説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示パネルとプリズムシートとの関係で発生するモアレを解消するとともに、正面輝度の低下を抑制する。
【解決手段】信号線基板11と対向基板12との間に液晶が挟持され、前記信号線基板には下偏光板14が接着され、前記対向基板には上偏光板13が接着されている。バックライトは光源20、導光板21、下拡散シート22、下プリズムシート23、上プリズムシート24とから構成されている。プリズムシート23、24と信号線基板11あるいは対向基板12との関係で生ずるモアレを下偏光基板14に接着された蠅の目レンズアレイ30によって解消する。蠅の目レンズアレイ30を用いることによって、画面の輝度を低下させることなく、モアレを解消することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、モアレを解消し、かつ、輝度を向上した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、軽量であることから、コンピュータモニタ、携帯端末、携帯電話、TV等に用途が拡大している。液晶表示パネルは自ら発光しないために、バックライトが必要である。バックライトは種々の光源と光学部品とから構成されている。携帯電話等は電池で駆動するために、バックライトにおける消費電力が問題である。
【0003】
光源からの光を効率よく利用するために、断面形状が山状の繰返し構造の光学シートであるプリズムシートを使用してバックライトからの光を画面方向に集束している。これによってバックライトの光利用効率を高め、バックライトにおける消費電力を低減している。このプリズムシートは断面が3角形のマイクロプリズムを特定ピッチによって多数配列したものである。したがって、プリズムシートを通過した光は、明るい線と暗い線が細かいピッチで配列したものとなる。一方、液晶表示パネルには走査線、データ信号線等が一定ピッチで存在しているために、プリズムシートを通過した光との間で干渉を生ずる。
【0004】
このような、プリズムシートと液晶表示パネルとの干渉が生ずると、画面にモアレが発生し、画像品質を著しく損ねる。このモアレを対策するために、例えば、「特許文献1」には、プリズムシートにおけるプリズムの延在方向と、液晶表示パネルに形成されている走査線あるいはデータ信号線との間に、わずかに角度を設ける技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】USP5280371
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、プリズムシートにおけるプリズムの延在方向の角度の設定が必要である。また、特許文献1に記載の技術では、モアレは低減することは出来るが、無くすことは出来ない。したがって、モアレを低減するためのいわゆる拡散シートは必要である。後に述べるように、拡散シートが存在すると、画面の正面輝度が低下する。
【0007】
図17は、バックライトを有する従来の液晶表示装置の要部断面図である。図17においては、液晶表示パネルを収納するモールド、駆動IC等は省略されている。図17において、バックライトは、光源20、導光板21および種々の光学シートから構成されている。光源20は導光板21のサイドに設置されている。表示装置の厚さを小さくするためである。光源20としては、LED、CCFL等を使用することが出来る。
【0008】
導光板21は、サイドから入射する光を液晶表示パネル方向に向ける働きを有する。導光板21に下には、光を液晶表示パネル側に向けるための反射シートが設置されるが、図17では反射シートは省略している。後に説明する図1、図13、図15、図16等においても同様である。導光板21から、液晶表示パネル方向に向けられた光は、下拡散シート22、下プリズムシート23、上プリズムシート24、上拡散シート25を順に通過して液晶表示パネルに入射する。図18は、これらの部品の配置、および形状を示す分解斜視図である。
【0009】
導光板21から液晶表示パネル方向に出射する光は、光強度のむらを有している。下拡散シート22は導光板21から出射した光を均一にする役割を有する。図18における下プリズムシート23は、マイクロプリズムによって導光板21からの光のうち、画面の上下方向(a方向)に広がろうとする光を、液晶表示パネルの法線方向に集束する役割を有する。上プリズムシート24は、マイクロプリズムによって導光板21からの光のうち、画面の左右方向(b方向)に広がろうとする光を、液晶表示パネルの法線方向に集束する役割を有する。上拡散シート25は、プリズムシートからの光を拡散することによって、プリズムシートからの出た周期的に強度が変化する光と、液晶表示パネルの走査線、あるいはデータ信号線等による透過率の周期的な変化との干渉によるモアレを低減する役割を有する。
【0010】
すなわち、モアレ低減には、上拡散シート25の役割が大きい。上拡散シート25を使用した場合、モアレは低減することは出来るが、バックライトからの光を拡散させるために、画面の正面輝度が低下する。モアレをより低減しようとすると、上拡散シート25におけるバックライトの拡散量を増やさなければならず、正面輝度がさらに低下するというジレンマを生ずる。
【0011】
本発明の目的は、正面輝度の低下を防止しつつ、モアレを解消する構成を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
液晶表示パネルとプリズムシートとの間に形成されるモアレを解消するための、本発明による具体的な手段は下記のとおりである。
【0013】
(1)信号線基板と対向基板との間に液晶が挟持され、前記信号線基板には下偏光板が接着され、前記対向基板には上偏光板が接着された液晶表示パネルを有する液晶表示装置であって、前記液晶表示パネルの背面にはバックライトが設置され、前記バックライトは光源と断面形状が繰返し構造の光学シートを含む光学部品を有し、前記下偏光板には蠅の目レンズアレイが接着されおり、前記蠅の目レンズアレイは稠密構造となっていることを特徴とする液晶表示装置。
【0014】
(2)前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチは液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0015】
