説明

液状化粧料容器

【課題】液状化粧料を収容する液状化粧料容器において、使用に際して液だれを防止することによって周囲への汚損を防ごうとするものである。
【解決手段】化粧料容器本体の口部内に、底部にスリット12を配設してスリット片12aを形成してなる第1シゴキ9と、内側の断面が略U字形状であって、化粧料塗布体8を固持する支持軸7の軸径と略同一の開口径を有する開口部を配設する第2シゴキ13とを内設することにより、化粧料塗布体及び支持軸は、第1シゴキ9のスリット片と第2シゴキ13により確実に扱かれ、更に化粧料塗布体には必要最低限の液状化粧料のみが残るので、過剰な液状化粧料が付着することにより起きる液だれによる周囲への汚損を防止できると共に、確実に化粧料を塗布できるものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスカラ、アイライナー、アイシャドー、リップグロス等の液状化粧料を塗布する化粧料塗布体を具えてなる液状化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マスカラ、アイライナー、アイシャドー、リップグロス等の液状化粧料を塗布する塗布体を具えてなる液状化粧料容器においては、その使用にあたり、該液状化粧料容器内に貯留する液状化粧料が化粧料塗布体のみならず、この塗布体をキャップ内底部に固持する支持軸に過剰に付着してしまうことで、液だれを発生することがある。そしてこの液だれにより、使用者や使用者の衣服等ばかりでなく、化粧料容器も含めて周囲を汚損してしまうことがある。そのため、液だれの原因となる化粧料塗布体及びこの塗布体を固持する支持軸に過剰に付着した液状化粧料を扱くことができるように、液状化粧料を貯留する化粧料容器本体の口部内において、シゴキ本体部において該支持軸と略同径の開口径を有する開口部を配設する以外は一体として成るシゴキを内装している。
【特許文献1】特開平11−155629号公報
【0003】
上記液状化粧料容器内に内装されるシゴキにおいて、化粧料塗布体や支持軸に付着した液状化粧料を確実に拭うことができるように、該開口部の開口径を支持軸の軸径よりも小さくすると、シゴキは強く支持軸の表面に密着し、確実に支持軸表面に付着した液状化粧料を扱くことができるものとなる。しかし、支持軸とシゴキとの間の密着が強まれば、支持軸がシゴキを通過する際の抵抗が大きくなって使用者にとって使い難いものとなる。その上、反復して化粧料塗布体がシゴキを通過すると該化粧料塗布体の摩耗や変形等の破損を招く恐れがある。
【0004】
一方、液状化粧料容器の口部内に内装されるシゴキの開口部の開口径を支持軸の軸径よりも大きくした場合には、シゴキと化粧料塗布体や支持軸との強い密着は緩和されるので、反復して化粧料塗布体をシゴキに通過させても、軽快に操作できるうえに、化粧料塗布体の摩耗や変形等の破損をも防止することができる。ところが、シゴキと化粧料塗布体や支持軸との密着も弱まってしまうので、化粧料塗布体や該化粧料塗布体を支持する支持軸の表面に付着した過剰の液状化粧料の扱きは不十分なものとなってしまう。
【0005】
特に、支持軸によって固持される化粧料塗布体をピンポイント的に使用するものである場合には、その外径が支持軸よりも細径であるため、化粧料塗布体に付着することとなる過剰の液状化粧料は全く扱くことができず、液だれによる汚損を防止することは不可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、化粧料塗布体を具える液状化粧料容器において、化粧料塗布体を固持する支持軸から該化粧料塗布体の先端に至るまでを、確実且つ軽快に扱くことができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、液状化粧料を貯留してなる化粧料容器本体と、該化粧料容器の口部に着脱自在に取り付けられ、その内部において先端に化粧料塗布体を一体に固持してなる支持軸を保持してなるキャップより構成される液状化粧料容器において、
