説明

液晶表示装置

【課題】高輝度・薄型で光の利用効率が高い低消費電力の液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置10は、液晶表示パネル11と、液晶表示パネル11のR、G、B画素33R、33G、33Bで構成されるRGB画素33の配置に対応して設けたレンズアレイ26と、レンズアレイ26のそれぞれのレンズ34に対して一定で、かつ色ごとに異なる入射角度で入射させる面状照明装置15と、を備えている。この面状照明装置15はR、G、B光12、13、14を出射するレーザ光源と、R、G、B光12、13、14を一方の主面23からそれぞれ異なる出射角度で出射する導光板24を含んでいる。そして、導光板24から出射するR、G、B光12、13、14は、レンズ34により集光されて対応する各画素に対して、それぞれR、G、B光12、13、14の光量が増加して入射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてレーザ光を使用した高輝度の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)を光源に用いた液晶表示装置が、色再現範囲の広い液晶表示装置として精力的に開発が行われ実用化されている。また、高輝度の光源としてレーザ光を使用する液晶表示装置も、レーザ光の単色性と高輝度性を活かした、色再現範囲の広い高輝度の液晶表示装置として研究・開発が行われ注目を集めている。しかしながら、このような優れた特長を持つ液晶表示装置は、さらに薄型化・高効率化・低消費電力化が求められ、また量産性なども要求される。
【0003】
従来の液晶表示装置において、高効率化・低消費電力化を妨げる主要な要因の1つとしてカラーフィルタによる損失がある。通常、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の3原色からなる画素には、RGBの各画素に対応した1色の光のみを透過するカラーフィルタが配置されており、RGBの各画素に対応していない光はカラーフィルタにより除外されて損失となる。
【0004】
従来からこの課題に対する様々な検討がなされており、例えば、マイクロフレネルレンズを用いてRGB光を分離して各画素に入射させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
この方法では、赤色レーザ光(R光)、緑色レーザ光(G光)および青色レーザ光(B光)からなる3つのレーザ光を1つのレーザ光に光カプラで合波してRGB光とし、このRGB光をポリゴンミラーおよび平板反射ミラーで走査してマイクロフレネルレンズアレイに入射させ、マイクロフレネルレンズの分光特性によりR光、G光およびB光に分離した後、液晶パネルの対応するRGBの各画素に直接照射するとしている。
【0006】
このようにカラーフィルタを用いないで構成した液晶パネルを液晶表示装置に使用することにより、効率よくRGB光を利用したカラー表示が行えるとしている。
【0007】
また、カラーフィルタが不要な別の方法として、液晶表示パネルの各RGB画素の位置に対応する、導光板の主面上のそれぞれ異なる位置から、R、GおよびBの各光を垂直に出射させて対応する画素にのみ入射させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
この方法では、LED光源から出射するR、GおよびBの各光を導光板の異なる縁部から入射させ、入射方向に対応した立上げミラーにより導光板の主面の異なる位置よりR、GおよびBの各光を導光板の外に選択的に出射させ、液晶パネルの対応するRGBの各画素に直接照射するとしている。
【0009】
さらに、カラーフィルタが不要な別の方法として、LED光源アレイと2種のレンズアレイとを用いた構成が提案されている(特許文献3参照)。
【0010】
この方法では、2次元のLED光源アレイからのR、GおよびBの各光をコンデンサレンズアレイでコリメートし、マイクロレンズアレイで液晶パネルの対応するRGBの各画素に直接照射するとしている。
【特許文献1】特開平6−148635号公報
【特許文献2】特開2003−35904号公報
【特許文献3】特開平11−231316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、これらの特許文献ではR、GおよびBの各光が空間的に有限の広がりを有し、この光の広がりをも考慮して、R、GおよびBの光が対応する色の画素にのみ完全に分離して導入する方法については明示されていない。さらに、これらの画像表示装置においてR、GおよびBの光が対応する色の画素にのみ完全に分離することは難しく、例えば、カラーフィルタを省いた表示を行った場合には、R、GおよびBの光が重なり合い鮮明な画像は得られないと考えられる。
【0012】
また、ファインピッチ化が進む赤色画素(R画素)、緑色画素(G画素)および青色画素(B画素)のサイズに対応してR、GおよびBの各光を導入するための導光板やレンズなどの光学系の具体的な構成についても十分に示されていない。
【0013】
すなわち、特許文献1に示された方法では、B光はB画素だけでなくG画素にも漏れこみ、G光およびR光は対応する画素以外の画素に漏れこむ光量が光学系の構成上多くなるという課題を生じている。したがって、カラーフィルタを除いた構成とすると鮮明な画像が得られず、カラーフィルタを用いたとしても、対応する画素以外の画素に漏れ込む光がカラーフィルタで除外されて損失となる。さらに、このような液晶表示装置は、走査光学系が大きく装置が薄型化できないという課題も生じる。
【0014】
また、特許文献2では光ガイドである導光板内部での光の広がりを考慮すると、各画素に対応した導光板隆起部(立上げミラー部)で反射した光の大半を各画素にそれぞれ対応した出射面のレンズでコリメートするような光学構成は難しく、画素のサイズを考慮した具体的な光学構成も明示されていない。そして、出射面のレンズがなければR、GおよびBの光を各画素に対応させて分離して入射することは一層困難であるという課題がある。
【0015】
さらに、特許文献3による構成を液晶表示装置のバックライト照明として使用する場合には、LED光源アレイからコンデンサレンズアレイまでの距離がある程度必要なため薄型化が難しいという課題がある。この距離は、LED素子およびコンデンサレンズの数を増やせば縮めることができるが、LED素子を増やすとコストやばらつきが課題となる。
