説明

液状凍結防止剤供給装置及び液状凍結防止剤供給方法

【課題】路面への埋設工事が不要であり、長距離区間の路面へ設置が可能であると共に、単数の本体で複数の散布手段を制御可能な液状凍結防止剤供給装置を提供すること。
【解決手段】各種外部状況を検出するセンサー部と、液状凍結防止剤を貯留する貯留タンク部と、噴射ノズル部を介して液状凍結防止剤を路面へ供給する路面供給部と、前記センサー部の検出結果に応じて循環タンクから路面供給部へ供給する液状凍結防止剤の圧力及び前記路面供給部の噴射電動弁の開放時間及び開放間隔を制御する液供給制御部とを備えた液状凍結防止剤供給装置であって、前記路面供給部は、封入ガスを有する蓄圧式貯留タンクと噴射圧力調整器と噴射電動弁とを備え、この蓄圧式貯留タンク内に加圧状態で貯留された液状凍結防止剤を噴射電動弁及び噴射ノズル部を介して、路面に噴射供給するので、長距離区間の路面へ設置が可能であると共に、単数の本体で複数の散布手段を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積雪寒冷地において、路面が滑り易い雪氷状態になるのを防止する為、路面に対して液状凍結防止剤を供給する液状凍結防止剤供給装置及び液状凍結防止剤供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した従来の液状凍結防止剤供給装置として、例えば、特許文献1に記載されたように、多孔質道路に小孔を多数有するパイプを埋め、このパイプに液状凍結防止剤をポンプで圧送して路面へ液状凍結防止剤を滲み出させることにより、路面が滑り易い雪氷状態になるのを防止するものが提案されている。
また、他の例として特許文献2に記載されたように、複数の吹き出し口を有するノズルを露出させて道路に埋めたり、または、複数の吹き出し口を有するノズルを道路に沿って設置し、このノズルにパイプを介して液状凍結防止剤を、ポンプで圧送して路面へ散布するのを各センサーの出力に基づいて制御盤ユニットで制御することにより、路面が滑り易い雪氷状態になるのを防止する液状凍結防止剤供給装置が提案されている。
さらに、特許文献3に記載されたように、各センサーの出力に基づいて演算制御装置でポンプを制御することにより、パイプを介して液状凍結防止剤をポンプで圧送して路面へ供給することにより、路面が滑り易い雪氷状態になるのを防止する液状凍結防止剤供給装置が提案されている。
また、特許文献4に記載されたように、内部に貯留室が設けられたマットに吹き出しノズルを設けるとともに、貯留タンクから貯留室側へのみ液状凍結防止剤を、パイプを介して供給できる構成とし、道路に埋めたマット上を車両のタイヤが通過することによって吹き出しノズルから液状凍結防止剤を路面へ吹き出させることにより、路面が滑り易い雪氷状態になるのを防止する液状凍結防止剤供給装置が提案されている。
さらに、特許文献5に記載されたように、開放した上面を露出させて道路に埋めた滲み出し部に、貯留補助タンクとの高低差によって液状凍結防止剤を、パイプを介して供給して路面へ滲み出させることにより、路面が滑り易い雪氷状態になるのを防止する液状凍結防止剤供給装置が提案されている。
また、特許文献6には、貯蔵タンク内の防氷剤を圧送する供給装置と、散布量、散布時期を調整する散布装置と、上面が路面に露出するように埋設された散布ノズルを備えた散布ユニットとを備え、圧送された防氷剤を路面に散布する無人運転が可能な路面の凍結防止及び氷雪融解システムが提案されている。
また、特許文献7には、ピストン・シリンダーの散布噴射器により、液体状の凍結防止剤を水鉄砲のように噴出して路面に散布する凍結防止方法及び装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−54320号公報
【特許文献2】特開平8−81929号公報
【特許文献3】特開平9−143948号公報
【特許文献4】特開平10−54006号公報
【特許文献5】特開2000−319838号公報
【特許文献6】特開平10−280352号公報
【特許文献7】特開2006−207167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1、2、3、4、5、6に記載されたように、路面に液状凍結防止剤を供給する為の供給口を、道路に多孔質のパイプ、ノズル、マット及び滲み出し部等を埋設、或いは各種検知器を路面内に埋設する方式では、埋設工事費を必要とし、路面の耐久性を低下させ、路面の維持管理に多額の費用を要するばかりではなく、移設及び一時的な撤去も容易に行なうことが出来ない。
