説明

液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法および液晶表示素子

【課題】所望の応答時間及び/または改善された表示品位の発現が達成される液晶表示素子、この液晶表示素子において所望の応答時間及び/または改善された表示品位の発現を達成させる液晶配向膜とその製造方法、及びそれを形成する事ができる液晶配向剤を提供する。
【解決手段】ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリイミド、またはその前駆体であるポリアミック酸もしくはポリアミック酸誘導体から選択される少なくとも1つと、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーを含有する液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成し、液晶表示素子に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリイミドまたはその前駆体であるポリアミック酸もしくはポリアミック酸誘導体から選択される少なくとも1つと光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーを成分として構成される液晶配向剤、該液晶配向剤より得られる液晶配向膜とその製造方法、および該液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、テレビ、ノートパソコンやデスクトップパソコンのモニターをはじめ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型のディスプレイ等の様々な液晶表示装置に利用されている。これまでにTN(ツイステッドネマチック)、STN(超ツイステッドネマチック)、VA(垂直配向)、IPS(インプレーンスイッチング)、OCB(光学補償ベント)等の種々の液晶表示素子が知られている。中でもVA方式の表示素子はノーマリーブラックで高コントラストであることからTV用途の表示として有用であり、需要が増大している。
【0003】
液晶表示素子の技術の発展は、液晶表示素子の駆動方式や液晶表示素子の構造の改良のみならず、液晶表示素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子は、通常は、液晶層中の液晶組成物を特定の方向に配向させるための液晶配向膜を有する。液晶配向膜は、液晶表示素子の表示品位に係わる重要な要素の一つであり、液晶表示素子の高品質化に伴って液晶配向膜の役割が年々重要になってきている。
【0004】
液晶配向膜は液晶配向剤をもちいて形成される。現在、主として用いられている液晶配向剤とは、ポリアミック酸または可溶性のポリイミドを有機溶剤に溶解させた溶液である。液晶配向膜は、このような溶液を基板に塗布した後、加熱等の手段により成膜することにより形成される。
【0005】
成膜された液晶配向膜は、レーヨンやコットンなどの布で特定の方向へ擦るラビングを施すことにより異方性が発現され、液晶が所定の方向へ配列するようになる。
【0006】
反面、ラビングによる配向制御の方法には問題点がいくつかある。そのうちのいくつかを列記する。
1)ラビング方法が機械的な手法であるため、液晶の初期配向状態を精密に調節しにくく、微細な領域においては、お互いに異なる配向方向を発現させにくい。
2)ラビング時に発生するスクラッチや傷は、歩留まり低下の原因となる。
3)液晶表示装置に駆動電圧を印加して液晶分子の配向が完了した後に駆動電圧を切り、再度駆動電圧を印加した場合、液晶分子の最終配向状態が前回の駆動電圧印加時と異なる。そのため、駆動電圧を印加する度に液晶分子の最終配向状態が不規則に変化するため、液晶分子が最終配向状態になるまでに長い時間がかかる。従って、液晶の応答時間が長くなる。
4)VA方式の場合、単一方向の配向を用いることによって視野角が悪くなる。
【0007】
上述の問題を解決するために、特にVA表示素子にPSA(ポリマーサステインド配向)技術を用いることによって応答速度とコントラストを改善する方法が知られている(特許文献1:特開平10−186330号公報を参照)。しかしながらPSA方式では高保持率を要求される液晶材料に反応性の高いモノマーを添加する必要が有る。液晶材料へ反応性化合物を添加することは液晶表示不良の原因ともなりうるためPSAに変わる表示品位改善手段の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−186330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、所望の応答時間および/または改善された表示品位の発現が達成される液晶表示素子、この液晶表示素子において所望の応答時間および/または改善された表示品位の発現を達成させる液晶配向膜とその製造方法、およびそれを形成する事ができる液晶配向剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、以下のジアミンとテトラカルボン酸二無水物から成るポリイミドまたはその前駆体であるポリアミック酸もしくはポリアミック酸誘導体から選択される少なくとも1つと光重合性モノマーおよび/またはオリゴマーを成分として構成される液晶配向剤により形成された液晶配向膜を有する液晶表示素子が応答時間短縮に寄与すること、表示品位を改善出来ることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
本発明は以下の構成からなる。
【0012】
[1] 対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有し、
液晶組成物に当該液晶組成物のしきい値電圧(Vth)よりも高い電圧を印加することによって液晶配向膜表面に存在する光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーの一部または全部を液晶が配列する方向に沿って配向させ、
電圧を印加したまま光を照射して該配向状態を固定化させる工程を経て作成される液晶表示素子に用いられる、
ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリイミド、その前駆体であるポリアミック酸およびポリアミック酸誘導体から選択される少なくとも1つと、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーを含有する液晶配向剤。
【0013】
[2] ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリイミドまたはその前駆体であるポリアミック酸もしくはポリアミック酸誘導体が、下記の式(I)または(II)で表される構成単位を有する化合物である、前記[1]項に記載の液晶配向剤。
【化1】

式(I)および(II)において、
R’は独立して水素または炭素数1〜4のアルキルであり;
は独立して2価の有機基であり;
は独立して4価の有機基であり;そして、
およびRは構成単位ごとに異なっていてもよい。
【0014】
[3] ジアミンが、下記の式(III−1)〜(III−7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つ、または式(III−1)〜(III−7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つとその他のジアミンとの混合物である、前記[2]項に記載の液晶配向剤。
【化2】

上記式中、mは独立して1〜12の整数であり、nは独立して0〜2の整数であり;Gは独立して単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、または−S−(CH−S−であり、前記pは独立して1〜12の整数であり;Gは独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または炭素数1〜10のアルキレンであり;
式中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の任意の−Hは、−F、−OH、−CF、−CHまたはベンジルで置き換えられていてもよく;そして、
シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、GまたはGの結合位置を除く任意の位置である。
【0015】
[4] ジアミンが式(III−2−3)、(III−4−1)〜(III−4−5)、(III−4−9)、(III−5−1)〜(III−5−12)、(III−5−31)〜(III−5−35)および(III−7−3)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、前記[3]項に記載の液晶配向剤。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】



【化8】

【化9】

【0016】
[5] ジアミンが、側鎖構造を有するジアミンの少なくとも1つ、または側鎖構造を有するジアミンの少なくとも1つとその他のジアミンとの混合物である、前記[2]項に記載の液晶配向剤。
【0017】
[6] 側鎖構造を有するジアミンが、式(III−8)〜(III−12)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、前記[5]項に記載の液晶配向剤。
【化10】

式(III−8)において、Gは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、または−(CH−であり、mは1〜12の整数であり;
は炭素数3〜20のアルキル、フェニル、ステロイド骨格を有する基、シクロヘキシルまたは式(III−8−a)で表される基であり;
このアルキルにおいて、任意の−Hは−Fで置き換えられていてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
このフェニルの−Hは、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF2、−OCF3、炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく;このシクロヘキシルの−Hは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく;そして、
ベンゼン環への−NHの結合位置は任意である。
ただし、Gが−(CH−であり、mが1であり、Rがフェニルであるとき、このフェニルの少なくとも一つの−Hは、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF2、−OCF3、炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられている。
【化11】

式(III−8−a)において、Rは−H、−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のフッ素置換アルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり;
、GおよびGは結合基であり、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり;このアルキレン中の1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていても良く;
A、A、AおよびAは環であり、これらは独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
A、A、AおよびAにおいて、任意の−Hは−Fまたは−CHで置き換えられていてもよく;
a、bおよびcは独立して0〜2の整数であり、これらの合計は1〜5であり;そして、
a、bまたはcが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なっていてもよく、2つの環は同じであっても異なっていてもよい。
【化12】

式(III−9)および(III−10)において、
は独立して−Hまたは−CHであり;
は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルであり;
は独立して単結合、−CO−または−CH2−であり;
式(III−10)におけるベンゼン環の1つの−Hは、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられていてもよく;そして、
環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その結合位置が任意であることを示す。
【化13】

式(III−11)および(III−12)において、
は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおける任意の−CH−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
は炭素数6〜22のアルキルであり;
10は−Hまたは炭素数1〜22のアルキルであり;
は−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり;
は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;
は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり;
dは0または1であり;そして、
ベンゼン環への−NHの結合位置は任意である。
【0018】
[7] 側鎖構造を有するジアミンが式(III−8)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、前記[6]項に記載の液晶配向剤。
【0019】
[8] 側鎖構造を有するジアミンが式(III−9)および(III−10)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、前記[6]項に記載の液晶配向剤。
【0020】
[9] 側鎖構造を有するジアミンが式(III−11)および(III−12)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、前記[6]項に記載の液晶配向剤。
【0021】
[10] 側鎖構造を有するジアミンが下記式(III−8−1)、(III−8−2)、(III−8−4)〜(III−8−6)、(III−8−21)、(III−8−22)、(III−8−27)、(III−8−28)、(III−8−30)、(III−8−39)、(III−8−41)〜(III−8−45)、および(III−9−1)〜(III−9−4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、前記[6]項に記載の液晶表示素子。
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

式(III−8−1)および(III−8−2)において、R4aは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシであり;
式(III−8−4)〜(III−8−6)において、R5aは炭素数1〜18のアルキルまたは炭素数1〜18のアルコキシであり;
式(III−8−21)、(III−8−27)および(III−8−39)において、R5bは−H、−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHFまたは−OCFであり;そして、
式(III−8−22)、(III−8−28)および(III−8−30)において、R4dは炭素数1〜20のアルキル、または炭素数1〜20のアルコキシである。
【0022】
[11] ジアミンが式(III−13)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、前記[2]項に記載の液晶配向剤。
【化19】

式(III−13)において、
11およびR12は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり;
10はメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり;
jは1〜6の整数であり;そして
kは1〜10の整数である。
【0023】
[12] ジアミンが式(III−13−1)で表される化合物である、前記[11]項に記載の液晶配向剤。
【化20】

【0024】
[13] テトラカルボン酸二無水物が、下記の式(IV−1)〜(IV−13)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つ、または式(IV−1)〜(IV−13)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つとその他のテトラカルボン酸二無水物との混合物である、前記[2]項に記載の液晶配向剤。
【化21】

式(IV−1)において、
11は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、1,4−フェニレン、または1,4−シクロヘキシレンであり;そして、
は独立して単結合または−CH−である。
【化22】

式(IV−2)において、
13、R14、R15、およびR16は−H、−CH、−CHCH、またはフェニルである。
【化23】

式(IV−3)において、環Aはシクロヘキサン環またはベンゼン環である。
【化24】

式(IV−4)において、
12は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、−O−、−CO−、−S−、−C(CH−、−SO−、または−C(CF−であり;そして、
環Aは独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。
【化25】

式(IV−5)において、R17は独立して−H、または−CHである。
【化26】

式(IV−6)において、
は独立して単結合または−CH−であり;そして、
vは1または2である。
【化27】

式(IV−7)において、Xは単結合または−CH−である。
【化28】

式(IV−8)において、
18は−H、−CH、−CHCH、またはフェニルであり;そして、
はシクロヘキサン環またはシクロヘキセン環である。
【化29】

式(IV−9)において、w1およびw2は0または1である。
【化30】

【化31】

式(IV−11)において、Aは独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。
【化32】

式(IV−12)において、Xは炭素数2〜6のアルキレンであり、そして、
Phはフェニルの略号である。
【化33】

【0025】
[14] テトラカルボン酸二無水物が、式(IV−1−1)、(IV−2−1)、(IV−3−1)、(IV−3−2)、(IV−4−23)、(IV−5−3)、(IV−7−2)、(IV−10)、(IV−12−1)、および(IV−13)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、前記[13]項に記載の液晶配向剤。
【化34】

式(IV−12−1)において、Phはフェニルの略号である。
【0026】
[15] テトラカルボン酸二無水物が、式(IV−1)、(IV−2)および(IV−3)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つ、または式(IV−1)、(IV−2)および(IV−3)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つとその他のテトラカルボン酸二無水物との混合物である、前記[14]項に記載の液晶配向剤。
【0027】
[16] 光重合性モノマーが下記式(V)で表される少なくとも1種の化合物である、前記[1]項に記載の液晶配向剤。

a1−Z−(B−Z)m1−Ra1 (V)

式(V)において、
a1は、独立して下記の式(V−1−1)〜(V−1−5)で表される重合性基、−H、ハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、−N=C=O、−N=C=S、または炭素数1〜20のアルキルであり;
このアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
任意の−Hは、ハロゲンまたは−CNで置き換えられていてもよく;
a1の少なくとも1つは式(V−1−1)〜(V−1−5)で表される重合性基であり;
Bは環であり、独立して炭素数3〜20の飽和または不飽和の独立環、縮合環、またはスピロ環式の2価基であり;
これらの環において、任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく;
任意の−CH=は−N=で置き換えられていてもよく;
任意の−Hは、ハロゲン、−CN、−NO、−NC、−N=C=O、−N=C=S、1〜3個の炭素数1〜4のアルキルで置換されたシリル、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルまたは炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられていてもよく;
このアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
Zは、独立に単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;
このアルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−N(O)=N−、または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
任意の−Hはハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられていてもよく;そして、
m1は1〜6の整数であるが、
m1が2〜6の整数であるとき、括弧内の複数の−B−Z−は同じであっても、異なっていてもよい。
【化35】

