説明

液晶表示装置

【課題】直下型のバックライトを備え、画面の輝度を均一にしながらも消費電力及び発熱量を削減することができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、バックライト4に含まれる複数のLED41を、中央部分で密に端側部分で疎になるように不均等に配置してある。バックライト4には、発光効率及び発光スペクトラムが異なる複数種類のLED41が含まれており、バックライト4の端側部分に発光効率のより高いLED41が配置されている。バックライト4の中央部分に比べて、端側部分に配置されたLED41の発光量は大きいので、液晶表示装置の画面の輝度は均一になる。また、LEDを均一に配置した場合に比べて、発光するLED41の数が減少するので、消費電力が減少し、発熱量も減少する。また液晶表示装置は、RGBの階調を補正することにより、LED41の発光スペクトラムの違いに起因する色の差異を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直下型のバックライトを用いて画像を表示する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、コンピュータのディスプレイ、テレビジョン受像機、及び各種の情報を表示する情報ディスプレイ等に広く利用されている。液晶表示装置は、液晶パネルと液晶パネルを背面から照明するバックライトとを備えており、バックライトとして、液晶パネルの背面側に光源を配置した直下型のバックライトを用いたものがある。特に、光源としてLED(発光ダイオード)を用い、多数のLEDを液晶パネルの背面側に配置してある液晶表示装置は、画質を重視する用途に用いられている。近年では、人間の瞳が円形であるために人間の視覚には画面の中心の輝度がより敏感に感知されることに対応して、中心部分のバックライトの輝度を高くして、視覚上の輝度ムラを目立ちにくくする技術が開発されている。特許文献1には、多数のLEDの配置を不均一にするか、又は個々のLEDの発光量を不均一にすることによって、液晶表示装置の画面の一部の輝度を他の部分よりも高くすることができるバックライトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−317423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公共スペースに設置された情報ディスプレイ等、多数の視聴者に複数の視点から画像を観賞される液晶表示装置は、人間の感覚的に画質が保たれるように、画面の輝度を均一にしておく必要がある。LEDを液晶パネルの背面側に均一に配置して均一に発光させるバックライトは、画面内の輝度を均一にすることができるものの、消費電力が大きく、発熱量も大きいという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、直下型のバックライトを備え、画面の輝度を均一にしながらも消費電力及び発熱量を削減することができる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、該液晶パネルの背面に沿って複数の発光素子を配置してあるバックライトとを備える液晶表示装置において、発光効率が異なる複数種類の発光素子を、前記バックライトの中央部分よりも端側部分で発光効率を高くして配置してあることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、複数の発光素子を含む直下型のバックライトを備える液晶表示装置は、発光効率が異なる複数種類の発光素子を用い、バックライトの中央部分よりも端側部分に発光効率の高い発光素子を配置してある。バックライトの端側部分の発光素子の数を減らすか、又は端側部分の発光素子の消費電力を低下させることにより、画面の輝度を均一にすることができる。
【0008】
本発明に係る液晶表示装置は、前記バックライトに照明された前記液晶パネルの輝度が均一になるように、前記複数の発光素子の配置密度を、前記バックライトの中央部分よりも端側部分で低くしてあることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、液晶表示装置は、バックライトに含まれる複数の発光素子を、中央部分で密に端側部分で疎になるように不均等に配置してある。複数の発光素子を発光させたときに画面の輝度を均一にすることができる。
【0010】
