説明

液晶表示装置

【課題】液晶モジュールの背面にソース基板を固定すると、これにフラットケーブルで接続される液晶パネルなどにて断線などが生じる。
【解決手段】支持部品60はソース基板56を下フレーム金具54の背面に沿って揺動可能に支持する。ソース基板56は下フレーム金具54の背面に接触する接地電極である導体パターン110を有する。支持部品60は下フレーム金具54に固定される基部100と、ソース基板56に隣接する位置にて基部100に設けた固定端からソース基板56上に延び、当該ソース基板56を下フレーム金具54に押し当てるカンチレバー62とを有する。カンチレバー62は導体パターン110を凸部114に接触させた状態に保ちつつ、下フレーム金具54の背面に沿ったソース基板56の変位を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、特に液晶パネルにフレキシブル基板を介して接続される回路基板の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶パネル、バックライトユニットを含む液晶モジュールを備える。図5は、従来の液晶モジュール2の下部の模式的な垂直断面図である。図5において左側が液晶表示装置の表面、つまり表示面側であり、右側が背面側である。液晶モジュール2の表面には表示パネルである液晶パネル4が配置され、その背後にバックライトユニット6が配置される。バックライトユニット6にはその背面を覆う下フレーム金具8が取り付けられている。液晶モジュール2の外周は、樹脂成形で形成されたモールドフレーム10で囲まれる。これら液晶パネル4、バックライトユニット6及びモールドフレーム10等を組み立てた液晶モジュール2の主要部は枠型の上フレーム金具12にはめ込まれ、液晶モジュール2の外周側面は上フレーム金具12で覆われる。
【0003】
液晶パネル4はマトリクス状に配列された複数の画素を有し、当該画素の配列に対応して液晶パネル4には、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)やソース信号線及びゲート信号線を含む電子回路が形成される。液晶モジュール2は、液晶パネル4にそれぞれ複数配列されるソース信号線及びゲート信号線を駆動するソースドライバ回路及びゲートドライバ回路を備え、各ドライバ回路の動作は信号処理回路により制御される。液晶パネル4の回路と信号処理回路基板との間には例えばソース基板14が接続される。液晶パネル4にてソース信号線は水平方向に複数配列される。これに対応して、当該ソース信号線を駆動するソースドライバ回路は液晶モジュールの水平方向に沿って配置され、液晶パネル4においてはソース信号線を駆動する回路が例えば、下縁に沿った領域に形成され、ソース基板14も当該下縁に沿って水平方向に細長い形状とされる。液晶パネル4の下縁に形成される回路とソース基板14との間は複数の信号線が配列されたフレキシブル基板16で接続される。画素数が多い場合には複数のフレキシブル基板16が水平方向に配列される。
【0004】
従来、ソース基板14はモールドフレーム10に取り付けられる。例えば、図5に示す構成ではモールドフレーム10の下面に取り付けられている。ソース基板14の回路やこれに接続される液晶パネル4の回路のグランドは信号処理回路基板から電源基板を介して電源コンセントに接続される。ここで、グランドへのインピーダンスを下げることで、不要輻射(EMI:Electromagnetic Interference)や放電等の影響を低減することが可能である。そこで、ソース基板14にグランド接続金具18を設け、当該グランド接続金具18を上フレーム金具12に面接触させるなどして、ソース基板14や液晶パネル4の回路のグランドを低インピーダンスとすることが行われていた。
【0005】
しかし、最近では、狹額縁化や材料費低減のために、上フレーム金具12を削除したりモールドフレーム10を細くしたりすることが行われる。当該構成では、ソース基板を上述の従来の位置に配置することや上フレーム金具12に接地することができなくなる。そこで、この場合には、ソース基板を下フレーム金具8の背面にねじなどで固定すると共に、下フレーム金具8へ接地する構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−75077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液晶モジュールにおいて液晶パネルは例えば、緩衝材を介して他の部材に当接され支持されるが、一般に完全には固定されておらず、特に表示面に平行な方向に多少の遊びが存在し得る。そのため、液晶パネルが下フレーム金具に対して例えば表示面に水平な方向にずれると、ソース基板は下フレーム金具にねじ等で固定されているため、液晶パネルの水平な縁とこれに平行なソース基板との間を接続するフレキシブル基板をその可撓性が少ない方向である幅方向(水平方向)に曲げようとする力が作用する。これによる応力はフレキシブル基板内や液晶パネルやソース基板との接続部分にて断線を生じさせ得るという問題があった。