【0016】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、高輝度・薄型で、かつ光の利用効率が高くて低消費電力の液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、上記液晶表示パネルの赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素の配置に対応して設けたレンズアレイと、少なくとも赤色、緑色および青色レーザ光を一方の主面から出射して、上記レンズアレイのそれぞれのレンズに対して一定で、かつ色ごとに異なる入射角度で入射させる面状照明装置と、を備え、上記面状照明装置は、少なくとも赤色、緑色および青色レーザ光をそれぞれ出射するレーザ光源と、上記赤色、緑色および青色レーザ光を側面から入射し、上記一方の主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射する導光板と、を含み、上記赤色、緑色および青色レーザ光は、上記導光板の上記一方の主面からそれぞれ異なる出射角度で出射したのち、上記レンズによりそれぞれ異なる方向に集光し、それぞれ前記赤色画素、緑色画素および青色画素に入射する構成からなる。
【0018】
このような構成とすることにより、主面全体からR光、G光およびB光がそれぞれ異なる出射角度で出射したのち、赤色画素(R画素)、緑色画素(G画素)および青色画素(B画素)で構成される画素(RGB画素)に対応して配置されたレンズアレイで液晶表示パネルのRGB画素に集光されるので、高輝度・薄型で、かつ光の利用効率が高い液晶表示装置が実現できる。加えて、レーザ光は高効率に利用されるので低消費電力の液晶表示装置がさらに実現できる。
【0019】
また、導光板は、主面に配置された屈折率の波長分散の高い材料からなるプリズムシートを含んで構成され、主面と対向する対向面に複数の立上げミラーが形成されて、赤色、緑色および青色レーザ光は、導光板の同一の側面から入射して対向面の立上げミラーによりプリズムシートに導かれ、主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射する構成としてもよい。
【0020】
このような構成とすることにより、R光、G光およびB光が導光板に入射したのちに導光板の主面全体からそれぞれ異なる出射角度で出射したのち、レンズアレイにより効率よく液晶表示パネルのRGB画素に集光される。したがって、高輝度で光の利用効率が高く低消費電力の液晶表示装置がこのような導光板を含む光学系により実現できる。
【0021】
また、導光板は、主面に配置された屈折率の波長分散の高い材料からなるプリズムシートと、散乱体を含む樹脂材料で形成された導光板本体と、からなり、赤色、緑色および青色レーザ光は、導光板の同一の側面から入射して導光板本体の散乱体によりプリズムシートに導かれ、前記主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射する構成としてもよい。
【0022】
このような構成とすることにより、さらに高輝度・薄型の導光板および液晶表示装置が実現できる。加えて、光の利用効率が高いので、低消費電力の液晶表示装置がこのような導光板を含む光学系により実現できる。
【0023】
また、プリズムシートは、赤色、緑色および青色レーザ光が入射する方向に対して垂直にストライプ状のプリズムが形成されている構成としてもよい。
【0024】
このような構成とすることにより、プリズムの作製が容易となり、液晶表示装置の光学系が簡略化できるので、さらに量産性の高い液晶表示装置が実現できる。
【0025】
また、導光板は、波長選択性の透過型回折パターンが主面に形成され、赤色、緑色および青色レーザ光は、導光板の同一の側面から入射して透過型回折パターンに導かれ、主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射する構成としてもよい。
【0026】
また、導光板は、波長選択性の反射型回折パターンが内側の主面と対抗する対向面に形成され、赤色、緑色および青色レーザ光は、導光板の同一の側面から入射して対向面の反射型回折パターンにより、主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射する構成としてもよい。
【0027】
このような構成とすることにより、さらに薄型の導光板および液晶表示装置が実現できる。さらに、高輝度で光の利用効率が高く低消費電力の液晶表示装置がこのような導光板を含む光学系により実現できる。加えて、導光板の作製が容易となり、液晶表示装置の光学系が簡略化できるので、さらに量産性の高い液晶表示装置が実現できる。
【0028】
また、導光板の対向面は、赤色、緑色および青色レーザ光が入射する同一の側面から離れるに従い主面との距離が小さくなるように形成されている構成としてもよい。
【0029】
このような構成とすることにより、導光板の作製が容易となり、液晶表示装置の光学系が簡略化できるので、さらに量産性の高い液晶表示装置が実現できる。
【0030】
また、導光板は、内側の主面と対向する対向面に複数の多面体ミラーが形成されて、赤色、緑色および青色レーザ光は、導光板の3つの異なる側面から入射して対向面の多面体ミラーにより、主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射する構成としてもよい。
【0031】
このような構成とすることにより、R光、G光およびB光が導光板に入射したのちに導光板の主面全体からそれぞれ異なる出射角度を有して出射して、レンズアレイにより効率よく液晶表示パネルのRGB画素に集光される。したがって、高輝度で光の利用効率が高く低消費電力の液晶表示装置がこのような導光板を含む光学系により実現できる。
【0032】
また、青色レーザ光は、導光板の長辺側の側面から入射する構成としてもよい。このような構成とすることにより、青色レーザ光の導光板での吸収を低減することができ、さらに光の利用効率が高い低消費電力の液晶表示装置が実現できる。
【0033】
また、多面体ミラーは、導光板の3つの異なる側面から入射するレーザ光を主面の方向に反射する少なくとも3つの反射ミラーを備える構成としてもよい。
【0034】
このような構成とすることにより、R光、G光およびB光が導光板に入射したのちに導光板の主面全体からそれぞれ異なる出射角度を有して出射して、レンズアレイにより効率よく液晶表示パネルのRGB画素に集光される。したがって、高輝度で光の利用効率が高く低消費電力の液晶表示装置がこのような導光板を含む光学系により実現できる。
【0035】
また、レンズアレイは、液晶表示パネルの赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素の幅に対応した幅のシリンドリカルレンズがストライプ状に並んだシート状のレンズである構成としてもよい。
【0036】
このような構成とすることにより、赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素と対応して配置するレンズアレイは、作製が容易となり、液晶表示装置の光学系が簡略化できるので、さらに量産性の高い液晶表示装置が実現できる。
【0037】
