説明

液状乳製品中の分析物を測定するためのアッセイ装置

【課題】液状乳製品中の分析物を測定するためのアッセイ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、液状乳製品の毛管泳動により、液状乳製品中の分析物を測定するための試験装置に関し、第1端部及び第2端部を有し、第1端から始まり、連続して、分析する液体を精製するための膜(2)、1または数個の捕獲物質が固定されている膜(3)及び吸収性の膜(4)が固定されている固体支持体(1)を含んでいる。本発明は前記試験装置により液状乳製品中の分析物を検出及び定量化する方法及び前記試験装置を含む試験キットにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状乳製品、たとえば、乳汁中の分析物を測定するためのアッセイ装置に関する。本発明はこのアッセイ装置に基づいて、乳汁中の分析物の検出及び定量を可能とする方法及びこのアッセイ装置を含むアッセイキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、多数の国の衛生要件は、種々の物質、たとえば、牛を飼養するのに普通に用いられる、獣医の薬剤及びホルモン、の乳製品における存在の定期的な監視を必要とする。明らかな医療の理由のために、ヒトの消費を目的とする乳製品からこれらの物質を回避しなければならない。
【0003】
他の場合には、牛の飼養の実践をできるだけ効率的にするために乳汁中の外因性物質の存在を検出できるようにする試験を有することが望ましい。特に、乳汁中のホルモンのレベルの迅速な測定は、再生産のために好ましい様相を速みやかに確認することを可能とする。
【0004】
さらに他の場合には、種々の動物種の乳汁に由来する乳製品の起源を監視するための信頼でき、かつ、実践的な方法が求められる。したがって、他に比較して特定の種の乳汁特有のタンパク質の存在を同定することを可能とする方法についての探究がある。
【0005】
さらに、生物学的液体中の分析物の検出について、種々の試験が文献において既知である。これらの試験は一般的に、特異的に分析物またはこの分析物を認識する、認識剤(レセプターまたは抗体)及び、標識化剤(放射性元素、酵素、蛍光剤等)、(これらの剤をこの後に検出試薬という)を用いる検出方法を使用する。選択した要素に依存して、用語、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ラジオレセプターアッセイ(RRA)、酵素イムノアッセイ(EIA)等が用いられる。それらの一般的原理においては、これらの試験は、結果を得ることを可能にする、上述の2つの要素(検出試薬)の最小限の組み合わせを用い、その結果の値は、存在する分析物の量の指標である。
【0006】
選択した検出方法に依存して、標識化剤は、二者択一で認識剤または認識化剤によるその認識に関して、分析物もしくは分析物の類似物質に結合することができることに留意すべきである。認識剤または分析物もしくは分析物の類似物質が、本質的に標識化剤(たとえば、放射性標識化分析物)を含有する方法もある。
【0007】
乳製品のために、最も広く記載されている分析物検出試験は抗生物質の検出に関する。実際に乳牛の特定の感染症を治療するために抗生物質を用いることは周知である。
【0008】
しかしながら、明らかな医療の理由のために、ヒトの消費を意図する乳汁は、原則として、いかなる微量の抗生物質も含まないようにしなければならない。さらに、0.005I.U./ml以下のペニシリン濃度は、乳汁由来の製品、たとえば、チーズ、ヨーグルト等の生産の間に有害な作用を有することがある。
【0009】
多数の状況を想像し得る。第1の場合には、たとえば、ローリーに移す前に、農場で抗生物質の存在を検出するために、極度に迅速(5分未満)で、かつ、単純な試験を優先させるだろう。たとえば、治療のため用いた抗生物質が分かっている時及び、さらにこの試験が当該抗生物質を法的な標準で検出することを可能とする時、この種の迅速な試験を用いることも想像することができる。第2の場合には、迅速性に重きが置かれない時、すべてではないが、ほとんどの抗生物質を適法な基準で検出することが重要である。
【0010】
この理由は特定の国における法律は全く特殊な品質基準を課する。たとえば、米国の当局は、6つの下記の抗生物質の濃度が特定の値を超えないことを要求する。すなわち、ペニシリン 5ppb、アンピシリン 10ppb、アモキシリン 10ppb、クロキサシリン 10ppb、セファピリン 20ppb、セフチオファー 50ppbである。欧州連合も、それとしては、品質基準、ペニシリン 4ppb、アモキシリン 4ppb、アンピシリン 4ppb、クロキサシリン 30ppb、ジクロキサシリン 30ppb、オキサシリン 30ppb、セファピリン 10ppb、セフチオファー 100ppb、セフキノン 20ppb、ナフシリン 30ppb、セファゾリン 50ppbを課する。
【0011】
したがって、大部分の抗生物質の検出を可能とする試験に近づくことが有利である。さらに酪農産業においては、速度、感度及び扱いやすさのすべての特徴を有する試験はないので、すべてには及ばなくとも、これらの3つのパラメータの最も良い組み合わせを可能とする試験が有利であろう。
【0012】
米国特許第4,239,852号は、乳汁におけるβ−ラクタム環を有する抗生物質を検出するための微生物学的方法を記載する。この方法によると、抗生物質に高度に感受性である微生物、特にバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)の細胞部分の存在下に乳汁試料をまずインキュベートし、次に放射性元素または酵素で標識されている(「標識した」)抗生物質の存在下にインキュベートする。インキュベートは抗生物質(試料中に存在しているなら)及び標識された抗生物質を細胞部分に結合させる条件下に行う。
【0013】
インキュベート後、細胞部分を混合物から分離し、次いで洗浄する。続いて、細胞部分に結合している、標識された抗生物質の量を測定し、標準と比較する。細胞部分に結合している、標識された抗生物質の量は、分析した乳汁試料中に存在している抗生物質の濃度に反比例する。
【0014】
この方法は、特に混合物から細胞部分を分離する段階で、かなり繊細な取り扱いを必要とする。さらに、その最も鋭敏な変形においては、放射性元素(14Cまたは125I)で標識された抗生物質を用いる。この場合、乳汁中に存在するか、またはそうでない抗生物質の量の測定は、特殊な計器、たとえば、シンチレーションカウンターを必要とする。さらに、非常に少量ですら、放射性生成物を取り扱うことは、分析を行う人を完全に危険から免れさせるものではない。
【0015】
欧州特許出願第593112号は、乳汁中の抗生物質の検出を可能にする他の方法を記載する。この方法は、抗生物質感受性微生物、たとえば、バチルスサーモフィルスから単離したタンパク質を用いる。このタンパク質をさらに、酵素、たとえば、ペルオキシダーゼで標識する。
【0016】
試験は次のように進行する。乳汁試料を標識したタンパク質の存在下に管の中でインキュベートする。インキュベート後、乳汁を関連する抗生物質を壁に固定した第2の管に移す。第2のインキュベートを行ない、次いで、管の内容物を除去する。この第2の管の壁を洗浄液(この液自体を除去する)で3回洗浄し、次いで第2の管中に存在する残余を1片の吸収性の紙に移す。次いで、第2の管に着色基質を加え、第2の管をもう1度インキュベートし、次いで、発色を遅らせる溶液を加える。管の色を抗生物質の標準試料について並行して行なわれる同一の試験の色と比較する。支持体上に固定された標識されたタンパク質の量と、したがって、色の強度は、分析する乳汁試料中に存在する抗生物質の量に反比例する。
【0017】
