説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示装置において、組立作業時に係合凸部が係合穴の端縁から外れることを防止し、組み立て作業を容易にする。
【解決手段】管固定部材11の係合凸部11cが係合される係合穴7cの周辺に、防護壁7dを形成する。防護壁7dは、フレーム7の底面7aから突出される係合凸部11cより高く形成され、組立作業時に作業者の手が係合凸部11cに接触するのを防止する。これにより、液晶駆動回路9の装着等において、フレーム7を裏返しにして作業を行う場合にあっても、係合凸部11cが係合穴7cの端縁から外れることがなくなり、組み立て作業が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン放送やパーソナルコンピュータ等の画像を表示する液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示装置においては、液晶セルのバックライトとして冷陰極管が用いられている。冷陰極管は、管固定部材を介してフレームに搭載されている。管固定部材は、フレームの端縁部に装着される。管固定部材には、通常、フレームに形成されている係合穴の端縁と係合する係合凸部が設けられている。係合凸部は、係合穴の内側に弾性変形可能であり、管固定部材によって冷陰極管を保持させた状態で係合凸部の先端をフレームの係合穴に差し込むことにより、係合凸部が係合穴の端縁に係合され、冷陰極管が固定される。そして、フレームの背面側には、液晶セルに駆動電圧を印加する液晶駆動回路が搭載される。ところが、フレームの背面側には、係合穴の端縁に係合されている係合凸部の先端が剥き出しで突出しているため、作業者が誤って係合凸部の先端に触れてしまうと、係合凸部が係合穴の端縁から外れることがある。このような場合、冷陰極管及び管固定部材の組み付け作業を再度行わなければならなくなる。また、作業者が係合凸部の先端に触れないように注意を払いながら作業を行わなければならず、作業効率が低下する。
【0003】
なお、特許文献1には、U字状蛍光ランプの折り返し部をスペーサチューブに嵌着して保持することにより、折り返し部にストレスが発生しないようにした液晶表示装置が示されている。また、特許文献2には、U字状蛍光ランプの折り返し部を固定することにより、ランプの移動を防止する液晶表示装置が示されている。また、特許文献3には、U字状蛍光ランプの折り返し部を反射板兼ケースに形成した係止片に係止する構成を有する液晶表示装置が示されている。また、特許文献4には、ガイド溝によってランプハウスの回路基板への取り付けを容易にした液晶表示装置が示されている。上記特許文献に示された技術を適用しても、上述した課題を解消できない。
【特許文献1】特開2004−342335号公報
【特許文献2】特開2005−302721号公報
【特許文献3】特開平8−76121号公報
【特許文献4】実開平6−59826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、組立作業時に係合凸部が係合穴の端縁から外れることを防止し、組み立て作業を容易に行えるようにした液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、印加された電圧に応じて特定の光を透過させて、画像を表示する液晶セルと、この液晶セルの背面から光を照射する複数本の冷陰極管と、液晶セルと冷陰極管との間に配設され、冷陰極管から前方に出射された光を拡散させる光拡散手段と、冷陰極管の背面に配設され、冷陰極管から後方に出射された光を前方に反射させる光反射手段と、液晶セル、冷陰極管、光拡散手段及び光反射手段を支持する有底のフレームと、液晶セルに駆動電圧を印加するために、フレームの背後に搭載された液晶駆動回路とを備え、各冷陰極管は、液晶セルの長手方向に平行に配列され、フレームの端縁部に装着される管固定部材によって固定される液晶表示装置において、冷陰極管の端部には、ゴム製パッドが装着され、管固定部材は、ゴム製パッドをフレームの底面に押圧する管押圧部と、液晶セルの短手方向に弾性変形可能であり、フレームの底面側に突出されて、該底面と係合される1対の係合凸部とを有し、フレームの底面は、管固定部材の係合凸部に対応する係合穴と、この係合穴の端縁と係合凸部との係合状態を維持するために、該係合穴の周辺の全方位に亘って該フレームの背面側に立設された防護壁を有し、防護壁の高さ寸法は、フレームの底面からの係合凸部の突出寸法よりも大きく設定され、装置の組立作業時に、係合凸部に作業者の手が直接触れないようにして、係合凸部が係合穴の端縁から外れることを防止し、組み立て作業を容易に行えるようにしたものである。
【0006】