(3)前記蠅の目レンズアレイの各レンズの外形は矩形であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0016】
(4)前記蠅の目レンズアレイの各レンズの外形は六角形であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0017】
(5)前記断面形状が繰返し構造の光学シートとして、上プリズムシートと下プリズムシートが存在しており、前記上プリズムシートと前記蠅の目レンズアレイとの間には間隙dが存在していることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0018】
(6)前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチをLpとし、前記蠅の目レンズアレイの高低差を2Hとし、前記蠅の目レンズアレイと前記上プリズムシートの間隙dとし、液晶パネルの画素ピッチをpとしたとき、2H>0.47×(p/d)×Lpの関係になることを特徴とする(5)に記載の液晶表示装置。
【0019】
(7)前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチはランダムピッチとなっていることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0020】
(8)前記のハエの目レンズアレイにおけるレンズの形成されている部分は全体の面積の90%以上を有することを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0021】
(9)前記のハエの目レンズアレイにおけるレンズの形成されている部分は全体の面積の95%以上を有することを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0022】
(10)前記のハエの目レンズアレイは隙間無くレンズが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【0023】
(11)信号線基板と対向基板との間に液晶が挟持され、前記信号線基板には下偏光板が接着され、前記対向基板には上偏光板が接着された液晶表示パネルを有する液晶表示装置であって、前記液晶表示パネルの背面にはバックライトが設置され、前記バックライトは光源と断面形状が繰返し構造の光学シートを含む光学部品を有し、前記上偏光板には蠅の目レンズアレイが接着されおり、前記蠅の目レンズアレイは稠密構造となっていることを特徴とする液晶表示装置。
【0024】
(12)前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチは液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下であることを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置。
【0025】
(13)前記蠅の目レンズアレイの各レンズの外形は矩形であることを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置。
【0026】
(14)前記蠅の目レンズアレイの各レンズの外形は六角形であることを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置。
【0027】
(15)前記蠅の目レンズアレイの高低差を2Hとし、レンズピッチをLpとした時、2H/Lp<0.32であることを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置。
【0028】
(16)前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチはランダムピッチとなっていることを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置。
【0029】
(17)前記のハエの目レンズアレイにおけるレンズの形成されている部分は全体の面積の90%以上を有することを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置。
【0030】
(18)前記のハエの目レンズアレイにおけるレンズの形成されている部分は全体の面積の95%以上を有することを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置。
【0031】
19)前記のハエの目レンズアレイは隙間無くレンズが形成されていることを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置。
【0032】
(20)信号線基板と対向基板との間に液晶が挟持され、前記信号線基板には下偏光板が接着され、前記対向基板には上偏光板が接着された液晶表示パネルを有する液晶表示装置であって、前記液晶表示パネルの背面にはバックライトが設置され、前記バックライトは光源と断面形状が繰返し構造の光学シートを含む光学部品を有し、前記液晶表示パネルの上偏光板の上には、面板が設置され、前記面板の前記液晶表示パネル側には蠅の目レンズアレイが設置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0033】
(21)前記蠅の目レンズアレイのピッチは前記液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下であることを特徴とする(20)に記載の液晶表示装置。
【0034】
(22)前記蠅の目レンズアレイは前記面板に直接形成されていることを特徴とする(20)に記載の液晶表示装置。
【0035】
(23)信号線基板と対向基板との間に液晶が挟持され、前記信号線基板には下偏光板が接着され、前記対向基板には上偏光板が接着された液晶表示パネルを有する液晶表示装置であって、前記液晶表示パネルの背面にはバックライトが設置され、前記バックライトは光源と断面形状が繰返し構造の光学シートを含む光学部品を有し、前記液晶表示パネルの上偏光板の上には、面板が設置され、前記面板の外側には蠅の目レンズアレイが設置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0036】
