説明

液状ポルフィリン誘導体

【課題】室温25℃並びに26〜40℃で液状のポルフィリン誘導体を提供する。
【解決手段】本発明に係る液状ポルフィリン誘導体は、下記式(1)で表される。



(式(1)において、Mは、2H(水素原子)又はテトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物を表す。Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数が8〜16或いは炭素数が17又は18のアルキル基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温にて液状性を有するポルフィリン誘導体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポルフィリンとは、4つのピロ−ル環がα位置で4つのメチン基と交互に結合した大環状化合物とその誘導体であり、可視部に強い複数のピ−クがあり,赤色領域にQ帯(Qband)、400nm付近にソ−レ−帯(Soret band)と呼ばれる特徴的なピ−クを有する化合物である。このようなポルフィリンは、中心に金属が配位することが可能で、大きなπ電子共役系を有するため、電子キャリアとして使用可能であることや、特定の波長領域に鋭い吸収ピ−クを有すること等から、電子材料、光学材料、医療材料、表示材料等、種々の用途への応用の試みがなされいる。
【0003】
このようにポルフィリンは、今後も機能性材料として幅広い産業分野への応用が期待されるものである。しかしながら、その剛直な骨格により凝集しやすく、また、溶剤溶解性が悪いという問題がある。たとえば、テトラフェニルポルフィリン(以下、「TPP」と省略することがある)は、有機EL素子における燐光ゲスト分子として有用であるが、溶剤溶解性が極めて低いため、有機EL素子における膜を形成する場合には、真空蒸着等の気相成膜法により形成しなければならなかった。
【0004】
ポルフィリン誘導体の応用として、特許文献1には、特定の構造を有するポルフィリン化合物からなる有機半導体を含有する有機半導体層を用いた電界効果トランジスタが開示されている。ここで開示されているポルフィリン化合物は溶剤溶解性を有し、湿式成膜法により膜を形成しているが、ピロ−ル環にビシクロ化合物が結合した特殊な構造を有している。
【0005】
しかしながら、溶剤溶解性を有していたとしても、溶媒中においても一次粒子まで完全に均一分散した状態の高濃度のポルフィリン誘導体の溶液を作ることは困難である。
一方で、室温で液状フラーレン(非特許文献1)やイオン液体が、ナノマテリアル創製において注目されている。例えば、イオン液体とフラーレンをすり混ぜて得られるバッキーゲルが知られている(非特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−245559号公報
【非特許文献1】J.AM.CHEM.SOC., 2006, 128, p.10384-10385
【非特許文献2】Science, 2003, 300, p.2072-2074
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
室温で液状のポルフィリン誘導体が得られれば、完全に均一分散した高密度のポルフィリン誘導体が得られる。
ポルフィリン誘導体は電子ドナー性を有する化合物であって、非線形光学特性や強い電子アクセプター性などを有するフラーレン(C60)やカーボンナノチューブと相性が良く、例えば有機太陽電池や電子移動反応等の分野で研究されている。従って、室温で液状のポルフィリン誘導体が開発できれば、フラーレン(C60)やカーボンナノチューブの分散媒として特異的な機能を発現できる可能性がある。また、上記のような液状フラーレンや、イオン液体と同様の機能を発現できる可能性が考えられる。
【0007】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、室温で液状のポルフィリン誘導体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る25℃で液状のポルフィリン誘導体は、下記式(1)で表されるものである。
【0009】
【化1】

(式(1)において、Mは、2H(水素原子)又はテトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物を表す。Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数が8〜16のアルキル基である。)
【0010】
本発明に係る26〜40℃で液状のポルフィリン誘導体は、下記式(1)で表されるものである。
【0011】
【化2】

(式(1)において、Mは、2H(水素原子)又はテトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物を表す。Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数が17又は18のアルキル基である。)
【0012】
従来、ポルフィリン誘導体は溶剤溶解性が極めて低かったのに対し、本発明に係るポルフィリン誘導体は、上記式(1)で表されるように、ベンゼン環の特定の位置に2個の特定の炭素数のアルコキシ基を有するため、室温で液状性を有し、且つ熱安定性も高い。
本発明に係る液状ポルフィリン誘導体を用いれば、純物質で完全に均一分散した高密度ポルフィリン誘導体が得られる。従って、新規のナノマテリアルを創製するための材料や分散媒として機能する可能性が期待される。
【0013】
本発明に係る液状ポルフィリン誘導体においては、前記式(1)において、合成の都合上、Rが、置換もしくは無置換の直鎖アルキル基であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るポルフィリン誘導体は、ポルフィリン固有の特性を有しながら、溶剤溶解性が極めて低い従来のポルフィリン誘導体と異なり、溶媒を含まず純物質で、室温25℃、及び/又は26〜40℃にて液状性を有するものである。本発明に係るポルフィリン誘導体は、多様な温度範囲で液状物質として使用可能である。
従って、種々の機能性化合物を分散質とした分散媒として使用可能である。例えば、本発明に係るポルフィリン誘導体を電子ドナー性の分散媒として、強い電子アクセプター性を有するフラーレン(C60)やカーボンナノチューブ等のナノ炭素物質を分散質として分散させ、高密度な状態で両者を相互作用させ、特異的な機能を発現できる可能性がある。
また、高い電子輸送性を活かすことで、太陽電池、電気化学キャパシタ、導電性ペースト、半導体素子、アクチュエータ等として機能する可能性が考えられる。
溶剤を用いずに様々な環境下でのポルフィリン誘導体の物質としての利用が可能であることから、環境負荷を低減できる。
また、本発明に係るポルフィリン誘導体を用いて、新規なナノマテリアルを創製できる可能性が考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下において、本発明の液状ポルフィリン誘導体、及びその製造方法について順に詳細に説明する。
本発明に係る25℃で液状のポルフィリン誘導体は、下記式(1)で表されるものである。
【0016】
【化3】

(式(1)において、Mは、2H(水素原子)又はテトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物を表す。Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数が8〜16のアルキル基である。)
【0017】
また、本発明に係る26〜40℃で液状のポルフィリン誘導体は、下記式(1)で表されるものである。
【0018】
【化4】

(式(1)において、Mは、2H(水素原子)又はテトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物を表す。Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数が17又は18のアルキル基である。)
【0019】
従来、ポルフィリン誘導体は溶剤溶解性が極めて低かったのに対し、本発明に係るポルフィリン誘導体は、上記式(1)で表されるようにベンゼン環の3位と5位に特定の炭素数のアルコキシ基を有するため、従来のポルフィリン誘導体では達成できなかった室温で液状という特異な性質を有する。ここで、25℃や、26℃〜40℃で液状とは、25℃や、26℃〜40℃のいずれかの温度で流動性を有する場合をいい、合成時に25℃で固体で得られても1度加熱して融解した後に25℃や、26℃〜40℃のいずれかの温度で流動性を有する場合が含まれる。25℃で固体で得られた化合物であっても、示差走査熱量測定(DSC)において、1回目の昇温及び冷却で一度融解後に凝固させた後、2回目以降の昇温及び冷却により物質固有の融点を測定した時に、当該融点が25℃未満、又は40℃未満である場合には、25℃や、26℃〜40℃で流動性を有する場合に含まれる。
本発明に係る液状ポルフィリン誘導体を用いれば、純物質で完全に均一分散した高密度ポルフィリン誘導体が得られる。従って、従来のポルフィリン誘導体とは全く異なる態様でポルフィリン誘導体を用いてその機能を発現させることが可能であるだけでなく、新規のナノマテリアルを創製するための材料や分散媒として機能する可能性が期待される。
