説明

液状媒体の密度を決定する方法

【課題】密度測定の精度を改善して、試料の不均一性、気泡を非光学式に識別し、誤った測定を自動的に識別すること。
【解決手段】気泡がなくまた密度ρおよび粘度の異なる多数の液体にて、固有振動のそれぞれの周期と振動減衰値とを求め、液体密度値と、密度値差分および振動減衰値差分とを求め、相対差分値と振動減衰差分との間の関数関係F(ρδ)を表す泡なし曲線を計算し、求めた精確な関数依存関係ないしはこれに相応する泡なし曲線を、その両側に付随する偏差帯域幅を導入することによって、泡なし曲線領域に対して一定の通常間隔で拡張して当該の泡なし曲線を記憶し、関数値F(ρδ)のテストステップにおいて、これが上記の曲線領域(KF)の境界内にあるか否か、またひいては前記の曲折形振動体を用いて実際に求めた値が、液体密度にρに実際に合致するか否かを検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載された、薬剤が充填された曲折形振動体(Biegeschwinger)の周期に基づいて流体の実際の密度を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
すでにかなり以前から知られているこのような曲折形振動体では、液体および気体の密度の決定は、液体が充填された曲折形振動体の振動周期を電子的に測定することに還元され、これに基づいて液状の試料の密度を計算することができる。
【0003】
このためにU字形に曲げた、曲折形振動体を構成する中空の管に試料を充填する。この管ないしは曲折形振動体は、電気的に励振されて、減衰しない振動を発生する。この曲折形振動体の固有振動数は、上記に試料の質量に依存する。
【0004】
上記のU字形振動管の2つの脚は、曲折形振動管のばね要素を形成する。振動方向は、2つの脚の間の面に対して垂直である。
【0005】
上記の曲折形振動体の固有振動数は、振動に実際に関与する液状試料の部分だけに影響を受ける。振動に関与するこの液状体積体は、静止する振動節(Schwingknot)によって決定され、ここでこの振動節は、例えば曲折形振動体が固有振動数励振装置に固定され箇所にある。上記の振動体が少なくとも上記の固定箇所まで液体試料によって満たされている場合、精確に定められた同じ体積体がつねに振動に関与し、ひいては所定の曲折形振動体に対して一定であり、したがって上記の試料の質量はその密度に直接比例するまたはその逆であるとみなすことができるのである。
【0006】
上記の固定個所ないしは励振節箇所を越えて曲折形振動体が過充填されることは、測定にとって重要ではない。このため、上記の曲折形振動体により、これを通って流れる液状媒体の密度も測定することができる。曲折形振動体を通って流れる液状媒体を実際に直接的に密度測定するこのテクニックは、飲料、鉱油および化学工業の広い分野で日常的に利用されており、流れる液状媒体における密度を完全自動で持続的に測定できるという重要な利点が得られるのである。
【0007】
温度の他に試料の粘性ないしはビスコーシティも、また不都合なことにも不均一性、すなわち例えば凝集物、気泡またはこれに類するものが密度測定に算入され、これが存在する場合には測定の結果を誤らせてしまうのである。
【0008】
AT 400767BないしはEP 0568521 A1には、試料の粘性に起因するこのような測定の誤差補正がすでに扱われている。そこに記載された実施形態では、励振増幅器を用いて、曲折形振動体の相異なる2点においてその基本振動および高調波振動が励振される。ここで試料の粘性の影響は、そこに詳しく説明されているように、最後に測定した密度値に補償される。
【0009】
粘性を補正するためのこの方法は、本願出願人が実際に供給している出願人の装置にも使用されているが、実際に使用されているガラス曲折形振動体への基本振動および高調波振動の励振は、AT 400767Bに記載されている方法とは若干異なって行われる。しかしながらこの若干手直しした励振の仕方は、液状試料の密度を測定する曲折形振動体の持続的な販売を通して、現行の従来技術である。
【0010】
本発明は、試料の不均一性、例えば気泡などが、密度測定に与える影響の問題また実際に求められる密度値に対するその影響を除去することに取り組んでおり、また本発明は、液状試料における不均一性によって生じる密度測定値の狂いを確実かつ迅速に識別することに使用される。