請求項2の発明は、印加された電圧に応じて特定の光を透過させて、画像を表示する液晶セルと、この液晶セルの背面から光を照射するバックライトと、液晶セル及びバックライトを支持する有底のフレームとを備え、各バックライトは、フレームの端縁部に装着されるライト固定部材によって固定される液晶表示装置において、ライト固定部材は、バックライトをフレームの底面に押圧するライト押圧部と、フレームの底面側に突出されて、該底面と係合される1対の係合凸部とを有し、フレームの底面は、ライト固定部材の係合凸部に対応する係合穴と、この係合穴の端縁と係合凸部との係合状態を維持するために、該フレームの背面側に立設された防護壁を有するものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の液晶表示装置において、係合凸部は、フレームの底面に平行な方向に弾性変形可能であり、防護壁は、少なくとも係合凸部に対して、該係合凸部が弾性変形される方向とは逆の側に形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、係合穴の周辺の全方位に亘ってフレームの背面側に防護壁が立設されているので、装置の組立作業時に、いずれの方向から作業者の手が出されても、係合凸部に作業者の手が直接触れることがない。従って、係合凸部が係合穴の端縁から外れることがなくなり、組み立て作業を容易に行えるようになる。また、防護壁の高さ寸法は、フレームの底面からの係合凸部の突出寸法よりも大きく設定されているので、係合凸部と作業者の手との接触をより一層防止することができる。これにより、作業者が係合凸部の先端に触れないように注意を払いながら作業を行う必要がなくなり、作業効率が向上する。また、冷陰極管の端部には、ゴム製パッドが装着されているので、冷陰極管を傷つけることなく固定できる。
【0009】
請求項2の発明によれば、フレームの背面側に防護壁が立設されているので、装置の組立作業時に、いずれの方向から作業者の手が出されても、係合凸部に作業者の手が直接触れ難くなる。従って、係合凸部が係合穴の端縁から外れる危険性を減少させることができ、組み立て作業を容易に行えるようになる。
【0010】
請求項3の発明によれば、防護壁は、少なくとも係合凸部に対して、係合凸部が弾性変形される方向とは逆の側に形成されているので、係合凸部の弾性変形を効果的に防止することができ、係合凸部が係合穴の端縁から外れる危険性を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための実施形態による液晶表示装置について図面を参照して説明する。図1は液晶表示装置の概略構成を示している。液晶表示装置1は、画像を表示する液晶セル2と、液晶セル2の背面から光を照射する冷陰極管(バックライト)3と、冷陰極管3から前方に出射された光を拡散させる光拡散板(光拡散手段)4及び光拡散シート(光拡散手段)5と、冷陰極管3から後方に出射された光を前方に反射させる光反射板(光反射手段)6と、液晶セル2、冷陰極管3、光拡散板4、光拡散シート5及び光反射板6を支持する有底のフレーム7と、液晶セル2、冷陰極管3、光拡散板4、光拡散シート5及び光反射板6をフレーム7に固定するためのベゼル8と、液晶セル2に駆動電圧を印加する液晶駆動回路9と、これらを収容する筐体(図示せず)等によって構成されている。
【0012】
液晶セル2は、液晶駆動回路9から印加された電圧に応じて特定の光を透過させて、画像を表示する。冷陰極管3は、液晶セル2の長手方向に平行に複数本並べて配列されている。光拡散板4及び光拡散シート5は、冷陰極管3と液晶セル2との間に配設され、冷陰極管3から前方に出射された光及び光反射板6によって反射された光を拡散させることにより、液晶セル2から表示される画像の明るさを均一化する。光反射板6は、冷陰極管3の背面側においてフレーム7の底面7aに沿って配設されている。液晶駆動回路9は、制御回路(図示せず)から出力された画像信号に応じた駆動電圧を液晶セル2の端子に印加する。
【0013】
図2及び図3は、冷陰極管3の取り付け構造を示している。フレーム7の底面7aの端縁部には、冷陰極管3の端部を挿通させるための開口7bが形成されている。冷陰極管3は、フレーム7の開口7bに装着される管固定部材(ライト固定部材)11によって、2本を一組にしてフレーム7に固定されている。冷陰極管3の端部には、ゴム製のパッド12が装着されている。パッド12とフレーム7及び管固定部材11とは、互いに対応する形状に形成されている。
【0014】
図4は、管固定部材11を示している。管固定部材11は、パッド12をフレーム7の底面7aに押圧する管押圧部11a、11bと、フレーム7の係合穴7cの端縁と係合される1対の係合凸部11cとを有している。管押圧部11a、11b及び係合凸部11cは、フレーム7の底面7aの側に突出して形成されている。係合凸部11cは、側面視で管押圧部11aと管押圧部11bの間に形成されている。従って、管押圧部11a、11bによって均等にパッド12を押圧することができる。また、1対の係合凸部11cは、液晶セル2の短手方向に、互いに接近する向きに弾性変形可能である。管固定部材11のフレーム7への装着は、図2及び図3に示すように、係合凸部11cを弾性変形させながら係合穴7cに差し込むことによりなされる。
【0015】
図5は、フレーム7の係合穴7cの周辺構成を示している。フレーム7の底面7aには、管固定部材11の係合凸部11cに対応する矩形状の係合穴7cと、フレーム7の背面側に立設された防護壁7dが形成されている。防護壁7dは、係合穴の周辺の全方位に亘って矩形状に設けられている。また、防護壁7dの高さ寸法は、フレーム7の底面7aからの係合凸部11cの突出寸法よりも大きく設定されている(図8参照)。
【0016】
図6乃至図8は、冷陰極管3及び管固定部材11がフレーム7に組み付けられた状態を示している。冷陰極管3は、管固定部材11の係合凸部11cとフレーム7の底面7aに挟まれた状態でフレーム7に組み付けられる。ここで、図7及び図8に示すように、係合穴7cの周辺の全方位に亘って防護壁7dが形成されているので、液晶駆動回路9の装着等において、フレーム7を裏返しにして作業を行う場合にあっても、作業者の手が係合凸部に直接触れることがない。
【0017】