【0008】
また、インプレーンスイッチング(In Plane Switching:IPS)方式の液晶パネルは、VA(Vertical Alignment)方式の液晶パネルとは異なり、ガラス基板面に平行な電界成分を用いて液晶分子をガラス基板と平行な面内で回転させ光の透過を制御する。このIPS方式の液晶パネルは、ガラス基板の一部に応力が加わると当該部分にて液晶の向きがガラス基板面に平行な方向に対してずれ、表示画面にて色ずれを生じる。そのため、上述のフレキシブル基板の応力に起因して当該色ずれが発生するという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、液晶パネルにフレキシブル基板で接続される回路基板をフレームの背面に取り付ける液晶表示装置において、上記断線や色ずれを回避可能な構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液晶表示装置は、液晶パネルを含むパネル状構造体と、当該パネル状構造体の背面を覆う金属製のフレームと、前記フレームの背面に配置され、前記液晶パネルとの間をフレキシブル基板によって接続される回路基板と、前記回路基板を前記フレームの背面に沿って揺動可能に支持する支持部品と、を有し、前記回路基板は、前記フレームの背面に接触する接地電極を有し、前記支持部品は、前記フレームに固定される基部と、前記回路基板に隣接する位置にて前記基部に設けた固定端から前記回路基板上に延び、当該回路基板を前記フレームに押し当てる片持ちばねと、を有する。
【0011】
他の本発明に係る液晶表示装置においては、前記片持ちばねが前記接地電極の裏側の位置にて前記回路基板に押し当てられる押圧部を有する。本発明の好適な態様は、前記フレームの背面が前記接地電極に対向する位置に凸部を有する液晶表示装置である。
【0012】
別の本発明に係る液晶表示装置においては、前記支持部品の前記基部が、前記フレームと前記回路基板との間に位置して前記回路基板側へ突き出る突起部を設けられたスペーサ部を有し、前記回路基板が、前記突起部に対向する位置に当該突起部を挿入される開口部であって当該突起部の太さに対して前記揺動の幅に応じた遊びを有する位置決め穴を備えた液晶表示装置である。本発明の好適な態様は、前記フレームの背面が前記接地電極に対向する位置に前記スペーサ部の前記突起部の設置面より出っ張る凸部を有する液晶表示装置である。
【0013】
さらに別の本発明に係る液晶表示装置においては、前記支持部品の前記基部は、前記回路基板の縁部を挿入される挿入溝を形成され、当該挿入溝は当該縁部について前記回路基板の法線方向の動きを制限する。
【0014】
上記本発明に係る液晶表示装置において、前記基部は、前記回路基板を押し当てられる面に設けられる段差のうち、前記片持ちばねの可動端から前記固定端へ向けて挿入される前記回路基板から見て立ち上がるものを面取りされている構成とすることができる。
【0015】
本発明は、前記液晶パネルの表示方式がインプレーンスイッチング方式である液晶表示装置において好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液晶パネルにフレキシブル基板で接続される回路基板をフレームの背面に取り付ける液晶表示装置において、フレキシブル基板内やその接続部での断線や、液晶パネルの表示画面での色ずれを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の模式的な背面図である。
【図2】図1の線分II-IIにおける液晶モジュールの模式的な垂直断面図である。
【図3】実施形態の液晶モジュールでのソース基板の支持部分に関する垂直方向に沿った模式的な部分断面図である。
【図4】支持部品に装着されたソース基板の模式的な部分平面図である。
【図5】従来の液晶モジュールの下部の模式的な垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)である液晶表示装置について、図面に基づいて説明する。液晶表示装置50は、液晶モジュールを含む主要部及び、外装のカバー・枠、スタンドなどから構成される。図1は、液晶表示装置50の模式的な背面図であり、具体的には液晶表示装置50のうち液晶モジュール52を後ろから見た状態を示している。液晶パネルに対応して液晶モジュール52も略矩形の平板形状である。液晶モジュール52は、液晶パネル、バックライトユニットなどの部品を組み合わせたパネル状の構造体をフレーム部材で支えた構造を有する。本実施形態では液晶モジュール52の後面は当該フレーム部材の一つである下フレーム金具54で基本的に覆われ、外周には縁を支持するモールドフレームが設けられる。液晶モジュール52は下フレーム金具54の後面上に取り付けられたソース基板56及び信号処理回路基板(図示せず)を備える。これら基板は硬質な材料で作られ、例えば、ガラスエポキシ基板を用いることができる。
