説明

液晶表示装置

【課題】バックライトの明るさを調整することによって、消費電力の低減を図るとともに、色のメリハリを改善し、また黒色の締まりを向上させるようにした液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示パネル35の複数画素に対応するようにバックライト41の光源を構成するLED素子52が配列され、映像信号中の輝度信号であって複数画素の内の一部または全部と関連づけられた輝度レベルと対応する明るさで、上記バックライト41のLED素子52の光源が発光するようにし、とくに映像の暗い部分におけるLED素子52の発光量を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、とくに液晶表示パネルの背面側にバックライトを備え、該バックライトからの光で前記液晶表示パネルが映像信号に応じた表示を行なう液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリックス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向電極とを具備し、TFT基板と対向電極との間に液晶が挟着される構造を採用している。そして液晶分子による光の透過率を画素のR(赤)、G(緑)、B(青)毎に制御することによって、カラー画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置は、薄型かつ軽量にすることができることから、テレビジョン受像機を始めとして各種の分野に使用されている。液晶は自身では発光しないので、液晶表示パネルの背面にバックライトを配置している。テレビジョン受像機等のような比較的大画面の液晶表示装置においては、従来はバックライトとして蛍光管が使用されていた。しかし、液晶表示装置をさらに薄型にしたい、あるいは、色の表示領域を広くしたい等の要請から、LED(Light Emitting Diode)が使用されるようになっている。
【0004】
バックライトの光源の配置は、液晶表示パネルの直下(背面)に光源を配置する直下型方式と、導光板のサイドに光源を配置するサイドライト型方式とがあるが、比較的大画面の液晶表示装置では、画面の明るさを十分に確保するために直下型の光源が用いられるようになっている。
【0005】
液晶表示装置におけるカラー画像の形成は、R、G、Bの各色の加算混合によってそれぞれの画素の色相と輝度とが調整された光を発生させるようにし、このような光を各画素についてそれぞれ発光させ、これらの各画素の光の合成によって映像が形成されるようにしている。ここで液晶表示パネルは、上記R、G、Bのそれぞれの色について、液晶が各画素のR、G、B毎にシャッタを構成するようになっており、白色光については、R、G、Bの各色の液晶シャッタを全開し、背面側からの光を全部透過させることによってその加算で白色光を発光させるようにしていた。これに対して黒色光は、背面側の光を全部遮断するように、R、G、Bの各液晶シャッタを閉じることによって黒色の光としていた。中間色については、R、G、Bの各色の光の光量を液晶シャッタによってそれぞれ調整することにより、所定の輝度でかつ所定の色相の光を発生させるようにしていた。従って、バックライトについては、画像の全面について均一な光を発生させるようにしていた。
【0006】
しかるに液晶表示装置のバックライトの消費電力を低減するために、とくに画像の暗い部分と対応する画素については、その部分のバックライトを必ずしも光らせる必要がないことから、不必要な部分のバックライトの光度を下げるようにしたエリアコントロール等の方式が提案されている(特開2011−29023号公報、特開2010−91729号公報等参照)。
【0007】
しかるに従来のエリアコントロール方式によっても、必ずしも十分な消費電力の低減が図られることにはならない。また必ずしも不必要な領域のバックライトの輝度を下げるようにはなっておらず、液晶シャッタの部分を通して前面側に放射されるバックライトの光によって、色相あるいは色彩が劣化して色のメリハリが悪化したり、あるいはまた黒色の画像が必ずしも明確に表示されない等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−29023号公報
【特許文献2】特開2010−91729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の課題は、不必要な暗い映像領域のバックライトの明るさを低くし、これによって消費電力が確実に低減されるようにした液晶表示装置を提供することである。
【0010】
本願発明の別の課題は、製造が容易であって、製造コストが低減されるようにした直下型バックライト方式の液晶表示装置を提供することである。
【0011】