この特許出願の例1に従って、この試験はペニシリンGを5ppbのオーダーの濃度まで検出可能とし、アモキシリン(5ppb)、アンピシリン(10ppb)、セファピリン(5ppb)及びセフチオファー(5ppb)を検出可能にする。
【0018】
しかしながら、この試験は、特に未熟な社員が行うには非常にやっかいである。全く、この試験は、液体及び残余を1つの容器から他の容器に移す工程及び多数のすすぎ工程を含む、多数の工程を含む。この試験に必要な工程の数と型を考えると、信頼できる結果を得ることは、職人の経験的なノウハウにひどく依存する。
【0019】
さらに、結果を解釈することは、並行して行なわれる2つの試験を必要とし、それにより、操作を増加させ、さらに複雑にする。
【0020】
他の型の酵素的方法も開示されており、それは乳汁中の低濃度の抗生物質の測定を可能とし〔J.M.Frere他「Antimicrobial Agents and Chemotherapy」18(4),506−510(1980)及び欧州特許第85667号及び欧州特許第468946号〕、それは、特異的な酵素、すなわちアクチノマデュラActinomaduraR39(以下、「酵素R39」という)により生産される、溶解性の細胞外D−アラニル−D−アラニンカルボキシペプチダーゼの使用に基づく。酵素R39は種々のペプチドのD−アラニル−D−アラニン基を加水分解する特異的活性を有し、特定のチオエステルも加水分解可能である。
【0021】
さらに、酵素R39はβ−ラクタム環を有する抗生物質と反応して非常に迅速に、不活性で、かつ、実質的に不可逆性である、等モル酵素−抗生物質複合体を生成する。
【0022】
この試験の最も最近の変形(欧州特許第468946号)では、予め測定された容積の調査すべき液体試料と予め測定された量の酵素R39とを、前記試料中に存在し得るβ−ラクタム抗生物質と酵素とを反応させて、不活性で、かつ、実質的に不可逆性である等モル酵素−抗生物質複合体を形成させる条件下でインキュベートする。
【0023】
続いて、前もって決定した量のチオエステル型基質と第1段階で得られた生成物とを、第1インキュベートの間に抗生物質と複合体を形成しなかった残余の酵素R39により前記基質を加水分解させる条件下にインキュベートする。
【0024】
次いで、このようにして生成したメルカプトアルカノン酸の量を、メルカプトアルカノン酸の遊離SH基との反応により着色を生成可能な試薬の助けを用いる測色アッセイにより測定する。着色の強度を、既知量の抗生物質を含有する試料から前もって確定した標準と比較する。定量測定は分光光度計における測定により行なわれる。乳汁の場合には、前もって、試料を透明にする必要があるかもしれない。
【0025】
明らかに、この試験はより少ない工程を含み、欧州特許出願第593112号に記載された試験よりも実施が簡単である。しかしながら、それは、β−ラクタム環を有する抗生物質の検出及び酵素39で得られる検出限界に制限される。たかがそれだけのものであるが、この試験は他の抗生物質レセプターと共に用いることはできず、乳汁中の他の分析物を検出するための基礎として直接には用いることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
現在の試験はいまだに種々の欠点があることを考えれば、出願人の目的は液状乳製品における検出のための新しい方法を捜すことであり、捜した方法は、好ましくは農場での収集の時に、種々の型の分析物を信頼できるように測定することを可能とするものであった。したがって、出願人は、いかなる特殊な経験的なノウハウを必要としない、限られた数の簡単な工程において、非常に迅速で信頼でき、かつ、鋭敏な結果を得ることを可能にする方法を研究した。さらに、出願人は、容易に可視的に検出でき、さらに計器測定により定量化にかけることができる結果を与える方法を研究した。
【課題を解決するための手段】
【0027】
さて、出願は、液状乳製品、特に乳汁における分析物の存在を容易に測定可能にする新規なアッセイ装置の使用に基づいて、これらの目的を達成することができることを見い出した。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のアッセイ装置の例を図示する。Aは、正面図を示す。Bは、縦断面図を示す。
【図2】本発明のアッセイ装置の例を図示する。正面図を示す。
【図3】本発明のアッセイ装置の例を図示する。正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
したがって、本発明は、乳製品の接線方向の(tangential)毛管泳動により液状乳製品中の分析物の存在を検出することを可能にするアッセイ装置を提供する。本発明によるアッセイ装置は、第1端部と第2端部を有し、次の膜、すなわち
−分析する液体を精製することを可能にする膜(2)、
−1以上の捕獲物質が固定されている膜(3)及び
−吸収性膜、
が、第1端部から始まり連続して固定されている固体支持体(1)を含み、アッセイ装置の第1端部を分析する乳製品に浸漬した後に、試料の接線方向の毛管泳動の間に、乳製品中に存在するかもしれない分析物及び実施する方法に従って用いられる検出試薬がアッセイ装置中を泳動しないようにする、乳製品中に存在する物質を膜(2)が保持することができることを特徴とする。
【0030】
本発明の特定の態様によると、本発明によるアッセイ装置がさらに、少なくとも1種の検出試薬を析出させた膜(5)を有し、この検出試薬は前記乳製品の存在で迅速に溶解化し得るものである。この特定の態様に従って、膜(5)は膜(3)の前に位置する。あるいは、それは、たとえば、装置の第1端部における膜(2)の前、または膜(2)と膜(3)の間、またはそうでなければ膜(2)の上もしくは下に位置し得る。
【0031】
本発明によるアッセイ装置に存在する異なった膜は、1つのゾーンから他のゾーンへの乳製品の連続的な泳動を保証するように互いにその末端で重なっている。
【0032】
好ましくは、膜(3)はその基部に近い方の末端が膜(2)の下に、その末梢部の末端が膜(4)の下に位置するように位置する。膜は任意に接着性プラスチックフィルム(6)に基づいて、互いに接触して固定することができる。この場合、接着性プラスチックフィルムは、アッセイ装置中の液体の泳動に影響を及ぼさないように選択される。
【0033】
接着性プラスチックフィルムでアッセイ装置を被覆するという選択は2つの利点を有する。すなわち、それは、膜の重なった点での完全な接触を保証し、保護フィルムを構成する。接着性プラスチックフィルム(6)は、膜(2),(3),(4)及び(5)を完全に被覆するかまたは個々の膜を部分的に被覆するかのいずれかであり得る。好ましくは、接着性プラスチックフィルム(6)は、アッセイ装置の膜(2)中の液体のより速みやかな泳動を可能とするために、第1端部の最初の数ミリメートルを被覆しない。
【0034】
本発明によるアッセイ装置に存在する固体支持体(1)は、ガラス製か、またはプラスチック製で、好ましくはプラスチック製である。プラスチック製の支持体の場合、その厚さは一般に0.05〜1mm、好ましくは0.1〜0.6mmである。膜は接着剤により固体の支持体(1)に固定されている。
【0035】
膜(2)は種々の型であり得る。1方では、それは乳製品に存在するかもしれない分析物及び実施した方法に従って用いられる検出試薬がアッセイ装置中を泳動することを防止する、乳製品中に存在する、物質を保持することが可能でなければならない。他方では、それは、分析物及び検出試薬のアッセイ装置中の迅速な泳動を可能とする一方で、この泳動の間のこれらの分析物と検出試薬の活性を維持しなければならない。この結果を得ることを可能とする、本発明の膜の非限定例は、Cytosep 1663及びLeukosorb LK4(Pall Gelman Sciencesから得られる)、GF/D,GF/DVA,17CHR(Whatmannから得られる)及びGF141型のガラス繊維(Alstromから得られる)である。
【0036】