【0019】
液晶パネルはマトリクス状に配列された複数の画素を有し、当該画素の配列に対応して液晶パネルには、ソース信号線(データ信号線)及びゲート信号線(走査信号線)がそれぞれ複数配列される。液晶モジュール52は各ソース信号線を駆動するソースドライバ回路、及び各ゲート信号線を駆動するゲートドライバ回路を備え、それらの動作は映像信号に基づいて信号処理回路基板にて生成される制御信号によって制御される。
【0020】
ソース基板56は下フレーム金具54の上辺寄りの背面に水平方向に延在し、当該基板はフラットケーブル58で下フレーム金具54の上辺を経由して液晶パネルの上縁部に接続される。またソース基板56は信号処理回路基板と例えばフラットケーブル(図示せず)によって接続される。本実施形態では、液晶パネルの画素数が多いことに対応して6本のフラットケーブル58が水平方向に配列されている。ソース基板56は支持部品60によって下フレーム金具54に取り付けられる。支持部品60はソース基板56に応じた長さで水平方向に延在される。
【0021】
図2は、液晶モジュール52の模式的な垂直断面図であり、図1の線分II−IIの部分での断面図である。図2において左側が液晶表示装置50の表面、つまり表示面側であり、右側が背面側である。液晶モジュール52の表面には表示パネルである液晶パネル80が配置される。液晶パネル80は、図2には示していないが、その背面側のガラス基板であるTFT基板及び前面側のガラス基板である対向基板と、それらの間に挟まれた液晶層とを有する。液晶パネル80は透過型であり、TFT基板の背面には下偏光板が配置され、対向基板の前面には上偏光板が配置され、当該液晶パネル80の背面に対向してバックライトユニット82が配置される。
【0022】
TFT基板の液晶側の面には、TFTが画素配列に対応してマトリクス状に配置される。また、TFT基板にはソース信号線がTFTの垂直列ごとに設けられ、当該垂直列の複数のTFTのソースに共通に接続される。またゲート信号線がTFTの水平列ごとに設けられ、当該水平列の複数のTFTのゲートに共通に接続される。また、各TFTのドレインには当該TFTに対応する画素領域に配置された画素電極が接続される。
【0023】
さらに、TFT基板は画素が配列された有効表示領域の外側に、ソース信号線やゲート信号線に信号を供給する駆動回路を形成される。ゲート信号線を駆動する回路は、各ゲート信号線に順番にゲート信号を出力して、当該ゲート信号線に接続される画素回路をデータ書き込み可能にする。また、ソース信号線を駆動する回路は1走査線を構成する複数の画素それぞれに対応する信号を複数のソース信号線に出力する。各ソース信号線に出力された画素信号は、ゲート信号により書き込み可能とされている画素回路に書き込まれ、各画素回路は書き込まれた画素信号に応じて画素から出射される光量を制御する。
【0024】
対向基板はカラーフィルタを形成され、画像のカラー表示を可能とする。本実施形態の液晶パネル80はIPS方式であり、対向電極には基本的に電極は形成されない。
【0025】
TFT基板上のソース信号線に対応した駆動回路は例えば、当該基板の上縁部に沿って配置され、当該上縁部に形成された回路が上述のようにフラットケーブル58でソース基板56に接続される。フラットケーブル58にはソース信号線に対応して複数の信号線が幅方向に配列される。またフラットケーブル58にはCOF(Chip On Film)技術によりIC(集積回路)等の素子を実装することができる。
【0026】
バックライトユニット82は液晶パネル80へ向かう平面状の光を生成する発光部84と、発光部84の前面に積層された拡散シート等の光学シート類86とを含む。なお、発光部84は例えば、エッジライト方式では導光板や、その側面から光を入射する光源などからなり、また直下型では発光面に沿って配列された複数の光源などからなる。例えば、光源として発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)が用いられる。
【0027】
このバックライトユニット82は背面に下フレーム金具54を配置され、下フレーム金具54に支持部品60が取り付けられ、この支持部品60にソース基板56が装着される。支持部品60は垂直方向に細長いカンチレバー62を有する。なお、下フレーム金具54にはソース基板56の他、例えば、信号処理回路基板や液晶表示装置50がテレビジョン受信機である場合における受信回路などの回路基板が取り付けられる。下フレーム金具54はその周縁部が前面側へ折れ曲がった箱形の形状とされ、その内側にバックライトユニット82が収納される。
【0028】
モールドフレーム88、上フレーム金具90は液晶モジュール52の外周に沿った一体の枠に形成される。図2に示すモールドフレーム88、上フレーム金具90はその上辺部分である。モールドフレーム88は樹脂成形により作られ、液晶モジュール52の前後方向に水平な部分88hと、これに垂直な部分88vとを有する。