(24)前記蠅の目レンズアレイのピッチは前記液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下であることを特徴とする(23)に記載の液晶表示装置。
【0037】
(25)前記蠅の目レンズアレイは前記面板に直接形成されていることを特徴とする(23)に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、液晶表示パネルと断面形状が繰返し構造の光学シート(例えば、プリズムシート)とで形成されるモアレを蠅の目レンズアレイによって解消するので、モアレ解消のために正面輝度の劣化を防ぐことが出来る。
【0039】
本発明の蠅の目レンズアレイのレンズピッチは、液晶表示パネルに形成されている画素ピッチの1/4以下とするので、蠅の目レンズアレイ自体と液晶表示パネルあるいは断面形状が繰返し構造の光学シートとの間のモアレを生ずることが無い。
【0040】
また、本発明においては、蠅の目レンズアレイの各マイクロレンズのレンズ強度を特定範囲に設定することによって液晶表示装置の正面輝度の低下を防止することが出来る。
【0041】
さらに、本発明は蠅の目レンズアレイとしてマイクロレンズが稠密に配列している構造をとるので、画面全体にわたってモアレの発生を防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下の実施例に基づいて本発明を詳細に開示する。
【実施例1】
【0043】
図1は実施例1の液晶表示装置の断面図である。図1において、液晶表示装置は液晶表示パネルとバックライトとから構成されている。液晶表示パネルは画素電極、薄膜トランジスタ(TFT)、信号線(例えば走査線、データ信号線)等が形成された信号線基板11と、カラーフィルタ等が形成された対向基板12とから構成されている。信号線基板11と対向基板12の間には液晶が挟持され、画素電極等に印加されるデータ信号に応じて液晶の向きが変化し、画像が形成される。本実施例では薄膜トランジスタ(TFT)を使用した液晶表示装置を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置の場合、信号線基板をTFT基板と言う。
【0044】
信号線基板11の下には下偏光板14が、対向基板12の上には上偏光板13が接着している。液晶は、偏光光に対して制御をするために、下偏光板14および上偏光板13が必要である。本実施例では、下偏光板14の下に、蠅の目レンズアレイ30が接着されている。蠅の目レンズアレイ30については後で説明する。
【0045】
図1において、バックライトは、上拡散シート25が無い他は図17で説明した構成と同様であり、各光学部品の役割も図17で説明したと同様である。従来技術における上拡散シート25はモアレを低減する役割を有する。しかし、本実施例においては、上拡散シート25は存在せず、代わりに、蠅の目レンズアレイ30が液晶表示パネルの下偏光板14に接着している。図1において、下偏光板14に貼り付けられた蠅の目レンズアレイ30と上プリズムシート24との距離dは例えば、1mmである。
【0046】
図2は光学シートの配置を示す斜視図である。図2において、導光板21から出射した光は、下側から下拡散シート22、下プリズムシート23、上プリズムシート24、蠅の目レンズアレイ30の順に通過する。下拡散シート22下プリズムシート23、上プリズムシート24の役割は図18で説明したと同様である。図2において、下プリズムシート23はa方向に広がる光を液晶表示パネルの方向に集束し、上プリズムシート24はb方向に広がる光を液晶表示パネルの方向に集束する。図2において、上プリズムシート24を通過した光は蠅の目レンズアレイ30に入射する。蠅の目レンズアレイ30はマイクロ凸レンズが規則的に2次元的に配列したものである。
【0047】
従来技術においては、上拡散シート25によってプリズムシートと液晶表示パネルとの干渉によるモアレを解消している。本発明では、上拡散シート25ではなく、蠅の目レンズアレイ30によってモアレを解消するものである。図2において、下拡散シート22、下プリズムシート23、上プリズムシート24は重ねて配置されるが、蠅の目レンズアレイ30は上プリズムシート24とは間隔を持って設置される。
【0048】
図1に示す本実施例おいては、蠅の目レンズアレイ30は上プリズムシート24から画面の法線方向に入射する光を蠅の目レンズアレイ30に形成されたマイクロレンズ31によって屈折させることによって、プリズムシートから出射する光の周期的な規則性を乱してモアレを解消する。即ち、蠅の目レンズアレイ30は、光の進行方向をある範囲で変化させてモアレを解消する。
【0049】
従来技術のように拡散シートによってモアレを抑制する原理は、拡散シートによって光を散乱させることによる。拡散シートによる光の散乱は、あらゆる方向に向かう。すなわち、拡散シートによる散乱光は、画面に対して横方向にも、画面と逆方向にも向かう。したがって、拡散シートによってモアレを解消しようとすると、正面輝度が低下することになる。
【0050】
これに対して、蠅の目レンズアレイ30による光の屈折は、拡散シートによる光の散乱とは異なり、光を屈折するが、光の方向は依然として画面の法線方向とは大きく異ならない。したがって、画面の正面輝度の低下はほとんど無いか、あってもわずかである。すなわち、本発明によれば、正面輝度を低下させることなく、モアレを解消、ないし、低減することが出来る。
【0051】
蠅の目レンズアレイ30には色々な種類がある。図3はその一例である。図3の蠅の目レンズアレイ30は、各マイクロレンズ31の外形が球面形状で、このマイクロレンズ31が縦、横方向に規則的に並んでいる。図3に示すような蠅の目レンズアレイ30には、マイクロレンズ31とマイクロレンズ31の間の隙間32が存在する。この隙間32の部分では、光が直進するために、モアレを解消することにはならない。したがって、図3に示すような蠅の目レンズアレイ30では、モアレの解消は不十分である。
【0052】
図4に示す蠅の目レンズアレイ30は、各マイクロレンズ31の外形が円形であり、各マイクロレンズ31は正三角形に配列されている。このような配置であれば、マイクロレンズ31とマイクロレンズ31の隙間32は、図3の場合よりも小さくすることが出来る。しかし、依然として隙間32は残り完全ではない。