該化粧料容器本体の口部において、シゴキ本体部においてスリット片を形成するように、該シゴキ本体部中心より放射状にスリットを配設する第1シゴキ、及びシゴキ本体部中央に支持軸の軸径と略同一の開口径を有する開口部を配設する第2シゴキを、それぞれ該口部に内設してなるものである。又、それに加えて、該第1シゴキにおいて、そのシゴキ本体部を化粧料容器本体内底部側に先鋭状に突出させてなるものである。
そのため、第1シゴキが第2シゴキよりも該化粧料容器本体内底部側に配置される場合には、化粧料塗布体及び化粧料塗布体を固持する支持軸を化粧料容器本体から抜き出す際、まず該化粧料塗布体を固持する支持軸においては、該支持軸が第1シゴキを通過する際に、その表面に過剰に付着してしまった大部分の液状化粧料は第1シゴキのスリット片により確実且つ軽快に扱き落とされる。ただ、該支持軸によって該化粧料容器本体内底部側に湾曲させられた第1シゴキのシゴキ本体部は、その湾曲によってスリット片を形成するスリットが隙間へと拡大されることから、その第1シゴキを通過する該支持軸の表面には、支持軸の軸方向へ延びる線状の扱き残された液状化粧料が残留することとなる。そこで、該第1シゴキのスリット片を通過した後に、その上方に配置される第2シゴキによって、該支持軸の表面に残った線状の液状化粧料が更に扱き落とされるものとなる。
又、化粧料塗布体が第1シゴキを通過することによって、そのスリットにより形成されるスリット片が化粧料塗布体に密着することで、該化粧料塗布体に含浸された、又はその表面に付着してしまった過剰な液状化粧料が確実且つ軽快に扱き落とされることとなる。この場合、化粧料塗布体においてもその支持軸の場合と同様に、スリット片の湾曲によって線状の扱き残しが出るが、該第1シゴキを通過した該化粧料塗布体が、その上方に配置される第2シゴキの開口部を通過することにより、その線状の扱き残しを含め、更に適度に扱かれることで、最低限必要な液状化粧料のみを含むものとなる。このように、化粧料塗布体に含浸された、又は化粧料塗布体及び該化粧料塗布体を固持する支持軸の表面に付着した不必要な液状化粧料は第1シゴキ及び第2シゴキにより完全に扱かれることとなる。その結果として最低限必要な液状化粧料のみが化粧料塗布体内に残されるものとなる。従って、使用者は最低限必要な液状化粧料を含浸した化粧料塗布体によって、簡易且つ確実に液状化粧料の塗布を行うことができると共に、その際、過剰に付着した液状化粧料によって発生する液だれによる汚損を防止することができる。
又、該第1シゴキにおいて、そのシゴキ本体部を化粧料容器本体内底部側に先鋭状に突出させることにより、第1シゴキのシゴキ本体部のスリットにより形成されるスリット片の面積が大きくなると共に柔軟になるので、該スリット片を通過することとなる化粧料塗布体や支持軸に対してより正確に密着すると共に、該スリット片の面積が大きくなることから抵抗も大きくなるので、該化粧料塗布体に含浸された、及び化粧料塗布体又は支持軸の表面に付着した過剰の液状化粧料は確実に扱き落とすことができるものである。又、該第1シゴキによって、あるいはそれより上方位置に第2シゴキが設置された場合にはその第2シゴキによるものを含め、化粧料塗布体及びそれを固持する支持軸から扱き落とされた液状化粧料が第1シゴキ上に貯まることなく、液状化粧料容器本体内部に落下することを促進させることができる。
尚、第1シゴキと第2シゴキの設置位置が逆であっても良く、化粧料塗布体及びそれを固持する支持軸がそれらのシゴキによって扱かれる順序が異なるだけで、同様の結果となる。
【0008】