以上のように、本実施形態の液晶表示装置1によれば、係合穴7cの周辺の全方位に亘ってフレーム7の背面側に防護壁7dが立設されているので、装置の組立作業時に、いずれの方向から作業者の手が出されても、係合凸部11cに作業者の手が直接触れることがない。従って、係合凸部11cが係合穴7cの端縁から外れることがなくなり、組み立て作業を容易に行えるようになる。また、防護壁7dの高さ寸法は、フレーム7の底面7aからの係合凸部11cの突出寸法よりも大きく設定されているので、係合凸部11cと作業者の手との接触をより一層防止することができる。これにより、作業者が係合凸部11の先端に触れないように注意を払いながら作業を行う必要がなくなるので、作業効率が向上する。
。また、冷陰極管3の端部には、ゴム製のパッド12が装着されているので、冷陰極管3を傷つけることなく固定できる。
【0018】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくともフレーム7の底面7aに、係合穴7cの端縁と係合凸部11cとの係合状態を維持するための防護壁7dが立設されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による液晶表示装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】フレームの正面側から視た冷陰極管の取り付け構造を示す組み立て斜視図。
【図3】フレームの背面側から視た冷陰極管の取り付け構造を示す組み立て斜視図。
【図4】(a)は管固定部材の背面図、(b)は同部材の側断面図。
【図5】(a)は管固定部材の背断面図、(b)は同部材の側断面図。
【図6】フレームの正面側から視た組み立て完了後の冷陰極管の取り付け構造を示す斜視図。
【図7】フレームの背面側から視た組み立て完了後の冷陰極管の取り付け構造を示す斜視図。
【図8】(a)は組み立て完了後の冷陰極管の取り付け構造を示す背断面図、(b)は同構造の側断面図。
【符号の説明】
【0020】
1 液晶表示装置
2 液晶セル
3 冷陰極管(バックライト)
4 光拡散板(光拡散手段)
5 光拡散シート(光拡散手段)
6 光反射板(光反射手段)
7 フレーム
7a 底面
7b 開口
7c 係合穴
7d 防護壁
8 ベゼル
9 液晶駆動回路
11 管固定部材(ライト固定部材)
11a、11b 管押圧部
11c 係合凸部
12 パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加された電圧に応じて特定の光を透過させて、画像を表示する液晶セルと、この液晶セルの背面から光を照射する複数本の冷陰極管と、前記液晶セルと前記冷陰極管との間に配設され、前記冷陰極管から前方に出射された光を拡散させる光拡散手段と、前記冷陰極管の背面に配設され、前記冷陰極管から後方に出射された光を前方に反射させる光反射手段と、
前記液晶セル、冷陰極管、光拡散手段及び光反射手段を支持する有底のフレームと、前記液晶セルに駆動電圧を印加するために、前記フレームの背後に搭載された液晶駆動回路とを備え、
各冷陰極管は、前記液晶セルの長手方向に平行に配列され、前記フレームの端縁部に装着される管固定部材によって固定される液晶表示装置において、
前記冷陰極管の端部には、ゴム製パッドが装着され、
前記管固定部材は、前記ゴム製パッドを前記フレームの底面に押圧する管押圧部と、前記液晶セルの短手方向に弾性変形可能であり、前記フレームの底面側に突出されて、該底面と係合される1対の係合凸部とを有し、
前記フレームの底面は、前記管固定部材の係合凸部に対応する係合穴と、この係合穴の端縁と前記係合凸部との係合状態を維持するために、該係合穴の周辺の全方位に亘って該フレームの背面側に立設された防護壁を有し、
前記防護壁の高さ寸法は、フレームの底面からの係合凸部の突出寸法よりも大きく設定され、
装置の組立作業時に、前記係合凸部に作業者の手が直接触れないようにして、前記係合凸部が前記係合穴の端縁から外れることを防止し、組み立て作業を容易に行えるようにしたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
印加された電圧に応じて特定の光を透過させて、画像を表示する液晶セルと、この液晶セルの背面から光を照射するバックライトと、前記液晶セル及びバックライトを支持する有底のフレームとを備え、
各バックライトは、前記フレームの端縁部に装着されるライト固定部材によって固定される液晶表示装置において、
前記ライト固定部材は、前記バックライトを前記フレームの底面に押圧するライト押圧部と、前記フレームの底面側に突出されて、該底面と係合される1対の係合凸部とを有し、
前記フレームの底面は、前記ライト固定部材の係合凸部に対応する係合穴と、この係合穴の端縁と前記係合凸部との係合状態を維持するために、該フレームの背面側に立設された防護壁を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
前記係合凸部は、前記フレームの底面に平行な方向に弾性変形可能であり、
前記防護壁は、少なくとも前記係合凸部に対して、該係合凸部が弾性変形される方向とは逆の側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−304434(P2007−304434A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134292(P2006−134292)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】