また、本発明に係る液状ポルフィリン誘導体は、合成経路が少なく、精製が容易であるという利点を有する。
【0020】
本発明に係る液状ポルフィリン誘導体においては、3,5−ビス二置換型としたため、構造上、分子内でアルキル鎖がポルフィリン環の面とは重ならない方向に伸びるため、ポルフィリン誘導体分子間のポルフィリン環同士の空間距離が小さくなり易く、電子移動など機能性の向上が期待される。
【0021】
後述する実施例及び比較例においても示したように、Rの炭素数が小さすぎても大きすぎても、融点が上昇して25℃で液状を達成できなくなる傾向があるため、本発明の25℃で液状のポルフィリン誘導体における置換基ORの炭素数は8〜16を選択している。また、本発明の26〜40℃で液状のポルフィリン誘導体における置換基ORの炭素数は17又は18を選択している。
ORで表される炭素数8〜16或いは炭素数17又は18のアルコキシ基において、Rは置換もしくは無置換の炭素数8〜16或いは炭素数17又は18のアルキル基である。アルキル基としては、直鎖または分岐鎖の他、環状構造を含んでいても良い。
無置換の炭素数8〜16或いは炭素数17又は18のアルキル基としては、例えば、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基などの直鎖アルキル基が挙げられる。また、これら直鎖アルキル基の末端以外の1以上の水素原子がメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基で置換された分枝鎖アルキル基を挙げることができる。分枝鎖アルキル基としては、炭素数8〜15の直鎖アルキル基に1以上の水素原子がメチル基やエチル基で置換された分岐鎖アルキル基が好ましい。また、分枝鎖アルキル基の場合には、例えば対象性のある分岐構造を用いることも好ましい。また、シクロヘキシル等の環状構造を含むアルキル基であっても良い。
【0022】
更に、置換基を有する炭素数8〜16或いは炭素数17又は18のアルキル基としては、上で例示したアルキル基の1以上の水素原子が、本発明の効果を阻害しない置換基で置換されたものを挙げることができる。例えば、アルキル基の1以上の水素原子がハロゲン原子、置換又は無置換の芳香族基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基等で置換されたものを例示することができる。
【0023】
また、本発明に係る上記式(1)で表される液状ポルフィリン誘導体において、Rは、互いに同一であっても互いに異なっていてもよい。
本発明のポルフィリン誘導体において、混合物により液状とするのではなく、純物質で液状とする場合には、純物質とするための精製を行いやすくすることから、対称性の分子構造を有することが好ましい。このような観点から、複数の置換基ORはすべて同一である場合が好ましい。
【0024】
置換基ORや置換数、置換位置を適宜選択することによって、本発明に係るポルフィリン誘導体の粘性や、熱分解温度等の熱特性など、種々の特性を調節することができる。このため、本発明のポルフィリン誘導体が適用される分野によって、置換基ORを適宜選択することができる。
【0025】
例えば、置換基ORのRが炭素数10、又は12の直鎖アルキル基であると、得られる物質が既に液状であるため、そのまま使用することが可能であり、導電性ペースト等に適している。
なお、合成時や長期保存時に凝集して固体となり易い化合物は、使用前に1度加熱して融解した後に、25℃又は26℃〜40℃で液状として使用可能である。
また、置換基ORのRが炭素数15〜18の直鎖アルキル基である誘導体は、一度融解後に加熱すると、結晶化が生じるため、例えば結晶化温度にて温度を固定する事により、分子を配向させる事が可能であると推測され、液晶性を発現させたり、ポルフィリン環を分子間で並べる事により導電性の向上が期待される。
【0026】
また、式(1)において、Mは、2H(水素原子)又はテトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物を表す。Mが2Hの場合、2つの窒素原子にそれぞれ水素原子が結合した構造をとっている。テトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物としては、機能性を制御する点から適宜選択される。テトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物としては、例えば、Ti、Co、Ni、Cu、Al、V、In、Cr、Ga、Ge、Mg、Pt、Pd、Fe、Zn等の金属原子、または、これらの酸化物もしくはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物、水酸化物等を表す。具体的には、Ti=O、AlCl、V=O、InCl、GaCl、GaOH等を挙げることができる。
なお、本発明者による特願2007−207987で示したように、ポルフィリン誘導体において、融点などの熱物性は、ポルフィリン環内の原子または化合物の種類の影響は少なく、置換基の種類の影響が大きい。
【0027】
本発明に係る液状ポルフィリン誘導体は、置換基の種類によっては、室温から熱分解温度まで液状を示す。本発明に係るポルフィリン誘導体は、置換基の種類によっては、凝固点が0℃未満となるため、0℃未満から熱分解温度までの広範囲にわたって液状を示すものもある。
また、本発明に係る液状ポルフィリン誘導体は、通常300℃以上の熱分解温度を有し、熱的安定性が高い。熱分解温度等の熱物性は、式(1)における置換基の選択により変動する。置換基の種類によっては従来のテトラフェニルポルフィリンよりも熱分解温度が高くなり、熱的安定性が高くなる。このように本発明に係る液状ポルフィリン誘導体は、熱分解温度が高いので、使用時に高温になり得るデバイスへの適用や分散媒、新規ナノマテリアル創製のための材料等としての適用が可能となる。
【0028】
本発明に係る上記式(1)で表される液状ポルフィリン誘導体は、例えば、下記式(2)で表されるアルデヒドと、ピロ−ルとを、酸触媒を用いて反応させることにより得ることができる。
【0029】
【化5】

(式(2)において、Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数が8〜18のアルキル基である。)
【0030】
上記式(2)で表されるアルデヒドとピロ−ルとを反応させる酸触媒としては、トリフルオロ酢酸を用いることが好ましい。トリフルオロ酢酸を用いる場合には、上記式(2)で表されるアルデヒドとピロ−ルとのポルフィリンへの環化反応が収率良く得られる。
【0031】
本発明に係る製造方法は、例えば次のように実施することができる。
まず、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(1等量)並びに炭酸カリウム(2.5等量)をジメチルホルムアミド(DMF)中、アルキルブロマイド(2.5等量)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌する。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビスアルコキシベンジルアルコールを得る。精製は、カラムクロマトグラフィーによる精製の代わりに、エタノール等の溶媒による再結晶により行ってもよい。
【0032】
次に、上記で得られる3,5−ビスアルコキシベンジルアルコール(1等量)並びに酸化マンガン(IV)(4等量)の混合物をクロロホルム中、無水硫酸マグネシウム存在下、窒素若しくはアルゴン下、室温にて数日間撹拌する。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)にて分離精製する事により、3,5−ビス(アルコキシ)ベンズアルデヒドを得る。精製は、カラムクロマトグラフィーによる精製の代わりに、ジクロロメタン−メタノール等の溶媒による再結晶により行ってもよい。
【0033】
次に、ピロール(1等量)並びにベンズアルデヒド誘導体(1等量)の混合物をクロロホルム中(約0.01 M)、室温にて撹拌する。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせる。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (1.5等量)を加え、室温にて一晩撹拌する。この溶液に2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1等量)を加え、更に5時間撹拌する。トリエチルアミン(1.5等量)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣をクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通す。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム-ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20-テトラキス [3,5-ビス(アルコキシ)フェニル]ポルフィリンを得る。
なお、上記反応時間や反応温度等、詳細な反応条件については適宜調節すれば良く、特に制限されない。
【0034】