また、化粧料容器本体の口部に内設される第1シゴキと第2シゴキによる化粧料塗布体に対する扱きが強すぎる場合には、第1シゴキのシゴキ本体部に配設されるスリットの中心において孔部を孔設することにより、化粧料塗布体に付着する液状化粧料の量を適度に調整することができる。即ち、第1シゴキのシゴキ本体部に配設されるスリットの中心において孔部を孔設することによりスリット片の中心が欠けることになる。そのため、化粧料塗布体が該第1シゴキを通過しても、化粧料塗布体と第1シゴキのスリット片との間の密着が緩くなり該スリット片による抵抗が減るものとなるので、化粧料塗布体に対する第1シゴキによる扱きが弱くなる。その結果、該化粧料塗布体には第1シゴキのシゴキ本体部に配設されるスリットの中心において孔部を孔設しない場合よりも多くの液状化粧料が含浸、付着するものとなる。言い換えれば、第1シゴキのシゴキ本体部に配設されるスリットの中心において孔設される孔部の径の大小に応じて、化粧料塗布体に対する第1シゴキによる扱きに強弱を発生させて、該化粧料塗布体に含浸、付着する液状化粧料の量を適度に調整できるものとなる。
なお、該第1シゴキによって、あるいはそれより上方位置に第2シゴキが設置された場合にはその第2シゴキによるものを含め、化粧料塗布体及びそれを固持する支持軸から扱き落とされた液状化粧料が第1シゴキ上に貯まることなく、液状化粧料容器本体内部に落下することとなり、第1シゴキ上で液体化粧料が固化することによって第1シゴキが閉塞され、化粧料塗布体及びそれを固持する支持軸が第1シゴキを通過する際の障害となることも防止される。
【発明の効果】
【0009】
この発明の液状化粧料容器は、一体になる化粧料塗布体及びこの化粧料塗布体を固持する支持軸の表面に付着することとなる液状化粧料の除去を各々適度に、しかも確実且つ軽快に行えるので、過剰に付着した液状化粧料の液だれ等による、使用者のみならず周囲への汚損を防止できると共に、化粧料塗布体の先端部分まで的確に扱くことが可能となるので、該化粧料塗布体には最低限必要な液状化粧料を残留させることができ、使用者にとって簡易且つ的確に液状化粧料の塗布を行うことができる優れた効果を有するものである。
【実施例1】
【0010】
図1において、(1)は、この発明の実施例である液状化粧料容器である。この液状化粧料容器(1)は、内部に液状化粧料(3)を貯留してなる化粧料容器本体(2)と、該化粧料容器本体(2)の口部(4)に着脱自在に取り付けられ、その内部(6)において、先端を先鋭化してなる化粧料塗布体(8)を一体に固持してなる支持軸(7)を保持してなるキャップ(5)より構成されるものである。
【0011】
そして、シゴキ本体部である底部(10)において、該底部(10)の中心(11)から扇状のスリット片(12a)を形成するように十字状にスリット(12)を配設する断面凹形状の第1シゴキ(9)(図4及び図5参照)、及びシゴキ本体部である底部(14a)に支持軸(7)の軸径と略同一の開口径を有する開口部(14)を配設するとともに、その内側を断面略U字形状とする第2シゴキ(13)を、それぞれ該化粧料容器本体(2)の口部(4)内の該化粧料容器本体内底部(2’)側へ順次挿嵌して、内設してなるものである(図2及び図3参照)。
尚、図2においては、第1シゴキ(9)の直近に第2シゴキ(13)の開口部(14)が位置しているが、この第1シゴキ(9)と第2シゴキ(13)の開口部(14)との距離は随意である。又、第1シゴキ(9)及び第2シゴキ(13)を通過することによりその表面を扱かれることとなる支持軸(7)は、硬質樹脂又は金属製であるのが通常であり、その通過される第1シゴキ(9)はゴム又はエラストマー等の軟質樹脂が、又、第2シゴキ(13)はLDPE、LLDPE等の軟質樹脂又はPP、PE或いはPBT等の硬質樹脂を使用するのが、それぞれ好ましい。
【0012】