【0011】
すでに説明したように、殊に試料内の気泡によってふつう測定結果が狂うため、曲折形振動体の充填状態は、例えば、ビューウィンドウ(Sichtfenster)によって持続的に光学式に管理しなければならないが、これには大きなコストが必要である。
【特許文献1】AT 400767B
【特許文献2】EP 0568521 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、密度測定の精度および殊に測定結果の精確さを改善することであり、その利点は、試料の不均一性、例えばガスないしは空気の泡を非光学式に識別し、エラー測定を自動的に識別することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は本発明の請求項1により、液状媒体、例えば液体の具体的な密度を決定する方法であって、該方法は、測定しようとする液体によって充填される曲折形振動体の周期に基づいて行われるものであり、励振増幅器を用いて液体の粘度の影響を除去する際と同様に当該液体を、その互いに異なる2つの固有振動によって励振する形式の密度決定方法において、前記の液体に気泡および/または別の不均一性が存在することを識別するため、およびその影響を取り除くために装置調整のための複数のステップ、すなわち、
− I) 気泡および/または別の不均一性がなくまた密度ρおよび粘度の異なる多数の液体にて、公知の手法による測定に基づき、前記の互いに異なる2つの固有振動のそれぞれの周期と、当該の2つの固有振動のうちの1つの固有振動にて少なくとも1つの振動減衰値を求め、
− II) 当該の振動減衰値に基づいて、
(周波数の低い方の)第1固有振動における粘度補正していない液体密度値ρGおよび(周波数の高い方の)第2固有振動におけるρOか、または前記の第1固有振動および第2固有振動における粘度補正した液体密度かのいずれかと、
求めた2つの密度値ρOとρGとの間の差分ΔρOGと、
さらに前記の曲折形振動体を充填した際の振動減衰値δOおよび当該の曲折形振動体を充填していない振動減衰値δOLのそれぞれの振動減衰値の差分をそれぞれ第2固有振動にて求めるか、または曲折形振動体の充填時のδGおよび曲折形振動体の充填時のδOLそれぞれ第1固有振動にて求め、
− III) 殊に相応するソフトウェアを使用して、相対密度差分
【数1】

間またはρOまたはρGの平方根で除算した振動減衰差分
【数2】

間の実質的な関数関係F(ρδ)ないし当該関数関係F(ρδ)の経過を広い密度および粘度範囲にわたって表す、泡なし曲線を計算し、
− IV) 当該の求めた精確な関数依存関係ないしはこれに相応する粘度補正していないまたは粘度補正した泡なし曲線を、それぞれ選択ないしは決定した、各泡なし曲線の両側に付随する偏差帯域幅を導入することによって、有利には泡なし曲線領域に対して一定の通常間隔(ab)で拡張し、当該の泡なし曲線を記憶し、
− V) 密度ρを検査しようとする液体における曲折形振動体による後続のそれぞれの測定の際に、当該の測定にて実際に集計されるρG,ρO,δGないしはδOの値に基づいて、前記の調整ステップの過程で決定した関数の実際の関数値F′(ρδ)を求め、
前記のように定められ、前記の基本ステップ(I)〜(IV)にて求めて記憶して泡なし曲線領域の境界内にあるか否かを検査し、またひいては前記の曲折形振動体を用いて実際に求めた値が、液体密度にρに実際に合致するか否かを検査するステップを有することを特徴とする、液体の密度を決定する方法によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、曲折形振動体を用いた密度決定の分野における既存の従来技術およびここで行われるエラー補正に依拠している。この従来技術には実質的に曲折形振動体それ自体と、液体で充填されるこの曲折形振動体を、異なる2つの固有振動、例えば基本振動および少なくとも1つの高調波振動で任意の方法で励振することと、測定結果、すなわち上記の2つの振動、つまり例えば基本振動および高調波振動の周期と、液体試料の密度を求めるためのそれぞれ対応する振動減衰の値とを求めることが含まれており、ここで温度補償および粘度補償は、従来公知技術で行われる。
