説明

液晶表示装置

【課題】液晶パネルを保持する弾性部材によって液晶パネルに生じる局所的な応力を軽減し表示むらが生じることを抑制する。
【解決手段】パネルホルダーは、液晶パネルの辺のうち液晶表示装置が使用される状態において下端となる辺を支持する位置に設けられる下端支持部材と、液晶パネルの表示領域の周囲の枠状領域の背面に対向するように、液晶パネルの各辺に沿って設けられる第1の弾性部材と、液晶パネルの表示領域の周囲の枠状領域の背面に対向するように、液晶パネルの辺のうち液晶表示装置が使用される状態において下端支持部材と接触する辺に沿って、第1の弾性部材よりも液晶パネルの外周側に近い位置に設けられる第2の弾性部材と、を有し、第1の弾性部材及び第2の弾性部材が圧縮された場合に液晶パネルの表示面に垂直な方向に作用する弾性力は、第2の弾性部材の方が第1の弾性部材よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、液晶パネルの下端がパネルホルダーによって支えられる構造が知られている。また、液晶パネルの表面及び裏面に対向するように弾性部材を配置し、液晶パネルを位置決めしたり、液晶表示装置の落下や振動に際して液晶パネルがフレームに接触することを抑制したりすることが図られている。
【0003】
弾性部材が圧縮された状態で液晶パネルに接触すると弾性部材から作用する力によって液晶パネルに局所的な応力が生じ、光の透過特性が局所的に変化して表示むらが生じる場合がある。液晶表示装置が平置きされた状態では、弾性部材が液晶パネルを支えることになるため、弾性部材が圧縮された状態となる。また液晶パネルを押さえた場合等にも液晶パネルの背面に配置された弾性部材が圧縮された状態となる。
【0004】
平置き状態から設置状態(画面が重力方向に対し平行に近い状態)に変化させた場合や、液晶パネルを押さえる力がかからなくなった場合、弾性部材の弾性力により液晶パネルが元の位置に戻れば液晶パネルに応力が生じた状態は解消される。しかしながら、液晶パネルの端部(辺)の切断面は面取り加工によって研磨傷がついていることがあり、この研磨傷とパネルホルダーとの摩擦が大きい場合、液晶パネルが元の位置に戻らないことがある。そうすると、液晶パネルに応力が生じたままとなり、表示むらが解消されない。
【0005】
特許文献1には、液晶パネルの下端の辺とパネルホルダーとが接触する箇所を傾斜面とすることにより、液晶表示装置を平置き状態から設置状態にしたときに液晶パネルが自重で摩擦に抗して傾斜面を滑り落ちて前方に移動させることが提案されている。ここで、「前方」とは、バックライト側とは反対方向、すなわち平置き状態で液晶パネルを支持することになる弾性部材から離れる方向である。図8は特許文献1に記載の液晶表示装置の断面斜視図である。液晶パネル200は、パネルホルダー300に設けられる弾性部材301と、フレーム100に設けられる弾性部材101に狭持されている。また、パネルホルダー300には、液晶パネル200の背面側に、傾斜面201が形成されている。この傾斜面201によって、液晶パネル200の自重により、液晶パネル200が、面取り部とパネルホルダー300の摩擦に抗して傾斜面201を滑り落ち、液晶パネル200が弾性部材301から離れる方向へ移動する。これにより、平置き状態で圧縮されていた弾性部材301の圧縮が解除され、弾性部材301の弾性力が局所的に液晶パネル200に作用することが抑制され、液晶パネル200に局所的な応力が生じることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−204357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、先行技術では次の課題がある。液晶表示装置の表示部をスタンドのチルト機構で上方向に傾けた場合、スタンド設置面の角度を基準としたときの、パネルホルダー300に設けた傾斜面201の角度が小さくなる。そうすると、液晶パネル200にかかる傾斜面201を滑り落ちる方向の力が小さくなり、液晶パネル200の端面の面取り部と傾斜面201との摩擦に十分に抗することができなくなる。そのため、液晶パネル2
00が傾斜面201を滑り落ちることができなくなり、弾性部材301が圧縮された状態が解消されず、設置状態においても液晶パネル200に局所的な応力が生じたままになってしまう可能性があった
【0008】
本発明は、液晶表示装置において、液晶パネルを保持する弾性部材によって液晶パネルに生じる局所的な応力を軽減し表示むらが生じることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液晶パネルと、前記液晶パネルを保持するパネルホルダーと、を有する表示部を備える液晶表示装置であって、
前記パネルホルダーは、
前記液晶パネルの辺のうち前記液晶表示装置が使用される状態において下端となる辺を支持する位置に設けられる下端支持部材と、