【0053】
図5に示す蠅の目レンズアレイ30は、各マイクロレンズ31の外形を異ならせ、小さなマイクロレンズ31によって隙間32を充填し、隙間32をできるだけ小さくしたものである。しかし、このような蠅の目レンズアレイ30は製作が難しい。
【0054】
レンズの形成されていない平坦部を通して直進した光の成分が多い場合には、この直進成分によって投影されたプリズムシートの周期構造と液晶画素の周期構造とのモアレが起こり、視認されてしまう。このモアレの視認性を十分小さくするためには、拡散シートを除去せずに残す必要がある。
【0055】
本発明の効果を最大限活かし、拡散シートを除去するには、レンズシート全体に占めるレンズアレイの占有面積を90%以上、好ましくは95%以上とし、モアレのコントラストを十分小さくする必要がある。
【0056】
図6は本実施例における蠅の目レンズアレイ30の形状の例である。図6において、各マイクロレンズ31の外形は矩形である。図6では、各マイクロレンズ31の外形は、画面水平方向から45度傾いた正方形である。このように、マイクロレンズ31の外形を矩形とすることによって、蠅の目レンズアレイ30内で、各マイクロレンズ31を隙間32無く稠密に配列することが出来る。もちろん、矩形といっても、蠅の目レンズアレイ30の製作条件から、コーナー部が多少丸みを持つ場合があることは当然である。
【0057】
図6において、u方向およびv方向のレンズピッチはLpである。一方、画面の横方向(x方向)ピッチおよび縦方向(y方向)ピッチは√2・Lpである。蠅の目レンズアレイ30のレンズピッチはモアレに対して重要な影響を有する。すなわち、蠅の目レンズアレイ30はマイクロレンズ31が規則的に配列しているために、マイクロレンズ31の周期が液晶表示パネルの画素の周期に近いと蠅の目レンズアレイ30と液晶表示パネルとの間でモアレが発生することになる。これを防止するためには、蠅の目レンズアレイ30のレンズピッチLpを液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下とする必要がある。ここで、画素ピッチとはR、G、B3色のトリオピッチをいう。例えば、本実施例では画素ピッチは0.246mmである。
【0058】
図7は、図6に示す蠅の目レンズアレイ30のマイクロレンズ31の断面形状である。図7(a)は図6のu、v方向の断面図であり、図7(b)は図6のx、y方向の断面図である。マイクロレンズ31の曲面は色々な形状をとることが出来る。例えば、レンズの曲面を2次曲線によって形成すると、マイクロレンズ31の曲面は(式1)のように表すことが出来る。
【0059】
【数1】

【0060】
また、x、y方向の断面を表す場合は(式2)によって表すことが出来る。
【0061】
【数2】

【0062】
(式1)および(式2)において、zはマイクロレンズ31の頂点から落ち込む量である。
【0063】
一方、マイクロレンズ31の断面を球面に形成する場合は、マイクロレンズ31の曲面は次のように表すことが出来る。すなわち、u、v方向の断面は、(式3)によって表すことが出来る。
【0064】
【数3】

【0065】
また、x、y方向の断面を表す場合は(式4)によって表すことが出来る。
【0066】
【数4】

【0067】
(式3)および(式4)において、zはマイクロレンズ31の頂点から落ち込む量である。
【0068】
図7(a)において、u、v方向のレンズ高さはHである。また、図7(b)において、x、y方向のレンズ高さはQであり、Qをレンズの高低差と定義する。レンズの高低差Qはレンズ曲面が2次曲面であれば、2Hである。レンズ曲面が球面であれば、Qの値は(式5)によって表すことが出来る。
【0069】
【数5】

【0070】
しかし、(式5)で表される値は、レンズ高さとピッチの比が十分小さい場合には実際には2Hとほぼ同等であり、この比が大きい球面の場合には高低差Qは2Hより小さくなる。なお、この比が大きくなると2次曲線の方が光学的には優れている。以後、レンズ高低差Qとして、2Hの値を用い、これに対する数値の目安を与えることにする。
【0071】
レンズ強度はレンズピッチLpとレンズ高さHの比H/Lpによって評価することが出来る。図1に示すような構成では、蠅の目レンズアレイ30に入射する光はプリズムシートによって、画面の垂直方向に向かう光となっている。したがって、蠅の目レンズアレイ30によって光を大きく屈折させると、液晶表示パネルに入射する光は、画面垂直方向から傾いた光となり、正面輝度を下げてしまうことになる。
したがって、モアレを解消し、かつ、正面輝度を低下させないようなマイクロレンズ31のアスペクト比H/Lpを評価する必要がある。
【0072】
図8は、人の目の瞳に入射する光束で、液晶表示パネルの小さな領域のほぼ同じ場所を通過する光を示す。この光は、逆に導光板21の方向にトレースした場合に、プリズムシート上では、広がった分布の仮想的な輝度分布を示す。この輝度分布は、目の瞳の方向から入射させ、仮想的なプリズムシート上の位置で輝度分布を測定することによって得られる。これをPSF(Point Spread Function)と呼ぶ。画素ピッチが、プリズムアレイのピッチよりも十分大きければ、このPSFの1/e直径が画素ピッチと同等以上であれば、モアレの視認性は小さくなる。
【0073】
図9および図10は、25μm×25μmの細い平行光線をレンズアレイに入射した時に、レンズアレイから1mmはなれたところでのPSFを求めた結果である。図9はu、v方向、図10はx、y方向のPSFである。
【0074】
図9において、縦軸は相対照度、横軸はu、v方向の座標である。レンズピッチLpは25μmであり、レンズ材料の屈折率nは1.49である。図9においては、レンズピッチLpが25μmに対してレンズ高さHを1μmから5μmまで、1μmおきに変化させて評価している。図9において、PSFの1/e直径が画素ピッチである0.246mmよりも大きくなるレンズ高さHは1.5μmである。したがって、レンズ高低差2Hは3.0μmである。
【0075】
図10は、マイクロレンズ31のx、y方向のPSFである。図10において、縦軸は相対照度、横軸はx、y方向の座標である。その他のパラメータは図9と同様である。図10に示すPSF分布は図9に示すPSF分布とは多少異なる。しかし、PSFの1/e直径が画素ピッチである0.246mmよりも大きくなるレンズ高さHは1.5μm程度であり、図9の場合と大差無い。