好ましく用いられるLeukosorb膜は不織ポリエステル繊維から製造され、血液、尿、唾液及び脳脊髄液から得られた臨床試料から白血球を保持することを意図する。膜を横断する通過による液体のろ過により、白血球の保持は実現する。
【0037】
出願人は、予想外に、これらの型の膜は、また、本発明によるアッセイ装置に基づいて、乳製品中の分析物の検出のために非常に重要な機能、すなわち、分析物及び検出試薬の迅速な泳動を可能とすると同時に、乳製品中に存在し、前記アッセイ装置中の乳製品の接線方向の毛管迅速泳動による検出の試験の適当な機能化を防げる物質の保持を与えることを発見した。
【0038】
この機能を最良の効果まで実施するために、膜(2)は、乳製品中に存在し、分析物と検出試薬のアッセイ装置中の泳動を防げる、すべての物質の除去を可能とするのに十分に長くなければならない。
【0039】
膜(3)は1以上の捕獲物質を固定することを可能としなければならず、膜(2)の通過後、乳製品の試料の迅速な泳動を可能としなければならない。好ましくは、膜(3)はポリエステル型の非多孔性支持体上に固定されている。本発明による適切な膜の非限定例は、高毛管速度を有するニトロセルロース膜、たとえば、Hi−Flow膜(Milliporeから得られる)、好ましくは、型SXまたはSTのHi−Flow膜である。これらの膜は上記の膜(2)と組み合わせると最適の結果をもたらす。
【0040】
1以上の捕獲物質を膜(3)に固定する。固定された捕獲物質の型は、もちろん、分析物の検出のために実施する方法に依存する。捕獲物質は、アッセイ装置を泳動する液体中に存在する少なくとも1種の構成成分、たとえば、検出試薬の1種、または分析物もしくはこの分析物の類似物質と少なくとも1種の検出試薬との複合体の生成に起因する生成物または代りに2以上の検出試薬の間の複合体の生成に起因する生成物を、選択的に固定することが可能である。
【0041】
捕獲物質は検出試薬の1つでもあり得る。捕獲物質は、膜(3)の1部分またはいくつかの十分に画定された部分、たとえば、ディスクもしくは薄片またはこの出願に適当なあらゆる他のデザイン上に濃縮した形で位置している。どのようなデザインを選択したとしても、それは結果の明確な読み取りを可能としなければならない。
【0042】
寸法に関する限り、膜(3)は、実施される検出方法に従って必要な順序及び量で用いられるすべての捕獲物質を含有するのに十分に長くなければならない。
【0043】
膜(4)に用いる膜の型は、液体の先行する膜の通過後にそれを吸収または貯蔵可能であるとすれば、比較的重要ではない。膜(4)は、液体の膜(3)中の通過後にそれを吸収させるのに十分に大きいばかりでなく、実際的な観点から、アッセイ装置をより容易に取り扱うことを可能とするのに十分に大きい。
【0044】
任意に、本発明のアッセイ装置は少なくとも1種の検出試薬が析出した膜(5)を含んでいてよい。膜(5)は、乳製品の流れの通過で、検出試薬(または複数の試薬)の溶解化及び放出を可能にすると同時に、乳製品の泳動を可能にしなければならない。この目的に適切である膜の非限定例は、ガラス繊維樹脂ベースの膜、たとえば、T5NM膜(Milliporeから得られる)、F075−14膜、F075−17膜またはGF/C膜(Whatmanから得られる)、膜Cytosep 1663(Pall Gelman Sciencesから得られる)、ポリエステル繊維樹脂−ベース膜、たとえば、Accuwick膜(Pall Gelman Sciencesから得られる)、3mmセルロース系紙(Whatmanから得られる)またはRelease Matrix PT−R2型の他の膜(Advances Micro Devicesから得られる)である。ポリエステル繊維樹脂ベースの膜、たとえば、Accuwick膜を用いることが好ましい。膜(5)は、所望の量の検出試薬を支持するのに十分に長い。
【0045】
本発明によるアッセイ装置は熟練労働者に既知の方法により製造する。たとえば、市販の貼合せ機を用いてカードを製造することができる。用いられる捕獲物質をカードの組み立て前または後に溶液の形をとって膜(3)上に析出させる。これらの溶液を、バイオドット(BioDot)・インコーポレイティドからのBioJet Quanti−3000 X−Yプラットフォーム分配器のような市販の装置を用いて非常に精密に析出させることができる。これらの析出した溶液をたとえば、カードを熱空気流の下に置くことにより、直ちに蒸発させる。大規模生産のためには、ロールを製造することも可能である。続いて、所望の捕獲物質を担持するカード及びロールを細長い片に切断する。これらの細長い片の各々が本発明のアッセイ装置を構成する。
【0046】
アッセイ装置が膜(5)を含む時、検出試薬を含有する溶液中に単純に膜(5)を浸漬することにより、カード及びロールの組み立て前にその上に検出試薬を析出させることができる。代わりに、捕獲物質を膜(3)上に析出させるために用いた技術と同様な技術により、カードまたはロールの組み立て後に試薬を析出させることができる。
【0047】
本発明の1変形では、装置を2つの窓を有するプラスチックの箱に置く。水盤の形の第1の開口は膜(2)の直上に位置して検出すべき液体を収容できる。第2の窓は、膜(3)上の結果を観察させる開口窓である。この場合にはアッセイ装置は接着性プラスチックフィルム(6)を含まない。
【0048】
本発明によるアッセイ装置は液状乳製品、特に乳汁中の分析物の存在の検出を可能とする。
【0049】
結果として、本発明は同様に、本発明によるアッセイ装置及び検出試薬を用いて、液状乳製品中の分析物を検出する方法を提供し、そして、次の
a)限定した容積の乳製品と本発明によるアッセイ装置とを接触、この接触はアッセイ装置の第1端部で行なわれ、
b)乳製品中に存在するかもしれない分析物と検出試薬を徐々に膜(2)、次いで膜(3)を通過させ、及び膜(2)及び(3)により停止しない乳製品の構成成分が膜(4)で終りとなるような、アッセイ装置中の乳製品の毛管現象による接線方向の泳動及び
c)膜(3)上の固定の測定、
工程を含む。
【0050】
本発明による方法は液状乳製品、たとえば、乳汁、ホエイ、撹拌乳等中の分析物の検出を可能にする。より詳細には本発明は乳汁に存在するかもしれない分析物、たとえば、獣医の薬品、ホルモンまたはタンパク質の検出に向いている。
【0051】
本発明により用いられる検出試薬は、発明の実施の様式の機能として、数の上で及び本質的に変化でき、自体実施する検出の方法に基づく。本発明による方法は少なくとも2種の検出試薬を用いる。第1検出試薬は特異的に分析物を認識可能な認識試薬であって、以下「同定剤(identifier)」という。第2検出試薬は標識化剤であって、以下、「マーカー」という。
【0052】
選択した実施様式に依存して、特定の検出試薬が、膜(3)または膜(5)上に存在することができることに留意すべきである。検出すべき分析物及び検出及び用いる検出試薬に依存して、乳製品を本発明によるアッセイ装置と接触させる工程の前に1以上の検出試薬を加えること並びに検出試薬及び分析物または分析物の類似物質との複合体の生成を可能にするインキュベート条件下にこの混合物を維持することが必要であると分るかもしれない。選択した方法に依存して、同定剤及びマーカーは互に結合できるかまたは単独の物質であることができる。他方では、複数の同定剤及び/またはマーカーがあってもよい。
【0053】
同定剤は、この分析物またはこの分析物の類似物質を特異的に認識する能力に基づいて、捜した分析物の型の存在の検出を可能にする。それは、分析物または分析物の類似物質と選択的に安定で、かつ、本質的に不可逆性の複合体を生成できるレセプターか、または分析物もしくは分析物の類似物質と特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であってもよい。抗生物質の検出のために、同定剤は、特異的ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体または抗生物質に感受性の微生物から得られたレセプター、たとえば、バチルス種(バチルスステアロサーモフィルスバチルスズブチリスバチルスリヘニホルミス等)、ストレプトコッカス種(ストレプトコッカスサーモフィルス等)またはアクチノミセート種(アクチノマデュラR39等)から選択できる。