この発明の第1実施例である液状化粧料容器(1)は以上の構成を具えるので、使用者がこの発明の第1実施例である液状化粧料容器(1)を使用する際には次のようになるものである。即ち、使用者が、キャップ(5)に支持軸(7)を介して固持される化粧料塗布体(8)を取り出すため、この液状化粧料容器(1)を構成する化粧料容器本体(2)の口部(4)とキャップ(5)との螺合を解くと共に、キャップ(5)を引き抜くことによって、該キャップ(5)の支持軸(7)の先端に固持される化粧料塗布体(8)は化粧料容器本体(2)外へと取り出すことができるものとなる。このとき、該化粧料塗布体(8)を固持する支持軸(7)は、化粧料容器本体(2)の外方すなわち上方へ引き上げられて第1シゴキ(9)の底部(10)に配設されたスリット片(12a)を通過する際に、スリット(12)により形成され、当初化粧料容器本体内底部(2’)側に向いて湾曲している扇形のスリット片(12a)が、化粧料容器本体内底部(2’)側から湾曲の度合いを弱めながら、即ち化粧料容器本体内底部(2’)側に湾曲している該スリット片(12a)が平面状に復元しながら常時密着するので、該支持軸(7)の表面に付着していた過剰な液状化粧料(3’)の大部分を確実且つ軽快に扱き落とすこととなる。ただ、該支持軸(7)によって化粧料容器本体内底部(2’)側に湾曲させられているスリット片(12a)は、その湾曲によってスリット片(12a)を形成するスリット(12)が隙間へと拡大されることから、その第1シゴキ(9)を通過する支持軸(7)の表面においては、該支持軸(7)の軸方向へ延びる線状の扱き残された液状化粧料(3”)が残留することとなる。そこで、第1シゴキ(9)のスリット(12)を通過した支持軸(7)は、その表面に残ってしまったスリット(12)部分の隙間に沿った線状の液体化粧料(3”)を、第2シゴキ(13)により更に扱き落とすものであるので、該支持軸(7)の表面には不必要な液状化粧料(3)は一切付着することがなくなり、液だれにより周囲への汚損を防止することができるものである。
一方、該キャップ(5)に支持軸(7)を介して固持される化粧料塗布体(8)おいては、上述の支持軸(7)の場合と同様に、化粧料容器本体(2)の口部(4)内に挿嵌されて、内設される第1シゴキ(9)のスリット片(12a)を通過する際に、扇形のスリット片(12a)が化粧料容器本体内底部(2’)側に向きつつその湾曲の度合いを弱めながら、即ち化粧料容器本体内底部(2’)側に湾曲している該スリット片(12a)が平面状に復元しながら化粧料塗布体(8)の表面に常時密着するものとなる。そして、化粧料塗布体(8)の通過に伴って、化粧料塗布体(8)の表面に密着した該スリット片(12a)が化粧料塗布体(8)を扱くことにより、該化粧料塗布体(8)内に含浸された、又は該化粧料塗布体(8)の表面に過剰に付着していた液状化粧料(3’)を確実且つ軽快に扱き落とすことになる。更に、該第1シゴキ(9)のスリット(12)を通過した化粧料塗布体(8)は、今度は該第1シゴキ(9)の上方において口部に内設されている第2シゴキ(13)を通過することとなる。その際、化粧料塗布体(8)は第2シゴキ(13)の開口部(14)の縁辺によって更に過剰な液状化粧料(3’)を扱き、最低限必要な液状化粧料(3)を含浸させた化粧料塗布体(8)となるものである(図6参照)。
尚、化粧料塗布体(8)においても、第1シゴキ(9)による扱き落としに際して、そのスリット(12)部分が線状に扱き残されることは支持軸(7)の場合と同様であるが、その線状の扱き残しは同様に第2シゴキ(13)により扱き落とされる。
従って使用者は、最低限必要な液状化粧料(3)のみを含浸してなる化粧料塗布体(8)によって、化粧を行うことができるようになる。