本発明に係る液晶表示装置は、複数の発光素子を一列に並べてあり、列の中央部分よりも端側部分で発光素子間の距離を長くしてある列状ユニットを複数備え、複数の前記列状ユニットを、発光素子の列に交差する方向に並列に配置してあり、前記列状ユニット間の距離を、前記バックライトの中央部分よりも端側部分で長くしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、液晶表示装置は、複数の発光素子を不均等に一列に並べた列状ユニットを備え、複数の列状ユニットを並列に不均等に配置してある。複数の列状ユニットを配列させることにより、複数の発光素子の不均等な配置が実現される。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置は、前記複数の発光素子の配置密度を均等にしてあり、前記複数の発光素子を同一の光量で発光させる手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、液晶表示装置は、バックライトには発光効率が異なる複数種類の発光素子を均等に配置してあり、複数の発光素子を同一の光量で発光させる。発光効率の高い発光素子では、消費電力が低くなる。
【0014】
本発明に係る液晶表示装置は、前記液晶パネルは、画像中の夫々のピクセルを表示する部分で、前記バックライトの光から複数色の光の夫々を多階調で生成する構成としてあり、前記複数種類の発光素子の発光スペクトラムの違いによる色の差異を減少させるべく、前記液晶パネルの夫々の前記部分で生成する各色の光の階調を補正する手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、液晶表示装置は、液晶パネルの各部分で生成する複数の色の光の階調を補正することにより、発光効率が異なる発光素子の発光スペクトラムの違いによる色の差異を減少、即ち中央から端への色の変化を滑らかにさせ、液晶パネルの各部分での色の差異を視覚的に検知されにくくする。
【0016】
本発明に係る液晶表示装置は、前記液晶パネルは、画像中の夫々のピクセルを表示する部分で、赤、緑、青及び他の色の光を生成する構成としてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、液晶表示装置は、各ピクセル表示部では、赤、緑及び青に加えて黄色等のもう一色の色を発色させることにより、画像の表示色の数を増加させる。
【0018】
本発明に係る液晶表示装置は、テレビジョン信号を受信する手段と、該手段が受信したテレビジョン信号に基づいた画像を前記液晶パネルに表示させる手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、液晶表示装置は、テレビジョン受像機としての使用が可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明にあっては、画面の輝度を均一にしながらも、液晶表示装置の消費電力及び発熱量を削減することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】液晶表示装置の一部の構成を示す模式的分解斜視図である。
【図2】液晶表示装置の電気的機能構成を示すブロック図である。
【図3】液晶パネルの一部の構成を示す模式図である。
【図4】実施の形態1に係るバックライトの構成を示す模式図である。
【図5】LEDの発光スペクトラムの例を示す模式的特性図である。
【図6】補正前後の階調値の関係を示す模式的特性図である。
【図7】LUTの記録内容例を示す概念図である。
【図8】実施の形態2に係る液晶表示装置のバックライトの構成を示す模式図である。
【図9】実施の形態3に係る液晶表示装置のバックライトの構成を示す模式図である。
【図10】実施の形態4に係る液晶表示装置のピクセル表示部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、液晶表示装置の一部の構成を示す模式的分解斜視図である。矩形状の液晶パネル1の背面側に、発光面を液晶パネル1に向けた直下型のバックライト4が設けられている。バックライト4は複数のLEDを液晶パネル1の背面に沿って配置してなる。液晶パネル1とバックライト4との間には、光拡散シート及びレンズシート等の複数の光学シート5が設けられている。液晶パネル1には、液晶を駆動させるための複数のソースドライバ21及びゲートドライバ22が連結されている。複数のソースドライバ21及びゲートドライバ22には、ソース基板23及びフレキシブル基板24を介して、コントロール基板25が接続されている。コントロール基板25には、液晶パネル1の動作を制御するコントロール回路3、及びデータを入力される内部インタフェース部26が設けられている。
【0023】