これを解決する手段として、特許文献7に記載されたように、土木工事を必要とせず、均一な散布が可能なピストン・シリンダー式の噴射散布方式が提案された。
【0005】
ところが、散布装置を積載した車両による路面全面散布を行う移動散布方式と異なり、特許文献7に記載されたような定位置設置の散布装置では、車両のタイヤによる液状凍結防止剤の引きずり及び拡散範囲には限界がある上に、長距離区間の路面への対応が出来ないと云う問題点が存在した。
また、これを解決する手段として、前記引きずり及び拡散範囲の限界毎に、複数台の散布装置を配置する方法が考えられるが、多大な費用を必要とする。
更に、凍結防止剤貯留タンクも含めた大掛かりな装置を配置することのできないトンネル内、橋梁上、景観、視界確保等が必要な箇所及びその他の設置スペースが狭小な箇所への適用は困難である。例え、設置スペースが確保できたとしても、容易に立ち入ることの出来ない、また停車作業が許されない自動車専用道路等においては、貯留タンクへの液状凍結防止剤の補給作業が困難である。
また、路面管理の必要性の変化に応じて、液状凍結防止剤供給装置の移設、増設及び撤去等を行う場合は、新たな設置スペースの確保が必要であるとともに、多大な費用が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は各種外部状況を検出するセンサー部と、液状凍結防止剤を貯留する貯留タンク部と、噴射ノズル部を介して液状凍結防止剤を路面へ供給する路面供給部と、前記センサー部の検出結果に応じて循環タンクから路面供給部へ供給する液状凍結防止剤の圧力及び前記路面供給部の噴射電動弁の開放時間及び開放間隔を制御する液供給制御部とを備えた液状凍結防止剤供給装置であって、前記路面供給部は、封入ガスを有する蓄圧式貯留タンクと噴射圧力調整器と噴射電動弁とを備え、この蓄圧式貯留タンク内に加圧状態で貯留された液状凍結防止剤を噴射電動弁及び噴射ノズル部を介して、路面に噴射供給することを特徴としている。
【0007】
また、本願発明において、前記貯留タンク部は、液状凍結防止剤の貯留タンクとポンプを備え、前記液供給制御部は、供給制御部及び供給装置部を備え、前記路面供給部は、噴射圧力調整器と逆流防止弁と噴射電動弁と蓄圧式貯留タンクを備え、前記噴射ノズル部は、噴射用ノズルと自在継ぎ手と逆流防止弁を備え、それぞれ分離配置された液供給制御部と貯留タンク部及び路面供給部は、送液管と制御配線で接続し、分離配置された路面供給部と噴射ノズル部は送液管で接続したことを特徴とする。
【0008】
また、本願発明において、前記噴射ノズル部は、噴射方向を調整できる自在継ぎ手と、液垂れを防止する逆流防止弁とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本願発明において、前記前記路面供給部は、一噴射工程に十分な液状凍結防止剤量を蓄液する蓄圧式貯留タンクを備え、前記液供給制御部から蓄圧式貯留タンクへの液状凍結防止剤の補給は、噴射用ノズルからの噴射を停止し、噴射電動弁の閉じた間に行い、1組の貯留タンク部と液供給制御部に対して、複数の路面供給部及び噴射ノズル部を接続及び制御することを特徴とするものである。
【0010】
また、本願発明は、前記液状凍結防止剤供給装置を使用した液状凍結防止剤供給方法であって、液状凍結防止剤として酢酸カリウム水溶液又は酢酸カリウム水溶液に多価アルコールを添加したものを用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明は前記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0012】
本願発明では、各種外部状況を検出するセンサー部と、液状凍結防止剤を貯留する貯留タンク部と、噴射ノズル部を介して液状凍結防止剤を路面へ供給する路面供給部と、前記センサー部の検出結果に応じて循環タンクから路面供給部へ供給する液状凍結防止剤の圧力及び前記路面供給部の噴射電動弁の開放時間及び開放間隔を制御する液供給制御部とを備えた液状凍結防止剤供給装置であって、前記路面供給部は、封入ガスを有する蓄圧式貯留タンクと噴射圧力調整器と噴射電動弁とを備え、この蓄圧式貯留タンク内に加圧状態で貯留された液状凍結防止剤を噴射電動弁及び噴射ノズル部を介して、路面に噴射供給するので、蓄圧式貯留タンクから噴射用ノズルまでの距離を短くできるので、噴射に際しての圧力損失が少なく、高低差のある場所であっても、効率的に液状凍結防止剤を散布できる。また、貯留タンク部と液供給制御部に対して、路面供給部と噴射ノズル部を遠距離に設置しても、迅速に応答して散布することができる。