そして、液状化粧料(3)を塗布した後、再びキャップ(5)に支持軸(7)を介して固持される化粧料塗布体(8)を化粧料容器本体(2)内に収容しようとするときには、化粧料塗布体(8)を化粧料容器本体(2)の口部(4)より挿入することによって、該化粧料塗布体(8)は、第2シゴキ(13)及び第1シゴキ(9)を通過すると共に、第1シゴキ(9)の底部(10)に配設されるスリット片(12a)を通過する際に、該スリット(12)により形成されるスリット片(12a)を化粧料容器本体内底部(2’)方向に向けて湾曲させながら支持軸(7)に密着させて化粧料容器本体(2)内に収容されるものとなる。
なお、第1シゴキ(9)の底部(10)の中心(11)よりスリット(12)を配設するものであるが、化粧料塗布体(8)を化粧料容器本体(2)内に収容している際に、該スリット(12)により形成されるスリット片(12a)に支持軸(7)による負担が加わることで不可逆的に変形してしまわないように、化粧料塗布体(8)を化粧料容器本体(2)内に収容した際に第1シゴキ(9)と当接することとなる支持軸(7)の根元部(7a)を、細径化するものとしてもよいものである。
【0013】
ここで、上記第1シゴキ(9)の形状は断面凹形状となっているが、該第1シゴキ(9)の形状を、第1シゴキ(9’)の底部(10’)を化粧料容器本体内底部(2’)側に、例えば円錐状又は角錐状のように先鋭状として突出させても良いものである(第7図及び第8図参照)。このように第1シゴキ(9’)の底部(10’)を化粧料容器本体内底部(2’)側に、例えば円錐状又は角錐状のように先鋭状に突出させることによって、該底部(10’)に配設されたスリット(12’)により形成されたスリット片(12’a)の面積が大きくなると同時に柔軟になって湾曲し易くなることから、この第1シゴキ(9’)のスリット(12’)を通過することとなる化粧料塗布体(8)及び該化粧料塗布体(8)を固持することとなる支持軸(7)の表面に対して該スリット片(12’a)が広く、且つ確実に密着するものとなる。そのため、該化粧料塗布体(8)及び該化粧料塗布体(8)を固持することとなる支持軸(7)の表面に付着した過剰の液状化粧料(3’)はより確実に扱かれるものとなる。
更に、第1シゴキ(9’)の底部(10’)を化粧料容器本体内底部(2’)側に、例えば円錐状又は角錐状のように先鋭状として突出させることは、化粧料塗布体(8)が第1シゴキ(9’)を通過する際に、スリット片(12’a)は化粧料容器本体内底部(2’)側に開きやすくなっている反面、逆方向には該スリット片(12’a)の変形量が大きいので開きにくくなっている。そのため化粧料塗布体(8)が化粧料容器本体(2)外方向へ第1シゴキ(9’)を通過する際には抵抗を生じることとなるが、該スリット片(12’a)は確実に化粧料塗布体(8)及び該化粧料塗布体(8)を固持する支持軸(7)の表面に密着するので、過剰に付着した液状化粧料(3’)は確実に扱かれるものとなる。
また、キャップ(5)において支持軸(7)を介してその先端に固持される化粧料塗布体(8)を化粧料容器本体(2)内に収納しようとする際には、該化粧料塗布体(8)は、第1シゴキ(9’)の上方に配置され、断面U字形状である第2シゴキ(13)の内壁面(15)に沿って該第2シゴキ(13)の開口部(14)へと案内されるものである。そして、該第2シゴキ(13)の開口部(14)に案内された化粧料塗布体(8)は、更に該第2シゴキ(13)の開口部(14)を通過した後、第1シゴキ(9’)へ至るものとなる。その際、該第1シゴキ(9’)の底部(10’)が、化粧料容器本体内底部(2’)側に、例えば円錐状又は角錐状のように先鋭状に突出していると、該底部(10’)においてスリット(12’)により形成されることとなるスリット片(12’a)は化粧料容器本体内底部(2’)側に開き易いことと併せて、該化粧料塗布体(8)は円滑に該第1シゴキの底部(10’)に配設されるスリット(12’)を通過し、化粧料容器本体(2)内に至るものとなる。その結果、反復してキャップ(5)に支持軸(7)を介して固持される化粧料塗布体(8)を出し入れしても、また化粧料塗布体(8)を化粧料容器本体(2)内に収容するためにキャップ(5)を強引に螺合させても、該化粧料塗布体(8)は化粧料容器本体(2)内において該第1シゴキ(9’)及び第2シゴキ(13)と衝突してしまって折曲や変形等の破損を発生することはなく、円滑に該第1シゴキ(9’)及び第2シゴキ(13)を通過し、化粧料容器本体(2)内に収容されるものとなる。