式(V−1−1)〜(V−1−5)において、Rは−H、ハロゲン、−CFまたは炭素数1〜5のアルキルである。
【0028】
[17] 式(V)におけるRa1の少なくとも1つが、式(V−1−1)、(V−1−2)または(V−1−3)のいずれかで表される重合性基である、前記[16]項に記載の液晶配向剤。
【0029】
[18] 式(V)における環Bが、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3,6−ジイルまたはトリプチセン−1,4−ジイルで表される2価の基であり;
これらの環において、任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく;
任意の−CH=は−N=で置き換えられていてもよく;
任意の−Hは、ハロゲン、−CN、−NO、−NC、−N=C=O、−N=C=S、1〜3個の炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルで置換されたシリル、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルまたは炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられていてもよく;
このアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられていてもよい、前記[16]項に記載の液晶配向剤。
【0030】
[19] 式(V)における環Bが、独立して下記の式(V−2−1)〜(V−2−25)で表される基の群から選択される1つである、前記[18]項に記載の液晶配向剤。
【化36】

式(V−2−1)〜(V−2−25)において、Lはハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルを表す。
【0031】
[20] 光重合性モノマーが、下記の式(V−3−1)〜(V−3−12)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、前記[16]項に記載の液晶配向剤。
【化37】

【化38】

(式(V−3−1)〜(V−3−12)において、Rは−Hまたは−CHを示し、ベンゼン環上の−Hはハロゲン、−CH、−CFまたは−OCHで置き換えられていてもよく;
は独立して−H、ハロゲン、−CH、−CF、−OCH、フェニルまたは同一炭素上にある2つのRが炭素数6〜15の飽和または不飽和の炭化水素環を形成していても良く;
そして、m2およびm3は独立して1〜20の整数である。
【0032】
[21] 光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーを、ポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体を含む固形分総量の0.01〜50重量%含有している、前記[1]項に記載の液晶配向剤。
【0033】
[22] さらに重合開始剤および/または重合禁止剤を含有している、前記[1]項に記載の液晶配向剤。
【0034】
[23] アルケニル置換ナジイミド化合物、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、オキサジン化合物、オキサゾリン化合物、液晶配向性ポリオルガノシロキサンおよびエポキシ化合物からなる化合物の群から選ばれる、少なくとも1つの添加剤をさらに含有する、前記[1]項に記載の液晶配向剤。
【0035】
[24] 添加剤が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、液晶配向性ポリオルガノシロキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、および3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランからなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[23]項に記載の液晶配向剤。
【0036】
[25] 基板上に塗布した液晶配向剤層を100〜230℃の温度で焼成したときに、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーの50重量%以上が熱重合せずに残存している、前記[1]項に記載の液晶配向剤から形成される液晶配向膜。
【0037】
[26] 基板上に塗布した液晶配向剤層を180〜230℃の温度で焼成したときに、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーの50重量%以上が熱重合せずに残存している、前記[25]項に記載の液晶配向膜。
【0038】
[27] 1,000〜300,000mJ/cmの紫外光を照射して光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーを反応させることにより得られる、前記[1]項に記載の液晶配向剤から形成される液晶配向膜。
【0039】
[28] 式(I)または(II)で表されるポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体が、分子中のRおよびRにおいて、それぞれの基数の総和の4〜50%の基が光によりラジカルを発生する基を持つ化合物である、前記[2]項に記載の液晶配向剤。
【0040】
[29] ラジカルを発生する基がベンゾフェノン骨格およびシンナメート骨格を有する基の群から選択される少なくとも1つである、前記[26]項に記載の液晶配向剤。
【0041】
[30] ラジカルを発生する基が下記の式(VI−1)〜(VI−4)、(VII−1)で表される基の群から選択される少なくとも1つである、前記[28]項に記載の液晶配向剤。
【化39】

上記式中、R19は−Hまたは炭素数1〜25の炭化水素基であり;
この炭化水素基の任意の−Hは−Fで置き換えられていてもよく;
およびXは独立して単結合、−COO−または−O−であり;そして、
13は炭素数2〜6のアルキレンである。
【化40】

【0042】
[31] 前記[1]〜[24]および[28]〜[30]のいずれか1項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
【0043】
[32] 前記[31]項に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
【発明の効果】
【0044】
本発明により、応答時間の短縮および/または表示品位の改善が達成された液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書においては、以降、例えば「式(III−1)で表される化合物」のことを「化合物(III−1)」と称することがある。その他の式番号についても同様に扱われる。
【0046】
化学構造式を説明する際に用いる用語「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意であることを意味する。そして、例えば、「任意のAはB、CまたはDで置き換えられてもよい」という表現は、少なくとも1つのAがBで置き換えられてもよく、少なくとも1つのAがCで置き換えられてもよく、少なくとも1つのAがDで置き換えられてもよく、そして更に複数のAがB〜Dの少なくとも2つで置き換えられてもよいことを意味する。但し、任意の−CH−が他の基で置き換えられてもよいとするとき、連続する複数の−CH−が同じ基で置き換えられることは含まれない。Phはフェニルを意味し、Meはメチルを意味する。
【0047】
環を構成する炭素のいずれか1つと明確に結合していない置換基は、その結合位置が化学的に問題のない範囲内で自由であることを意味する。化学構造式において、文字(例えばA)を六角形で囲った基は環構造の基(環A)であることを意味する。複数の式において同じ記号が用いられている場合は、その記号で示される環、結合基または末端基が同じ定義範囲を有することを意味するが、すべての式において同時にその定義範囲内の同じ基でなければならないことを意味しない。複数の式において同じ基であってもよいし、式ごとに異なる基であってもよい。
【0048】
本発明は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリイミド、その前駆体であるポリアミック酸およびポリアミック酸誘導体から選択される少なくとも1つのポリマーと、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーを含有する液晶配向剤である。本発明の液晶配向剤は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有し、液晶組成物に当該液晶組成物のしきい値電圧(Vth)よりも高い電圧を印加することによって液晶配向膜表面に存在する光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーの一部または全部を液晶が配列する方向に沿って配向させ、電圧を印加したまま光を照射して該配向状態を固定化させる工程を経て作成される液晶表示素子に用いられる。
【0049】
前記の液晶組成物のしきい値電圧(Vth)よりも高い電圧とは次のように定義される。表示モード(TNモード、IPSモード、VAモード等)に相当する偏光板の配置等、諸条件を設定した当該液晶表示素子に電圧を印加し、電圧の変化に応じて変化する透過光強度を観測して、電圧無印加時の透過光強度を0%(ノーマリーブラックの場合)、観測可能な範囲で最大になる時の透過光強度を100%とする(ノーマリーホワイトの場合は電圧無印加時に透過光強度が100%になる。)。ここで透過光強度が10%になる電圧をV10すなわちしきい値電圧(Vth)とする。光を照射して該配向状態を固定化させる工程で印加する電圧は、このしきい値電圧(Vth)よりも高い電圧であることが必要である。印加する電圧の上限は特に規定されないが、印加された電圧によって液晶分子の変位が飽和する(それ以上変位できなくなる)高さの電圧を上限と考えればよい。印加する電圧はこのしきい値電圧(Vth)と液晶分子の変位が飽和する電圧の間で任意に選ぶことができる。
【0050】
上記の透過光強度が90%になるときの電圧V90を飽和電圧(Vsat)と定義する。印加する電圧の上限はこの飽和電圧(Vsat)を目安としてもよい。また、印加する電圧は飽和電圧(Vsat)を超えても構わない。
【0051】
本発明の液晶配向剤に含まれるポリマーは、下記の式(I)または(II)で表される構成単位を有する化合物である。
【化41】

式(I)および(II)において、R’は独立して水素または炭素数1〜4のアルキルであり、Rは独立して2価の有機基であり、Rは独立して4価の有機基であり、そして、RおよびRは構成単位ごとに異なっていてもよい。
【0052】
上記のポリマーには、ポリアミック酸を完全に脱水閉環反応させて得られるポリイミドのみならず、ポリアミック酸を部分的に脱水閉環反応させて得られる部分イミド化ポリアミック酸、テトラカルボン酸二無水物の一部をジカルボン酸に置き換えることによって得られるポリアミック酸−ポリアミド共重合体、およびこのポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部もしくは全部を脱水閉環反応させて得られるポリアミドイミドも含まれる。
【0053】
本発明の液晶配向剤に含まれるポリマーの原料であるジアミンとテトラカルボン酸二無水物、ならびに光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーについて順に説明する。
【0054】
本発明に用いられるジアミンの例は、式(III−1)〜(III−7)で表される化合物である。これらのジアミンから1つを選択して単独で用いてもよく、これらのジアミンから2つ以上を選択して混合して用いてもよく、または、これらのジアミンから選択される少なくとも1つとその他のジアミン(化合物(III−1)〜(III−7)以外のジアミン)とを混合して用いてもよい。
【化42】

上記式中、mは独立して1〜12の整数であり、nは独立して0〜2の整数であり;
は独立して単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、または−S−(CH−S−であり、前記pは独立して1〜12の整数であり;Gは独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または炭素数1〜10のアルキレンであり;
式中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の任意の−Hは、−F、−OH、−CF、−CHまたはベンジルで置き換えられていてもよく;そして、
シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、GまたはGの結合位置を除く任意の位置である。
【0055】
化合物(III−1)〜化合物(III−3)の例を次に示す。
【化43】

【0056】
化合物(III−4)の例を次に示す。
【化44】

【0057】
化合物(III−5)の例を次に示す。
【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【0058】
化合物(III−6)の例を次に示す。
【化49】

【0059】
化合物(III−7)の例を次に示す。
【化50】

【0060】
化合物(III−1)〜(III−7)に関する上記の具体例のうち、より好ましい例は式(III−2−3)、(III−4−1)〜(III−4−5)、(III−4−9)、(III−5−1)〜(III−5−12)、(III−5−26)、(III−5−27)、(III−5−31)〜(III−5−35)(III−6−1)、(III−6−2)、(III−6−6)、(III−7−1)〜(III−7−5)および(III−7−15)〜(III−7−16)で表される化合物であり、特に好ましい例は式((III−2−3)、(III−4−1)〜(III−4−5)、(III−4−9)、(III−5−1)〜(III−5−12)、(III−5−31)〜(III−5−35)および(III−7−3)で表される化合物である。
【0061】
本発明で化合物(III−1)〜(III−7)を用いるとき、使用するジアミンの全量に対する化合物(III−1)〜(III−7)の割合は、選択されたジアミンの構造と、所望する電圧保持率および残留DC低減効果に応じて調整される。その好ましい割合は20〜100モル%であり、より好ましい割合は50〜100モル%であり、更に好ましい割合は70〜100モル%である。
【0062】
好ましいジアミンのもう1つの例は側鎖構造を有するジアミンである。これらのジアミンは、特にVA型液晶表示素子、OCB型液晶表示素子、STN型液晶表示素子等の大きなプレチルト角が要求されるような用途で用いられる。なお、本明細書において、側鎖構造を有するジアミンは、2つのアミノ基を結ぶ鎖を主鎖としたときに、この主鎖に対して側方に位置する置換基を有するジアミンを意味する。すなわち、側鎖構造を有するジアミンは、テトラカルボン酸二無水物と反応することで、高分子主鎖に対して側方位に置換基を有するポリアミック酸、ポリアミック酸誘導体またはポリイミド(分岐ポリアミック酸、分岐ポリアミック酸誘導体または分岐ポリイミド)を提供することができる。このようなポリアミック酸またはポリイミドを含有する液晶配向剤から形成される液晶配向膜は、液晶表示素子におけるプレチルト角を大きくすることができる。
【0063】
従って、側鎖構造を有するジアミンにおける側方置換基は、要求されるプレチルト角に応じて適宜選択すればよい。例えば、この側方置換基は炭素数3以上の基が好ましく挙げられる。具体的には、
1)置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニル、置換基を有していてもよいビ(シクロヘキシル)フェニル、または炭素数3以上のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、
2)置換基を有していてもよいフェニルオキシ、置換基を有していてもよいシクロヘキシルオキシ、置換基を有していてもよいビ(シクロヘキシル)オキシ、置換基を有していてもよいフェニルシクロヘキシルオキシ、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニルオキシ、または炭素数3以上のアルキルオキシ、アルケニルオキシもしくはアルキニルオキシ、
3)フェニルカルボニル、または炭素数3以上のアルキルカルボニル、アルケニルカルボニルもしくはアルキニルカルボニル、
4)フェニルカルボニルオキシ、または炭素数3以上のアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシもしくはアルキニルカルボニルオキシ、
5)置換基を有していてもよいフェニルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいビシクロヘキシルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいビシクロヘキシルフェニルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルビフェニルオキシカルボニル、または炭素数3以上のアルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニルもしくはアルキニルオキシカルボニル、
6)フェニルアミノカルボニル、または炭素数3以上のアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニルもしくはアルキニルアミノカルボニル、
7)炭素数3以上の環状アルキル、
8)置換基を有していてもよいシクロヘキシルアルキル、置換基を有していてもよいフェニルアルキル、置換基を有していてもよいビシクロヘキシルアルキル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニルアルキル、置換基を有していてもよいビシクロヘキシルフェニルアルキル、置換基を有していてもよいフェニルアルキルオキシ、アルキルフェニルオキシカルボニル、またはアルキルビフェニリルオキシカルボニル、
9)置換基を有してもよいベンゼン環および/または置換基を有してもよいシクロヘキサン環が、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−もしくは炭素数1〜3のアルキレンを介して結合した、2個以上の環を有する基、またはステロイド骨格を有する基、
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
上記の置換基の例として、アルキル、フッ素置換アルキル、アルコキシ、およびアルコキシアルキルを挙げることができる。なお、本明細書において、特に説明せずに用いられた「アルキル」は、直鎖アルキルおよび分岐鎖アルキルのどちらでもよいことを示す。「アルケニル」および「アルキニル」についても同様である。
【0065】
側鎖構造を有するジアミンの好ましい例は、式(III−8)〜式(III−12)のそれぞれで表される化合物の群から選択される化合物である。
【0066】
【化51】

