説明

液晶表示装置

【課題】 液晶表示パネルを斜めから見たときにも光漏れが生じることがなく、しかも、短絡や電蝕の問題点も生じない液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 一方の基板21の表示領域に共通電極20を備え、前記表示領域の周囲に遮光用のブラックマトリクス22を備えた液晶表示パネル10の周囲を金属製支持枠32,33で固定した液晶表示装置1において、前記ブラックマトリクス22を外周側22Aと内周側とに複数個に分割し、前記外周側のブラックマトリクス22を内周側のブラックマトリクス及び前記共通電極20とは電気的に分離した浮島状のブラックマトリクスとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に液晶表示パネルの周縁部に遮光用ブラックマトリクス(BM)を備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、電極等が形成された2枚の透明基板を対向させ、その透明基板の周辺をシール材で固着し、この透明基板とシール材によって形成される空間に液晶を封入した構成を有している。例えばアクティブマトリクス型液晶表示パネルの場合、一方の基板上に信号線と走査線をマトリクス状に配置し、その交差部近傍に薄膜トランジスタを形成し、信号線と走査線で囲まれる領域内に薄膜トランジスタと接続する画素電極を形成している。また、他方の基板には、それぞれの画素電極と対向する位置にR、G、Bのいずれかのフィルタ層を配置し、各フィルタ層間にブラックマトリクスを設け、このフィルタ層及びブラックマトリクスを共通電極である透明電極によって覆っている。
【0003】
また、液晶表示装置には、液晶表示パネルの背面に配置したバックライトからの光を液晶表示パネルの背面に照射して液晶表示パネルを透過した光によって画像を視認できるようにする透過型液晶表示装置が主として用いられており、このバックライトとしては熱陰極蛍光管(HCFL)、冷陰極蛍光管(CCFL)等の蛍光管(CFL)や発光ダイオード(LED)が主として用いられている。そして、このバックライトの配置方式としては、直下ライト方式、サイドライト方式及び面状光源方式がある。直下ライト方式は、厚みが厚くなるため、大型〜中型の液晶表示装置やテレビジョン等、高輝度が必要とされる液晶表示装置によく使用されている。また、面状光源方式のバックライトは薄型化が可能であるが、高価であるためにあまり使用されていない。
【0004】
一方、薄型が要求されかつそれほど高輝度が必要とされない小型の計測装置やナビゲーション装置、各種モニタ等の車載用表示装置、携帯情報端末、携帯電話等のバックライトには一般にサイドライト方式のものが用いられている。このサイドライト方式のバックライトは、側面に配置された光源からの光を面状に変更するための導光板が使用されており、この導光板は、背面に反射板が、前面にプリズムシートと呼ばれる光学シートが配置されており、光源には従来からの線状のCCFLや1個ないし複数個のLEDがよく用いられている。このサイドライト型バックライトは光源を導光板の縁に設けるので、エッジライト型バックライトともいわれている。
【0005】
従来の片端子型の液晶表示パネルの一具体例を、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4は従来例の片端子型の液晶表示パネルの第2基板側をカラーフィルタ部分まで透視して模式的に示す平面図、図5は図4のA−A線に沿った模式的な断面図である。
【0006】
液晶表示パネル10Aの透明基板からなる第1基板11は、表示領域12に走査線及び信号線がマトリクス状に形成されており、走査線と信号線で囲まれる部分に画素電極が形成され、走査線と信号線の交差部近傍に画素電極と接続する薄膜トランジスタTFTが形成されている。これら各配線や薄膜トランジスタ、画素電極の具体的な構成は図示しないが、図5ではこれらを模式的に第1構造物13として示してある。
【0007】
第1基板11の短辺部の表示領域外(額縁部)の一方には、信号線ないし走査線と外部の制御回路基板(図示せず)を接続するための接続端子14が設けられ、この接続端子14は、配線15により、必要に応じて周辺回路16(図4には2個のみ図示した)を介して、信号線、走査線及び共通配線に接続されている。本明細書においては、配線15のうち信号線と接続されている配線をソースライン15、走査線と接続されている配線をゲートライン15、共通配線と接続されている配線をコモンライン15とし、必要に応じて区別して説明することとする。