更に、路面に噴射により供給する圧力噴射方式を用いたので、設置の際に路面に対する土木工事を必要とせず、路面の耐久性を低下させることが無く、路面の維持管理費用を抑えることができる。
【0013】
また、本願発明において、前記貯留タンク部は、液状凍結防止剤の貯留タンクとポンプを備え、前記液供給制御部は、供給制御部及び供給装置部を備え、前記路面供給部は、噴射圧力調整器と逆流防止弁と噴射電動弁と蓄圧式貯留タンクを備え、前記噴射ノズル部は、噴射用ノズルと自在継ぎ手と逆流防止弁を備え、それぞれ分離配置された液供給制御部と貯留タンク部及び路面供給部は、送液管と制御配線で接続し、分離配置された路面供給部と噴射ノズル部は送液管で接続したので、貯留タンク部を液状凍結防止剤を補充する際の作業が容易な場所に設置し、液供給制御部を点検作業の容易な場所に設置し、路面供給部と噴射ノズル部のみを道路や橋梁やトンネル坑口等の凍結し易い場所に設置することができる。
したがって、狭小なスペースであっても噴射ノズル部或いは噴射ノズル部と路面供給部の設置が可能であれば、トンネル内、橋梁上、景観保護や視界を確保する必要のある場所であっても、本願発明の液状凍結防止剤供給装置を設置することができる。
【0014】
また、本願発明において、前記噴射ノズル部は、噴射方向を調整できる自在継ぎ手と、液垂れを防止する逆流防止弁とを備えたので、液状凍結防止剤の噴射方向を微細に調整することができる。
【0015】
また、本願発明において、前記路面供給部は、一噴射工程に十分な液状凍結防止剤量を蓄液する蓄圧式貯留タンクを備え、前記液供給制御部から蓄圧式貯留タンクへの液状凍結防止剤の補給は、噴射用ノズルからの噴射を停止し、噴射電動弁の閉じた間に行い、1組の貯留タンク部と液供給制御部に対して、複数の路面供給部及び噴射ノズル部を接続及び制御するので、液供給制御部の送液ポンプ容量を増加することなく、路面供給部及び噴射ノズル部の増設が可能である。
また、路面供給部の個々に、液量調整機能を持っている為、路面供給部間の設置位置の高低差及び液供給部との設置距離の長短の影響を排除し、路面に適度且つ適量の液状凍結防止剤の供給を可能である。更に、噴射ノズル部の個々に、噴射目標位置の調整が可能であるため、種々の路面及び様々な路面勾配への適用が可能である。
【0016】
また、本願発明において、前記液状凍結防止剤供給装置を使用した液状凍結防止剤供給方法は、液状凍結防止剤として酢酸カリウム水溶液又は酢酸カリウム水溶液に多価アルコールを添加したものを用いるので、吸湿性に富み、乾燥した環境条件下でも、結晶の析出による噴射用ノズルの詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本願発明に係る液状凍結防止剤供給装置の一実施例を道路へ配置した状態を示す説明図である。
【図2】図2は、同液状凍結防止剤供給装置の全体構成を示す説明図である。
【図3】図3は、同液状凍結防止剤供給装置において図外の貯留タンクから循環タンクへ液状凍結防止剤を補給する状態を示す要部説明図である。
【図4】図4は、同液状凍結防止剤供給装置において循環タンクから加圧送液ポンプにより蓄圧式貯留タンクへ液状凍結防止剤を補給する状態を示す要部説明図である。
【図5】図5は、同液状凍結防止剤供給装置において蓄圧式貯留タンクへの補給が完了し、送液圧力調整器から循環タンクへ環流する状態を示す要部説明図である。
【図6】図6は、同液状凍結防止剤供給装置において噴射電動弁を開放し、噴射用ノズルから液状凍結防止剤を噴射した状態を示す要部説明図である。
【図7】図7は、同液状凍結防止剤供給装置において噴射電動弁を閉鎖後、蓄圧式貯留タンクへ再度液状凍結防止剤が補給される状態を示す要部説明図である。
【図8】図8は、同液状凍結防止剤供給装置において、路面へ液状凍結防止剤を散布する必要がなくなった場合を示す要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、液状凍結防止剤を貯留する貯留タンク部と、噴射ノズル部を介して液状凍結防止剤を路面へ供給する蓄圧式貯留タンクを有する路面供給部と、貯留タンク部及び路面供給部を制御する液供給制御部とを備え、それぞれを送液管と制御配線で接続したので、蓄圧式貯留タンクから噴射用ノズルまでの距離を短くできるとともに貯留タンク部及び液供給制御部を任意の位置に設置でき、噴射の際の圧力損失が少なく、高低差のある場所であっても、効率的に液状凍結防止剤を散布できる液状凍結防止剤供給装置を実現した。