式(III−8)における記号の意味は次の通りである。Gは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH−であって、mは1〜12の整数である。Rは炭素数3〜20のアルキル、フェニル、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(III−8−a)で表される基である。このアルキルにおいて、任意の−Hは−Fで置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。このフェニルの−Hは、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF2、−OCF3、炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく;このシクロヘキシルの−Hは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよい。ベンゼン環へのNHの結合位置は任意であるが、2つのNHの結合位置関係はメタまたはパラであることが好ましい。即ち、基「R−G−」の結合位置を1位としたとき、2つのNHはそれぞれ、3位と5位、または2位と5位に結合していることが好ましい。
【化52】

式(III−8−a)において、Rは−H、−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のフッ素置換アルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり;G、GおよびGは結合基であり、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり;このアルキレン中の1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていても良く;
A、A、AおよびAは環であり、これらは独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイルまたはアントラセン−9,10−ジイルであり;A、A、AおよびAにおいて、任意の−Hは−Fまたは−CHで置き換えられてもよく;a、bおよびcは独立して0〜2の整数であって、これらの合計は1〜5であり;a、bまたはcが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、そして、2つの環は同じであっても異なっていてもよい。
【0067】
【化53】

【0068】
式(III−9)および式(III−10)における記号の意味は次の通りである。Rは独立して−Hまたは−CHである。Rは独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルである。Gは独立して単結合、−CO−または−CH2−である。式(III−10)におけるベンゼン環の1つの−Hは、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられてもよい。そして、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。
【0069】
式(III−9)における2つの基「NH−フェニレン−G−O−」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方はステロイド核の6位に結合していることが好ましい。式(III−10)における2つの基「NH−フェニレン−G−O−」のベンゼン環への結合位置は、ステロイド核の結合位置に対して、それぞれメタ位またはパラ位であることが好ましい。式(III−9)および式(III−10)において、ベンゼン環に対するNHの結合位置は、Gの結合位置に対してメタ位またはパラ位であることが好ましい。
【0070】
【化54】

式(III−11)および式(III−12)における記号の意味は次の通りである。Rは−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであって、このアルキルの任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。Rは炭素数6〜22のアルキルであり、そしてR10は−Hまたは炭素数1〜22のアルキルである。Gは−O−または炭素数1〜6のアルキレンである。Aは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、Gは単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、そしてdは0または1である。ベンゼン環へのNHの結合位置は任意であるが、Gの結合位置に対してメタ位またはパラ位であることが好ましい。
【0071】
本発明において化合物(III−8)〜化合物(III−12)をジアミン原料として用いるとき、これらのジアミンの中から少なくとも1つを選択して用いてもよいし、またはこの(これらの)ジアミンとその他のジアミン(化合物(III−8)〜化合物(III−12)以外のジアミン)とを混合して用いてもよい。このとき、その他のジアミンの選択範囲には前記の化合物(III−1)〜化合物(III−7)も含まれる。
【0072】
化合物(III−8)の例を次に示す。
【化55】

これらの式において、R4aは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシであり、好ましくは炭素数5〜20のアルキルまたは炭素数5〜20のアルコキシである。R5aは炭素数1〜18のアルキルまたは炭素数1〜18のアルコキシであり、好ましくは炭素数3〜18のアルキルまたは炭素数3〜18のアルコキシである。
【0073】
【化56】

これらの式において、R4bは炭素数4〜16のアルキルであり、好ましくは炭素数6〜16のアルキルである。R4cは炭素数6〜20のアルキルであり、好ましくは炭素数8〜20のアルキルである。
【0074】
【化57】

これらの式において、R4dは炭素数1〜20のアルキル、または炭素数1〜20のアルコキシであり、好ましくは炭素数3〜20のアルキル、または炭素数3〜20のアルコキシである。R5bは−H、−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHFまたは−OCFであり、好ましくは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシである。そして、G14は炭素数1〜20のアルキレンである。
【0075】
【化58】

化合物(III−8)に関する上記の具体例のうち、化合物(III−8−1)〜化合物(III−8−11)、化合物(III−8−39)および化合物(III−8−41)が好ましく、化合物(III−8−2)、化合物(III−8−4)、化合物(III−8−5)、化合物(III−8−6)、化合物(III−8−39)および化合物(III−8−41)がより好ましい。
【0076】
化合物(III−9)の例を次に示す。
【化59】

【0077】
化合物(III−10)の例を次に示す。
【化60】

【化61】

【0078】
化合物(III−11)の例を次に示す。
【化62】

これらの式において、R5cは−Hまたは炭素数1〜20のアルキル、好ましくは−Hまたは炭素数1〜10のアルキルであり、そしてR5dは−Hまたは炭素数1〜10のアルキルである。
【0079】
化合物(III−12)の例を次に示す。
【化63】

これらの式において、Rは炭素数6〜20のアルキルであり、R10は−Hまたは炭素数1〜10のアルキルである。
【0080】
さらに詳しくは以下のジアミンである。
【化64】

【0081】
一般式(III−12)で表される特に好ましいジアミンとしては、式(III−12−1−1)、(III−12−1−2)、(III−12−1−3)が挙げられる。
【0082】
本発明で化合物(III−8)〜化合物(III−12)を用いるとき、使用するジアミンの全量に対する化合物(III−8)〜化合物(III−12)の割合は、選択された側鎖構造を有するジアミンの構造と、所望するプレチルト角に応じて調整される。その割合は1〜100モル%であり、好ましい割合は5〜80モル%である。
【0083】
本発明では、化合物(III−1)〜化合物(III−7)でもなく、化合物(III−8)〜化合物(III−12)でもないジアミンを用いることができる。このようなジアミンの例は、ナフタレン系ジアミン、フルオレン環を有するジアミン、シロキサン結合を有するジアミンなどであり、化合物(III−8)〜化合物(III−12)以外の側鎖構造を有するジアミンを挙げることもできる。
【0084】
シロキサン結合を有するジアミンの例は、下記の式(III−13)で表されるジアミンである。
【化65】

式(III−13)において、R11およびR12は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、G10はメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンである。jは1〜6の整数を表し、kは1〜10の整数を表す。)
【0085】
化合物(III−13)の例を次に示す。
【化66】

【0086】
化合物(III−1)〜化合物(III−13)以外の側鎖構造を有するジアミンの例を次に示す。
【化67】

上記式中、R32およびR33は独立して炭素数3〜20のアルキルである。
【0087】
本発明に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、式(IV−1)〜(IV−13)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0088】
【化68】

式(IV−1)において、G11は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、1,4−フェニレン環、もしくは1,4−シクロヘキシレン環を表し、Xはそれぞれ独立して単結合もしくはCHを表し、例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0089】
【化69】

【0090】
【化70】

式(IV−2)において、R13、R14、R15、およびR16は−H、−CH、−CHCH、もしくはフェニルを表し、例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0091】
【化71】

【0092】
【化72】

式(IV−3)において、環Aはシクロヘキサン環もしくはベンゼン環を表し、例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0093】
【化73】

【0094】
【化74】

式(IV−4)において、G12は単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−S−、−C(CH−、−SO−、または−C(CF−を表し、環Aはそれぞれ独立してシクロヘキサン環もしくはベンゼン環を表し、例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0095】
【化75】

【0096】
【化76】

式(IV−5)において、R17は独立に−H、または−CHを表し、例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0097】
【化77】

【0098】
【化78】

式(IV−6)において、Xはそれぞれ独立して単結合もしくは−CH−を表し、vは1または2を表し、例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0099】
【化79】

【0100】
【化80】

式(IV−7)において、Xは単結合もしくは−CH−を表し、例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0101】
【化81】

【0102】
【化82】

式(IV−8)において、R18は−H、−CH、−CHCH、もしくはフェニルを表し、環Aはシクロヘキサン環もしくはシクロヘキセン環を表し、例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0103】
【化83】

【0104】
【化84】

式(IV−9)において、w1およびw2は0または1を表す。例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0105】
【化85】

【0106】
式(IV−10)は以下のテトラカルボン酸二無水物である。
【化86】

【0107】
【化87】

式(IV−11)において、環Aは独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環を表す。例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0108】
【化88】

【0109】
【化89】

式(IV−12)において、Xは炭素数2〜6のアルキレンを表し、例えば下記構造式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【化90】

【0110】
【化91】

【0111】
上記以外のテトラカルボン酸二無水物として下記の化合物が挙げられる。
【化92】

【0112】
好ましいテトラカルボン酸二無水物としては、以下の構造を挙げることができる。
【化93】

【0113】
本発明に用いられる光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーは、式(V)で表される少なくとも1種の化合物である。

a1−Z−(B−Z)m1−Ra1 (V)

式(V)において、
a1は、独立して下記の式(V−1−1)〜(V−1−5)で表される重合性基、−H、ハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、−N=C=O、−N=C=S、または炭素数1〜20のアルキルであり;
このアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
任意の−Hは、ハロゲンまたは−CNで置き換えられていてもよく;
a1の少なくとも1つは式(V−1−1)〜(V−1−5)で表される重合性基であり;
Bは環であり、独立して炭素数3〜20の飽和または不飽和の独立環、縮合環、またはスピロ環式の2価基であり;
これらの環において、任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく;
任意の−CH=は−N=で置き換えられていてもよく;
任意の−Hは、ハロゲン、−CN、−NO、−NC、−N=C=O、−N=C=S、1〜3個の炭素数1〜4のアルキルで置換されたシリル、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルまたは炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられていてもよく;
このアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
Zは、独立に単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;
このアルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−N(O)=N−、または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
任意の−Hはハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられていてもよく;そして、
m1は1〜6の整数であるが、
m1が2〜6の整数であるとき、括弧内の複数の−B−Z−は同じであっても、異なっていてもよい。
【化94】

式(V−1−1)〜(V−1−5)において、Rは−H、ハロゲン、−CFまたは炭素数1〜5のアルキルである。
【0114】
光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーの好ましい構造としては、前記式(V)中、Ra1の少なくとも1つが、前記式(V−1−1)、(V−1−2)または(V−1−3)のいずれかで表される構造が挙げられる。
【0115】
前記式(V)中、環Bの例は1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3,6−ジイルで表される2価の基であり、これらの環において、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、任意の−Hは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、イソシアノ、イソチオシアナト、炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルで1〜3置換されたシリル、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルまたは炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、該アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
【0116】
前記式(V)中、環Bが以下の式(V−2−1)〜(V−2−25)であることが好ましい。
【化95】

式(V−2−1)〜式(V−2−25)において、Lはハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルを表す。
【0117】
光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーのより好ましい構造としては、以下の構造が挙げられる。
【化96】

【化97】

上記式中、Rは−Hまたは−CHを示し、ベンゼン環上の−Hはハロゲン、−CH、−CFまたは−OCHで置き換えられていてもよく;
は独立して−H、ハロゲン、−CH、−CF、−OCH、フェニルまたは同一炭素上にある2つのRが炭素数6〜15の飽和または不飽和の炭化水素環を形成していても良く;そして、m2およびm3は独立して1〜20の整数である。
【0118】
光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーの更に好ましい構造としては、以下の構造が挙げられる。
【化98】

