説明

清掃用具の払拭体分離機構

【目的】本発明は、払拭体と清掃用具把持部から構成される清掃用具において、汚れた払拭体に触れることなく、前記払拭体を簡単に脱離させることができる清掃用具の払拭体分離機構を提供することを目的としている。
【構成】本発明は、清掃用具把持部50と払拭体10から構成され、清掃用具把持部50に設けられた挿入体20を払拭体10の袋状部13に挿入して、挿入体係止ファスナ24と払拭体係止ファスナ16を係合して形成される清掃用具1において、前記挿入体係止ファスナ24と前記グリップ部40の間に分離部30を配置し、前記分離部30は分離環体31とこれに一体連接される切断体から構成され、前記分離環体31を移動させて前記切断体により、前記係止ファスナ間の係合を切断して、前記払拭体10を触らずに前記払拭体10を前記清掃用具把持部50から分離する清掃用具1の払拭体分離機構である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払拭体とこれを把持する清掃用具把持部からなる清掃用具に関し、更に詳細には、挿入体係止ファスナが挿入体の基端部に形成された清掃用具把持部と、外周に払拭片が形成された袋状部の挿入口に払拭体係止ファスナを設けた払拭体とから構成され、前記挿入体を前記袋状部に挿入して各々の前記係止ファスナを係合して形成される清掃用具の払拭体分離機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上述のような清掃用具は、布地、スポンジ、パイル生地などからなる払拭体を有し、タンスなどの家具、テレビやステレオなどの電化製品、フロア面などを清掃するために使用されている。払拭体は掃除回数が増えるに従い汚れていくため、家庭や職場で又はレンタル業者によって、定期的に新しいものや洗浄されたものに交換される。この取替えや交換の手間を簡単にするために、払拭体とその把持部に設けられた係止ファスナの係合又は分離により、払拭体と把持部を簡易に着脱する着脱構造が採用されている。
【0003】
実開平1−155958号公報(特許文献1)には、係止ファスナを用いた前記着脱機構を有する清掃用具が記載されている。図19は、特許文献1に記載される従来の清掃用具B144を示す外観斜視図である。清掃用具B144は、払拭体B100とこれを把持する清掃用具把持部B113から構成されている。前記払拭体B100は、基布B104、104からなる袋状部B105と、その挿入口B101に縫着され、係止突片B107が設けられた上下2枚の払拭体係止ファスナB106、106と、袋状部B105の外周に植設された払拭片B108から形成されている。前記清掃用具把持部B113は、グリップ部B102と、その先端に形成される挿入体B114と、連結部111に設けられた挿入体係止ファスナB112から構成されている。前記挿入体B114は、ループ部B109の両端にあるループ部基端部109a、109aが連結部111に取付けられてループ状に形成されている。この挿入体B114を挿入口B101から袋状部B105に挿入し、挿入体係止ファスナB112、112に払拭体係止ファスナB106、106を各々係合させて清掃用具が形成される。
【0004】
【特許文献1】実開平1−155958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図19に示すように、従来の清掃用具144において、汚れた払拭体B100を清掃用具把持部B113から脱着する場合、作業者が直接、手で挿入口B101を開いて、払拭体係止ファスナB106、106を挿入体係止ファスナB112、112から分離させる必要があった。即ち、汚れた払拭体B100に作業者の手が直接触れるため、衛生上の問題と共に、作業者に不快感を与えるという問題があった。更に、特許文献1に記載される払拭体係止ファスナB106、106では、挿入体係止ファスナB112、112だけでなく相互に係合するため、これを手で上限に分離すると比較的大きな振動が払拭体B100全体に伝わることから、付着した塵埃等が周囲に飛散する虞があった。
【0006】
