説明

液晶表示装置及びその製造方法

【課題】 液晶表示装置の画面以外の周辺領域の面積を減少することにより、液晶表示装置のコンパクト化を達成する。
【解決手段】 第1の基板(108)と、該第1の基板の第1の面に対向する第2の基板(109)と、該第1の基板と該第2の基板との間に狭持された液晶層とを備えた液晶表示装置であって、表示部内の電極と該電極に信号を供給する駆動回路(203)は、該第1の基板の該第1の面上に設けられており、該駆動回路を制御する制御回路は、該第1の基板の第2の面上に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に関し、特に、液晶表示装置の画素電極に信号を供給する駆動回路を制御する制御回路の配置手法、及び駆動回路と制御回路との接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示装置の構成について、薄膜トランジスタ(TFT)によるアクティブマトリクスを用いた液晶表示装置(TFT−LCD)を例として説明する。TFT−LCDでは、図8に示す様に、液晶層(図示せず)を間に挟んで貼り合わされた2枚の絶縁性基板(ガラス、石英等)のうち、第1の絶縁性基板301の第2の絶縁性基板307と対向する面上に、画素電極302、TFT304、TFTを走査する為のゲートライン305、及びTFTを介して画素電極に画像信号を供給するデータライン306が形成されており、これらがマトリクス状に多数配列されている。
【0003】第2の絶縁性基板307の第1の絶縁性基板301と対向する面上には対向電極(図示せず)が形成され、画面領域303を形成している。第1及び第2の絶縁性基板は、シール樹脂308により接着されている。
【0004】画面の周辺には、ゲートライン305に走査信号を供給するゲートドライバ309及びデータライン306に画像信号を供給するデータドライバ310が設けられている。これらのドライバ309及び310は、結晶シリコンを用いたLSIをフレキシブル電極線を有したキャリアテープ312に装着し、ゲートラインまたはデータラインの端子に異方性導電膜を用いて接続することによって形成されている。キャリアテープのもう一方は制御回路313に接続されている。制御回路313は、ドライバへの信号及び電源供給を行う。
【0005】この様な液晶表示装置では、コンパクト化の要請から、画面周辺の面積を小さくする必要がある。例えば、ドライバを装着したキャリアテープを折り曲げることで画面周辺の面積を小さくする工夫が施されている場合がある。
【0006】ドライバの実装方式としては、上述のキャリアテープを用いる方式の他に、ドライバLSIチップを直接、液晶表示装置のゲートラインまたはデータラインの端子に接続するCOG(Chip On Glass)方式や、画面内の各画素をスイッチングするTFTを形成するプロセスを用いて、ドライバとTFTを同一の絶縁性基板上に形成するモノリシック方式などがある。モノリシックドライバを用いた例として、ドライバとシール樹脂を重ね合わせることにより画面周辺の面積を小さくする技術が、特開平4−324826号に記述されている。
【0007】上述のキャリアテープを用いる方式と同様、これらのCOG方式及びモノリシック方式の場合にも、ドライバとその制御回路との接続が必要であり、フレキシブル電極線を異方性導電膜及びハンダにより接続する方法、あるいはワイヤーボンディング法が用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】液晶表示装置のコンパクト化は、コンピュータやワードプロセッサ等の液晶表示装置の応用商品のコンパクト化に大きく貢献する。そのため、上述したように、液晶表示装置の画面周辺の面積をさらに小さくすることが要望されている。しかし、上述のフレキシブル電極線を有したキャリアテープを用いる方式では、キャリアテープと駆動回路との接続面積あるいはキャリアテープと制御回路との接続面積を小さくすると十分な接着が得られなくなる。そのため、接続のためにある一定の面積が必要であり、画面周辺の面積を減少するには限界があった。
【0009】本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画面周辺の面積を減少することにより、液晶表示装置のコンパクト化を達成することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による液晶表示装置は、第1の基板と、該第1の基板の第1の面に対向する第2の基板と、該第1の基板と該第2の基板との間に狭持された液晶層とを備えた液晶表示装置であって、表示部内の電極と該電極に信号を供給する駆動回路は、該第1の基板の該第1の面上に設けられており、該駆動回路を制御する制御回路は、該第1の基板の第2の面上に設けられており、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】前記駆動回路と前記制御回路との接続線は、前記第1の基板の前記第1の面および前記第2の面に直交する前記第1の基板の側面を通って形成されていてもよい。
【0012】前記第1の基板の該側面と前記第1の基板の該第1の面とが交差するエッジ部、または、該第1の基板の該側面と該第1の基板の前記第2の面とが交差するエッジ部のうち少なくとも一つが面取りされていてもよい。
【0013】前記接続線は印刷配線であってもよい。
【0014】前記印刷配線はカーボンペーストまたは銀ペーストにより形成されていてもよい。
【0015】前記制御回路は、前記第1の基板の前記第2の面上の画面以外の周辺部に固定されていてもよい。