本願発明のさらに別の課題は、色相および色彩が改善されて、色のメリハリがつくようにした液晶表示装置を提供することである。
【0012】
本願発明のさらに別の課題は、黒色のしまりが良くなり、灰色がかった黒色にならないようにした液晶表示装置を提供することである。
【0013】
本願発明のさらに別の課題は、映像の立体感が増大するようにした液晶表示装置を提供することである。
【0014】
本願発明のさらに別の課題は、微妙な色彩の映像が要求される医療用の表示装置に用いて好適な液晶表示装置を提供することである。
【0015】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願の主要な発明は、液晶表示パネルの背面側にバックライトを備え、該バックライトからの光で前記液晶表示パネルが映像信号に応じた表示を行なう液晶表示装置において、
前記液晶表示パネルの複数個の画素に対応するように前記バックライトの光源が配列され、前記バックライトの光源の明るさを制御する制御手段を有し、該制御手段によって前記映像信号中の輝度信号であって前記複数画素の内の一部または全部と関連づけられた輝度レベルと対応する明るさで前記バックライトの光源が発光する液晶表示装置に関するものである。
【0017】
ここで、前記複数画素の中心またはその近傍に位置する画素の輝度と対応する明るさで前記バックライトの光源が発光するように前記制御手段で制御されるようにしてよい。また前記複数画素の平均の輝度と対応する明るさで前記バックライトの光源が発光するように制御手段で制御されるようにしてよい。また前記複数画素の重み付き平均の輝度と対応する明るさで前記バックライトの光源が発光するように前記制御手段で制御されるようにしてよい。また輝度信号抽出手段を具備し、映像信号から前記輝度信号を抽出するようにしてよい。また前記バックライトの光源が複数のLEDから構成され、すべてのLEDが対応する画素数が互いに等しくなるように配列されてよい。また前記すべてのLEDがそれぞれバイポーラトランジスタに接続され、該バイポーラトランジスタの制御によってすべてのLEDの明るさが互いに独立に制御されてよい。また前記それぞれのバイポーラトランジスタが前記LEDを実装する基板上に実装されるか形成されてよい。
【発明の効果】
【0018】
本願の主要な発明は、
液晶表示パネルの背面側にバックライトを備え、該バックライトからの光で前記液晶表示パネルが映像信号に応じた表示を行なう液晶表示装置において、
前記液晶表示パネルの複数個の画素に対応するように前記バックライトの光源が配列され、前記バックライトの光源の明るさを制御する制御手段を有し、該制御手段によって前記映像信号中の輝度信号であって前記複数画素の内の一部または全部と関連づけられた輝度レベルと対応する明るさで前記バックライトの光源が発光する液晶表示装置に関するものである。
【0019】
従って本願発明によれば、映像信号中の複数画素の内の一部または全部と関連づけられた輝度レベルと対応する明るさで光を発する光源を有するバックライトによって、背面側から液晶表示パネルを照明することが可能になる。このような構成によると、映像中の黒色部分あるいは暗い色の部分については、その位置のバックライトの光源が暗くなるか光らなくなる。すなわちバックライトの光源によって粗い白黒画像が形成されるようにしてバックライトで背面側から照明が行なわれることになる。従って不要な部分の光源の電力消費を抑えることにより、消費電力の低減を図ることが可能になる。また明るくない領域、暗い領域、あるいは黒色の領域については、その部分のバックライトが暗くなるか光らなくなるために、液晶シャッタを通して背面側から漏れる光が低減されるか無くなり、色相あるいは色彩が滲まず、色のメリハリがつくようになる。また暗い領域あるいは黒い画像部分については、背面側からの光が極めて少なくなり、これによって黒のしまりが向上し、真っ黒に見えるような画像になる。このような色彩および黒色部分の画像の改善によって、映像の立体感が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係る液晶表示装置を備える液晶カラーテレビジョン受像機の全体の構成を示すブロック図である。
【図2】同テレビジョン受像機の液晶表示パネルの分解斜視図である。
【図3】バックライトの駆動部のブロック図である。
【図4】バックライトの駆動部のとくに制御部およびバックライト駆動部を示すブロック図である。
【図5】バックライトと画素との関係を示す液晶表示装置の正面図である。
【図6】バックライトと画素との関係を示す要部拡大正面図である。
【図7】LEDの駆動回路の回路図である。