前記液晶パネルの表示領域の周囲の枠状領域の背面に対向するように、前記液晶パネルの各辺に沿って設けられる第1の弾性部材と、
前記液晶パネルの表示領域の周囲の枠状領域の背面に対向するように、前記液晶パネルの辺のうち前記液晶表示装置が使用される状態において前記下端支持部材と接触する辺に沿って、前記第1の弾性部材よりも前記液晶パネルの外周側に近い位置に設けられる第2の弾性部材と、
を有し、
前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材が圧縮された場合に前記液晶パネルの表示面に垂直な方向に作用する弾性力は、前記第2の弾性部材の方が前記第1の弾性部材よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液晶表示装置において、液晶パネルを保持する弾性部材によって液晶パネルに生じる局所的な応力を軽減し表示むらが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る液晶表示装置の分解斜視図
【図2】実施例1に係る液晶表示装置の支持構造を示す正面図
【図3】実施例1に係る液晶表示装置の図2のC−Cにおける断面図
【図4】実施例2に係る液晶表示装置の支持構造を示す正面図
【図5】実施例3に係る液晶表示装置の支持構造を示す正面図
【図6】実施例3に係る液晶表示装置の図5のD−Dにおける断面図
【図7】実施例3に係る液晶表示装置の図5のE−Eにおける断面図
【図8】従来技術の液晶表示装置の断面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る液晶表示装置1の分解斜視図である。この液晶表示装置1は、不図示のスタンドにより支持され、設置面に設置される。スタンドには、液晶表示装置1を傾斜、回転、旋回させる機構(例えばチルト機構)が備わっていてもよい。その場合、ユーザが視聴条件に合わせて液晶表示装置1の角度を調節できる。
【0013】
液晶表示装置1は、フレーム10、液晶パネル20、パネルホルダー30、光学シート40、反射シート50、基板60、ケース70を含んで構成される。フレーム10は樹脂又は金属等で形成される。パネルホルダー30は樹脂製で、光学シート40から一定の空間を保つように液晶パネル20を保持し収納する。光学シート40はバックライトユニッ
ト80からの光を拡散する。反射シート50は光源の光を反射する。基板60にはLED(Light Emitting Diode)やCCFL(Cold Cathode
Fluorescent Lamp)等の光源61が実装される。ケース70は光学シート40、反射シート50、及び基板60を収納する。パネルホルダー30、光学シート40、反射シート50、基板60、及びケース70によりバックライトユニット80が構成され、バックライトユニット80により液晶パネル20が照明される。
【0014】
光源61は基板60に複数実装されており、基板60はケース70に固定されている。基板60上には、光源61から発せられた光が液晶パネル20の方向に効率よく拡散するように、反射シート50が配置される。反射シート50の前面には光学シート40が配置され、光学シート40、反射シート50、及び基板60は、パネルホルダー30とケース70により狭持される。光学シート40は、光を拡散させる拡散シートや、拡散した光を前面に集光させ輝度を上昇させるレンズシート等である。複数の光源61から出射された光は、光学シート40を通過して、液晶パネル20に到達する。液晶パネル20を透過した光が画像として観察される。
【0015】
図2は本実施例に係る液晶パネルの支持構造を示す正面図であり、図3は、図2のC−Cにおける断面図である。この液晶表示装置1は、スタンド(不図示)によって設置面に設置して使用する状態(液晶パネルの表示面が設置面に垂直な方向に近い状態)では、図2における(−Y)方向が設置面に垂直な方向(設置面が水平面の場合、鉛直方向)に近い方向にとなるものとする。
【0016】
図2は、液晶パネル20の表示領域21の長辺が設置面(X軸方向)と平行になるように設置された状態(設置状態)で、液晶パネル20がパネルホルダー30に保持され収納された様子を示している。液晶パネル20の上端部には画像信号が入力される複数のCOF(Chip On Film)22が接続され、液晶パネル20の下端部の辺はパネルホルダー30の下端支持部材であるパネル保持リブ31に接触している。液晶表示装置1が使用される状態において、液晶パネル20の重量はパネル保持リブ31を介してパネルホルダー30によって支えられる。液晶パネル20の左端部及び右端部とパネルホルダー30のリブ32との間にはわずかに隙間がある。
【0017】
図2では、パネル保持リブ31は、液晶パネル20の下端部の辺に対して一様に接触する構造を例示したが、液晶パネル20の下端部の辺の一部に接触する構造のパネル保持リブが複数設けられていても良い。その場合、液晶パネル20の下端部の辺の一部はパネル保持リブに接触し、他の部分はパネル保持リブに接触しないことになる。液晶パネル20のX方向の位置は、リブ32とパネル保持リブ31とにより位置決めされている。