【実施例】
【0019】
以下、一実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明に係る液状凍結防止剤供給装置の一実施例を道路へ配置した状態を示す説明図、図2は本発明の液状凍結防止剤供給装置の全体構成を示す説明図である。ここで、液状凍結防止剤供給装置は、各種外部状況を検出するセンサー部26と、液状凍結防止剤を貯留する貯留タンク部1と、噴射ノズル部4を介して液状凍結防止剤33を路面へ供給する路面供給部3と、前記センサー部26の検出結果に応じて循環タンク12から路面供給部3へ供給する液状凍結防止剤の圧力及び前記路面供給部3の噴射電動弁23の開放時間及び開放間隔を制御する液供給制御部2とを備えたものであって路面供給部3は、封入ガスを有する蓄圧式貯留タンク24と噴射圧力調整器21と噴射電動弁23とを備えている。
【0020】
貯留タンク部1は、液状凍結防止剤33を収容する貯留タンク16と、液状凍結防止剤33の残量を検出するタンク液量計101と、貯留タンク16内の液状凍結防止剤を送液管7を介して循環タンク12へ給送するポンプ17等を備えている。また、タンク液量計101及びポンプ17は、それぞれ制御配線102で液供給制御部2と接続されている。つまり、貯留タンク部1と液供給制御部2とは、送液管7と制御配線102のみで接続されている。したがって、自由な距離間隔で設置することができる。
【0021】
液供給制御部2は、供給制御部10と供給装置部11とから構成されており、供給制御部10は、装置全体を制御する頭脳部に該当し、路面上を通過する車輌を検出する車両通過検知センサー29及び外気温度を検出する気温センサー30等から成るセンサー部26と接続されている。また、供給制御部10には、液状凍結防止剤33の残量等を表示する表示灯31を含む動作表示部27が接続されている。更に、携帯電話32等からの外部信号を受信する通信部28を備えている。
【0022】
供給装置部11は、貯留タンク16から給送された液状凍結防止剤33を貯留する循環タンク12と、循環タンク内の液状凍結防止剤を送液圧力調整器14等を介して路面供御給部3へ給送する加圧送液ポンプ13等を備えている。また、循環タンク12は、循環タンク液量計15を備えており、循環タンク内の液状凍結防止剤残量を供給制御部10に送信する。また、送液圧力調整器14は、加圧送液ポンプ13からそれぞれの路面供給部3へ給送する液状凍結防止剤の圧力を供給制御部10の指示に従って調整する。
【0023】
路面供給部3は、送液管8から蓄圧式貯留タンク24に給送される液状凍結防止剤の圧力を調整する噴射圧力調整器21と、内部に封入ガスを有する蓄圧式貯留タンク24と、蓄圧式貯留タンク24から噴射ノズル部4への管路を供給制御部10からの信号で開閉する噴射電動弁23を備えている。そして、各路面供給部3は、液供給制御部2と制配線25及び送液管8のみで接続されている。したがって、液供給制御部2と路面供給部3との設置間隔を自由に設定することができる。
【0024】
噴射ノズル部4は、液状凍結防止剤33を路面上に噴射する噴射用ノズル18と、噴射用ノズル18の噴射角度を調整する自在継ぎ手19と、噴射用ノズル18からの液だれを防止する逆流防止弁20等から構成されている。逆流防止弁20は、特に、送液管9の内圧変動による管収縮に起因する噴射用ノズル18からの液だれを防止する。また、路面供給部3と噴射ノズル部4とは、送液管9のみで接続されている。
【0025】
本発明に使用する液状凍結防止剤33として、特に、乾燥した環境条件でも吸湿性に富み、結晶の析出がなくノズル詰まりを防止出来る酢酸カリウム(CHCOOK)水溶液又は酢酸カリウム水溶液に多価アルコールを1wt%以上添加したものが使用される。この液状凍結防止剤は、塩素成分を全く含まないので、橋梁や道路内の鉄筋や環境へ悪影響を与える虞れがない。また、散布したこの液状凍結防止剤は、微生物による生物分解が可能であり、地球環境への影響が小さい。
【0026】