また、式(1)のMが、水素原子ではない場合、テトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物、例えば、Ti、Co、Ni、Cu、Al、V、In、Cr、Ga、Ge、Mg、Pt、Pd、Fe、Zn等の金属原子、または、これらの酸化物もしくはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物、Ti=O、AlCl、V=O、InCl、GaCl、GaOH等を、ポルフィリン環に集積化するためには、液状ポルフィリン誘導体と、導入する金属塩やアセチルアセトナート等の金属錯体とを、有機溶媒中にて室温もしくは加熱して反応させて導入する。
【0035】
以上のようにして得られる本発明に係る液状ポルフィリン誘導体は、大きなπ電子共役系を有するため、電子キャリアとして使用可能であり、広くエレクトロニクス分野に応用可能である。高い電子輸送性を活かすことで、例えば、太陽電池、電気化学キャパシタ、導電性ペースト、半導体素子、アクチュエータ等として機能する可能性が考えられる。また、本発明に係るポルフィリン誘導体を用いて、新規なナノマテリアルを創製できる可能性が考えられる。また金属を選択する事により、その電気特性や光学特性を調節することが可能である。
更に、本発明に係る液状ポルフィリン誘導体は、特定の波長領域に鋭い吸収ピ−クを有すること等から、色素の他、光吸収により生じた励起状態を利用した光触媒、光ラジカル発生、光起電力、光電流など、広く、電子材料、光学材料、医療材料、表示材料等、種々の用途への応用が可能である。
【実施例】
【0036】
以下の実施例において、全ての試薬は市販品を用いて行った。ピロ−ルは減圧蒸留し、アルゴン雰囲気下で保存した。その他の試薬は精製せずに反応に用いた。精製時のシリカゲルカラムクロマトグラフィーとしては、メルク製silica gel 60を使用した。
また、HNMR、13CNMR測定は、JNM-LA400WB(JEOL製;400MHz)を用い、MALDI-TOF-MS測定は、REFLEX II(BRUKER製)又はAXIMA-CFR plus (島津製作所製)を用いた。
【0037】
(実施例1)
下記スキ−ムに従って、上記式(1)で表される液状ポルフィリン誘導体(5,10,15,20-テトラキス[3,5−ビス(アルコキシ)フェニル]ポルフィリン)を製造した。
【0038】
【化6】

i) alkylbromide, K2CO3, DMF, 90 degree; ii) MnO2, CHCl3 room temperature
【0039】
【化7】

iii) TFA, CHCl3, room temperature, then DDQ following NEt3.
【0040】
(1)3,5−ビス(オクチロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(7.017 g, 50.072 mmol)並びに炭酸カリウム(17.221 g, 0.125 mol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモオクタン(22.0 ml, 0.126 mol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(オクチロキシ)ベンジルアルコール(油状、14.150 g, 収率77.5%)を得た。
【0041】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.89 (t, J=7.2 Hz, 6H, CH3), 1.24−1.36 (m, 16H, CH2), 1.40−1.475 (m, 4H, CH2), 1.64 (t, J=6.2 Hz, 1H, OH), 1.73−1.80 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.62 (d, J=6.4 Hz, 2H, CH2O), 6.38 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.08, 22.64, 26.04, 29.23, 29.25, 29.33, 31.80 (aliphatic), 65.48, 68.06 (ether), 100.55, 105.05, 143.17, 160.54 (aromatic).
【0042】
(2)3,5−ビス(オクチロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(オクチロキシ)ベンジルアルコール(7.159 g, 19.637 mmol)並びに酸化マンガン(IV)(7.002 g, 80.541 mol)の混合物を乾燥クロロホルム45ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて分離精製する事により、3,5−ビス(オクチロキシ)ベンズアルデヒド(油状、4.720 g, 収率91.1%)を得た。
【0043】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.89 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.39 (m, 16H, CH2), 1.435−1.49 (m, 4H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.695 (t, J=2.6 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.08, 22.64, 25.99, 29.12, 29.21, 29.30, 31.79 (aliphatic), 68.44 (ether), 107.59, 108.02, 138.30, 160.76 (aromatic), 192.10 (aldehyde).
【0044】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(オクチロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.40 ml)並びに3,5−ビス(オクチロキシ)ベンズアルデヒド(1.997 g, 5.508 mmol)の混合物をクロロホルム中(450 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.62 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.991 g, 8.771 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.3 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(オクチロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色粘性固体(減圧下で固体化)、0.490 g、 収率21.7%)を得た。
【0045】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.84 (s, 2H, NH), 0.85 (t, J=6.8 Hz, 24H, CH3), 1.265−1.375 (m, 64H, CH2), 1.45−1.505 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.0 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (no matrix): m/z=1640.272 (M+).
【0046】
(実施例2)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ノニロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
(1)3,5−ビス(ノニロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.000 g, 28.543 mmol)並びに炭酸カリウム(9.883 g, 71.509 mmol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモノナン(13.6 ml, 71.166 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(ノニロキシ)ベンジルアルコール(油状、6.838 g, 収率61.0%)を得た。
【0047】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.28−1.47 (m, 24H, CH2), 1.71−1.79 (m, 5H, CH2+OH), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.61 (d, J=5.6 Hz, 2H, CH2O), 6.37 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.495 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.08, 22.65, 26.03, 29.25, 29.37, 29.52, 31.86 (aliphatic), 65.44, 68.05 (ether), 100.54, 105.03, 143.17, 160.52 (aromatic)).
