加したコレステリック液晶である。このカイラル材の添加量はネマティック液晶成分とカイラル材の合計量を100wt%としたときの値である。このように、ネマティック液晶にカイラル材を比較的大量に含有させることで、ネマティック液晶分子を強く螺旋状に捻ったコレステリック相が形成されたコレステリック液晶とすることができる。このため、コレステリック液晶はカイラルネマティック液晶とも称される。なお、ネマティック液晶としては公知の各種のものを用いることができる。また、屈折率異方性(Δn)は、約0.18〜約0.24の範囲であることが好ましい。屈折率異方性(Δn)がこの範囲より小さいと、プレーナ状態の反射率が低くなり、屈折率異方性(Δn)がこの範囲より大きいと、フォーカルコニック状態での散乱反射が大きくなる他、粘度も高くなり、応答速度が低下する。さらに、この液晶の厚みは、約3〜約6μmが好ましく、これより小さいとプレーナ状態の反射率が低くなり、これより大きいと駆動電圧が高くなりすぎる。
【0021】
このようなコレステリック液晶は双安定性(メモリ性)を備えており、液晶に印加する電界強度の調節によって、プレーナ状態、フォーカルコニック状態、又は、これらの混合による中間的な状態のいずれかの状態をとることができる。そして、一旦、プレーナ状態、フォーカルコニック状態、又は、これらの中間的な状態になると、その後は無電界下においても安定してその状態を保持することができる。
【0022】
ここで、プレーナ状態は、例えば、上下基板間に所定の高電圧を印加して液晶層に強電界を与え、液晶をホメオトロピック状態にした後、急激に電界をゼロにすることにより得られる。また、フォーカルコニック状態は、例えば、上記高電圧よりも低い所定電圧を上下基板間に印加して液晶層に電界を与えた後、急激に電界をゼロにすることにより得られる。なお、フォーカルコニック状態は、プレーナ状態から徐々に電圧を加えることによっても得られる。また、プレーナ状態とフォーカルコニック状態の中間的な状態は、例えば、フォーカルコニック状態が得られる電圧よりも低い電圧を上下基板間に印加して液晶層に電界を与えた後、急激に電界をゼロにすることにより得られる。
【0023】
次に、このようなコレステリック液晶を用いた液晶表示素子1の表示原理を、B表示部2を例に挙げて説明する。
まず、図4(A)は、B表示部2のB用液晶層8がプレーナ状態におけるコレステリック液晶の液晶分子の配向状態を示している。
図4(A)に示すように、プレーナ状態での液晶分子は、基板厚さ方向に順次回転して螺旋構造を形成し、螺旋構造の螺旋軸は基板面にほぼ垂直になる。
【0024】
プレーナ状態では、液晶分子の螺旋ピッチに応じた所定波長の光が選択的に液晶層8で反射される。液晶層8の平均屈折率をnとし、螺旋ピッチをpとすると、反射が最大となる波長λは、λ=n・pで示される。したがって、B表示部2のB用液晶層8でプレーナ状態時に青色の光を選択的に反射させるには、例えばλ=480nmとなるように平均屈折率n及び螺旋ピッチpを決める。平均屈折率nは、液晶材料及びカイラル材を選択することで調整可能であり、螺旋ピッチpは、カイラル材の含有率を調整することにより調節することができる。
【0025】
次に、図4(B)は、B表示部2のB用液晶層8がフォーカルコニック状態におけるコレステリック液晶の液晶分子の配向状態を示している。
図4(B)に示すように、フォーカルコニック状態での液晶分子は、基板面内方向に順次回転して螺旋構造を形成し、螺旋構造の螺旋軸は基板面にほぼ平行になる。フォーカルコニック状態では、B用液晶層8に反射波長の選択性は失われ、入射光のほとんどが透過する。なお、本実施形態では、透過光は、R表示部4の下基板7の裏面側(外面側)に配置された可視光吸収層5で吸収されるようになっている(図2参照)。
【0026】
また、プレーナ状態とフォーカルコニック状態の中間の状態においては、その状態に応じて反射光と透過光の割合を調整できるので、反射光の強度を可変できる。
このように、コレステリック液晶では、螺旋状に捻られた液晶分子の配向状態で光の反射量を制御することができる。
このようなプレーナ状態時に青色の光を選択的に反射させるコレステリック液晶を、B表示部2のB用液晶層8に用いる。同様に、プレーナ状態時に緑色の光を選択的に反射させるコレステリック液晶を、G表示部3のG用液晶層11に用い、また、プレーナ状態時に赤色の光を選択的に反射させるコレステリック液晶を、R表示部4のR用液晶層12に用いる。そして、これらの青色、緑色、赤色の光を選択的に反射する各液晶層8、11、12を積層し(図2参照)、コレステリック液晶の選択反射特性を利用することで、画面書換時以外は消費電力ゼロで、メモリ性のあるフルカラー表示が可能な液晶表示素子1を実現することができる。
【0027】
なお、B、G、Rの各表示部2〜4の積層構造において、プレーナ状態におけるG用液晶層11での旋光性と、B用及びR用液晶層8、12での旋光性とが異なるようにするのが好ましい。これにより、反射光の損失を低減して、液晶表示素子1の表示画面の明るさを向上させることができる。