【0029】
上フレーム金具90は枠の各辺にてL字型の断面を有し、モールドフレーム88の水平部分88hの外側に配置される水平な部分90hと、前方にて枠の内側に折れ曲がる前面部分90vとを有する。この上フレーム金具90の枠内に、上述した液晶パネル80、バックライトユニット82、下フレーム金具54、モールドフレーム88等を組み立てた液晶モジュール52の主要部がはめ込まれ、液晶モジュール52の外周側面は上フレーム金具90の水平部分90hで覆われ、前面外縁部は前面部分90vで覆われる。
【0030】
モールドフレーム88の垂直部分88vは液晶パネル80とバックライトユニット82との間に設けられる間隙に挿入され、液晶パネル80はモールドフレーム88の垂直部分88vと上フレーム金具90の前面部分90vとの間に保持される。液晶パネル80とその外周を囲むモールドフレーム88の水平部分88hとの間には遊び(隙間)が設けられる。液晶パネル80はその面に沿った方向に作用する力に応じて当該遊びの範囲内で変位し応力を緩和する。
【0031】
次に下フレーム金具54の背面におけるソース基板56の支持について説明する。図3はソース基板56の支持部分に関する垂直方向に沿った模式的な部分断面図である。支持部品60は基部100とカンチレバー62とを備える。例えば、支持部品60は樹脂成形により一体に形成することができる。後述するようにカンチレバー62は片持ちばねを構成するので、一体成形の場合、支持部品60はその弾性力を得られる材料で作られる。例えば、当該材料としてポリスチレンやポリプロピレンを用いることができる。
【0032】
基部100はソース基板56に応じた長さで水平に延在し、下フレーム金具54に固定される。例えば、基部100の下フレーム金具54との接触面に、ラッチ形状を有する突起部102を設け、これを下フレーム金具54に設けた貫通穴104に挿入する。突起部102のラッチ形状は下フレーム金具54の裏面から突き出る部分に形成され、貫通穴104の通過時には圧縮され、通過後、貫通穴104の径より広がって基部100を下フレーム金具54に固定する。また、基部100はねじ止めなどの手段で下フレーム金具54に固定することもできる。
【0033】
基部100は下フレーム金具54のソース基板56に面する部分に配置されるスペーサ部106を有する。スペーサ部106は下フレーム金具54とソース基板56との間に位置し、例えば、ソース基板56と下フレーム金具54との間の絶縁や容量結合の低減、また緩衝材としての機能を果たす。さらに本実施形態のスペーサ部106はソース基板56側へ突き出る突起部108を備える。突起部108は後述するようにソース基板56の位置決め、脱落防止の機能を有する。
【0034】
ソース基板56は下フレーム金具54の背面に接触する導体パターン110を例えばアイランド状に形成される。この導体パターン110に向き合う領域に、スペーサ部106の開口部(スペーサ開口部112)が形成され、また下フレーム金具54にはソース基板56側に向かって出っ張った凸部114が当該領域に形成される。凸部114はスペーサ部106のソース基板56に対向する面(突起部108が設置される面)より出っ張る。その突出量は支持部品60に装着されたソース基板56の導体パターン110に下フレーム金具54が確実に接触するように設定される。例えば、凸部114は下フレーム金具54をプレス加工して形成される。
【0035】
上述のようにソース基板56はその上辺側にてフラットケーブル58を介し液晶パネル80と接続されており、基本的に垂直方向上側からスライドさせて支持部品60に装着される。スペーサ部106の上辺側にはこのソース基板56の装着動作を妨げるような形状を設けないように配慮される。この観点から、カンチレバー62の固定端はスペーサ部106の下辺側に設けられる。具体的には、スペーサ部106の下辺側の基部100を厚くして、スペーサ部106から立ち上がる壁116を形成し、この壁116からカンチレバー62が垂直方向上側へ向けて延在される。
【0036】
壁116には、ソース基板56の下辺の縁部を挿入される挿入溝120が形成される。挿入溝120は、挿入された縁部についてソース基板56の法線方向(液晶表示装置50の前後方向)における動きを制限する。なお、図3には現れていないが、挿入溝120は壁116と共に水平方向に延びている。
【0037】
また、ソース基板56の装着動作を妨げない配慮として、ソース基板56が押し当てられる面に設けられる基部100の段差のうち、カンチレバー62の可動端から固定端へ向けて挿入されるソース基板56から見て立ち上がるものを面取りした構成とすることができる。本実施形態では図3に、スペーサ開口部112の縁のうち下側の部分について角を斜めに面取りした構造を示している。このように角を取ることで、ソース基板56の挿入時にその先端部が角に引っかかりにくくなり、装着作業が容易となる。
