説明

液晶表示装置

【課題】消費電力の低減を図りつつ、画質の向上を行うこと。
【解決手段】入力される映像信号による映像を表示する液晶パネルと、当該液晶パネルを照射する複数の光源と、前記映像信号に応じて、前記複数の光源の発光輝度値を規定する輝度制御信号を、前記液晶パネルの所定の領域毎に生成する輝度制御部と、を備える液晶表示装置であって、前記輝度制御信号に応じて、前記液晶パネルが有する画素の光源輝度値を推定する輝度推定部と、前記光源輝度に応じて、第1の補正量を算出する第1補正量算出部と、前記領域が有する画素の最高輝度値と、前記映像信号と、に応じて前記第1の補正量を補正して第2の補正量を算出する第2補正量算出部と、前記第2の補正量に応じて、前記映像信号を補正する映像補正部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶表示装置に適用して好適な表示装置および表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、静止画や、動画で構成される映像の表示が可能な液晶表示装置は、製造技術が進展したことによる価格の低下や、液晶表示装置自体の薄型軽量化及び、表示機能における高画質化技術の開発によって急速に普及し、パーソナルコンピュータのモニター又は、デジタル放送波を受信し表示を行なうデジタルTV等に広く用いられている。
【0003】
上記のような液晶表示装置は、主に反射型液晶表示装置と、透過型液晶表示装置と、がある。この2つのうち、透過型液晶表示装置が一般的に広く用いられている。この透過型液晶表示装置は、例えば冷陰極管で構成されるバックライトと呼ばれる面状光源を備え、そこから照射される光を、液晶パネルにおいて空間変調し、所望する映像の表示を行なう。
【0004】
上記のような従来の液晶表示装置において、例えば所望する映像が暗い映像である場合、液晶パネルにおける光の輝度信号を調整することで暗い映像を表現しており、バックライトの輝度調整を行なってはいない。そのため、このような暗い映像であったとしてもバックライトは、最大輝度で発光するため、消費電力が高い問題があった。さらに、液晶パネルの光の輝度信号も、完全に0とはならないため、暗い場面の映像においてもバックライトの光が漏れ白っぽく表示されてしまう、いわゆる黒浮きという現象が発生していた。
これに対してLED等の光源を用いて画面を分割して局所的にバックライトの輝度を変える技術が提案されている。特許文献1では、領域内で他の領域の光源から来る光量が一定として扱う技術が開示されている。また、特許文献2においては、バックライト領域間の輝度分布を近似関数を用いて求める構成が記載されている。さらに、特許文献3では他の領域の光源の輝度レベルに応じて階調補正を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−034251号公報
【特許文献2】特開2005−258403号公報
【特許文献3】特開2002−99250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、LED等の光源を用いて画面を分割して局所的にバックライトの輝度を変える技術を行う場合、映像信号と同等に表示する輝度を保つよう制御するためには各画素の発光輝度値がわからないと制御できない。さらに、他の領域の光源からくる光量を各画素毎に考慮しなければ各画素の発光輝度値はわからない。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、バックライトの制御に応じて、各画素における発光輝度値を推定し、当該発光輝度値に応じて映像信号を補正することで高品位な映像を表示しつつ、消費電力の低減を図ることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の液晶表示装置は、入力される映像信号による映像を表示する液晶パネルと、当該液晶パネルを照射する複数の光源と、前記映像信号に応じて、前記複数の光源の発光輝度値を規定する輝度制御信号を、前記液晶パネルの所定の領域毎に生成する輝度制御部と、を備える液晶表示装置であって、前記輝度制御信号に応じて、前記液晶パネルが有する画素の光源輝度値を推定する輝度推定部と、前記光源輝度に応じて、第1の補正量を算出する第1補正量算出部と、前記領域が有する画素の最高輝度値と、前記映像信号と、に応じて前記第1の補正量を補正して第2の補正量を算出する第2補正量算出部と、前記第2の補正量に応じて、前記映像信号を補正する映像補正部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液晶表示装置によれば、従来の液晶表示装置に比べ、バックライト部を領域毎に発光を制御した場合であっても高品位な映像を表示することが可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における液晶表示装置を示す模式図
【図2】バックライト部20の具体的な構成を示す図
【図3】制御部40の具体的な構成を示す模式図
【図4】信号補正部43の具体的な構成を示す模式図
【図5】ピーク輝度信号算出部4401の具体的な構成を示す模式図
【図6】映像信号の画素毎に設定される輝度信号を表す図
【図7】発光領域毎の輝度信号を示す図
【図8】サブブロック分割部423の分割動作を説明するための模式図
【図9】第2輝度信号制御部503におけるサブブロック毎の輝度信号算出の数値例を示す図
【図10】補間部506における補間処理を説明するための図
【図11】輝度信号補正部702における補正動作を説明するための概念図
【図12】発光領域を水平方向から見た斜視図
【図13】輝度信号補正部702における具体的な補正方法を説明するための図
【図14】映像信号の輝度信号と、実際に液晶パネルにおける画素の発光輝度値の関係を示す図
【図15】映像補正部1501の構成を示す模式図
【図16】平均輝度信号算出部1502の具体的な構成を示す模式図