【0054】
本発明の好ましい態様によると、β−ラクタム環を有する抗生物質に感受性のレセプターを含む同定剤が用いられ、そのレセプターはバチルスリヘニホルミスから得られたものであって、たとえば、レセプターBlaRまたはレセプターBlaR−CTDである。タンパク質BlaRの単離及びペプチド配列はY.Zhu他の「J.Bacteriol.」1137−1141(1990)に記載され、レセプターBlaR−CTDはBlaRのカルボキシ末端領域で、その単離及びペプチド、配列は、B.Joris他の「FEMS Microbiology letters」107−114(1990)に記載されている。
【0055】
β−ラクタム環を有する抗生物質の検出のために本発明によるレセプターBlaRまたはBlaR−CTDを用いることは、今日まで用いられてきた認識剤に対して優れた利点を有する。事実、レセプターBlaR及びBlaR−CTDは、多数の抗生物質と非常に迅速に複合体化でき、既知の認識剤、たとえば、バチルスステアロサーモフィルスから得られたレセプターが必要とするよりも低いインキュベート温度で複合体化できる。
【0056】
用いる検出試薬の第2の型はマーカーであって、それは、乳製品中の分析物の存在の可視化及び直接または間接定量化を可能にする。本発明により用い得るマーカーは、粒子状、蛍光性、放射性または酵素的であることができる。粒子状マーカーを選択することが好ましくそれは、少量で存在する時ですら、迅速に検出できる可視シグナルを与える。非限定例としては、コロイド状金属粒子(プラチナ、金、銀等)、セレン、炭素、硫黄、テルルまたは他のラテックスの着色した、合成のコロイド状粒子を挙げることができる。直径1〜60nmのコロイド状金粒子が特に好ましい。それらは容易に検出可能な強いピンク−赤着色を示す。
【0057】
マーカーは、乳製品の試料中の分析物の存在をその1以上の検出試薬、分析物または分析物の類似物質との結合に基づいて測定することを可能とする。
【0058】
マーカーと検出試薬との結合は熟練労働者に既知の方法に従って行うことができる。微粒子のマーカーを用いる時、標識化は、粒子上への直接的な吸着または化学的固定腕、たとえば、ビオチン/アンチビオチン複合体の仲介を介して、間接的にいずれかによって起こり得る。この結合は、乳製品を本発明によるアッセイ装置と接触させる段階の前または乳製品の本発明によるアッセイ装置中の泳動の間のいずれかで起こる。
【0059】
本発明の1つの特定の態様によると、以後、「対照標準」という、第3の型の検出試薬が用いられる。これは分析される試料に既知の量で加える物質であって、膜(3)に固定化された特異的捕獲物質に固着する。対照標準は、その強度が分析物を定量するための対照標準として役立つバンドを与える。
【0060】
乳製品を本発明のアッセイ装置と接触させることに関する限り(方法の工程a))、それは分析すべき試料がある容器の底に本発明のアッセイ装置を入れることにより行なう。アッセイ装置を容器に本質的に垂直に、装置の第1端部が混合物と接触させるように入れる。
【0061】
プラスチックの箱に位置するアッセイ装置を用いる本発明の変形において、箱を水平に配置し、接触は、膜(2)の上に位置する水盤形の開口中に分析すべき試料のアリコートを置くことにより行なわれる。
【0062】
泳動工程b)については、本発明によるアッセイ装置を毛管現象により液体を泳動させる。本発明のアッセイ装置を毛管現象により泳動する液体は最初に膜(2)に会う。膜(2)は、乳製品中に存在するかもしれない分析物と検出試薬のアッセイ装置中の泳動を防止する、乳製品中に存在する、物質を保持することを可能にする。分析物と検出試薬は連続して、1以上の捕獲物質が固定されている膜(3)中を泳動する。
【0063】
本発明の特定の態様によると、膜(3)中の液体の泳動経路の端に位置して、先行する捕獲物質により停止しなかったすべてのマーカーを固定することができる捕獲物質を用いる。この捕獲物質は、先行する捕獲物質により与えられなかった定量的情報の完全な補足を可能とする。
【0064】
膜(3)上の固定の測定(方法の工程c))は、このゾーンにおけるマーカーの存在を単純に測定することにより行なわれる。この測定は簡単な方法で視覚的に可能である。しかしながら、観測されたシグナルの強度の正確な測定を望むなら、観測されたシグナルの強度を測定可能な計器を用いることができる。対照標準を用いる時、観測されたシグナルの強度の測定のための内部対照標準を与える特異的な捕獲物質により固定される。
【0065】
得られた結果の解釈は、実施した検出方法、すなわち用いられた検出試薬及び捕獲物質に依存する。
【0066】
以前に文献に記載された、乳汁中の分析物を検出する方法に関して、本発明による方法は次の利点がある。第1に、この方法は非常に迅速で、かつ、実施が極度に簡単である。すなわち、特殊な経験的なノウハウを必要としない本質的に2つの容易な操作工程を含む。続いて、結果の定性的及び定量的評価は即時であり、追加の操作、たとえば、検出が着色剤及び/または酵素的マーカーにより行なわれる時に必要な操作を必要としない。さらに、この方法は異なった型の分析物の検出に直接に応用できる。最後に、対照標準を用いる態様においては、1以上の対照標準試験を行なう必要なしに結果を直接に定量及び解釈できる。
【0067】
本発明は本発明によるアッセイ装置を含む、乳製品中の分析物の検出のためのアッセイキットも提供する。適当なら、本発明のアッセイキットは、乳製品をアッセイ装置と接触させる前に試料に添加するための検出試薬も含む。
【0068】
次の例は、本発明の種々の面及び態様を、しかしながら、発明の範囲を限定することなく説明する。
【実施例】
【0069】
例1.アッセイ装置の製造、一般的な手順
1.1. 膜カードの組み立て
300×76.2mmのサイズのカードを、まず最初に次の方法に従って、クラムシェル貼合せ機型の貼合せ機(BioDot,Inc.から得られる)を用いて組み立てる。
【0070】
300×76.2mmの、型ArCare 8565(Adhesive Researchから得られる)の長方形のプラスチック支持体を切り出す(固体支持体(1))。続いて、300×20mmの長方形のLeukosorb LK4膜(Pall Gelman Sciencesから得られる)(膜(2))、300×25mmの、長方形のHi−Flow SX膜(Milliporeから得られる)(膜(3))、300×40mmの長方形の3mmセルロース膜(Whatmanから得られる)(膜(4))及び300×0.8mmの長方形のAccuwick膜(Pall Gelman Sciencesから得られる)(膜(5))を切り出す。
【0071】
連続して、膜(2)及び(4)、次いで(5)、次いで(3)を貼合せ機の下の方のモールドの特定の位置に置く。接着剤で覆われた固体支持体(1)を、接着剤面を空気に暴露して、それとしては装置のカバー中に、保持する。下の方のモールドに置いた膜を貼合せ機を閉じることにより接着性の支持体と接触させる。膜を真空ポンプからの空気の吸引により正確に決まった場所に置く。真空が破れた時、固体支持体(1)とその上に固定された膜(2),(3),(4)及び(5)からなるカードを回収した。
【0072】
1.2. 膜(3)への捕獲物質の析出
膜(3)への捕獲物質の析出は例1.1.による組み立ての前または後に行なわれる。
捕獲物質を含有する水溶液を調製する。それを例1.1.で調製した膜カードの膜(3)に、BioDot,Inc.からのBioJet X−YプラットフォームQuanti 3000分配器により、析出させる。