【0048】
(2)3,5−ビス(ノニロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(ノニロキシ)ベンジルアルコール(6.814 g, 17.355 mmol)並びに酸化マンガン(IV)(6.042 g, 69.499 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム30ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて分離精製する事により、3,5−ビス(ノニロキシ)ベンズアルデヒド(油状、4.002 g, 収率59.0%)を得た。
【0049】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.28−1.37 (m, 20H, CH2), 1.42−1.49 (m, 4H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.70 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.09, 22.65, 25.98, 29.11, 29.24, 29.34, 29.505, 31.86 (aliphatic), 68.43 (ether), 107.58, 108.02, 138.30, 160.75 (aromatic), 192.10 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=390.53 (M+), 413.56 ([M+Na]+).
【0050】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ノニロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.45 ml)並びに3,5−ビス(ノニロキシ)ベンズアルデヒド(2.110 g, 5.402 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.239 g, 5.458 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ノニロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色固体、0.392 g, 収率16.6%)を得た。
【0051】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.85 (t, J=7.0 Hz, 24H, CH3), 1.22−1.38 (m, 80H, CH2), 1.45−1.52 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.4 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.4 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=1753.22 (M++1).
【0052】
(実施例3)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(デシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
(1)3,5−ビス(デシロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.015 g, 28.650 mmol)並びに炭酸カリウム(9.914 g, 71.733 mmol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモデカン(14.8 ml, 71.330 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(デシロキシ)ベンジルアルコール(固体、5.885 g, 収率48.8%)を得た。
【0053】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.28−1.47 (m, 28H, CH2), 1.67 (t, J=5.2 Hz, 1H, OH), 1.725−1.795 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.61 (d, J=4.8 Hz, 2H, CH2O), 6.37 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.47 (d, J=2.0 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.095, 22.66, 26.03, 29.25, 29.31, 29.37, 29.55, 29.57, 31.88 (aliphatic), 65.47, 68.06 (ether), 100.55, 105.04, 143.17, 160.53 (aromatic).
MALDI-TOF-MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=420.40 (M+), 443.39 ([M+Na]+)
【0054】
(2)3,5−ビス(デシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(デシロキシ)ベンジルアルコール(5.868 g, 13.949 mmol)並びに酸化マンガン(IV)( 5.371 g, 61.780 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム30ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて分離精製する事により、3,5−ビス(デシロキシ)ベンズアルデヒド(固体、4.882 g, 収率83.6%)を得た。
【0055】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.28−1.49 (m, 28H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.70 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.095, 22.66, 25.98, 29.11, 29.30, 29.34, 29.53, 29.55, 31.88 (aliphatic), 68.43 (ether), 107.58, 108.01, 138.29, 160.75 (aromatic), 192.10 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=418.39 (M+), 441.40 ([M+Na]+).
【0056】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(デシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.40 ml)並びに3,5−ビス(デシロキシ)ベンズアルデヒド(2.274 g, 5.432 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.230 g, 5.418 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(デシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色粘性油状物、0.391 g, 収率15.4%)を得た。
【0057】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.84 (t, J=6.6 Hz, 24H, CH3), 1.24−1.39 (m, 96H, CH2), 1.45−1.52 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.4 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=1864.92 (M+).
【0058】
(実施例4)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ウンデシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
(1)3,5−ビス(ウンデシロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.033 g, 28.779 mmol)並びに炭酸カリウム(9.887 g, 71.538 mmol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモウンデカン(16.0 ml, 71.426 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(ウンデシロキシ)ベンジルアルコール(固体、8.633 g, 収率66.9%)を得た。
【0059】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.27−1.47 (m, 32H, CH2), 1.67 (t, J=6.2 Hz, 1H, OH), 1.725−1.795 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.61 (d, J=5.6 Hz, 2H, CH2O), 6.37 (t, J=2.4 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.10, 22.67, 26.03, 29.25, 29.33, 29.38, 29.57, 29.595, 29.60, 31.90 (aliphatic), 65.47, 68.06 (ether), 100.54, 105.04, 143.17, 160.53 (aromatic).
MALDI−TOF−MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=448.68 (M+), 471.69 ([M+Na]+).
【0060】
(2)3,5−ビス(ウンデシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(ウンデシロキシ)ベンジルアルコール(8.615 g, 19.199 mmol)並びに酸化マンガン(IV)( 6.759 g, 77.746 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム40ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて分離精製する事により、3,5−ビス(ウンデシロキシ)ベンズアルデヒド(固体、7.584 g, 収率88.4%)を得た。
【0061】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.6 Hz, 6H, CH3), 1.27-1.485 (m, 32H, CH2), 1.75-1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.69 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.0 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.095, 22.67, 25.98, 29.11, 29.32, 29.34, 29.55, 29.58, 29.595, 31.895 (aliphatic), 68.43 (ether), 107.58, 108.02, 138.30, 160.75 (aromatic), 192.09 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=446.69 (M+), 469.70 ([M+Na]+).
【0062】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ウンデシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.45 ml)並びに3,5−ビス(ウンデシロキシ)ベンズアルデヒド(2.408 g, 5.390 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.222 g, 5.383 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ウンデシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色固体、0.569 g, 収率21.4%)を得た。
【0063】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.84 (t, J=7.2 Hz, 24H, CH3), 1.23−1.35 (m, 112H, CH2), 1.45−1.52 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.2 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.4 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;dithranol): m/z=1978.43 (M++1).
【0064】
(実施例5)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ドデシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
(1)3,5−ビス(ドデシロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.019 g, 28.679 mmol)並びに炭酸カリウム(9.936 g, 71.893 mmol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモドデカン(17.1 ml, 71.354 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(ドデシロキシ)ベンジルアルコール(固体、7.129 g, 収率52.1%)を得た。
【0065】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.36 (m, 32H, CH2), 1.40−1.47 (m, 4H, CH2), 1.65 (t, J=6.2 Hz, 1H, OH), 1.73−1.795 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.615 (d, J=6.4 Hz, 2H, CH2O), 6.375 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.0 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.10, 22.68, 26.04, 29.25, 29.34, 29.38, 29.575, 29.63, 29.66, 31.91 (aliphatic), 65.47, 68.06 (ether), 100.55, 105.04, 143.17, 160.54 (aromatic).
MALDI−TOF−MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=476.65 (M+), 499.65 ([M+Na]+).
【0066】
(2)3,5−ビス(ドデシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(ドデシロキシ)ベンジルアルコール(7.115 g, 14.923 mmol)並びに酸化マンガン(IV)( 5.361 g, 61.665 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム40ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて分離精製する事により、3,5−ビス(ドデシロキシ)ベンズアルデヒド(固体、4.618 g, 収率65.2%)を得た。
【0067】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.6 Hz, 6H, CH3), 1.27−1.36 (m, 32H, CH2), 1.42−1.49 (m, 4H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.695 (t, J=2.6 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.10, 22.68, 25.98, 29.11, 29.34, 29.55, 29.58, 29.62, 29.645, 31.91 (aliphatic), 68.43 (ether), 107.58, 108.01, 138.29, 160.75 (aromatic), 192.09 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): 474.65 (M+), 497.66 ([M+Na]+).