また、本実施形態では、R表示部4の下基板7の裏面側に可視光吸収層5が設けられており、B、G、Rの各液晶層8、11、12の全てがフォーカルコニック状態の場合に、透過光が可視光吸収層5で吸収され、液晶表示素子1の表示画面には黒色が表示される。なお、可視光吸収層5は必要に応じて設ければ良い。
【0028】
ところで、上述のように構成される液晶表示素子1の各表示部2〜4は、以下のようにして作製することができる。
まず、2枚の基板6、7の表面上に、それぞれ、複数の走査電極9A、複数のデータ電極9Bを形成する(図2参照)。なお、この工程の後に、必要に応じて、それぞれの基板6、7上に配向膜を形成したり、スペーサを形成したりする。
【0029】
次に、一方の基板6(7)上の周縁部に設けられたシール材10によって、2枚の基板6、7を貼り合わせる(図2参照)。これにより、上基板6、下基板7及びシール材10によって、液晶が充填される表示領域20が規定される(図1参照)。
次に、真空注入法によって、上基板6、下基板7及びシール材10によって規定される表示領域20に液晶を充填する(図1参照)。例えば、B表示部2を作製する場合には、この液晶注入工程において、液晶注入口22からB用液晶を注入して表示領域20にB用液晶を充填する。また、G表示部3を作製する場合には、この液晶注入工程において、液晶注入口22からG用液晶を注入して表示領域20にG用液晶を充填する。また、R表示部4を作製する場合には、この液晶注入工程において、液晶注入口22からR用液晶を注入して表示領域20にR用液晶を充填する。
【0030】
そして、液晶を充填した後、図示していないが、液晶注入口22を封止材によって封止する。
このようにして、上述のように構成される液晶表示素子1の各表示部2〜4を作製することができる。
ところで、このようにして液晶表示素子1の各表示部2〜4を作製する場合に、液晶注入工程において、図11に示すように表示領域20の外側の液晶不要領域に液晶が入らないようにすべく、種々の検討を行なったところ、以下のことがわかった。
【0031】
まず、図1に示すように、液晶注入工程において液晶注入口22の両側に露出する上基板6、下基板7及びシール材10を面一とすることで、液晶注入時の液晶の伝播を抑制できることがわかった。
次に、上基板6、下基板7及びシール材10を面一にした領域の表面粗さRa(μm)と液晶伝播距離(mm)との関係を調べた。
【0032】
ここでは、液晶材料としては、組成の異なる3種類の液晶材料、即ち、R用コレステリック液晶、G用コレステリック液晶、B用コレステリック液晶を用いた。
また、上基板6及び下基板7としてフィルム基板を用い、上基板6と下基板7とをシール材10で貼り合わせた状態でこれらを同時に切断することで上基板6、下基板7及びシール材10を面一にした。このため、上基板6、下基板7及びシール材10を面一にした領域の表面粗さRaは、上基板6、下基板7及びシール材10の切断面の表面粗さである。そして、上基板6、下基板7及びシール材10を面一にした領域の表面粗さRaは、上基板6、下基板7及びシール材10を同時切断する際の刃を、トムソン刃、リングカッター(両刃、片刃)、鋏などに変えて調整した。
【0033】
ここで、表面粗さRaは、JIS B0601−1994に定義されている表面粗さ(算術平均粗さ)である。つまり、表面粗さRaは、図5に示すように、粗さ曲線f(x)から、その平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸、縦倍率の方向にY軸をとってy=f(x)で表したときに、図5中に示した式によって求められる値をいう。
【0034】
ここでは、上基板6、下基板7及びシール材10を面一にした領域の表面粗さRaの測定は、レーザ顕微鏡(キーエンス社、VK−9700)を用いて行なった。具体的には、図6に示すように、上基板6及び下基板7としてのフィルム基板の厚さを約125μmとし、シール材10の厚さを約5μmとした。そして、これらの切断面を、測定エリアを約200μm×約200μmとして、レーザ顕微鏡(キーエンス社、VK−9700)を用いて同時に測定することによって、上基板6、下基板7及びシール材10を面一にした領域の表面粗さRaを測定した。
【0035】
また、図7に示すように、上基板6、下基板7及びシール材10を面一にした領域の表面粗さRaが異なるサンプル30を用意し、各サンプル30の面一の領域の端に、液晶ボート31上の液晶32を接触させて、48時間後の液晶伝播距離を調べた。なお、図7では、サンプル30を構成する上基板6、シール材10、下基板7が紙面に垂直な方向に積層された状態を示しているため、サンプル30の左右両側に、上基板6、下基板7及びシール材10を面一にした領域がある。
【0036】
この結果、図8に示すような関係、即ち、y=0.26e0.64x(e:自然対数の底)で表される近似式が得られた。つまり、上基板6、下基板7及びシール材10を面一にした領域の表面粗さRa(μm)と液晶伝播距離(mm)との間には強い相関があり、液晶伝播距離=0.26e0.64Raで表せることがわかった。また、表面粗さRaが約8μmを超えると急激に液晶伝播距離が長くなることもわかった。