【0076】
図9および、図10の結果から、モアレの視認性が小さくなるマイクロレンズ31のアスペクト比を求めると、2H/Lp>0.12となる。これは図1におけるdの値を1mmとした場合であり、dの値(単位mm)が大きくなるとそれに反比例して、レンズ高低差2Hが小さくなる。また、画素ピッチpは0.246mmとした場合であり、pの値が大きくなれば、それに比例して2Hが大きくなる。したがって、図1のような構成では、モアレの視認性が小さくなるマイクロレンズ31のアスペクトは、2H>0.47×(p/d)×Lpとすれば良い。
【0077】
図6および図7に示すような蠅の目レンズアレイ30の製作は次のようにして行うことが出来る。すなわち、半導体プロセス等で用いる電子線描画装置によって、レンズアレイの原盤を作成し、それに銀鏡反応等によって金属薄膜を形成し、この薄膜に、Ni等を数mm鍍金し、金属を剥離して、それを電鋳金型として用いる方法がある。
【0078】
一方、レンズアレイの原盤を機械加工によって形成する方法としては、例えば、2006年度精密機械光学会春季学術講演会講演論文集pp.1043−1044「ダイヤモンド切削による微小レンズアレイ金型の超精密加工」等に記載されているような例がある。図11はレンズアレイの原盤を機械加工によって形成する場合の模式図である。図11(a)はレンズアレイの原盤を加工中の側面図、図11(b)はダイヤモンドバイト73の正面図である。
【0079】
図11(a)において、ダイヤモンドバイト73は上下駆動部分72に取り付けられている。上下駆動部分72に取りつけられたダイヤモンドバイト73は、ピエゾアクチュエータ71によって加工のための信号によって図11(a)の矢印Aのように上下し、必要な加工を行う。一方レンズアレイ原盤80は矢印B方向に移動する。また、ダイヤモンドバイト73の先端は、図11(b)に示すように、マイクロレンズ31の曲面に合わせて円弧または2次曲線に形成されている。すなわち、図11(b)に示すダイヤモンドバイト73先端の形状は、切削軌跡の一部とほぼ同じ円弧または2次曲線の形状となっている。したがって、ダイヤモンドバイト73を上下運動させながら、レンズアレイ原盤が移動すると、所望のレンズ原盤が形成されることになる。図11において、ダイヤモンドバイト73の逃げ角θは25度であり、切削接線の傾きが20以下であれば加工可能である。
【0080】
図11に示す加工方法の特徴は、ダイヤモンドバイト73の上下運動にピエゾアクチュエータ71を用いているために、わずかな上下運動を電気信号によって高速に行うことが出来る点である。図11の加工方法によれば、1μm程度の穴加工も可能である。
【0081】
以上はマイクロレンズ31の外形が、正方形である場合について説明したが、マイクロレンズ31の外形が正方形からずれた菱形、あるいは長方形の場合であっても、本質的には同様な理論を適用することが出来る。
【0082】
図12は、本実施例における蠅の目レンズアレイ30の他の実施形態である。図12に示す実施形態は、蠅の目レンズアレイ30のマイクロレンズ31の外形を六角形とすることによってマイクロレンズ31を稠密に配列するものである。この場合のレンズの断面形状は、図7に示すように、2次曲面あるいは球面に形成することも出来る。また、マイクロレンズ31のピッチも画素ピッチの1/4以下とすることによって、蠅の目レンズアレイ30と液晶表示パネルの干渉によるモアレを防止することが出来る。その他、モアレを低減するためのマイクロレンズ31のアスペクト比H/Lpは特定の値の範囲とする必要があることは、本実施例におけるマイクロレンズ31の外形が矩形の場合と同様である。
【0083】
図12は、マイクロレンズ31の外形が正六角形の場合であるが、外形は正六角形の場合に限らず、モアレ対策の要請によって、マイクロレンズ31の外形が横長の六角形であっても、縦長の六角形であっても同様な理論を適用することが出来る。
【0084】
偏光板は、実際に偏光作用を有する基材と、基材を保護するために、基材をサンドイッチする保護シートから構成されている。本実施例における構成においては、この偏光板の保護シートにマイクロレンズアレイを加工して、保護シートに蠅の目レンズアレイ30の役割を持たせてもよい。この場合は、蠅の目レンズアレイ30の接着工程等を省略することが出来る。
【0085】
以上のように、本実施例によれば、拡散シートの替わりに蠅の目レンズアレイ30を使用することによって、正面輝度を実質的に低下させることなく、モアレを対策することが出来る。
【実施例2】
【0086】
図13は本発明の第2の実施例を示す断面図である。図13におけるバックライトは、光源20、導光板21、下拡散シート22、下プリズムシート23、上プリズムシート24までは実施例1の図1と同様である。また、液晶表示パネルに下偏光板14と上偏光板13が接着していることも図1と同様である。実施例1の図1と異なるところは、蠅の目レンズアレイ30が下偏光板14ではなく、上偏光板13に接着していることである。
【0087】
本実施例においても、従来例でバックライトに用いられていた上拡散シート25は存在しない。従来例における拡散シートによるモアレ低減効果の役割を、本実施例では、上偏光板13に接着した蠅の目レンズアレイ30が担っている。すなわち、蠅の目レンズアレイ30に形成された小さなピッチを有するレンズアレイによって、液晶表示パネルを通過したモアレを生じさせる規則的な明暗を解消する。本実施例における蠅の目レンズアレイ30の他の効果は、アインチグレアの効果を有することである。すなわち、蠅の目レンズアレイ30の表面には細かい凹凸が存在するために、外光が鏡面反射することを防止することが出来る。
【0088】
本実施例においても、蠅の目レンズアレイ30におけるレンズピッチLpは画素ピッチの1/4以下とすることが望ましい。本実施例においては、蠅の目レンズアレイ30に入射する光はすでに液晶表示パネルあるいは、蠅の目レンズアレイ30の法線方向に向かう光となっている。したがって、蠅の目レンズアレイ30のレンズのアスペクト比H/Lpを大きくすると、光が屈折して、正面輝度が低下することになる。
【0089】