また、レンズアレイは、液晶表示パネルの赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素の横方向の幅に対応した横幅と赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素の縦方向の幅に対応した縦幅を有するトーリックレンズが縦と横とに複数個並んだシート状のレンズである構成としてもよい。
【0038】
このような構成とすることにより、赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素と対応して配置するレンズアレイは、作製が容易となり、液晶表示装置の光学系が簡略化できるので、さらに量産性の高い液晶表示装置が実現できる。そのうえに、レンズがないと隣接する一組のRGB画素の列と列の間に到達するレーザ光が、レンズアレイによりRGB画素のそれぞれの色の画素に集光できるので、さらにレーザ光を高効率に利用することができる。
【0039】
また、液晶表示パネルの前記RGB画素を挟むガラス板のいずれかの外側に隣接して配置された補正板により、前記レーザ光を拡散または偏向して前記液晶表示パネルからの前記レーザ光の出射特性を補正する構成としてもよい。
【0040】
このような構成とすることにより、赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素に到達したRGB光を効率よく散乱して、液晶表示装置は輝度ムラがない均一な高輝度の画像表示を行うことができる。すなわち、液晶表示装置を見る角度により色が変わる視野角の色特性を改善できる。
【0041】
また、赤色、緑色および青色レーザ光は、入射角度または入射位置を走査して導光板の側面から入射する構成としてもよい。
【0042】
このような構成とすることにより、導光板の主面からそれぞれ異なる出射角度で出射する均一なR、GおよびB光が得られ導光板は薄型化ができるので、液晶表示装置は、さらに高輝度で薄型にすることができる。
【0043】
また、導光板は、側面にレーザ光導入部をさらに備え、レーザ光導入部は、赤色、緑色および青色レーザ光からなるレーザ光束を分離または広げる光学素子を含む構成としてもよい。
【0044】
このような構成とすることにより、レーザ光を導光板の側面に垂直に入射させたとしても、導光板の主面からそれぞれ異なる出射角度で出射する均一なR、GおよびB光が得られ導光板は薄型化ができるので、液晶表示装置は、さらに高輝度で薄型にすることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明の液晶表示装置によれば、主面全体から高輝度のR光、G光およびB光がそれぞれ異なる出射角度で出射したのち、赤色画素(R画素)、緑色画素(G画素)および青色画素(B画素)で構成される画素(RGB画素)に対応して配置されたレンズアレイで液晶表示パネルのRGB画素に集光されるので、高輝度・薄型で、かつ光の利用効率が高い液晶表示装置が実現できる。加えて、レーザ光は高効率に利用されるので低消費電力の液晶表示装置がさらに実現できる。したがって、色再現範囲の広い大面積で高画質・薄型の液晶表示装置が実現できるという大きな効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は、理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、形状等については正確な表示ではない。
【0047】
(実施の形態1)
図1から図9に本発明の実施の形態1にかかる液晶表示装置の模式図を示す。図1は本実施の形態の液晶表示装置の概略構成図を模式的に示したものである。図1(a)は本実施の形態の液晶表示装置の分解斜視図、図1(b)は液晶表示パネルの方から見た液晶表示装置の正面の概略構成図、図1(c)は図1(b)のA−A線の断面から見た主要部分の概略断面図である。
【0048】
図1(a)に示すように、本実施の形態の液晶表示装置10は、液晶表示パネル11と、液晶表示パネル11の赤色画素(R画素)33R、緑色画素(G画素)33Gおよび青色画素(B画素)33Bで構成される画素(RGB画素)33の配置に対応して設けたレンズアレイ26と、レンズアレイ26のそれぞれのレンズ34に対して一定で、かつ色ごとに異なる入射角度で入射させる面状照明装置15を備えている。
【0049】
また面状照明装置15は、赤色レーザ光(R光)12を出射する赤色レーザ光源(R光源)19と、緑色レーザ光(G光)13を出射する緑色レーザ光源(G光源)20と、青色レーザ光(B光)14を出射する青色レーザ光源(B光源)21と、G光は透過するがB光は反射するダイクロイックミラー27と、G光およびB光は透過するがR光は反射するダイクロイックミラー28と、反射ミラー30と、光分配部31と、R光12、G光13およびB光14を側面22から入射し、一方の主面23からそれぞれ異なる出射角度を有して出射する導光板24から構成されている。
【0050】
ここで光分配部31は、例えば図1(b)に示すように、反射ミラー30から遠ざかるほど反射率が順に高くなるように配列されたミラー32が多数並ぶことによりRGB光29を分配して、導光板24の側面22の全体に均一に入射させるように構成されている。
【0051】
このようにして構成される液晶表示装置10の概略の動作を説明する。R光源19、G光源20およびB光源21から出射されるR光12、G光13およびB光14は、ダイクロイックミラー27、28により光量をほとんどロスすることなく1つのRGB光29に合波され、このRGB光29は、反射ミラー30および光分配部31を経由して導光板24の側面22の全体に均一に入射する。
【0052】
導光板24に入射したR光12、G光13およびB光14は、導光板24の一方の主面23からそれぞれ異なる出射角度で出射する。本実施の形態の導光板24の構成および動作は後で詳しく説明する。
【0053】
このとき、眼35aの位置が導光板24の主面23からR光12が出射する方向であるときは、眼35aから見た導光板24はR光12の一部が直進して眼35aに到達するのでR光36aだけの赤色一色に見える。また、眼35bの位置が導光板24の主面23からB光14が出射する方向であるときは、同様に眼35bから見た導光板24はB光14の一部が直進して眼35bに到達するのでB光36bだけの青色一色に見える。そして、眼(図示せず)が液晶表示パネル11の上側にあるときに、液晶表示パネル11とレンズアレイ26とを外して導光板24を見ると同様にG光13の一部が直進して眼(図示せず)に到達するのでG光(図示せず)だけの緑色一色に見える。
【0054】
導光板24をそれぞれ異なる出射角度で出射したR光12、G光13およびB光14は、レンズ34により集光され、R画素33R、G画素33GおよびB画素33Bに入射する。
【0055】
このとき、従来の構成と比べて対応する画素へ入射する光量が増加する。この理由を以下に説明する。
【0056】