析出した溶液を、カード全体を60℃の熱脈打ち空気流の下に1分間置くことにより直ちに蒸発させる。
【0073】
1.3. 膜(5)への標識化物質の析出
a)例1.1.による組み立ての前
標識化物質を含有する水溶液を調製する。膜(5)をこの溶液に浸漬する。続いて排水し、次に0.5×105Pa(0.5バール)の真空下、室温で1夜乾燥する。
b)例1.1.による組み立て後
例1.2.に記載された、捕獲物質の析出のための手順が続く。
【0074】
1.4. 接着性プラスチックフィルム(6)を置くこと。
部分的なカバーのための300×20mm及びすべての膜のカバーのための300×71.2mmの長方形の型ArCare 7759の接着性フィルム(Adhesive Researchから得られる)を切り出す。
例1.1.により得られたカードを貼合せ機の下の方のモールドに入れ、接着性フィルムを接着性面を空気に暴露して貼合せ機のカバー中に入れる。装置が閉じる時、接着性のプラスチックフィルムは膜カードと接触する。
【0075】
1.5. 細長い片への切断
組み立て後に得られたカードをギロチン型装置の助けまたは回転装置(BioDot,KinematicまたはAkzoから得られる)の助けで細長い片に切断する。末端の細長い片を除去すると、他の細長い片は直ぐに用いられる。
それらを保存するために、アッセイ装置を不透明な密封した容器中に乾燥剤(Silgelac、フランス)の存在下に入れる。
【0076】
1.6. プラスチックケース中の提示
2つの開口を有するプラスチックの箱にアッセイ装置を入れる。水盤の形をしている第1の開口を膜(2)の直上に位置させ、分析すべき液体の受け取りを可能にする。第2の開口は窓開口で、膜(3)上の結果を可視化させる。
【0077】
例2.酵素R39を用いる乳汁中のβ−ラクタム環を有する抗生物質の検出
2.1. 同定剤
この例において用いられる同定剤は、J.−M.Frere他の「Antimicrobial Agents and Chemo−therapy」18(4),506−510(1980)に記載された手順により得られた、Actinomadura R39により生産された、溶解性細胞外D−アラニル−D−アラニンカルボキシペプチダーゼである。
【0078】
2.2. 同定剤とマーカーとの結合
2.2.1. 同定剤のビオチン化
1mg/mlの濃度の酵素R39の水溶液250μlを500mlのHNM緩衝液(Hepes 10mM、pH8、NaCl 10mM、MgCl2 5mM)に対して24時間透析する。この酵素R39の透析溶液に対して、次いで、2mlの重炭酸塩緩衝液(0.1M重炭酸ナトリウム、pH9)及び250μlの5mg/mlの濃度を有するN−ヒドロキシスクシンイミド6−(ビオチンアミド)カプロン酸エステルの無水DMF溶液を加える。
【0079】
この溶液を、室温で光を遠ざけて、回転軸上の管について2回転/分の速度で3時間、LABINCO撹拌機(VEL、ベルギーから得られる)中で、静かに撹拌する。このようにして得られた溶液をHNM緩衝液(Hepes 100mM、pH8、NaCl 100mM、MgCl2 50mM)に対して24時間透析する。このようにして、ビオチン化酵素R39の溶液を得て、それをHNM−BSA緩衝液(Hepes 500mM、pH8、NaCl 500mM、MgCl2 250mM、BSA 10mg/ml)で1mlの緩衝液当り100μgの酵素R39の濃度まで希釈する。この溶液を−20℃で貯蔵する。
【0080】
2.2.2. マーカー
マーカーとして、0.1%のナトリウムアジドで安定化された、pH7.2の2mMのテトラホウ酸水溶液中の懸濁液の形で、直径40nmの金の粒子上に析出させたヤギ アンチ−ビオチン抗体を用いる〔British Biocellから得られる(Ref.GAB40)〕。520nmでのこれらの懸濁液の光学密度は約10で、タンパク質濃度は約24μg/mlである。
【0081】
2.2.3. ビオチン化同定剤とマーカーとの結合
迅速試験用溶液A
例2.2.1.で調製したビオチン化酵素R39溶液をHNM−BSA緩衝液(Hepes 500mM、pH8、NaCl 500mM、MgCl2 250mM、BSA 10mg/ml)で25倍に希釈する。室温で、17.5容量部のこの希釈ビオチン化酵素R39溶液、9.27容量部の酵素R39を標識するために用いる金粒子懸濁液及び6容量部の対照標準金粒子懸濁液を混合する(例2.3.参照)。
【0082】
感受性試験用溶液B
例2.2.1.で調製したビオチン化酵素R39溶液をHNM−BSA緩衝液(Hepes 500mM、pH8、NaCl 500mM、MgCl2 250mM、BSA 10mg/ml)で50倍に希釈する。室温で、17.5容量部のこの希釈ビオチン化酵素R39溶液、9.27容量部の酵素R39を標識するために用いられる金粒子懸濁液及び6容量部の対照標準金粒子懸濁液を混合する(例2.3.参照)。
【0083】
2.3. 対照標準
対照標準として、ヤギ アンチ−ウサギ免疫グロブリン抗体を析出させた、金の40nm粒子を用いる。これらの粒子は、British Biocell(Ref.GAR40)から、0.1%のナトリウムアジドで安定化した、pH7.2の2mMのテトラホウ酸ナトリウム水溶液中の懸濁液の形で得られる。520nmでのこれらの懸濁液の光学密度は約3で、タンパク質濃度は約6μg/mlである。
【0084】
2.4. 捕獲物質
2.4.1. 第1捕獲物質
炭酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH9)中に、213mgのヒトγ−グロブリン(G4386,Sigma)及び8.6mgの2−イミノ−チオラン塩酸塩(Aldrich 33056−6)を含有する8mlの溶液を25℃で1時間インキュベートする。
さらに、炭酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH9)中に、119.8mgのセファロスポリンC及び54mgの4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸スルホスクシンイミジル(sSMCC,22322 Pierce)を含有する20mlの溶液を25℃で1時間インキュベートする。
【0085】
次いで、上記で調製した2つの溶液を混合する。得られる溶液のpHを3mlのNaH2PO4 500mMを加えることにより7.1に調整し、この溶液を25℃で2時間インキュベートする。インキュベート後に得られた混合物を1lのリン酸ナトリウム緩衝液(10mM、pH7.5)に対して3回透析する。得られた溶液を0.22μmフィルターでろ過し、次いでアリコートに分割し、用いるまで−20℃で凍結する。
【0086】
使用時に、アリコートを融解し、膜に析出させる前に食品着色剤をそれらに加え、析出の正確な位置及び微量物の品質をいかなる瞬間にでも示すようにする。
第1捕獲物質は、試料中に存在する抗生物質に関して過剰に存在する遊離マーカーと結合する同定剤を固定することを可能にする。
【0087】
2.4.2. 第2捕獲物質
第2捕獲物質について、10mMリン酸ナトリウム、pH7.5において、0.5mg/mlの免疫グロブリン濃度で、ヒトγグロブリン5mg/ml緩衝液を有するウサギ免疫グロブリン溶液(Sigma I 5006)を用いる。この第2捕獲物質は、液体がアッセイ装置を泳動する時に対照標準を停止させる。
【0088】
2.5. アッセイ装置
例1.1.に記載の手順に従って組み立てた、膜(2),(3)及び(4)を含有するアッセイ装置を用いる。これらの装置の膜(3)は、基部の側に例2.4.1.に記載の捕獲物質を、そして、末端側に例2.4.2.に記載の捕獲物質を担持する。捕獲物質を例1.2.に記載の手順に従って析出させた。
【0089】
2.5.1. 試験1−迅速試験