【0008】
そして接続端子14は、例えば下記特許文献1に開示されているように、TCP(Tape Carrier Package)17の出力端子と接続され、TCP17の入力端子を外部の制御回路基板の出力端子と接続することにより、制御回路からの駆動信号を走査線や信号線に供給するようになされている。これらの配線15及び周辺回路16等は走査線やTFT等を形成する工程と同一工程で形成され、走査線等と同じ素材で構成されており、表面は電気的絶縁のために酸化珪素ないし窒化珪素からなる無機絶縁膜及びレジスト膜で被覆されている。
【0009】
第1基板11の四隅の一部には複数(この例では2個)のトランスファ電極18及び18が設けられている。このトランスファ電極18及び18も走査線等を形成する工程と同一工程で形成され、走査線等と同じ素材で構成されており、トランスファ電極18及び18とコモンライン15とは互いに直接接続ないしは接続端子14内で互いに接続されて同電位となるようになっている。接続端子14とTCP17を接続する際にトランスファ電極18及び18もコモンライン15を介してTCP17に接続され、TCP17を介して制御回路基板に接続されている。トランスファ電極18及び18は後述する共通電極19と電気的に接続され、外部の制御回路基板から出力される所定の電圧が共通電極19に印加されるようになっている。なお、ゲートライン15及びソースライン15の配置を逆にする場合もある。
【0010】
透明基板からなる第2基板21の表示領域12には、カラーフィルタと、ブラックマトリクスが形成されている。カラーフィルタは第1基板11の画素電極と対向するように配置されると共に各画素に応じたフィルタ層が設けられ、ブラックマトリクスは少なくとも第1基板11の走査線や信号線に対応する位置に配置されている。これらカラーフィルタやブラックマトリクスの具体的な構成は図示しないが、図5ではこれらを模式的に第2構造物20として示してある。
【0011】
第2基板21には更に酸化インジウム、酸化スズ等で構成された透明電極からなる共通電極19が少なくとも表示領域12の全域にわたって形成されており、加えて、第2基板21の周辺部には、図示しないバックライトからの光が表示領域12以外の部分から漏れ出さないようにするために、ブラックマトリクス22が表示領域12の外周を覆うように設けられている。なお、この部分のブラックマトリクスには、通常低反射性クロム金属が使用される。
【0012】
シール材23は、第1基板11の表示領域12の周囲を注入口(図示せず)を除いて塗布されており、また、コンタクト材24がトランスファ電極18及び18上に塗布されている。このシール材23は例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に絶縁性粒体のフィラを混入したものであり、コンタクト材24はシール材と同様の樹脂にフィラ及び粒状の導電体(図示せず)を混入したものである。このシール材23は、第1基板11と第2基板21との間の周辺にあるソースライン15、ゲートライン15、コモンライン15、周辺回路16及び配線15の実質的に全てを覆い、両基板11及び21間の接着強度の向上と電気的絶縁性を確保している。
【0013】
コンタクト材24に混入される粒状の導電体は、例えば、球体の樹脂粒子の全面にAu等の柔軟な導電性金属をメッキしたものを使用でき、粒径は液晶表示パネルのセルギャップよりも若干大きいものが使用されている。そうすれば両基板11及び21を貼り合わせたときに粒状の導電体とトランスファ電極18及び18と共通電極19の間に隙間ができることがなく、粒状の導電体は確実にトランスファ電極18、18及び共通電極19と接触する。そして、共通電極19には、外部の制御回路からコモンライン15及びトランスファ電極18及び18を介して所定の電圧が供給されている。なお、図5において、符号25はスペーサ粒子を、また、符号26は液晶を表す。
【0014】