【図17】画素毎に設定されるピーク輝度信号Dmaxを基に、平均輝度信号Daveを算出する方法を説明するための図
【図18】平均輝度信号算出部1502から入力される平均輝度信号と、変化率との関係を示す図
【図19】輝度信号補正部1504における具体的な補正方法を説明するための図
【図20】映像信号の輝度信号と液晶パネルにおける画素の発光輝度の関係を示す図
【図21】本発明の実施の形態3における映像補正部2101を示す図
【図22】バックライト部20に反射板2201が設けられた構成を示す図
【図23】R,G,Bが独立して制御できるバックライトを有する液晶表示装置の制御部の構成を示す図
【図24】映像補正部2301の具体的な構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<目次>
1.本発明の実施の形態1
1−1.液晶表示装置の構成
1−1−1.液晶パネル
1−1−2.バックライト部
1−1−3.バックライトドライバ
1−1−4.制御部
1−1−4−1.バックライト制御部
1−1−4−2.輝度推定部
1−1−4−3.信号補正部
1−1−4−4.映像補正部
1−1−4−4−1.ピーク輝度信号算出部
1−1−4−4−1−1.第1透過率制御部
1−1−4−4−1−2.第1メモリ
1−1−4−4−1−3.第2透過率制御部
1−1−4−4−1−3−1.発光領域の分割方法
1−1−4−4−1−3−2.サブブロックに対応する輝度信号の生成方法
1−1−4−4−1−4.第2メモリ
1−1−4−4−1−5.輝度信号フィルタ部
1−1−4−4−1−6.補間部
1−1−4−4−2.輝度信号補正部
1−1−4−4−2−1.輝度信号補正部における具体的補正方法
1−2.まとめ
2.実施の形態2
2−1.映像補正部
2−1−1.平均輝度信号算出部
2−1−1−1.平均値フィルタ部
2−1−1−1−1.平均輝度信号Daveの算出方法
2−1−2.変化率決定部
2−1−2−1.変化率決定部における動作
2−1−3.輝度信号補正部
2−1−3−1.輝度信号補正部における補正方法
2−2.まとめ
3.実施の形態3
4.その他の実施形態
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
<1.実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
<1−1.液晶表示装置の構成>
まずは、液晶表示装置の構成に関して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態1における液晶表示装置を示す模式図である。
【0013】
液晶表示装置1は、液晶パネル10、バックライト部20、バックライトドライバ30、制御部40とから構成される。以下、各部の構成について詳細に説明する。
<1−1−1.液晶パネル>
液晶パネル10は、バックライト部20によって背面から照射される照射光を、制御部40から入力される制御信号に応じて変調し画像を表示する機能を有する。
【0014】
また、液晶パネル10は、ガラス基板に液晶層を挟み込んだ構成をしており、ゲートドライバ(図示せず)やソースドライバ(図示せず)などによって、各画素に対応する液晶層に信号電圧が与えられて透過率が制御される。液晶パネル10が有するゲートドライバ若しくは、ソースドライバには制御部40から入力される透過率を基に画素における透過率を制御する制御信号を生成する構成となっている。
【0015】
また、液晶パネル10は、IPS(In Plane Switching)方式を用いている。IPS方式は、液晶分子がガラス基板と平行に回転するシンプルな動きにより、広視野角で、見る方向による色調変化や全階調での色調変化が少な意といった特徴を有する。なお、液晶パネル10は、光変調を行うデバイスであればどのようなものを利用してもよく、例えば光変調の他方式としてVA(Vertical Alignment)方式などを用いても良い。
<1−1−2.バックライト部>
バックライト部20は、液晶パネル10の背面に対して画像を表示させるための照射光を照射する機能を有するデバイスである。
【0016】
バックライト部20は、光源21を有しており、複数の光源21を単位とする発光領域を基本単位としてバックライトドライバから出力される発光制御信号に基づいて制御される。それぞれの発光領域は、液晶パネル10の画像表示領域と対向して設けられており、対向する画像表示領域をそれぞれ主として照射する。ここで、「主として照射する」としたのは、対向していない画像表示領域にも一部の照明光が照射されることがあるためである。
【0017】
なお、液晶パネル10及び、バックライト部20との間に拡散シートを設け、発光領域から照射される光が均一となるようにしても構わない。
【0018】
ここで、光源21は白色光を発するLEDを用いるものとする。なお、光源21は、直接白色光を発するものに限られない。例えばRGBの光を混色して白色を発するものであっても構わない。
【0019】
図2は、バックライト部20の具体的な構成を示す図である。
【0020】
バックライト部20は、複数の光源21が均等に配列された特徴を備え、8個の光源21を1つの単位とする発光領域22を備える。この光源21は、発光領域22が均一に発光するように拡散板が備えられる構成となっている。さらに、発光領域22は8個の光源21を、仮想的に1つの光源として扱えるように仮想光源23が設定されている。また、図2に示すようにバックライト部20が16個の発光領域に分割されている構成となっている。
【0021】
なお、図2に示すx軸方向を水平方向、y軸方向を垂直方向と設定する。
【0022】
制御部40は、この仮想光源23を制御することで、発光領域22の制御を行う構成となっている。仮想光源23は、図2より発光領域22の中心部分に位置する構成となっているが、8個の光源21を同時に制御する際、発光領域22に対して均一に発光可能であればどのような配置でも構わない。
<1−1−3.バックライトドライバ>