【0037】
このため、本実施形態では、液晶表示素子1の各表示部2〜4を以下のように構成している。
つまり、本実施形態では、液晶表示素子1の各表示部2〜4は、図1に示すように、上基板6、下基板7及びシール材10によって規定された液晶注入口22を備える。つまり、液晶注入口22は、上部が上基板6の端面によって規定され、下部が下基板7の端面によって規定され、両側部がシール材10の端面によって規定される。そして、液晶表示素子1の各表示部2〜4の液晶注入口22の両側方には、上基板6、下基板7及びシール材10が露出しており、上基板6、下基板7及びこれらの基板6、7に挟まれたシール材10は面一となっている。そして、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている両側の領域23の液晶注入口22からの長さが、それぞれ、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている領域23の表面粗さをRa(μm)として、約0.26e0.64Ra(mm)以上の長さになっている。つまり、液晶注入口22の両側方の上基板6、下基板7及びシール材10は、同一平面上に位置し、上基板6、下基板7及びシール材10が同一平面上に位置する両側の領域23の液晶注入口22からの長さが、それぞれ、上基板6、下基板7及びシール材10が同一平面上に位置する領域23の表面粗さをRa(μm)として、約0.26e0.64Ra(mm)以上の長さである。
【0038】
具体的には、液晶表示素子1の各表示部2〜4は、上基板6、下基板7及びシール材10によって規定され、先端に液晶注入口22を有する突出部24を備える。ここでは、各表示部2〜4の突出部24は、上基板6の突出部と、これに対向する下基板7の突出部と、上基板6の突出部の両側部と下基板7の突出部の両側部との間に、上基板6及び下基板7の両側部に沿って設けられたシール材10とによって構成される。そして、突出部24の先端は、上部が上基板6の端面によって規定され、下部が下基板7の端面によって規定され、両側部がシール材10の端面によって規定される液晶注入口22になっている。この場合、上基板6、下基板7及びシール材10が同一平面上に位置する両側の領域23は、それぞれ、突出部24の側面で上基板6、下基板7及びシール材10が同一平面上に位置する領域を含む。これにより、上基板6、下基板7及びシール材10が同一平面上に位置する領域23の長さを、より長くすることができる。例えば、各表示部2〜4のサイズが小さい場合に、上基板6、下基板7及びシール材10が同一平面上に位置する領域23の長さを長くするのに有効である。
【0039】
これにより、液晶注入工程において表示領域20の外側の領域(液晶不要領域)21に液晶が入らないようにすることができる。つまり、液晶注入口22の両側に露出する上基板6、下基板7及びシール材10を面一とすることで、液晶注入時の液晶の伝播を抑制でき、毛細管現象によって液晶注入口22の両側から表示領域20の外側の領域21へ液晶が浸入するのを防ぐことができる。さらに、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている液晶注入口22の両側の領域23の液晶注入口22からの長さを、上述の長さとすることで、液晶注入時の液晶伝播距離よりも長くすることができ、毛細管現象によって液晶注入口22の両側から表示領域20の外側の領域21へ液晶が浸入するのを確実に防ぐことができる。
【0040】
特に、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている領域23の表面粗さRaは、約8μm以下であることが好ましい。これにより、液晶注入時の液晶伝播距離を短くすることができるため、毛細管現象によって液晶注入口22の両側から表示領域20の外側の領域21へ液晶が浸入するのを確実に防ぐことができる。
なお、上述の液晶表示素子1の各表示部2〜4、即ち、液晶注入口22の両側方に、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている領域23を持つ液晶表示素子1の各表示部2〜4は、上基板6と下基板7とをシール材10によって貼り合わせた後に、上基板6、下基板7及びシール材10を同時に切断することによって容易に作製することができる。特に、上基板6及び下基板7をプラスチックフィルム基板とすることで、同時に切断することが容易となる。
【0041】
次に、上述のように構成される液晶表示素子1に備えられる各表示部2〜4の作製例について説明する。
まず、縦横の長さが約12cm×約12cmの大きさに切断した2枚のポリカーボネート(PC)フィルム基板6、7上にIZO透明電極を形成してエッチングによりパターニングし、約0.24mmピッチのストライプ状の電極9を形成する。ここでは、ストライプ状の電極9として、320×240ドットのQVGA表示ができるように、2枚のPCフィルム基板6、7上に、それぞれ、320本、240本のストライプ状の電極9A、9Bを形成する(図2、図3参照)。