【化99】

【0119】
【化100】

【0120】
【化101】

【0121】
【化102】

【0122】
【化103】

【0123】
【化104】

【0124】
【化105】

【0125】
【化106】

【0126】
【化107】

【0127】
光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーの特に好ましい構造としては、(V−3−1−1)、(V−3−2−3)、(V−3−2−6)、(V−3−2−6−1)、(V3−3−6)、(V−3−4−6)、(V−3−5−6)、(V−3−6−6)、(V−3−6−6−1)、(V−3−10−1)、(V−3−10−1−1)、(V−3−10−2)、(V−3−10−2−1)、(V−3−10−3)、(V−3−10−3−1)、(V−3−10−4)、(V−3−10−4−1)、(V−3−11−1)、(V−3−11−1−1)、(V−3−11−2)、(V−3−11−2−1)、(V−3−13−1)および(V−3−13−2)が挙げられる。
【0128】
光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーは、ポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体を含む固形分総量の0.01〜50重量%含有することができる。
【0129】
光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーは、それを重合させた後に、液晶の傾斜方向を決める効果を発現させるために0.01重量%以上混合することが好ましい。一方、重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーを重合させた後にできるポリマーの配向効果が強くなり過ぎて、ポリイミドまたはポリアミック酸による配向効果が薄れてしまうこと、および/またはUV照射後に未反応のモノマーおよび/またはオリゴマーが残存して液晶に溶出することを防ぐために、光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーの混合量は50重量%以下にすることが好ましい。
【0130】
上記式(I)または(II)で表されるポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体が、分子中のRおよびRにおいて、それぞれの基数の総和の4〜50モル%の基が光によりラジカルを発生する基を持っていてもよい。
【0131】
光によりラジカルを発生する基の例は、ベンゾフェノン骨格を有する基、またはシンナメート骨格を有する基である。
【0132】
光によりラジカルを発生する基の更なる具体例は、下記の式(VI−1)〜(VI−4)および(VII−1)で表される基の群から選択される少なくとも1つである。
【化108】

上記式中、R19は−Hまたは炭素数1〜25の炭化水素基であり;
この炭化水素基の任意の−Hは−Fで置き換えられていてもよく;
およびXは独立して単結合、−COO−または−O−であり;そして、
13は炭素数2〜6のアルキレンである。
【0133】
【化109】

【0134】
式(VI−1)〜(VI−4)、(VII−1)で表される基を有する化合物としては、以下の化合物が好ましい。
【化110】

【化111】

上記式中、R34は−Hまたは炭素数1から25のアルキルである。
【0135】
なお、上に挙げたラジカルを発生する基を有する化合物には、化合物に期待される性質を分類する便宜から(VI−○−○)または(VII−○−○)なる式番号を付している。しかしながら、化合物(X−1−1)はそれより先に例示したジアミン(V−5−29)と同一であるように、上記の化合物は本明細書中に先に例示しているジアミンまたはテトラカルボン酸二無水物の分類にも該当する場合がある。このような場合、本明細書においては特別に断らない限り、式番号(X−○−○)または(VII−○−○)よりも先に例示した分類上の式番号を優先して用いる。
【0136】
前記ポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体の分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、好ましくは10,000〜500,000、更に好ましくは20,000〜200,000である。
【0137】
前記ポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体は、前述したテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを用いる以外は、ポリイミドの膜の形成に用いられる公知のポリイミドまたはポリアミック酸と同様に製造することができる。例えば、原料投入口、窒素導入口、温度計、攪拌機およびコンデンサーを備えた反応容器に、一般式(III−1)〜(III−13)で表されるジアミンの1種または2種以上と、場合によって他のジアミンから選択される1種または2種以上のジアミン、さらに必要に応じてモノアミンの所望量を仕込む。
【0138】
次に、溶剤(例えばアミド系極性溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンやジメチルホルムアミド等)およびテトラカルボン酸二無水物の1種または2種以上、さらに必要に応じてカルボン酸無水物を投入する。このときテトラカルボン酸二無水物の総仕込み量は、ジアミンの総モル数とほぼ等モル(モル比0.9〜1.1程度)とすることが好ましい。
【0139】
前記ポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体における一般式(I)または(II)で表される構造は、ポリマーの構造の特定における通常の技術によって特定することができ、より具体的には、IRやNMRによって特定することができる。
【0140】
より詳しくは、本発明におけるポリアミック酸またはその誘導体は、多量の貧溶剤で沈殿させ、固形分と溶剤とを濾過等により完全に分離し、IR、NMRで分析することにより同定され得る。さらには、KOHやNaOH等の強アルカリの水溶液で、固形分のポリアミック酸またはその誘導体を分解後、有機溶剤で抽出し、GC、HPLCもしくはGC−MSで分析することにより、使用されているモノマーを同定することができる。
【0141】
本発明の液晶配向剤は、前記ポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体と光重合性モノマーまたはオリゴマー以外の他の成分をさらに含有していてもよい。他の成分は、1種であっても2種以上であってもよい。
【0142】
例えば、前記ポリイミド、またはポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体と光重合性モノマーまたはオリゴマーには、重合開始剤や重合禁止剤を添加することができる。
【0143】
前記の重合開始剤の例としては、ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0144】
ラジカル重合開始剤の具体例な構造としては、ベンゾイン誘導体、過酸化物からなる化合物などが挙げられる。
【0145】
ベンゾイン誘導体の好ましい例としては(±)−カンファーキノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、2−イソニトロソプロピオフェノン、2−イソプロピルチオキサントン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル安息香酸、4−クロロベンゾフェノン、アセトフェノン、ジフェニルエタンジオン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、ジベンゾスベロン、9−フルオレノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ジメトキシベンゾイル、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ミヒラーズケトン、チバ・スペシャリティー(株)製「ダロキュアーシリーズ1173、4265」、「イルガキュアーシリーズ184、500、651、819、2959」などが挙げられる。
【0146】
過酸化物からなる化合物の好ましい例としては、日油(株)製「パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイル355、パーロイルL、ナイパーBW、ナイパーBMT、パーロイルTCP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ25O、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZ、パーブチルZT」などが挙げられる。
【0147】
ベンゾイン誘導体の中で特に好ましい例としては、チバ・スペシャリティー(株)製イルガキュア651が挙げられる。
【0148】
過酸化物からなる化合物の中で特に好ましい例としては、日油(株)製「パーロイルL、ナイパーBW、ナイパーBMT、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO」が挙げられる。
【0149】
また、これらの重合開始剤の2種以上を組み合わせても良く、好ましい組み合わせの例としては、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物が挙げられる。
【0150】
重合開始剤の添加量は、重合開始剤が不純物として作用して、表示素子の表示品位が低下することを避けるために、光重合性モノマーまたはオリゴマーに対して10重量%以下が望ましい。
【0151】
前記光重合性モノマーまたはオリゴマーは高い重合性を有するので、取扱いを容易にするために、重合禁止剤を添加してもよい。
【0152】
また、重合禁止剤の添加量は、重合禁止剤が不純物として作用してしまうことを防ぐために、光重合性モノマーまたはオリゴマーに対して10重量%以下であることが望ましい。
【0153】
例えば、前記ポリイミド、またはポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体と光重合性モノマーまたはオリゴマーには、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる観点から、アルケニル置換ナジイミド化合物をさらに含有していてもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物の含有量は、液晶配向剤中のポリアミック酸に対する重量比で0.01〜1.00であることが好ましく、0.01〜0.70であることがより好ましく、0.01〜0.50であることがさらに好ましい。
【0154】
アルケニル置換ナジイミド化合物は、本発明で用いられるポリアミック酸を溶解する溶剤に溶解させることができる化合物であることが好ましい。このようなアルケニル置換ナジイミド化合物の例は、下記式(Ina)で表される化合物が挙げられる。
【化112】

式(Ina)において、LおよびLは独立して−H、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、アリールまたはベンジルであり、nは1または2である。
【0155】
n=1のとき、Wは炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−Z−(O)−(ZO)−Z−H(ここで、Z、ZおよびZは独立して炭素数2〜6のアルキレンであり、qは0または1であり、そして、rは1〜30の整数である。)で表される基、−(Z−B−Z−H(ここで、ZおよびZは独立して炭素数1〜4のアルキレンまたは炭素数5〜8のシクロアルキレンであり、Bはフェニレンであり、そして、sは0または1である。)で表される基、−B−T−B−H(ここで、Bはフェニレンであり、そして、Tは−CH−、−C(CH−、−O−、−CO−、−S−、または−SO−である。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の−Hが−OHで置換された基である。
【0156】
このとき、好ましいWは、炭素数1〜8のアルキル、炭素数3〜4のアルケニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、炭素数4〜10のポリ(エチレンオキシ)エチル、フェニルオキシフェニル、フェニルメチルフェニル、フェニルイソプロピリデンフェニル、およびこれらの基の1個または2個の−Hが−OHで置き換えられた基である。
【0157】
一般式(Ina)において、n=2のとき、Wは炭素数2〜20のアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−Z−O−(ZO)−Z−(ここで、Z〜Z、およびrの意味は前記の通りである。)で表される基、−Z−B−Z−(ここで、Z、ZおよびBの意味は前記の通りである。)で表される基、−B−(O−B)−T−(B−O)−B−(ここで、Bはフェニレンであり、Tは炭素数1〜3のアルキレン、−O−または−SO−であり、sは0または1である。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の−Hが−OHで置き換えられた基である。
【0158】
このとき、好ましいWは炭素数2〜12のアルキレン、シクロヘキシレン、フェニレン、トリレン、キシリレン、−C−O−(Z−O)−O−C−(ここで、Zは炭素数2〜6のアルキレンであり、rは1または2である。)で表される基、−B−T−B−(ここで、Bはフェニレンであり、そして、Tは−CH−、−O−または−SO−である。)で表される基、−B−O−B−C−B−O−B−(ここで、Bはフェニレンである。)で表される基、およびこれらの基の1個または2個の−Hが−OHで置き換えられた基である。
【0159】
このようなアルケニル置換ナジイミド化合物は、例えば特許第2729565号公報に記載されているように、アルケニル置換ナジック酸無水物誘導体とジアミンとを80〜220℃の温度で0.5〜20時間保持することにより合成して得られる化合物や市販されている化合物を用いることができる。アルケニル置換ナジイミド化合物の具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。
【0160】
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0161】
N−(2−エチルヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0162】
N−フェニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0163】
N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシ−1−プロペニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0164】
N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−ヒドロキシベンジル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0165】
N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマー、
【0166】
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0167】
1,2−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、ビス〔2’−{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、ビス〔2’−{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、1,4−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、1,4−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、
【0168】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0169】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
【0170】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
【0171】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、1,6−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3−ヒドロキシ−ヘキサン、1,12−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3,6−ジヒドロキシ−ドデカン、1,3−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−シクロヘキサン、1,5−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}−3−ヒドロキシ−ペンタン、1,4−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−ベンゼン、
【0172】
1,4−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2,5−ジヒドロキシ−ベンゼン、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルメチルシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2,3−ジヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0173】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェニル}メタン、ビス{3−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−4−ヒドロキシ−フェニル}エーテル、ビス{3−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−フェニル}スルホン、1,1,1−トリ{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)}フェノキシメチルプロパン、N,N’,N”−トリ(エチレンメタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)イソシアヌレート、およびこれらのオリゴマー等。
【0174】
さらに、本発明に用いられるアルケニル置換ナジイミド化合物は、非対称なアルキレン・フェニレン基を含む下記構造式で表される化合物でもよい。
【化113】

【0175】
前記アルケニル置換ナジイミド化合物のうち、好ましい化合物を以下に示す。
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0176】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
【0177】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン。
【0178】
更に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物を次に示す。
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0179】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0180】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン。
【0181】
そして、特に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物として、下記式(Ina−1)で表されるビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、式(Ina−2)で表されるN,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、および式(Ina−3)で表されるN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)が挙げられる。
【化114】

【化115】

【化116】

【0182】
例えば、前記ポリイミド、またはポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体と光重合性モノマーまたはオリゴマーには、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる観点から、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物をさらに含有していてもよい。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等の(メタ)アクリル酸誘導体、およびビスマレイミドが挙げられ、ラジカル重合性不飽和二重結合を2つ以上有する(メタ)アクリル酸誘導体が好ましい。
【0183】
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、および(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0184】
2官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、エチレンビスアクリレート、東亜合成(株)の製品であるアロニックスM−210、アロニックスM−240およびアロニックスM−6200、日本化薬(株)の製品であるKAYARAD HDDA、KAYARAD HX−220、KAYARAD R−604およびKAYARAD R−684、大阪有機化学工業(株)の製品であるV260、V312およびV335HP、並びに共栄社化学(株)の製品であるライトアクリレートBA−4EA、ライトアクリレートBP−4PAおよびライトアクリレートBP−2PAが挙げられる。
【0185】
3官能以上の多官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、4,4’−メチレンビス(N,N―ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)、アロニックスM−400、アロニックスM−405、アロニックスM−450、アロニックスM−7100、アロニックスM−8030、アロニックスM−8060、KAYARAD TMPTA、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、および大阪有機化学工業(株)の製品であるVGPTが挙げられる。
【0186】
(メタ)アクリル酸アミド誘導体の具体例としては、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリディン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−(iso−ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)―2−メタクリルアミド、N−ベンジル−2−メタクリルアミド、およびN,N’−メチレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
【0187】
上記の(メタ)アクリル酸誘導体のうち、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレン−ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、および4,4’−メチレンビス(N,N―ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)が特に好ましい。
【0188】
ビスマレイミドとしては、例えばケイ・アイ化成(株)製のBMI−70およびBMI−80、並びに大和化成工業(株)製のBMI−1000、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5000およびBMI−7000が挙げられる。
【0189】
例えば、前記ポリイミド、またはポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体と光重合性モノマーまたはオリゴマーには、液晶表示素子における電気特性の長期安定性の観点から、オキサジン化合物をさらに含有していてもよい。オキサジン化合物としては、例えば下記式(a)〜(f)で表される化合物が挙げられる。
【化117】