バックライトドライバ30は、制御部40から入力される発光領域毎に発光効率が設定された輝度信号に基づいて、個々の光源21を駆動制御する発光制御信号を生成して出力する。
<1−1−4.制御部>
制御部40は、入力される映像信号に基づいて液晶パネル10の各画素に対応する液晶層の透過率を規定する発光透過率及び、バックライト部20が有する複数の発光領域毎に発光効率を規定した輝度信号を生成する機能を有する。
【0023】
本発明の実施の形態1における制御部40は、図2に示すようにバックライト部20が16分割されているため、輝度信号も入力信号の1フレームにつき16個生成することになる。
【0024】
図3は制御部40の具体的な構成を示す模式図である。
【0025】
制御部40は具体的に、バックライト制御部41、輝度推定部42、信号補正部43、映像補正部44を備える構成となる。
<1−1−4−1.バックライト制御部>
バックライト制御部41は、入力される映像信号に基づいて、輝度信号を生成する機能を有する。バックライト制御部41は、生成した輝度信号をバックライトドライバ30及び、輝度推定部42に出力する。
【0026】
なお、本発明の実施の形態1における輝度信号は、仮想光源23毎の発光率を決める信号であって、各仮想光源の最大輝度値を基準にした発光輝度の割合を示している。なお、説明の便宜上、仮想光源23の無発光輝度を0、最大輝度を255と設定し、当該最大輝度255を1と設定した場合の割合を輝度信号とする。例えば、発光輝度が128でれば、輝度信号は0.5となる。
<1−1−4−2.輝度推定部>
輝度推定部42は、バックライト制御部41から入力される発光領域毎に設定される輝度信号に基づいて、液晶パネル10が有する各画素における発光輝度の推定値である推定発光輝度信号を生成する機能を有する。輝度推定部42は、推定発光輝度信号を信号補正部43に出力する。
<1−1−4−3.信号補正部>
信号補正部43は、入力される映像信号の特性を検出し、当該特性に合わせて輝度推定部42において推定された推定発光輝度値の特性変換を行う機能を備える。例えば、入力される映像信号がガンマ変換されている場合は、推定発光輝度値に対してガンマ変換を行う構成となる。具体的な変換方法に関しては、変換テーブルを用いても構わない。
<1−1−4−4.映像補正部>
映像補正部44は、信号補正部43から入力される液晶パネル10における各画素の推定発光輝度値と、入力される映像信号が有する注目画素の輝度信号とを基に、当該輝度信号を補正し、補正した輝度信号を透過率として出力する機能を有する。
【0027】
バックライト部20において発光領域毎の輝度制御を行った場合、液晶パネル10及び、バックライト部20に入力される信号が同じ映像信号に基づいて生成されていたとしても、その映像を表示する表示領域を照明する発光領域の輝度の変化に応じて、表示される画像の輝度が異なる。そのため、表示される映像が不自然に視認される場合がある。この問題は、入力される映像信号が、バックライト部20における光源が一定で発光することを前提として生成されているからである。
【0028】
これを低減するため、補正量決定部44は、発光領域の輝度信号から生成されたある画素における推定発光輝度値に連動して液晶パネル10に表示する画像のコントラストゲインが変更されるように、映像信号において規定される画素における輝度信号を補正する必要がある。
【0029】
以下図面を参照しながら信号補正部43の具体的な構成に関して説明を行う。
【0030】
図7は、信号補正部43の具体的な構成を示す模式図である。
【0031】
信号補正部43は、ピーク輝度信号算出部701、輝度信号補正部702を備える構成となっている。
<1−1−4−4−1.ピーク輝度信号算出部>
ピーク輝度信号算出部4401は、入力される映像信号において設定される液晶パネル10の画素における輝度信号のうち、所定の領域内で最大となる輝度信号を基に、画素毎のピーク輝度信号Dmaxを算出する機能を備える。さらに、ピーク輝度信号算出部4401は、算出したピーク輝度信号Dmaxを輝度信号補正部4402に出力する。
【0032】
なお、上記の所定の領域とは、バックライト部20に設定さえる発光領域としても構わない。この場合、バックライト部20が16個の発光領域を有する構成であれば、16個の輝度信号を基に、ピーク輝度信号Dmaxを算出する構成となる。以下、所定の領域を発光領域として説明する。
【0033】
また、ピーク輝度信号算出部4401は、バックライト部20に設定される発光領域をn個のサブブロックに分割し、当該サブブロックを上記所定の領域と設定する構成でも構わない。この場合、バックライト部20が16個の発光領域を有する構成でれば、16n個の輝度信号を基に、ピーク輝度信号を算出する構成となる。
【0034】
なお、ピーク輝度信号算出部4401は、ピーク輝度信号を算出する前にローパスフィルタを用いてフィルタ処理する構成にしても構わない。
【0035】
また、領域間のピーク輝度信号が連続的に変換するように、補正処理を行なう構成としても構わない。
【0036】
図5は、ピーク輝度信号算出部4401の具体的な構成を示す模式図である。図5におけるピーク輝度信号算出部4401は、入力される映像信号において画素毎に設定される輝度信号を、16個の領域に分割し、当該16個の領域をさらに64個のサブブロックに分割した後、当該サブ領域にフィルタ処理を行ない、フィルタ処理の結果から画素毎のピーク輝度信号を算出する構成を示す。
【0037】
ピーク輝度信号算出部4401は、第1輝度信号制御部501、第1メモリ502、第2輝度信号制御部503、第2メモリ504、輝度信号フィルタ部505、補間部506を備える構成となっている。
<1−1−4−4−1−1.第1輝度信号制御部>
第1輝度信号制御部501は、入力される映像信号の画素毎に設定される輝度信号を基に、所定の領域毎に輝度信号のピーク値を検出する機能を備える。また、第1メモリ502に蓄積される情報のリード機能、画素毎に設定される輝度信号及び、上記所定の領域毎の輝度信号のライト機能、第2輝度信号制御部503に対して第1メモリ502からリードした輝度信号を出力する機能を有する。