図1に示すように1台の貯留タンク部1、液供給制御部2に対して複数の路面供給部3と噴射ノズル部4を道路の所定間隔、所定範囲に設置することができる。設置間隔、設置範囲は環境条件及び自然条件によって決定される。
【0027】
以上のように構成された本発明に係る液状凍結防止剤供給装置の具体的動作について、図3〜図8に基づいて説明する。図中で説明に不要な部分は記載を省略するとともに液状凍結防止剤33の流れは、白抜き矢印で表示している。図3は、本発明の液状凍結防止剤供給装置において図外の貯留タンクから循環タンク12へ液状凍結防止剤33を補給する状態を示す要部説明図である。図3は、循環タンク12内の液状凍結防止剤33が使用されて、循環タンク液量計15が残量が少なくなったと判断した場合に図外の供給制御部10がポンプ17を駆動し、送液管7を介して、図外の貯留タンク16から液状凍結防止剤33を白抜き矢印方向に給送する。
【0028】
図4は、図外の供給制御部10によって循環タンク12内の液状凍結防止剤33が加圧送液ポンプ13、送液圧力調整器14、送液管8を介して路面供給部3へ給送される状態を示す。この時、路面供給部3の蓄圧式貯留タンク24内の封入ガス圧力34は低下しており、蓄圧式貯留タンク24内へ噴射圧力調整器21、逆流防止弁22を介して液状凍結防止剤33が蓄液される。液状凍結防止剤33の流入に伴って、蓄圧式貯留タンク24内部の黒塗り矢印で示される封入ガス圧力34が上昇する。そして、蓄圧式貯留タンク24内部の液状凍結防止剤33及び封入ガス圧力34と噴射圧力調整器21の設定圧力が等しくなると、蓄圧式貯留タンク24への液状凍結防止剤33の流入が停止する。
【0029】
図5は、蓄圧式貯留タンク24への液状凍結防止剤33の流入が停止した後の状態を示し、加圧送液ポンプ13で送液された液状凍結防止剤33は、噴射圧力調整器21方向へ流れることなく、送液圧力調整器14を介して循環タンク12へ戻る循環経路へ切り替わる。つまり、白抜き矢印方向へ循環する。
【0030】
図6は、図外の供給制御部10からの信号に基づき、噴射電動弁23が開成され、蓄圧式貯留タンク24内に蓄液された液状凍結防止剤33が逆流防止弁22の働きにより、送液管8へ戻ることなく、噴射電動弁23、送液管9を介して噴射ノズル部4へ圧送され、噴射用ノズル18から路面上へ噴射される。この際の噴射方向、噴射角度は、自在継ぎ手19によって調整される。
【0031】
図7は、液状凍結防止剤33が噴射用ノズル18から路面へ噴射された後、蓄圧式貯留タンク24内の封入ガス圧力34が低下し、噴射圧力調整器21の設定圧力より低くなることにより、供給装置部11から液状凍結防止剤33の供給が再開された状態を示すものである。図7に示す状態で液状凍結防止剤33の供給が続き、蓄圧式貯留タンク24内の液状凍結防止剤33及び封入ガス圧力34と噴射圧力調整器21の設定圧力が等しくなると、蓄圧式貯留タンク24への液状凍結防止剤33の流入が停止し、図5に示す噴射用ノズル18の噴射可能状態となる。そして、順次、図6、図5、図7に示す状態を繰り返すこととなる。
【0032】
図8は、液状凍結防止剤33の路面への供給がもはや不要となった場合の状態を示し、図外の加圧送液ポンプ13の停止に伴い、液状凍結防止剤33の移動も停止する。
【0033】
以上のような、一連の噴射用ノズル18からの液状凍結防止剤の噴射により、循環タンク12内の液状凍結防止剤が減少した場合、循環タンク液量計15により液量を検出し、供給制御部10からの制御信号により貯留タンク部1から送液管7を介して循環タンク12へ液状凍結防止剤を補給する。
また、噴射ノズル部4より路面へ供給される液状凍結防止剤33の液量は、噴射圧力調整器21により調整された圧力、噴射電動弁23の開放時間及び噴射用ノズル18の仕様等により決定される。
【0034】
噴射ノズル部4において、路面供給部3より送液管9を介して送液された液状凍結防止剤33は、噴射用ノズル18からの液だれを防止する逆流防止弁20及び噴射角度調整用の自在継ぎ手19が組み込まれている。路面への噴射位置の調整は、自在継ぎ手19により噴射用ノズル18の噴射方向、噴射角度を調整して達成される。
【0035】