【図8】変形例のLEDの駆動回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。まず本実施の形態の液晶表示装置を備えるカラーテレビジョン受像機の全体の構成を図1によって説明する。このテレビジョン受像機は、地上波、BS波、110度CS波の3つの放送に対応した3波共用のデジタルテレビジョン受像機であって、前段側にUHFアンテナ11、BS・CSアンテナ12が接続されるフロントエンド部13と、上記フロントエンド部13の後段側に接続されるバックエンド部14とから構成される。
【0022】
地上波デジタル放送やBS・110度CSデジタル放送では、それぞれの伝送路に適した変調方式により、所定のチャンネルで映像や音声等のデジタルデータを伝送するようになっている。フロントエンド部13においては、地上波デジタル用に選局部17、伝送路復号部18、TMCC受信部19が設けられている。選局部17は希望のチャンネルの変調信号を抽出する。伝送路復号部18は、選局された信号からデジタルデータを抽出する。BS・110度CS用についても、選局部21、伝送路復号部22、TMCC受信部23が設けられ、地上波デジタル用のフロントエンド部の動作と同様の動作で希望のチャンネルの信号を抽出するようにしている。そして地上波デジタル用の信号とBS・110度CS用の信号とをスイッチ24によって切換えてバックエンド部14に送るようにしている。
【0023】
次にバックエンド部14について説明する。バックエンド部14は、地上波デジタルやBS・110度CSデジタルの放送の伝送路復号部18、22で出力された信号から、B−CASカード27および放送波に多重されている鍵情報(EMM、ECMなど)を使ってデスクランブル部28でスクランブルを解除し、MPEG−2TS信号を取出している。
【0024】
MPEG−2多重分離部29では、このTS信号を高速インターフェースであるi.LINX(IEEE1394)端子に出力するとともに、TSヘッダのPIDにより、セクション方式で伝送されるPSI情報とSI情報を識別分離して基本データデコーダ30に出力する。基本データデコーダ30は、SI情報(SDT、EIT、BAT、TOT)を使ってEPGを構成するとともに、フロントエンド部13の局部発信周波数を制御し、受信するチャンネルを選局するために、PSI情報(PAT、PMT、NIT、CAT)から取得した当該番組のネットワーク情報をマイコン31に出力している。また、PSI情報から取得したPIDを使って当該番組のTSパケットを抽出し、映像・音声復号部32で映像・音声信号のデータを復号している。
【0025】
復号された音声信号は、増幅されてスピーカ33に出力されるとともに、光デジタル音声出力端子に出力される。一方上記映像・音声復号部32で復号された映像信号は、映像信号処理部34に入力され、所定のフォーマットで液晶表示パネルから成るディスプレイ35に出力する。映像信号処理部34は、D端子やビデオ端子に出力するとともに、必要に応じてデータ放送や字幕等の信号を合成する。また映像信号処理部34には輝度信号抽出部40が接続され、抽出された輝度信号を用いてバックライト41の明るさの制御が行なわれる。
【0026】
上記マイコン31には、チャンネルの選択等の制御動作のための信号が入力されるリモコン受光部37に接続される。またこのマイコン31は、モデム/LAN I/F36に接続されている。
【0027】
次に上記バックエンド部14の映像信号処理部34からの信号が入力されて画像を形成するディスプレイ35について図2により説明する。このディスプレイ35は液晶表示装置から構成されている。図2においてTFTや画素電極がマトリックス状に配置された表示領域、走査線、映像信号線等が形成されたTFT基板46とカラーフィルタ等が形成された対向基板47とが図示しない接着剤を介して接着されている。TFT基板46と対向基板47との間には図示しない液晶が挟着されている。
【0028】
TFT基板47の背面側には背面偏光板48が、対向基板47の前面には前面偏光板49が貼付けられている。TFT基板46、対向基板47、背面偏光板48、前面偏光板49が接着された状態のものを液晶表示パネル35と称する。液晶表示パネル35の背面側にはバックライト41が配されている。バックライト41は光源部と種々の光学部品とから構成されている。
【0029】
図2において、バックライト41は、配線基板51を備え、この配線基板51上に光源をなすLED素子52が所定の配列で実装されている。LED素子51はチップ状をなし、その電極部分が、上記配線基板51に形成された配線の電極部分に接続されている。
【0030】
上記液晶表示パネル35とバックライト41との間には、プリズムシート54と拡散板55とが配されている。プリズムシート54は、例えば65μm程度の厚さを有し、その表面には細かな凹凸が形成されており、これが拡散板55を通して入射される光を拡散させている。表面の細かい凹凸が一種のプリズムの役割を果たしており、プリズムシート54に対して斜めに入射した光を液晶表示パネル35の方向に向ける働きを有している。
【0031】