また、蠅の目レンズアレイ30のレンズのアスペクト比H/Lpが大きい場合、液晶表示パネルを通過してきた光が、レンズ面において全反射する場合がある。図14は蠅の目レンズアレイ30のレンズのアスペクト比H/Lpと、直進光が蠅の目レンズアレイ30を透過する割合の関係を示す。図14において、横軸はレンズのアスペクト比H/Lpで、縦軸は、蠅の目レンズアレイ30の裏側から蠅の目レンズアレイ30に直角に入射した光が、蠅の目レンズアレイ30を通過する割合を示す。
【0090】
蠅の目レンズアレイ30の材料の屈折率nは1.49である。図14において、蠅の目レンズアレイ30に入射する直進光は、界面において、屈折率の違いから反射を生ずる。そのため、たとえレンズアレイが無く平板の光学シート30であったとしても、入射光のうち、92.5%しかこの光学シート30から射出しない。図14においては、入射光の92.5%を100としてノーマライズしている。
【0091】
図14において、マイクロレンズ31のアスペクト比が小さい場合は、レンズによる全反射は生じない。マイクロレンズ31のアスペクト比H/Lpが0.16を超えると、レンズ面において全反射をする光が生じ、アスペクト比H/Lpが増加するにしたがって、透過率が低下する。なお、アスペクト比H/Lpが0.32付近から透過率は若干増加するが、これはマイクロレンズ31内で光が多重反射して、一部が観測面側に出射するためである。
【0092】
以上のような評価の結果、蠅の目レンズアレイ30におけるマイクロレンズ31のアスペクト比H/Lpは、H/Lp<0.16以下であることが望ましい。また、レンズの高低差2Hで評価すれば、2H/Lp<0.32であることが望ましい。
【0093】
なお、本実施例においても、蠅の目レンズアレイ30の各マイクロレンズ31の外形は、稠密構造をとることができれば、矩形であっても六角形状であってもよいことはいうまでも無い。
【0094】
以上のように、本実施例によれば、蠅の目レンズアレイ30を用いることによって、正面輝度の低下を抑制しつつ、モアレを解消することが出来る。本実施例では、これに加えて、液晶表示パネル画面のアンチグレア効果を得ることが出来る。
【実施例3】
【0095】
携帯電話等に使用される液晶表示パネルは薄く、機械的に弱いために、液晶表示パネルの表面に保護のための透明な面板40が設置されている。この透明な面板40は液晶表示パネルと空間をおいて設置される場合もあるし、液晶表示パネルに貼り付けられる場合もある。面板40の材料は、アクリル樹脂、ポリカーボネイト、ガラス等が使用される。
【0096】
図15は本発明の第3の実施例を示す断面図である。図15におけるバックライトは、光源20、導光板21、下拡散シート22、下プリズムシート23、上プリズムシート24までは実施例1の図1と同様である。また、液晶表示パネルに下偏光板14と上偏光板13が接着していることも図1と同様である。実施例1の図1と異なるところは、蠅の目レンズアレイ30が下偏光板14ではなく、面板40に接着していることである。
【0097】
本実施例においても、従来例でバックライトに用いられていた上拡散シート25は存在しない。従来例における拡散シートによるモアレ低減効果の役割を、本実施例では、面板40に接着した蠅の目レンズアレイ30が担っている。すなわち、蠅の目レンズアレイ30に形成された小さなピッチを有するレンズアレイによって、液晶表示パネルを通過したモアレを生じさせる規則的な明暗を解消する。本実施例においても、蠅の目レンズアレイ30は、アインチグレアの効果を有する。すなわち、蠅の目レンズアレイ30の表面には細かい凹凸が存在するために、外光が鏡面反射することを防止することが出来る。
【0098】
本実施例においても、蠅の目レンズアレイ30におけるレンズピッチLpは画素ピッチの1/4以下とすることが望ましい。本実施例において、蠅の目レンズアレイ30に入射する光はすでに液晶表示パネルあるいは、蠅の目レンズアレイ30の法線方向に向かう光となっている。したがって、蠅の目レンズアレイ30のレンズのアスペクト比H/Lpを大きくすると、光が屈折して、正面輝度が低下することになる。
【0099】
これは実施例2において説明したと同様の現象である。したがって、本実施例においても、マイクロレンズ31のアスペクト比H/LpはH/Lp<0.16とすることが望ましい。また、レンズの高低差2Hで評価すれば、2H/Lp<0.32であることが望ましい。
【0100】
図15は、蠅の目レンズアレイ30を面板40の下側に設置している。しかし、蠅の目レンズアレイ30を面板40の上側に設置しても本実施例と同様の効果を得ることが出来る。また、蠅の目レンズアレイ30を面板40の上側に設置することによって、アンチグレアの効果をより上げることが出来る。この場合の蠅の目レンズアレイ30のアスペクト比H/Lpは蠅の目レンズアレイ30が面板40の下側に設置されている場合と同じに考えることが出来る。
【実施例4】
【0101】
図16は本発明の第4の実施例を示す断面図である。本実施例は、図15に示す第3の実施例と似た構成となっている。図16が図15と異なる点は、図15においては、蠅の目レンズアレイ30を別途形成して、面板40に接着しているのに対し、図16に示す本実施例においては、面板40に直接蠅の目レンズアレイ30を形成している点である。したがって、部品点数を低減でき、製造コストを低下させることが出来る。
【0102】
面板40に、アクリルあるいはポリカーボネート等の樹脂を用いれば、実施例1で説明したような、レンズアレイ原盤80によって、面板40の表面に蠅の目レンズアレイ30を形成することが出来る。本実施例におけるマイクロレンズ31のレンズピッチLp、マイクロレンズ31のアスペクト比H/Lp等は、実施例2と同様に考えることが出来る。すなわち、本実施例においても、マイクロレンズ31のアスペクト比H/LpはH/Lp<0.16とすることが望ましい。また、レンズの高低差2Hで評価すれば、2H/Lp<0.32であることが望ましい。
【0103】
図16は、面板40の内側に蠅の目レンズアレイ30を形成しているが、面板40の外側に蠅の目レンズアレイ30を形成してもモアレ低減の効果を得ることが出来る。また、面板40の外側に蠅の目レンズアレイ30を形成すれば、画面のアンチグレア効果をより大きくすることが出来る。この場合の蠅の目レンズアレイ30のアスペクト比H/Lpは蠅の目レンズアレイ30が面板40の下側に形成されている場合と同じに考えることが出来る。
【実施例5】
【0104】