【0018】
図3に示すように、パネルホルダー30には、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13が設けられている。第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13は、液晶パネル20の背面(表示面とは反対側の面)に対向している。
第1の弾性部材12は、図2に示すように、液晶パネル20の表示領域21の周囲の枠状領域に対応する位置のパネルホルダー30に、液晶パネル20の各辺に沿って設けられる。第1の弾性部材12は、図3に示すように、液晶パネル20の外周より距離Pだけ表示領域21の側に離れた位置に設けられる。
第2の弾性部材13は、図2に示すように、液晶パネル20の表示領域21の周囲の枠状領域のうち設置状態で下側となる領域に対応する位置のパネルホルダー30に設けられる。第2の弾性部材13は、図3に示すように、液晶パネル20の外周より距離Qだけ表示領域21の側に離れた位置に設けられる。
第1の弾性部材12と第2の弾性部材13の液晶パネル20の外周からの距離P,Qは、P>Qの関係を満たす。液晶パネル20の下端部とパネルホルダー30との摩擦に抗し
て液晶パネル20を前方に移動させる力が効率的に作用するように、距離Qは小さい方が好ましい。第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13は液晶パネル20の辺に沿って略平行に配置されている。
【0019】
つまり、液晶パネル20の表示領域21の下側の領域に対応する位置のパネルホルダー30において、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13の2種類の異なる弾性部材が設けられる。なお、図2は、液晶パネル20を前方(フレーム10側)から見た図であり、実際には液晶パネル20の背面側に位置する第1の弾性部材12や第2の弾性部材13は見えないが、概念的に第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13の位置を斜線で示している。
【0020】
図3に示すように、フレーム10には、第3の弾性部材11が設けられている。第3の弾性部材11は、液晶パネル20の表示面側の面に対向して設けられる。図2には第3の弾性部材11は図示していない。
【0021】
第1の弾性部材12,第2の弾性部材13,及び第3の弾性部材11を介して、フレーム10及びパネルホルダー30によって液晶パネル20が狭持され、保持される。これにより、振動や落下等により液晶パネル20が大きく変位したときに、液晶パネル20がフレーム10に接触することが抑制される。液晶パネル20の表示領域21の外周から、パネルホルダー30の外周又はフレーム10の外周までの寸法が、液晶表示装置1の額縁の幅となる。
【0022】
液晶パネル20の前面を保持する第3の弾性部材11と液晶パネル20の背面を保持する第1の弾性部材12の位置は、液晶パネル20を保持することができる位置であればどの位置であってもよい。液晶パネル20の前面を保持する第3の弾性部材11は、液晶パネル20が振動等により大きく変位した際にフレーム10に接触することをより確実に抑制できるように、フレーム10の内周側の辺の近傍に配置することが望ましい。
【0023】
第1の弾性部材12と第2の弾性部材13の凸量及び硬度は、パネル保持リブ31の位置や幅、液晶パネル20の形状に応じて決定される。凸量とは、非圧縮状態で厚み方向(液晶パネル20に垂直の方向)でパネルホルダー30から液晶パネル20の向き(図3で左向き)の突出量である。凸量が大きいほど、液晶パネル20によりパネルホルダー30の方向へ弾性部材が圧縮された場合に液晶パネル20へ作用する弾性力が大きい。また、硬度が大きいほど、液晶パネル20によりパネルホルダー30の方向へ弾性部材が圧縮された場合に液晶パネル20へ作用する弾性力が大きい。
【0024】
そして、第1の弾性部材12と第2の弾性部材13とは、凸量及び硬度に関して、以下の第1の関係及び第2の関係の少なくともいずれかが成り立っている。
【0025】
第1の関係は、第1の弾性部材12の厚み方向の凸量をA、第2の弾性部材13の厚み方向の凸量をBとすると、次の式で表される。

A<B ・・・(式1)

【0026】
また、第2の関係は、第1の弾性部材12の硬度をa、第2の弾性部材13の硬度をbとすると、次の式で表される。

a<b ・・・(式2)

【0027】
すなわち、本実施例の液晶表示装置では、液晶パネル20の背面を保持する2種類の弾性部材のうち、液晶パネル20の外周側に配置される第2の弾性部材13の方が内周側に配置される第1の弾性部材12よりも凸量及び硬度の少なくともいずれかが大きい。
【0028】