【0016】前記制御回路は、制御回路基板に設けられており、該制御回路基板は、前記第1の基板の前記第2の面上の画面以外の周辺部に異方性導電膜を介して接着されていてもよい。
【0017】前記駆動回路は、モノリシック方式またはCOG方式で前記第1の基板の前記第1の面上に形成されていてもよい。
【0018】前記第1の基板の前記側面に形成されている前記接続線にコーティングが施されていてもよい。
【0019】本発明による液晶表示装置の製造方法は、第1の基板と、該第1の基板の第1の面に対向する第2の基板と、該第1の基板と該第2の基板との間に狭持された液晶層とを備えた液晶表示装置の製造方法であって、表示部内の電極と該電極に信号を供給する駆動回路を、該第1の基板の該第1の面上に設ける工程と、該駆動回路を制御する制御回路を該第1の基板の第2の面上に設け、該駆動回路及び該制御回路を電気的に接続する工程とを包含しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0020】前記第1の基板の前記第1の面から側面を介して前記第2の面に至る接続線を印刷配線によって形成してもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説明する。図1(a)は本発明による液晶表示装置210の表側平面図、図1(b)は液晶表示装置210の裏側平面図である。図1(a)において、画面201の左側にゲートドライバ202が、画面201の右側にゲートドライバ203が、画面201の上側にソースドライバ204が、画面201の下側にソースドライバ205が、それぞれ設けられている。これらドライバ202、203、204、および205への信号及び電源入力線として、カーボンペースト等の印刷配線で形成された電極線206が基板108の側面を通って下面へ延伸し、ドライバ回路基板102上に形成されたドライバの制御回路に接続されている。例えば、印刷配線の幅は1mm程度であり、10〜20本の印刷配線が各側面に配列されている。このような構成にすることにより、従来の液晶表示装置では点線211で囲まれる面の面積を必要としていたのに対し、液晶表示装置210ではおよそ10〜20%の面積削減が可能になる。
【0022】図2は液晶表示装置210の一部分220を拡大した斜視図である。絶縁性基板108の上面(第1の面)上には、TFTアクティブマトリクス(不図示)と、表示部の電極に信号を供給する駆動回路であるモノリシックドライバ203とが形成されている。この絶縁性基板108の上面には、また、モノリシックドライバ203へ信号及び電源を供給する入力信号線及び電源線106(線幅約0.1mm)が形成されており、この入力信号線及び電源線106の先端部は、幅が約1mmの接続端子107となっている。絶縁性基板108の上方には、対向電極を備えた他の絶縁性基板109が設けられ、絶縁性基板108と絶縁性基板109の間に液晶層(図示せず)が挟持されている。なお、この例では、絶縁性基板108の側面の上下エッジ部110および111は面取りされている。絶縁性基板108の厚みが1mm程度の場合、面取りの幅は0.1〜0.2mm程度が望ましい。絶縁性基板108の側面には電極線形状のカーボンペースト接続線206が印刷されており、このカーボンペースト接続線206は、絶縁性基板108から露出した接続端子107とオーバーラップして接続されている。エッジ部110および111の面取りにより、カーボンペースト接続線206のエッジ部での断線が防止される。この面取りは、接続線206を設ける部分にのみ形成すれば充分である。
【0023】絶縁性基板108の下面(第2の面)の表示画面領域以外の周辺領域には、駆動回路を制御するための制御回路が形成されたドライバ回路基板102が接着される。このドライバ回路基板102自体は、従来のドライバ回路基板と実質的に同じ構成のものを用いてもよい。ただ、従来のドライバ回路基板102よりもサイズを縮小することになる。ドライバ回路基板102の絶縁性基板108に対向する面上には、電極線103が設けられており、電極線103はカーボンペースト接続線206と接触し、電気的に接続される。この際、図3に示すように、絶縁性基板108とドライバ回路基板102とは異方性導電膜120を介して接続されてもよい。また、異方性導電膜120の代わりにハンダ等の接続媒体を介して接続されてもよい。ドライバ回路基板102の電極線103(図3において不図示)は、ドライバ回路基板102に設けられたスルーホール104を介して、ドライバ回路基板102の他の面に設置されたドライバ制御回路(不図示)に接続されている。
【0024】上記の例では、ドライバをモノリシック方式で形成した液晶表示装置を説明したが、図4に示すように、ドライバ1000をCOG方式で形成した液晶表示装置であっても良い。
【0025】絶縁性基板108の側面に形成した接続線206の材料は、カーボンペーストに限らず、銀ペースト等、印刷法で形成できる材料であれば良い。
【0026】また、図5に示すように、ドライバ回路基板102の替わりに、ドライバチップ401を絶縁性基板108の下面の画面領域201以外の領域に、接着などの方法で直接固定し、接続線206と接続しても良い。
【0027】さらに、このような接続線206の保護を目的として、接続線206上にエポキシ樹脂などによるコーティングを行うことが好ましい。
【0028】また、上記の例では、アクティブマトリクスとドライバとが形成された第1の基板として絶縁性基板(例えば、ガラス、石英等)を用い、対向電極を有する第2の基板にも絶縁性基板を用いた例(透過型の液晶表示装置)を示したが、本発明による液晶表示装置を反射型液晶表示装置として使用してもよい。