図1(c)は液晶表示装置10の図1(b)のA−A線の断面から見た主要部分の概略断面図を示している。図1(c)において液晶表示パネル11は、RGB画素33と液晶54とが、2枚のガラス板55、56で挟まれて構成され、レーザ光が出射する側のガラス板55に隣接して拡散板57が配置された構成となっている。また、拡散板57は補正板としてレーザ光を拡散または偏向して液晶表示パネル11からのレーザ光の出射特性を補正するものとして配置されている。
【0057】
このように構成された液晶表示パネル11において、導光板24の主面23からそれぞれ異なる出射角度で出射したR光12、G光13およびB光14は、レンズアレイ26により液晶パネル11のRGB画素33に入射する。
【0058】
図1(c)では5つのRGB画素33が示され、R光12、G光13およびB光14は、両端のRGB画素33で示されるように導光板24の主面23からそれぞれ異なる出射角度で出射している。中央の3つのRGB画素33でもR光12、G光13およびB光14は、同様に導光板24の主面23からそれぞれ異なる出射角度で出射している。ここでは、R光12、G光13およびB光14がRGB画素33にどのようにして導かれるかを説明するために、中央の3つのRGB画素33では、それぞれR光12、G光13およびB光14のみについて示している。すなわち、R光12の大部分の光量は、R光12aからR光12bまでの領域で一定の方向に出射し、レンズアレイ26のRGB画素33に対応したシリンドリカルレンズ34により集光されてR光12cからR光12dまでの領域に、液晶パネル11の赤色画素(R画素)33Rに集められる。また、同様にG光13およびB光14の大部分の光量は、R光13aからR光13bまでの領域およびR光13cからR光13dまでの領域で一定の方向に出射する。そして、レンズアレイ26のRGB画素33に対応したシリンドリカルレンズ34により集光されて、液晶パネル11の緑色画素(G画素)33Gおよび青色画素(B画素)33Bに集められる。
【0059】
このようにして、R光12、G光13およびB光14をそれぞれ対応する画素に集光して導くことにより、R光12、G光13およびB光14が隣接する画素に入射してロスとなる光量を減らすことができる。
【0060】
この効率向上の効果を図2を用いて具体的に説明する。図2(a)はレンズアレイ26の無い従来の構成の液晶表示部にRGB光29が垂直に入射する場合、図2(b)から(d)は本実施の形態の液晶表示部および面上照明装置(図示せず)を用いた場合の液晶表示部の概略断面図である。
【0061】
図2(a)に示すように、従来構成ではRGB光29はRGB画素33に均一に入射する。このときに1つのRGB画素33に入射するRGB光29は、RGB光29aからRGB光29bまでの光で、R画素33R、G画素33GおよびB画素33Bに入射して利用されるのはR光、G光およびB光の1/3以下である。このとき画素の開口率が80%とすると利用できるR光、G光およびB光はそれぞれ24%程度となる。
【0062】
一方、本実施の形態では、図1(c)で説明したように、G光13は画素33Gを中心とした領域に、R光12は、画素33Rを中心とした領域に、B光14は、画素33Bを中心とした領域にそれぞれ入射する。図2(b)から(d)はこの様子をG光13、R光12、およびB光14の場合に分けて示している。
【0063】
このとき、レンズアレイの設計およびR光12、G光13およびB光14の入射角のばらつきによるが、それぞれ対応する画素に50%程度は集光させることは可能と考えられる。したがって従来構成の2倍程度の利用効率が達成できる。
【0064】
次に、このような効率改善効果を実現するための、本実施の形態の導光板24の構成および動作を説明する。
【0065】
図3に導光板24の構成の概略断面図を示す。図3に示すように導光板24は、プリズムシート37と導光板本体38とから構成されている。図3ではこれらは分離されているが、プリズムシート37と導光板本体38とが一体化されていてもよい。なお、分離されている場合も、これらは、屈折率の近い接着剤(図示せず)を用いるなどして接着されていてもよい。したがって、導光板24は、主面23に屈折率の波長分散の高い材料からなるプリズムシート37が配置され、主面23と対抗する対向面39に複数の立上げミラー40が形成されている。立上げミラー40は微小なバー状で対向面のほぼ前面に亘って形成されている。
【0066】
このように構成された導光板24において、R光、G光およびB光からなるRGB光29は、導光板24の同一の側面22から入射して対向面39の立上げミラー40によりプリズムシート37に導かれる。このときにRGB光29は対向面39にほぼ平行して導光板本体38の中を進行する。RGB光29はビームウェストが導光板本体38の外側にあるため、平行光に近い状態で伝播するが、実際はやや広がって伝播する。したがって、対向面39に整列して配置された立上げミラー40により、対向面39に近いRGB光29の一部がRGB光29aとなってプリズムシート37の方向に反射される。そして、RGB光29aは、プリズムシートを構成する材料が屈折率の波長分散が高い材料であることから、プリズムシート37を通過して主面23の出射位置25から出射するときには、R光12、G光13およびB光14がそれぞれ異なる出射角度を有して、色ごとに一定の方向にそれぞれ出射する。
【0067】
このように構成することにより、図1および図2で説明したようにR光12、G光13およびB光14を液晶表示パネル11のRGB画素33に効率よく入射させることができる。
【0068】
この実施の形態において、導光板本体は内部に散乱体を含む樹脂材料で構成されていても良い。図4は導光板24の別の構成の概略断面図を示しており、図4が図3と異なるところは導光板本体が内部に散乱体を含む樹脂材料で構成されているところである。
【0069】
図4に示すように導光板24は主面23に配置された屈折率の波長分散の高い材料からなるプリズムシート37と、散乱体41を含む樹脂材料で形成された導光板本体42とで構成されており、プリズムシート37と導光板本体42の間には空気層がある。
【0070】
このように構成された導光板24において、R光、G光およびB光からなるRGB光29は、導光板24の同一の側面22から入射して導光板本体42の中にランダムに配置されている散乱体41と出会うと、散乱体41により屈折されて進行方向を曲げられる。このとき、散乱体41で進行方向を曲げられたRGB光のうち、導光板本体42の主面23bに対して垂直な方向を基準として40度程度の角度以上で入射するRGB光は全反射をして導光板本体42の内部を伝搬していく。
【0071】
したがって主面23bから出射できるRGB光は、主面23bに対して垂直な方向を基準として40度以下の角度で進行する光であるが、導光板本体42の内部を進行するRGB光は、その進行方向が主面23bに対して垂直に近づく程、確率的に少なくなるため、主面23bから出射するRGB光は狭い範囲の出射角ばらつきで出射する。
【0072】