このような構成とすることにより、液晶表示装置が平置き状態のときは、図3の右側が下となり、液晶パネル20の重量を第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13が支え、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13が同程度圧縮された状態となる。この状態では、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13の弾性力が液晶パネル20に作用し、液晶パネル20に局所的な応力が生じる。この状態から液晶表示装置を設置状態にすると、図3の下側が重力方向となる。第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13には液晶パネル20の重量がかからなくなり、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13の弾性力がそれぞれ液晶パネル20を前方に移動させる方向に作用する。
【0029】
ここで、液晶パネル20のガラス基板は、アレイ基板とカラーフィルタ基板を張り合わせて、シール材で固定した後、マザーガラスから切断を行って作成される。切断時、ガラスの切断面は非常に鋭利で、欠けやヒビ等が発生しやすいため、砥石等を用いて切断面に面取り加工を行うことが一般的である。しかし、この加工によって、ガラスの面取り部に研磨傷がつきやすい。
【0030】
液晶表示装置1を設置状態にすると、液晶パネル20がパネルホルダー30により支えられ、液晶パネル20の下端の辺とパネルホルダー30とが接触した状態となる。そのため、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13により液晶パネル20を前方へ移動させる方向に作用する弾性力に対し、液晶パネル20の下端の辺の面取り部の研磨傷とパネルホルダー30との摩擦が抵抗となる。
【0031】
しかしながら、本実施例の場合、第2の弾性部材13が、凸量又は硬度が第1の弾性部材12より大きいために、より摩擦面に近い位置の液晶パネル20に、より大きな弾性力が作用することになる。そのため、この弾性力により、摩擦に抗して液晶パネル20が前方へ移動しやすくなる。つまり、液晶表示装置を設置状態としたときに、液晶パネル20がパネルホルダー30に引っ掛かることが抑制され、液晶パネル20に局所的な応力が生じることが抑制され、表示むらの発生を好適に抑制することができる。
【0032】
また、液晶表示装置の設置状態において、液晶パネル20を押さえる力が作用し、この力により液晶パネル20が後方(バックライトユニット80の方向)へ移動し、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13が同程度圧縮された状態となる場合がある。この状態では、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13の弾性力が液晶パネル20に作用し、液晶パネル20に局所的な応力が生じる。この状態から液晶パネル20を押さえる力が取り除かれた場合、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13を圧縮させていた力がかからなくなり、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13の弾性力がそれぞれ液晶パネル20を前方に移動させる方向に作用する。この弾性力に対し、液晶パネル20の下端の辺の面取り部の研磨傷とパネルホルダー30との摩擦が抵抗となるが、上述のように、第2の弾性部材13の弾性力により、摩擦に抗して液晶パネル20が前方へ移動しやすい。従って、液晶パネル20がパネルホルダー30に引っ掛かることが抑制され、液晶パネル20に局所的な応力が生じることが抑制され、表示むらの発生を好適に抑制することができる。
【0033】
より弾性力の大きな弾性部材がより摩擦面に近い位置に配置されている、という関係は、表示部のチルト角度等によらず常に成立する。そのため、チルト機構やスイーベル機構、ピボット機構等により表示部の角度を変更可能な液晶表示装置において、表示部の角度
によらず局所的な応力に起因する表示むらの発生を抑制することが可能である。第2の弾性部材13の凸量及び硬度は、平置き状態で液晶パネル20の重量を支えたり液晶パネル20を押さえる力がかかったりして圧縮された状態で生じる弾性力が、液晶パネル20とパネル保持リブ31との摩擦力より大きくなるように設定される。
【0034】
具体的な実施例として、第1の弾性部材12として材質がシリコンゴム、厚みが2mmのものを用い、第2の弾性部材13として材質がウレタンフォーム、厚みが3mmのものを用いた。また、第1の弾性部材12の配置位置Pは液晶パネル20の下端部から5mmの位置とし、第2の弾性部材13の配置位置Qは液晶パネル20の下端部から2mmとした。この場合に、液晶表示装置1に生じる表示むらが抑制できることが確認できた。