【化118】

【化119】

【0190】
式(a)〜(f)において、RおよびRは炭素数1〜30の有機基である。R〜Rは−Hまたは炭素数1〜6の炭化水素基である。Xは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、−S−(CH−S−であり、mは1〜6の整数である。Yは独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または炭素数1〜3のアルキレンである。
【0191】
本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性の長期安定性の観点から、オキサゾリン化合物をさらに含有していてもよい。オキサゾリン化合物とはオキサゾリン構造を有する化合物である。オキサゾリン化合物は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。オキサゾリン化合物の含有量は、ポリアミック酸に対する重量比で0.001〜0.50であることが好ましく、0.01〜0.40であることがより好ましく、0.01〜0.20であることがさらに好ましい。または、オキサゾリン化合物の含有量は、オキサゾリン化合物中のオキサゾリン構造をオキサゾリンに換算したときに、ポリアミック酸に対して0.001〜0.40であることが好ましい。
【0192】
オキサゾリン化合物は、1つの化合物中にオキサゾリン構造を1種だけ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。オキサゾリン化合物は、1つの化合物中にオキサゾリン構造を1個有していればよいが、2個以上有することが好ましい。また、オキサゾリン化合物は、オキサゾリン環構造を側鎖に有する重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーの単独重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する共重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有する2種以上のモノマーの共重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有する2種以上のモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。
【0193】
オキサゾリン構造は、オキサゾリン構造中の酸素および窒素の一方または両方とポリアミック酸のカルボニル基とが反応し得るように、オキサゾリン化合物中に存在する構造であることが好ましい。
【0194】
オキサゾリン化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2,4−トリス−(2−オキサゾリン−2−イル)−ベンゼン、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、および2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)が挙げられる。これらの他、エポクロス(商品名、株式会社日本触媒製)のようなオキサゾリルを有するポリマーやオリゴマーも挙げられる。
【0195】
より好ましい前記オキサゾリン化合物としては、例えば2,2’―ビス(2−オキサゾリン)および1,3−ビス(4,5―ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンが挙げられる。
【0196】
例えば、前記ポリイミド、またはポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体と光重合性モノマーまたはオリゴマーには、液晶表示素子における電気特性の長期安定性の観点から、エポキシ化合物をさらに含有していてもよい。このエポキシ化合物はエポキシ環を有するモノマー、オリゴマーまたは重合体であってもよい。エポキシ化合物は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。エポキシ化合物の含有量は、ポリアミック酸に対する重量比で0.001〜0.50であることが好ましく、0.01〜0.40であることがより好ましく、0.01〜0.20であることがさらに好ましい。
【0197】
エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ環を1つまたは2つ以上有する種々の化合物が挙げられる。分子内にエポキシ環を1つ有する化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、および3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパンが挙げられる。
【0198】
分子内にエポキシ環を2つ有する化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートおよび3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0199】
分子内にエポキシ環を3つ有する化合物としては、例えば2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン(商品名「テクモアVG3101L」、(三井化学)社製)が挙げられる。
【0200】
分子内にエポキシ環を4つ有する化合物としては、例えば1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、および3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0201】
上記の他、分子内にエポキシ環を有する化合物の例として、エポキシ環を有するオリゴマーや重合体も挙げられる。エポキシ環を有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0202】
エポキシ環を有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0203】
エポキシ環を有するモノマーの重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート等が挙げられる。また、エポキシ環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0204】
これら例の中でも、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、商品名「テクモアVG3101L」、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましく、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0205】
より体系的には、前記エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、エポキシ基含有アクリル系樹脂、グリシジルアミド、グリシジルイソシアヌレート、鎖状脂肪族型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物が挙げられる。なお、エポキシ化合物はエポキシ基を有する化合物を意味し、エポキシ樹脂はエポキシ基を有する樹脂を意味する。
【0206】
グリシジルエーテルとしては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−S型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物、脂環式ジグリシジルエーテル化合物、脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物、ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物、およびビフェノール型エポキシ化合物が挙げられる。
【0207】
グリシジルエステルとしては、例えばジグリシジルエステル化合物およびグリシジルエステルエポキシ化合物が挙げられる。
【0208】
グリシジルアミンとしては、例えばポリグリシジルアミン化合物が挙げられる。
【0209】
エポキシ基含有アクリル系化合物としては、例えばオキシラニルを有するモノマーの単独重合体および共重合体が挙げられる。
【0210】
グリシジルアミドとしては、例えばグリシジルアミド型エポキシ化合物が挙げられる。
【0211】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0212】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばシクロアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0213】
ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えば828、1001、1002、1003、1004、1007、1010(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)(現在は三菱化学(株)のjERシリーズの製品として入手できる/以下同じ))、エポトートYD−128(東都化成(株)製)、DER−331、DER−332、DER−324(いずれもダウ・ケミカル日本(株)から購入可)、エピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050(いずれもDIC(株)製)、エポミックR−140、エポミックR−301、およびエポミックR−304(いずれも三井化学(株)製)が挙げられる。
【0214】
ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、例えば806、807、4004P(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001(いずれも東都化成(株)製)、DER−354(ダウ・ケミカル日本(株)から購入可)、エピクロン830、およびエピクロン835(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
【0215】
ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0216】
水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えばサントートST−3000(東都化成(株)製)、リカレジンHBE−100(新日本理化(株)製)、およびデナコールEX−252(ナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0217】
水素化ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば水素化2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0218】
臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えば5050、5051(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、エポトートYDB−360、エポトートYDB−400(いずれも東都化成(株)製)、DER−530、DER−538(いずれもダウ・ケミカル日本(株)から購入可)、エピクロン152、およびエピクロン153(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
【0219】
フェノールノボラック型エポキシ化合物としては、例えば152、154(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、YDPN−638(東都化成(株)製)、DEN431、DEN438(いずれもダウ・ケミカル日本(株)から購入可)、エピクロンN−770(DIC(株)製)、EPPN−201、およびEPPN−202(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0220】
クレゾールノボラック型エポキシ化合物としては、例えば180S75(ジャパンエポキシレジン(株)製)、YDCN−701、YDCN−702(いずれも東都化成(株)製)、エピクロンN−665、エピクロンN−695(いずれもDIC(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1025、およびEOCN−1027(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0221】
ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物としては、例えば157S70(ジャパンエポキシレジン(株)製)、およびエピクロンN−880(DIC(株)製)が挙げられる。
【0222】
ナフタレン骨格含有エポキシ化合物としては、例えばエピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4770(いずれもDIC(株)製)、およびNC−7000(日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0223】
芳香族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばハイドロキノンジグリシジルエーテル(下記式E101)、カテコールジグリシジルエーテル(下記式E102)レゾルシノールジグリシジルエーテル(下記式E103)、トリス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン(下記式E105)、1031S、1032H60(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、TACTIX−742(ダウ・ケミカル日本(株)から購入可)、デナコールEX−201(ナガセケムテックス(株)製)、DPPN−503、DPPN−502H、DPPN−501H、NC6000(いずれも日本化薬(株)製)、テクモアVG3101L(三井化学(株)製)、下記式E106で表される化合物、および下記式E107で表される化合物が挙げられる。
【0224】
【化120】

【0225】
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物としては、例えばTACTIX−556(ダウ・ケミカル日本(株)から購入可)、およびエピクロンHP−7200(DIC(株)製)が挙げられる。
【0226】
脂環式ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル化合物、およびリカレジンDME−100(新日本理化(株)製)が挙げられる。
【0227】
脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式E108)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式E109)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式E110)、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式E111)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式E112)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(下記式E113)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(下記式E114)、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式E115)、デナコールEX−810、デナコールEX−851、デナコールEX−8301、デナコールEX−911、デナコールEX−920、デナコールEX−931、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313(いずれもナガセケムテックス(株)製)、DD−503((株)ADEKA製)、リカレジンW−100(新日本理化(株)製)、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール(下記式E116)、グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、デナコールEX−313、デナコールEX−611、デナコールEX−321、およびデナコールEX−411(いずれもナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0228】
【化121】

【0229】
ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばFLDP−50、およびFLDP−60(いずれも東レチオコール(株)製)が挙げられる。
【0230】
ビフェノール型エポキシ化合物としては、例えばYX−4000、YL−6121H(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、NC−3000P、およびNC−3000S(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0231】
ジグリシジルエステル化合物としては、例えばジグリシジルテレフタレート(下記式117)、ジグリシジルフタレート(下記式E118)、ビス(2−メチルオキシラニルメチル)フタレート(下記式E119)、下記式E121で表される化合物、下記式E122で表される化合物、および下記式E123で表される化合物が挙げられる。
【0232】
【化122】

【0233】
グリシジルエステルエポキシ化合物としては、例えば871、872(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、エピクロン200、エピクロン400(いずれもDIC(株)製)、デナコールEX−711、およびデナコールEX−721(いずれもナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0234】
ポリグリシジルアミン化合物としては、例えばN,N−ジグリシジルアニリン(下記式E124)、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン(下記式E125)、N,N−ジグリシジル−m−トルイジン(下記式E126)、N,N−ジグリシジル−2,4,6−トリブロモアニリン(下記式E127)、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン(下記式E128)、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール(下記式E129)、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール(下記式E130)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)、下記式E132)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(TETRAD−C(三菱ガス化学(株)製)、下記式E133)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(下記式E134)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式E135)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式E136)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式E137)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式E138)、2,6−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(下記式E139)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(下記式E140)、2,2’−ジメチル−(N,N,N’,N’−テトラグリシジル)−4,4’−ジアミノビフェニル(下記式E141)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(下記式E142)、1,3,5−トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェノキシ)ベンゼン(下記式E143)、2,4,4’−トリス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式E144)、トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェニル)メタン(下記式E145)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ビフェニル(下記式E146)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式E147)、下記式E148で表される化合物、および下記式E149で表される化合物が挙げられる。
【0235】
【化123】

【0236】
【化124】

【0237】
【化125】

【0238】
オキシラニルを有するモノマーの単独重合体としては、例えばポリグリシジルメタクリレートが挙げられる。前記オキシラニルを有するモノマーの共重合体としては、例えばN−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0239】
オキシラニルを有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0240】
オキシラニルを有するモノマーの共重合体における前記オキシラニルを有するモノマー以外の他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0241】
グリシジルイソシアヌレートとしては、例えば1,3,5−トリグリシジル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式E150)、1,3−ジグリシジル−5−アリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式E151)、およびグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0242】
【化126】

【0243】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばエポキシ化ポリブタジエン、およびエポリードPB3600(ダイセル化学工業(株)製)が挙げられる。
【0244】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えば2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−2’−メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(下記式E153)、2,3−エポキシシクロペンタン−2’,3’−エポキシシクロペンタンエーテル(下記式E154)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキレート、1,2:8,9−ジエポキシリモネン(セロキサイド3000(ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド2021P(ダイセル化学工業(株)製)、下記式E155)、下記式E156で表される化合物、CY−175、CY−177、CY−179(いずれもCIBA−GEIGY Ltd.製(ハンツマン・ジャパン(株)から入手できる。))、EHPD−3150(ダイセル化学工業(株)製)、および環状脂肪族型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0245】
【化127】