従って、本発明は、汚れた払拭体に触れることなく、係止ファスナの係合を分離させ、清掃用具把持具から払拭体を簡単に脱離させることができる清掃用具の払拭体分離機構を提供して、清掃用具の使用者等が払拭体の交換作業をより衛生的に且つ簡便に行えると共に、交換時の不快感を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、グリップ部と前記グリップ部の先端に形成される挿入体と前記挿入体の基端部に設けられた挿入体係止ファスナとからなる清掃用具把持部と、内部に形成された袋状部の外周に払拭片を形成して袋状部の挿入口に払拭体係止ファスナを設けた払拭体とから構成され、前記挿入体を前記袋状部に挿入して前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナを係合して形成される清掃用具において、前記挿入体係止ファスナと前記グリップ部の間に分離部を配置し、前記分離部は分離環体と前記分離環体に一体連接される切断体から構成され、前記分離環体を移動させて前記切断体により、前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断して、前記払拭体を触らずに前記払拭体を前記清掃用具把持部から分離する清掃用具の払拭体分離機構である。
【0008】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記分離環体は前記切断体と一体に前記挿入体方向に進退自在に設けられ、前記切断体は前記分離環体の先端に環状の先細りテーパ部として形成され、前記先細りテーパ部の先端は前記挿入体係止ファスナの表面上を通過するように形成され、前記先細りテーパ部の進退動作により前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断する清掃用具の払拭体分離機構である。
【0009】
本発明の第3の形態は、第2の形態において、前記挿入体係止ファスナが表面に配置された前記挿入体基端部は基台部を介して前記グリップ部に一体に固定され、前記分離環体は前記基台部に外設され、前記分離環体は前記基台部の表面を進退自在に設けられる清掃用具の払拭体分離機構である。
【0010】
本発明の第4の形態は、第3の形態において、前記分離環体には前記挿入体方向に長手状のスリットが穿孔され、前記基台部にはピンが突設され、前記ピンは前記スリットの内部に配置され、前記スリットの両端が前記ピンに阻止されて前記分離環体の進退動作が規制される清掃用具の払拭体分離機構である。
【0011】
本発明の第5の形態は、第1の形態において、前記分離環体は前記切断体と一体に回動自在に設けられ、前記切断体は前記分離環体から前記挿入体方向に突設された1本以上の分離爪であり、前記分離爪の先端は前記挿入体係止ファスナの先端縁の近傍位置まで設けられ、前記分離環体の回動により前記分離爪が周回して前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断する清掃用具の払拭体分離機構である。
【0012】
本発明の第6の形態は、第5の形態において、前記挿入体係止ファスナが表面に配置された前記挿入体基端部は基台部を介して前記グリップ部に一体に固定され、前記分離環体は前記基台部に外設され、前記分離環体は前記基台部の表面を回動自在に設けられる清掃用具の払拭体分離機構である。
【0013】
本発明の第7の形態は、第1の形態において、前記分離環体は前記切断体と一体に前記挿入体方向に進退自在に且つ前記挿入体方向の軸線回りに回動自在に設けられ、前記切断体は前記分離環体の先端に環状の先細りテーパ部として形成され、前記先細りテーパ部の先端は前記挿入体係止ファスナの表面上を通過するように形成され、前記先細りテーパ部の進退動作又は前記先細りテーパ部の進退動作と前記分離環体の回動動作により前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断する清掃用具の払拭体分離機構である。
【0014】
本発明の第8の形態は、第7の形態において、前記挿入体に前記先細りテーパ部を係止する係止突起が設けられ、前記係止突起により前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断して前記挿入体方向に進行する前記先細りテーパ部を係止する清掃用具の払拭体分離機構である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の形態によれば、前記挿入体係止ファスナと前記グリップ部の間に分離部を配置し、前記分離部は分離環体と前記分離環体に一体連接される切断体から構成され、前記分離環体を移動させて前記切断体により、前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断するから、前記払拭体を触らずに前記払拭体を前記清掃用具把持部から比較的簡易に分離することができる。即ち、作業者は、手で前記分離環体を移動させるだけで前記係止ファスナ間の係合を切断することができ、前記払拭体を直接触らずに脱着することができる。従って、払拭体の交換作業をより衛生的に且つ簡便に行えると共に、交換時の不快感を解消することができる。更に、前記分離部は、分離環体と前記分離環体に一体連接される切断体から構成される比較的簡単な構造を有するから、製造コストを抑制することができる。尚、前記払拭片には、パイル、スポンジ、不織紙、束子材など種々の清掃用払拭片を用いることができる。