【0035】
なお、本実施例では、第1の弾性部材12と第2の弾性部材13の形状が矩形である例を説明したが、第2の弾性部材13の方が第1の弾性部材12よりも液晶パネル20へ作用する弾性力が強くなるような構成であればよい。例えば、第1の弾性部材12の先端形状が第2の弾性部材13よりも潰れやすい形状としても良い。
【0036】
(実施例2)
本発明の実施例2は、表示部を画面に垂直な軸周りに回転させる回転機構を備え、液晶表示装置の使用時に表示部の位置を前記軸周りの角度が異なる複数の位置に切り替えることができる液晶表示装置に本発明を適用した例である。実施例2において、実施例1と同等の構成要素には実施例1と同じ名前及び符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
図4は、実施例2に係る液晶表示装置1の液晶パネル20の支持構造を示す正面図である。
実施例1と同様に、液晶パネル20はパネルホルダー30に保持されている。
液晶表示装置1は、図4において(−Y)方向が重力方向となる位置(横位置)と、その横位置から表示部を画面に垂直な軸周りに90度回転させて、X方向が重力方向となる位置(縦位置)と、の2種類の位置で使用することが可能な構造を有する。
【0038】
実施例1と同様、パネルホルダー30において、液晶パネル20の下端部の辺に接する位置にパネル保持リブ31が設けられ、液晶表示装置1を横位置で使用する場合に液晶パネル20の重量がパネル保持リブ31により支えられる。さらに、本実施例では、パネルホルダー30において、液晶パネル20の右側端部の辺に接する位置にもパネル保持リブ31が設けられ、液晶表示装置1を縦位置で使用する場合に液晶パネル20の重量がパネル保持リブ31により支えられる。
【0039】
第1の弾性部材12については、図4に示すように、実施例1と同様である。第2の弾性部材13については、図4に示すように、実施例1と同様、液晶パネル20の表示領域21の周囲の領域のうち横位置で使用する場合に下側となる領域に対応する位置のパネルホルダー30に設けられる。更に、縦位置で使用する場合に下側となる領域(図4の右側の領域)に対応する位置のパネルホルダー30にも第2の弾性部材13が設けられる。縦位置で使用する場合に下側となる領域に設けられる第2の弾性部材13は、横位置で使用する場合に下側となる領域に設けられる第2の弾性部材13と同様、液晶パネル20の外周より距離Qだけ離れた位置に設けられる。
【0040】
本実施例の液晶表示装置によれば、横位置で使用する場合も、縦位置で使用する場合も、液晶パネル20が第2の弾性部材13により前方に押し出されるため、パネル保持リブ31に引っ掛かることが抑制される。従って、横位置で使用する場合も縦位置で使用する場合も液晶パネル20に局所的な応力が生じることに起因する表示むらの発生を抑制することができる。
【0041】
なお、本実施例では、画面に垂直な回転軸回りに図4において時計回りに90°回転可能な機構を有する液晶表示装置を例に説明したが、反時計回りに90°回転可能な機構を有する液晶表示装置にも本発明は適用可能である。その場合、図4において液晶パネル20の表示領域21の周囲の領域のうち縦位置で使用する場合に下側となる領域(図4の左側の領域)に対応する位置のパネルホルダー30にパネル保持リブ31及び第2の弾性部材13を配置すればよい。また、90°以上の回転が可能な場合は、回転によって液晶パネル20の重量を支える位置全てにパネル保持リブを設け、液晶パネルの外周から距離Qの位置に第2の弾性部材13を配置すればよい。
【0042】
(実施例3)
本発明の実施例3は、実施例1の液晶表示装置1において第1の弾性部材12と第2の弾性部材13の位置関係を変更したものである。図5は、実施例3に係る液晶パネルの支持構造を示す正面図である。
実施例1、2と同様に、液晶パネル20はパネルホルダー30に保持されている。ここでは、液晶表示装置1は、設置状態において、図5における(−Y)方向が重力方向となるとする。
【0043】
パネルホルダー30において、液晶パネル20の下端部の辺が接する位置に複数のパネル保持リブ31が設けられる。個々のパネル保持リブ31のX方向の長さは液晶パネル20の下側端部の辺の長さより短く、液晶パネル20の下側部の辺はその一部がパネル保持リブ31に接している。液晶表示装置の設置状態において、液晶パネル20の重量が複数のパネル保持リブ31により支えられる。
液晶パネル20の表示領域の周囲のうち、設置状態において下側となる領域以外の領域に対応する位置のパネルホルダー30に設けられる第1の弾性部材12は、実施例1と同様である。
【0044】