【0038】
以下、第1輝度信号制御部501の動作について図面を参照しながら説明する。
【0039】
図6は映像信号の画素毎に設定される輝度信号を表す図である。
【0040】
第1輝度信号制御部501は、図6に示す画素毎の輝度信号が入力された場合、発光領域22毎に輝度信号のピーク値を検出する動作を行う。図6に示す画素毎の輝度信号から発光領域22毎のピーク値を検出すると、図7に示すような輝度信号に関する行列となる。
【0041】
なお、入力される映像信号には、RGB信号の3種が含まれている。そのため、所定の領域毎のピーク値を検出する際は、所定の領域内のR信号、G信号、B信号において設定される輝度信号のうち、最大の輝度信号をピーク値として検出することになる。
<1−1−4−4−1−2.第1メモリ>
第1メモリ502は、第1輝度信号制御部501から入力される映像信号の画素毎に設定される輝度信号、発光領域毎に設定される輝度信号を蓄積する機能を有する。
<1−1−4−4−1−3.第2輝度信号制御部>
第2輝度信号制御部503は、第1輝度信号制御部501から入力される発光領域22毎の輝度信号を基に、発光領域22をサブブロック単位に分割すると共に、当該サブブロック毎に輝度信号を生成する機能を有する。つまり、第2輝度信号制御部503は、発光領域22を、当該発光領域よりも小さい複数の領域に分割する。
【0042】
また、第2メモリ504に蓄積される情報のリード機能、発光領域毎に設定される輝度信号及び、サブブロック毎の輝度信号のライト機能、輝度信号フィルタ部505に対して第2メモリ504からリードした輝度信号を出力する機能を有する。
【0043】
以下、第2輝度信号制御部503における領域の分割方法及び、輝度信号の生成方法に関して説明する。
<1−1−4−4−1−3−1.発光領域の分割方法>
1つの発光領域をサブブロックに分割する際、第2輝度信号制御部503は、サブブロック801が略正方形状になるよう分割するように構成する。ここで、略正方形状としたのは、1:1.3等の厳密には正方形状ではないものでも構わないためである。例えば、第2輝度信号制御部503は、発光領域22の縦横比が9:16である場合、略正方形状のサブブロックで144分割する構成となる。
【0044】
例えば4×2と水平方向に広がりを持つように、発光領域22内の光源21が配設されているとしても、略正方形状のサブブロックに分割することで、水平方向及び、垂直方向に同じ数だけ光源21が配設されている発光領域と同様の扱いをすることが可能となる。そのため、各光源21の光の拡散度合い、各光源21の配設方法、発光領域22に含まれる光源21の個数が変化する場合であっても、適切に発光領域における輝度信号を設定することが可能となる効果を奏する。
【0045】
なお、第2輝度信号制御部503は発光領域22に含まれる光源21の個数分だけ、当該発光領域22を分割する構成にしても構わない。具体的に、第2輝度信号制御部503は発光領域22に8個の光源21が含まれていると判断した場合、当該発光領域を8個のサブブロック801に分割する構成となる。この場合、光源21単位で制御を行うのと同様に扱うことが可能となるため、適切に発光領域における輝度信号を設定することが可能となる効果を奏する。
【0046】
図8は、サブブロック分割部423の分割動作を説明するための模式図である。図8は、1つの発光領域22に対して、4個のサブブロック801に分割する動作を示している。
<1−1−4−4−1−3−2.サブブロックに対応する輝度信号の生成方法>
サブブロック毎に輝度信号を算出する際、第2輝度信号制御部503は、1つの発光領域内の全サブブロックの輝度信号を、発光領域の輝度信号と設定する構成でも構わない。例えば、発光領域の輝度信号が0.5である場合、当該発光領域内のサブブロックの輝度信号は全て0.5と設定する。
【0047】
なお、第2輝度信号制御部503は、サブブロック毎に輝度信号を算出する際、当該サブブロックに対してフィルタ処理を行なう構成にしても構わない。フィルタ処理を行なう際のフィルタ係数は、各光源21の光の拡散度合い、各光源21の配設方法、発光領域22に含まれる光源21の個数によって設定される値である。また、拡散板が設けられている場合は、当該拡散板の光拡散特性を基にフィルタ係数を設定しても構わない。
【0048】
例えば4×2と水平方向に広がりを持つように、発光領域22内の光源21が配設されている場合、仮想光源23が発光領域の中心にあるとすると、当該仮想光源23を中心として略楕円形状に輝度信号が変化していくようにフィルタ係数を設定するようになる。
【0049】
上記のように構成することで、発光領域22内の詳細な光特性を表現することが可能となるため、適切に輝度信号を算出することが可能となる。
【0050】
図9は、第2輝度信号制御部503におけるサブブロック毎の輝度信号算出の数値例を示す図である。本発明の実施の形態1においては、第2輝度信号制御部503に対して図7に示す発光領域毎の輝度信号が入力されるものとしている。
【0051】
図9に示す数値例において、第2輝度信号制御部503は、1つの発光領域22を、まず4つのサブブロック801に分割する。さらに、発光領域22毎に設定された16個の輝度信号に基づいて、サブブロック801に対応する64個の輝度信号を生成する。本発明の実施の形態1においては、発光領域22に設定された輝度信号の値をそのまま使用する構成としている。
<1−1−4−4−1−4.第2メモリ>
第2メモリ504は、第2輝度信号制御部503から入力される分割情報及び、サブブロック毎に設定された輝度信号を蓄積する機能を有する。
<1−1−4−4−1−5.輝度信号フィルタ部>
輝度信号フィルタ部505は、第2輝度信号制御部503から入力される分割情報及び、サブブロック毎の輝度信号に対してフィルタ処理を行なう機能を有する。また、輝度信号フィルタ部505は、フィルタ処理して得られるサブブロック毎の輝度信号を補間部506に出力する。