ここで、従来のこの種のサイドライト方式のバックライトを使用した液晶表示装置を図6及び図7を用いて説明する。なお、図6は、下記特許文献2に開示されている液晶表示装置の液晶表示パネルの取付け前の状態を示す分解斜視図であり、図7は図6に示した液晶表示装置の支持部材の構成を示す図であり、図4及び図5に示した液晶表示パネル10Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略することとする。
【0015】
すなわち、図6に示した液晶表示装置30は、主要な構成部材として、液晶表示パネル10Bと、液晶表示パネル10Bを背面から照明するバックライト31と、これらの液晶表示パネル10B及びバックライト31を支持する金属製のベゼル(支持枠)32及び33とを備えている。この液晶表示装置30は、前面の金属製の支持枠32とこの支持枠32に嵌合する類似の構成を有する背面の金属製の支持枠33との間に液晶表示パネル10Bを挟持することにより固定している。液晶表示パネル10Bは、表示領域が前面の金属製の支持枠32に形成された窓から前方に臨むようになっている。バックライト31は、液晶表示装置の筐体となる支持枠33に形成した凹部に落とし込んだ導光板34と、導光板34の入光面である側端面に近接又は密接して対向するように取り付けた1本又は複数本のバックライト光源35を有する。
【0016】
この液晶表示装置30の金属製の支持枠33の四隅部には、図7に示すような電気的絶縁性を有する保持部材36〜39が設けられており、これらの保持部材36〜39は、液晶表示パネル10Bを保持部材36〜39に対して位置決めする液晶表示パネル位置決め手段40と、導光板34を保持部材36〜39に対して位置決めする導光板位置決め手段41と、前記光源35を保持部材36〜39に対して位置決めする光源位置決め手段42と、光源35の入出力リード線43を支持枠33内で固定するリード線固定手段44と、この入出力リード線43を束ねて外部に引き出すリード線引き出し案内手段45とを備えている。
【0017】
一方、このような従来の液晶表示装置30は液晶表示パネル10Bの端部が金属製の支持枠32又は33と接触している。ところで、液晶表示装置を製造する際には、一般的に所定の大きさの液晶表示パネルの領域を複数形成した大型の母基板をシール材で貼り合せ、その後、所定の液晶表示パネルの大きさに切断して製造されているが、この切断の際には僅かであるが切断位置に誤差が生じる。この金属製の支持枠32又は33と液晶表示パネル10Bの導電性部材とが接触すると、この部分で短絡ないしは電蝕が生じる虞が生じる。
【0018】
したがって、図4及び図5に示した液晶表示パネル10Aにおいても、金属製の支持枠で挟持・固定する際には、第2基板21に設けられている共通電極19及び表示領域12の外周部に設けられている遮光用のブラックマトリクス22のような導電性材料は、ガラス切断面である第2基板21の端部からある程度離して設ける必要があり、そのため、図5の符号Xの領域に示したように、液晶表示パネル10Aの製造の際の切断位置の誤差を考慮して第2基板21の端部よりも内側に位置するように設けられている。このことは第2基板21の表示領域の周縁部にブラックマトリクスが設けられていない従来例においても同様である(下記特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−090770号公報(特許請求の範囲、段落[0002]〜[0004]、[0016]〜[0027]、図1〜図3)
【特許文献2】特許第2724642号公報(段落[0021)〜[0036)、図1、図4、図5)
【特許文献3】特開2002−215550号公報(特許請求の範囲、段落[0004]、図1、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
このような液晶表示パネル製造時の切断位置の誤差は、安全性を考えると少なくとも200μm程度を見込む必要があった。このことは、通常はガラス切断面である第2基板21の端部位置から少なくとも200μmの範囲内には、ブラックマトリクスや共通電極のような導電性材料を設けることができないということを意味する。しかしながら、このような従来の液晶表示パネルを使用すると、遮光用のブラックマトリクスとガラス切断面との間から光が漏れ、液晶表示パネルを斜めから見たときにこの漏れ光が表示品質を低下させる現象が生じる。
【0020】