【0068】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ドデシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.40 ml)並びに3,5−ビス(ドデシロキシ)ベンズアルデヒド(2.565 g, 5.403 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3−ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.352 g, 5.956 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ドデシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色粘性油状物、0.393 g, 収率13.9%)を得た。
【0069】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.89 (t, J=6.8 Hz, 24H, CH3), 1.23−1.375 (m, 128H, CH2), 1.45−1.52 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.0 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=2089.60 (M+).
【0070】
(実施例6)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(トリデシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
【0071】
(1)3,5−ビス(トリデシロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.016 g, 28.657 mmol)並びに炭酸カリウム(9.975 g, 72.174 mmol)を乾燥DMF32ml中、1−ブロモトリデカン(18.2 ml, 71.207 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(トリデシロキシ)ベンジルアルコール(固体、7.836 g, 収率54.2%)を得た。
【0072】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.47 (m, 40H, CH2), 1.66 (t, J=5.8 Hz, 1H, OH), 1.73−1.795 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.615 (d, J=6.4 Hz, 2H, CH2O), 6.375 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.11, 22.68, 26.04, 29.25, 29.35, 29.38, 29.575, 29.60, 29.64, 29.65, 29.67, 31.915 (aliphatic), 65.47, 68.06 (ether), 100.55, 105.04, 143.17, 160.54 (aromatic).
MALDI−TOF−MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=504.84 (M+), 527.85 ([M+Na]+).
【0073】
(2)3,5−ビス(トリデシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(トリデシロキシ)ベンジルアルコール(7.820 g, 15.490 mmol)並びに酸化マンガン(IV)( 5.492 g, 63.172 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム30ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて分離精製する事により、3,5−ビス(トリデシロキシ)ベンズアルデヒド(固体、4.256 g, 収率54.6%)を得た。
【0074】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.38 (m, 36H, CH2), 1.42−1.49 (m, 4H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.695 (t, J=2.6 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.10, 22.68, 25.99, 29.12, 29.34, 29.55, 29.58, 29.64, 29.645, 29.67, 31.91 (aliphatic), 68.44 (ether), 107.58, 108.02, 138.30, 160.76 (aromatic), 192.10 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=502.81 (M+), 525.83 ([M+Na]+).
【0075】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(トリデシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.45 ml)並びに3,5−ビス(トリデシロキシ)ベンズアルデヒド(2.709 g, 5.388 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.247 g, 5.493 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(トリデシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色固体、0.458 g, 収率15.4%)を得た。
【0076】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.845 (t, J=6.8 Hz, 24H, CH3), 1.225−1.52 (m, 144H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.0 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=2201.98 (M+).
【0077】
(実施例7)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(テトラデシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
(1)3,5−ビス(テトラデシロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.017 g, 28.664 mmol)並びに炭酸カリウム(9.914 g, 71.733 mmol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモテトラデカン(16.6 ml, 71.391 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(テトラデシロキシ)ベンジルアルコール(固体、11.816 g, 収率77.4%)を得た。
【0078】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.47 (m, 44H, CH2), 1.62 (t, J=5.8 Hz, 1H, OH), 1.725−1.79 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.615 (d, J=6.0 Hz, 2H, CH2O), 6.37 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.10, 22.685, 26.04, 29.26, 29.35, 29.39, 29.575, 29.60, 29.65, 29.66, 29.67, 29.69, 31.92 (aliphatic), 65.49, 68.07 (ether), 100.56, 105.05, 143.17, 160.55 (aromatic).
MALDI-TOF-MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=532.90 (M+), 555.90 ([M+Na]+).
【0079】
(2)3,5−ビス(テトラデシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(テトラデシロキシ)ベンジルアルコール(11.805 g, 22.153 mmol)並びに酸化マンガン(IV)( 8.299 g, 95.460 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム35ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて分離精製する事により、3,5−ビス(テトラデシロキシ)ベンズアルデヒド(固体、10.488 g, 収率89.2%)を得た。
【0080】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.49 (m, 44H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.69 (t, J=2.4 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.11, 22.685, 25.99, 29.12, 29.35, 29.56, 29.59, 29.65, 29.67, 29.68, 31.915 (aliphatic), 68.44 (ether), 107.58, 108.01, 138.30, 160.76 (aromatic), 192.09 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=530.85 (M+), 553.88 ([M+Na]+).
【0081】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(テトラデシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.45 ml)並びに3,5−ビス(テトラデシロキシ)ベンズアルデヒド(2.864 g, 5.395 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.288 g, 5.674 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(テトラデシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色固体、0.594 g, 収率19.0%)を得た。
【0082】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.85 (t, J=6.8 Hz, 24H, CH3), 1.22−1.38 (m, 160H, CH2), 1.45−1.525 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.4 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;dithranol): m/z=2201.98 (M+).
【0083】
(実施例8)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ペンタデシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
(1)3,5−ビス(ペンタデシロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.008 g, 28.600 mmol)並びに炭酸カリウム(9.879 g, 71.631 mmol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモペンタデカン(20.8 ml, 71.757 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(ペンタデシロキシ)ベンジルアルコール(固体、10.167 g, 収率63.4%)を得た。
【0084】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.47 (m, 48H, CH2), 1.65 (t, J=6.0 Hz, 1H, OH), 1.73−1.795 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.615 (d, J=6.0 Hz, 2H, CH2O), 6.375 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.0 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.10, 22.68, 26.04, 29.25, 29.35, 29.39, 29.575, 29.60, 29.65, 29.66, 29.67, 29.68, 29.69, 31.92 (aliphatic), 65.48, 68.07 (ether), 100.56, 105.05, 143.17, 160.55 (aromatic).
MALDI-TOF-MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=560.99 (M+), 583.97 ([M+Na]+).
【0085】
(2)3,5−ビス(ペンタデシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(ペンタデシロキシ)ベンジルアルコール(8.009 g, 14.278 mmol)並びに酸化マンガン(IV)( 5.021 g, 57.755 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム45ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をジクロロメタン−メタノールから再結晶して精製する事により、3,5−ビス(ペンタデシロキシ)ベンズアルデヒド(結晶、7.249 g, 収率90.8%)を得た。
【0086】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.49 (m, 48H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.69 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.0 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.11, 22.685, 25.99, 29.12, 29.35, 29.56, 29.59, 29.65, 29.67, 29.68, 31.92 (aliphatic), 68.44 (ether), 107.59, 108.02, 138.30, 160.76 (aromatic), 192.10 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=558.67 (M+), 581.67 ([M+Na]+).
【0087】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ペンタデシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.45 ml)並びに3,5−ビス(ペンタデシロキシ)ベンズアルデヒド(3.005 g, 5.376 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.288 g, 5.674 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ペンタデシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色固体、0.509 g, 収率15.6%)を得た。
【0088】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.85 (t, J=6.8 Hz, 24H, CH3), 1.22−1.38 (m, 176H, CH2), 1.45−1.51 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.4 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.0 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;dithranol): m/z=2426.04 (M+).