実施例1〜実施例4においては、蠅の目レンズアレイ30のレンズピッチは一定であるとして説明した。一定ピッチの蠅の目レンズアレイ30を用いる場合は、蠅の目レンズアレイ30自体とプリズムシートあるいは液晶表示パネルとの干渉によるモアレが発生する恐れがある。実施例1〜実施例4においては、これを防止するために、蠅の目レンズアレイ30のレンズピッチを液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下としている。
【0105】
このような細かいピッチの蠅の目レンズアレイ30の製作はコストがかかる場合がある。本実施例では、蠅の目レンズアレイ30のピッチを一定ではなく、ランダムピッチとすることによって、マイクロレンズ31のピッチを大きくして、蠅の目レンズアレイ30の製作をより容易とするものである。
【0106】
レンズアレイのピッチをランダムに形成する方法の例は次のとおりである。すなわち、規則正しいレンズの中心位置を(Xn、Yn)(N=1、2、・・・・、N)としたとき、その状態から、実際のレンズの中心位置を(ΔXn、ΔYn)(n=1、2、・・・・、N)ずらす。つまり、実際のレンズ中心位置を(Xn'、Yn')とし、
(Xn'、Yn')=(Xn'+ ΔXn、Yn'+ ΔYn)(n=1、2、・・・・、N)とする。
【0107】
レンズのX方向ピッチをa,Y方向ピッチをbとし、0から1の間で一様に分布したx、yの2系等の一様乱数の組を(Rxn、Ryn)(N=1、2、・・・・、N)とし、kを1以下の小さい正の数、例えば0.3、とすれば、
ΔXn=k・a・(−0.5+Rxn)
ΔYn=k・b・(−0.5+Ryn)
で表す。こうすれば、規則正しい中心位置から、レンズピッチの±0.5k倍の範囲でレンズ位置がばらつく。その結果、レンズ位置の周期性は損なわれる。その結果、レンズアレイとLCD周期構造のモアレは低減される。
【0108】
本実施例の蠅の目レンズアレイ30を製作するためのレンズアレイ原盤80の製作方法は、実施例1で説明した、例えば、図11に示すような方法を用いることが出来る。このようなランダムピッチを有する蠅の目レンズアレイ30を用いた液晶表示装置は、実施例1〜実施例4で説明したような構成をとることが出来る。
【0109】
以上の実施例では、バックライトは導光板21の側面に光源20が設置されている構成であるとして説明した。しかし、本発明はこのようなサイドライト型バックライトのみでなく、直下型のバックライトの場合にも適用することが出来る。直下型の場合は、導光板21ではなく、拡散板が使用される。
【0110】
さらに、上述の実施例ではバックライトにプリズムシートが付加されて光の指向性が高められた場合について説明した。また、上述の実施例ではプリズムシートと液晶の画素の周期構造の干渉によるモアレの低減について説明した。
【0111】
上述の各実施例に記載した本発明は、プリズムシートに限定されず、プリズムシートから変形した場合にも有効である。図19にその変形例を示す。図19(a)は通常のプリズムシートの断面であり、この場合は断面が直線の山形状をなし、頂点が尖っている。図19(b)は断面の辺が曲線であり、頂点が尖っている。図19(c)は断面の辺が曲線であり、頂点が丸まっている。
【0112】
一般的に、断面が山形状(凸状)の繰返し構造を持つ光学シートをバックライト部に用いた場合には光の指向性を高められる。しかしながらこのような場合、光学シートの周期構造と画素の周期構造の干渉によるモアレの発生が問題となる。本発明はプリズムシートに限らず、このような場合にもモアレ低減に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施例1の概略断面図である。
【図2】実施例1のバックライトの光学シートの分解斜視図である。
【図3】蠅の目レンズアレイの例である。
【図4】蠅の目レンズアレイの他の例である。
【図5】蠅の目レンズアレイのさらに他の例である。
【図6】本発明に使用される蠅の目レンズアレイの例である。
【図7】図6の蠅の目レンズアレイの断面形状である。
【図8】光線の軌跡を評価する模式図である。
【図9】蠅の目レンズアレイの辺と直角方向の光線の分布である。
【図10】蠅の目レンズアレイの対角方向の光線の分布である。
【図11】蠅の目レンズアレイのレンズアレイ原盤の製造方法である。
【図12】本発明で使用される蠅の目レンズアレイの他の例である。
【図13】実施例2の断面図である。
【図14】アスペクト比H/Lpと透過率の関係を示す図である。
【図15】実施例3の断面図である。
【図16】実施例4の断面図である。
【図17】従来例の断面図である。
【図18】従来例のバックライトの光学シートの分解斜視図である。
【図19】バックライトの光学シートの断面図である。
【符号の説明】
【0114】
11…信号線基板、12…対向基板、 13…上偏光板、 14…下偏光板、 20…光源、 21…導光板、 22…下拡散シート、 23…下プリズムシート、 24…上プリズムシート、 25…上拡散シート、 30…蠅の目レンズアレイ 31…マイクロレンズ、 32…隙間、 40…面板、 71…ピエゾアクチュエータ、72…上下駆動部分、73…ダイヤモンドバイト 80…レンズアレイ原盤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線基板と対向基板との間に液晶が挟持され、前記信号線基板には下偏光板が接着され、前記対向基板には上偏光板が接着された液晶表示パネルを有する液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルの背面にはバックライトが設置され、前記バックライトは光源と断面形状が繰返し構造の光学シートを含む光学部品を有し、