【0246】
これらのエポキシ化合物のうち複数のエポキシ環を有する化合物は、ポリマー主鎖に架橋するように反応することが期待されるので、液晶配向膜の耐久性を向上させる目的でも用いられる。
【0247】
例えば、前記ポリイミド、またはポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体と光重合性モノマーまたはオリゴマーには、液晶表示素子における電気特性の長期安定性の観点から、各種添加剤をさらに含有していてもよい。各種添加剤としては、例えばポリアミック酸およびその誘導体以外のポリマー、および低分子化合物が挙げられ、それぞれの目的に応じて選択して使用することができる。このポリマーとしては、有機溶剤に可溶性のポリマーが挙げられる。このようなポリマーを本発明の液晶配向剤に添加することは、形成される液晶配向膜の電気特性や配向性を制御する観点から好ましい。該ポリマーとしては、例えば液晶配向性ポリオルガノシロキサン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエポキサイド、ポリエステルポリオール、シリコーン変性ポリウレタン、およびシリコーン変性ポリエステルが挙げられる。これらの例の中でも液晶配向性ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0248】
前記液晶配向性ポリオルガノシロキサンは、反応性ポリオルガノシロキサンと反応性化合物とを、好ましくは触媒の存在下に反応させることにより合成することができる。液晶配向性ポリオルガノシロキサンには、WO2009/096598号公報、特開2009−282440号公報、特開2010−097007号公報等に開示されている液晶配向性ポリオルガノシロキサンが挙げられる。
【0249】
低分子化合物としては、例えば1)塗布性の向上を望むときにはこの目的に沿った界面活性剤、2)帯電防止の向上を必要とするときは帯電防止剤、3)基板との密着性や耐ラビング性の向上を望むときにはシランカップリング剤やチタン系のカップリング剤、また、4)低温でイミド化を進行させる場合はイミド化触媒が挙げられる。前記低分子化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。
【0250】
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、およびN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンが挙げられる。
【0251】
前記カップリング剤の含有率は、液晶配向剤中のポリマー固形分に対して、0.01〜6重量%であることが好ましい。
【0252】
イミド化触媒としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、メチル置換アニリン、ヒドロキシ置換アニリン等の芳香族アミン類;ピリジン、メチル置換ピリジン、ヒドロキシ置換ピリジン、キノリン、メチル置換キノリン、ヒドロキシ置換キノリン、イソキノリン、メチル置換イソキノリン、ヒドロキシ置換イソキノリン、イミダゾール、メチル置換イミダゾール、ヒドロキシ置換イミダゾール等の環式アミン類が挙げられる。前記イミド化触媒は、N,N−ジメチルアニリン、o−ヒドロキシアニリン、m−ヒドロキシアニリン、p−ヒドロキシアニリン、o−ヒドロキシピリジン,m−ヒドロキシピリジン、p−ヒドロキシピリジン、およびイソキノリンから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0253】
例えば、前記ポリイミド、またはポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体と光重合性モノマーまたはオリゴマーには、液晶配向剤の塗布性やポリアミック酸の濃度を調整する観点から、溶剤をさらに含有していてもよい。溶剤は、ポリマー成分を溶解する能力を持った溶剤であれば格別制限なく適用可能である。溶剤は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド等のポリマー成分の製造工程や用途面で通常使用されている溶剤を広く含み、使用目的に応じて適宜選択できる。溶剤は1種でも2種以上の混合溶剤であってもよい。このような溶剤としては、前記ポリアミック酸の親溶剤や、塗布性改善を目的とした他の溶剤が挙げられる。
【0254】
前記ポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体に対し親溶剤である非プロトン性極性有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン等のラクトンが挙げられる。
【0255】
前記塗布性改善等を目的とした他の溶剤の例としては、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルまたはフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、これらアセテート類等のエステル化合物が挙げられる。
【0256】
これらの中で、前記溶剤には、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル等を特に好ましく用いることができる。
【0257】
本発明において液晶配向剤中の前記ポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体を含む高分子成分の濃度は、特に限定されないが、0.1〜40重量%が好ましい。該液晶配向剤を基板に塗布するときには、膜厚調整のため含有されている高分子成分を予め溶剤により希釈する操作が必要とされることがある。前記高分子成分の濃度が40重量%以下であることが、膜厚調整のために液晶配向剤を希釈する必要があるときに、液晶配向剤に対して溶剤を容易に混合するのに適した粘度に液晶配向剤の粘度を調整する観点から好ましい。
【0258】
また液晶配向剤中における前記高分子成分の濃度は、液晶配向剤の塗布方法によって調整される場合もある。液晶配向剤の塗布方法がスピンナー法や印刷法のときには、膜厚を良好に保つために、前記高分子成分の濃度を通常10重量%以下とすることが多い。その他の塗布方法、例えばディッピング法やインクジェット法では更に低濃度とすることもあり得る。一方、前記高分子成分の濃度が0.1重量%以上であると、得られる液晶配向膜の膜厚が最適となり易い。したがって前記高分子成分の濃度は、通常のスピンナー法や印刷法等では0.1重量%以上、好ましくは0.5〜10重量%である。しかしながら、液晶配向剤の塗布方法によっては、更に希薄な濃度で使用してもよい。
【0259】
なお、液晶配向膜の作製に用いる場合において、本発明の液晶配向剤の粘度は、この液晶配向剤の膜を形成する手段や方法に応じて決めることができる。例えば、印刷機を用いて液晶配向剤の膜を形成する場合は、十分な膜厚を得る観点から5mPa・s以上であることが好ましく、また印刷ムラを抑制する観点から100mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは10〜80mPa・sである。スピンコートによって液晶配向剤を塗布して液晶配向剤の膜を形成する場合は、同様の観点から、5〜200mPa・sであることが好ましく、より好ましくは10〜100mPa・sである。液晶配向剤の粘度は、溶剤による希釈や攪拌を伴う養生によって小さくすることができる。
【0260】
本発明の液晶配向剤は、いわゆるポリマーブレンドの形態であってもよい。このような形態の液晶配向剤には、テトラカルボン酸二無水物AとジアミンAとの反応生成物であるポリアミック酸またはその誘導体Aと、テトラカルボン酸二無水物BとジアミンBとの反応生成物であるポリアミック酸またはその誘導体Bとを含有する液晶配向剤において、ジアミンAは式(III−1)〜(III−13)で表されるジアミンを含み、ジアミンBは式(III−1)〜(III−13)で表されるジアミンを含まない液晶配向剤が挙げられる。
【0261】
ポリアミック酸またはその誘導体Aは、前述した本発明におけるポリアミック酸またはその誘導体と同じである。ポリアミック酸またはその誘導体Bは、前記ジアミンに式(III−1)〜(III−13)で表されるジアミンを含まない以外、すなわち前記ジアミンに前記他のジアミンを用いる以外は、前述した本発明におけるポリアミック酸またはその誘導体と同じである。
【0262】
テトラカルボン酸二無水物AおよびBには、前述したテトラカルボン酸を用いることができる。前記ジアミンAには、式(III−1)〜(III−13)で表されるジアミンが含まれればよく、前述した他のジアミンがさらに含まれていてもよい。前記ジアミンBには、式(III−1)〜(III−13)で表されるジアミン以外の、前述した他のジアミンを用いることができる。
【0263】
本発明の前述の液晶配向剤におけるポリアミック酸またはその誘導体Bの含有量は、本発明の効果が発現される量であれば特に限定されないが、液晶配向剤中の重合体全量に対して1〜50重量%であることが、本発明の効果の発現と配向性の調整とを両立させる観点から好ましく、2〜30重量%がさらに好ましい。
【0264】
本発明の液晶配向膜は、前述した本発明の液晶配向剤から得られる。本発明の液晶配向膜は、本発明の液晶配向剤の塗膜を形成する工程と、これを加熱して焼成する工程と、液晶を注入して液晶表示素子を調整した後、電場により配向剤の液晶界面に異方性を発現させ、光照射によりそれを固定化する工程によって得ることができる。
【0265】
前記塗膜は、通常の液晶配向膜の作製と同様に、液晶表示素子における基板に本発明の液晶配向剤を塗布することによって形成することができる。前記基板には、ITO(Indium TinOxide)電極等の電極やカラーフィルタ等が設けられていてもよいガラス製の基板が挙げられる。
【0266】
液晶配向剤を基板に塗布する方法としてはスピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法は本発明においても同様に適用可能である。
【0267】
前記塗膜の焼成は、前記ポリアミック酸またはその誘導体が脱水・閉環反応を呈するのに必要な条件で行うことができる。前記塗膜の焼成は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法も本発明において同様に適用可能である。一般に100〜300℃程度の温度で1分間〜3時間行うことが好ましく、100℃〜230℃の焼成により、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーの50重量%以上が熱重合せずにそのまま残存することがより好ましく、180〜230℃の焼成により、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーの50重量%以上が熱重合せずにそのまま残存することが更に好ましい。
【0268】
本発明の液晶配向膜は、前述した工程以外の他の工程をさらに含む方法によって好適に得られる。このような他の工程としては、前記塗膜を乾燥させる工程や、膜を洗浄液で洗浄する工程等が挙げられる。
【0269】
前記乾燥工程は、前記焼成工程と同様に、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法も前記乾燥工程に同様に適用可能である。乾燥工程は溶剤の蒸発が可能な範囲内の温度で実施することが好ましく、前記焼成工程における温度に対して比較的低い温度で実施することがより好ましい。
【0270】
液晶配向膜の洗浄液による洗浄方法としては、ブラッシング、ジェットスプレー、蒸気洗浄または超音波洗浄等が挙げられる。これらの方法は単独で行ってもよいし、併用してもよい。洗浄液としては純水または、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を用いることができるが、これらに限定されるものではない。もちろん、これらの洗浄液は十分に精製された不純物の少ないものが用いられる。このような洗浄方法は、本発明の液晶配向膜の形成における前記洗浄工程にも適用することができる。
【0271】
本発明の液晶配向膜の膜厚は、特に限定されないが、10〜300nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。本発明の液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。
【0272】
本発明の液晶表示素子は、一対の基板と、液晶分子を含有し、前記一対の基板の間に形成される液晶層と、液晶層に電圧を印加する電極と、前記液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜とを有する。前記液晶配向膜には前述の本発明の液晶配向膜が用いられる。
【0273】
前記基板には、本発明の液晶配向膜で前述したガラス製の基板を用いることができ、前記電極には、本発明の液晶配向膜で前述したようにガラス製の基板に形成されるITO電極を用いることができる。
【0274】
前記液晶層は、前記一対の基板の一方の基板における液晶配向膜が形成されている面が他方の基板に向かうように対向する一対の基板間の隙間に密封される液晶組成物によって形成される。
【0275】
前記液晶組成物には、特に制限はなく、誘電率異方性が正または負の各種の液晶組成物を用いることができる。誘電率異方性が正の好ましい液晶組成物には、特許第3086228号公報、特許第2635435号公報、特表平5−501735号公報、特開平8−157826号公報、特開平8−231960号公報、特開平9−241644号公報(EP885272A1明細書)、特開平9−302346号公報(EP806466A1明細書)、特開平8−199168号公報(EP722998A1明細書)、特開平9−235552号公報、特開平9−255956号公報、特開平9−241643号公報(EP885271A1明細書)、特開平10−204016号公報(EP844229A1明細書)、特開平10−204436号公報、特開平10−231482号公報、特開2000−087040公報、特開2001−48822公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
【0276】
誘電率異方性が負の好ましい液晶組成物には、特開昭57−114532号公報、特開平2−4725号公報、特開平4−224885号公報、特開平8−40953号公報、特開平8−104869号公報、特開平10−168076号公報、特開平10−168453号公報、特開平10−236989号公報、特開平10−236990号公報、特開平10−236992号公報、特開平10−236993号公報、特開平10−236994号公報、特開平10−237000号公報、特開平10−237004号公報、特開平10−237024号公報、特開平10−237035号公報、特開平10−237075号公報、特開平10−237076号公報、特開平10−237448号公報(EP967261A1明細書)、特開平10−287874号公報、特開平10−287875号公報、特開平10−291945号公報、特開平11−029581号公報、特開平11−080049号公報、特開2000−256307公報、特開2001−019965公報、特開2001−072626公報、特開2001−192657公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
【0277】
前記誘電率異方性が正または負の液晶組成物に1種以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
【0278】
本発明の液晶表示素子は、一対の基板の少なくとも一方に本発明の液晶配向膜を形成し、得られた一対の基板を、液晶配向膜を内向きにスペーサーを介して対向させ、基板間に形成された隙間に液晶組成物を封入して液晶層を形成することによって得られる。本発明の液晶表示素子における製造には、必要に応じて基板に偏光フィルムを貼り付ける等のさらなる工程が含まれていてもよい。
【0279】
光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーを重合させる際には、電圧を印加する。その際には、液晶の閾値電圧〜透過率が100%となる時の電圧の5倍の電圧を印加し、好ましくは透過率が50%となる時の電圧〜透過率が100%となる時の電圧の3倍の電圧を印加する。
【0280】
光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーを重合させる際には、通常、紫外線または可視光線が用いられる。光照射に用いられる光の波長は、150〜500nm、好ましくは250〜450nm、より好ましくは300〜400nmの範囲である。光照射の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)およびショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが挙げられる。これらの中では、メタルハライドランプ、キセノンランプおよび高圧水銀ランプが好ましい。
【0281】
上記光源からの光は、フィルターなどを設置して特定の波長領域のみを通すことにより、照射光源の波長領域を選択してもよい。光源から照射するエネルギーは、1,000〜300,000mJ/cm、好ましくは2,000〜100,000mJ/cm、より好ましくは5,000〜50,000mJ/cmの範囲である。
【0282】
本発明の液晶表示素子は、種々の電界方式用の液晶表示素子を形成することができる。このような電界方式用の液晶表示素子には、前記基板の表面に対して水平方向に前記電極が前記液晶層に電圧を印加する横電界方式用の液晶表示素子や、前記基板の表面に対して垂直方向に前記電極が前記液晶層に電圧を印加する縦電界方式用の液晶表示素子が挙げられる。
【0283】
横電界方式用の液晶表示素子は、比較的大きなプレチルト角を発現しなくてもよいことから、側鎖を有するジアミンを含まないジアミンから得られる本発明の液晶配向剤による液晶配向膜が好適に用いられる。
【0284】
縦電界方式用の液晶表示素子は、比較的大きなプレチルト角の発現を要することから、側鎖を有するジアミンを含むジアミンから得られるか、または、前記ジアミンBに側鎖を有するジアミンを含む本発明の液晶配向剤による液晶配向膜が好適に用いられる。
【0285】
このように、本発明の液晶配向剤を原料として作製される液晶配向膜は、その原料であるポリマーを適宜選択することにより、種々の表示駆動方式の液晶表示素子に適用させることができる。
【実施例】
【0286】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例において用いる化合物は次の通りである。
【0287】
<テトラカルボン酸二無水物>
化合物(IV−1−1):1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物
化合物(IV−2−1):1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
化合物(IV−3−1):1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
化合物(IV−3−2):ピロメリット酸無水物
化合物(IV−4−23):4,4’−(オクタン−1,8−ジイル)ジフタル酸二無水物
化合物(IV−5−3):1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]−フラン−1,3−ジオン
化合物(IV−7−2):2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
化合物(IV−10):ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
化合物(IV−12−1):18,21−ビス(3−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)プロピル)−18,21−ジメチル−1,3,5,7,9,11,13,15−オクタフェニル−ペンタシクロ[10.5.1.25,13.17,11.19,15]デカシロキサン
化合物(VII−1−1):ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物
【0288】
<ジアミン>
化合物(III−2−3):1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン
化合物(III−4−1):p−フェニレンジアミン
化合物(III−4−9):m−キシレンジアミン
化合物(III−5−1):4,4’−メチレンジアニリン
化合物(III−5−5):4,4’−メチレンビス(3−メチルアニリン)
化合物(III−5−7):4,4’−エチレンジアニリン
化合物(III−5−33):2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
化合物(III−5−34):2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル
化合物(III−5−35):2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン
化合物(III−8−2−12):式(III−8−2)においてR4aがドデシルである化合物:5−(4−ドデシルベンジル)ベンゼン−1,3−ジアミン
化合物(III−8−2−20):式(III−8−2)においてR4aがイコシルである化合物:5−(4−ヘキサデシルベンジル)ベンゼン−1,3−ジアミン
化合物(III−8−5−5):式(III−8−5)においてR5aがペンチルである化合物:5−(4−(4’−ペンチルビシクロヘキサン−4−イル)ベンジル)ベンゼン−1,3−ジアミン
化合物(III−8−39−5):式(III−8−39)においてR5bがペンチルである化合物:4−(4−(4’−ペンチルビ(シクロヘキサン)−4−イル)フェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン
化合物(III−8−41):コレステリル−3,5−ジアミノベンゾアート
化合物(III−8−42):コレスタリル−3,5−ジアミノベンゾアート
化合物(III−11−2−7):式(III−11−2)においてR5cがヘプチルである化合物:1,1−ビス(4−(4−アミノフェニル)メチルフェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン
化合物(III−11−7−7):式(III−11−7)においてR5dがヘプチルである化合物:1,1−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−4−(2−(4−ヘプチルシクロヘキシル)エチル)シクロヘキサン
【0289】
化合物(VI−1−1):4,4’−ジアミノベンゾフェノン
化合物(VI−2−1−14):式(VI−2−1)においてR34がテトラデシルである化合物:(3,5−ジアミノフェニル)(4−テトラデシルフェニル)メタノン
化合物(VI−3−5):(E)−6−(3−(4−ペンチルフェニル)アクリロイルオキシ)ヘキシル 3,5−ジアミノベンゾアート
化合物(VI−4−1):(E)−7−(4−ヘキシルオキシフェニル)−5−オキソヘプト−6−エニル 3,5−ジアミノベンゾアート
【0290】
<光重合性モノマー>化合物(V−3−1−1):4,4’−ビス(メタクリロイルオキシ)ビフェニル
化合物(V−3−2−3):2−メチル−1,4−フェニレン ビス(4−(3−(アクリロイルオキシ)プロポキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−2−6):2−メチル−1,4−フェニレン ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−2−6−1):2−メチル−1,4−フェニレン ビス(4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−3−6):4,4’−ビス(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ビフェニル
化合物(V−3−4−6):4−シアノフェニル 4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート
化合物(V−3−5−6):4−メトキシフェニル 4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート
化合物(V−3−6−6):2−メチル−1,4−フェニレン ビス(4−((6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)カルボニルオキシ)ベンゾアート)
【0291】
化合物(V−3−10−1):4,4’−(ペルフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−10−1−1):4,4’−(ペルフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−10−2):4,4’−(ペルフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)−2−フルオロベンゾアート)
化合物(V−3−10−2−1):4,4’−(ペルフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)−2−フルオロベンゾアート)
化合物(V−3−10−3):6,6’−(4,4’−(3,3’−(4,4’−(ペルフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ)ビス(3−オキソプロパン−3,1−ジイル))ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ)ビス(ヘキサン−6,1−ジイル) ジアクリレート
化合物(V−3−10−3−1):6,6’−(4,4’−(3,3’−(4,4’−(ペルフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ)ビス(3−オキソプロパン−3,1−ジイル))ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ)ビス(ヘキサン−6,1−ジイル) ジメタクリレート
化合物(V−3−10−4):4,4’−(ペルフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(2,6−ジフルオロ−4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−10−4−1):4,4’−(ペルフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(2,6−ジフルオロ−4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−10−5):4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−10−6):4,4’−(エタン−1,1−ジイル)ビス(4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−10−7):4,4’−メチレンビス(4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
【0292】
化合物(V−3−11−1):9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−11−1−1):9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル ビス(4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−11−2):9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)−2−フルオロベンゾアート)
化合物(V−3−11−2−1):9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル ビス(4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)−2−フルオロベンゾアート)
化合物(V−3−11−3):ビス(4−(アクリロイルオキシ)ブチル) ’−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル ジテレフタレート
化合物(V−3−11−4):9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル ビス(4−((4−(アクリロイルオキシ)ブチルオキシ)カルボニルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−11−5):4,4’−(4,4’−(3,3’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル)ビス(オキシ)ビス(3−オキソプロパン−3,1−ジイル))ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(ブタン−4,1−ジイル) ジアクリレート
化合物(V−3−11−6):6,6’−(4,4’−(3,3’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル)ビス(オキシ)ビス(3−オキソプロパン−3,1−ジイル))ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ)ビス(ヘキサン−6,1−ジイル) ジアセテート
化合物(V−3−11−7):6,6’−(4,4’−(2,2’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル)ビス(エタン−2,1−ジイル))ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ)ビス(ヘキサン−6,1−ジイル) ジアクリレート
化合物(V−3−11−8):9,9’−スピロビ[フルオレン]−2,7−ジイル ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾアート)
化合物(V−3−13−1):4,4’−(シクロヘキサン−1,1−ジイル)ビス(4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)アクリレート)
化合物(V−3−13−2):4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ビス(4,1−フェニレン) ビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)アクリレート)
【0293】
<重合開始剤>
チバ・スペシャリティー(株)製イルガキュア651
【0294】
<溶剤>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BC:ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)
GBL:γ−ブチロラクトン
【0295】
<添加剤>
<エポキシ化合物>
添加剤A:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
添加剤B:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン
添加剤C:1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン
<添加剤ポリマー>
添加剤D:液晶配向性ポリオルガノシロキサン(WO2009/096598の合成例1および実施例1を参照)
<シランカップリング剤>
添加剤E:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
添加剤F:3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン
【0296】
<1.ポリアミック酸の合成>
[合成例1]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに化合物(III−5−5)2.237g、化合物(III−8−5−5)1.069g、および脱水NMP80.0gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで化合物(IV−3−2)を2.694g入れ、室温環境下で30時間攪拌しながら反応させた。攪拌中に温度が上昇する場合は、およそ70℃以下を保つように冷却した。得られた反応液に、BC14.0gを加えて、固形分濃度が6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)を得た。PA1に含まれるポリアミック酸の重量平均分子量は89,000であった。
【0297】
ポリアミック酸の重量平均分子量は、得られたポリアミック酸をリン酸−DMF混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)でポリアミック酸濃度が約1重量%になるように希釈し、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters製)を用いて、上記混合溶液を展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。なお、カラムはHSPgel RT MB−M(Waters製)を使用し、カラム温度40℃、流速0.35mL/minの条件で測定した。
【0298】
[合成例2〜129]
表1−1〜1−5に示したようにテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液(PA2)〜(PA129)を調製した。合成例1を含めて、結果を表1−1〜1−5にまとめた。
【0299】
<2.ポリイミドの合成>
[合成例130]
上記合成例124で得たポリアミック酸溶液(PA124)を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈殿させる。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリアミック酸を得る。得られたポリアミック酸を脱水NMPに溶解させ、ピリジンおよび無水酢酸を添加し、110℃で4時間脱水閉環させ、沈殿、洗浄、減圧を行い、得られたポリイミド粉末を脱水NMP/BC/GBL=45/15/40(重量比)に溶解させ、固形分濃度が4重量%のポリイミド溶液(PI124)を得る。(特開2007−047762号を参照。)
【0300】
[合成例131〜135]
表1−6に示したようにテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを変更した以外は、合成例130に準拠してポリイミド(PI125)〜(PI129)を調整する。(特開2007−047762号、特開2007−256822号、特開2007−332357号およびWO2009/096598号を参照。)
【表1】