【0052】
フィルタ処理を行なう際のフィルタは、2次元のフィルタとして設定されており、仮想光源23における輝度分布特性を有する。つまり、サブブロック毎に算出された輝度信号に当該フィルタを用いてフィルタ処理することで、注目する仮想光源23における輝度信号の影響に加えて、当該注目する仮想光源の周辺に配設される仮想光源からの影響を考慮した輝度信号に変換することが可能となる。ここで、注目する仮想光源の周辺に配設される仮想光源からの影響とは、例えば隣接する発光領域から漏れこむ光、光源21がLEDの場合であれば、LEDレンズの光拡散特性等の影響である。
【0053】
なお、フィルタサイズは、第2輝度信号制御部503において分割される分割数に応じて設定されるサイズであっても構わないし、分割数よりも大きなサイズで設定されるものであっても構わない。例えば、8行8列のサブブロックに分割した場合であれば、フィルタサイズは15行15列のサイズで設定されることになる。
<1−1−4−4−1−6.補間部>
補間部506は、輝度信号フィルタ部505から入力されるサブブロック毎に算出された輝度信号を基に、画素毎のピーク輝度信号を算出する機能を有する。ここで、ピーク輝度信号とは、映像信号に基づいて算出される発光領域毎の輝度信号から推定される、液晶パネル10が有する画素における輝度信号のピーク値である。
【0054】
図10は、補間部506における補間処理を説明するための図である。図10においては、9個のサブブロック801に分割されている発光領域22において、当該サブブロック801を画素1001毎に分割することを示している。なお、サブブロック801には、6個の画素1001が含まれていると設定しているが、サブブロック801に含まれる画素数はどのような値を用いても構わない。
【0055】
具体的に補間部506は、サブブロック801に輝度信号が0.5と設定されている場合、当該サブブロック801に含まれる画素全てのピーク輝度値を0.5と設定する動作となる。
【0056】
なお、上記の動作に限定されるものではなく、画素1001毎に推定発光輝度値を算出する際に一般的に用いられている補間処理を使用する構成でも構わない。また、上記のように画素毎に推定発光輝度値を算出した後、例えばローパスフィルタ等のフィルタ処理を行なう構成にしても構わない。画素毎に分割した後、ローパスフィルタを用いてフィルタ処理することにより、視覚される輝度特性が滑らかになるため、液晶パネルを通じて自然な映像を表示することが可能となる効果を奏する。また、上記のフィルタ処理に用いられるフィルタは、ローパスフィルタに限定されるものではなく、バックライト部20の発光特性等に合わせて設定されたフィルタを用いても構わない。
<1−1−4−4−2.輝度信号補正部>
輝度信号補正部4402は、入力される推定発光輝度値、映像信号及び、画素毎のピーク輝度信号を基に、当該映像信号に設定される画素における輝度信号の補正を行う機能を備える。
【0057】
図11は、輝度信号補正部702における補正動作を説明するための概念図である。
【0058】
図11における横軸は、図12に示すように発光領域22を所定の行1201で切った場合の各画素を示すものである。つまり、x0及び、x3は発光領域の端に位置する画素となる。また、縦軸は、各画素における発光輝度値を示している。図11においては、xmaxの位置における推定発光輝度値をLmax、発光輝度値をLmax0と設定する。
【0059】
図11に示すように、本来xmaxの位置においてはLmax0の発光輝度値とすべきところ、xmaxにおける推定発光輝度値はLmaxのため、Lmax0まで発光させることが出来ない。そこで、輝度信号補正部4402は、xmaxの位置における画素の輝度信号をLmaxと補正すると共に、周囲の画素における輝度信号も当該xmaxの補正動作に応じて補正を行う。つまり、輝度信号補正部4402は、当初予定していた発光輝度特性801を、発光輝度特性802となるように注目画素における輝度信号の補正を行う。具体的には、発光輝度値がL1以上Lmax0未満の画素に関しては、ハイライト部分においても階調が保存されるようになだらかに輝度値が変化するよう輝度信号を補正する。また、L1未満の発光輝度値の画素に関しては、輝度信号の補正は従来どおり補正を行い出力を行う。
<1−1−4−4−2−1.輝度信号補正部における具体的補正方法>
以下、輝度信号補正部702における具体的な補正方法に関して図面を参照しながら説明する。ここで補正後の画素における輝度信号をDcとし、画素におけるピーク輝度信号をDmax、推定発光輝度値をD0、映像信号に規定される輝度信号をDと設定する。輝度信号補正部702においては、Dを、D0,Dmaxを基にDcに変換することが主な機能となる。なお、下記に示す補正方法は、推定発光輝度値D0よりも、ピーク輝度信号Dmaxが大きい場合、つまり映像信号ではDmaxの輝度信号に規定される輝度値を要求されているが、画素において推定された発光輝度値はDmaxよりも小さく輝度値が飽和してしまう場合に有効な補正である。特に、実際の映像信号に多数分布している輝度信号が小さい部分に関しては、当該映像信号に設定される階調特性を保存すると共に、ハイライト側の階調特性も補償することが可能となる。
【0060】
図13は、輝度信号補正部702における具体的な補正方法を説明するための図である。
【0061】
図13において、x軸として映像信号に規定される輝度信号Dを設定し、y軸として補正後の輝度信号を設定する。また、図13におけるD1は補正後の輝度信号で最大発光可能な値を示し、1.0と設定する。
【0062】
図13におけるD2は、設計者が予め設定を行う値であり、推定発光輝度値D0の70%の値等、D0よりも小さい値であればどのような値でも構わない。ただし、D2がD0に近づくにつれ、ハイライト側のコントラストが潰れてしまう。そのため、例えば、ハイライト側の階調特性を残したい場合は、D0と、D2の間隔を大きく取る構成とする。逆に、暗い側の階調を残したい場合は、D2をD0に近づける構成とする。本実施の形態1においては、D2の値をD0の70%と設定する。