実験において、このような導光板から出射するRGB光29aの角度は67度を中心に±7度の範囲という結果が得られた。
【0073】
このようにして得られたRGB光29は、図3に示した構成と同様にR光12、G光13およびB光14をそれぞれ異なる出射角度で出射させることができ、液晶表示パネル11のRGB画素33に効率よく入射させることができる。
【0074】
図5は、図3および図4の導光板24をBの方向からみた概略構成図である。プリズムシート37は、R光、G光およびB光からなるRGB光29が入射する方向に対して垂直にストライプ状のプリズムが形成されている構成になっている。このようにストライプ状に構成することにより、樹脂材料などで一体成形で生産することも可能となるので、量産性が高い構成となっている。なお、図4に示した内部に散乱体を含む導光板の場合は、入射方向と直交する方向でも出射する光の角度が狭い範囲に偏っていることが実験によっても確認されている。したがって、導光板へ入射する方向をレンズアレイのストライプの方向と平行に配置することもできる。
【0075】
以上説明したように本実施の形態の液晶表示装置は、薄い導光板24の側面22からRGB光を入射させ、導光板24の主面23よりそれぞれ異なる出射角度でR光12、G光13およびB光14を出射させるので、R光12、G光13およびB光14をレンズアレイ26により液晶表示パネル11のR画素33R、G画素33GおよびB画素33Bにそれぞれ集光して導くことができる。このようにすることにより、R光12、G光13およびB光14が隣接する画素に入射してロスとなる光量を減らすことができる。また、レーザ光源も、例えば導光板24の周囲に光学系を分散させて配置するなど工夫することにより、薄型の液晶表示装置10を実現することができる。
【0076】
このような構成とすることにより、高輝度・薄型で光の利用効率が高い液晶表示装置が実現できる。また、レーザ光は高効率に利用されるので同じ光出力を得るのに余計な電力が不要であるので、低消費電力の液晶表示装置がさらに実現できる。
【0077】
なお、本実施の形態の導光板は、導光板本体の対向面をRGB光が入射する側面から離れるに従い主面に近づけるように構成してもよい。図6は、図3の導光板の構成を基本として、導光板本体の対向面をRGB光が入射する側面から離れるに従い主面に近づけるように構成した導光板の例の概略断面図を示す。すなわち、導光板24の導光板本体43の対向面39は、R光、G光およびB光からなるRGB光29が入射する同一の側面22から離れるに従い、主面23との距離が小さくなるように形成されている。このような構成にすることにより、立上げミラー40の配置間隔をより狭めて、立上げミラー40で反射したRGB光29cがプリズムシート37で分離して主面23から出射するR光12、G光13およびB光14が、輝度や強度がより均一となるようにすることができる。
【0078】
また、図7は図6と同様の効果を得るために、導光板本体38は図3と同じ物を用いるが、RGB光の入射方法を工夫している。すなわち、R光、G光およびB光からなるRGB光29は、さらに導光板本体38の本体主面51と平行な面と、例えば−5°以上+5°以下の角度範囲で導光板24の側面22からレーザ光44、45を入射する。このレーザ光44、45は単色光であってもRGB光であってもよい。また、複数本のレーザ光44、45を側面22から入射する替わりに、R光、G光およびB光からなるRGB光29を導光板本体38の本体主面51と平行な面と−5°以上+5°以下の角度範囲で走査して導光板38の側面22から入射させてもよい。なお、この入射角度は目安であり、導光板のサイズや厚み等に応じて輝度が均一となるように適当な値に設定する必要がある。
【0079】
また、側面22に導光板38の厚み方向に光束を少し拡散させる凹凸面またはレンズ面を形成してもよい。このような構成とすることにより、主面から均一なRGB光が得られる導光板の作製が容易となり、液晶表示装置の光学系が簡略化できるので、さらに量産性の高い液晶表示装置が実現できる。
【0080】
また、R光、G光およびB光の出射する方向を一層分離して、レンズアレイと画素を近づけ、液晶表示装置をさらに薄型化することができる。図8にR光、G光およびB光の出射方向を大きく分離できる導光板の概略断面図を示す。
【0081】
ここで導光板24は、側面22にレーザ光導入部46をさらに備え、このレーザ光導入部46は、少なくともプリズムまたは回折光学素子からなる構成としている。図8では、例えばプリズムとして構成されている。このようにすることにより、RGB光29は導光板38に入射したときに、R光、G光およびB光(図示せず)がほぼ同じ方向に分離してRGB光47として伝搬するので、プリズムシート37を伝搬したのちに導光板24の主面23から出射するときは、異なる一定の方向により離れた角度でR光48、G光49およびB光50が主面23より出射する。すなわち、RGB光47はR光、G光およびB光がわずかに進行する方向が一定の角度だけ離れて進行している。
【0082】
このような構成とすることにより、R光、G光およびB光の分岐角が大きくなるように光学系を構成することができるので、レンズアレイと画素の距離をさらに近づけることができ、液晶表示装置を薄型化することができる。また、RGB画素上で分離がし易くなり、R光、G光およびB光はそれぞれのRGB画素に集光性よく集光されるので光量のロスを減らすことができる。
【0083】
また、図8のレーザ光導入部46は導光板本体38と一体であってもよく、さらに、このような形状に導光板本体38の側面を傾斜させて一体として形成してもよい。あるいは、導光板本体38の側面に回折格子を設けて図8で説明した内容と同様に、R光、G光およびB光(図示せず)がほぼ同じ方向に分離してRGB光47として伝搬するような機能をもたせてもよい。
【0084】
図9に本実施の形態の液晶表示装置の光学系を簡略化するためのレンズアレイの概略斜視図について示す。図9(a)は液晶表示パネル11のRGB画素33に対応して製作されたシート状のシリンドリカルレンズ52からなるレンズアレイ26を示す。すなわち、レンズアレイ26は液晶表示パネル11のRGB画素33の幅Wに対応した幅Wのシリンドリカルレンズ52がストライプ状にシート状のレンズとして並んだ構成となっている。このような配置にして各画素に割り当てられたR光、G光およびB光を無駄なく効率よくそれぞれの色の画素に集光して導くことができる。
【0085】
また、図9(a)に示すような形状でRGB画素33と対応して配置するレンズアレイ26は、バー状のレンズを並べたシートの形状で容易に一体成形できるので、さらに量産性の高い液晶表示装置が実現できる。そのうえに、レンズがないときには隣接する一組のRGB画素の間に到達するレーザ光が、レンズアレイによりRGB画素のそれぞれの色の画素に集光できるので、さらにレーザ光を高効率に利用することができる。
【0086】