表中PA酸溶液とは以降も含めてポリアミック酸溶液を指す。
【0301】
【表2】

【0302】
【表3】

【0303】
【表4】

【表5】

【0304】
【表6】

表中PI溶液とは以降も含めて可溶性ポリイミド溶液を指す。
【0305】
<2.液晶表示素子の作製>
[実施例1]
合成例1で合成したポリアミック酸溶液(PA1)に、PA1の固形分重量の30重量%に相当する化合物(V−3−2−6)を加え、さらにNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶剤を加えて、PA1の固形分が4重量%になるよう希釈して液晶配向剤とした。
【0306】
液晶配向剤を、二枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚100nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約10分間加熱乾燥した後、180℃にて60分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
【0307】
一方のガラス基板に4.25μmのギャップ材を散布し、もう一方の基板には周辺を液晶の注入口を残してエポキシ系接着剤でシールし、液晶配向膜を形成した面を内側にして貼り合わせた。該セルに、ZLI−6610(Δε=−3.1、Δn=0.0996)を真空注入し、注入口を光硬化剤で封止して、UVを照射して光硬化剤を硬化した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。
【0308】
作製した液晶表示素子に±9Vの矩形波(周波数30Hz)を1分間印加した後、±9Vの矩形波を印加しながら30,000mJ/cmのUVを照射した。ここで、±9Vという電圧の値は当該セルの電圧−透過率曲線から求めた飽和電圧(Vsat)にほぼ相当する。
【0309】
[実施例2〜32、比較例1〜3]
ワニスおよび光重合性モノマーを変更した以外は実施例1に準拠して、液晶表示素子を作製した。実施例2では、化合物(V−3−2−6)の重量の10重量%に相当するイルガキュア651を添加した。液晶表示素子の作製条件を、実施例1を含めて表2−1および2−2にまとめた。イルガキュア651の添加は表中○印にて示した。
【0310】
【表7】

【0311】
【表8】

【0312】
[実施例33〜162]
光重合性モノマーに化合物(V−3−2−6)を使用して、ポリアミック酸溶液を他のポリアミック酸溶液あるいは可溶性ポリイミド溶液に変更した以外は実施例1に準拠して液晶表示素子を作製した。実施例152〜162に関しては、ポリアミック酸溶液あるいはポリイミド溶液に添加剤を添加した溶液を使用した。各実施例で使用したポリアミック酸溶液、可溶性ポリイミド溶液、添加剤およびその添加量を表2−3にまとめた。なお添加剤の添加量はポリアミック酸溶液あるいはポリイミド溶液の固形分100重量当たりの重量量を示す。
【表9】

【0313】
【表10】

【0314】
<3.応答時間の評価>
実施例1〜162、比較例1〜3で作製した液晶表示素子について、応答時間の測定を以下の手順で行った。
【0315】
応答時間(τ;25℃で測定;ms)測定には大塚電子株式会社のLCD5200型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。ローパス・フィルターは5kHzに設定した。作製した液晶表示素子に矩形波(60Hz、10V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。立ち上がり時間(τr:rise time)は、透過率が10%から90%に変化するのに要した時間である。立下がり時間(τf:fall time)は、透過率90%から10%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立ち上がり時間と立下がり時間との和である。結果を表3に示す。
【0316】
【表11】

【0317】
【表12】

【0318】
【表13】

【0319】
ガラス基板上に光重合性モノマーを含むポリアミック酸を含有する液晶配向剤を使用して液晶配向膜を形成し、そのガラス基板で液晶表示素子を構成した。この液晶表示素子に矩形波を印加しながらUVを照射して光重合性モノマーを反応させると、表3に示したように、液晶表示素子を駆動した際の応答時間が短くなる効果が顕著であった。
【0320】
また、ポリアミック酸溶液に加える光重合性モノマーの重量比を変えたワニスを用いて、前記実施例1に記載の方法に準じて液晶表示素子を作製した。表4−1〜4−3に示すように、光重合性モノマーの重量比が大きくなるに従って応答時間が更に短くなる傾向が見られた。
【0321】
【表14】