【0089】
(実施例9)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ヘキサデシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
【0090】
(1)3,5−ビス(ヘキサデシロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.005 g, 28.579 mmol)並びに炭酸カリウム(9.994 g, 72.312 mmol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモヘキサデカン(21.5 ml, 70.342 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をエタノールから再結晶して精製する事により、3,5−ビス(ヘキサデシロキシ)ベンジルアルコール(結晶、12.344 g, 収率73.3%)を得た。
【0091】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.4 Hz, 6H, CH3), 1.225−1.47 (m, 52H, CH2), 1.62 (t, J=6.0 Hz, 1H, OH), 1.73−1.795 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.615 (d, J=6.0 Hz, 2H, CH2O), 6.375 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.0 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.11, 22.685, 26.045, 29.26, 29.36, 29.39, 29.58, 29.61, 29.66, 29.68, 29.69, 31.92 (aliphatic), 65.49, 68.07 (ether), 100.57, 105.05, 143.17, 160.55 (aromatic).
MALDI-TOF-MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=588.75 (M+), 611.72 ([M+Na]+).
【0092】
(2)3,5−ビス(ヘキサデシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(ヘキサデシロキシ)ベンジルアルコール(10.000 g, 16.978 mmol)並びに酸化マンガン(IV)( 6.013 g, 69.165 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム50ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をジクロロメタン−メタノールから再結晶して精製する事により、3,5−ビス(ヘキサデシロキシ)ベンズアルデヒド(結晶、8.819 g, 収率88.5%)を得た。
【0093】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.49 (m, 52H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.69 (t, J=2.4 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.11, 22.685, 25.99, 29.12, 29.35, 29.56, 29.59, 29.65, 29.67, 29.69, 31.92 (aliphatic), 68.44 (ether), 107.59, 108.02, 138.30, 160.76 (aromatic), 192.10 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=586.70 (M+), 609.69 ([M+Na]+).
【0094】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ヘキサデシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.45 ml)並びに3,5−ビス(ヘキサデシロキシ)ベンズアルデヒド(3.158 g, 5.380 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.229 g, 5.414 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ヘキサデシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色固体、0.630 g, 収率18.5%)を得た。
【0095】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.85 (t, J=7.0 Hz, 24H, CH3), 1.22−1.36 (m, 192H, CH2), 1.45−1.51 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.4 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;dithranol): m/z=2538.22 (M+).
【0096】
(実施例10)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ヘプタデシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
(1)3,5−ビス(ヘプタデシロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.022 g, 28.700 mmol)並びに炭酸カリウム(9.903 g, 71.654 mmol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモヘプタデカン(20.244 g, 63.325 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をジクロロメタン−エタノールから再結晶して精製する事により、3,5−ビス(ヘプタデシロキシ)ベンジルアルコール(結晶、11.860 g, 収率67.0%)を得た。
【0097】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.225−1.36 (m, 52H, CH2), 1.40−1.47 (m, 4H, CH2), 1.61 (t, J=6.0 Hz, 1H, OH), 1.725−1.795 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.62 (d, J=6.4 Hz, 2H, ArCH2O), 6.375 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.0 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.11, 22.685, 26.045, 29.26, 29.36, 29.39, 29.58, 29.60, 29.65, 29.66, 29.68, 29.69, 31.92 (aliphatic), 65.49, 68.07 (ether), 100.56, 105.05, 143.16, 160.55 (aromatic).
MALDI−TOF−MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=617.98 (M+), 640.96 ([M+Na]+).
【0098】
(2)3,5−ビス(ヘプタデシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(ヘプタデシロキシ)ベンジルアルコール(10.091 g, 16.354 mmol)並びに酸化マンガン(IV)( 6.263 g, 72.041 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム100ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をジクロロメタン−メタノールから再結晶して精製する事により、3,5−ビス(ヘプタデシロキシ)ベンズアルデヒド(固体、9.135 g, 収率90.8%)を得た。
【0099】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.48 (m, 56H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.69 (t, J=2.4 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.11, 22.685, 25.99, 29.12, 29.35, 29.56, 29.59, 29.65, 29.67, 29.69, 31.92 (aliphatic), 68.44 (ether), 107.59, 108.02, 138.30, 160.76 (aromatic), 192.10 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=615.00 (M+), 638.01 ([M+Na]+).
【0100】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ヘプタデシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.45 ml)並びに3,5−ビス(ヘプタデシロキシ)ベンズアルデヒド(3.312 g, 5.385 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.323 g, 5.828 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ヘプタデシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色固体、0.582 g, 収率16.3%)を得た。
【0101】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.885 (t, J=6.6 Hz, 24H, CH3), 1.22−1.375 (m, 208H, CH2), 1.45−1.51 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.0 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;dithranol): m/z=2650.46 (M+).
【0102】
(実施例11)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(オクタデシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
(1)3,5−ビス(オクタデシロキシ)ベンジルアルコールの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール(4.002 g, 28.557 mmol)並びに炭酸カリウム(9.930 g, 71.849 mmol)を乾燥DMF30ml中、1−ブロモオクタデカン(23.870 g, 71.597 mmol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をジクロロメタン−エタノールから再結晶して精製する事により、3,5−ビス(オクタデシロキシ)ベンジルアルコール(結晶、15.196 g, 収率82.5%)を得た。
【0103】
得られた化合物のHNMR、13CNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.8 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.47 (m, 60H, CH2), 1.615 (t, J=6.2 Hz, 1H, OH), 1.725−1.79 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.61 (d, J=6.0 Hz, 2H, ArCH2O), 6.37 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.0 Hz, 2H, arom. H).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.11, 22.685, 26.045, 29.26, 29.36, 29.39, 29.58, 29.61, 29.65, 29.665, 29.68, 29.69, 31.92 (aliphatic), 65.49, 68.07 (ether), 100.56, 105.05, 143.17, 160.55 (aromatic).
MALDI−TOF−MS (matrix;2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=645.77 (M+), 668.77 ([M+Na]+).
【0104】
(2)3,5−ビス(オクタデシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(オクタデシロキシ)ベンジルアルコール(10.007 g, 15.512 mmol)並びに酸化マンガン(IV)( 5.602 g, 64.438 mmol)の混合物を乾燥クロロホルム80ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン雰囲気下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム)にて分離精製する事により、3,5−ビス(オクタデシロキシ)ベンズアルデヒド(固体、6.392 g, 収率64.1%)を得た。
【0105】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.88 (t, J=6.6 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.49 (m, 60H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.69 (t, J=2.4 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.0 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.11, 22.685, 25.99, 29.13, 29.36, 29.56, 29.59, 29.65, 29.67, 29.69, 31.92 (aliphatic), 68.44 (ether), 107.59, 108.02, 138.31, 160.76 (aromatic), 192.10 (aldehyde).