例えば、図8は、図5に示した液晶表示パネル10Aを金属製の支持枠32及び33で挟持・固定して液晶表示装置50を形成した場合の前記符号Xの領域近傍の模式的な一部拡大断面図示すが、バックライト光源(図示せず)からこの液晶表示装置10へ入射した光Linは、金属製の支持枠33の表面で反射し、ブラックマトリクス22と金属製の支持枠33との間の隙間を通って反射光Loutとして表示領域へ出てくることがある。
【0021】
また、図で示す以外の経路として、第1基板基板11内で屈折を繰り返し、第1基板11の端面で出射して、表示領域へ出ていくこと等がある。
【0022】
本発明者は、このような従来技術の有する問題点を解決することのできる構成を種々検討した結果、遮光のためにはブラックマトリクスは必須であるが、このブラックマトリクスは必ずしも共通電極と電気的に接続されている必要はないことから、金属製の支持枠近傍のブラックマトリクスを他の導電性部材と電気的に分離させれば、この部分のブラックマトリクスが金属製の支持枠と接触しても短絡や電蝕の問題は生じないことを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0023】
すなわち、本発明は、液晶表示パネルを斜めから見たときにも光漏れが生じることがなく、しかも、短絡や電蝕の問題点も生じない液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1に記載の液晶表示装置の発明は、一方の基板の表示領域に共通電極を備え、前記表示領域の周囲に遮光用のブラックマトリクスを備えた液晶表示パネルと、バックライトとを有し、前記液晶表示パネルの周囲を金属製支持枠で保持した液晶表示装置において、前前記ブラックマトリクスを外周側と内周側とに複数個に分割し、前記外周側のブラックマトリクスを前記内周側のブラックマトリクス及び前記共通電極とは電気的に分離した浮島状のブラックマトリクスとしたことを特徴とする。
【0025】
なお、本発明における「浮島状」とは、電気的に内周側のブラックマトリクスや共通電極等の導電性部材とは切り離されており、電気的にフローティング状態にあるものをいう。したがって、この浮島状のブラックマトリクスは、金属製支持枠と接触した場合は金属支持枠の電位と同じになり、また、金属支持枠と接触しない場合は実質的に電位が定まらない状態となる。
【0026】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液晶表示装置において、前記浮島状のブラックマトリクスは、前記一方の基板の端部に平行に伸びる帯状に形成されていることを特徴とする。この場合、前記浮島状のブラックマトリクスを前記一方の基板の4辺側に設けてもよく、必要に応じて前記浮島状のブラックマトリクスを設ける位置を減らすこともできる。
【0027】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液晶表示装置において、前記浮島状のブラックマトリクスは、それぞれ互いに電気的に分離された複数個のブラックマトリクスからなることを特徴とする。この場合、前記浮島状のブラックマトリクスを、長さ方向に平行に複数個形成しても良いし、長さ方向とは直角方向に複数個形成しても良く、また、両者を組み合わせてもよい。
【0028】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置において、前記浮島状のブラックマトリクスと前記一方の基板の端部との間には100μm以下の隙間が設けられていることを特徴とする。
【0029】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置において、前記液晶表示装置は、前記液晶表示パネルの一辺に平行に設けられたサイドライト型バックライト光源を備え、前記浮島状のブラックマトリクスを前記液晶表示パネルの前記バックライト光源に対向する側に設けたことを特徴とする。この場合、サイドライト型バックライトの光源の配置に対応して前記浮島状のブラックマトリクスを1辺〜4辺に設ければよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明は上記のような構成を備えることにより以下に述べるような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、浮島状のブラックマトリクスは、電気的にはフローティング状態にあるから、金属製支持枠と接触した場合には金属支持枠の電位と同じになり、また、金属支持枠と接触していない場合は電位が定まらないが、いずれの場合においても外周側の浮島状のブラックマトリクスと内周側のブラックマトリクス及び共通電極とは電気的に分離されているため、金属製支持枠及び他のブラックマトリクス間に電流は流れない。したがって、浮島状のブラックマトリクスを介して短絡や電蝕も生じなくなるとともに、斜めから見た際の光漏れも生じなくなるので、周辺部の表示画質が向上する。