その上、この第1シゴキ(9’)により扱き落とされた過剰の液状化粧料(3)は、直ぐに化粧料容器本体(2)内に環流すべきものであるところ、第1シゴキ(9’)の底部(10’)に配設されるスリット(12’)により形成されたスリット片(12’a)によって、化粧料塗布体(8)及び該化粧料塗布体(8)を先端に固持する支持軸(7)から扱き落とされた過剰な液状化粧料(3’)、更には第2シゴキ(13)により扱き落とされて、第1シゴキ(9’)方向に流下した液状化粧料(3)は、化粧料容器本体内底部(2’)側に円錐状又は角錐状に突出してなる第1シゴキ(9’)の底部(10’)に沿って迅速に移動し、該底部(10’)のスリット(12’)を介して化粧料容器本体(2)内に迅速に環流するものとなる。従って、第1シゴキ(9’)及び第2シゴキ(13)により扱き落とされた液状化粧料(3)が、第1シゴキ(9’)上において乾固し、該液状化粧料容器(1)の使用の妨げとなることを防止できる。
【0014】
そして、上記第1シゴキ(9)(9’)の底部(10)(10’)に配設されるスリット(12)(12’)により形成されるスリット片(12a)(12’a)は、液状化粧料(3)を含浸する化粧料塗布体(8)及び該化粧料塗布体(8)を固持する支持軸(7)の表面に付着した過剰の液状化粧料(3)を扱き落とすものであるので、可能な限り化粧料塗布体(8)及び該化粧料塗布体(8)を固持する支持軸(7)の表面に満遍なく密着する必要がある。そのため、この発明の第1実施例である液状化粧料容器(1)の第1シゴキ(9)(9’)において示されるように、該第1シゴキ(9)(9’)の底部(10)(10’)の中心(11)より十字形状にスリット(12)(12’)を配設するばかりでなく、第9図において示すように、スリット(12”)の本数を増やして、該第1シゴキ(9”)の底部(10”)の中心(11’)より放射状に、例えば正六角形や正八角形の対角線状にスリット(12”)を配設して、このスリット(12”)の配設により形成されるスリット片(12”a)を増やしても良いものである。このように第1シゴキ(9”)の底部(10”)の中心(11’)より放射状に配設されるスリット(12”)の本数を増やすことによって、その形成されるスリット片(12”a)の数を増やすことにより、第1シゴキ(9”)の底部(10”)は細分化され、且つ柔軟となるものであって、該第1シゴキ(9”)を通過することとなる化粧料塗布体(8)及び該化粧料塗布体(8)を固持する支持軸(7)の表面にスリット片(12”a)はより緻密に密着することができるものである。その結果、該化粧料塗布体(8)及び該化粧料塗布体(8)を固持する支持軸(7)の表面に付着した過剰の液状化粧料(3’)を確実に扱き落とすことができるようなる。
【0015】
一方、第1シゴキ(9)(9’)(9”)の底部(10)(10’)(10”)において放射状に配設されるスリット(12)(12’)(12”)によって形成されたスリット片(12a)(12’a)(12”a)では、化粧料塗布体(8)に含浸、付着した液状化粧料(3)を過剰に扱き落とし過ぎてしまい、液状化粧料(3)の塗布に支障を来してしまうような場合には、該スリット(12)(12’)(12”)の中心(11)(11’)に、化粧料容器本体内底部(2’)側と連通する孔部(16)を孔設してもよいものである(図10参照)。