【0042】
次に、電極9が形成された2枚のPCフィルム基板6、7を洗浄し、配向膜としてポリイミドを厚さ約500Åで塗布し、約150℃で、約1時間焼成を行なう。
次に、一方のPCフィルム基板6(7)上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ工程を経てレジストをパターニングし、約150℃で、約120分焼成することで、高さ約5μmの構造体(スペーサ)を形成する。
【0043】
次に、他方のPCフィルム基板7(6)上の周縁部に、ディスペンサ装置を用いて、エポキシ系のシール材10を塗布する。本実施形態では、後述するように突出部24を形成するため、液晶注入口22を形成する側では、図1に示すような形状になるようにシール材10を塗布する。
次いで、2枚のPCフィルム基板6、7を貼り合わせ、約1kg/cmの力で加圧しながら、約160℃で、約1時間加熱する。これにより、シール材10が硬化し、両基板6、7がシール材10を介して接着される。また、これと同時に、構造体も両基板6、7に接着されるため、液晶を注入するための均一な空隙ができる。
【0044】
次に、液晶注入口22を有する突出部24及び液晶注入口22の両側のPCフィルム基板6、7及びシール材10が面一になっている領域23を形成する。ここでは、図1に示すような形状になるように、トムソン刃を用いて、2枚のPCフィルム基板6、7及びシール材10を同時に切断し、液晶注入口22を有する突出部24及び液晶注入口22の両側のPCフィルム基板6、7及びシール材10が面一になっている領域23を形成する。本実施形態では、PCフィルム基板6、7及びシール材10が面一になっている領域23の表面粗さRaは約4.8μmであった。また、液晶注入口22の両側のPCフィルム基板6、7及びシール材10が面一になっている領域23の長さ(距離)は、それぞれ、約23mmであった。
【0045】
次に、真空注入法によって、PCフィルム基板6、7及びシール材10によって規定される表示領域20に液晶を充填する(図1参照)。ここでは、真空注入法によって、液晶注入口22を液晶に浸漬して液晶を注入したところ、液晶の伝播が抑制され、表示領域20の外側の領域21へ液晶が浸入するのを防ぐことができた。
そして、液晶を充填した後、図示していないが、液晶注入口22を封止材によって封止する。
【0046】
このようにして、上述のように構成される液晶表示素子1の各表示部2〜4を作製することができる。
したがって、本実施形態にかかる液晶表示素子によれば、表示領域20の外側の領域21に液晶が入らないようにすることができ、低コスト化を図り、品質や信頼性を向上させることができるという利点がある。
【0047】
つまり、本液晶表示素子によれば、真空注入法によって表示領域20に液晶を充填する液晶注入工程において、液晶を充填する必要のない表示領域20の外側の領域21、即ち、シール材10の外側の領域への液晶の浸入を防ぐことができる。これにより、液晶注入工程の後に、この不要な液晶を洗い流す洗浄工程が不要となり、工数及びコストを低減し、低コスト化を図ることができる。また、表示領域20の外側の領域21には電極が設けられているため、この領域21に液晶が浸入し、残留していると、経時変化によって電極や端子等の腐食などが生じることになるが、この領域21への液晶の浸入を防ぐことができるため、経時変化による電極や端子等の腐食などを防止することができる。この結果、品質や信頼性を高めることができる。
【0048】
ところで、上述の実施形態の液晶表示素子としての電子ペーパーは、電子ブック、モバイル端末のサブディスプレイ、ICカードの表示部等の情報端末に用いることができる。この場合、例えば図9に示すように、情報端末40は、所望の画像を表示する表示部として、上述の実施形態の電子ペーパー(液晶表示素子1)を備えるものとなる。これにより、低コストで信頼性の高い情報端末を実現することができる。なお、情報端末を、モバイル端末、携帯端末、携帯情報端末、端末機器、又は、携帯機器ともいう。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上述の実施形態では、液晶表示素子1の各表示部2〜4を、突出部24を備えるものとして構成しているが、これに限られるものではなく、例えば図10に示すように、突出部24を備えないものとして構成しても良い。つまり、液晶注入口22の両側方の上基板6、下基板7及びシール材10は、同一平面上に位置し、液晶注入口22と液晶注入口22の両側方の上基板6、下基板7及びシール材10とは、同一平面上に位置するようにしても良い。
【0050】
