説明

液晶表示装置及び電子機器

【課題】液晶パネルの機械的強度を補償可能にする。
【解決手段】液晶表示装置は、液晶材料を封止する第1の透光性基板及び第2の透光性基板を含み、駆動回路を有する前記第1の透光性基板は前記第2の透光性基板より長寸法である液晶パネルと;部品を実装し、前記液晶パネルの前記第1の透光性基板との接続端部から延在する可撓性配線基板と;前記液晶パネルを収容する第1主表面と、プリント配線基板を配置する第2主表面と、前記可撓性配線基板の延在端部を前記第1主表面から前記第2主表面に通過させて前記プリント配線基板に接続するための貫通孔とを有し、前記貫通孔は前記第1の透光性基板と前記第2の透光性基板との重なり部分に対応する位置に設けられている金属補強の樹脂収容体とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びこの液晶表示装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))は、携帯電話端末、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、及び電卓などの携帯電子機器の表示部として適用される。
【0003】
このような液晶表示装置は液晶モジュールを備える。この液晶モジュールは、フレキシブル配線基板を接続した液晶パネルと、液晶パネルに接着された照明ユニットと、液晶パネル及び照明ユニットを保持するフレームとを備える。
【0004】
液晶モジュールの液晶パネルは、双方の間に液晶組成物を封止する第1のガラス基板及び第2のガラス基板などを含み、厚さ寸法が薄い構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−86634号公報
【特許文献2】特開2009−139958号公報
【特許文献3】特開2010−85548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液晶表示装置が永年において安定動作するためには、液晶パネルの機械的強度を補償することが要求される。
【0007】
課題は、液晶パネルの機械的強度を補償可能にする液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、液晶表示装置は、液晶材料を封止する第1の透光性基板及び第2の透光性基板を含み、駆動回路を有する前記第1の透光性基板は前記第2の透光性基板より長寸法である液晶パネルと;部品を実装し、前記液晶パネルの前記第1の透光性基板との接続端部から延在する可撓性配線基板と;前記液晶パネルを収容する第1主表面と、プリント配線基板を配置する第2主表面と、前記可撓性配線基板の延在端部を前記第1主表面から前記第2主表面に通過させて前記プリント配線基板に接続するための貫通孔とを有し、前記貫通孔は前記第1の透光性基板と前記第2の透光性基板との重なり部分に対応する位置に設けられている金属補強の樹脂収容体とを備える。
【発明の効果】
【0009】
開示した液晶表示装置によれば、液晶パネルの破損を防止することができる。
【0010】
他の課題、特徴及び利点は、図面及び特許請求の範囲とともに取り上げられる際に、以下に記載される発明を実施するための形態を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】関連技術の液晶表示装置の構成を示す断面図。
【図2】関連技術の液晶表示装置の構成を示す分解斜視図。
【図3】一実施の形態の液晶表示装置の構成を示す分解斜視図。
【図4】一実施の形態の液晶表示装置の構成を示す断面図。
【図5】液晶モジュールと金属補強の樹脂収容体との係合関係を説明するための図。
【図6】液晶モジュールと金属補強の樹脂収容体との係合関係を説明するための図。
【図7】金属補強の樹脂収容体とプリント配線基板との係合関係を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0013】
[関連技術の液晶表示装置]
先ず、関連技術の液晶表示装置の構成について、図1及び図2を併せ参照して説明する。なお、図1においては、簡略化のために、金属補強の樹脂収容体20Aなど主な構成要素だけに断面を示すハッチングを付加している。
【0014】
関連技術の液晶表示装置1Aにおいては、液晶モジュール10Aは、フレキシブル配線基板40Aを接続した液晶パネル30Aと、液晶パネル30Aに接着された照明ユニット50Aと、液晶パネル30A及び照明ユニット50Aを保持する樹脂フレーム60Aとを備える。
【0015】
液晶モジュール10Aの液晶パネル30Aは、双方の間に液晶材料(液晶組成物)を封止する第1のガラス基板31A及び第2のガラス基板32Aなどを含み、厚さ寸法が例えば2mm程度と薄い構造である。
【0016】