このように、第1シゴキ(9)(9’)(9”)の底部(10)(10’)(10”)に放射状に配設されるスリット(12)(12’)(12”)において、該スリット(12)(12’)(12”)の中心(11)(11’)に、化粧料容器本体内底部(2’)側と連通する孔部(16)を孔設することにより、化粧料塗布体(8)に含浸、付着する液状化粧料(3)の量を適度に調整することができるようになるものである。即ち、第1シゴキ(9)(9’)(9”)のシゴキ本体部に配設されるスリット(12)(12’)(12”)の中心において孔部(16)を孔設することで、該スリット(12)(12’)(12”)により形成されたスリット片(12a)(12’a)(12”a)の中心(11)(11’)においては空間部分が生じる。そのため、液状化粧料(3)を含浸、付着した化粧料塗布体(8)が該第1シゴキ(9)(9’)(9”)を通過しても、その際の第1シゴキ(9)(9’)(9”)の湾曲度が緩くなることから、化粧料塗布体(8)と第1シゴキ(9)(9’)(9”)との間の密着が緩くなり、該化粧料塗布体(8)に対する第1シゴキ(9)(9’)(9”)のスリット片(12a)(12’a)(12”a)による抵抗が減ることによって、第1シゴキ(9)(9’)(9”)による化粧料塗布体(8)の扱きが弱くなるものである。従って、該化粧料塗布体(8)は、第1シゴキ(9)(9’)(9”)のシゴキ本体部に配設されるスリット(12)(12’)(12”)の中心(11)(11’)において孔部(16)を孔設しない場合よりも多くの液状化粧料(3)が含浸、付着するものとなる。このことは、第1シゴキ(9)(9’)(9”)のシゴキ本体部に配設されるスリット(12)(12’)(12”)の中心(11)(11’)において孔設される孔部(16)の径の大小に応じて、第1シゴキ(9)(9’)(9”)による化粧料塗布体(8)に対する扱きに強弱を生じさせられるということであり、該化粧料塗布体(8)に含浸、付着する液状化粧料(3)の量を適度に調整することができるものとなる。
また、該スリット(12)(12’)(12”)の中心(11)(11’)に孔設する孔部(16)により、化粧料塗布体(8)及び該化粧料塗布体(8)を先端に固持する支持軸(7)から第1シゴキ(9)(9’)(9”)により扱き落とされた液状化粧料(3)、更には第2シゴキ(13)により扱き落とされて、第1シゴキ(9)(9’)(9”)方向に流下した液状化粧料(3’)を、化粧料容器本体(2)内に迅速に環流させることができる。従って、第1シゴキ(9)(9’)(9”)及び第2シゴキ(13)により扱き落とされた液状化粧料(3’)が、第1シゴキ(9)(9’)(9”)上において乾固し、該液状化粧料容器(1)の使用の妨げとなることも防止できる。
【実施例2】
【0016】
そして、図12において示すのは、この発明の第2実施例である液状化粧料容器(17)であって、この液状化粧料容器(17)は、化粧料容器本体(18)の口部と第2シゴキ(21)とを一体化することにより、化粧料容器本体(18)の細径化を実現しているものである。そのため、第2シゴキ(21)は、化粧料容器本体(18)の口部と一体となっており、その内側を断面略V字形状に成形してなるものである。一方、その下方において口部に内設される第1シゴキ(19)は、円筒状の第1扱き本体(19a)の頂面(19b)を化粧料容器本体内底部(18’)方向に突出すると共に、スリット(20)を配設することによりスリット片(20a)を形成するものである。そのため、この出願の第1実施例1における液状化粧料容器(1)と同様の作用、効果、即ち化粧料塗布体(22)及びこの化粧料塗布体(22)を固持する支持軸(23)の表面に付着した過剰の液体化粧料(24)を確実に扱き落とすことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
内部に液状化粧料を収容するあるゆる液状化粧料容器に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施例を具える液状化粧料容器の正面図である。