【0063】
まず、補正を行う画素に規定される推定発光輝度値D0を基に、入力される輝度信号が0.0からD2の範囲に対して、出力される輝度信号を規定する直線(数1)を求める。
【0064】
【数1】

【0065】
次に、補正を行う画素に対応するピーク輝度信号Dmax、D2及び、(数1)を基に、入力される輝度信号がD2からDmaxの範囲に対して、出力される輝度信号を規定する直線(数2)を求める。
【0066】
【数2】

【0067】
次に、映像信号に規定される輝度信号Dを、当該輝度信号Dの値に応じて(数1)若しくは、(数2)に代入し、補正後の輝度信号Dcを算出する。
【0068】
具体的に、輝度信号Dが0.0からD2までの値である場合は、(数1)に代入して、補正後の輝度信号を算出する構成となる。また、輝度信号DがD2からDmaxまでの値である場合は、(数2)に代入して、補正後の輝度信号を算出する構成となる。
【0069】
図14は、映像信号の輝度信号と、実際に液晶パネルにおける画素の発光輝度値の関係を示す図である。
【0070】
図14に示すように、上記の補正を行うことで元々映像信号に規定される輝度信号のうち、0.0からD2までの輝度信号の部分は、そのままの階調特性を保持したまま発光させることができ、さらにD2からDmaxまでの輝度信号については階調特性を残して補正後の輝度信号を設定することが可能となる。
【0071】
つまり、入力信号の輝度信号をそのまま適用し、画素における透過率を制御した場合、図14における直線1401に示す発光特性となるところ、補正を行い直線1402に示す発光特性とすることが出来る。
<1−2.まとめ>
上記のような構成により、本発明の実施の形態1における液晶表示装置は、入力される映像信号に規定される液晶パネルにおける画素の輝度信号を基にピーク輝度信号を算出し、当該ピーク輝度信号と、映像信号に規定される輝度信号と、信号補正部43から出力される推定発光輝度値と、を用いて当該映像信号に規定される輝度信号を、ハイライト側の階調特性を残したまま補正することが可能となる。これより、入力画像信号の輝度信号を補正する際、画素毎に適切な輝度信号を設定することができるため、従来の液晶表示装置に比べ、バックライト部を領域毎に発光を制御した場合であっても高品位な映像を表示することが可能となる効果を奏する。
<2.実施の形態2(映像補正部の変形例)>
以下、映像補正部の変形例である本発明の実施の形態2について説明していく。本発明の実施の形態1における映像補正部は、入力される輝度信号が、0.0からD2における場合と、D2からDmaxにおける場合とで当該輝度信号の出力特性を変化させ、ハイライト側に階調特性を残すように輝度信号の補正動作を行なっていた。しかし、注目画素の輝度信号を補正する場合、周りの平均輝度が低い場合にハイライト側を残す補正を行うと、全体的に輝度信号が小さくなり液晶パネルに表示される画像全体が暗くなってしまう。
【0072】
そこで、本発明の実施の形態2においては、映像補正部において、画素における輝度信号を補正する際、映像信号における輝度信号から算出される画素毎のピーク輝度信号を基に生成可能な、注目画素における輝度信号の周辺における輝度信号に対する平均輝度信号に応じて輝度信号の補正動作を変更させる構成を特徴としている。
【0073】
上記のように構成することで、例えば、周辺の輝度特性を考慮して輝度信号の補正動作を変更することが出来るため、より自然な階調特性を表現することが可能となる。
【0074】
なお、本発明の実施の形態1における液晶表示装置との相違点は、映像補正部における輝度信号の補正処理が、注目する画素におけるピーク輝度信号に対する周辺画素のピーク輝度信号を用いて生成可能な平均輝度信号を使用する点である。そのため、本実施の形態2においては映像補正部を中心に説明を行う。
【0075】
なお、本発明の実施の形態2において、実施の形態1と機能が同じものに関しては同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0076】
以下、本発明の実施の形態1における液晶表示装置との相違点に関して図面を参照しながら説明する。
<2−1.映像補正部>
図15は、映像補正部1501の構成を示す模式図である。
【0077】
映像補正部1501は、平均輝度信号算出部1502、変化率決定部1503、輝度信号補正部1504を備える構成となっている。
<2−1−1.平均輝度信号算出部>
平均輝度信号算出部1502は、入力される映像信号において設定される液晶パネル10の画素における輝度信号のうち、所定の領域内で最大となる輝度信号を基に、画素毎のピーク輝度信号Dmaxを算出する機能を備える。さらに、当該画素毎のピーク輝度信号Dmaxを基に、注目する画素におけるピーク輝度信号Dmaxの周辺に対する平均輝度信号Daveを算出する機能を備える。また、平均輝度信号算出部1502は、算出した平均輝度信号Daveを変化率決定部に出力する。
【0078】
図16は、平均輝度信号算出部1502の具体的な構成を示す模式図である。平均輝度信号算出部1502は、ピーク輝度信号算出部4401が備える構成に加えて新たに、平均値フィルタ部1601を備える構成となる。
<2−1−1−1.平均値フィルタ部>
平均値フィルタ部1601は、補間部506から入力される画素毎におけるピーク輝度信号を基に、注目画素における輝度信号の、当該注目画素の周辺における画素の輝度信号に対する平均輝度信号を算出する機能を備える。
【0079】
以下、平均輝度信号の算出方法に関して図面を参照しながら説明する。
<2−1−1−1−1.平均輝度信号Daveの算出方法>
次に、平均輝度信号算出部1601の平均輝度信号Daveの算出方法に関して、図面を参照しながら説明する。
【0080】
図17は、画素毎に設定されるピーク輝度信号Dmaxを基に、平均輝度信号Daveを算出する方法を説明するための図である。図17に示すように、4行4列目における注目画素の平均輝度信号を算出する場合は、当該注目画素を中心とする9画素分を用いて平均輝度信号を算出する構成となる。