【0016】
本発明の第2の形態によれば、前記分離環体は前記切断体と一体に前記挿入体方向に進退自在に設けられ、前記切断体は前記分離環体の先端に環状の先細りテーパ部として形成され、前記先細りテーパ部の先端は前記挿入体係止ファスナの表面上を通過するように形成されるから、前記先細りテーパ部の進退動作により前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を円滑に切断することができる。即ち、前記先細りテーパ部の先端で前記係止ファスナ間の係合を切断するから、対向して係合する前記係止ファスナの係止突片に対して鉛直な方向から前記先端で力を加えると共に、前記テーパ部によって前記係止ファスナ間の距離を端部から徐々に引離していくため、比較的小さな力で前記係合を切断することができる。換言すれば、簡単且つ円滑に前記払拭体を脱着できると共に、脱着時に加えられる衝撃や振動が小さいため、前記払拭体に付着した塵埃等の飛散を防止することができる。
【0017】
本発明の第3の形態によれば、前記挿入体係止ファスナが表面に配置された前記挿入体基端部は基台部を介して前記グリップ部に一体に固定され、前記分離環体は前記基台部に外設され、前記分離環体が前記基台部の表面を進退自在に設けられるから、前記分離環体を短時間且つ安定に移動させて前記切断体により前記係止ファスナ間の係合を切断することができる。即ち、前記分離環体は、前記挿入体基端部が一体に固定された基台部に外設されており、前記挿入体係止ファスナが表面に配置された前記挿入体基端部まで前記分離環体を速やか且つ円滑に移動させることができる。前記挿入体基端部と前記基台部は、熱可塑性樹脂などの一体成型加工により形成されることが好ましく、耐久性を格段に向上させることができ、前記分離環体を繰り返し移動させても破損することがなく、長期間に亘って本発明に係る清掃用具を使用することができる。
【0018】
本発明の第4の形態によれば、前記分離環体には前記挿入体方向に長手状のスリットが穿孔され、前記基台部にはピンが突設され、前記ピンは前記スリットの内部に配置され、前記スリットの両端が前記ピンに阻止されて前記分離環体の進退動作が規制されるから、より安定に前記分離環体を所定位置まで移動させ、より確実に前記係合ファスナ間の係合を切断することができる。前記払拭体を脱着させる作業者は、前記進退動作が規制に従って前記分離環体を移動させれば、前記係合ファスナ間の係合状態を確認することなく、自動的にその係合を切断することができる。
【0019】
本発明の第5の形態によれば、前記分離環体は前記切断体と一体に回動自在に設けられ、前記切断体は前記分離環体から前記挿入体方向に突設された1本以上の分離爪であり、前記分離爪の先端は前記挿入体係止ファスナの先端縁の近傍位置まで設けられ、前記分離環体の回動により前記分離爪が周回して前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断するから、脱着時に前記払拭体に対して加えられる衝撃や振動が抑制され、前記払拭体に付着した塵埃等の飛散を防止することができる。即ち、前記分離環体の回動によって直接的に上下、左右及び前後方向に振動や衝撃が加えられることが殆どないため、塵埃等の飛散を防止しながら前記払拭体を簡単且つ円滑に脱着することができる。
【0020】
本発明の第6の形態によれば、前記挿入体係止ファスナが表面に配置された前記挿入体基端部は基台部を介して前記グリップ部に一体に固定され、前記分離環体は前記基台部に外設され、前記分離環体は前記基台部の表面を回動自在に設けられるから、前記分離環体をより安定に回動させて前記係止ファスナ間の係合を切断することができる。更に、前記挿入体基端部が基台部に一体に固定され、その基台部に前記分離環体が外設されるから、前記分離環体の回動動作に対して好適な耐久性を付与することができる。また、前記第3の形態と同様に、前記挿入体基端部と前記基台部は、熱可塑性樹脂などにより一体形成されることが好ましく、耐久性を格段に向上させることができる。