この場合も、液晶注入口22は、上部が上基板6の端面によって規定され、下部が下基板7の端面によって規定され、両側部がシール材10の端面によって規定される。そして、液晶表示素子1の各表示部2〜4の液晶注入口22の両側方には、上基板6、下基板7及びシール材10が露出し、上基板6、下基板7及びこれらの基板6、7に挟まれたシール材10は面一となる。そして、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている両側の領域23の液晶注入口22からの長さを、それぞれ、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている領域23の表面粗さをRa(μm)として、約0.26e0.64Ra(mm)以上の長さとする。つまり、液晶注入口22の両側方の上基板6、下基板7及びシール材10が、同一平面上に位置するようにし、上基板6、下基板7及びシール材10が同一平面上に位置する両側の領域23の液晶注入口22からの長さを、それぞれ、上基板6、下基板7及びシール材10が同一平面上に位置する領域23の表面粗さをRa(μm)として、約0.26e0.64Ra(mm)以上の長さとする。これにより、液晶注入工程において表示領域20の外側の領域21に液晶が入らないようにすることができる。つまり、液晶注入口22の両側に露出する上基板6、下基板7及びシール材10を面一とすることで、液晶注入時の液晶の伝播を抑制でき、毛細管現象によって液晶注入口22の両側から表示領域20の外側の領域21へ液晶が浸入するのを防ぐことができる。さらに、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている液晶注入口22の両側の領域23の液晶注入口22からの長さを、上述の長さとすることで、液晶注入時の液晶伝播距離よりも長くすることができ、毛細管現象によって液晶注入口22の両側から表示領域20の外側の領域21へ液晶が浸入するのを確実に防ぐことができる。この場合も、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている領域23の表面粗さRaは、約8μm以下であることが好ましい。これにより、液晶注入時の液晶伝播距離を短くすることができるため、毛細管現象によって液晶注入口22の両側から表示領域20の外側の領域21へ液晶が浸入するのを確実に防ぐことができる。
【0051】
なお、このような変形例の液晶表示素子1の各表示部2〜4、即ち、液晶注入口22の両側方に、上基板6、下基板7及びシール材10が面一となっている領域23を持つ液晶表示素子1の各表示部2〜4は、上基板6と下基板7とをシール材10によって貼り合わせた後に、上基板6、下基板7及びシール材10を同時に切断することによって容易に作製することができる。特に、上基板6及び下基板7をプラスチックフィルム基板とすることで、同時に切断することが容易となる。
【0052】
次に、このような変形例の液晶表示素子1の各表示部2〜4の作製例について説明する。
まず、縦横の長さが約24cm×約24cmの大きさに切断した2枚のポリカーボネート(PC)フィルム基板6、7上にIZO透明電極を形成してエッチングによりパターニングし、約0.48mmピッチのストライプ状の電極9を形成する。ここでは、ストライプ状の電極9として、320×240ドットのQVGA表示ができるように、2枚のPCフィルム基板6、7上に、それぞれ、320本、240本のストライプ状の電極9A、9Bを形成する(図2、図3参照)。
【0053】
次に、電極9が形成された2枚のPCフィルム基板6、7を洗浄し、配向膜としてポリイミドを厚さ約500Åで塗布し、約150℃で、約1時間焼成を行なう。
次に、一方のPCフィルム基板6(7)上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ工程を経てレジストをパターニングし、約150℃で、約120分焼成することで、高さ約5μmの構造体(スペーサ)を形成する。
【0054】
次に、他方のPCフィルム基板7(6)上の周縁部に、ディスペンサ装置を用いて、エポキシ系のシール材10を塗布する。この変形例では、上述の実施形態の突出部24を設けないため、図10に示すような形状になるように、液晶注入口22を形成する領域を除いて、シール材10を塗布する。
次いで、2枚のPCフィルム基板6、7を貼り合わせ、約1kg/cmの力で加圧しながら、約160℃で、約1時間加熱する。これにより、シール材10が硬化し、両基板6、7がシール材10を介して接着される。また、これと同時に、構造体も両基板6、7に接着されるため、液晶を注入するための均一な空隙ができる。
【0055】
次に、液晶注入口22及び液晶注入口22の両側のPCフィルム基板6、7及びシール材10が面一になっている領域23を形成する。ここでは、図10に示すような形状になるように、リングカッターを用いて、2枚のPCフィルム基板6、7及びシール材10を同時に切断し、液晶注入口22及び液晶注入口22の両側のPCフィルム基板6、7及びシール材10が面一になっている領域23を形成する。この変形例では、PCフィルム基板6、7及びシール材10が面一になっている領域23の表面粗さRaは約7.2μmであった。また、液晶注入口22の両側のPCフィルム基板6、7及びシール材10が面一になっている領域23の長さ(距離)は、それぞれ、約48mmであった。