図2は、液晶表示装置の電気的機能構成を示すブロック図である。液晶表示装置は、テレビジョン受像機又は情報ディスプレイ等として用いられる。液晶パネル1には、複数のソースドライバ21及びゲートドライバ22が接続され、複数のソースドライバ21及びゲートドライバ22にはソース基板23が接続されている。なお、図2中には、ソースドライバ21及びゲートドライバ22を一つずつ記載しているのみであるが、液晶パネル1には、複数のソースドライバ21及びゲートドライバ22が接続されている。コントロール回路3は、液晶パネル1を動作させるための演算を行う液晶コントローラ31と、液晶パネル1で表示する色の階調値を補正するために必要な数値を記録したLUT(ルックアップテーブル)32とを含んでいる。液晶コントローラ31は、図2には図示しないフレキシブル基板24を介してソース基板23に接続されている。
【0024】
また液晶表示装置は、各部の動作を制御する制御部61を備えている。制御部61は、バックライト4に接続されており、バックライト4の動作を制御する。また、制御部61は、図2には図示しない内部インタフェース部26を介して液晶コントローラ31に接続されている。また、制御部61には、放送されたテレビジョン信号等の放送信号を受信する受信部62と、外部から入力された画像データを受け付けるインタフェース部63とが接続されている。制御部61は、受信部62が受信した放送信号に基づいて画像データを生成し、生成した画像データを液晶コントローラ31へ入力し、インタフェース部63が受け付けた画像データを液晶コントローラ31へ入力する。液晶コントローラ31は、制御部61から入力された画像データに応じた画像を液晶パネル1に表示させるべく、ソースドライバ21及びゲートドライバ22の動作を制御するための制御信号をソースドライバ21及びゲートドライバ22へ入力する。ソースドライバ21及びゲートドライバ22は、液晶コントローラ31からの制御信号に従って、液晶パネル1の各部分を動作させるための電圧を印加する。なお、液晶表示装置は、受信部62を備えていない形態であってもよい。
【0025】
図3は、液晶パネル1の一部の構成を示す模式図である。液晶パネル1は、画像中の複数のピクセルを表示するための複数のピクセル表示部11を含んでおり、複数のピクセル表示部11は縦横に均一に配置されている。また、一方向に複数のソースバスライン12が並列に配置され、直交する方向に複数のゲートバスライン13が並列に配置されている。夫々のソースバスライン12及びゲートバスライン13は個々のピクセル表示部11に接続されており、一本のソースバスライン12と一本のゲートバスライン13とを選択することにより一つのピクセル表示部11が選択されるようになっている。各ソースバスライン12は何れかのソースドライバ21に接続され、各ゲートバスライン13は何れかのゲートドライバ22に接続されている。各ピクセル表示部11は、R(赤)G(緑)B(青)の三つのサブピクセル表示部を含んでなり、各サブピクセル表示部はRGBのいずれかの光を透過させるカラーフィルタとTFT(Thin Film Transistor)とを含んでなる。
【0026】
ゲートドライバ22がゲートバスライン13を経由してゲート電圧を印加することにより、サブピクセル表示部のTFTがオンになる。TFTがオンになったサブピクセル表示部へ、ソースドライバ21からソースバスライン12を経由して電圧が印加され、印加された電圧値によって液晶の透過率が変化する。バックライト4からの光は、複数の光学シート5を通して液晶パネル1へ照射される。液晶の透過率が変化することによって、バックライト4からの光がサブピクセル表示部のカラーフィルタを透過してピクセル表示部11から出射する。このようにして各ピクセル表示部11はRGBの各色の光を生成し、RGBの光の組み合わせで任意の色が表現されてピクセルが表示され、液晶パネル1全体で画像の表示が行われる。液晶表示装置は、各ピクセル表示部11での液晶の透過率を制御することにより、各ピクセル表示部11で生成するRGBの各色の光量を多階調で調整する。
【0027】
図4は、実施の形態1に係るバックライト4の構成を示す模式図である。バックライト4は、複数のLED(発光素子)41を面状に配置して構成されており、各LED41は、金属製の構造体に固定されている。LED41は、青色光又は紫外光を発光するLEDに蛍光体を添加してなる白色LEDである。青色光又は紫外光を発光するLEDは、例えば窒化物化合物半導体を用いて構成されている。蛍光体は、青色光又は紫外光を吸収してより波長の長い光へ変換し、白色光が発生する。なお、LED41は、RGBの各色光を発光する複数種類のLEDが一つのパッケージ内に納められた形態であってもよい。また、LED41は、複数の波長で発光するLEDであってもよい。
【0028】