【0021】
本発明の第7の形態によれば、前記先細りテーパ部の進退動作又は前記先細りテーパ部の進退動作と前記分離環体の回動動作により前記係止ファスナ間の係合を切断するから、手で前記払拭体に接触することなく、確実に前記払拭体を清掃用具把持具から分離することができる。更に、前記分離環体は、前記切断体と一体に前記挿入体方向に進退自在に且つ前記挿入体方向の軸線回りに回動自在に設けられている。換言すれば、前記分離環体の移動方向を規制する部材を設ける必要がないか又は簡単な規制機構を設けるだけで良く、簡単な構造を有することから、製造コストを低減化することができる。前記切断体は前記分離環体の先端に環状の先細りテーパ部として形成され、前記先細りテーパ部の先端が前記挿入体係止ファスナの表面上を通過するように形成されるから、前記係止ファスナ間の係合を円滑に切断することができる。更に、前記分離環体の進退動作と回動動作の両方を同時に又は順次行うことができ、前記係止ファスナ間の係合を切断しながら前記分離環体を左右に回転させれば、前記払拭体を揺動させるような力が作用し、前記払拭体をより確実に分離することができる。
【0022】
本発明の第8の形態によれば、前記挿入体に前記先細りテーパ部を係止する係止突起が設けられるから、前記係止突起により前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断して、更に前記挿入体方向に進行する前記先細りテーパ部を係止することができる。従って、前記先細りテーパ部が形成された前記分離環体が前記清掃用具把持具から脱離したり、前記分離環体を把持した指先が汚れた前記払拭体に接触したりすることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明に係る清掃用具の払拭体分離機構の実施形態を添付する図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具1の外観斜視図である。図1には、払拭体10が清掃用具把持部50から分離された状態の清掃用具1が示されている。清掃用具把持部50は、挿入体20、分離部30及びグリップ部40から構成され、前記払拭体10には、前記挿入体20を挿入する挿入口14が設けられている。前記挿入体20は、ループ部21、このループ部21を支持する弾性体22、前記ループ部21が一体に固定された挿入体基端部23及びこの挿入体基端部23に巻回固着された挿入体ファスナ24から構成されている。
【0024】
前記分離部30は、分離環体31、基台部32、この基台部32に一体に形成された突部35及び環状部36から構成されている。この基台部32には前記分離環体31が外設され、前記分離環体31が矢印aで示した挿入体方向(「スラスト方向」とも称される)へ進退自在に設けられている。更に、前記分離環体31に穿孔されたスリット33の内部に前記基台部32に突設されたピン34が配置され、前記スリット33の両端が前記ピン34に阻止されて前記分離環体31の進退動作が規制されている。このスリット33の長さは、前記分離環体31が前記挿入体係止ファスナ24の表面上を通過して先端縁24a又はその近傍に到達する切断位置まで可動となるように設計されている。更に、前記突部35は、前記基台部32に一体に形成されているため、前記グリップ部40を片手で把持しながら前記突部35の上面に指を添えることにより、後述するグリップ部40の伸縮を抑えながら、前記分離環体31をもう片方の手で矢印aのスラスト方向に移動させることが可能である。また、前記突部35は、補助的に前記分離環体31の進退動作を規制しており、前記ピン34に対して大きな負荷が加えられることを防止することが可能である。
【0025】
前記グリップ部40は、縮径管41と孔部43が設けられたグリップ管42から構成され、片手で握ることが可能なサイズを有する。前記縮径管41は、前記グリップ管42にその一端から可動状態で挿入され、前記グリップ部40が伸縮自在に設けられている。前記縮径管41には、前記基台部32を介して前記挿入体基端部23が一体に固定されている。前記グリップ部40の収縮時には、前記環状部36によりグリップ管42の端面が接触し、前記グリップ部40が収縮状態となる。伸縮状態や伸長状態で前記縮径管41とグリップ管42を互いにロックさせる手段としては、ボタン嵌合、弾性部材による押圧等の様々な技術を採用することができる。図1に示したグリップ管42には、ボタン嵌合用の孔部43が設けられており、詳細な構造については後述する。
【0026】
