説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示装置全体の総厚を変えずに、外部圧力に対する強度を向上させることができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】バックライトフレーム9は、内壁面に段差部7cが形成された上部開口部7aと上部開口部7aに連通する下部開口部7bとを有する枠状のモールドフレーム7と、このモールドフレーム7の外周面から下部開口部7bの内周面に沿って一体的に被覆された断面L字状の金属フレーム8と、この金属フレーム8の下部開口部7b内に液晶表示パネル1の背面に対向して配設された導光体10と、金属フレーム8の下部開口部7b内に導光体10に対向して配設された反射板11とから構成され、液晶表示パネル1がモールドフレーム7の段差部7cに設置され、この液晶表示パネル1の背面が金属フレーム8の下部開口部7b内に突出する先端部8aに支持固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの背面にバックライト装置が設置された液晶表示装置に係わり、特にモールドフレームに設置される液晶表示パネルの強度補強構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置を構成する液晶表示パネルは、基本的には、ガラス基板またはプラスチック基板を好適とする第1の基板と第2の基板との2枚の基板間に液晶層を封入して当該基板に有する画素選択電極から液晶に印加される電界に応じて液晶の配向方向が変化することを利用した画像表示装置である。
【0003】
現在、最も広く使用されている全透過型の液晶表示装置は、液晶表示パネルの背面側に設置されるバックライト装置から投射される光源光を液晶層で約90度偏光し、偏光板を透過させることにより電子撮像を可視画像として視認できる構造となっている。
【0004】
非発光型である液晶表示パネルを用いた液晶表示装置では、当該液晶表示パネルに形成された電子撮像を、外部照明手段を設けることにより、可視化させている。外部照明手段には自然光を利用する構造を除いて液晶表示パネルの背面または前面に照明装置を設置している。特に高輝度を要する表示デバイスには、液晶表示パネルの背面に照明装置を設けた構造が主流となっている。これを透過型の液晶表示パネルを使用した液晶表示装置と称している。
【0005】
現在、TV用の大型の液晶表示装置に使用される透過型の液晶表示パネルには複数本のCCFL若しくはEEFLを液晶表示パネルの直下に配置した所謂直下型のバックライト装置が使用され、また、携帯電話機やデジタルスチールカメラ等の小型の液晶パネルに使用される透過型の液晶表示パネルには、この液晶表示パネルの下面に拡散シートやプリズムシート等の光学シートと、側面にLED等の光源を配置される導光板を配置した所謂サイドライト型のバックライト装置が用いられている。
【0006】
上述したサイドライト型のバックライト装置を照明光源とした液晶表示装置は、狭額縁化と軽量化と液晶表示パネルの一体化とを実現するために、液晶表示パネルは、樹脂で形成されている枠状のモールドフレームの上方に配置され、さらに下方からは光学シート及び導光板を、この導光板の下に配置される反射シートをモールドフレームに貼り付けて構成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、携帯電話機用の液晶表示装置では、液晶表示装置全体の総厚の薄型化の要求が強まっており、年々液晶表示装置の厚みが薄くなっていくとともに、外部から付与される圧力に対する強度が低下していく傾向にあった。
【0008】
通常、携帯機器用の液晶表示装置は、液晶表示パネルをバックライト装置に固定される構成となっている。図3は、この種の液晶表示装置の構成を示す要部断面図である。図3に示すように1は両面に一対の偏光板2a,2bが接着配置された液晶表示パネル、10は液晶表示パネル1の背面側に配設された導光体、11は導光体10の背面に配設された反射板である。
【0009】
また、7Aは液晶表示パネル1を搭載し、且つ導光体10及び反射板11を収納する枠状のプラスチック製のモールドフレームであり、このモールドフレーム7Aと導光体10と反射板11とでバックライト装置を構成している。なお、図中、光源及び光学シート等は省略されている。
【0010】
このように構成された液晶表示装置は、薄型化になった場合、液晶表示パネル1が載置される枠状のフレーム7Aがプラスチック成型体のみによる構成では、液晶表示パネル1の表示面に対して上方から垂直方向に外部圧力が付与されると、液晶表示パネル1が下方に向かって撓み、その撓みが漸増すると、液晶表示パネル1が破損してしまうという問題があった。また、液晶表示パネル1のフレーム7Aへの接着幅が約0.5mm程度であることから、この外部圧力の付与により液晶表示パネル1がフレーム7Aから下方向に外れてフレーム7Aの内側に脱落してしまう等の問題があった。
【0011】
このような問題を解決したものとしては、図4に要部断面図に示すようにフレーム7Aの外周面を例えばステンレス製の金属フレーム8Aにより被覆する構成が考えられるが、この構成では、金属フレーム8Aの底面の板厚分のみ液晶表示装置の総厚Tを増やすことになるので、薄型化の実現が困難となる課題があった。
【0012】
さらに、このような構成では、液晶表示装置の全体に外部圧力が加わった場合は強いが、液晶表示パネル1のみに外部圧力が加わった場合には液晶表示パネル1がフレーム7Aのみで支持固定されているので、液晶表示パネル1が下方に落ち込む恐れがあった。
【0013】
また、液晶表示パネル1がこの外部圧力に対抗するする手段として、図示しないが、液晶表示パネル1の上面側に例えば透光性アクリル板で形成された透光性保護板を配置して液晶表示パネル1を保護する構成が考えられるが、この構成では、ある程度の外部圧力に対する強度が得られる反面、保護板の板厚分のみ上記同様に液晶表示装置の総厚Tが厚くなるので、薄型化の実現が困難であった。