【0015】
上記の新たな方法を実施すると、液体で充填される曲折形振動体の第1のすなわち「周波数が低い方の」振動、例えば基本振動と、第2の「周波数の高い方の」固有振動、例えば上記の曲折形振動体の高調波振動との相対差分ないしは2つの振動における減衰の差分が利用されて有効な測定値の識別が行われ、またこれを粘度の補正を伴ってまたはこの補正なしに行うことができる。
【0016】
したがって本発明が対象とするのは、すでに述べた請求項1の上位概念に記載した液状媒体の実際の密度を決定する新しい方法であり、これはこの請求項1の特徴部分に記載された特徴的構成を有する。
【0017】
すでに上記の密度差分ないしは相対密度差分だけから、または密度の平方根√ρ(ロー)によって除算した減衰差分から、的確な密度値、すなわち「有効」または「無効」な密度値を識別することができる。しかしながらこれは、図3に示したこれらの2つの測定量の相互の関数依存関係を介して殊に良好に機能する。
【0018】
計算のためのパラメタないしは精確な分析的関係はここでは詳しく説明する必要はない。本発明による上記の新しい方法は、一般的には「有効な」測定値および殊に「無効な」測定値を識別ないしは求めることに関係し、ここで測定値が無効であることは、液体における不均一性によって、すなわち例えば小泡によって、上記の曲折形振動体において求めた測定値から得られ、例えばパーセントの境界が得られ、ここでこの境界内では、上記の方法によって求めて分析した測定値を許容することができる。
【0019】
液体試料の小泡識別の分野における従来技術においてわかるのは、このような小泡によって発生する測定エラーを決定する方法が、例えばUS 7231805 B2から公知のように物理的な測定値を決定することに基づいていることである。ここに開示されたことによれば、ディスペンサのノズル近くで圧力を測定し、有利な回路を用いて圧力測定の結果の偏差を、泡ないしは小泡によって発生した障害として識別しようとしているのである。
【0020】
さらに光学ベースで作動する自動密度測定装置が技術展示会において公知であり、この装置により、小泡によって液体に発生せ測定密度値の狂いが識別される。この装置では、これまでふつうであった曲折形振動体の充填状態を検査するビューウィンドウの代わりにカメラを用いて液体試料の泡を識別している。
【0021】
請求項2に記載されているのは、有利には周波数が低い方の固有振動(G)として基本振動を使用し、周波数が高い方の固有振動として曲折形振動体の第1高調波振動を使用することである。
【0022】
本発明の密度測定方法および殊にエラー識別方法の実際のステップについて、さらに請求項3では多くの情報が得られ、またここでは殊に図1および2の2つの図についておよびその利用ないしはこれらの図に基づくまたこれらの図によって分かり易くした数学的な関数の利用について補足的な説明がなされている。すなわち、
曲折形振動体密度測定装置による測定の際のエラーは、殊に気泡によって発生する。この気泡は、例えば密度測定セルに充填する際に、つまり曲折形振動体に入るか、液体試料から測定セルにガスとして送り出される。
【0023】
上で簡単に説明したように、測定セルが小泡なしに充填されたか否かは光学式に管理することができる。透明な試料における極めた小さな小泡または泡は、この方式で発見することができない。この場合には、複数回の測定を行って明らかな異常値を棄てることは限定的にしか役に立たない。
【0024】
本発明の方法によって可能になるのは、気泡または別の不均一性によって発生する密度のエラー測定を、曲折形振動体の相異なる2つのモードにおいて測定した密度値および振動減衰値の評価によって自動的にこのようなエラー測定として識別し、さらにこれを回避することである。
【0025】
本発明の密度測定方法の原理についてはつぎが成り立つ。
【0026】
すなわち、上記の曲折形振動体は、さまざまの振動モードで作動させることができる。これだけで密度測定装置において、例えば図1aおよび1bに示した2つの振動モードを、密度測定および粘度エラーの補正に使用することができる。
【実施例】
【0027】
図1aおよび1bには、片側が固定された曲折形振動体の最初の2つの振動モードが例示されており、これは基本振動数Gおよび第1高調振動数Oを有する。