図2は、図1の払拭体10が清掃用具把持部50に取付られて使用状態にある清掃用具1の外観斜視図である。以下、同一部材については、同一の符号を付しており、既出の部材に関する詳細な説明は省略する。図2では、図1に示した挿入口14に前記挿入体20が挿入され、前記払拭体10が分離部30に到達するように配置されている。本発明に係る清掃用具は、この状態で清掃に用いられ、払拭体10の汚れが酷くなった段階で、図1に示したように払拭体10が交換のため脱着される。
【0027】
図3は、本発明に係る払拭体10の断面概略図である。前記払拭体10には、払拭片11が基布12からなる袋状部13の外周に形成され、前記挿入口14が設けられた前記袋状部13の入口部15に、払拭体係止ファスナ16が設けられている。前記払拭体係止ファスナ16は基布17とこの基布17上に植設された係止フック18から形成されている。前記払拭片11には、パイル、スポンジ、不織紙、束子材など種々の清掃用払拭片を用いることができる。
【0028】
図4は、本発明に係る第1実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具把持部50の部分断面図である。前記挿入体20、前記挿入体基端部23、基台部32、突部35及び環状部36は一体に形成され、前記挿入体基端部23の表面には、挿入体係止ファスナ24が固着されている。前記分離環体31は、前記縮径管41が嵌合されて前記グリップ部40に固定された基台部32の表面に外設され、挿入体方向に進退自在に設けられている。更に、前記分離環体31の先端には、前記挿入体係止ファスナ24と前記払拭体係止ファスナ16の係合を切断する切断体として環状の先細りテーパ部31aが形成されている。また、前記グリップ部40の伸長状態では、前記グリップ管42の孔部43に前記縮径管41に設けられた伸縮用ボタン44が嵌合して、前記縮径管41とグリップ管42がロックされる。前記伸縮用ボタン44は、弾性部材を介して前記縮径管41に固定されており、前記孔部43が設けられた位置で突出して嵌合され、収縮状態にする場合には、前記グリップ管42が前記伸縮用ボタン44上の滑らかな曲面を押すことによって前記縮径管41内に収納される。
【0029】
図5は、本発明に係る第1実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具把持部50の拡大外観斜視図である。前述のように、前記分離環体31に穿孔されたスリット33の内部に前記基台部32に突設されたピン34が配置され、前記スリット33の両端が前記ピン34に阻止されて前記分離環体31の進退動作が規制されている。図5では、前記分離環体31がグリップ部40側に近接する装着位置に配置されている。この装着位置に分離環体31が位置する場合、前記ピン34は、前記スリット33の内面端部によりロックされ、前記分離環体31が装着位置に安定に固定される。ロック状態にある分離環体31を強制的に移動させることにより、前記ピン34は、前記スリット33に沿って進退自在となり、分離環体31のロック状態が解除される。前記スリット33の長さは、前記先細りテーパ部31aが前記挿入体係止ファスナ24の表面上を通過してその先端縁又は先端縁近傍に到達するように設計されている。
【0030】
図6は、本発明に係る第1実施形態の清掃用具把持部50に払拭体10が挿入された状態を示す部分断面図である。前記袋状部13に前記挿入体20が挿入され、前記挿入体基端部23の表面に固着された挿入体係止ファスナ24と前記入口部15の内面に固着された払拭体係止ファスナ16が係合している。前記袋状部13は、先細りテーパ部31aに到達するまで挿入されることが好ましいが、前記先細りテーパ部31aに到達していない場合においても前記係止ファスナ間の係合を容易に固着するように設計されている。
【0031】
図7は、図5の分離環体31を切断位置まで移動させた清掃用具把持部50の拡大外観斜視図である。前述のように、前記切断位置は、前記分離環体31が前記挿入体係止ファスナ24の表面上を通過して先端縁24a又はその近傍に到達した位置であり、前記清掃用具把持具50に払拭体10が取付けられている場合、図6に示した前記係止ファスナ間の係合が切断される。図7に示すように、前記ピン34は、前記スリット33によって規制されており、前記分離環体31は前記切断位置から矢印aのスラスト方向に進むことはない。
【0032】