バックライト4は、発光効率及び発光スペクトラムが異なる複数種類のLED41を備えており、複数のLED41は不均等に配置されている。本発明では、LED41の発光スペクトラムを、LED41の位置に応じて異ならせてある。以下に、複数のLED41の発光スペクトラムと配置との関係を説明する。
【0029】
複数のLED41は、同一の消費電力で発光する。光の周波数をf、各LED41が配置された位置の二次元座標を(α,β)として、各LED41の発光スペクトラムを、LP(f,α,β)とする。バックライト4が備える複数のLED41の数をNとし、夫々のLED41にナンバリングして任意のLED41の番号をnとする。N及びnは自然数であり、1≦n≦Nである。また、n番目のLED41のα座標をαn 、β座標をβn とし、バックライト4と液晶パネル1との間の距離をdとする。座標が(α,β)で表される液晶パネル1の一部分に複数のLED41から照射される光のスペクトラムの合計をLPT(f,α,β)とすると、LPT(f,α,β)は下記の(1)式で表される。
【0030】
【数1】

【0031】
バックライト4では、図4に示すように、複数のLED41を、バックライト4の中央部分で密にして、端側部分では疎になるように不均等に配置してある。即ち、複数のLED41を配置してある密度は、バックライト4の中央で最高になり、中央から離れた端側ほど低くなっている。複数のLED41の密度の変化は、斑を避けるために、バックライト4の中央からの距離に応じて単純に減少するようになっている。例えば、バックライト4の中央でのLED41の密度をρとし、kを正の定数として、中央から距離lcだけ離れた位置でのLED41の密度がρ/(1+k*lc)となるように、複数のLED41が配置されてある。複数のLED41は、バックライト4の中心の周りに、ほぼ点対称に配置されていることが望ましい。
【0032】
液晶パネル1の各ピクセル表示部11に含まれるRGBのカラーフィルタの透過特性を、夫々CR(f)、CG(f)、CB(f)とする。また、液晶パネル1で色を表現する際のRGBの夫々の階調値を、rv、gv、bvとする。液晶表示装置は、RGBの各色の光量を8ビットで調整する。即ち、rv、gv及びbvの夫々は、0〜255の何れかの値をとる整数である。夫々の階調値でのRGBの各色について、液晶パネル1に用いられている液晶の透過率をVT(f,rv)、VT(f,gv)、VT(f,bv)とする。座標が(α,β)で表される液晶パネル1の一部分を透過する光のスペクトラムをLPp(f,rv,gv,bv,α,β)とすると、LPp(f,rv,gv,bv,α,β)は下記の(2)式で表される。
【0033】
【数2】

【0034】
X、Y、Zを三刺激値として、人間の目の特性に合わせたX、Y、Zのフィルタの透過特性を、夫々X_coef(f)、Y_coef(f)、Z_coef(f)とする。このとき、人間の目で認識される三刺激値X、Y、Zの夫々は、下記の(3)〜(5)式で表される。
【0035】
【数3】

【0036】
三刺激値X、Y、Zを液晶パネル1の各部分での輝度L、色度CX 、CY に直すと、下記の(6)〜(8)式になる。
L=Y …(6)
X =X/(X+Y+Z) …(7)
Y =Y/(X+Y+Z) …(8)
【0037】
バックライト4では、液晶パネル1の各部分間で白の輝度の誤差が可及的に最小になるように夫々のLED41の発光スペクトラムを定めてある。例えば、液晶パネル1の全体で、下記の(9)式で表される二乗誤差Eを最小にするように、夫々のLED41の発光スペクトラムを定めてある。ここで、座標が(α,β)で表される液晶パネル1の一部分での輝度の目標値をY_teachとし、αの最小値をαmin 、最大値をαmax 、βの最小値をβmin 、最大値をβmax とする。
【0038】
【数4】

【0039】
バックライト4では、以上のように発光スペクトラムを個々に定めてある複数のLED41を、図4に示すように不均等に配置してある。また、液晶表示装置は、複数のLED41を同一の消費電力で発光させる。複数のLED41の配置密度は中央部分で高く、端側部分で低いので、液晶パネル1の各部分間で白の輝度の誤差を小さくするためには、中央から離れるほど発光効率が高くなるようにLED41の発光スペクトラムを定めておく必要がある。ここでいう発光効率が高いLED41とは、単に絶対的な光量が大きいLEDに限らず、人間の感覚的により明るく見えるLEDのことである。
【0040】