【0028】
ここでは液体が充填された曲折形振動体の第1ないしは周波数の低い固有振動、すなわち固有基本振動のデータから、密度値ρoおよび振動持続時間PGが求められる。第2ないしは高周波の固有振動、すなわち例えば第1高調波のデータから、密度測定値ρO,持続時間POおよび例えば高調波減衰δOが求められる。
【0029】
これらの2つの振動モードにおける粘度補償されていない密度値ρGおよびρOは、それぞれのモードにおいて測定される周期ないしは振動持続時間値PGおよびPOから
ρG=AG・P2G−BG および ρO=AO・P2O−BO
にしたがって計算される。
【0030】
各曲折形振動体に特徴的な定数AGおよびBGないしはAOおよびBOは、小さな粘性ηおよび既知の密度ρを有する試料における測定によって決定される。
【0031】
調整時にも測定時にも曲折形振動体は均一に、すなわち気泡なしに充填しなければならない。比較的高い粘度ηおよび既知の密度ρの液体試料を測定する場合、2つのモードにおいて、試料の粘度と共に増大する測定誤差が確認される。この測定誤差は、第1高調波モードにおいて基本モードよりも大きく、また粘度が高ければ最大値も大きくなる。
【0032】
振動減衰δも測定する場合、第1高調波に対して同様に基本振動Gにおける値よりも大きな値が得られる。この場合、この値は粘度が高ければ、基本振動Gよりも格段に大きな最大値になり、つぎにまた減少する。振動減衰δのこの値は、固有振動の振幅の高さの変動を取り込むことによって求めることができる。
【0033】
図2aおよび2bにはこのことが詳しく示されている。これらの図は、均一な試料において、すなわち気泡のない液体試料において、充填した曲折形振動体の基本振動および第1高調波振動に対し、相対的な密度誤差Δρ/ρと、試料粘度によって生じた減衰差分Δδとを液体試料の粘度の平方根に依存して示している。
【0034】
さらに試料粘度によって生じる減衰差分Δδ=δ−δLuftが使用される。
【0035】
図2aおよび2bに概略的に示した関係から、補正値を計算することができ、これを用いれば、粘度に起因する誤差を密度および減衰について補償することができる。
【0036】
上で説明した粘度補正に必要な測定値は、検査しようとする液体の気泡または別の不均一性によって発生するエラー測定を識別するのに使用される。すなわち、
均一な試料は、相対密度差分Δρ=(ρO−ρG)/ρGおよび

によって除算した減衰差分ΔδOとの間には、図3aに「気泡なし曲線KB」で示したようなほぼ放物線状の経過を有する良好に定まった関係がある。
【0037】
図3aには相対密度差分ΔρO=(ρO−ρG)/ρGと、均一な試料に対する基本振動Gの密度値ρGの平方根によって除算した第1高調波振動Oの減衰差分ΔδOとの関係ならびに有効な測定と無効な測定の選択が示されており、ここでこれは、気泡なし曲線KBを、気泡なし曲線領域KFの分だけ両側に「拡張する」ことに基づいている。
【0038】
ここでは気泡のない精確な曲線KBには両側に変動範囲があり、またこれは具体的な液体試料において求めた関数(ρO−ρG)/ρGの値

である。気泡のない液体ではこの値は斜線で示した領域内にある。
【0039】
曲折形振動体内の液体に気泡がある場合、上で定めた2つの振動モードG,Oにおいて測定した密度値ρは、異なる影響を受ける。第1高調波モードOにおいて測定した振動減衰ΔδOは多くの場合に極めて大きくなる。この場合に図3aの線図において、均一すなわち気泡のない液体試料に対して当てはまる「放物線領域」KFによる関係から離れて点が発生する。
【0040】
すなわち、「気泡のない」試料に当てはまる関係を実現するため、均一な試料における測定の再現性によってまた測定の不確かさに対する要求によって決まるつぎのような領域を決定することができる。すなわちこの領域内では密度測定が有効であり、この領域外では密度測定が無効である領域を決定できるのである。
【0041】
例えば、ここではΔδO=ヌルにおけるΔρの小さな値それぞれについて、気泡のない精確な曲線KBの両側に「±5%の帯域幅」の値を採用することができる。
【0042】
粘度補正をしていない密度値ρGおよびρOの代わりに、適切な粘度補正が行われる場合には、それぞれ使用される2つの振動モードG,Oに対して補正された密度値を使用することができる。