【0038】
カンチレバー62は支持部品60に装着されたソース基板56に隣接する位置に設けられた壁116からソース基板56上に延びる。このカンチレバー62は図1に示したように、基本的に水平方向に細く、垂直方向に長い形状とすることができ、図3に示したように、ソース基板56の面に沿って延びる腕の部分と、当該腕の先端に設けられた押圧部118とを有する。押圧部118はカンチレバー62の腕からソース基板56へ向かって突き出てソース基板56に押し当てられる。カンチレバー62は壁116との接続部分を固定端として撓むことができ、片持ちばねとして機能してソース基板56を下フレーム金具54に押し当てる。具体的には、本実施形態ではソース基板56の導体パターン110が下フレーム金具54の凸部114に押し当てられる。
【0039】
図4は支持部品60に装着されたソース基板56の模式的な部分平面図であり、導体パターン110が形成される面(前面とする)とは反対側の面(後面とする)が表されている。図4は、導体パターン110、カンチレバー62などの位置関係の一例を示しており、具体的には、カンチレバー62は図3に示した押圧部118が導体パターン110の裏側の位置にてソース基板56に押し当てられている。
【0040】
ここで、導体パターン110上にはソルダーレジストは形成されない。ソース基板56のグランドはEMIが抑制されるように設計され、導体パターン110はそのグランドのパターンにつながっている。そして、当該導体パターン110が凸部114に接触することにより、ソース基板56のグランドは下フレーム金具54に接地され、EMIの効果的な抑制が図られる。なお、基板にて導体パターンを形成する銅箔は露出させたままでは酸化し得る。そこで導体パターン110を例えばハンダにてコーティングして当該酸化による接触抵抗の増加を防止し、接地が良好な状態に維持されるようにする。
【0041】
支持部品60に装着されたソース基板56は、カンチレバー62により下フレーム金具54へ向けて弾性力を作用され、液晶表示装置50が外力で揺れたりしても、導体パターン110が凸部114に接触した状態を保ち良好な接地状態に維持される。
【0042】
ソース基板56には、スペーサ部106に設けた突起部108に対向する位置に開口部(基板開口部122)が設けられる。基板開口部122は突起部108を挿入され、ソース基板56の水平方向及び垂直方向の位置が大きくずれないようにする位置決めの機能と、ソース基板56が支持部品60から脱落しにくくする機能とを有する。ここで、基板開口部122は突起部108の太さより大きく作られ、ソース基板56がその面に沿った方向には或る程度、揺動することを可能とする。カンチレバー62の弾性力も、ソース基板56がスペーサ部106の表面にて摺り動けるように調整される。
【0043】
このように基板開口部122を突起部108より大きく形成していることと、カンチレバー62の弾性力をソース基板56が下フレーム金具54の背面に沿って容易に変位できるように調整することによって、液晶表示装置50に外力が作用して液晶パネル80が揺動する際にソース基板56も追随して揺動することができる。これにより、液晶パネル80がその保持構造の遊びにより変位してもフラットケーブル58や液晶パネル80における応力の発生が抑制、又は緩和され、断線や色ずれを回避することが可能となる。
【0044】
なお、この効果を得る上で、ソース基板56の揺動可能量を液晶パネル80のそれに応じた大きさとすることが好適であり、基板開口部122の突起部108に対する遊びもこの観点から設定される。
【0045】
また、押圧部118とソース基板56との接触面の摩擦を小さくすることが好適であり、例えば、押圧部118の先端を尖らせてソース基板56との接触面積を小さくする。挿入溝120はカンチレバー62と共に、導体パターン110の良好な接地を確保するためにソース基板56の前後方向の変位を抑制するものであるが、ソース基板56を把持する必要はなく、ソース基板56を圧入しなくて済む溝幅に形成して、ソース基板56の揺動(特に水平方向の揺動)を抑制しないように構成される。
【0046】
導体パターン110及び凸部114はソース基板56が揺動により変位しても接触状態を保つように大きさ・形状を設定される。
【0047】
導体パターン110、凸部114、基板開口部122は単純には円形とすることができる。ここで、液晶表示装置50がテレビジョン受信機である場合など、液晶表示装置50は通常、液晶パネル80の垂直方向を鉛直方向にして設置されるので、液晶パネル80のずれは概して垂直方向より水平方向に大きくなると考えられる。これを考慮して、導体パターン110、凸部114、基板開口部122を横長に形成することも好適である。
【0048】
上述の実施形態では凸部114はスペーサ部106から出っ張る構成としたが、導体パターン110に例えばハンダバンプを形成するなどして導体パターン110を出っ張らせることもでき、この場合には凸部114は必ずしもスペーサ部106から出っ張らせなくてもよい。