図8は、図6における分離環体31を切断位置まで移動させた清掃用具1の部分断面図であり、図9は、図8の払拭体10が分離された状態を示す部分断面図である。前記分離環体31を挿入体20の側のスラスト方向に進行させると、前記先細りテーパ部31aにより前記挿入体係止ファスナ24と前記払拭体係止ファスナ16の係合が切断されていく。図8に示すように、前記先細りテーパ部31aの先端が前記挿入体係止ファスナ24の表面を通過すると、前記分離環体31により完全に前記係止ファスナ間の係合が切断される。従って、図9に示すように、挿脱自在に設けられた前記払拭体10が挿入体20から分離される。前記払拭体10を分離させる際には、清掃用具1の払拭体側を下方に向ければ、前記払拭体10が自重により分離されるよう設計されることが好ましく、払拭体10を手で把持することなく分離させることができると共に、清掃用具1に振動や衝撃が加えられないため、塵埃等の飛散が抑制される。
【0033】
図10は、本発明に係る第2実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具把持部50の拡大外観斜視図であり、図11は、図10の分離環体31を回動させた状態を示す拡大外観斜視図である。尚、第1実施形態と共通の部材及び同様の機能を有する部材には、同一符号を付しており、異なる作用を有さない部材については詳細な説明は省略する。前記分離環体31は、その先端に突設された分離爪31b、31bからなる切断体と一体に形成され、回動自在に設けられている。前記分離爪31b、31bは、前記分離環体31の先端にある先細りテーパ部31aと一体に固定され、前記分離爪31b、31bの先端は前記挿入体係止ファスナ24の先端縁24aの近傍まで設けられている。前記分離環体31を矢印bの回動方向へ回動させると、図11に示すように、前記分離爪31b、31bが前記挿入体係止ファスナ24の表面に沿って回動する。従って、前記分離環体31の回動により前記分離爪31b、31bが周回して前記挿入体係止ファスナ24と前記払拭体係止ファスナ16の係合が切断される。
【0034】
図12は、本発明に係る第2実施形態の分離状態を示す拡大側面図、図13は拡大上面図であり、図14は第2実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具把持部50の正面図である。前記分離爪31b、31bは、前記挿入体基端部23の表面に固着された挿入体係止ファスナ24の先端縁24aの近傍まで設けられている。図12及び図13に示す前記分離爪31b、31bは、前記挿入体基端部23の側面に配置されている。図14に示すように、前記挿入体基端部23の断面には、長手方向と短手方向があり、長手方向の両端に前記挿入体基端部23の側面がある。前記分離爪31b、31bの間隔は、前記挿入体基端部23の断面における長手方向の直径より大きく設定され、前記分離爪31b、31bが挿入体係止ファスナ24の表面上に回動自在に設けられている。図12〜図13に示した前記分離爪31b、31bの位置は、前記第1実施形態の装着位置に対応し、露出した挿入体係止ファスナ24の表面に前記払拭体係止ファスナ16が係合される。
【0035】
図15は、図13の分離環体31を切断位置まで回動させた分離状態を示す拡大上面図である。図15では、前記分離爪31b、31bが前記挿入体係止ファスナ24の表面に沿って回動されて切断位置に配置されている。即ち、図14に示した前記挿入体基端部23の短手方向にある挿入体係止ファスナ24の上部に前記分離爪31b、31bが配置される。このとき、前記挿入体係止ファスナ24の表面と前記分離爪31b、31bの間には間隔が設けられる。従って、前記分離環体31を回動させると、周回する分離爪31b、31bにより前記挿入体係止ファスナ24と前記払拭体係止ファスナ16の係合が切断されると共に、これらの係止ファスナが分離する。
【0036】
図16は、本発明に係る第3実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具把持具50の拡大外観斜視図である。前記分離環体31が矢印aの挿入体方向に進退自在に設けられると共に、前記分離環体31が前記挿入体方向の軸線回りに矢印bの方向に回動自在に設けられている。従って、前記先細りテーパ部31aの先端が前記挿入体係止ファスナ24の表面上を通過する進退動作と前記分離環体31の回動動作により前記挿入体係止ファスナ24と前記払拭体係止ファスナ16の係合が切断される。尚、前記分離環体31の回転動作は、適宜に行うことができ、前記係止ファスナ間の係合を切断しながら前記分離環体31を左右に回転させれば、前記払拭体10を揺動させるような力が作用して、前記払拭体がより確実に分離される。更に、ループ部21には、係止突起21a、21aが設けられ、前記係止ファスナ間の係合を切断した後、さらに前記挿入体方向に進行する前記先細りテーパ部31aが形成された分離環体31を係止することができる。従って、前記先細りテーパ部31aが形成された前記分離環体31が前記清掃用具把持部50から脱離したり、前記分離環体を把持した指先が汚れた前記払拭体10に接触したりすることを防止することができる。