【0031】
また、請求項2の発明によれば、前記浮島状のブラックマトリクスは一方の基板の端部から等距離に設けられるため、金属製支持枠と前記浮島状のブラックマトリクスとの間の距離も場所によらず一定となり、液晶表示装置の品質にバラツキが生じなくなる。
【0032】
また、請求項3の発明によれば、前記浮島状のブラックマトリクスはそれぞれ互いに電気的に分離された複数個のブラックマトリクスからなるため、長さ方向に平行に複数個に分離されている場合には金属製支持枠と他のブラックマトリクス間の電気的抵抗が大きくなるためにブラックマトリクスを介しての短絡や電蝕の虞れが少なくなり、長さ方向に直角に複数個に分離されている場合や両者を組み合わせた場合には周囲の配線の形状等に応じて適宜浮島状のブラックマトリクスを配置することができるようになるので、設計の自由度が向上する。
【0033】
また、請求項4の発明によれば、隙間の大きさに比例して浮島状のブラックマトリクスは金属製支持枠と接触し難くなるために短絡や電蝕の虞は減じるが、斜めから見た際の光漏れは大きくなるので、隙間の大きさは実験的に適宜定めればよい。ただ、液晶表示パネルの製造工程における切断時に、切断位置の誤差のために、一方の基板の端部にブラックマトリクスによるバリが生じる虞があるため、このバリによる短絡や電蝕を避けるためには距離を大きくする必要があるが、この場合は逆に斜めから見た際の光漏れは大きくなるため、距離の上限値は100μmとするとよい。
【0034】
また、請求項5の発明によれば、サイドライト型バックライト光源の位置の対向面から斜めから見た際の光漏れは最も大きくなるので、斜めから見た際の光漏れを効率的に低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態を透過型液晶表示装置を例にとり図面を用いて説明するが、本発明は透過型液晶表示装置だけでなく半透過型の液晶表示装置に対しても等しく適用でき、また、バックライトとしてサイドライト型のバックライトだけでなく、直下型バックライトや面状光源方式のバックライトを使用する液晶表示装置に対しても等しく適用できるものである。
【0036】
図1は、本実施例の液晶表示装置1で使用する液晶表示パネル10において、表示領域12の周囲に設けられているブラックマトリクス22以外の構成については透視して表した平面図であり、また、図2は図1の符号Yの領域近傍の拡大断面図であり、図3は図1の液晶表示パネル金属製の支持枠で挟持・固定して液晶表示装置を構成した場合の図1のB−B線に対応する位置の模式的な部分断面図である。なお、本実施例で使用した液晶表示パネル10は、共通電極を含む第2構造物20の形状や表示領域12の周囲のブラックマトリクス22の形状以外は、図4及び図5に示した従来例の液晶表示パネル10Aの場合と実質的に同一であるので、その具体的構成については適宜図4及び図5の記載を援用して説明することとする。
【0037】
図1に示した液晶表示パネル10の第2基板21には、第1基板11と対向する側の面に、表示領域12においてはブラックマトリクスが格子状に形成され、その各開口部にはR、G、Bの3色或はそれ以上の色数のカラーフィルタ材料がそれぞれ塗布されており、表示領域12の周囲において低反射クロム金属からなるブラックマトリクス22が第2基板21の4辺の端部及び4個の角部の端部近くまでわたって設けられている。そして、例えば図1の符号Yの領域近傍の拡大図である図2に示したように、第2基板21の辺方向の端部から所定距離d1ないしd2だけ離れて第2基板21の一辺に沿って平行に帯状のブラックマトリクス22A及び22Bが、それぞれ第2基板21の表示領域12の周囲に設けられているブラックマトリクス22から僅かな距離だけ離れて、設けられている。なお、この例ではブラックマトリクス22Bとして第2基板21の辺方向に2分割して僅かな距離だけ離れた2つのブラックマトリクス22B’及び22B”からなるものを示した。