図5は、LED41の発光スペクトラムの例を示す模式的特性図である。横軸は光の周波数を示し、縦軸は光のパワーを示す。図5には、青色光を発光するLEDに、青色光を吸収して黄色光を発光する蛍光体を添加したLED41の発光スペクトラムの例を示している。高周波数側の狭いピークは青色光であり、低周波側の広いピークは蛍光体による光である。実線はバックライト4の中央部分にあるLED41の発光スペクトラムを示し、破線はバックライト4の端側部分に配置されたLED41の発光スペクトラムを示す。発光スペクトラムの積分値がLED41の発光量となる。端側部分に配置されたLED41は、青色光の発光周波数をより高くし、蛍光体をより多く含有している。青色光のピークが高周波数側へシフトするとともに、より多くの青色光が蛍光体に吸収されるために、青色光のピーク値が低下している。また、蛍光体による黄色光が増加している。全体として、中央部分にあるLED41よりも端側部分にあるLED41の発光スペクトラムは、人間の感覚的により明るく見える発光スペクトラムになっており、LED41の発光効率が高くなっている。発光効率を高くするために発光スペクトラムが変化しているので、光の色度が変化している。色度の変化は、XY色度図上で白の位置がなるべく変化しないようにRGBの夫々の位置を変化させてあることが望ましい。
【0041】
バックライト4の中央部分と端側部分とでLED41の発光スペクトラムが異なるので、液晶パネル1の中央部分と端側部分とで色の再現性が異なる。液晶表示装置は、液晶パネル1の部分間での色の差異を減少させるべく、各ピクセル表示部11で生成する各色の光の階調を補正する補正処理を行う。以下に、液晶表示装置が実行する補正処理を説明する。
【0042】
液晶コントローラ31がソースドライバ21及びゲートドライバ22へ入力する制御信号には、各ピクセル表示部11で生成するRGBの各色の光量を8ビットで制御するための階調値が含まれている。階調値は0〜255の何れかの値をとる。液晶コントローラ31は、制御部61から入力された画像データに基づいて、各ピクセル表示部11でのRGBの階調値を生成する。但し、液晶パネル1の端側部分では、色の再現性が中央部分と異なっているので、画像データから生成した階調値をそのまま使用した場合は、中央部分と異なる色が表現されることとなる。そこで、液晶コントローラ31は、画像データで定められた色が液晶パネル1の端側部分でも表現されるように、画像データから生成した階調値を補正する処理を行う。
【0043】
図6は、補正前後の階調値の関係を示す模式的特性図である。図6の横軸は、RGBの各色の光量を制御するための階調値を示し、縦軸は階調値に応じた何れかの色の光量を示す。図6中には、液晶パネル1の中央部分のピクセル表示部11における階調値と光量との関係を実線で示し、液晶パネル1の端側部分のピクセル表示部11における階調値と光量との関係を実線で示す。画像データから生成された階調値を入力値とし、補正した階調値を補正値とする。また、画像データは、液晶パネル1の中央部分のピクセル表示部11で所望の色が表現されるように構成されているとする。補正値は、入力値に対応した液晶パネル1の中央部分のピクセル表示部11で生成するRGBの各色の光量と同一の光量を端側部分のピクセル表示部11で得るための階調値である。入力値と補正値との対応関係は、LUT32に予め記録されている。
【0044】
図7は、LUT32の記録内容例を示す概念図である。0〜255の夫々の入力値に対応して補正値が記録されている。例えば、255の入力値に対応して240の補正値が記録されており、25の入力値に対応して7の補正値が記録されている。0〜255の階調値の内、補正値として使われていない値が存在する。このため、液晶パネル1の端側部分では、色を多段階で表現するための階調数が減少する。液晶表示装置に表示された画像を人間が見る際には、人間は画面の中央に注目する傾向があるので、液晶パネル1の端側部分で色の階調数が減少しても、人間に認識される画質に与える影響は少ない。また、液晶パネル1の端側部分には、字幕又はテロップ等の文字が表示されることも多いので、色の階調数の減少による悪影響は少ない。LUT32には、液晶パネル1に含まれる全てのピクセル表示部11のRGBの各色について、入力値と補正値との関係が記録されている。液晶コントローラ31は、各ピクセル表示部11での各色について、制御信号に含まれる入力値を、LUT32で当該入力値に対応して記録されている補正値へ置き換えることにより、階調値を補正する処理を行う。なお、液晶表示装置は、8ビット以外の階調数でRGBの各色の光量を調整する形態であってもよい。
【0045】
また、制御部61は、受信部62が受信した放送信号に基づいて生成した画像データ、又はインタフェース部63が受け付けた画像データに対して、画像データが表す画像に含まれるエッジを緩和させる画像処理を行う構成となっている。例えば、制御部61は、予め記憶してある平滑化フィルタを用いた平滑化処理を行うことにより、画像に含まれるエッジを緩和させる。この際に、制御部61は、画像の中央部分でエッジを緩和させず、端側部分でよりエッジを緩和させる処理を行う。液晶パネル1に画像が表示された場合、画像中の端側部分では、液晶パネル1の輝度ムラが大きいので、エッジが強調されて人間の目に認識される。そこで、画像に含まれるエッジを端側部分でより緩和させる画像処理を画像データに対して行うことにより、表示された画像中のエッジが不自然に強調されることが抑制される。なお、エッジを緩和させる画像処理は、液晶コントローラ31で実行してもよい。