【0049】
また、スペーサ部106は上述したように絶縁等を考慮してソース基板56と下フレーム金具54との間に配置しているが、当該絶縁等について支障がなければスペーサ部106を省略した構成にすることも可能である。
【0050】
上述の実施形態ではカンチレバー62の押圧部118は導体パターン110の裏面領域内に押し当てているが、当該領域外に押し当てる構成としてもよく、また、1つの導体パターン110に対して複数のカンチレバー62を配してもよい。
【0051】
上述の実施形態では支持部品60はソース基板56の水平方向の長さに応じた細長い一体の部品としたが、ソース基板56より短い長さの複数の支持部品60を水平方向に配列して、それら複数の支持部品60で1つのソース基板56を支持する構成とすることもできる。
【0052】
また、突起部108を上向きに曲がったL字型とし、その曲がった先端部が基板開口部122の縁に引っかかるように構成してソース基板56の脱落防止の機能を高めてもよい。
【符号の説明】
【0053】
50 液晶表示装置、52 液晶モジュール、54 下フレーム金具、56 ソース基板、58 フラットケーブル、60 支持部品、62 カンチレバー、80 液晶パネル、82 バックライトユニット、84 発光部、86 光学シート類、88 モールドフレーム、90 上フレーム金具、100 基部、102 固定用突起部、104 貫通穴、106 スペーサ部、108 突起部、110 導体パターン、112 スペーサ開口部、114 凸部、116 壁、118 押圧部、120 挿入溝、122 基板開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルを含むパネル状構造体と、
当該パネル状構造体の背面を覆う金属製のフレームと、
前記フレームの背面に配置され、前記液晶パネルとの間をフレキシブル基板によって接続される回路基板と、
前記回路基板を前記フレームの背面に沿って揺動可能に支持する支持部品と、
を有し、
前記回路基板は、前記フレームの背面に接触する接地電極を有し、
前記支持部品は、
前記フレームに固定される基部と、
前記回路基板に隣接する位置にて前記基部に設けた固定端から前記回路基板上に延び、当該回路基板を前記フレームに押し当てる片持ちばねと、
を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記片持ちばねは、前記接地電極の裏側の位置にて前記回路基板に押し当てられる押圧部を有すること、を特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置において、
前記フレームの背面は、前記接地電極に対向する位置に凸部を有すること、を特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置において、
前記支持部品の前記基部は、前記フレームと前記回路基板との間に位置して前記回路基板側へ突き出る突起部を設けられたスペーサ部を有し、
前記回路基板は、前記突起部に対向する位置に当該突起部を挿入される開口部であって、当該突起部の太さに対して前記揺動の幅に応じた遊びを有する位置決め穴を有すること、
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示装置において、
前記フレームの背面は、前記接地電極に対向する位置に前記スペーサ部の前記突起部の設置面より出っ張る凸部を有すること、を特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の液晶表示装置において、
前記支持部品の前記基部は、前記回路基板の縁部を挿入される挿入溝を形成され、
当該挿入溝は当該縁部について前記回路基板の法線方向の動きを制限すること、
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の液晶表示装置において、
前記基部は、前記回路基板を押し当てられる面に設けられる段差のうち、前記片持ちばねの可動端から前記固定端へ向けて挿入される前記回路基板から見て立ち上がるものを面取りされていること、を特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の液晶表示装置において、
前記液晶パネルの表示方式はインプレーンスイッチング方式であること、を特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−37061(P2013−37061A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170891(P2011−170891)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】