前記下偏光板には蠅の目レンズアレイが接着されおり、前記蠅の目レンズアレイは稠密構造となっていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチは液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記蠅の目レンズアレイの各レンズの外形は矩形であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記蠅の目レンズアレイの各レンズの外形は六角形であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記断面形状が繰返し構造の光学シートとして、上プリズムシートと下プリズムシートが存在しており、前記上プリズムシートと前記蠅の目レンズアレイとの間には間隙dが存在していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチをLpとし、前記蠅の目レンズアレイの高低差を2Hとし、前記蠅の目レンズアレイと前記上プリズムシートの間隙dとし、液晶パネルの画素ピッチをpとしたとき、2H>0.47×(p/d)×Lpの関係になることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチはランダムピッチとなっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記のハエの目レンズアレイにおけるレンズの形成されている部分は全体の面積の90%以上を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記のハエの目レンズアレイにおけるレンズの形成されている部分は全体の面積の95%以上を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記のハエの目レンズアレイは隙間無くレンズが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
信号線基板と対向基板との間に液晶が挟持され、前記信号線基板には下偏光板が接着され、前記対向基板には上偏光板が接着された液晶表示パネルを有する液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルの背面にはバックライトが設置され、前記バックライトは光源と断面形状が繰返し構造の光学シートを含む光学部品を有し、
前記上偏光板には蠅の目レンズアレイが接着されおり、前記蠅の目レンズアレイは稠密構造となっていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項12】
前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチは液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下であることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記蠅の目レンズアレイの各レンズの外形は矩形であることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記蠅の目レンズアレイの各レンズの外形は六角形であることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記蠅の目レンズアレイの高低差を2Hとし、レンズピッチをLpとした時、2H/Lp<0.32であることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記蠅の目レンズアレイのレンズピッチはランダムピッチとなっていることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記のハエの目レンズアレイにおけるレンズの形成されている部分は全体の面積の90%以上を有することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記のハエの目レンズアレイにおけるレンズの形成されている部分は全体の面積の95%以上を有することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記のハエの目レンズアレイは隙間無くレンズが形成されていることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
信号線基板と対向基板との間に液晶が挟持され、前記信号線基板には下偏光板が接着され、前記対向基板には上偏光板が接着された液晶表示パネルを有する液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルの背面にはバックライトが設置され、前記バックライトは光源と断面形状が繰返し構造の光学シートを含む光学部品を有し、
前記液晶表示パネルの上偏光板の上には、面板が設置され、前記面板の前記液晶表示パネル側には蠅の目レンズアレイが設置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項21】
前記蠅の目レンズアレイのピッチは前記液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下であることを特徴とする請求項20に記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記蠅の目レンズアレイは前記面板に直接形成されていることを特徴とする請求項20に記載の液晶表示装置。
【請求項23】
信号線基板と対向基板との間に液晶が挟持され、前記信号線基板には下偏光板が接着され、前記対向基板には上偏光板が接着された液晶表示パネルを有する液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルの背面にはバックライトが設置され、前記バックライトは光源と断面形状が繰返し構造の光学シートを含む光学部品を有し、
前記液晶表示パネルの上偏光板の上には、面板が設置され、前記面板の外側には蠅の目レンズアレイが設置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項24】
前記蠅の目レンズアレイのピッチは前記液晶表示パネルの画素ピッチの1/4以下であることを特徴とする請求項23に記載の液晶表示装置。
【請求項25】
前記蠅の目レンズアレイは前記面板に直接形成されていることを特徴とする請求項23に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−192610(P2009−192610A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30476(P2008−30476)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】