さらに、レンズアレイ26を図9(b)に示すトーリックレンズ53が縦と横にマトリックス状に並んだ構成として図9(a)のシリンドリカルレンズ52が集光できる方向と垂直な方向にも光をロスなく集光することもできる。すなわち、図9(c)に示すように、レンズアレイ26は、液晶表示パネル11のRGB画素33の横方向の幅に対応した横幅W1とRGB画素33の縦方向の幅に対応した縦幅W2を有するトーリックレンズ53が縦と横とに複数個並んだシート形状のレンズとして構成されている。このような構成とすることにより、RGB画素と対応して配置するレンズアレイは、マトリックス状のレンズを縦と横に並べたシートの形状で容易に一体成形できるので、さらに量産性の高い液晶表示装置が実現できる。
【0087】
ところで、本実施の形態ではR光、G光およびB光は液晶表示パネルに異なる角度で入射するように構成しているが、液晶表示パネルから画像として出射される場合には、どの角度から見ても均一性が良く、より広い視野角の画像が得られることが望ましい。出射角特性を改善し、見る角度により輝度ムラや色ムラが生じないようにするため、本実施の形態では拡散板を用いた構成としている。
【0088】
図10に出射面に拡散板57を設けた液晶表示パネル101の概略構造を示す。この構成において、導光板24からそれぞれ異なる出射角度を有して出射されるR光12、G光13およびB光14は、レンズアレイ26で集光され、液晶表示パネル101の偏光板59a、ガラス板56および液晶54を通過して、RGB画素33の赤色画素33R、緑色画素33Gおよび青色画素33Bに入射する。
【0089】
RGB画素33に入射したレーザ光は、変調されたのちカラーフィルタ58で赤色画素33R、緑色画素33Gおよび青色画素33Bに対応したレーザ光が選択され、ガラス板55を通過し、偏光板59bにより一定の偏光方向の成分のレーザ光が出射される。
【0090】
偏光板59bを通過したレーザ光は、拡散板57により拡散または偏向され、レーザ光の出射特性が補正されて液晶表示パネル101を出射する。
【0091】
このような構成とすることにより、赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素に到達したRGB光を効率よく散乱して、液晶表示装置は輝度ムラや色ムラがない均一な高輝度の画像表示を行うことができる。すなわち、液晶表示装置を見る角度により色が変わる視野角の色特性を改善でき、液晶表示装置の視野角も広くすることができる。
【0092】
(実施の形態2)
図11および図12を用いて本発明の実施の形態2にかかる液晶表示装置を説明する。本実施の形態において実施の形態1と異なるのは導光板のみであり、レーザ光をR光、G光およびB光に分離するために、プリズムではなく回折パターンを用いる。
【0093】
図11は本実施の形態の導光板の構成の概略断面図であり、図11(a)は反射型回折パターンを用いた構成、図11(b)は透過型回折パターンを用いた構成を示している。
【0094】
図11(a)に示すように、導光板61は導光板本体65と、フォトポリマー材料でシート状に形成された波長選択性の反射型回折パターン62で構成されており、反射型回折パターン62は、導光板61の主面63に対して対向する対向面64に形成されている。
【0095】
また、プリズム67が導光板61の側面22に配置され、RGB光29が側面22に対して角度を付けて入射するように構成されている。
【0096】
このように構成された導光板61において、R光、G光およびB光からなるRGB光29は、導光板61の同一の側面22から入射して主面63に平行な方向から数度下向きに進行するようにRGB光29fとして屈折されて反射型回折パターン62に一定の角度で到達する。
【0097】
ここでRGB光29fは反射型回折パターン62の波長選択性により、異なる波長ごとにそれぞれ異なる一定の方向に回折され反射される。反射型回折パターン62で反射し、進行方向が分離されたR光、G光およびB光は主面63の出射位置66からそれぞれ異なる出射角度を有してR光12、G光13およびB光14として出射する。
【0098】
また、導光板61の別の構成例として、図11(b)に透過型回折パターンを用いた場合の構成を示す。図11(b)に示すように、導光板61は導光板本体65と、波長選択性の透過型回折パターン68で構成されており、透過型回折パターン68は、導光板61の主面63に形成されている。
【0099】
また、図11(a)と同様にプリズム67が導光板61の側面22に配置され、RGB光29が側面22に対して角度を付けて入射するように構成されている。
【0100】
このように構成された導光板61において、R光、G光およびB光からなるRGB光29は、導光板61の同一の側面22から入射して主面63に平行な方向から数度上向きに進行するようにRGB光29gとして屈折されて透過型回折パターン68に一定の角度で到達する。
【0101】
ここでRGB光29gは透過型回折パターン68の波長選択性により、異なる波長ごとにそれぞれ異なる一定の方向に回折され、主面63の出射位置66からそれぞれ異なる出射角度を有してR光12、G光13およびB光14として出射する。
【0102】
図12は、本実施の形態の液晶表示装置70の主要部分の概略断面図を示している。液晶表示装置70は、図11(a)または(b)で示した導光板61と、図10で示した液晶表示パネル101を含んで構成されている。
【0103】
図12に示すように、導光板61の主面63から異なる一定の方向に出射したR光12、G光13およびB光14は、実施の形態1と同様にレンズアレイ26により集光され、液晶表示パネル101のRGB画素33に効率よく入射する。
【0104】
このような構成とすることにより、さらに薄型の導光板および液晶表示装置が実現できる。さらに、高輝度で光の利用効率が高く低消費電力の液晶表示装置がこのような構成の導光板により実現できる。
【0105】
また、立体的なプリズムではなく平面的な回折パターンにより導光板を作製するので導光板の作製が容易となり、さらに量産性の高い液晶表示装置が実現できる。
【0106】
なお、フォトポリマー材料による回折パターンの作製は、入射光の方向からR光、G光およびB光を入射させ、回折光が発生する方向と反対の方向からR光、G光およびB光を入射させて、シート状のフォトポリマー材料上で干渉パターンを生成して焼き付けることで製作することができる。
【0107】
なお、本実施の形態では、側面22にプリズム67を配置しているが、これらを導光板61と一体で形成してもよく、また、プリズム67の代わりに厚み方向に回折する回折素子を側面22に設けてもよい。
【0108】
(実施の形態3)
図13から図15を用いて本発明の実施の形態3にかかる液晶表示装置を説明する。本実施の形態では、レーザ光をR光、G光およびB光に分離するために、プリズムではなく多面体ミラーを用いる。
【0109】
図13は本実施の形態にかかる液晶表示装置に用いる導光板の構成の概略斜視図であり、図13(a)は導光板71の概略斜視図、図13(b)は(a)の破線で囲んだCの主要な部分を拡大した主要部分の概略構成図である。