MALDI−TOF−MS (matrix:2,5−dihydroxybenzoic acid): m/z=642.78 (M+), 665.74 ([M+Na]+).
【0106】
(3)5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(オクタデシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロール(0.45 ml)並びに3,5−ビス(オクタデシロキシ)ベンズアルデヒド(3.457 g, 5.376 mmol)の混合物をクロロホルム中(500 ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(TFA) (0.60 ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ) (1.227 g, 5.405 mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2 ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、得られた残渣についてクロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルを通した。続いてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製する事により、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(オクタデシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫色固体、0.622 g, 収率16.8%)を得た。
【0107】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.85 (s, 2H, NH), 0.86 (t, J=6.8 Hz, 24H, CH3), 1.22−1.38 (m, 224H, CH2), 1.45−1.54 (m, 16H, CH2), 1.82-1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.0 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.0 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (matrix;dithranol): m/z=2762.66 (M+).
【0108】
(比較例1)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ヘプチロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
【0109】
(1)3,5−ビス(ヘプチロキシ)ベンジルアルコ−ルの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコ−ル(6.017g,42.936mmol)並びに炭酸カリウム(114.906g,0.108mol)をジメチルホルムアミド(DMF)60ml中、1−ブロモヘプタン(20.5ml,0.130mol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(展開溶媒: ヘキサン→クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(ヘプチロキシ)ベンジルアルコ−ル(油状、9.308 g、収率64.4%)を得た。
【0110】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.89 (t, J=7.0 Hz, 6H, CH3), 1.26−1.47 (m, 16H, CH2), 1.685 (t, J=6.0 Hz, 1H, OH), 1.73−1.80 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.61 (d, J=6.0 Hz, 2H, CH2O), 6.37 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.495 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H)
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.05, 22.59, 26.00, 29.03, 29.25, 31.77 (aliphatic), 65.46, 68.07 (ether), 100.59, 105.07, 143.19, 160.55 (aromatic).
【0111】
(2)3,5−ビス(ヘプチロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(ヘプチロキシ)ベンジルアルコ−ル(9.308g,27.660mmol)並びに酸化マンガン(IV)(9.726g,0.112mol)の混合物をクロロホルム60ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて分離精製する事により、3,5−ビス(ヘプチロキシ)ベンズアルデヒド(油状、7.127g、収率77.0%)を得た。
【0112】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.90 (t, J=7.2 Hz, 6H, CH3), 1.285−1.49 (m, 16H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.98 (t, J=6.4 Hz, 4H, ArOCH2), 6.69 (t, J=2.2 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.05, 22.58, 25.95, 29.00, 29.12, 31.75 (aliphatic), 68.44 (ether), 107.60, 108.04, 138.32, 160.77 (aromatic), 192.06 (aldehyde).
【0113】
(3)5,10,15,20−テトラキス [3,5−ビス(ヘプチロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロ−ル(0.40ml)、及び3,5−ビス(ヘプチロキシ)ベンズアルデヒド(1.638g,4.897mmol)の混合物をクロロホルム中(450ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(0.54ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(1.098g, 4.837mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.1ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、クロロホルムを展開溶媒として得られた残渣をシリカゲルに通した。更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(1:1 v/v))にて精製した。最後にジクロロメタン−メタノールにて再結晶させる事により、5,10,15,20−テトラキス [3,5−ビス(ヘプチロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫粉末、0.228g、収率12.2%)を得た。
【0114】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.84 (s, 2H, NH), 0.865 (t, J=6.8 Hz, 24H, CH3), 1.25−1.40 (m, 48H, CH2), 1.45−1.53 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.2 Hz, 4H, arom. H), 7.36 (d, J=2.4 Hz, 8H, arom. H), 8.93 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (no matrix): m/z=1526.570 (M+)
【0115】
(比較例2)
実施例1と同様のスキ−ムに従って、5,10,15,20−テトラキス[3,5−ビス(ヘキシロキシ)フェニル]ポルフィリンを製造した。
【0116】
(1)3,5−ビス(ヘキシロキシ)ベンジルアルコ−ルの合成
3,5−ジヒドロキシベンジルアルコ−ル(7.004g,49.979mmol)並びに炭酸カリウム(17.266g,0.125mol)をジメチルホルムアミド(DMF)60ml中、n−ヘキシルブロミド(18.0ml,0.128mol)存在下、アルゴン雰囲気中90℃にて撹拌した。クロロホルム−水にて抽出した後、有機層を2回水で洗浄、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、濾別後に濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: ヘキサン→クロロホルム)にて精製する事により、3,5−ビス(ヘキシロキシ)ベンジルアルコ−ル(油状、10.455g、収率67.8%)を得た。
【0117】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.90 (t, J=7.2 Hz, 6H, CH3), 1.31−1.35 (m, 8H, CH2), 1.41−1.48 (m, 4H, CH2), 1.71 (t, J=6.0 Hz, 1H, OH), 1.73−1.80 (m, 4H, CH2), 3.93 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 4.61 (d, J=6.0 Hz, 2H, CH2O), 6.375 (t, J=2.6 Hz, 1H, arom. H), 6.50 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H)
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 14.01, 22.59, 25.70, 29.21, 31.56 (aliphatic), 65.45, 68.06 (ether), 100.55, 105.05, 143.18, 160.53 (aromatic).
【0118】
(2)3,5−ビス(ヘキシロキシ)ベンズアルデヒドの合成
3,5−ビス(ヘキシロキシ)ベンジルアルコ−ル(10.437g,33.836mmol)並びに酸化マンガン(IV)(13.314g,0.153mol)の混合物をクロロホルム60ml中、無水硫酸マグネシウム存在下、アルゴン下、室温にて数日間撹拌した。濾過後に濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム−ヘキサン(3: 2 v/v))にて分離精製する事により、3,5−ビス(ヘキシロキシ)ベンズアルデヒド(油状、9.420g、収率90.9%)を得た。
【0119】
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) 0.91 (t, J=7.0 Hz, 6H, CH3), 1.32−1.365 (m, 8H, CH2), 1.42−1.50 (m, 4H, CH2), 1.75−1.82 (m, 4H, CH2), 3.99 (t, J=6.6 Hz, 4H, ArOCH2), 6.70 (t, J=2.4 Hz, 1H, arom. H), 6.98 (d, J=2.4 Hz, 2H, arom. H), 9.89 (s, 1H, CHO).
13 C NMR (100.4 MHz, CDCl3): δ(ppm) 13.99, 22.57, 25.66, 29.08, 31.52 (aliphatic), 68.44 (ether), 107.59, 108.03, 138.32, 160.76 (aromatic), 192.07 (aldehyde).