ペニシリンGを、それぞれ、0、2、4、5、6、8及び10ppb含有する、乳汁の7つの試料を調製する。次いで、これらの溶液の各々を次のように分析する。
200μlの乳汁試料及び32.8μlの例2.2.3.で調製した溶液Aのアリコートを採取し、エッペンドルフ管に入れる。この混合物を47℃で3分間インキュベートする。次いでアッセイ装置を、アッセイ装置の第1端部が混合物と接触するようにエッペンドルフ管に垂直に入れる。混合物を、アッセンブリを47℃で2分間インキュベートしながら、アッセイ装置中を泳動させる。
【0090】
下表1は、試験した7つの試料について得られた結果を示す。0〜10の範囲の強度値を検出したバンドに対して与え、値10は最も強いバンドに与え、値0は最も強度の小さいバンドに与える。この目盛で、値6を対照標準に与える。第1検出バンドに認められるシグナルの強度は、試料中に存在するペニシリンGの量に反比例する。
【0091】
【表1】

【0092】
この例において、第1バンドが、対照標準のバンドよりも低い強度を有する時、試験は陽性と考えられる。表1に示された結果は、この試験は5分で、乳汁試料中のペニシリンGを4ppbまで検出可能とすることを示す。
【0093】
2.5.2. 試験2−感受性試験
ペニシリンGを、それぞれ、0、2、2.5、3、4及び5ppb含有する、乳汁の6つの試料を調製する。次いで、これらの溶液の各々を次のように分析する。
200μlの乳汁試料及び32.8μlの例2.2.3.で調製した溶液Bのアリコートを採取し、エッペンドルフ管に入れる。この混合物を47℃で5分間インキュベートする。次いでアッセイ装置を、アッセイ装置の第1端部が混合物と接触するようにエッペンドルフ管に垂直に入れる。混合物を、アッセンブリを47℃で2分間インキュベートしながら、アッセイ装置中を泳動させる。
【0094】
下表2は、試験した7つの試料について得られた結果を示す。0〜10の範囲の強度値を検出したバンドに対して与え、値10は最も強いバンドに与え、値0は最も強度の小さいバンドに与える。この目盛で、値6を対照標準に与える。第1検出バンドに認められるシグナルの強度は、試料中に存在するペニシリンGの量に反比例する。
【0095】
【表2】

【0096】
この例において、第1バンドが、対照標準のバンドよりも低い強度を有する時、試験は陽性と考えられる。表2に示された結果は、この試験は7分で乳汁試料中のペニシリンGを2.5ppbまで検出可能とすることを示す。
【0097】
例3.BlaRを用いる乳汁中のβ−ラクタム環を有する抗生物質の測定
この例は、保健当局より監視されるβ−ラクタム環を有する抗生物質の乳汁中における検出を説明する。この例に記載する試験は、標識化剤として役立つ、金のビーズと結合するレセプターBlaR−CTDを用い、膜が固定されている固体支持体を含むアッセイ装置の形である、支持体を用いる。
【0098】
3.1. BlaR−CTD(同定剤)と金のビーズ(マーカー)との結合
3.1.1. BlaR−CTDのビオチン化
6.6mg/mlの濃度の認識剤BlaR−CTDの溶液3.79mlをリン酸ナトリウム緩衝液20mM、pH7中に取り上げる。次いで、このBlaR−CTDの溶液に、41.71mlの重炭酸塩緩衝液(0.1M重炭酸ナトリウム、pH9)及び2.23mg/mlの同様な重炭酸塩緩衝液を含有するN−ヒドロキシスクシンイミド6−(ビオチンアミド)カプロン酸エステルの溶液2mlを加える。この溶液を周囲温度で、光を遠ざけて、回転軸上の管について、2回転/分の速度で2時間、LABINCO撹拌機(VEL、ベルギーから得られる)上で静かに撹拌する。
【0099】
2.5mlのTris緩衝液、1M、pH8の溶液を反応混合物と同じ条件下に30分間インキュベートする。このようにして得られた溶液をHNM緩衝液(Hepes 100mM、pH8、NaCl 100mM、MgCl2 50mM)に対して24時間透析する。このようにして、ビオチン化BlaR−CTDの溶液を得て、それをHNM−BSA緩衝液(Hepes 500mM、pH8、NaCl 500mM、MgCl2 250mM、BSA 10mg/ml)で1mlの緩衝液当り250μgのBlaR−CTDの濃度まで希釈する。この溶液を−20℃で貯蔵する。
【0100】
3.1.2. 標識化剤
標識化剤として、0.1%のナトリウムアジドで安定化した、pH7.2の2mMのテトラホウ酸水溶液中の懸濁液の形で、直径40nmの金の粒子上に析出させたヤギ アンチ−ビオチン抗体〔British Biocellから得られる(Ref.GAB40)〕を用いる。520nmでのこれらの懸濁液の光学密度は約10で、タンパク質濃度は約24μg/mlである。
【0101】
3.1.3. ビオチン化BlaR−CTDと金のビーズとの結合
例3.1.1.で調製したビオチン化BlaR−CTD溶液をHNM−BSA緩衝液(Hepes 500mM、pH8、NaCl 500mM、MgCl2 250mM、BSA 10mg/ml)で114.7倍に希釈する。室温で、22.5容量部のこの希釈ビオチン化BlaR−CTD溶液、7.5容量部のHNM−BSA緩衝液、9.27容量部のビオチン化BlaR−CTDを標識するために用いる金粒子懸濁液及び6容量部の対照標準金粒子懸濁液を混合する(下記例3.1.4.参照)。
【0102】
3.1.4. 独立した対照標準
この試験において、試料中に存在する抗生物質の迅速な定量化を可能とする強度のバンドを供給する対照標準物質も用いる。
この目的のために、ヤギ アンチ−ウサギ免疫グロブリン抗体を析出させた40nmの金の粒子を用いる。これらの粒子は、British Biocell(Ref.GAR40)から、0.1%のナトリウムアジドで安定化した、pH7.2の2mMのテトラホウ酸ナトリウム水溶液中の懸濁液の形で得られる。520nmでのこれらの懸濁液の光学密度は約3で、タンパク質濃度は約6μg/mlである。
【0103】
3.2. 捕獲物質
3.2.1. 第1捕獲物質−対照標準抗生物質
炭酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH9)中に、213mgのヒトγ−グロブリン(G4386,Sigma)及び8.6mgの2−イミノ−チオラン塩酸塩(Aldrich 33056−6)を含有する8mlの溶液を25℃で1時間インキュベートする。
【0104】
さらに、炭酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH9)中に、119.8mgのセファロスポリンC及び54mgの4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸スルホスクシンイミジル(sSMCC,22322 Pierce)を含有する20mlの溶液を25℃で1時間インキュベートする。
【0105】
次いで、上記で調製された2つの溶液を混合する。得られる溶液のpHを3mlのNaH2PO4 500mMを加えることにより7.1に調整し、この溶液を25℃で2時間インキュベートする。インキュベート後に得られた混合物を1リットルのリン酸ナトリウム緩衝液(10mM、pH7.5)に対して3回透析する。得られた溶液を0.22μmフィルターでろ過し、次いでアリコートに分割し、用いるまで−20℃で凍結する。
【0106】
使用時に、アリコートを融解し、膜に析出させる前に食品着色剤をそれらに加え、析出の正確な位置及び微量物の品質をいかなる瞬間にでも示すようにする。
【0107】
第1捕獲物質は、試料中に存在する抗生物質の量に関して過剰に存在する金のビーズと結合するBlaR−CTDを固定することを可能にする。
【0108】
3.2.2. 第2捕獲物質−独立した対照標準を固定することが可能な物質
第2捕獲物質について、10mMリン酸ナトリウム、pH7.5において、0.5mg/mlの免疫グロブリン濃度で、ヒトγグロブリン5mg/ml緩衝液を有するウサギ免疫グロブリン溶液(Sigma I 5006)を、用いる。この第2捕獲物質は、液体がアッセイ装置を泳動する時に独立した対照標準を停止させる。