【0322】
【表15】

【0323】
【表16】

【0324】
また、本技術を用いて作製された液晶セルのコントラストは、PSAの液晶セルのコントラストよりも改善されている事が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有し、
液晶組成物に当該液晶組成物のしきい値電圧(Vth)よりも高い電圧を印加することによって液晶配向膜表面に存在する光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーの一部または全部を液晶が配列する方向に沿って配向させ、
電圧を印加したまま光を照射して該配向状態を固定化させる工程を経て作成される液晶表示素子に用いられる、
ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリイミド、その前駆体であるポリアミック酸およびポリアミック酸誘導体から選択される少なくとも1つと、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーを含有する液晶配向剤。
【請求項2】
ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリイミドまたはその前駆体であるポリアミック酸もしくはポリアミック酸誘導体が、下記の式(I)または(II)で表される構成単位を有する化合物である、請求項1に記載の液晶配向剤。
【化1】

式(I)および(II)において、
R’は独立して水素または炭素数1〜4のアルキルであり;
は独立して2価の有機基であり;
は独立して4価の有機基であり;そして、
およびRは構成単位ごとに異なっていてもよい。
【請求項3】
ジアミンが、下記の式(III−1)〜(III−7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つ、または式(III−1)〜(III−7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つとその他のジアミンとの混合物である、請求項2に記載の液晶配向剤。
【化2】

上記式中、mは独立して1〜12の整数であり、nは独立して0〜2の整数であり;
は独立して単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、または−S−(CH−S−であり、前記pは独立して1〜12の整数であり;Gは独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または炭素数1〜10のアルキレンであり;
式中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の任意の−Hは、−F、−OH、−CF、−CHまたはベンジルで置き換えられていてもよく;そして、
シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、GまたはGの結合位置を除く任意の位置である。
【請求項4】
ジアミンが式(III−2−3)、(III−4−1)〜(III−4−5)、(III−4−9)、(III−5−1)〜(III−5−12)、(III−5−31)〜(III−5−35)および(III−7−3)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、請求項3に記載の液晶配向剤。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【請求項5】
ジアミンが、側鎖構造を有するジアミンの少なくとも1つ、または側鎖構造を有するジアミンの少なくとも1つとその他のジアミンとの混合物である、請求項2に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
側鎖構造を有するジアミンが、式(III−8)〜(III−12)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、請求項5に記載の液晶配向剤。
【化10】

式(III−8)において、Gは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、または−(CH−であり、mは1〜12の整数であり;
は炭素数3〜20のアルキル、フェニル、ステロイド骨格を有する基、シクロヘキシルまたは式(III−8−a)で表される基であり;
このアルキルにおいて、任意の−Hは−Fで置き換えられていてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
このフェニルの−Hは、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF2、−OCF3、炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく;このシクロヘキシルの−Hは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく;そして、
ベンゼン環への−NHの結合位置は任意である。
ただし、Gが−(CH−であり、mが1であり、Rがフェニルであるとき、このフェニルの少なくとも一つの−Hは、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF、−OCF、炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられている。
【化11】

式(III−8−a)において、Rは−H、−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のフッ素置換アルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり;
、GおよびGは結合基であり、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり;このアルキレン中の1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていても良く;
A、A、AおよびAは環であり、これらは独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
A、A、AおよびAにおいて、任意の−Hは−Fまたは−CHで置き換えられていてもよく;
a、bおよびcは独立して0〜2の整数であり、これらの合計は1〜5であり;そして、
a、bまたはcが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なっていてもよく、2つの環は同じであっても異なっていてもよい。
【化12】

式(III−9)および(III−10)において、
は独立して−Hまたは−CHであり;
は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルであり;
は独立して単結合、−CO−または−CH2−であり;
式(III−10)におけるベンゼン環の1つの−Hは、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられていてもよく;そして、
環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その結合位置が任意であることを示す。
【化13】

式(III−11)および(III−12)において、
は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおける任意の−CH−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
は炭素数6〜22のアルキルであり;
10は−Hまたは炭素数1〜22のアルキルであり;
は−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり;
は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;
は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり;
dは0または1であり;そして、
ベンゼン環への−NHの結合位置は任意である。
【請求項7】
側鎖構造を有するジアミンが式(III−8)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の液晶配向剤。
【請求項8】
側鎖構造を有するジアミンが式(III−9)および(III−10)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の液晶配向剤。
【請求項9】
側鎖構造を有するジアミンが式(III−11)および(III−12)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の液晶配向剤。
【請求項10】
側鎖構造を有するジアミンが下記式(III−8−1)、(III−8−2)、(III−8−4)〜(III−8−6)、(III−8−21)、(III−8−22)、(III−8−27)、(III−8−28)、(III−8−30)、(III−8−39)、(III−8−41)〜(III−8−45)、および(III−9−1)〜(III−9−4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、請求項6に記載の液晶表示素子。
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

式(III−8−1)および(III−8−2)において、R4aは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシであり;
式(III−8−4)〜(III−8−6)において、R5aは炭素数1〜18のアルキルまたは炭素数1〜18のアルコキシであり;
式(III−8−21)、(III−8−27)および(III−8−39)において、R5bは−H、−F、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHFまたは−OCFであり;そして、
式(III−8−22)、(III−8−28)および(III−8−30)において、R4dは炭素数1〜20のアルキル、または炭素数1〜20のアルコキシである。
【請求項11】
ジアミンが式(III−13)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の液晶配向剤。
【化19】

式(III−13)において、
11およびR12は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり;
10はメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり;
jは1〜6の整数であり;そして
kは1〜10の整数である。
【請求項12】
ジアミンが式(III−13−1)で表される化合物である、請求項11に記載の液晶配向剤。
【化20】

【請求項13】
テトラカルボン酸二無水物が、下記の式(IV−1)〜(IV−13)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つ、または式(IV−1)〜(IV−13)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つとその他のテトラカルボン酸二無水物との混合物である、請求項2に記載の液晶配向剤。
【化21】

式(IV−1)において、
11は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、1,4−フェニレン、または1,4−シクロヘキシレンであり;そして、
は独立して単結合または−CH−である。
【化22】

式(IV−2)において、
13、R14、R15、およびR16は−H、−CH、−CHCH、またはフェニルである。
【化23】

式(IV−3)において、環Aはシクロヘキサン環またはベンゼン環である。
【化24】

式(IV−4)において、
12は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、−O−、−CO−、−S−、−C(CH−、−SO−、または−C(CF−であり;そして、
環Aは独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。
【化25】

式(IV−5)において、R17は独立して−H、または−CHである。
【化26】

式(IV−6)において、
は独立して単結合または−CH−であり;そして、
vは1または2である。
【化27】

式(IV−7)において、Xは単結合または−CH−である。
【化28】

式(IV−8)において、
18は−H、−CH、−CHCH、またはフェニルであり;そして、
はシクロヘキサン環またはシクロヘキセン環である。
【化29】

式(IV−9)において、w1およびw2は0または1である。
【化30】

【化31】

式(IV−11)において、Aは独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。
【化32】

式(IV−12)において、Xは炭素数2〜6のアルキレンであり、そして、
Phはフェニルの略号である。
【化33】

【請求項14】
テトラカルボン酸二無水物が、式(IV−1−1)、(IV−2−1)、(IV−3−1)、(IV−3−2)、(IV−4−23)、(IV−5−3)、(IV−7−2)、(IV−10)、(IV−12−1)、および(IV−13)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、請求項13に記載の液晶配向剤。
【化34】

式(IV−12−1)において、Phはフェニルの略号である。
【請求項15】
テトラカルボン酸二無水物が、式(IV−1)、(IV−2)および(IV−3)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つ、または式(IV−1)、(IV−2)および(IV−3)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つとその他のテトラカルボン酸二無水物との混合物である、請求項14に記載の液晶配向剤。
【請求項16】
光重合性モノマーが下記式(V)で表される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の液晶配向剤。

a1−Z−(B−Z)m1−Ra1 (V)

式(V)において、
a1は、独立して下記の式(V−1−1)〜(V−1−5)で表される重合性基、−H、ハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、−N=C=O、−N=C=S、または炭素数1〜20のアルキルであり;
このアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
任意の−Hは、ハロゲンまたは−CNで置き換えられていてもよく;
a1の少なくとも1つは式(V−1−1)〜(V−1−5)で表される重合性基であり;
Bは環であり、独立して炭素数3〜20の飽和または不飽和の独立環、縮合環、またはスピロ環式の2価基であり;
これらの環において、任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく;
任意の−CH=は−N=で置き換えられていてもよく;
任意の−Hは、ハロゲン、−CN、−NO、−NC、−N=C=O、−N=C=S、1〜3個の炭素数1〜4のアルキルで置換されたシリル、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルまたは炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられていてもよく;
このアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
Zは、独立に単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;
このアルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−N(O)=N−、または−C≡C−で置き換えられていてもよく;
任意の−Hはハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられていてもよく;そして、
m1は1〜6の整数であるが、
m1が2〜6の整数であるとき、括弧内の複数の−B−Z−は同じであっても、異なっていてもよい。
【化35】

式(V−1−1)〜(V−1−5)において、Rは−H、ハロゲン、−CFまたは炭素数1〜5のアルキルである。
【請求項17】
式(V)におけるRa1の少なくとも1つが、式(V−1−1)、(V−1−2)または(V−1−3)のいずれかで表される重合性基である、請求項16に記載の液晶配向剤。
【請求項18】
式(V)における環Bが、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、またはビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3,6−ジイル、トリプチセン−1,4−ジイルで表される2価の基であり;
これらの環において、任意の−CH−は−O−で置き換えられていてもよく;
任意の−CH=は−N=で置き換えられていてもよく;
任意の−Hは、ハロゲン、−CN、−NO、−NC、−N=C=O、−N=C=S、1〜3個の炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルで置換されたシリル、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキルまたは炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられていてもよく;
このアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられていてもよい、請求項16に記載の液晶配向剤。
【請求項19】
式(V)における環Bが、独立して下記の式(V−2−1)〜(V−2−25)で表される基の群から選択される1つである、請求項18に記載の液晶配向剤。
【化36】

式(V−2−1)〜(V−2−25)において、Lはハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルを表す。
【請求項20】
光重合性モノマーが、下記の式(V−3−1)〜(V−3−12)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つである、請求項16に記載の液晶配向剤。
【化37】

【化38】

(式(V−3−1)〜(V−3−12)において、Rは−Hまたは−CHを示し、ベンゼン環上の−Hはハロゲン、−CH、−CFまたは−OCHで置き換えられていてもよく;
は独立して−H、ハロゲン、−CH、−CF、−OCH、フェニルまたは同一炭素上にある2つのRが炭素数6〜15の飽和または不飽和の炭化水素環を形成していても良く;
そして、m2およびm3は独立して1〜20の整数である。
【請求項21】
光重合性モノマーまたは光重合性オリゴマーを、ポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体を含む固形分総量の0.01〜50重量%含有している、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項22】
さらに重合開始剤および/または重合禁止剤を含有している、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項23】
アルケニル置換ナジイミド化合物、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、オキサジン化合物、オキサゾリン化合物、液晶配向性ポリオルガノシロキサンおよびエポキシ化合物からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つの添加剤をさらに含有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項24】
添加剤が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、液晶配向性ポリオルガノシロキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、および3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランからなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項23に記載の液晶配向剤。
【請求項25】
基板上に塗布した液晶配向剤層を100〜230℃の温度で焼成したときに、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーの50重量%以上が熱重合せずに残存している、請求項1に記載の液晶配向剤から形成される液晶配向膜。
【請求項26】
基板上に塗布した液晶配向剤層を180〜230℃の温度で焼成したときに、光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーの50重量%以上が熱重合せずに残存している、請求項25に記載の液晶配向膜。
【請求項27】
1,000〜300,000mJ/cmの紫外光を照射して光重合性モノマーおよび/または光重合性オリゴマーを反応させることにより得られる、請求項1に記載の液晶配向剤から形成される液晶配向膜。
【請求項28】
式(I)または(II)で表されるポリイミド、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体が、分子中のRおよびRにおいて、それぞれの基数の総和の4〜50%の基が光によりラジカルを発生する基を持つ化合物である、請求項2に記載の液晶配向剤。
【請求項29】
ラジカルを発生する基がベンゾフェノン骨格およびシンナメート骨格を有する基の群から選択される少なくとも1つである、請求項28に記載の液晶配向剤。
【請求項30】
ラジカルを発生する基が下記の式(VI−1)〜(VI−4)、(VII−1)で表される基の群から選択される少なくとも1つである、請求項28に記載の液晶配向剤。
【化39】

上記式中、R19は−Hまたは炭素数1〜25の炭化水素基であり;
この炭化水素基の任意の−Hは−Fで置き換えられていてもよく;
およびXは独立して単結合、−COO−または−O−であり;そして、
13は炭素数2〜6のアルキレンである。
【化40】

【請求項31】
請求項1〜24および28〜30のいずれか1項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
【請求項32】
請求項31に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。