【0038】
また、第2基板21の角部の端部には、角部に沿ってL字状にブラックマトリクス22Cが第2基板21の表示領域12の周囲に設けられているブラックマトリクス22とも僅かな距離だけ離れて設けられている。
【0039】
これらのブラックマトリクス22A〜22Cは、いずれも第2基板21の表示領域12の周囲に設けられているブラックマトリクス22の外側に位置し、しかもそのブラックマトリクス22とは電気的に切り離されているため、電気的にはフローティング状態となっている。そこで、本願明細書においては、このような電気的にフローティング状態に設けられているブラックマトリクス22A〜22Cと第2基板21の表示領域12の周囲に設けられているブラックマトリクス22と区別するために、ブラックマトリクス22A〜22Cを「浮島状ブラックマトリクス」と称し、また、ブラックマトリクス22を「内周側ブラックマトリクス」と称する。
【0040】
この場合、浮島状ブラックマトリクス22Bとして第2基板21の辺方向に2分割して僅かな距離だけ離れた2つの浮島状ブラックマトリクス22B’及び22B”からなるものを示したが、浮島状ブラックマトリクス22Aと同様に、一つの帯状の形状のものとしてもよい。また、浮島状ブラックマトリクス22A〜22Cはそれぞれ別個に分離されたものを示したが、内周側ブラックマトリクス22と電気的に切り離されていれば、一つの浮島状ブラックマトリクスとすることもできる。しかしながら、図2に示したように浮島状ブラックマトリクスを第2基板の辺方向に平行にあるいは辺方向に直角に分割すれば、第2基板21の周辺に設けられる電極や配線等を考慮の上で必要な箇所にのみ適宜に浮島状ブラックマトリクスを設けることができるので、設計の自由度が大きくなる。
【0041】
この浮島状ブラックマトリクス22A〜22Cと内周側ブラックマトリクス22との間の距離及び浮島状ブラックマトリクス22B’と22B”との間の距離は、狭ければ狭いほど両者の隙間から光漏れが生じ難くなるが、液晶表示パネル10の切断時に切断位置の誤差に基づきブラックマトリクス部分が切断されてその切りくずが付着したり、あるいは導電性の塵等が付着したりして短絡が生じる虞もあるため、好ましくは約10μm程度となすとよい。
【0042】
また、浮島状ブラックマトリクス22A及び22Bと第2基板21の辺方向の端部との間の距離d1及びd2は、同じであっても異なっていてもよく、また、小さければ小さいほど光漏れは少なくなるが、同様に液晶表示パネル10の切断時にブラックマトリクスのバリが生じる虞があり、金属製の支持枠を用いて液晶表示装置を組み立てた際にこのバリによって金属製の支持枠と短絡が生じる可能性があるため、安全性を考慮すると少なくともd1及びd2は100μm程度とする方がよい。しかしながら、浮島上ブラックマトリクス22A〜22Cは、電気的にはフローティング状態となっているから、たとえ金属製の支持枠と電気的に短絡してもそれが直ちに内周側ブラックマトリクス22との間の短絡や電蝕につながるわけではないので、d1及びd2ともに実質的に「0」であってもよい。
【0043】
このような構成の液晶表示パネル10を金属製の支持枠32及び33を用いて挟持・固定し、適宜バックライトを組み合わせることにより本実施例の液晶表示装置1が得られる。本実施による液晶表示装置1の図1のB−B線に対応する位置の模式的な部分断面図を図3に示す。
【0044】
図3の記載から明らかなように、本実施例の液晶表示装置1においては、第2基板21の端部側には、共通電極を含む第2構造部材20及び表示領域の周辺に設けられた内周側ブラックマトリクス22とは電気的に切り離された浮島状ブラックマトリクス22Aが存在しており、この浮島状ブラックマトリクス22Aは第2基板21の端部に近接した位置にまで設けることができるため、浮島状ブラックマトリクス22Aと第2基板21の端部との間からの光漏れを少なくすることができる。したがって、斜め方向から表示領域の境界部を見たきにこの光漏れによる表示画像の劣化が生じ難くなり、高品質の表示画像が得られる液晶表示装置1を得ることができるようになる。
【0045】