【0109】
3.3. アッセイ装置
例1.1.に記載の手順に従って組み立てた、膜(2),(3)及び(4)を含有するアッセイ装置を用いる。これらの装置の膜(3)は、基部の側に例3.2.1.に記載の捕獲物質を、そして、末端側に例3.2.2.に記載の捕獲物質を担持する。捕獲物質を例1.2.に記載の手順に従って析出させた。
【0110】
3.4. 乳汁中の抗生物質の測定
3.4.1. 3分間試験−迅速試験
ペニシリンGを、それぞれ、0、1、2、3、4、5及び6ppb含有する、新鮮な乳汁の7つの試料を調製する。次いで、これらの溶液の各々を次のように分析する。
【0111】
200μlの乳汁試料及び45.27μlの例3.1.3.で調製した溶液のアリコートを採取し、ガラスのフラスコに入れる。この混合物を47℃で1分間インキュベートする。次いでアッセイ装置を取り、そして、アッセイ装置の第1端部が混合物と接触するようにガラスのフラスコに垂直に第2端部がガラスのフラスコの壁に残るように入れる。混合物を、アッセンブリを47℃で2分間インキュベートしながら、アッセイ装置中を泳動させる。
【0112】
下表1は、試験した7つの試料について得られた結果を示す。0〜10の範囲の強度値を検出したバンドに対して与え、値10は最も強いバンドに与え、値0は最も強度の小さいバンドに与える。この目盛で、値6を対照標準に与える。第1検出バンドに認められるシグナルの強度は、試料中に存在するペニシリンGの量に反比例する。
【0113】
【表3】

【0114】
この例において、第1バンドが、第2バンドよりも低い強度を有する時、試験は陽性と考えられる。表1に示された結果は、この試験は3分間で乳汁試料中の4ppb未満のペニシリンGを検出可能にさせることを示している。
【0115】
アッセイを同じ条件下に他のβ−ラクタム環抗生物質にも行った。3分間で行なわれるこの試験は、乳汁試料中のアモキシリンを5ppbまで、アンピシリンを5ppbまで、クロキサシリンを10ppb未満で、ジクロキサシリンを20ppb未満で、オキサシリンを20ppb未満で及びセファピリンを20ppbまで検出可能にする。
【0116】
1.3.2. 5分間試験
クロキサシリンを、それぞれ、0、2、4、6、8及び10ppb含有する、新鮮な乳汁の6つの試料を調製する。次いで、これらの溶液の各々を次のように分析する。
200μlの乳汁試料及び45.27μlの例3.1.3.で調製した溶液のアリコートを採取し、ガラスのフラスコに入れる。この混合物を47℃で3分間インキュベートする。アッセイ装置を取り、アッセイ装置の第1端部が混合物と接触するようにガラスのフラスコに垂直に、第2端部がガラスのフラスコの壁の上に残るように入れる。混合物を、アッセンブリを47℃で2分間インキュベートしながら、アッセイ装置中を泳動させる。
【0117】
下表2は、試験した6つの試料について得られた結果を示す。0〜10の範囲の強度値を検出したバンドに対して与え、値10は最も強いバンドに与え、値0は最も強度の小さいバンドに与える。この目盛で、値6を対照標準に与える。第1バンドに認められるシグナルの強度は、試料中に存在するクロキサシリンの量に反比例する。
【0118】
【表4】

【0119】
この例において、第1バンドが、第2バンドよりも低い強度を有する時、試験は陽性と考えられる。表2に示された結果は5分間で乳汁試料中の4ppbのクロキサリンまでを検出可能にする。
【0120】
アッセイを同じ条件下で他のβ−ラクタム環抗生物質にも行った。5分間で行なわれるこの試験は、乳汁試料中のペニシリンGを3ppbまで、アモキシリンを4ppbまで、アンピシリンを4ppbまで、ジクロキサシリンを8ppbまで、オキサシリンを8ppbまで、セファピリンを16ppbまで、セフチオファーを100ppbまで、セフキノンを20ppb未満で、ナフシリンを20ppbまで及びセファゾリンを60ppbまで検出を可能とする。
【0121】
この試験は乳汁ローリーがサイロにその内容物に移す前の分類試験として特に適切である。
【0122】
1.3.3. 9分間試験
セファピリンを、それぞれ、0、4、6、8、10及び12ppb含有する、新鮮な乳汁の6つの試料を調製する。次いで、これらの溶液の各々を次のように分析する。
200μlの乳汁試料及び45.27μlの例3.1.3.で調製した溶液のアリコートを採取し、ガラスのフラスコに入れる。この混合物を47℃で7分間インキュベートする。アッセイ装置を取り、アッセイ装置の第1端部が混合物と接触するようにガラスのフラスコに垂直に、第2端部がガラスのフラスコの壁の上に残るように入れる。混合物を、アッセンブリを47℃で2分間インキュベートしながら、アッセイ装置中を泳動させる。
【0123】
下表3は、試験した6つの試料について得られた結果を示す。0〜10の範囲の強度値を検出したバンドに対して与え、値10は最も強いバンドに与え、値0は最も強度の小さいバンドに与える。この目盛で、値6を対照標準に与える。第1バンドに認められるシグナルの強度は、試料中に存在するセファピリンの量に反比例する。
【0124】
【表5】

【0125】
この例において、第1バンドが、第2バンドよりも低い強度を有する時、試験は陽性と考えられる。表3に示された結果は、この試験は9分間で、乳汁試料中の6ppbまでのセファピリンの検出を可能にする。
【0126】
アッセイは、同じ条件下で他のβ−ラクタム環抗生物質にも行った。9分間で行なわれるこの試験は、乳汁試料中のペニシリンGを3ppbまで、アモキシリンを4ppbまで、アンピシリンを4ppbまで、クロキサシリンを4ppbまで、ジクロキサリンを8ppbまで、オキサシリンを8ppbまで、セフチオファーを80ppbまで、セフキノンを20ppb未満で、ナフシリンを20ppbまで及びセファゾリンを45ppbまで検出可能にする。
【0127】
9分間で行なわれるこの試験は、したがって、ヨーロッパ当局により現在監視されているすべての抗生物質の検出を可能にし、そして、これらの当局により負わされた法的限度までの検出を可能とする。
【0128】
1.3.4. 20分間試験
セフチオファーを、それぞれ、0、20、30、40、50及び60ppb含有する、新鮮な乳汁の6つの試料を調製する。次いで、これらの溶液の各々を次のように分析する。
【0129】
200μlの乳汁試料及び45.27μlの例3.1.3.で調製した溶液のアリコートを採取し、ガラスのフラスコに入れる。この混合物を47℃で18分間インキュベートする。アッセイ装置を取り、アッセイ装置の第1端部が混合物と接触し、第2端部がガラスのフラスコの壁に残るように垂直に入れる。混合物をアッセンブリを47℃で2分間インキュベートしながらアッセイ装置中を泳動させる。
【0130】
下表4は、試験した6つの試料について得られた結果を示す。0〜10の範囲の強度値を検出したバンドに対して与え、値10は最も強いバンドに与え、値0は最も強度の小さいバンドに与える。この目盛で、値6を対照標準に与える。第1検出バンドに認められるシグナルの強度は、試料中に存在するセフチオファーの量に反比例する。
【0131】
【表6】

【0132】
この例において、第1バンドが、第2バンドよりも低い強度を有する時、試験は陽性と考えられる。表4に示された結果はこの試験が20分間で乳汁試料中の30ppbまでのセフチオファーの検出を可能にする。
【0133】
したがって、この20分間試験は最近、ヨーロッパ及びアメリカの当局により監視されるすべての抗生物質を1回の試験で検出可能にし、これらの当局により課された法的限度まで検出可能にする。
【0134】
例4.プラスチックケース中のアッセイ装置の使用
例1.6.に記載したアッセイ装置を用いる。この例においては、試料とアッセイ装置と接触させることは、この目的のために設けられた水盤形開口中にインキュベートした混合物を置くことにより行なう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状乳製品の接線方向の毛管泳動による前記乳製品中の分析物の存在の検出を可能にするアッセイ装置であって、