【0081】
なお、平均輝度信号を算出する際に使用する画素数は9画素以外の値、例えば25画素数等、画素間における輝度信号の変化率等を考慮して決定される値であってもかまわない。
<2−1−2.変化率決定部>
変化率決定部1503は、平均輝度信号算出部1502から入力される画素毎の平均輝度信号及び、信号補正部43から入力される推定発光輝度値を基に、輝度信号補正部1504にて使用される変化率を画素毎に算出する機能を備える。また、変化率決定部1503は、画素毎に算出した変化率を輝度信号補正部1504に出力する。
<2−1−2−1.変化率決定部における動作>
次に、変化率決定部1503における変化率決定方法について図面を参照しながら説明する。
【0082】
図18は、平均輝度信号算出部1502から入力される平均輝度信号と、変化率との関係を示す図である。ここで画素におけるピーク輝度信号をDmax、当該画素における推定発光輝度値をD0、変化率をkと設定する。
【0083】
図18に示すように、平均輝度信号が大きい場合はDmaxの輝度信号で規定される輝度値まで階調特性がでるように変化率が設定される。また、平均輝度信号が小さい場合は、D0の輝度信号で規定される輝度値まで階調特性がでるように変化率が設定される。さらに、平均輝度信号が上記の中間値である場合は、階調特性が連続的に変化するように変化率が設定される。例えば、平均輝度信号が0.7等の大きい値を取る場合、変化率は図14に示すk2の値と設定される。
また、平均輝度信号が0.2と小さい場合、変化率は図18に示すk1の値と設定される。
<2−1−3.輝度信号補正部>
輝度信号補正部1504は、入力される推定発光輝度値、映像信号及び、変化率kを基に、当該映像信号に設定される画素における輝度信号の補正を行う機能を備える。
<2−1−3−1.輝度信号補正部における補正方法>
以下、輝度信号補正部1504における補正方法について、図面を参照しながら説明する。
【0084】
図19は、輝度信号補正部1504における具体的な補正方法を説明するための図である。ここで補正後の画素における輝度信号をDc、映像信号に規定される輝度信号をDと設定する。輝度信号補正部1504においては、Dを、変化率kを基に規定される変換特性を基にDcに変換することが主な機能となる。
【0085】
まず、補正を行う画素に規定される変化率kを基に、入力される輝度信号が0.0からD2の範囲に対して、出力される輝度信号を規定する直線(数3)を求める。
【0086】
【数3】

【0087】
次に、映像信号に規定される輝度信号Dを、(数3)に代入し、補正後の輝度信号Dcを算出する。なお、補正後の輝度信号Dcの値が1.0を超える場合は常に1.0と再設定されるものとする。
【0088】
図20は、映像信号の輝度信号と液晶パネルにおける画素の発光輝度の関係を示す図である。
【0089】
図20に示すように、平均輝度信号の大きい画素に関しては、Dmaxまで連続的に階調が表現できるように輝度値を設定することができる。しかし、元々映像信号に規定されていると輝度値よりも小さいものとなる。これば、輝度値を小さく設定する変わりにハイライト側の階調特性を残すように設定したからである。また、平均輝度信号の小さい画素に関しては、D0まで階調特性が保存されたまま輝度値を設定することができる。しかし、映像信号に規定されている輝度信号からはLmax以上の輝度値を求められているが、輝度信号を1.0以上に設定することができないため、輝度値が飽和してしまう。これは、ハイライト側の階調特性を犠牲にする代わりに、暗い部分における階調特性を映像信号に規定されるものと同一とするように設定したためである。
【0090】
つまり、画素における平均輝度信号が小さい場合は、図20における直線2001に示す発光特性となる。一方、画素における平均輝度が高い場合は、図20における直線2002に示すハイライト側まで階調特性を表現可能な発光特性と設定することが可能となる。
<2−2.まとめ>
上記のような構成により、本発明の実施の形態2における液晶表示装置は、入力される映像信号に規定される液晶パネルにおける画素の輝度信号を基にピーク輝度信号を算出し、算出したピーク輝度信号から、画素毎におけるピーク輝度信号の平均輝度信号を算出し、当該平均輝度信号から映像信号の輝度信号を補正する際の変化率を算出し、当該算出した変化率を用いて補正後の輝度信号を算出することが可能となる。これより、入力画像信号の輝度信号を補正する際、注目画素の周辺におけるピーク輝度信号を考慮した補正を行うことが出来るため、ハイライト側の階調特性を保存すると共に、輝度信号の補正を行うことが可能となる効果を奏する。
<3.実施の形態3(平均輝度信号算出部の変形例)>
以下、平均輝度信号算出部の変形例である本発明の実施の形態3について説明していく。本発明の実施の形態2において説明した平均輝度算出部1502は、入力される輝度信号のピーク輝度信号を画素毎に算出し、当該ピーク輝度信号の平均輝度信号を算出する構成となっていた。しかし、ピーク輝度信号の平均輝度信号を考慮した場合、例えば発光領域22の1つの画素のみが周辺画素より高い輝度信号となるような状況下においては、発光領域22全体の最適化を図ることができなかった。
【0091】
そこで、本発明の実施の形態3においては、平均輝度信号算出部が、画素における輝度信号を補正する際、注目画素における輝度信号の周辺における輝度信号に対する平均輝度信号に応じて輝度信号の補正動作を変更する特徴を備える構成となる。
【0092】
上記のように構成することで、例えば、周辺の輝度特性を考慮して輝度信号の補正動作を変更することが出来るため、液晶パネル全体における輝度信号の最適化を図った階調特性を表現することが可能となる。
【0093】
なお、本発明の実施の形態2における液晶表示装置との相違点は、映像補正部が平均輝度信号算出部の代わりに、平均フィルタ部1601を備える点である。
【0094】