バックライト41は、図3に示すように、配線基板12上にLED素子51を所定の数、所定の配列で実装したものであって、配線基板51が液晶表示パネル35の大きさとほぼ同一の大きさに構成されている。バックライト41のLED52の駆動は、図3に示す映像処理部34、輝度信号抽出部40、制御部58、およびバックライト駆動部59によって行なわれる。そして上記配線基板51の側方には、垂直方向インターフェース60と水平へ方向インターフェース61とが取付けられており、これらのインターフェース60、61を介して駆動されるようになっている。
【0032】
映像信号処理部34は、図1に示すテレビジョン受像機のバックエンド部14に設けられており、ここで映像信号を作成してディスプレイ35に供給するようにしている。そしてこの映像信号処理部34から取出された映像信号の中から、輝度信号抽出部40で輝度信号が取出される。輝度信号は制御部58に送られ、ここでバックライト41の各LED素子52の駆動に必要な制御動作が行なわれ、制御された出力がバックライト駆動部59に送られる。バックライト駆動部59は制御部58から送られる制御信号に応じた電流値で駆動制御を行ない、これによって各LED素子52を所定の明るさになるように駆動する。
【0033】
バックライト41の各LED素子52は、液晶表示パネル35の表示部の各画素に対応づけて設けられている。すなわち縦方向および横方向に所定の画素数の領域の中心部にLED素子52が配置されている。ハイビジョン方式のテレビジョンの画素数が水平方向1,920×垂直方向1,080の画素に対応して、例えば横方向80×縦方向45の数のLED素子52が配されている。よって横方向24×縦方向24画素の領域の中心部に1個のりLED素子52が配置されることになる。24×24画素の領域がバックライト41の光源を構成する1個のLED素子52の対応領域となる。そして各LED素子52は、対応する画素画素の輝度に応じた明るさ輝度で光るようになっている。
【0034】
表1は、各種の寸法の液晶表示画面におけるバックライトを構成するLED素子52の数とその配置の関係を例示的に示している。この表においてθとは、LED素子52の照射角度であって光の開き具合を示す値である。またLED数とは、画面上における縦方向および横方向のLED素子52の数を示している。LED間隔とは、縦方向および横方向の隣接するLED素子52間の間隔を示している。LED総個数とは、1つの画面上におけるLED素子52の総数を示している。また画素数/LEDは、1つのLED素子52に対応する縦方向および横方向の画素の数を示している。なお表1はあくまで例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0035】
【表1】

【0036】
いま説明を簡略化するために、液晶表示パネル35を図5に示すように、横20画素×縦10画素のパネルとする。そして横5画素×縦5画素の正方形の領域に対応するように、1個ずつLED素子52が配置されるものとする。この場合において、表示パネル35の例えば左上の部分の横5画素×縦5画素分の位置におけるLED素子52の配置は図6に示すようになる。ここで横5画素×縦5画素の25画素の領域の、1番上の列の画素をG1〜G5とし、2列目の画素をG6〜G10とし、3列目の画素をG11〜G15とし、4列目の画素をG16〜G20とし、5列目の画素をG21〜G25とする。また画素G1〜G25のある瞬間の輝度をB1〜B25とする。すると横5画素×縦5画素の領域に配されるLED素子52は、その中心が中央の画素G13の中心と一致することになる。
【0037】
図3に示す駆動回路におけるバックライト駆動部59を制御する制御部58が図4Aに示す回路構成の場合には、LED素子52は、図6における25画素中の中心画素G13、すなわち横方向に3番目であって縦方向に3番目の中心部の画素G13の輝度B13に応じた明るさで光るようになる。すなわち中心画素輝度信号抽出部40が、G13の画素の輝度B13を抽出する。そしてバックライト駆動信号生成部64が、上記画素G13の輝度B13に応じた明るさで駆動信号を生成し、これをバックライト駆動部59に送ってLED素子52の駆動を行なう。従ってこの場合には、LED素子52は25画素の中心部の画素G13の画素の輝度信号B13と対応する明るさで発光する。
【0038】
なお1つのLED素子52に対応する画素領域の中心部が複数画素の境界に位置する場合には、中心部に最も近い画素を予め設定しておくか、あるいはまた所定の画素を予め設定しておき、その画素の輝度信号を中心画素輝度信号抽出部40で抽出すればよい。
【0039】
図4Bは、LED素子52と対応する領域の画素の平均値をとって光らせるようにするものである。ここでは、LED素子52の対応領域の輝度信号の抽出において、図6に示す横方向5×縦方向5=25画素の輝度信号B1〜B25を輝度信号抽出部40で抽出する。そしてこの後に対応する画素の輝度信号B1〜B25の平均値の演算を演算部65によって行なう。すなわち、次式1、2に示す算術平均あるいは幾何平均の演算を演算部65で行ない、これによって求められた値でバックライト駆動信号を信号生成部64で生成し、これによってバックライト駆動部59が対応するLED素子52の駆動を行なう。