金属補強の樹脂収容体20Aは、金属板80Aが一体成形されている。また、樹脂収容体20Aは、液晶パネル30Aを含む液晶モジュール10Aを収容する第1主表面21Aと、プリント配線基板70Aを配置する第2主表面22Aと、実装部品41Aを実装したフレキシブル配線基板40Aを第1主表面21Aから第2主表面22Aに通過させてプリント配線基板70Aのコネクタ71Aに接続するための貫通孔23Aとを有する。
【0017】
樹脂収容体20Aの一端部近傍にフレキシブル配線基板40Aを通過させる貫通孔23Aを形成可能にするために、金属板80Aの一端部には切欠部86Aが設けられ、かつこの一端部には立壁82Aがない構造である(図2(B)参照)。
【0018】
ここで、図1中の矢印位置Aに注目すると明確に理解できるように、金属補強の樹脂収容体20Aにおける貫通孔23Aは、駆動回路部品45Aを実装した第1のガラス基板31Aだけが配置された位置に設けられている。
【0019】
上述した液晶表示装置1A1においては、薄い構造の液晶パネル30A、特に第1のガラス基板31Aの機械的強度を補償することができないという課題が生じる。
【0020】
なお、樹脂収容体20Aに一体成形される金属板80Aの上記一端部にも、立壁82Aを設けて補強を図り、切欠部86Aに代替してこの一端部近傍にフレキシブル配線基板40Aを通過させる貫通孔を設けることを想定した場合、フレキシブル配線基板40Aの実装部品41Aを通過させる必要性があるので、金属板80Aの貫通孔は小さく制限できないという別の課題が生じる。
【0021】
[一実施の形態の液晶表示装置]
[構成]
次に、一実施の形態における液晶表示装置の構成について、図3及び図4を併せ参照して説明する。なお、図4においては、簡略化のために、金属補強の樹脂収容体20など主な構成要素だけに断面を示すハッチングを付加している。
【0022】
平面状で小型・薄型の液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))1は、液晶モジュール10及び金属補強の樹脂収容体20を備える。液晶モジュール10は、液晶パネル30、可撓性配線基板40、照明ユニット50、及び樹脂フレーム60を備え、予め一体化されている。
【0023】
液晶モジュール10の液晶パネル30は、双方の間に液晶材料(液晶組成物)を封止する第1の透光性基板31及び第2の透光性基板32を含み、第1の透光性基板31は第2の透光性基板32より長寸法であり、この部分に液晶パネル30を駆動する駆動回路部品45が実装される。ここでは、第1の透光性基板31及び第2の透光性基板32は、ガラス基板を適用するが、プラスチック基板により代替可能である。
【0024】
液晶パネル30は、厳密には、第1の透光性基板31及び第2の透光性基板32の他に1組の偏光板及び1組の配向層を含むが、これらの他の構成要素は、当業者が容易に理解でき、実施可能であるので、ここではこの構成の図示を省略している。
【0025】
液晶モジュール10の可撓性配線基板(例えば、フレキシブル配線基板)40は、実装部品41などをCOG(Chip On Glass)技術により実装し、液晶パネル30の第2の透
光性基板32より長寸法の第1の透光性基板31との接続端部42から延在する。この可撓性配線基板40の延在端部43には、プリント配線基板70に実装された雌型コネクタ71に接続するための雄型コネクタ(厳密には、接触子)44が設けられている。
【0026】
液晶モジュール10の樹脂フレーム60は、液晶パネル30の背面側、つまり第1の透光性基板31の背面側に配置される照明ユニット50と共に液晶パネル30を保持するための枠体である。
【0027】
照明ユニット50は、バックライトユニットであり、当業者が容易に理解でき、実施可能であるので、この詳細構成の図示を省略しているが、拡散シートやプリズムシートなどの複数の光学シートが積層された光学シート層と、光源からの出射光を液晶パネル30の第1の透光性基板31に導く導光板とを有する。
【0028】
金属補強の樹脂収容体20は、液晶パネル30を含む液晶モジュール10を収容する第1主表面21と、プリント配線基板70を配置する第2主表面22と、可撓性配線基板40の延在端部43を第1主表面21から第2主表面22に通過させてプリント配線基板70に接続するための矩形の貫通孔23とを有する。ここで、図4中の矢印位置Bに注目すると明確に理解できるように、金属補強の樹脂収容体20における貫通孔23は、第1の透光性基板31と第2の透光性基板32との重なり部分に対応する位置に設けられていることが重要である。
【0029】