【0043】
測定セルが障害なしに充填される場合、これらの密度値は十分に一致する。エラーのある充填では、粘度補正した2つの密度値は別々に狂う。この場合にΔδOも、正しい充填の場合よりも大きくなる。
【0044】
この場合には図3aに示した関係の代わりに、図3bに示したように線形の関係が示される。
【0045】
図3bには、基本振動Gおよび第1高調波振動Oにおいて測定した粘度補正密度ρの相対差分が、減衰差分に依存して示されている。
【0046】
この「粘度補正」線図には、図3aに示した放物線状の気泡なし曲線KB′の代わりに直線状の一定の曲線KB′が得られ、この曲線にも、この曲線上の点の値から例えば±5%以上の1つずつの「許容差帯域」が付随しているため、ここでも気泡の有無を判定するための「気泡なし曲線領域」KFが得られるのである。
【0047】
検査しようとする液体に対して、例えば基本振動Gにおいてまた第1高調波振動Gにおいて周期および振動減衰に対する値をそれぞれ測定し、求めた関数関係F(ρδ)に基づいて、これらの値に対する実際値FGOを求める。検査対象液体において、この液体において求めた関数FGOの値が、曲線領域KF内にある場合、密度を検査しようとする液体において求めた密度ρのこの値は容認することができ、または関数FGOの上記の値が、曲線領域KF外にある場合、試料における不均一性ないしは気泡によって狂わされた密度値になる。
【0048】
曲折形振動体によって求められる検査対象液体の密度値を本発明にしたがって分析するのと同時に、この液体で充填された曲折形振動体をビデオ、カメラまたはCCD記録することによって補足的にこの液体の光学的分析を行い、上記のようにして行われた密度分析の結果として気泡ないしは不均一性を確認した際には、液体に存在するまたは存在しない気泡および/または不均一性について上記のように行われる光学的分析を記憶してアーカイブして、場合によってはこの光学的分析の結果に基づき、気泡などによって不正確になった測定の原因を一層正しく評価できるようにすることは有利である。
【0049】
明らかにしておきたいのは、試料における気泡によって狂わされた密度値を除去することによって改善される上記の新たな密度決定方法により、極めて小さな気泡が高粘度の試料に均一に分散している場合には良好な結果が得られないことである。それはこの場合、それぞれ選択した2つの振動モードにおいて上記の試料が、均一な物質に見えるからである。この試料の粘度が高いことにより、粘度が高くなければ気泡および試料の相対運動によって大きく増大される減衰もほとんど影響を受けない。
【0050】
しかしながらこのような場合、気泡が小さいことによってどのような光学的方法も機能しないのである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】片側が固定された曲折形振動体の最初の2つの振動モードを例示する図である。
【図2】均一な試料において、充填した曲折形振動体の基本振動および第1高調波振動に対して相対的な密度誤差Δρ/ρと、試料粘度によって生じた減衰差分Δδとを液体試料の粘度の平方根に依存して示す線図である。
【図3】相対密度差分ΔρO=(ρO−ρG)/ρGと、均一な試料に対する基本振動Gの密度値ρGの平方根によって除算した第1高調波振動Oの減衰差分ΔδOとの関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0052】
G 基本振動、 O 第1高調波振動、 ρ 密度測定値、 P 振動持続時間、 KB 泡なし曲線、KF 泡なし曲線領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状媒体、例えば液体の具体的な密度を決定する方法であって、
該方法は、測定しようとする液体によって充填される曲折形振動体の周期に基づいて行われるものであり、
励振増幅器を用いて液体の粘度の影響を除去する際と同様に当該液体をその互いに異なる2つの固有振動によって励振する形式の密度決定方法において、
前記の液体に気泡および/または別の不均一性が存在することを識別するため、およびその影響を取り除くために装置調整のための複数のステップ、すなわち、