【0046】
次に、以上の構成でなる液晶表示装置の動作を説明する。制御部61は、バックライト4に、複数のLED41を同一消費電力で発光させる。例えば、複数のLED41は、同一の電流を供給されて発光する。また制御部61は、受信部62が受信した放送信号に基づいて生成した画像データ、又はインタフェース部63が受け付けた画像データに対して、画像データが表す画像に含まれるエッジを緩和させる画像処理を行う。制御部61は、次に、画像処理後の画像データを液晶コントローラ31へ入力する。液晶コントローラ31は、複数のソースドライバ21及びゲートドライバ22の動作を制御するための制御信号を画像データから生成する。液晶コントローラ31は、次に、LUT32の記録内容に従って、制御信号に含まれる各ピクセル表示部11での各色の階調値を補正する。液晶コントローラ31は、次に、補正後の階調値を含む制御信号を複数のソースドライバ21及びゲートドライバ22へ入力する。複数のソースドライバ21及びゲートドライバ22は、制御信号に従って、液晶パネル1内の各ピクセル表示部11を動作させるための電圧を印加する。各ピクセル表示部11は、複数のソースドライバ21及びゲートドライバ22からの電圧に応じて動作し、画像が液晶パネル1に表示される。
【0047】
以上詳述した如く、本実施の形態に係る液晶表示装置は、バックライト4に含まれる複数のLED41を、中央部分で密に端側部分で疎になるように不均等に配置してあり、複数のLED41を同一の消費電力で発光させる。LEDを均一に配置した場合に比べて、発光するLED41の数が減少するので、液晶表示装置の消費電力が減少し、発熱量も減少する。発熱量が減少するので、液晶表示装置内の部品の熱による劣化が抑制される。また、熱対策に必要なコストが減少し、バックライト4に含まれるLED41の数が減少するので、液晶表示装置のコストが低減される。
【0048】
また、液晶表示装置は、バックライト4において、バックライト4の中央部分よりも端側部分に発光効率の高いLED41を配置してあるので、バックライト4の中央部分に比べて、端側部分に配置された個々のLED41の発光量は大きい。このため、バックライト4に照明される液晶パネル1の端側部分でも、中央部分に比べて輝度は低下せず、液晶表示装置の画面の輝度は均一になる。バックライト4の端側部分でLED41の密度が低下していることによって、液晶パネル1の端側部分では中央部分に比べて輝度ムラが発生し易いものの、人間は画面の中央に注目する傾向があるので、輝度ムラは認識され難い。従って、液晶表示装置は、画面の輝度を均一にしながらも消費電力及び発熱量を削減することが可能である。
【0049】
また、液晶表示装置は、発光効率を異ならせるために、発光スペクトラムを異ならせた複数種類のLED41を備えている。液晶表示装置は、液晶パネル1に含まれる各ピクセル表示部11において画像データで定められた色のピクセルが表示されるように、各ピクセル表示部11での各色の光量を制御するための階調値を補正する。このため、LED41の発光スペクトラムの違いに起因する液晶パネル1の部分間での色の差異が減少する。階調値を補正することにより、液晶パネル1の端側部分では中央部分に比べて表現できる色の数が減少するものの、人間は画面の中央に注目する傾向があるので、色数の減少は認識され難い。従って、液晶表示装置の画面内で均一の色再現性が得られる。
【0050】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2に係る液晶表示装置のバックライト4の構成を示す模式図である。バックライト4は、複数のLED41を短冊状の基板上に一列に並べた複数の列状ユニット42を備えている。列状ユニット42では、中央でLED41間の距離を最短にし、両端に近づくほどLED41間の距離を長くして、複数のLED41を不均等に配置してある。また、複数の列状ユニット42は、LED41の列と直交する方向に並列に配置されている。列状ユニット42間の距離は、バックライト4の中央部分で最短になり、端側部分で長くなっている。全体として、バックライト4に含まれる複数のLED41は、不均等に配置されており、LED41の密度は、バックライト4の中央部分で高く、中央から離れた端側部分ほど低くなっている。バックライト4は、実施の形態1と同様に、発光効率及び発光スペクトラムが異なる複数種類のLED41を備えており、LED41の発光スペクトラムを、LED41の位置に応じて異ならせてある。また同様に、バックライト4は、液晶パネル1の各部分間で白の輝度の誤差が可及的に最小になるように、夫々のLED41の発光スペクトラムを定めてある。