【0037】
図17は、図16に示した清掃用具把持具50の部分断面図である。図16における分離環体31は、前記基台部32に設けられた突起32aが前記分離環体31の内面に設けられた孔31cに嵌合して、前記分離環体31が前記基台部32にロックされている。図18は、図16に示した分離環体31を前記切断位置まで移動させた清掃用具把持部50の拡大外観斜視図である。前記分離環体31の矢印a方向への進退動作と矢印b方向への回動動作により、前記清掃用具把持部50から前記払拭体10が分離される。
【0038】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例及び設計変更をその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る清掃用具の払拭体分離機構によれば、汚れた払拭体に触れることなく、係止ファスナの係合を分離させ、清掃用具把持具から払拭体を簡単に脱離させることができるモップ等の清掃用具を提供することができる。従って、家庭や職場などにおける清掃用具の使用者又は清掃用具のレンタル業者によって、前記払拭体を新しいものや洗浄されたものに交換する場合、払拭体の交換作業をより衛生的に且つ簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る第1実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具の外観斜視図である。
【図2】図1の払拭体が清掃用具把持部に取付けられた状態にある清掃用具の外観斜視図である。
【図3】本発明に係る払拭体の断面概略図である。
【図4】本発明に係る第1実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具把持部の部分断面図である。
【図5】本発明に係る第1実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具把持部の拡大外観斜視図である。
【図6】本発明に係る第1実施形態の清掃用具把持部に払拭体が挿入された状態を示す部分断面図である。
【図7】図5の分離環体を切断位置まで移動させた清掃用具把持部の拡大外観斜視図である。
【図8】図6における分離環体を切断位置まで移動させた清掃用具の部分断面図でる。
【図9】図8の払拭体が分離された状態を示す部分断面図である。
【図10】本発明に係る第2実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具把持部の拡大外観斜視図である。
【図11】図10の分離環体を回動させた状態を示す拡大外観斜視図である。
【図12】本発明に係る第2実施形態の分離部を示す拡大側面図である。
【図13】本発明に係る第2実施形態の分離部を示す拡大上面図である。
【図14】本発明に係る第2実施形態の分離部を示す拡大正面図である。
【図15】図13の分離環体を切断位置まで回動させた分離部を示す拡大上面図である。
【図16】本発明に係る第3実施形態の払拭体分離機構が設けられた清掃用具把持部の拡大外観斜視図である。
【図17】図16に示した清掃用具把持部の部分断面図である。
【図18】図16に示した分離環体を切断位置まで移動させた清掃用具把持部の拡大外観斜視図である。
【図19】従来の清掃用具を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 清掃用具
10 払拭体
11 払拭片
12 基布
13 袋状部
14 挿入口
15 入口部
16 払拭体係止ファスナ
17 基布
18 係止フック
20 挿入体
21 ループ部
21a 係止突起
22 弾性体
23 挿入体基端部
24 挿入体係止ファスナ
24a 先端縁
26 係止フックB
30 分離部
31 分離環体
31a 先細りテーパ部
31b 分離爪
31c 孔
32 基台部
32a 突起
33 スリット
34 ピン
35 突部
36 環状部
40 グリップ部
41 縮径管
42 グリップ管
43 孔部
44 伸縮用ボタン
50 清掃用具把持部