第1端部と第2端部を有し、次の膜、
−分析した液体を精製することを可能にする膜(2)、
−1以上の捕獲物質が固定されている膜(3)及び
−吸収性の膜(4)
が、第1端部から始まり順次固定されている固体支持体(1)を含み、アッセイ装置の第1端部を分析する乳製品中に浸漬した後に、試料の接線方向の毛管泳動の間に、乳製品中に存在するかもしれない分析物及び実施する方法にしたがって用いられる検出試薬がアッセイ装置中を泳動しないようにする、乳製品に存在する物質を膜(2)が保持することができることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記膜(2)がロイコソーブ(Leukosorb)膜であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1種の検出試薬を析出させた膜(5)を更に有し、前記膜(5)は膜(3)の前に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記膜が接着性プラスチックフィルム(6)により完全または部分的に被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
【請求項5】
前記プラスチックフィルム(6)がアッセイ装置の最初の数ミリメートルを被覆していないことを特徴とする請求項4に記載のアッセイ装置。
【請求項6】
アッセイ装置が前記膜(2)の上方に水盤の形の開口及び前記膜(3)の上方に窓開口を有するプラスチックの箱の内に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアッセイ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のアッセイ装置を用いて、液状乳製品中の分析物を検出する方法であって、次の工程、
a)定められた容積の乳製品と前記アッセイ装置との接触、この接触はアッセイ装置の第1端部で行なわれ、
b)乳製品中に存在するかもしれない分析物と検出試薬を、徐々に、膜(2)、次いで膜(3)を通過させ、膜(2)及び(3)により停止しない乳製品の構成成分が膜(4)で終りとなるような、アッセイ装置の乳製品の毛管現象による接線方向の泳動、及び
c)膜(3)上の固定の測定
を含む方法。
【請求項8】
前記検出試薬が、前記分析物またはこの分析物の類似物質を特異的に認識可能な少なくとも1種の物質及び少なくとも1種の標識化剤を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記分析物またはこの分析物の類似物質を特異的に認識可能な少なくとも1種の物質を少なくとも1種の標識化剤と反応させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記標識化剤が、蛍光性、粒子状、放射性、発光性または酵素的であることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の検出試薬を工程a)の前に加えることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程a)の前に調製された混合物を、少なくとも1種の前記検出試薬が前記分析物またはこの分析物の類似物質と安定で、かつ、本質的に不可逆的な複合物を形成することを可能にするインキュベート条件下に維持することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記検出試薬がさらに少なくとも1種の対照標準物質を含むことを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記分析物が、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリンまたはクロルテトラサイクリンであることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記分析物が、第1に液状乳製品の外因性タンパク質、または、第2に、乳製品の内因性タンパク質であることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記分析物がβ−ラクタム環である抗生物質であることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記分析物を、ベンジルペニシリン(ペニシリンG)、アンピシリン、アモキシリン、カルベニシリン、メチシリン、クロキサシリン、6−APA、モノラクタム、アズトレオナム、メシリナム、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、ニトロセフィン、セファトキシム、デフロキシム、セフチオファー、セファピリン、7−ACAからなる群から選択することを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記分析物または前記分析物の類似物質を特異的に認識可能な物質を、前記分析物または前記分析物の類似物質と安定で、かつ、本質的に不可逆性の複合体を形成可能なレセプター及び前記分析物または前記分析物の類似物質に特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体から選択することを特徴とする請求項8〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記分析物または前記分析物の類似物質を特異的に認識可能な物質が、バチルス種、ストレプトコッカス種またはアクチノミセテス種から得られたレセプター、たとえば、バチルス種、ストレプトコッカス種またはアクチノミセート種から得られたレセプターであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記分析物または前記分析物の類似物質を特異的に認識可能な物質が、バチルス・リヘニホルミスから得られた、β−ラクタム環を有する抗生物質に感受性のレセプターであることを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
β−ラクタム環を有する抗生物質に感受性で、かつ、バチルス・リヘニホルミスから得られたレセプターがレセプターBlaRまたはレセプターBlaR−CTDであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
カードを、接着剤で被覆した固体支持体(1)と膜から貼合せ機により製造し、捕獲溶液を膜(3)上に析出させ、次いで、カードを、細長い片に切断し、これらの細長い片の各々がアッセイ装置を構成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアッセイ装置を製造する方法。
【請求項23】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のアッセイ装置を含むアッセイキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−133877(P2009−133877A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74530(P2009−74530)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【分割の表示】特願2000−515181(P2000−515181)の分割
【原出願日】平成10年10月6日(1998.10.6)
【出願人】(506159220)ネオゲン コーポレイション (1)