液晶パネル20の表示領域の周囲のうち、設置状態において下側となる領域に対応する位置のパネルホルダー30には、第1の弾性部材12及び第2の弾性部材13が設けられる。本実施例では、第2の弾性部材13はパネル保持リブ31に対応する位置にのみ設けられ、第1の弾性部材12はそれ以外の位置にのみ設けられる。つまり、図5に示すように、パネルホルダー30において、液晶パネル20の周囲のうち設置状態において下側となる領域では、第1の弾性部材12と第2の弾性部材13とが互い違いに配置される。図5においてパネル保持リブ31及び第2の弾性部材13が設けられる位置におけるD−D断面図を図6に示す。また、図5にいてパネル保持リブ31が設けられておらず第1の弾性部材12が設けられる位置におけるE−E断面図を図7に示す。
【0045】
図6に示す位置では、液晶パネル20の下端部の辺はパネル保持リブ31に接している。この位置では、パネルホルダー30には第2の弾性部材13のみ配置される。
図7に示す位置では、パネル保持リブ31がパネルホルダー30に設けられていないため、液晶パネル20の下端部の辺はパネル保持リブ31に接していない。この位置では、パネルホルダー30には第1の弾性部材12のみ配置される。
【0046】
これにより、液晶パネル20の下端部の辺とパネル保持リブ31とが接していて液晶パネル20がパネル保持リブ31に引っ掛かる可能性のある箇所(図7)では、第2の弾性部材13により液晶パネル20を前方に押し出す力が作用する。これにより、液晶パネル20とパネルホルダー30との引っ掛かりが抑制され、液晶パネル20に局所的な応力が生じることが抑制される。また、液晶パネル20の下端とパネル保持リブ31とが接しておらず液晶パネル20がパネル保持リブ31に引っ掛かる可能性のない箇所(図6)では、第1の弾性部材12により液晶パネル20とパネルホルダー30との接触が抑制される
。また、第1の弾性部材12は、平置き状態で液晶パネル20の重量を支える。
【0047】
本実施例の液晶表示装置によれば、液晶パネル20に局所的に応力が生じることが抑制され、表示むらが抑制される実施例1、2と同様の効果が、より少ない弾性部材で実現されるので、コストの点で有利である。
【符号の説明】
【0048】
1 液晶表示装置、12 第1の弾性部材、13 第2の弾性部材、20 液晶パネル、30 パネルホルダー、31 パネル保持リブ、70 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、前記液晶パネルを保持するパネルホルダーと、を有する表示部を備える液晶表示装置であって、
前記パネルホルダーは、
前記液晶パネルの辺のうち前記液晶表示装置が使用される状態において下端となる辺を支持する位置に設けられる下端支持部材と、
前記液晶パネルの表示領域の周囲の枠状領域の背面に対向するように、前記液晶パネルの各辺に沿って設けられる第1の弾性部材と、
前記液晶パネルの表示領域の周囲の枠状領域の背面に対向するように、前記液晶パネルの辺のうち前記液晶表示装置が使用される状態において前記下端支持部材と接触する辺に沿って、前記第1の弾性部材よりも前記液晶パネルの外周側に近い位置に設けられる第2の弾性部材と、
を有し、
前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材が圧縮された場合に前記液晶パネルの表示面に垂直な方向に作用する弾性力は、前記第2の弾性部材の方が前記第1の弾性部材よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶表示装置は、前記表示部を前記液晶パネルの表示面に垂直な軸周りに回転させる回転機構を更に備え、前記液晶表示装置が使用されるときに、前記表示部の位置を前記軸周りの角度が異なる複数の位置に切り替えることが可能であり、
前記下端支持部材は、前記表示部が前記複数の位置の各々に切り替えられた状態において下端となる辺を支持する位置に設けられる請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記下端支持部材は、前記液晶パネルの辺のうち前記液晶表示装置が使用される状態において下端となる辺に沿って設けられる当該辺の長さより短い複数の支持部からなり、前記下端支持部材が前記支持部により前記辺の一部を支持するよう構成され、
前記第1の弾性部材は、前記液晶表示装置が使用される状態において下端となる辺のうち、前記下端支持部材と接触しない部分のみに沿って設けられ、
前記第2の弾性部材は、前記液晶表示装置が使用される状態において下端となる辺のうち、前記下端支持部材と接触する部分のみに沿って設けられる請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1の弾性部材と前記第2の弾性部材とは互いに平行に配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114253(P2013−114253A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263519(P2011−263519)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】