【0056】
次に、真空注入法によって、PCフィルム基板6、7及びシール材10によって規定される表示領域20に液晶を充填する(図10参照)。ここでは、真空注入法によって、液晶注入口22を液晶に浸漬して液晶を注入したところ、液晶の伝播が抑制され、表示領域の外側の領域へ液晶が浸入するのを防ぐことができた。
そして、液晶を充填した後、図示していないが、液晶注入口22を封止材によって封止する。
【0057】
このようにして、上述の変形例の液晶表示素子1の各表示部2〜4を作製することができる。
また、上述の実施形態及び変形例においては、コレステリック液晶を用いた液晶表示素子を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。例えば、ネマティック液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶など他の液晶材料を用いた液晶表示素子に本発明を適用することもでき、この場合も同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0058】
以下、上述の実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、液晶が充填される表示領域を規定するシール材と、
前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材によって規定された液晶注入口とを備え、
前記液晶注入口の両側方の前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材は、同一平面上に位置し、前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する両側の領域の前記液晶注入口からの長さが、それぞれ、前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する領域の表面粗さをRa(μm)として、0.26e0.64Ra(mm)以上の長さであることを特徴とする液晶表示素子。
【0059】
(付記2)
前記表面粗さRaは、8μm以下であることを特徴とする、付記1に記載の液晶表示素子。
(付記3)
前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材によって規定され、先端に前記液晶注入口を有する突出部を備え、
前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する両側の領域は、それぞれ、前記突出部の側面で前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する領域を含むことを特徴とする、付記1又は2に記載の液晶表示素子。
【0060】
(付記4)
前記液晶注入口と前記液晶注入口の両側方の前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材とは、同一平面上に位置することを特徴とする、付記1又は2に記載の液晶表示素子。
(付記5)
前記第1及び第2基板は、プラスチックフィルム基板であることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【0061】
(付記6)
液晶表示素子を備え、
前記液晶表示素子は、
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、液晶が充填される表示領域を規定するシール材と、
前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材によって規定された液晶注入口とを備え、
前記液晶注入口の両側方の前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材は、同一平面上に位置し、前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する両側の領域の前記液晶注入口からの長さが、それぞれ、前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する領域の表面粗さをRa(μm)として、0.26e0.64Ra(mm)以上の長さであることを特徴とする情報端末。
【0062】
(付記7)
前記表面粗さRaは、8μm以下であることを特徴とする、付記6に記載の情報端末。
(付記8)
前記液晶表示素子は、前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材によって規定され、先端に前記液晶注入口を有する突出部を備え、
前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する両側の領域は、それぞれ、前記突出部の側面で前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する領域を含むことを特徴とする、付記6又は7に記載の情報端末。