この貫通孔23を有する金属補強の樹脂収容体20は、同一位置に矩形の貫通孔81を有する金属板80が一体モールド成形(インサート成形)されている。この金属板80は、4つの縁端部にプレス加工による一連の立壁または部分連結(4角連結)の立壁82を有すると共に、一体モールド成形時に樹脂が充填される複数の貫通孔83を有する。なお、図3(C)においては、金属板80は一連の立壁ではなく、部分連結の立壁82を有する状態で示しているが、立壁のない突出部分84は電子機器に組み込んだ場合の電気的特性の改善効果を図るためであり、樹脂収容体20の補強に影響しない。
【0030】
金属補強の樹脂収容体20の貫通孔23及び金属板80の貫通孔81は、可撓性配線基板40の延在端部43を樹脂収容体20の第1主表面21から第2主表面22に通過させるために必要限度の寸法で設けられていることが好ましい。
【0031】
また、金属補強の樹脂収容体20は、可撓性配線基板40に実装された実装部品41を配置する凹部24を第1主表面21に有する。この凹部24には、実装部品41の配置空隙を埋めるための絶縁スペーサ25を貼り付けて設けることが可能である。絶縁スペーサ25の配置は、液晶パネル30に集中応力が発生することを防止する。
【0032】
この樹脂収容体20に一体モールド成形された金属板80は、凹部24との対応位置に凹部85を有し、樹脂収容体20の第1主表面21に部分的に露出する。金属板80における凹部85は貫通孔81と立壁82との間に設けられているので、樹脂収容体20の凹部24の形成位置はこの関係を保つことになる。
【0033】
[液晶モジュール10と金属補強の樹脂収容体20との係合関係]
続いて、上述した一実施の形態の液晶表示装置1における液晶モジュール10と金属補強の樹脂収容体20との係合関係について、図4及び図5を併せ参照して説明する。
【0034】
液晶表示装置1における液晶モジュール10は、可撓性配線基板40を接続した液晶パネル30と、液晶パネル30の裏面に接着された照明ユニット50と、液晶パネル30及び照明ユニット50を保持する樹脂フレーム60とを備え、予め一体化されている。金属補強の樹脂収容体20は、部分的に露出状態の金属板80が一体モールド成形されている。
【0035】
組立操作者は、液晶モジュール10を樹脂収容体20の第1主表面21に形成されている窪み部26に配置する(図5(A)参照)。このとき、液晶モジュール10に接続されている可撓性配線基板40の延在端部43が、樹脂収容体20の矩形の貫通孔23を経て第1主表面21から第2主表面22に通過するように操作する(図4参照)。また、同時に、可撓性配線基板40に実装されている実装部品41が、樹脂収容体20の第1主表面21に形成された凹部24に配置されるように操作する(図4参照)。
【0036】
液晶モジュール10の樹脂フレーム60の側端部には、4つの突起部61が設けられている。また、樹脂収容体20の窪み部26の側壁には、これらの突起部61とそれぞれ嵌合する突起受容部27が設けられている(図5(B),(C),(D)参照)。
【0037】
組立操作者は、突起部61と突起受容部27とが重ならないように、液晶モジュール10を樹脂収容体20の窪み部26に配置した後、液晶モジュール10を矢印C方向にスライドさせると、突起部61が突起受容部27の下に位置して嵌合する(図6(A),(B),(C)参照)。ここで、図6(C)は図6(B)中のD1−D2線で切断したときの断面図である。
【0038】
[金属補強の樹脂収容体20とプリント配線基板70との係合関係]
続いて、上述した一実施の形態の液晶表示装置1における金属補強の樹脂収容体20とプリント配線基板70との係合関係について、図4及び図7を併せ参照して説明する。
【0039】
液晶表示装置1における金属補強の樹脂収容体20は、液晶モジュール10を収容する第1主表面21の背面の第2主表面22に形成された窪み部28にプリント配線基板70を配置する(図7(A)参照)。
【0040】
この窪み部28の側壁には、プリント配線基板70の所定端部と係合する複数の基板固定爪29が設けられている(図7(B)参照)。これらの基板固定爪29は台形断面を採
るので、プリント配線基板70を基板固定爪29の傾斜面に沿って矢印E方向に押し込むことにより、窪み部28に固定することができる(図7(C)参照)。ここで、図7(C)は図7(B)中のF1−F2線で切断したときの断面図である。
【0041】
可撓性配線基板40の延在端部43に設けられた接触子44は、この窪み部28に固定配置のプリント配線基板70に実装された雌型コネクタ71に接続される(図4、図7(A)参照)。
【0042】
[変形例]
上述した一実施の形態における液晶表示装置1は、携帯電話端末の表示部として適用される形態で例示したが、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、及び電卓などの携帯電子機器の表示部としても適用可能である。
【0043】
[その他]
上述した一実施の形態及び変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
【0044】