【0051】
液晶表示装置のその他の構成は、実施の形態1と同様である。また、液晶表示装置は、実施の形態1と同様に、液晶パネル1に含まれる各ピクセル表示部11において画像データで定められた色が発色されるように、各ピクセル表示部11での各色の階調値を補正する処理を行う。なお、本実施の形態では、複数のLED41の密度の変化がバックライト4の中央からの距離に応じて単純に減少するような理想的な状態になっていないので、実施の形態1に比べて、液晶パネル1の輝度ムラが発生し易い。そこで、本実施の形態に係る液晶表示装置は、複数のLED41の密度が理想的な状態よりも高くなっている部分のLED41への供給電流を削減して、このLED41の発光量を低下させる処理を行ってもよい。この処理を行うことにより、液晶表示装置は、液晶パネル1の輝度ムラを抑制することができる。
【0052】
本実施の形態においても、液晶表示装置は、実施の形態1と同様に、画面の輝度を均一にし、画面内で色再現性を均一にしながらも、消費電力及び発熱量を削減することが可能である。また、バックライト4内でLED41の密度を変更しながら複数のLED41を配置してある実施の形態1に比べ、本実施の形態では、複数の列状ユニット42を並べてあるので、バックライト4をより容易に作成することが可能となる。従って、本実施の形態に係る液晶表示装置は、実施の形態1に比べて、製造コストが低減される。
【0053】
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3に係る液晶表示装置のバックライト4の構成を示す模式図である。バックライト4は、複数のLED41を均等に配置してある。また、バックライト4は、実施の形態1と同様に、発光効率及び発光スペクトラムが異なる複数種類のLED41を備えており、LED41の発光スペクトラムを、LED41の位置に応じて異ならせてある。具体的には、バックライト4は、中央部分に比べて端側部分ではLED41の発光効率が高くなるようにLED41の発光スペクトラムを定めてある。
【0054】
液晶表示装置のその他の構成は、実施の形態1と同様である。本実施の形態では、制御部61は、バックライト4の複数のLED41を同一の光量で発光させる。具体的には、制御部61は、発光効率の高いLED41へ供給する電流を小さくする。また、制御部61は、各LED41を点滅させ、発光効率の高いLED41の点灯時間を短くする制御を行ってもよい。バックライト4内で均等に配置された複数のLED41が同一の光量で発光するので、バックライト4に照明された液晶パネル1の画面の輝度は均一になる。発光効率が異なる複数のLED41を同一の光量で発光させるので、発光効率の高いLED41は低い消費電力で発光する。バックライト4の一部のLED41が低い消費電力で発光するので、液晶表示装置は、消費電力を低減させることができる。液晶表示装置が実行するその他の処理は、実施の形態1と同様である。
【0055】
本実施の形態においても、液晶表示装置は、実施の形態1と同様に、画面の輝度を均一にし、画面内で色再現性を均一にしながらも、消費電力及び発熱量を削減することが可能である。また、実施の形態1に比べ、バックライト4をより容易に作成することが可能となる。また、比較的低い消費電力で発光させるLED41として、定格の小さなLED41を使用することができるので、本実施の形態に係る液晶表示装置は、バックライト内に同じ定格のLEDを均等に配置した液晶表示装置に比べて、製造コストが低減される。
【0056】
(実施の形態4)
図10は、実施の形態4に係る液晶表示装置のピクセル表示部11の構成を示す模式図である。本実施の形態においては、液晶パネル1に含まれる各ピクセル表示部11は、Rのサブピクセル表示部111、Gのサブピクセル表示部112及びBのサブピクセル表示部113に加えて、黄色のサブピクセル表示部114を含んでいる。サブピクセル表示部114は、黄色の光を透過させるカラーフィルタとTFTとを含んでなる。バックライト4の構成は、実施の形態1〜3の何れかと同様である。液晶表示装置のその他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0057】