【図2】この発明の第1実施例である液状化粧料容器の断面図である。
【図3】この発明の第1実施例である液状化粧料容器を構成する化粧料容器本体の分解断面図である。
【図4】この発明の第1実施例である液状化粧料容器の第1シゴキの拡大斜視図である。
【図5】この発明の第1実施例である液状化粧料容器の第1シゴキの平面図である。
【図6】この発明の第1実施例である液状化粧料容器における化粧料塗布体の抜出時における第1シゴキ及び第2シゴキの作動状態を示す模式図である。
【図7】この発明の第1実施例である液状化粧料容器の第1シゴキの変形例の拡大斜視図である。
【図8】この発明の第1実施例である液状化粧料容器において第1シゴキの変形例を具える化粧料容器本体の分解断面図である。
【図9】この発明の第1実施例である液状化粧料容器の第1シゴキについて、底部に配設するスリットの変形例を示す第1シゴキの平面図である。
【図10】この発明の第1実施例である液状化粧料容器の第1シゴキについて、底部の中心に孔部を孔設する変形例を示す第1シゴキの平面図である。
【図11】この発明の第1実施例の第1シゴキの変形例を具える液状化粧料容器における化粧料塗布体の抜出時における第1シゴキ及び第2シゴキの作動状態を示す模式図である。
【図12】この発明の第2実施例である液状化粧料容器の断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 液状化粧料容器
2 化粧料容器本体
2’ 化粧料容器本体内底部
3 液状化粧料
3’ (扱き落とされた)液状化粧料
3” (線状の)液状化粧料
4 口部
5 キャップ
6 内部
7 支持軸
7a 根元部
8 化粧料塗布体
9、9’、9” 第1シゴキ
10、10’、10” 底部
11、11’ 中心
12、12’、12” スリット
12a、12’a、12”a スリット片
13 第2シゴキ
14 開口部
14a 底部
15 内壁面
16 孔部
17 液状化粧料容器
18 化粧料容器本体
18’ 化粧料容器本体内底部
19 第1シゴキ
19a 第1シゴキ本体
19b 頂面
20 スリット
20a スリット片
21 第2シゴキ
22 化粧料塗布体
23 支持軸
24 液状化粧料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状化粧料を貯留してなる化粧料容器本体と、該化粧料容器本体の口部に着脱自在に取り付けられ、その内部において先端に化粧料塗布体を一体に固持してなる支持軸を保持してなるキャップより構成される液状化粧料容器において、
該化粧料容器本体の口部において、シゴキ本体部にスリット片を形成するように、該シゴキ本体部の中心より放射状にスリットを配設する第1シゴキ、及びシゴキ本体部中央に支持軸の軸径と略同一の開口径を有する開口部を配設する第2シゴキを、それぞれ該口部に内設してなる液状化粧料容器。
【請求項2】
上記化粧料容器本体の口部において内設される第1シゴキにおいて、そのシゴキ本体部を化粧料容器本体内底部側に先鋭状に突出させてなる請求項1記載の液状化粧料容器。
【請求項3】
上記化粧料容器本体の口部に内設される第1シゴキのシゴキ本体部において放射状に配設されるスリットの中心に、化粧料容器本体内底部側と連通する孔部を孔設してなる請求項1又は2記載の液状化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−296824(P2006−296824A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124666(P2005−124666)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)