【0063】
(付記9)
前記液晶注入口と前記液晶注入口の両側方の前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材とは、同一平面上に位置することを特徴とする、付記6又は7に記載の情報端末。
(付記10)
前記第1及び第2基板は、プラスチックフィルム基板であることを特徴とする、付記6〜9のいずれか1項に記載の情報端末。
【符号の説明】
【0064】
1 液晶表示素子
2 青(B)表示部
3 緑(G)表示部
4 赤(R)表示部
5 可視光吸収層(光吸収層)
6 上基板
7 下基板
8 青(B)用液晶層
9 電極
9A 走査電極
9B データ電極
10 シール材
11 緑(G)用液晶層
12 赤(R)用液晶層
13 走査電極駆動回路
14 データ電極駆動回路
15 制御回路
20 表示領域
21 表示領域の外側の領域(液晶不要領域)
22 液晶注入口
23 上基板、下基板及びシール材が面一となっている領域
24 突出部
30 サンプル
31 液晶ボート
32 液晶
40 情報端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、液晶が充填される表示領域を規定するシール材と、
前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材によって規定された液晶注入口とを備え、
前記液晶注入口の両側方の前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材は、同一平面上に位置し、前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する両側の領域の前記液晶注入口からの長さが、それぞれ、前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する領域の表面粗さをRa(μm)として、0.26e0.64Ra(mm)以上の長さであることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
前記表面粗さRaは、8μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項3】
前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材によって規定され、先端に前記液晶注入口を有する突出部を備え、
前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する両側の領域は、それぞれ、前記突出部の側面で前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する領域を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
【請求項4】
前記液晶注入口と前記液晶注入口の両側方の前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材とは、同一平面上に位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
【請求項5】
前記第1及び第2基板は、プラスチックフィルム基板であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【請求項6】
液晶表示素子を備え、
前記液晶表示素子は、
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、液晶が充填される表示領域を規定するシール材と、
前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材によって規定された液晶注入口とを備え、
前記液晶注入口の両側方の前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材は、同一平面上に位置し、前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する両側の領域の前記液晶注入口からの長さが、それぞれ、前記第1基板、前記第2基板及び前記シール材が同一平面上に位置する領域の表面粗さをRa(μm)として、0.26e0.64Ra(mm)以上の長さであることを特徴とする情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−76826(P2013−76826A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216392(P2011−216392)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】