図21は、本発明の実施の形態3における映像補正部2101を示す図である。なお、本発明の実施の形態3における映像補正部2101は、実施の形態1及び、2と構成のみが異なり、機能は同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【0095】
上記のように構成することで、入力される映像信号の輝度信号を基に、画素における周辺の画素の輝度信号を考慮した平均輝度信号を算出することがでる。さらに、当該平均輝度信号を基に映像信号の輝度信号を補正する際の変化率を算出し、当該算出した変化率を用いて補正後の輝度信号を算出することが可能となる。これにより、入力画像信号の輝度信号を補正する際、注目画素の周辺における輝度信号を考慮した補正を行うことが出来るため、液晶パネル10全体を最適化するように輝度信号の補正を行うことが可能となる効果を奏する。
<4.その他の実施形態>
以下、その他の実施の形態に関して説明する。
【0096】
本発明の実施の形態1から2において、バックライト部20の側面部に仮想光源23からの照射光を反射する反射板を設ける構成にしても構わない。図22は、バックライト部20に反射板2201が設けられた構成を示す図である。バックライト部20に反射板2201が設定されると、仮想的にバックライト部20が拡大されたような挙動を示す。つまり、バックライト部20の周辺に仮想的なバックライト部2202、2203、2204を備える構成とみなされる。
【0097】
本発明の実施の形態におけるフィルタ処理は、仮想的に設定されたバックライト部20に対しても処理する構成となる。
【0098】
上記のような構成を行うことで、さらに精度よく注目画素におけるピーク輝度信号及び、平均輝度信号を算出することが可能となる。
【0099】
本発明の実施の形態1から2において、光源21は白色光を発するLEDを用いるとしたが、RGBの光を混色して白色を発するものでR,G,Bそれぞれの発光輝度を制御できるものであっても良い。図23はR,G,Bが独立して制御できるバックライトを有する液晶表示装置の制御部の構成を示す図である。バックライト制御部41からはR,G,Bそれぞれに対応する輝度信号が出力される。輝度推定部および信号補正部に関してはR,G,Bそれぞれに対応するように3系統もうけられている。このように構成することでR,G,B毎の推定発光輝度値を算出することになる。さらに、図24は映像補正部2301の具体的な構成を示す図である。R,G,Bが独立して制御される場合、ピーク輝度信号算出部には、RGB信号からそれぞれ生成される推定発光輝度値が入力されピーク輝度値が決定される。また、生成されたピーク輝度値を基に、輝度信号補正部においてはR,G、Bが独立して制御されることになる。
【0100】
上記のような構成を行うことで、R,G、Bが独立して発光輝度が制御できる場合であっても精度良く注目画素における推定発光輝度値を算出することが可能となる。
【0101】
なお、上記の実施の形態1から実施の形態3を組み合わせて用いても構わない。また、その他の実施の形態を実施の形態1から実施の形態3と組み合わせて用いても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明にかかる表示装置および表示方法は、よれば、高品位な映像を表示しつつ、消費電力の低減を図ることが可能になるので、液晶表示装置に適用して好適な表示装置および表示方法等として有用である。
【符号の説明】
【0103】
10 液晶パネル
20 バックライト部
21 光源
22 発光領域
23 仮想光源
30 バックライトドライバ
40 制御部
41 バックライト制御部
42 輝度推定部
43 信号補正部
44、1501、2101、2301 映像補正部
501 第1透過率制御部
502 第1メモリ
503 第2透過率制御部
504 第2メモリ
505 輝度信号フィルタ部
506 補間部
801 サブブロック
1001 当初予定していた発光特性
1102 発光特性
1201 行
1401 従来の階調特性
1402 補正後の階調特性
1502 平均輝度信号算出部
1503 変化率決定部
1504、4402 輝度信号補正部
1601 平均値フィルタ部
2001 発光特性
2002 ハイライト側まで階調特性を表現可能な発光特性
2201 反射板
2202、2203、2204 仮想的なバックライト部
4401 ピーク輝度信号算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される映像信号による映像を表示する液晶パネルと、
当該液晶パネルを照射する複数の光源と、
前記映像信号に応じて、前記複数の光源の発光輝度値を規定する輝度制御信号を、前記液晶パネルの所定の領域毎に生成する輝度制御部と、を備える液晶表示装置であって、
前記輝度制御信号に応じて、前記液晶パネルが有する画素の光源輝度値を推定する輝度推定部と、
前記光源輝度に応じて、第1の補正量を算出する第1補正量算出部と、
前記領域が有する画素の最高輝度値と、前記映像信号と、に応じて前記第1の補正量を補正して第2の補正量を算出する第2補正量算出部と、
前記第2の補正量に応じて、前記映像信号を補正する映像補正部と、を備える、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第2補正量算出手段はさらに、前記映像信号が第1の値よりも小さい値である場合、第1の補正量を用いて補正を行い、前記映像信号が第1の値よりも大きく、かつ、第2の値よりも大きい値である場合、第2の補正量を用いて補正を行うことを特徴とする、
請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−17910(P2011−17910A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162629(P2009−162629)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】