− I) 気泡および/または別の不均一性がなくまた密度ρおよび粘度の異なる多数の液体にて、公知の手法による測定に基づき、前記の互いに異なる2つの固有振動のそれぞれの周期と、当該の2つの固有振動のうちの1つの固有振動にて少なくとも1つの振動減衰値を求め、
− II) 当該の振動減衰値に基づいて、
(周波数の低い方の)第1固有振動における粘度補正していない液体密度値ρGおよび(周波数の高い方の)第2固有振動におけるρOか、または前記の第1固有振動および第2固有振動における粘度補正した液体密度かのいずれかと、
求めた2つの密度値ρOとρGとの間の差分ΔρOGと、
さらに前記の曲折形振動体を充填した際の振動減衰値δOおよび当該の曲折形振動体を充填していない振動減衰値δOLのそれぞれの振動減衰値の差分をそれぞれ第2固有振動にて求めるか、または曲折形振動体の充填時のδGおよび曲折形振動体の充填時のδOLそれぞれ第1固有振動にて求め、
− III) 殊に相応するソフトウェアを使用して、相対密度差分
【数1】

間またはρOまたはρGの平方根で除算した振動減衰差分
【数2】

間の実質的な関数関係F(ρδ)ないし当該関数関係F(ρδ)の経過を広い密度および粘度範囲にわたって表す、泡なし曲線(KB)を計算し、
− IV) 当該の求めた精確な関数依存関係ないしはこれに相応する粘度補正していないまたは粘度補正した泡なし曲線(KB)を、それぞれ選択ないしは決定した、各泡なし曲線(KB)の両側に付随する偏差帯域幅を導入することによって、有利には泡なし曲線領域(KF)に対して一定の通常間隔(ab)で拡張し、当該の泡なし曲線を記憶し、
− V) 密度ρを検査しようとする液体における曲折形振動体による後続のそれぞれの測定の際に、当該の測定にて実際に集計されるρG,ρO,δGないしはδOの値に基づいて、前記の調整ステップの過程で決定した関数の実際の関数値F′(ρδ)を求め、
前記のように定められ、前記の基本ステップ(I)〜(IV)にて求めて記憶して泡なし曲線領域(KF)の境界内にあるか否か検査し、またひいては前記の曲折形振動体を用いて実際に求めた値が、液体密度にρに実際に合致するか否かを検査するステップを有することを特徴とする、
液体の密度を決定する方法。
【請求項2】
前記の励振増幅器によって励振される低い方の第1の周波数(G)を有する固有振動として基本振動を使用し、また高い方の第2の周波数(O)を有する固有振動として、前記の曲折形振動他の第1高調波振動を使用する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の曲折形振動体によって求めた密度データを分析するのと有利には同時に付加的に、例えば、密度決定を行って検査しようとする液体で充填された曲折形振動体をビデオ、カメラまたはCCDによって撮影することによって光学的に(管理)分析し、
スキャニング後に行われる前記の液体に小泡および/または不均一性があるか否かについての分析の結果と、請求項1に記載された方法にしたがって行われる密度分析の結果と比較し、
前記の光学的分析によって請求項1に記載した密度検査の結果が的確であるかないしは正しいとされ、前記の液体に小泡ないしは不均一性がないという事実が確認される場合にだけ、請求項1で求めた密度の値を正しいないしは実際に則していると評価する、
請求項1または2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−122109(P2009−122109A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293747(P2008−293747)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(508341256)ラボア フュア メステヒニーク ドクトア ハンス シュタービンガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】LABOR FUER MESSTECHNIK Dr. Hans Stabinger GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr. Robert Graf Strasse 6, A−8010 Graz, Austria