【0110】
図13(a)(b)に示すように、導光板71は、主面72と対向する対向面73に複数の多面体ミラー74が形成され、多面体ミラー74は少なくとも3つの反射ミラー面82R、82G、82Bからなるミラー面82を備えている。
【0111】
本実施の形態では、R光75、G光76およびB光77は、導光板71の異なる3つの側面78、79、80から別々に入射するように構成されており、反射ミラー面82R、82G、82Bは、導光板71の3つの異なる側面78、79、80から入射したR光75、G光76およびB光77を主面72の方向に反射するとともに、主面72の出射位置81からそれぞれ異なる一定の方向にR光12、G光13およびB光14が出射するように構成されている。
【0112】
このように構成された導光板71の動作について図14を用いて説明する。図14に本実施の形態にかかる液晶表示装置に用いる導光板の概略構成図について示す。図14(a)は主面72から見た概略構成図、(b)は(a)のC−C線の断面から見た概略断面図、(c)はD−D線の断面から見た概略断面図を示している。
【0113】
図14(a)において、多面体ミラー74は、導光板71の主面72に対向した対向面(図示せず)にマトリックス状に縦と横に多数配置されている。
【0114】
また、B光はR光やG光と比較して導光板材料となる樹脂材料に対する光の吸収量が大きく、伝搬距離が長くなると光の吸収ロスの影響を受けるため、B光を長辺側の側面80から入射させる構成としている。
【0115】
このように構成された導光板71において、R光75は側面78から、G光76は側面79から、B光77は側面80からそれぞれ主面72に平行に入射する。
【0116】
このとき図14(b)に示すように、B光77は主面72および対向面73にほぼ平行して導光板71の中をB光77a、77bとして進行する。B光77はビームウェストが導光板71の外側にあるため、B光76a、77bは平行光に近い状態で伝播するが、実際はやや広がって伝播する。したがって、対向面73に整列して配置された多面体ミラー74により、対向面73に近いB光77bの一部が主面72の方向に反射されB光14として出射する。
【0117】
同様に図14(c)に示すように、R光75およびG光76は平行光に近い状態で導光板71の中をR光75a、75bおよびG光76a、76bとして伝播するが、実際はやや広がって伝播する。したがって、対向面73に整列して配置された多面体ミラー74により、対向面73に近いR光75bおよびG光76bの一部が主面72の方向に反射されR光12およびG光13として出射する。
【0118】
図15は、本実施の形態の液晶表示装置90の主要部分の概略断面図を示している。液晶表示装置90は、本実施の形態で説明した導光板71と、図10で示した液晶表示パネル101を含んで構成されている。ただし実施の形態1および2とR光12、G光13およびB光14の出射する方向が違うため、R画素、G画素、B画素の並ぶ順番を変えて図示している。
【0119】
図15に示すように、導光板71の主面63から異なる一定の方向に出射したR光12、G光13およびB光14は、第1の実施の形態と同様にレンズアレイ26により集光され、液晶表示パネル101のRGB画素33に効率よく入射する。
【0120】
このような構成とすることにより、高輝度で光の利用効率が高く低消費電力の液晶表示装置がこのような導光板を含む光学系により実現できる。
【0121】
なお、実施の形態2および3において、実施の形態1と同様に導光板の主面に対抗する対向面を主面に対して傾けて、レーザ光が入射する側面から遠ざかるにつれて主面に近づくように構成してもよい。
【0122】
また、レンズアレイは、シリンドリカルレンズがストライプ状に並んだシート状のレンズを用いてもよく、トーリックレンズが縦と横とに複数個並んだシート状のレンズを用いてもよい。
【0123】
なお、導光板への入射光の導入は、導光板の側面に対して入射光を傾けて入射してもよく、入射光の側面に対する入射角を変化させるように入射光を走査して導入してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の液晶表示装置は、高輝度・薄型・低消費電力で量産性に富むので大型ディスプレイや高輝度ディスプレイ等のディスプレイ分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる液晶表示装置の概略構成図で、(a)液晶表示装置の概略斜視図(b)液晶表示装置の正面の概略構成図(c)(b)のA−A線の断面から見た主要部分の概略断面図
【図2】本発明の実施の形態1にかかる液晶表示装置の主要部分の概略断面図で、(a)RGB光が垂直に出射する場合の概略断面図(b)R光、G光およびB光が効率よく集光される内容を示す概略断面図(c)R光、G光およびB光が効率よく集光される内容を示す概略断面図(d)R光、G光およびB光が効率よく集光される内容を示す概略断面図
【図3】本発明の実施の形態1にかかる導光板の構成の概略断面図
【図4】本発明の実施の形態1にかかる他の導光板の構成の概略断面図
【図5】図3および図4の導光板をBの方向から見た概略構成図
【図6】本発明の実施の形態1にかかる他の導光板の構成の概略断面図
【図7】本発明の実施の形態1にかかる入射光の入射方法を示す概略断面図
【図8】本発明の実施の形態1にかかる他の入射光の入射方法を示す概略断面図
【図9】本発明の実施の形態1にかかるレンズアレイの概略斜視図で、(a)シート状のシリンドリカルレンズからなるレンズアレイを示す図(b)トーリックレンズが縦と横にマトリックス状に並ぶレンズアレイを示す図(c)トーリックレンズが縦と横にマトリックス状に並ぶレンズアレイを示す図
【図10】本発明の実施の形態1にかかる拡散板を用いた液晶表示装置の構成の概略断面図
【図11】本発明の実施の形態2にかかる液晶表示装置に用いる導光板の構成の概略断面図で、(a)反射型回折パターンを用いた例を示す図(b)透過型回折パターンを用いた例を示す図
【図12】本発明の実施の形態2にかかる液晶表示装置の概略断面図
【図13】本発明の実施の形態3にかかる液晶表示装置の概略斜視図で、(a)導光板の概略斜視図(b)(a)の破線で囲んだCの主要な部分を拡大した概略構成図
【図14】本発明の実施の形態3にかかる液晶表示装置に用いる導光板の概略構成図で、(a)主面から見た概略構成図(b)(a)のC−C線の断面から見た概略断面図(c)(a)のD−D線の断面から見た概略断面図
【図15】本発明の実施の形態3にかかる液晶表示装置の概略断面図
【符号の説明】
【0126】
10,60,70,90 液晶表示装置
11,101 液晶表示パネル
12,12a,12b,12c,12d,16,36a,48,75,75a,75b 赤色レーザ光(R光)
13,13a,13b,13c,13d,17,49,76,76a,76b 緑色レーザ光(G光)