【0120】
(3)5,10,15,20−テトラキス [3,5−ビス(ヘキシロキシ)フェニル]ポルフィリンの合成
ピロ−ル(0.35ml)、及び3,5−ビス(ヘキシロキシ)ベンズアルデヒド(1.515g,4.911mmol)の混合物をクロロホルム中(450ml)、室温にて撹拌した。この溶液にアルゴンを1時間バブリングさせた。続いてトリフルオロ酢酸(0.54ml)を加え、室温にて一晩撹拌した。この溶液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(1.143g, 5.035mmol)を加え、更に5時間撹拌した。トリエチルアミン(1.2ml)を添加して加水分解後に溶液を濃縮し、クロロホルムを展開溶媒として得られた残渣をシリカゲルに通した。更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒: クロロホルム−ヘキサン(3:2 v/v))にて精製した。最後にジクロロメタン−メタノ−ルにて再結晶させる事により、5,10,15,20−テトラキス [3,5−ビス(ヘキシロキシ)フェニル]ポルフィリン(赤紫粉末、0.351g、収率20.1%)を得た。
【0121】
得られた化合物のHNMR、MALDI−TOF−MSを測定したところ、下記デ−タが得られた。
1 H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS): δ(ppm) −2.84 (s, 2H, NH), 0.88 (t, J=7.2 Hz, 24H, CH3), 1.29−1.38 (m, 32H, CH2), 1.46−1.52 (m, 16H, CH2), 1.82−1.89 (m, 16H, CH2), 4.11 (t, J=6.6 Hz, 16H, ArOCH2), 6.88 (t, J=2.6 Hz, 4H, arom. H), 7.37 (d, J=2.0 Hz, 8H, arom. H), 8.94 (s, 8H, pyrrole H).
MALDI−TOF−MS (no matrix): m/z=1526.570 (M+)
【0122】
上記で得られたポルフィリン誘導体について、下記のような熱物性評価を行った。
示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)はTG/DTA同時測定装置(製品名:DTG−60A、島津製作所(株)製)を用いて、窒素雰囲気下、10K/minの昇温速度で30℃〜600℃まで測定し、2%の重量減少温度を熱分解温度とした。また示差走査熱量測定(DSC)の測定は、示差走査熱量測定装置(製品名: DSC−60、島津製作所(株)製)を用いて、窒素雰囲気下、10K/minの昇温・冷却速度で、−100℃〜100℃まで、融点(Tm)、凝固点(Tf)を測定した。単離した化合物が凝集している可能性を踏まえ、昇温及び冷却をそれぞれ3回ずつ行った。なお、比較例2については、−100℃〜170℃まで、融点(Tm)、凝固点(Tf)を測定した。 表1に結果を示す。また、例として、炭素数12のアルコキシ基が置換された誘導体と、炭素数16のアルコキシ基が置換された誘導体のDSCチャートをそれぞれ図1及び図2に示す。
【0123】
【表1】

Td:熱分解温度(2%重量減少温度)/℃
Tm:融点 (1st+2nd+3rd scan)/℃
Tc:結晶化温度 (1st+2nd+3rd scan)/℃
Tm’:結晶化後融解温度 (1st+2nd+3rd scan)/℃
Tf:凝固点 (1st+2nd+3rd scan)/℃
ND:Not determined or Not observed
br: broad peak
【0124】
熱物性評価の結果から、炭素数が8〜16のアルキル基を有するアルコキシ基が置換された実施例1〜9の誘導体は、25℃にて液状性を有することが分かった。その中において、炭素数10のアルコキシ基が置換された誘導体及び炭素数12のアルコキシ基が置換された誘導体は油状物質として得られた。炭素数8、9、11、13、14、15、及び16のアルコキシ基が置換された誘導体は、固体物質として得られたが、一度融解させる事により25℃にて液状性を発現することが分かった。これは、示差走査熱量測定(DSC)において、炭素数8、9、11、13、14、15、及び16のアルコキシ基が置換された誘導体の2回目のスキャンと3回目のスキャンでの融点(Tm)が25℃未満であって、当該2つの融点が測定誤差範囲内であることからも支持される。なお、一般に、示差走査熱量測定(DSC)において、1回目のスキャンによって得られる値は測定試料の作製法に依存する場合があるため、物質固有の熱物性は、2回目以降のスキャンによって判断される。今回の測定においては、測定試料が固体状態の場合は分子が凝縮していて1回目のスキャンでは融点が高めに測定されたが、一度融解する事により分子の凝集が抑制され、2回目以降のスキャンでは、物質固有の融点が測定されたと考えられる。炭素数が8、9、11、13、14、15、及び16のアルコキシ基が置換された誘導体は、アルキル鎖が分子間で相互作用した結果、見かけ上の分子量が増大し、固体として得られたのではないかと推定される。
【0125】
また、炭素数が17〜18のアルキル基を有するアルコキシ基が置換された実施例10〜11の誘導体は、融点(Tm)が25℃を超えて、25℃では液状を達成できないことが明らかになったが、26℃〜40℃にて液状性を有することが分かった。
【0126】
炭素数が15〜18のアルコキシ基が置換された誘導体は、25℃、又は26℃〜40℃にて液状性を有するが、より高温側に加熱する事により、結晶化温度(Tc)が観測され、その後再度融解温度(Tm’)が観測されることが明らかになった。炭素数15〜18のアルコキシ基が置換された誘導体は、炭素数8〜14のアルコキシ基が置換された誘導体に比べて、分子間での凝集がより起こり易いと推定される。
炭素数が7のアルコキシ基が置換された比較例1の誘導体及び炭素数が6のアルコキシ基が置換された比較例2の誘導体は、25℃〜40℃において固体であった。比較例1の誘導体は、DSC測定の結果からアモルファス性を有すると判断された。また、比較例2の誘導体は、結晶化温度が観測され、結晶化温度以上融点未満の温度で結晶性を有すると判断された。
実施例及び比較例の結果から、同じ置換位置で同種の置換基ORの炭素数の関係を考察すると、炭素数が小さすぎても大きすぎても、25℃や26〜40℃で液状を達成できないことが示唆された。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】実施例5で得られた、炭素数12のアルコキシ基が置換された誘導体のDSC測定のチャートを示す。
【図2】実施例9で得られた、炭素数16のアルコキシ基が置換された誘導体のDSC測定のチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される、25℃で液状のポルフィリン誘導体。
【化1】

(式(1)において、Mは、2H(水素原子)又はテトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物を表す。Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数が8〜16のアルキル基である。)
【請求項2】
下記式(1)で表される、26〜40℃で液状のポルフィリン誘導体。
【化2】

(式(1)において、Mは、2H(水素原子)又はテトラフェニルポルフィリンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合物を表す。Rは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数が17又は18のアルキル基である。)
【請求項3】
前記式(1)において、Rが、置換もしくは無置換の直鎖アルキル基である、請求項1又は2に記載の液状ポルフィリン誘導体。

【図1】
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【図2】
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