【0014】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、液晶表示装置全体の総厚を変えずに外部圧力に対する強度を向上させることができる液晶表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために本発明による液晶表示装置は、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの背面に設置されたバックライト装置と、液晶表示パネル及びバックライト装置を収納する枠状のバックライトフレームとを備え、このバックライトフレームは、上部開口部と当該上部開口部に連通する下部開口部とを有し、且つ内壁面に段差部を有する枠状のモールドフレームと、当該モールドフレームの外周面から下部開口部の内周面に沿って一体的に被覆された断面L字状の金属フレームと、当該金属フレームの下部開口部内に液晶表示パネルの背面に対向して配設された導光体と、金属フレームの下部開口部内に導光板に対向して配設された反射板とから構成され、液晶表示パネルがモールドフレームの段差部に設置され、且つ液晶表示パネルの背面が下部開口部内に突出する金属フレームの先端部に支持固定されている。
【0016】
本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、金属フレ−ムの背面にはモールドフレーム側に凹状となる段差部を有し、この段差部内に反射板が嵌合されて固定配置されていることを特徴としている。
【0017】
本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、金属板は、ステンレス板であることを特徴としている。
【0018】
本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、金属板は、三層鋼板であることを特徴としている。
【0019】
本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、導光体は、透光性のガラス基板であることを特徴としている。
【0020】
本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、導光体は、透光性のアクリル板であることを特徴としている。
【0021】
このような構成により、液晶表示パネルに外部圧力が付与された時の強度を向上させることができる液晶表示装置を提供することができるので、背景技術の課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、液晶表示装置全体の総厚を変えずに、外部圧力が付与された時の強度を向上させることができるので、品質及び信頼性の高い薄型化の液晶表示装置を提供することができるという極めて優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の最良の実施形態を実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明による液晶表示装置の実施例1の構成を説明する図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線で切断した要部断面図である。また、図2は図1の液晶表示装置の断面構造を示す図であり、図2(a)は図1(a)のB−B線で切断した要部断面図、図2(b)は図1(a)のC−C線で切断した要部断面図である。なお、前述した図と同一部分には同一符号を付してある。
【0025】
これらの図において、液晶表示パネル1は、例えばガラス基板等の一対の透光性基板間に液晶層が封入され、さらにこの一対の透光性基板の表裏面には偏光板2a,2bが接着配置されて構成されている。また、この液晶表示パネル1には、そのガラス基板の一部に液晶層を駆動する駆動回路チップ3が搭載され、さらに外部駆動回路やLED等の光源4が配置されているフレキシブルプリント基板5が接続されて液晶モジュール6が構成されている。いる。
【0026】
この液晶表示パネル1は、プラスチック材として例えばポリカボネート樹脂で形成されたモールドフレーム7内に収納されている。このモールドフレーム7は、上部開口部7aと、この上部開口部7aに連通する下部開口部7bと、これらの両開口部間の内壁面の一部に中心部方向に突出する段差部7cとが一体的に形成されて全体が枠形状に構成されている。
【0027】
また、このモールドフレーム7には、その上部開口部7aの内周面及び段差部7cの上面を除く周面に金属フレーム8が一体的に被覆されている。つまり、この金属フレーム8は、このモールドフレーム7の本体外周面からその背面を経由して下部開口部7bの内周面に沿い、さらに段差部7cの内周面に達する高さまで立ち上がる先端部8aを有して一体的に形成されている。なお、この金属フレーム8は、例えば板厚約0.15mm〜0.2mmのステンレス板の成型体により断面L字状に形成されている。
【0028】
この金属フレーム8の先端部8aは、段差部7cの強度を保持させるとともに、段差部7c上に配設される液晶表示パネル1を支持固定する機能も同時に兼ね備えている。また、この金属フレーム8の背面側に形成された段差部7cにはモールドフレーム7側に凹状となる段差部8bが一体成型により形成されている。
【0029】
このような構成において、断面L字状に形成された枠字状の金属フレーム8は、モールドフレーム7の外周面を被覆する(囲う)ように形成される構成となっているが、具体的には、例えばステンレス板を予めプレス成型法により単独の状態で略断面L字状の枠形状の金属フレーム8を成型した後、この断面L字状の金属フレーム8の内部に溶融したポリカボネート樹脂材を充填し、嵌合させることにより、金属フレーム8内にモールドフレーム7が成型され、このモールドフレーム7が金属フレーム8に一体化されたバックライトフレーム9が構成されることになる。なお、この金属フレーム8は、上部開口部7aの内周面及び段差部7cの上面部には被覆されない構造となっている。
【0030】
このように構成されたバックライトフレーム9は、上部開口部7a内の段差部7c上には両面テープまたは接着材を介して液晶表示パネル1が設置され、下部開口部7b内には図示しないが、液晶表示パネル1の背面に対向して拡散シート及びプリズムシート等の光学補償シート積層体が配置されている。また、この光学補償シート積層体の背面には透光性の導光体10が対向して配設され、さらにこの導光体10の背面には金属フレーム8に形成された段差部8b内に反射板11を嵌合させて対向配置され、バックライト装置12が構成されている。