【0040】
算術平均 (B1+B2+・・・・・・+B25)/25 (1)
幾何平均 (B1・B2・・・・・・・・B25)1/25 (2)
【0041】
図4Cに示す構成は、図6における横5×縦5=25画素の対応する領域の重み付きの平均演算を行なってその明るさを決定するものである。輝度信号抽出部40が対応する領域の輝度信号を抽出する。例えば図6に示す構成の場合には、横5×縦5=25画素の輝度信号B1〜B25を抽出する。そして演算部66で上記25画素の輝度信号B1〜B25の重み付きの平均の演算が行なわれる。ここでは、中心の画素G13の周囲の画素G7、G8、G9、G12、G14、G17、G18、G19について0.7の重みを乗じ、その外周囲の画素G1、G2、G3、G4、G5、G6、G10、G11、G15、G16、G20、G21、G22、G23、G24、G25について重み0.3を乗ずる。その重み付き演算の一例は次式3で示される。なお重み係数0.7、0.3は適宜変更可能である。
【0042】
重み付き平均 {B13+(B7+B8+B9+B12+B14+B17+B18+B19)×0.7/8+(B1+B2+B3+B4+B5+B6+B10+B11+B15+B16+B20+B21+B22+B23+B24+B25)×0.3/16}×1/3 (3)
【0043】
平均演算を行なった後に、駆動信号生成部64で信号の生成を行ない、このような信号に基づいてバックライト駆動部59を駆動してLED素子52の点灯の明るさが制御されるようになっている。
【0044】
上述のような図4A、図4B、図4Cに示すような輝度の制御が図2および図3に示すバックライト41のすべてLED素子52について実行される。従って配線基板51上のLED素子は、あたかも画素の少ない白黒テレビのような状態で発光することになる。
【0045】
図7は上記のようなバックライト41のLED素子52の駆動のためのより具体的な構成を示しており、ここでは制御ICから成る制御回路69の後段に、インターフェース70を介してLED素子52と同数のバイポーラトランジスタ71を接続している。そして個々のバイポーラトランジスタ71が対応するLED素子52を駆動制御するようにしている。ここでバイポーラトランジスタ71によるLED素子52の制御は、LED素子52に加えられる電流値を調整してよい。あるいはまたこのバイポーラトランジスタ71によって、パルス幅制御(PWM)でパルス幅を制御するようにしてもよい。何れの場合においても、LED素子52は、対応する領域の画素の輝度と対応する明るさで光るようになり、このために配線基板51上でLED素子52が画素が粗い白黒の画像を形成するようになる。
【0046】
なお上記のバイポーラトランジスタ71は、LED素子52を実装する配線基板51上に、それぞれのLED素子52と対をなすように配列されてよい。図6は、LED素子52の左側にバイポーラトランジスタ71を配列した状態を示している。このバイポーラトランジスタ71は、配線基板51上に実装されるチップ状のトランジスタである。なお上記のようなチップ状のトランジスタに代えて、バイポーラトランジスタ71を、配線基板51上にTFTと同様の成膜によって形成することも可能である。
【0047】
図8に示す構成は、バックライト41の複数のLED素子52を、グループ毎に電子スイッチ72で制御するようにした構成を示している。この場合には、個々のLED素子52をバイポーラトランジスタ71で制御するのに代えて、グループ分けされたそれぞれの複数のLED素子52が電子スイッチ72で制御される。なお電子スイッチ72は、時分割で複数のLED素子52を制御してもよく、あるいはまた多連式の電子スイッチ72でグループの複数のLED素子52を同時に制御することも可能である。またこの場合におけるLED素子52に対する発光の制御は、電流制御であってよく、あるいはまたパルス幅制御(PWM)であってもよい。
【0048】
このようなバックライト41を備える液晶表示パネル35は、映像のとくに暗い部分あるいは黒の部分においては、光らなくなるために、消費電力が大幅に低減され、エリアコントロールよりもりさらに消費電力が低くなる。また実施の形態のバックライトであって図7に示す構成は、配線基板51上にLED素子52とトランジスタ71とを配置するだけでよく、製造コストが安価である。とくにバイポーラトランジスタ71を用いた場合には、安価に製造できるようになる。
【0049】