(付記1)
液晶材料を封止する第1の透光性基板及び第2の透光性基板を含み、駆動回路を有する前記第1の透光性基板は前記第2の透光性基板より長寸法である液晶パネルと;
部品を実装し、前記液晶パネルの前記第1の透光性基板との接続端部から延在する可撓性配線基板と;
前記液晶パネルを収容する第1主表面と、プリント配線基板を配置する第2主表面と、前記可撓性配線基板の延在端部を前記第1主表面から前記第2主表面に通過させて前記プリント配線基板に接続するための貫通孔とを有し、前記貫通孔は前記第1の透光性基板と前記第2の透光性基板との重なり部分に対応する位置に設けられている金属補強の樹脂収容体と;
を備える液晶表示装置。
【0045】
(付記2)
前記貫通孔を有する前記金属補強の樹脂収容体は、同一位置に貫通孔を有する金属板が一体モールド成形されている
付記1記載の液晶表示装置。
【0046】
(付記3)
前記金属板は、4つの縁端部に一連の立壁または部分連結の立壁を有する
付記2記載の液晶表示装置。
【0047】
(付記4)
前記金属補強の樹脂収容体の前記貫通孔は、前記可撓性配線基板の延在端部を前記第1主表面から前記第2主表面に通過させるために必要限度の寸法で設けられている
付記1記載の液晶表示装置。
【0048】
(付記5)
前記金属補強の樹脂収容体は、前記可撓性配線基板に実装された前記部品を配置する凹部を前記第1主表面に有する
付記1記載の液晶表示装置。
【0049】
(付記6)
前記貫通孔を有する前記金属補強の樹脂収容体は、同一位置に貫通孔を有する金属板が一体モールド成形されている場合、この金属板との協働により、前記可撓性配線基板に実
装された前記部品を配置する凹部を前記第1主表面に形成する
付記1記載の液晶表示装置。
【0050】
(付記7)
前記金属補強の樹脂収容体は、前記凹部に前記部品の配置空隙を埋める部材を有する
付記5または6記載の液晶表示装置。
【0051】
(付記8)
付記1から7のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備える
電子機器。
【符号の説明】
【0052】
1 液晶表示装置
10 液晶モジュール
20 金属補強の樹脂収容体
21 第1主表面
22 第2主表面
23 矩形の貫通孔
24 凹部
25 絶縁スペーサ
30 液晶パネル
31 第1の透光性基板
32 第2の透光性基板
40 可撓性配線基板
41 実装部品
42 接続端部
43 延在端部
50 照明ユニット
60 樹脂フレーム
70 プリント配線基板
71 雌型コネクタ
80 金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶材料を封止する第1の透光性基板及び第2の透光性基板を含み、駆動回路を有する前記第1の透光性基板は前記第2の透光性基板より長寸法である液晶パネルと;
部品を実装し、前記液晶パネルの前記第1の透光性基板との接続端部から延在する可撓性配線基板と;
前記液晶パネルを収容する第1主表面と、プリント配線基板を配置する第2主表面と、前記可撓性配線基板の延在端部を前記第1主表面から前記第2主表面に通過させて前記プリント配線基板に接続するための貫通孔とを有し、前記貫通孔は前記第1の透光性基板と前記第2の透光性基板との重なり部分に対応する位置に設けられている金属補強の樹脂収容体と;
を備える液晶表示装置。
【請求項2】
前記貫通孔を有する前記金属補強の樹脂収容体は、同一位置に貫通孔を有する金属板が一体モールド成形されている
請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記金属補強の樹脂収容体は、前記可撓性配線基板に実装された前記部品を配置する凹部を前記第1主表面に有する
請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記貫通孔を有する前記金属補強の樹脂収容体は、同一位置に貫通孔を有する金属板が一体モールド成形されている場合、この金属板との協働により、前記可撓性配線基板に実装された前記部品を配置する凹部を前記第1主表面に形成する
請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備える
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−20133(P2013−20133A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153992(P2011−153992)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(310022372)富士通モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】