100 払拭体B
101 挿入口B
102 グリップ部B
104 基布B
105 袋状部B
106 払拭体係止ファスナB
107 係止突片B
108 払拭片B
109 ループ部B
109a ループ部基端
111 連結部
112 挿入体係止ファスナB
113 清掃用具把持部B
114 挿入体B
144 清掃用具B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ部と前記グリップ部の先端に形成される挿入体と前記挿入体の基端部に設けられた挿入体係止ファスナとからなる清掃用具把持部と、内部に形成された袋状部の外周に払拭片を形成して袋状部の挿入口に払拭体係止ファスナを設けた払拭体とから構成され、前記挿入体を前記袋状部に挿入して前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナを係合して形成される清掃用具において、前記挿入体係止ファスナと前記グリップ部の間に分離部を配置し、前記分離部は分離環体と前記分離環体に一体連接される切断体から構成され、前記分離環体を移動させて前記切断体により、前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断して、前記払拭体を触らずに前記払拭体を前記清掃用具把持部から分離することを特徴とする清掃用具の払拭体分離機構。
【請求項2】
前記分離環体は前記切断体と一体に前記挿入体方向に進退自在に設けられ、前記切断体は前記分離環体の先端に環状の先細りテーパ部として形成され、前記先細りテーパ部の先端は前記挿入体係止ファスナの表面上を通過するように形成され、前記先細りテーパ部の進退動作により前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断する請求項1に記載の清掃用具の払拭体分離機構。
【請求項3】
前記挿入体係止ファスナが表面に配置された前記挿入体基端部は基台部を介して前記グリップ部に一体に固定され、前記分離環体は前記基台部に外設され、前記分離環体は前記基台部の表面を進退自在に設けられる請求項2に記載の清掃用具の払拭体分離機構。
【請求項4】
前記分離環体には前記挿入体方向に長手状のスリットが穿孔され、前記基台部にはピンが突設され、前記ピンは前記スリットの内部に配置され、前記スリットの両端が前記ピンに阻止されて前記分離環体の進退動作が規制される請求項3に記載の清掃用具の払拭体分離機構。
【請求項5】
前記分離環体は前記切断体と一体に回動自在に設けられ、前記切断体は前記分離環体から前記挿入体方向に突設された1本以上の分離爪であり、前記分離爪の先端は前記挿入体係止ファスナの先端縁の近傍位置まで設けられ、前記分離環体の回動により前記分離爪が周回して前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断する請求項1に記載の清掃用具の払拭体分離機構。
【請求項6】
前記挿入体係止ファスナが表面に配置された前記挿入体基端部は基台部を介して前記グリップ部に一体に固定され、前記分離環体は前記基台部に外設され、前記分離環体は前記基台部の表面を回動自在に設けられる請求項5に記載の清掃用具の払拭体分離機構。
【請求項7】
前記分離環体は前記切断体と一体に前記挿入体方向に進退自在に且つ前記挿入体方向の軸線回りに回動自在に設けられ、前記切断体は前記分離環体の先端に環状の先細りテーパ部として形成され、前記先細りテーパ部の先端は前記挿入体係止ファスナの表面上を通過するように形成され、前記先細りテーパ部の進退動作又は前記先細りテーパ部の進退動作と前記分離環体の回動動作により前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断する請求項1に記載の清掃用具の払拭体分離機構。
【請求項8】
前記挿入体に前記先細りテーパ部を係止する係止突起が設けられ、前記係止突起により前記挿入体係止ファスナと前記払拭体係止ファスナの係合を切断して前記挿入体方向に進行する前記先細りテーパ部を係止する請求項7に記載の清掃用具の払拭体分離機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−154886(P2010−154886A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333553(P2008−333553)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】