14,14a,14b,14c,14d,18,36b,50,77,77a,77b 青色レーザ光(B光)
15 面状照明装置
19 赤色レーザ光源(R光源)
20 緑色レーザ光源(G光源)
21 青色レーザ光源(B光源)
22,78,79,80 側面
23,23b,63,72 主面
24,61,71 導光板
25,66,81 出射位置
26 レンズアレイ
27,28 ダイクロイックミラー
29,29a,29b,29c,29d,47 RGB光
30,82,82R,82G,82B 反射ミラー
31 光分配部
32 ミラー
33 RGB画素
33B 青色画素(B画素)
33G 緑色画素(G画素)
33R 赤色画素(R画素)
34 レンズ
35a,36b 眼
37 プリズムシート
38,42,43,65 導光板本体
39,64,69,73 対向面
40 立上げミラー
41 散乱体
44,45 レーザ光
46 レーザ光導入部
51 本体主面
54 液晶
55,56 ガラス板
57 拡散板
58 カラーフィルタ
59a,59b 偏光板
62 反射型回折パターン
67 プリズム
68 透過型回折パターン
74 多面体ミラー
101 液晶表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素の配置に対応して設けたレンズアレイと、
少なくとも赤色、緑色および青色レーザ光を一方の主面から出射して、前記レンズアレイのそれぞれのレンズに対して一定で、かつ色ごとに異なる入射角度で入射させる面状照明装置と、を備え、
前記面状照明装置は、少なくとも赤色、緑色および青色レーザ光をそれぞれ出射するレーザ光源と、前記赤色、緑色および青色レーザ光を側面から入射し、前記一方の主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射する導光板とを含み、
前記赤色、緑色および青色レーザ光は、前記導光板の前記一方の主面からそれぞれ異なる出射角度で出射したのち、前記レンズによりそれぞれ異なる方向に集光し、それぞれ前記赤色画素、緑色画素および青色画素に入射することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記導光板は、前記主面に配置された屈折率の波長分散の高い材料からなるプリズムシートを含んで構成され、前記主面と対向する対向面に複数の立上げミラーが形成されて、
前記赤色、緑色および青色レーザ光は、前記導光板の同一の側面から入射して前記対向面の前記立上げミラーにより前記プリズムシートに導かれ、前記主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記導光板は、前記主面に配置された屈折率の波長分散の高い材料からなるプリズムシートと、散乱体を含む樹脂材料で形成された導光板本体と、からなり、
前記赤色、緑色および青色レーザ光は、前記導光板の同一の側面から入射して前記導光板本体の前記散乱体により前記プリズムシートに導かれ、前記主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記プリズムシートは、前記赤色、緑色および青色レーザ光が入射する方向に対して垂直にストライプ状のプリズムが形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記導光板は、波長選択性の透過型回折パターンが前記主面に形成され、
前記赤色、緑色および青色レーザ光は、前記導光板の同一の側面から入射して前記透過型回折パターンに導かれ、前記主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記導光板は、波長選択性の反射型回折パターンが内側の前記主面と対抗する対向面に形成され、
前記赤色、緑色および青色レーザ光は、前記導光板の同一の側面から入射して前記対向面の前記反射型回折パターンにより、前記主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記導光板の前記対向面は、前記赤色、緑色および青色レーザ光が入射する前記同一の側面から離れるに従い前記主面との距離が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記導光板は、内側の前記主面と対向する対向面に複数の多面体ミラーが形成されて、前記赤色、緑色および青色レーザ光は、前記導光板の3つの異なる側面から入射して前記対向面の前記多面体ミラーにより、前記主面からそれぞれ異なる出射角度を有して出射することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記青色レーザ光は、前記導光板の長辺側の側面から入射することを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記多面体ミラーは、前記導光板の3つの異なる側面から入射するレーザ光を前記主面の方向に反射する少なくとも3つの反射ミラーを備えることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記レンズアレイは、前記液晶表示パネルの前記赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素の幅に対応した幅のシリンドリカルレンズがストライプ状に並んだシート状のレンズであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記レンズアレイは、前記液晶表示パネルの前記赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素の横方向の幅に対応した横幅と前記赤色画素、緑色画素および青色画素で構成される画素の縦方向の幅に対応した縦幅を有するトーリックレンズが縦と横とに複数個並んだシート状のレンズであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記液晶表示パネルの前記RGB画素を挟むガラス板のいずれかの外側に隣接して配置された補正板により、前記レーザ光を拡散または偏向して前記液晶表示パネルからの前記レーザ光の出射特性を補正することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記赤色、緑色および青色レーザ光は、入射角度または入射位置を走査して前記導光板の側面から入射することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記導光板は、前記側面にレーザ光導入部をさらに備え、
前記レーザ光導入部は、前記赤色、緑色および青色レーザ光からなるレーザ光束を分離または広げる光学素子を含むことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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