本発明は、以上説明したよう貯留タンク部と液供給制御部の一組に対して、路面供給部及び噴射ノズル部をそれぞれ複数台、接続可能であり、且つ制御可能としたことにより、液状凍結防止剤の引きずり及び拡散効果の限界毎に、路面供給部及び噴射ノズル部をそれぞれ配置することが可能である。また、送液管と制御配線という必要最少限の接続で作動可能としたので、複数台の液状凍結防止剤散布装置を配置することに較べ安価である。さらに、路面供給部の個々に、液量調整機能を備えたので、路面供給部間の設置位置の高低差及び液供給部との設置距離の長短の影響を排除し、路面に適度且つ適量の液状凍結防止剤の供給が可能である。また、噴射ノズル部の個々に、噴射目標位置の調整が可能であるため、種々の路面及び様々な路面勾配への適用を可能にすることができる。さらに、路面工事の不要化、路面供給部と噴射ノズル部の小型化及び装置間接続の簡素化等により、路面管理の必要性の変化に応じて、移設、増設及び撤去等ができ、工事費を低減することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 貯留タンク部
2 液供給制御部
3 路面供給部
4 噴射ノズル部
5 噴射された液状凍結防止剤
6 引きずり及び拡散範囲
7 送液管
8 送液管
9 送液管
10 供給制御部
11 供給装置部
12 循環タンク
13 加圧送液ポンプ
14 送液圧力調整器
15 循環タンク液量計
16 貯留タンク
17 ポンプ
18 噴射用ノズル
19 自在継ぎ手
20 逆流防止弁
21 噴射圧力調整器
22 逆流防止弁
23 噴射電動弁
24 蓄圧式貯留タンク
25 制御配線
26 センサー部
27 動作表示部
28 通信部
29 車両通過検知センサー
30 気温センサー
31 表示灯
32 携帯電話
33 液状凍結防止剤
34 封入ガス圧力
101 タンク液量計
102 制御配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種外部状況を検出するセンサー部と、液状凍結防止剤を貯留する貯留タンク部と、噴射ノズル部を介して液状凍結防止剤を路面へ供給する路面供給部と、前記センサー部の検出結果に応じて循環タンクから路面供給部へ供給する液状凍結防止剤の圧力及び前記路面供給部の噴射電動弁の開放時間及び開放間隔を制御する液供給制御部とを備えた液状凍結防止剤供給装置であって、
前記路面供給部は、封入ガスを有する蓄圧式貯留タンクと噴射圧力調整器と噴射電動弁とを備え、この蓄圧式貯留タンク内に加圧状態で貯留された液状凍結防止剤を噴射電動弁及び噴射ノズル部を介して、路面に噴射供給することを特徴とする液状凍結防止剤供給装置。
【請求項2】
前記貯留タンク部は、液状凍結防止剤の貯留タンクとポンプを備え、前記液供給制御部は、供給制御部及び供給装置部を備え、前記路面供給部は、噴射圧力調整器と逆流防止弁と噴射電動弁と蓄圧式貯留タンクを備え、前記噴射ノズル部は、噴射用ノズルと自在継ぎ手と逆流防止弁を備え、それぞれ分離配置された液供給制御部と貯留タンク部及び路面供給部は、送液管と制御配線で接続し、分離配置された路面供給部と噴射ノズル部は送液管で接続したことを特徴とする請求項1に記載の液状凍結防止剤供給装置。
【請求項3】
前記噴射ノズル部は、噴射方向を調整できる自在継ぎ手と、液垂れを防止する逆流防止弁とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の液状凍結防止剤供給装置。
【請求項4】
前記路面供給部は、一噴射工程に十分な液状凍結防止剤量を蓄液する蓄圧式貯留タンクを備え、前記液供給制御部から蓄圧式貯留タンクへの液状凍結防止剤の補給は、噴射用ノズルからの噴射を停止し、噴射電動弁の閉じた間に行い、1組の貯留タンク部と液供給制御部に対して、複数の路面供給部及び噴射ノズル部を接続及び制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の液状凍結防止剤供給装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1に記載の液状凍結防止剤供給装置を使用した液状凍結防止剤供給方法であって、
液状凍結防止剤として酢酸カリウム水溶液又は酢酸カリウム水溶液に多価アルコールを添加したものを用いることを特徴とする液状凍結防止剤供給方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−46870(P2012−46870A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186925(P2010−186925)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(595079984)北海道日油株式会社 (6)