なお、本実施例では浮島状ブラックマトリクスを第2基板21の4辺及び4個の角部に設けた例を示したが、サイドライト型バックライトを使用する場合は、バックライト光源が位置する場所とは反対側からの光漏れが多くなるので、サイドライト型バックライトの光源の位置に対応して浮島状ブラックマトリクスを1辺〜4辺に設ければよく、また、角部についてもそれに対応して2箇所から4箇所に設ければよい。
【0046】
例えば、1個ないしは複数個の直線配置されたLEDからなるバックライト光源を使用する場合は、少なくとも浮島状ブラックマトリクスをこのバックライト光源が位置する場所とは反対側に設け、さらに必要に応じて前記バックライト光源とは対向する位置の2つの角部にも浮島状ブラックマトリクスを設ければよい。
【0047】
また、サイドライト型のバックライト光源として、「コ」字状の冷陰極線管を使用する場合には少なくとも第2基板の4辺のうち「コ」字の開口部に対応する辺とその両側の辺の計3辺と「コ」字の角部に対応する2個の角部に浮島状ブラックマトリクス設ければよいことになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施例の液晶表示装置で使用する液晶表示パネルにおいて、表示領域の周囲に設けられているブラックマトリクス以外の構成について透視して表した平面図である。
【図2】図1の符号Yの領域近傍の拡大断面図である。
【図3】図1の液晶表示パネルを金属製の支持枠で挟持・固定して液晶表示装置を構成した場合の図1のB−B線に対応する位置の模式的な部分断面図である。
【図4】従来例の片端子型の液晶表示パネルの第2基板側をカラーフィルタ部分まで透視して模式的に示す平面図である。
【図5】図4のA−A線に沿った模式的な断面図である。
【図6】従来の液晶表示装置の液晶表示パネルの取付け前の状態を示す分解斜視図である。
【図7】図6に示した液晶表示装置の支持部材の構成を示す図である。
【図8】図5の液晶表示パネルを金属製の支持枠で挟持・固定した場合の符号Xの領域に対応する模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1、30、50 液晶表示装置
10、10A、10B 液晶表示パネル
11 第1基板
12 表示領域
18,18 トランスファ電極
19 共通電極
21 第2基板
22 (内周側)ブラックマトリクス
22A〜22C 浮島状ブラックマトリクス
23 シール材
31 バックライト
32、33 金属製の支持枠
35 バックライト光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の基板の表示領域に共通電極を備え、前記表示領域の周囲に遮光用のブラックマトリクスを備えた液晶表示パネルと、バックライトとを有し、前記液晶表示パネルの周囲を金属製支持枠で固定した液晶表示装置において、前記ブラックマトリクスを外周側と内周側とに複数個に分割し、前記外周側のブラックマトリクスを前記内周側のブラックマトリクス及び前記共通電極とは電気的に分離した浮島状のブラックマトリクスとしたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記浮島状のブラックマトリクスは、前記一方の基板の端部に平行に伸びる帯状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記浮島状のブラックマトリクスは、それぞれ互いに電気的に分離された複数個のブラックマトリクスからなることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記浮島状のブラックマトリクスと前記一方の基板の端部との間には100μm以下の隙間が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶表示装置は、前記液晶表示パネルの一辺に平行に設けられたサイドライト型バックライト光源を備え、前記浮島状のブラックマトリクスを前記液晶表示パネルの前記バックライト光源に対向する側に設けたことを特徴とする求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−98879(P2006−98879A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286356(P2004−286356)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】