実施の形態1〜3では、各ピクセル表示部11で生成する各色の光量を制御するための階調値を補正する処理を行う。図7に示すように、補正値として使用されない階調値が存在するので、補正を行うことにより、各色の階調数が減少し、RGBの組み合わせで表現することが可能な表示色の数が減少する。本実施の形態においては、液晶表示装置は、各ピクセル表示部11に黄色のサブピクセル表示部114を備えることにより、RGBの三色と黄色との四色で画像の表示色を表現する。本実施の形態では、液晶パネル1の一部分を透過する光のスペクトラムLPpを表す式は、黄色のサブピクセル表示部114に対応する項を(2)式に加えた式となる。LUT32には、各ピクセル表示部11のRGB及び黄色の各色について、入力値と補正値との関係が記録されている。液晶コントローラ31は、各ピクセル表示部11でのRGB及び黄色の階調値を補正する処理を行う。補正によって個々の色の階調数は減少するものの、画像の表示色は四色の組み合わせで表現されるので、表現することが可能な表示色の数は三色の組み合わせで表現される場合よりも増加し、表示色の数の減少が抑制される。
【0058】
本実施の形態においても、液晶表示装置は、実施の形態1〜3と同様に、画面の輝度を均一にし、画面内で色再現性を均一にしながらも、消費電力及び発熱量を削減することが可能である。また、実施の形態1〜3に比べ、画像の表示色が多いので、より多彩な表現が可能となる。なお、ピクセル表示部11に含まれるRGB以外のサブピクセル表示部の色は黄色に限るものではなく、RGB以外の色であれば、その他の色であってもよい。例えば、ピクセル表示部11は、白色光を透過させるフィルタを含む白色のサブピクセル表示部を含んだ形態であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 液晶パネル
11 ピクセル表示部
111、112、113、114 サブピクセル表示部
21 ソースドライバ
22 ゲートドライバ
3 コントロール回路
31 液晶コントローラ
32 LUT
4 バックライト
41 LED(発光素子)
42 列状ユニット
61 制御部
62 受信部
63 インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、該液晶パネルの背面に沿って複数の発光素子を配置してあるバックライトとを備える液晶表示装置において、
発光効率が異なる複数種類の発光素子を、前記バックライトの中央部分よりも端側部分で発光効率を高くして配置してあること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記バックライトに照明された前記液晶パネルの輝度が均一になるように、前記複数の発光素子の配置密度を、前記バックライトの中央部分よりも端側部分で低くしてあること
を特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
複数の発光素子を一列に並べてあり、列の中央部分よりも端側部分で発光素子間の距離を長くしてある列状ユニットを複数備え、
複数の前記列状ユニットを、発光素子の列に交差する方向に並列に配置してあり、
前記列状ユニット間の距離を、前記バックライトの中央部分よりも端側部分で長くしてあること
を特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子の配置密度を均等にしてあり、
前記複数の発光素子を同一の光量で発光させる手段を備えること
を特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶パネルは、画像中の夫々のピクセルを表示する部分で、前記バックライトの光から複数色の光の夫々を多階調で生成する構成としてあり、
前記複数種類の発光素子の発光スペクトラムの違いによる色の差異を減少させるべく、前記液晶パネルの夫々の前記部分で生成する各色の光の階調を補正する手段を備えること
を特徴とする請求項1から4までの何れか一つに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶パネルは、画像中の夫々のピクセルを表示する部分で、赤、緑、青及び他の色の光を生成する構成としてあること
を特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
テレビジョン信号を受信する手段と、
該手段が受信したテレビジョン信号に基づいた画像を前記液晶パネルに表示させる手段とを備えることを特徴とする請求項1から6までの何れか一つに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−101767(P2013−101767A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243645(P2011−243645)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】