また本実施の形態のバックライト41を用いると、液晶表示パネル35の形成する画像の内の暗い部分あるいは黒の部分については、背面側から光がほとんど照射されなくなるために、液晶のシャッタの部分を透過して前面側に漏れる光がほとんど無くなり、色相および色彩が安定化し、色のメリハリがつく利点がある。また画像の黒い領域が背面側からの漏れ光によってグレーの傾向になることがなく、その部分が真っ黒になる。またこのような色彩上の効果ととくに黒色の部分の鮮明さによって、映像が立体感を生ずるようになる。このような液晶表示装置は、微妙な色相の画像生成が必要とされる医療用の液晶表示パネルに用いて好適なものである。
【0050】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態における画素数に対するLED素子の配置例については、各種の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本願発明は、液晶カラーテレビジョン受像機の表示パネルや、その他各種の液晶表示装置に利用することができる。とくに本願発明は、大型で大画面の液晶表示装置に用いて好適なものである。
【符号の説明】
【0052】
11 UHFアンテナ
12 BS・CSアンテナ
13 フロントエンド部
14 バックエンド部
17 選局部
18 伝送路復号部
19 TMCC受信部
21 選局部
22 伝送路復号部
23 TMCC受信部
24 スイッチ
27 B−CASカード
28 デスクランブル部
29 MPEG−2多重分離部
30 基本データデコーダ
31 マイコン
32 映像・音声復号部
33 スピーカ
34 映像信号処理部
35 ディスプレイ(液晶表示パネル)
36 モデム/LAN I/F
37 リモコン受光部
40 輝度信号抽出部
41 バックライト
46 TFT基板
47 対向基板
48 背面偏光板
49 前面偏光板
51 配線基板
52 LED素子
54 プリズムシート
55 拡散板
58 制御部
59 バックライト駆動部
60 垂直方向インターフェース
61 水平方向インターフェース
64 バックライト駆動信号生成部
65 輝度信号の平均値演算部
66 輝度信号の重みつき平均値演算部
69 制御回路
70 インターフェース
71 バイポーラトランジスタ
72 電子スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルの背面側にバックライトを備え、該バックライトからの光で前記液晶表示パネルが映像信号に応じた表示を行なう液晶表示装置において、
前記液晶表示パネルの複数個の画素に対応するように前記バックライトの光源が配列され、前記バックライトの光源の明るさを制御する制御手段を有し、該制御手段によって前記映像信号中の輝度信号であって前記複数画素の内の一部または全部と関連づけられた輝度レベルと対応する明るさで前記バックライトの光源が発光する液晶表示装置。
【請求項2】
前記複数画素の中心またはその近傍に位置する画素の輝度と対応する明るさで前記バックライトの光源が発光するように前記制御手段で制御される請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数画素の平均の輝度と対応する明るさで前記バックライトの光源が発光するように前記制御手段で制御される請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数画素の重み付き平均の輝度と対応する明るさで前記バックライトの光源が発光するように前記制御手段で制御される請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
輝度信号抽出手段を具備し、映像信号から前記輝度信号を抽出する請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記バックライトの光源が複数のLEDから構成され、すべてのLEDが対応する画素数が互いに等しくなるように配列される請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記すべてのLEDがそれぞれバイポーラトランジスタに接続され、該バイポーラトランジスタの制御によってすべてのLEDの明るさが互いに独立に制御される請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記それぞれのバイポーラトランジスタが前記LEDを実装する基板上に実装されるか形成される請求項7に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−109242(P2013−109242A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255549(P2011−255549)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(511262577)
【Fターム(参考)】