【0031】
このように構成された液晶表示装置においては、モールドフレーム7の段差部7c上に設置された液晶表示パネル1がその背面をモールドフレーム7の下部開口部7b内に突出する金属フレーム8の先端部8aに支持固定されて設置されるので、液晶表示パネル1が上方から外部圧力が付与されても、液晶表示パネル1が撓んで下方に落ち込むことがなくなるので、その落下を確実に防止することができる。
【0032】
このような構成によれば、モールドフレーム7のみが金属フレーム8に囲まれるので、金属フレーム8の板厚分モールドブレーム7の全体形状を小さくすることが可能となり、液晶表示装置全体の総厚Tを変えずに、強度を約30%〜40%向上させることができる。
【0033】
また、このような構成によれば、液晶表示パネル1を設置する段差部7cの背面の高さまで金属フレーム8の先端部8aが形成されているので、液晶表示装置全体の強度を向上させることができるとともに、液晶表示パネル1が上方から外部圧力が付与された時の強度も同時に大幅に向上させることができる。
【0034】
さらに、このような構成によれば、金属フレーム8の背面にモールドフレーム7側に凹部となる段差部8bを一体的に形成し、この段差部8b内に反射板11を嵌合させて配置したことにより、液晶表示装置全体の総厚Tを変えずに容易に薄型化が実現可能となる。
【0035】
なお、前述した実施例1においては、金属フレーム8を構成する金属板としてステンレス板を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ステンレス板に代えて三層鋼板を用いても前述と同様の効果が得られることは勿論である。
【0036】
また、前述した実施例1においては、液晶表示パネル1を構成する透光性基板としてガラス基板を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガラス基板に代えてプラスチック基板を用いても前述と同様の効果が得られることは勿論である。
【0037】
また、前述した実施例1においては、導光体としてアクリル板を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アクリル板に代えてガラス基板を用いても良いことは勿論である。
【0038】
また、本発明による液晶表示装置は、携帯電話用の液晶表示装置の他にデジタルカメラ用液晶表示装置または携帯ビデオプレイヤー等の薄型化構造にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による液晶表示装置の一実施例の構成を示す図であり、図1(a)は要部平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線で切断した要部断面図である。
【図2】図1の液晶表示装置の断面構造を示す図であり、図2(a)は図1(a)のB−B線で切断した要部断面図、図2(b)は図1(a)のC−C線で切断した要部断面図、図2(c)は図1(a)のD−D線で切断した要部断面図である。
【図3】従来の液晶表示装置の構成を示す要部断面図である。
【図4】従来の液晶表示装置の他の構成例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1・・・液晶表示パネル、2a・・・偏光板、2b・・・偏光板、3・・・駆動回路チップ、4・・・光源、5・・・フレキシブルプリント基板、6・・・液晶モジュール、7・・・モールドフレーム、7a・・・上部開口部、7b・・・下部開口部、7c・・・段差部、8・・・金属フレーム、8a・・・枠状先端部、8b・・・段差部、9・・・バックライトフレーム、10・・・導光体、11・・・反射板、12・・・バックライト装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、
当該液晶表示パネルの背面に設置されたバックライト装置と、
前記液晶表示パネル及び前記バックライト装置を収納する枠状のバックライトフレームと、
から構成された液晶表示装置において、
前記バックライトフレームは、
上部開口部と当該上部開口部に連通する下部開口部とを有し、且つ内壁面に段差部を有する枠状のモールドフレームと、
前記モールドフレームの外周面から前記下部開口部の内周面に沿って一体的に被覆された断面L字状の金属フレームと、
前記金属フレームの下部開口部内に前記液晶表示パネルの背面に対向して配設された導光体と、
前記金属フレームの前記下部開口部内に前記導光板に対向して配設された反射板と、
から構成され、
前記液晶表示パネルが前記モールドフレームの段差部に設置され、且つ前記液晶表示パネルの背面が前記下部開口部内の突出する前記金属フレームの先端部に支持固定されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1の液晶表示装置において、
前記金属フレ−ムの背面には前記モールドフレーム側に凹状となる段差部を有し、当該段差部内に前記反射板が嵌合されて固定配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1の液晶表示装置において、
前記金属板は、ステンレス板であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1の液晶表示装置において、
前記金属板は、三層鋼板であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の液晶表示装置において、
前記導光体は、透光性のガラス基板であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の液晶表示装置において、
前記導光体は、透光性のアクリル板であることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−192769(P2009−192769A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32656(P2008−32656)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】