【0029】次に、図6および図7(a)〜(c)を参照しながら、接続線を印刷法によって形成する方法の一例を説明する。
【0030】導電性インク(例えばカーボンペースト)501を表面に付着したローラー502を回転させながら、あらかじめ面取りした絶縁性基板108の上面の端部514、上部のエッジ部110、側面511、下部のエッジ部111、および下面の端部515と接触させる。あらかじめローラー上に設けられた印刷パターンにしたがって、図7(a)〜(c)に示すように絶縁性基板108上面の端部514から下面の端部515にかけて、絶縁性基板108に配線が印刷される。導電性インクの材料は、カーボンペーストに限らず、銀ペースト等、印刷法で利用できる導電性材料であれば良い。また、印刷後に配線にエポキシ樹脂などによるコーティングを行う。
【0031】
【発明の効果】このように本発明によれば、駆動回路と制御回路とを基板の異なる面上に設けることによって、液晶表示画面部以外の周辺領域の面積を減少することができる。このため、液晶表示装置のコンパクト化が達成できる。このことにより、パソコン、ワープロ、プロジェクタ、またはTV等の液晶表示装置の応用商品を小型化することが可能となり、産業上その効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明による液晶表示装置の表側平面図であり、(b)は本発明による液晶表示装置の裏側平面図である。
【図2】本発明による液晶表示装置の一部分の拡大図である。
【図3】本発明による液晶表示装置の一部分の構造図である。
【図4】本発明による液晶表示装置の一部分の構造図である。
【図5】本発明による液晶表示装置の裏側平面図である。
【図6】本発明による液晶表示装置の製造方法を示す図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明による液晶表示装置の製造方法を示す図である。
【図8】従来の液晶表示装置の構造説明図である。
【符号の説明】
102 ドライバ回路基板
103 電極線
104 スルーホール
106 入力信号及び電源線
107 接続端子
108 絶縁性基板
109 絶縁性基板
110 絶縁性基板108の上部のエッジ部
111 絶縁性基板108の下部のエッジ部
203 モノリシックドライバ
206 カーボンペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の基板と、該第1の基板の第1の面に対向する第2の基板と、該第1の基板と該第2の基板との間に狭持された液晶層とを備えた液晶表示装置であって、表示部内の電極と該電極に信号を供給する駆動回路は、該第1の基板の該第1の面上に設けられており、該駆動回路を制御する制御回路は、該第1の基板の第2の面上に設けられている、液晶表示装置。
【請求項2】 前記駆動回路と前記制御回路との接続線は、前記第1の基板の前記第1の面および前記第2の面に直交する前記第1の基板の側面を通って形成されている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】 前記第1の基板の該側面と前記第1の基板の該第1の面とが交差するエッジ部、または、該第1の基板の該側面と該第1の基板の前記第2の面とが交差するエッジ部のうち少なくとも一つが面取りされている、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】 前記接続線は印刷配線である請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】 前記印刷配線はカーボンペーストまたは銀ペーストにより形成される請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】 前記制御回路は、前記第1の基板の前記第2の面上の画面以外の周辺部に固定されている請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項7】 前記制御回路は、制御回路基板に設けられており、該制御回路基板は、前記第1の基板の前記第2の面上の画面以外の周辺部に異方性導電膜を介して接着されている請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項8】 前記駆動回路は、モノリシック方式またはCOG方式で前記第1の基板の前記第1の面上に形成されている請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項9】 前記第1の基板の前記側面に形成されている前記接続線にコーティングが施されている、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項10】 第1の基板と、該第1の基板の第1の面に対向する第2の基板と、該第1の基板と該第2の基板との間に狭持された液晶層とを備えた液晶表示装置の製造方法であって、表示部内の電極と該電極に信号を供給する駆動回路を、該第1の基板の該第1の面上に設ける工程と、該駆動回路を制御する制御回路を該第1の基板の第2の面上に設け、該駆動回路及び該制御回路を電気的に接続する工程と、を包含する液晶表示装置の製造方法。
【請求項11】前記第1の基板の前記第1の面から側面を介して前記第2の面に至る接続線を印刷配線によって形成する請求項10の製造方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate