清掃装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置
【課題】回転する清掃部材とその下方に位置する搬送部材との間にトナーが滞留することを抑えると共に、搬送部材へのトナーの固着を防止する。
【解決手段】像保持体1との対向部にて上方側に向かって回転する清掃部材4と、清掃部材4に付着した残留トナーTrを掻き落とす掻き落とし部材5と、清掃部材4の下方に設けられる搬送部材6と、清掃容器3に一部が取り付けられて清掃部材4と搬送部材6との間の領域に延びる薄板状弾性部材からなり、搬送部材6の回転によって揺動して周辺の残留トナーTrを掻き乱す掻き乱し部材7とを備え、掻き乱し部材7は、清掃容器3の被取付部8に取り付けられる取付片11と、搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して取付片11から搬送部材6側に向かって突出する複数の突出片12とを有し、突出片12はその先端と基端との中間部が搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部に接触する。
【解決手段】像保持体1との対向部にて上方側に向かって回転する清掃部材4と、清掃部材4に付着した残留トナーTrを掻き落とす掻き落とし部材5と、清掃部材4の下方に設けられる搬送部材6と、清掃容器3に一部が取り付けられて清掃部材4と搬送部材6との間の領域に延びる薄板状弾性部材からなり、搬送部材6の回転によって揺動して周辺の残留トナーTrを掻き乱す掻き乱し部材7とを備え、掻き乱し部材7は、清掃容器3の被取付部8に取り付けられる取付片11と、搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して取付片11から搬送部材6側に向かって突出する複数の突出片12とを有し、突出片12はその先端と基端との中間部が搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部に接触する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では例えば特許文献1〜4記載の清掃装置が既に提供されていた。
特許文献1は、クリーニング部材で掻き落としたトナーを回収用シート材によって搬送用オーガーに送り、搬送用オーガーで搬送するようにしたクリーニング装置において、回収用シート材の搬送用オーガー側を、搬送用オーガーの1ピッチ以下のピッチの櫛歯状とし、かつ搬送用オーガーに干渉させた技術である。
特許文献2は、シート状弾性部材の自由端における突出先端部のピッチの一部を、スクリューオーガーの螺旋羽根の螺旋ピッチと異なるピッチとし、シート状弾性部材によるトナー崩し効果を低減させることなく、シート状弾性部材のスクリューオーガーとの周期的な接触に起因した騒音の発生を防止する技術である。
特許文献3は、トナーを軸方向に推進するトナー搬送手段と、このトナー搬送手段の周囲壁であってトナーの通路を規定するフレームと、トナー搬送手段に接触するようにトナー搬送手段とフレームとの間に設けられるシート状弾性部材とからなり、トナー粒が粗大化するのを防止する技術である。
特許文献4は、ハウジング内部に排出スクリューを設け、この排出スクリューからハウジング外部まで延びるトナー解離冷却部材を設け、このトナー解離冷却部材の排出スクリューに接触する端部にトナー解離吸熱部として、排出スクリューの条間に挿入される複数の短冊状の切片を設け、トナーを効果的に放熱させると共に、スクリューへのトナーの固着を防止する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−59469号公報(実施例,図2)
【特許文献2】特開2003−140517号公報(発明の実施の形態,図8)
【特許文献3】特開平10−186988号公報(発明の実施の形態,図6)
【特許文献4】特開2007−57593号公報(発明を実施するための最良の形態,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、回転する清掃部材とその下方に位置する搬送部材との間にトナーが滞留することを抑えると共に、搬送部材へのトナーの固着を防止することが可能な清掃装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、トナー像が保持される回転可能な像保持体に対向して開口する清掃容器と、この清掃容器の開口に面して像保持体との対向部にて上方側に向かって回転し且つ像保持体上の残留トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材と像保持体との対向部の反対側に位置する清掃容器に設けられ、清掃部材に接触して清掃部材に付着した残留トナーを掻き落とす掻き落とし部材と、前記清掃部材の下方に位置すると共に前記像保持体の回転軸方向に向かって延びるように設けられ、回転中心の周囲に螺旋羽根を有し且つ回転することで前記掻き落とし部材にて掻き落とした残留トナーを搬送する搬送部材と、前記清掃容器と像保持体との対向部の反対側に位置する清掃容器に一部が取り付けられて清掃部材と搬送部材との間の領域に延びる薄板状弾性部材からなり、前記搬送部材に接触すると共に搬送部材の回転によって揺動して周辺の残留トナーを掻き乱す掻き乱し部材とを備え、前記掻き乱し部材は、前記清掃容器の被取付部に取り付けられる取付片と、前記搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して前記取付片から搬送部材側に向かって突出する複数の突出片とを有し、前記突出片はその先端と基端との中間部が前記搬送部材の螺旋羽根の上側周縁部に接触するものであることを特徴とする清掃装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る清掃装置において、前記掻き落とし部材は清掃容器の被取付部に設けられた取付孔に挿入して固定される固定片を有し、前記掻き乱し部材の取付片は前記掻き落とし部材の固定片に対応した挿入孔を有し、掻き落とし部材の固定片を前記挿入孔に挿入させて掻き落とし部材と清掃容器との間に挟み込んだ状態で清掃容器の被取付部に固定されることを特徴とする清掃装置である。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る清掃装置において、前記掻き乱し部材の取付片は清掃容器の被取付部に接着固定されると共に掻き落とし部材で固定されるものであることを特徴とする清掃装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る清掃装置において、前記清掃容器の被取付部は予め決められた取付面に対し当該取付面に隣接して清掃部材に向かって角部が突出するように屈曲形成された屈曲面を有し、前記掻き乱し部材の取付片は清掃容器の被取付部の取付面及び屈曲面に沿って屈曲配置され、前記掻き乱し部材の突出片は前記屈曲面に対して折曲された状態で搬送部材の螺旋羽根の上側周縁部に接触することを特徴とする清掃装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る清掃装置において、前記掻き乱し部材の突出片は基端側より先端側が幅狭に形成された形状であることを特徴とする清掃装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る清掃装置において、前記搬送部材は、合成樹脂にて一体的に成型され、回転中心に沿う回転軸部材とこの回転軸部材の周囲に形成される螺旋羽根とを有することを特徴とする清掃装置である。
【0007】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれかに係る清掃装置において、前記掻き乱し部材は、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片の全てを配列したことを特徴とする清掃装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし6いずれかに係る清掃装置において、前記掻き乱し部材は、長手方向の一端から他端にかけて配列された突出片を複数の群に分け、複数の突出片群毎に搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片を配列すると共に各群の突出片の揺動周期を異ならせ、複数の突出片群毎の境界部に切り込みを形成することを特徴とする清掃装置である。
請求項9に係る発明は、画像形成装置筐体に対して着脱可能に設けられる画像形成組立体であって、トナー像が保持される像保持体と、この像保持体上の残留トナーを清掃する請求項1ないし8いずれかに係る清掃装置とを備えたことを特徴とする画像形成組立体である。
請求項10に係る発明は、トナー像が保持される像保持体と、この像保持体上の残留トナーを清掃する請求項1ないし8いずれかに係る清掃装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、回転する清掃部材とその下方に位置する搬送部材との間に残留トナーが滞留することを抑えると共に、搬送部材へのトナーの固着を防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、取付具を別途用意することなく、掻き落とし部材を兼用して掻き乱し部材を簡単に取り付けることができる。
請求項3に係る発明によれば、取付具を別途用意することなく、掻き落とし部材を兼用して掻き乱し部材を簡単且つ強固に取り付けることができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、掻き乱し部材による残留トナーの掻き乱し作用をより強化することができる。
請求項5に係る発明によれば、掻き落とし部材にて掻き落とされた残留トナーが掻き乱し部材上に不必要に堆積することを防止することができる。
請求項6に係る発明によれば、残留トナーが付着し易い合成樹脂製の搬送部材であっても、搬送部材への残留トナーの付着を抑え、かつ、搬送部材による残留トナーの搬送性を良好に保つことができる。
請求項7に係る発明によれば、搬送部材の回転によって掻き乱し部材の突出片の揺動動作を同じ揺動周期で実現することができる。
請求項8に係る発明によれば、搬送部材の回転によって掻き乱し部材の突出片の揺動動作を複数の群毎に異なる揺動周期で実現することができ、その分、掻き乱し部材の揺動動作に伴って生ずる発生音を低減することができる。
請求項9に係る発明によれば、回転する清掃部材とその下方に位置する搬送部材との間に残留トナーが滞留することを抑えると共に、搬送部材へのトナーの固着を防止することが可能な清掃性能の良好な清掃装置を含む画像形成組立体を容易に構築することができる。
請求項10に係る発明によれば、回転する清掃部材とその下方に位置する搬送部材との間に残留トナーが滞留することを抑えると共に、搬送部材へのトナーの固着を防止することが可能な清掃性能の良好な清掃装置を含む画像形成装置を容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は(b)中C方向から見た矢視図である。
【図2】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【図3】実施の形態1で用いられる画像形成組立体を示す斜視図である。
【図4】図3に示す画像形成組立体の一部断面説明図である。
【図5】図3に示す画像形成組立体を一部破断した斜視図である。
【図6】画像形成組立体の清掃装置の要部断面図である。
【図7】画像形成組立体の筐体を示す説明図である。
【図8】実施の形態1で用いられる清掃装置の一要素である掻き乱しシートの構成例及び掻き乱しシートの被取付部構造例を示す説明図である。
【図9】(a)は実施の形態1で用いられる掻き落とし部材を示す説明図、(b)は(a)中BーB線断面図である。
【図10】(a)は掻き乱しシートの取付構造のうち仮止め状態を示す説明図、(b)は掻き乱しシートの取付構造のうち本止め状態を示す説明図である。
【図11】(a)は掻き乱しシートと搬送部材との相対位置関係を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は搬送部材回転時における掻き乱しシートの挙動を示す説明図である。
【図12】(a)は掻き乱しシートと搬送部材との接触部を示す説明図、(b)は掻き乱しシートの自由長を短く設定した態様に対する搬送部材回転時における掻き乱しシートの挙動を示す説明図、(c)は掻き乱しシートの自由長を(b)の場合よりも長く設定したい態様に対する搬送部材回転時における掻き乱しシートの挙動を示す説明図、(d)は搬送部材回転時に掻き乱しシートが揺動動作しない態様を示す説明図である。
【図13】(a)は掻き乱しシートの変形形態を示す説明図、(b)は搬送部材回転時における掻き乱しシートのA群に相当する箇所での挙動を示す説明図、(c)は搬送部材回転時における掻き乱しシートのB群に相当する箇所での挙動を示す説明図である。
【図14】(a)〜(c)は掻き乱しシートの突出片の形状についての変形形態を示す説明図である。
【図15】実施例1〜4に係る清掃装置及び比較例に係る清掃装置を用いて清掃容器内のトナー堆積量の経時変化を示すグラフ図である。
【図16】実施例1〜3に係る清掃装置及び比較例に係る清掃装置に対するトナー排出量の特性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1(a)において、画像形成装置は、トナー像が保持される像保持体1と、この像保持体1上の残留トナーTrを清掃する清掃装置2とを備えている。
尚、画像形成装置が、画像形成装置筐体に対して着脱可能に設けられる画像形成組立体を備えた態様では、画像形成組立体が上述した像保持体1及び清掃装置2を構成要素として備えることもある。
本実施の形態では、清掃装置2は、図1(a)〜(c)に示すように、トナー像が保持される回転可能な像保持体1に対向して開口する清掃容器3と、この清掃容器3の開口に面して像保持体1との対向部にて上方側に向かって回転し且つ像保持体1上の残留トナーTrを清掃する清掃部材4と、前記清掃部材4と像保持体1との対向部の反対側に位置する清掃容器3に設けられ、清掃部材4に接触して清掃部材4に付着した残留トナーTrを掻き落とす掻き落とし部材5と、前記清掃部材4の下方に位置すると共に前記像保持体1の回転軸方向に向かって延びるように設けられ、回転中心の周囲に螺旋羽根6bを有し且つ回転することで前記掻き落とし部材5にて掻き落とした残留トナーTrを搬送する搬送部材6と、前記清掃容器3と像保持体1との対向部の反対側に位置する清掃容器3に一部が取り付けられて清掃部材4と搬送部材6との間の領域に延びる薄板状弾性部材からなり、前記搬送部材6に接触すると共に搬送部材6の回転によって揺動して周辺の残留トナーTrを掻き乱す掻き乱し部材7とを備え、前記掻き乱し部材7は、前記清掃容器3の被取付部8に取り付けられる取付片11と、前記搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して前記取付片11から搬送部材6側に向かって突出する複数の突出片12とを有し、前記突出片12はその先端と基端との中間部が前記搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部に接触するものである。
【0011】
このような技術的手段において、清掃部材4としては、像保持体1との対向部にて上方側に向かって回転するものであれば、ブラシ状、ロール状を問わない。また、清掃部材として、前述した回転する清掃部材4だけでもよいが、これに加えて、回転する清掃部材4よりも上方に板状清掃部材を付加し、板状清掃部材で像保持体1上の残留トナーを掻き取り、回転する清掃部材4上に残留トナーを落下させる態様でもよい。
また、掻き落とし部材5としては、回転する清掃部材4に付着した残留トナーTrを掻き落とす機能部材であればよく、少なくとも回転する清掃部材4に接触するものであれば特に形状は問わない。
更に、搬送部材6としては、少なくとも回転中心の周囲に螺旋羽根6bを有するものであればよく、代表的には回転中心線の全域に亘って回転軸部材6aを有するものが挙げられるが、回転中心線の両端に回転軸部材6aを有するだけで中間部分には回転軸部材6aを有さないものも含む。
更にまた、掻き乱し部材7は樹脂フィルム等による薄板状弾性部材からなり、その取付片11が清掃容器3の被取付部8に取り付けられるが、その取付構造は適宜選定して差し支えない。例えば取付片11を接着剤を用いて固定するようにしてもよいし、あるいは、取付具を用いて固定するようにしたり、接着剤及び取付具を用いて固定する等適宜選定して差し支えない。
また、掻き乱し部材7の突出片12は搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して突出するものであればその形状は特には問わないが、搬送部材6の回転に伴って掻き乱し部材7を揺動させるには、搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部に突出片12の先端と基端との中間部を接触させるようにすればよい。
【0012】
次に、実施の形態の代表的態様又は好ましい態様について述べる。
先ず、掻き乱し部材7の好ましい取付構造としては、掻き落とし部材5は清掃容器3の被取付部8に設けられた取付孔(図示せず)に挿入して固定される固定片(図示せず)を有し、前記掻き乱し部材7の取付片11は前記掻き落とし部材5の固定片に対応した挿入孔(図示せず)を有し、掻き落とし部材5の固定片を前記挿入孔に挿入させて掻き落とし部材5と清掃容器3との間に挟み込んだ状態で清掃容器3の被取付部8に固定されるものが挙げられる。
本態様は、掻き乱し部材7の取付具として掻き落とし部材5を利用する態様であり、掻き落とし部材5の固定片は清掃容器3の被取付部8の取付孔に挿入可能で、取付孔に引っ掛かる弾性変形可能な引っ掛け部(図示せず)を有していれば、単に取付孔に固定片を挿入するという操作だけで、掻き落とし部材5を固定することが可能である。
そして、掻き乱し部材7のより好ましい取付構造としては、前記掻き乱し部材7の取付片11は清掃容器3の被取付部8に接着固定されると共に掻き落とし部材5で固定されるものが挙げられる。
【0013】
また、掻き乱し部材7の取付片11の好ましい態様としては、清掃容器3の被取付部8は予め決められた取付面に対し当該取付面に隣接して清掃部材4に向かって角部が突出するように屈曲形成された屈曲面を有し、前記掻き乱し部材7の取付片11は清掃容器3の被取付部8の取付面及び屈曲面に沿って屈曲配置され、前記掻き乱し部材7の突出片12は前記屈曲面に対して折曲された状態で搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部に接触する態様が挙げられる。
本態様では、掻き乱し部材7の取付片11と突出片12との折曲角度が大きく確保され、突出片12による搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部への接触圧が大きく設定される点で好ましい。
更に、掻き乱し部材7の突出片12の好ましい態様としては、基端側より先端側が幅狭に形成された形状であるものがある。この種の形状としては、略三角形状、台形状などが挙げられる。この場合、突出片12間には隙間が積極的に確保されることから、掻き落とし部材5にて掻き落とされた残留トナーTrは前記隙間を通じて搬送部材6側に移動する点で好ましい。
【0014】
また、搬送部材6の代表的態様としては、合成樹脂にて一体的に成型され、回転中心に沿う回転軸部材6aとこの回転軸部材6aの周囲に形成される螺旋羽根6bとを有するものが挙げられる。ここで、合成樹脂の種類によっては残留トナーTrが付着し易いものがあるが、本実施の形態の掻き乱し部材7を用いるようにすれば、搬送部材6へのトナー付着が効果的に抑えられる点で好ましい。
更に、掻き乱し部材7の突出片12の代表的態様としては、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片12の全てを配列するものが挙げられる。
更にまた、掻き乱し部材7の突出片12の別の代表的態様としては、長手方向の一端から他端にかけて配列された突出片12を複数の群に分け、複数の突出片12群毎に搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片12を配列すると共に各群の突出片12の揺動周期を異ならせ、複数の突出片12群毎の境界部に切り込み(図示せず)を形成する態様が挙げられる。
本態様は、複数の突出片12群毎に揺動周期を異ならせるために、各群の境界部構造を工夫し(境界部切り込み)、複数の突出片12群毎の周期動作を他の群と切り離して実現するようにしたものである。
【0015】
以下、添付図面に示す実施の形態に従って本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
−画像形成装置の全体構成−
図2は実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す。
同図において、画像形成装置30は、像保持体としてのドラム状の感光体31と、この感光体31を帯電する帯電装置32と、この帯電装置32で帯電された感光体31に静電潜像を光にて書き込む露光装置33と、感光体31上に書き込まれた静電潜像を現像剤(トナー)にて可視像化する現像装置34と、この現像装置34にて可視像化されたトナー像を記録材38に転写する転写装置35と、この転写装置35にて転写された後に感光体31上に残留する残留トナーTrを清掃する清掃装置36と、この清掃装置36と転写装置35との間に位置する感光体31に対向して設けられ、残留トナーTrの帯電極性を本来の帯電極性に調整する帯電調整装置37とを備えている。尚、記録材38に転写された転写像は図示外の定着装置にて定着された後に排出される。
【0016】
ここで、帯電装置32は例えば帯電容器321を有し、この帯電容器321内に帯電部材として放電ワイヤ322及びグリッド電極323を配設したものであり、この放電ワイヤ322を定期的に清掃するワイヤ清掃具324(図4参照)を有しているが、帯電装置32としてはこれに限られるものではなく、例えばロール状の帯電部材を用いるなど適宜選定して差し支えない。
また、露光装置33としては、レーザ走査装置やLEDアレイなどが使用される。
更に、現像装置34は、感光体31側が開口し且つ例えばトナー及びキャリアを含む二成分現像剤が収容される現像容器341を有し、この現像容器341の感光体31に面した箇所に現像剤が保持搬送可能な現像ロール342を配設すると共に、現像容器341内の現像ロール342の背面側にはトナーを摩擦帯電するために現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材343,344を例えば上下に配設し、撹拌搬送部材343,344にて撹拌搬送された現像剤を補助搬送部材345を介して現像ロール342に受け渡し、現像ロール342上に保持された現像剤を図示外の層厚規制部材にて層厚規制した後に感光体31に対向する現像域に現像剤を供給するようにしたものである。尚、現像装置34としては、上述した二成分現像方式に限られるものではなく、一成分現像方式など適宜選定して差し支えない。
更にまた、転写装置35としては、感光体31上のトナー像を記録材38側に静電転写させる転写電界を作用させるものであればよく、例えば転写バイアスが印加されるロール状の転写部材が用いられるが、これに限られるものではなく、放電ワイヤを用いた転写コロトロンなど適宜選定して差し支えない。
更に、帯電調整装置37としては、感光体31上の残留トナーTrの帯電極性を調整するものであればよく、例えば放電ワイヤを用いた帯電コロトロンなど適宜選定して差し支えない。
尚、清掃装置36の詳細については後述する。
【0017】
−画像形成組立体−
本実施の形態において、画像形成装置30は図示外の画像形成装置筐体に対して着脱可能な画像形成組立体40を有している。
この画像形成組立体40は、図3ないし図5に示すように、感光体31の周囲に帯電装置32、帯電調整装置37及び清掃装置36を予め決められた所定の位置関係に配置するように、支持枠45(図3,図7参照)にてこれらを支持するようにしたものである。
本例では、支持枠45は両側に位置する一対の支持板46と、これらを連結する連結部材47とを一体的に成形したものであり、前記連結部材47に前記清掃容器60を一体的に成形したものである。
尚、本例では、画像形成組立体40としては、感光体31を中心とした感光体組立体が用いられているが、これに限られるものではなく、更に、前記感光体組立体に対して現像装置34を押圧した状態で組付けるようにしてもよい。
【0018】
−清掃装置−
清掃装置36は、図2,図5及び図6に示すように、感光体31側が開口し且つ残留するトナーが収容される清掃容器60を有し、この清掃容器60の開口のうち感光体31回転方向下流側縁にブレードやスクレーパ等の板状清掃部材61を配設すると共に、この板状清掃部材61の感光体31の回転方向上流側にはブラシ状又はロール状の回転清掃部材62を配設し、前記清掃容器60の開口のうち感光体31回転方向上流側縁に封止用のシール部材63を設け、更に、清掃容器60内の回転清掃部材62の下方には清掃された残留トナーを廃棄回収するために搬送する搬送部材64を配設したものである。
本例では、回転清掃部材62は、感光体31との対向部にて上方側(図中反時計回り方向)に向かって回転するようになっている。
また、搬送部材64は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂にて一体的に成形されたものであり、感光体31の回転軸方向に沿って延びる回転軸部材64a(図11参照)と、この回転軸部材64aの周囲に予め決められたピッチ間隔で螺旋状に設けられる螺旋羽根64bとを有し、回転軸部材64aを予め決められた方向に回転させることで、清掃容器60の下方に堆積した図示外の残留トナーを例えば画像形成装置の奥側に向けて搬送するものである。
【0019】
<掻き落とし部材>
本例では、回転清掃部材62と感光体31との対向部の反対側に位置する清掃容器60には、回転清掃部材62に接触して当該回転清掃部材62に付着した残留トナーを掻き落とす掻き落とし部材としてのフリッカ65が取り付けられている。
ここで、フリッカ65が取付けられる清掃容器60の被取付部70は、図5、図6及び図8に示すように、予め決められた取付面71(本例では斜め下方に向かってせり出す傾斜面)に対し当該取付面71に隣接して回転清掃部材62に向かって角部が突出するように屈曲形成された屈曲面72を有しており、前記取付面71には予め決められた間隔毎に取付孔73が開設されている。
一方、フリッカ65は、例えばポリプロピレン樹脂等の合成樹脂にて一体成形されており、図8及び図9に示すように、前記被取付部70の取付面71に対応する取付板81を有すると共に、この取付板81の一端側には前記被取付部70の屈曲面72に対応して屈曲する屈曲片82を形成し、更に、取付板81と屈曲片82との境界部には前記回転清掃部材62に接触する断面円弧状の突出エッジ83を形成するものである。更に、このフリッカ65は、前記取付板81の裏面には前記被取付部70の取付孔73に対応して固定突起84を突出させ、この固定突起84の先端には弾性変形可能な引っ掛け爪部85を形成し、前記取付孔73に固定突起84を挿入したときに前記取付孔73の奥側縁部に前記引っ掛け爪部85を引っ掛けることで前記取付孔73に前記固定突起84を固定するようにしたものである。ここで、前記引っ掛け爪部85は、弾性変形可能に形成されているため、前記取付孔73への固定突起84の挿入動作を許容するものである。
尚、図9中、符号86は固定突起84の引っ掛け爪部85に対応して屈曲片82の一部に設けられた切欠であり、この切欠86は引っ掛け爪部85を移動可能な型で製造する際に当該型を抜き取るためのものである。
【0020】
<掻き乱しシート>
本例では、回転清掃部材62と搬送部材64との間の領域には、図5、図6及び図8に示すように、周辺の残留トナーを掻き乱す掻き乱しシート66が設けられている。
この掻き乱しシート66は例えばポリエチレン樹脂にて厚さ30〜60μmのフィルム状に形成されており、前記清掃容器60の被取付部70の取付面71に対応する長尺な取付片91を有し、この取付片91の前記取付面71に対応した面には例えば両面接着テープを用いることで使用可能な接着層92(図10参照)を設けると共に、前記取付片91には前記被取付部70の取付孔73に対応して挿入孔93を予め決められた間隔で形成したものである。
そして、この掻き乱しシート66は、前記取付片91から前記搬送部材64側に向かって延びる揺動片94を有しており、この揺動片94の先端側には搬送部材64の螺旋羽根64bのピッチ間隔pに対応した間隔dで例えば突出寸法hにて突出する複数の突出片95を形成したものである(図11(a)参照)。
本例では、この複数の突出片95としては基端側より先端側が幅狭に形成される形状として略三角形状が採用されている。
【0021】
<掻き乱しシートの取付構造>
次に、掻き乱しシート66の取付構造について説明する。
先ず、図8及び図10(a)に示すように、清掃容器60の被取付部70の取付孔73と掻き乱しシート66の挿入孔93とを位置合わせした状態で、被取付部70の取付面71に掻き乱しシート66の取付片91を接着層92を介して仮止めする。
この後、図10(b)に示すように、被取付部70の取付孔73及び掻き乱しシート66の挿入孔93に対しフリッカ65の固定突起84を挿入し、固定突起84の引っ掛け爪部85を前記取付孔73の奥側縁部に引っ掛かけることで、前記被取付部70にフリッカ65を取り付けるようにする。
この状態において、掻き乱しシート66は被取付部70の取付面71に接着固定されると共に、フリッカ65を取付具として利用し、被取付部70とフリッカ65とに挟持された状態で押さえ込まれる。
【0022】
<掻き乱しシートの挙動>
掻き乱しシート66の取付片91及び揺動片94の一部は、図10(b)に示すように、フリッカ65の取付板81及び屈曲片82からなる屈曲形状に沿って屈曲配置されることになり、掻き乱しシート66の揺動片94のうちフリッカ65の屈曲片82端部から角度αにて折曲された部分が揺動運動可能な自由長FL(Free Length)として機能するようになっている。
特に、本例では、図11(a)(b)に示すように、掻き乱しシート66の揺動片94の先端に形成された複数の突出片95は、その先端と基端との中間部が搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部に接触するようになっている。
そして、掻き乱しシート66の揺動片94は被取付部70の屈曲面72に対し角度α(図10参照)にて大きく折曲された状態で搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周辺部に接触することから、突出片95による搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部への接触圧は大きく設定される。
このため、掻き乱しシート66の揺動片94は、図11(a)〜(c)に示すように、搬送部材64の回転によって、搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部と、螺旋羽根64bに接触しない部分との間で角度θにて揺動運動する。
このとき、掻き乱しシート66の揺動片94は、螺旋羽根64bに接触しない部分において、回転軸部材64aに接触するか否かは特には問わない。
【0023】
−画像形成装置の作動−
本実施の形態で用いられる画像形成装置の作動を清掃装置を中心に説明する。
今、画像形成装置において一連の作像プロセスが行われると、図2に示すように、帯電装置32にて感光体31が帯電され、露光装置33にて感光体31上に静電潜像が形成され、感光体31上の静電潜像は現像装置34にてトナー像Tとして可視像化され、感光体31上のトナー像は転写装置35にて記録材38に転写された後、図示外の定着装置にて定着される。
このとき、転写装置35を経た感光体31上には転写残トナーが残留トナーTrとして残留しているが、この残留トナーTrは帯電特性が逆帯電されたものであるとしても、帯電調整装置37にて本来の帯電特性に調整された後に、清掃装置36にて清掃される。
この清掃装置36では、板状清掃部材61及び回転清掃部材62が感光体31上の残留トナーTrを掻き取る。このとき、板状清掃部材61で掻き取った残留トナーTrは回転清掃部材62上に落下し、回転清掃部材62で掻き取った残留トナーTrと共に回転方向に沿って付着搬送される。
そして、回転清掃部材62に付着した残留トナーTrはフリッカ65の突出エッジ83にて清掃容器60の下方に掻き落とされる。
このとき、回転清掃部材62とその下方に位置する搬送部材64との間の領域には掻き乱しシート66が設けられているが、掻き乱しシート66の先端側には複数の突出片95が設けられ、複数の突出片95間には隙間96(図8参照)が確保されることから、フリッカ65にて掻き落とされた残留トナーTrは複数の突出片95の隙間96を通じて搬送部材64側に落下していき、搬送部材64によって所定方向に搬送され、廃棄回収される。
【0024】
このような清掃装置の清掃過程において、掻き乱しシート66は、図11(a)〜(c)に示すように、搬送部材64の回転mに伴って揺動運動するが、掻き乱しシート66は、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材64の螺旋羽根64bのピッチ間隔pに対応して同じ間隔dで突出片95の全てを配列したものであるため、掻き乱しシート66の揺動片94の揺動運動は、同じ揺動周期の突出片95の揺動運動に依存したものになる。
このような掻き乱しシート66の揺動運動は、搬送部材64の螺旋羽根64bに付着した残留トナーTrを掻き乱すと共に、回転清掃部材62と搬送部材64との間に滞留する残留トナーTrを掻き乱すため、残留トナーTrは搬送部材64の螺旋羽根64bへ固着する懸念は少なく、また、回転清掃部材62と搬送部材64との間の領域に残留トナーTrが堆積することはほとんどない。
仮に、このような掻き取りシート66を用いない態様では、搬送部材64に残留トナーTrが固着し、その分、搬送部材64によるトナー搬送量が低減する懸念があるほか、搬送部材64の周囲の残留トナーTrが滞留して壁状態になってしまい、トンネル状に至ってしまう懸念がある。
【0025】
<掻き乱しシートの自由長>
掻き乱しシート66の自由長と掻き乱し作用との関係について説明する。
今、図12(a)に実線で示すように、掻き乱しシート66の自由長FLを短めのFL1(図12(b)参照)に設定すると、掻き乱しシート66の揺動運動範囲が小さい分、掻き乱しシート66によるトナー掻き乱し作用は比較的小さい。
これに対し、図12(a)に二点鎖線で示すように、掻き乱しシート66の自由長FLを長めのFL2(図12(c)参照)に設定すると、掻き乱しシート66の揺動運動範囲が大きくなる分、掻き乱しシート66によるトナー掻き乱し作用は大きくなる傾向にある。
但し、図12(b)(c)に示すように、掻き乱しシート66の自由長FLを長く設定するにしても、掻き乱しシート66を揺動運動させるには、掻き乱しシート66の突出片95はその先端と基端との中間部が搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部に接触するようになっていることが必要である。
この点、図12(d)に示すように、掻き乱しシート66の自由長FLをより長くFL3に設定したとしても、揺動片94のうち突出片95ではない部分が搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部に接触した場合には、揺動運動は生じないので留意する必要がある。
【0026】
◎変形形態1
実施の形態1では、掻き乱しシート66は、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材64の螺旋羽根64bのピッチ間隔pに対応して同じ間隔dで突出片95の全てを配列したものであるが、これに限られるものではなく、掻き乱しシート66としては、例えば図13(a)に示すように、長手方向の一端から他端にかけて配列された突出片95を複数の群(本例ではA群、B群)に分け、複数の突出片95のA群、B群毎に搬送部材64の螺旋羽根64bのピッチ間隔pに対応して同じ間隔dで突出片95を配列すると共に、各群の突出片95の揺動周期(例えば1/2周期)を異ならせ、複数の突出片95のA群、B群毎の境界部に切り込み97を形成するようにすればよい。
本態様によれば、掻き乱しシート66は、搬送部材64の回転によって突出片95の揺動運動に伴って揺動運動する。本例では、図13(b)に示すように、A群の突出片95が時間t1で搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部P(t1)に位置し、時間t1から1/2周期経過した時間t2で搬送部材64の螺旋羽根64bと接触しない位置P(t2)に移動すると仮定すると、図13(c)に示すように、B群の突出片95は、時間t1で搬送部材64の螺旋羽根64bと接触しない位置P(t1)に位置し、時間t1から1/2周期経過した時間t2で搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部P(t2)に移動する。
このため、掻き乱しシート66は、A群、B群の間で揺動周期が1/2周期ずれた形で揺動運動する。このため、全て同じ揺動周期の掻き乱しシート66に比べて揺動運動時に生ずる発生音が低減される点で好ましい。
このとき、掻き乱しシート66のA群、B群の境界部には切り込み97が形成されているため、切り込み97がA群、B群の境界部に隣接する位置に位置する突出片95の揺動運動の違いを許容するように働く。このため、A群、B群の突出片95の揺動運動は他の群の揺動運動に影響を受けることなく安定して行われる。
尚、本変形態様1では、掻き乱しシート66の突出片95は二つの群に分けられたが、三以上の群に分け、夫々の群で揺動周期を異ならせるようにしてもよい。
【0027】
◎変形形態2
本実施の形態では、掻き乱しシート66の突出片95は略三角形状に形成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば図14(a)に示すように、略台形状の突出片95ー1に形成してもよい。
また、本実施の形態では、掻き乱しシート66の突出片95は搬送部材64の回転軸方向に対して略直交する方向に向かって突出し、回転軸方向に略対称な形状に形成されていたが、これに限られるものではなく、例えば図14(b)に示すように、搬送部材64の螺旋羽根64bの螺旋方向に沿う順方向に突出する突出片95ー2として形成してもよいし、図14(c)に示すように、搬送部材64の螺旋羽根64bの螺旋方向と交差する逆方向に突出する突出片95ー3として形成してもよい。
【実施例】
【0028】
<トナー排出性能評価>
実施の形態1に係る画像形成装置を用い、実施例1〜4及び比較例にてトナー排出性能を評価した。
ここで、実施例1〜4及び比較例は以下の通りである。
実施例1:掻き乱しシート(自由長FL10mm)
実施例2:掻き乱しシート(自由長FL12mm)
実施例3:掻き乱しシート(自由長FL14mm)
実施例4:掻き乱しシート(自由長FL12mm+フリッカの突出エッジ最適化)
比較例:掻き乱しシート未使用
評価方法としては、清掃容器内に27gのトナーを充填し、感光体及び清掃装置を所定時間稼働させたときのトナー排出量を測定し、差分を清掃容器内のトナー堆積量とした。
結果を図15に示す。
本例では、実施例1〜4は比較例に比べればトナー排出性能が良好であることが理解される。
特に、掻き乱しシートによる掻き乱し作用を良好に保つという観点からすれば、実施例2,3のように、掻き乱しシートの自由長FLを最適化することが重要であることが把握される。
実施例4は実施例2の態様に加えて、フリッカの突出エッジを最適化したものである。具体的には、清掃容器の被取付部とフリッカとの間に掻き乱しシートを挟んだことに伴って、フリッカと回転清掃部材としてのブラシとのニップ量が増加することになるため、掻き乱しシートの厚さ分フリッカの突出エッジの突出量を削り、フリッカと回転清掃部材としてのブラシとのニップ量を実施例2に比べて低減させたものである。
実施例4によれば、フリッカの突出エッジを最適化したことに伴って、掻き乱しシートによる掻き乱し作用がより良好に至っていることが理解される。
【0029】
また、実施例1〜3について掻き乱しシートの移動角度とトナー排出量との関係を調べたところ、図16に示す結果が得られた。
同図によれば、実施例2,3が実施例1に比べて掻き乱しシートの移動角度が大きく、かつ、トナー排出量も大きいことが確認された。
尚、図16中、点線は比較例(掻き乱しシート未使用)の場合のトナー排出量を参考までに示したものである。
【符号の説明】
【0030】
1…像保持体,2…清掃装置,3…清掃容器,4…清掃部材,5…掻き落とし部材,6…搬送部材,6a…回転軸部材,6b…螺旋羽根,7…掻き乱し部材,8…被取付部,11…取付片,12…突出片,Tr…残留トナー
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では例えば特許文献1〜4記載の清掃装置が既に提供されていた。
特許文献1は、クリーニング部材で掻き落としたトナーを回収用シート材によって搬送用オーガーに送り、搬送用オーガーで搬送するようにしたクリーニング装置において、回収用シート材の搬送用オーガー側を、搬送用オーガーの1ピッチ以下のピッチの櫛歯状とし、かつ搬送用オーガーに干渉させた技術である。
特許文献2は、シート状弾性部材の自由端における突出先端部のピッチの一部を、スクリューオーガーの螺旋羽根の螺旋ピッチと異なるピッチとし、シート状弾性部材によるトナー崩し効果を低減させることなく、シート状弾性部材のスクリューオーガーとの周期的な接触に起因した騒音の発生を防止する技術である。
特許文献3は、トナーを軸方向に推進するトナー搬送手段と、このトナー搬送手段の周囲壁であってトナーの通路を規定するフレームと、トナー搬送手段に接触するようにトナー搬送手段とフレームとの間に設けられるシート状弾性部材とからなり、トナー粒が粗大化するのを防止する技術である。
特許文献4は、ハウジング内部に排出スクリューを設け、この排出スクリューからハウジング外部まで延びるトナー解離冷却部材を設け、このトナー解離冷却部材の排出スクリューに接触する端部にトナー解離吸熱部として、排出スクリューの条間に挿入される複数の短冊状の切片を設け、トナーを効果的に放熱させると共に、スクリューへのトナーの固着を防止する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−59469号公報(実施例,図2)
【特許文献2】特開2003−140517号公報(発明の実施の形態,図8)
【特許文献3】特開平10−186988号公報(発明の実施の形態,図6)
【特許文献4】特開2007−57593号公報(発明を実施するための最良の形態,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、回転する清掃部材とその下方に位置する搬送部材との間にトナーが滞留することを抑えると共に、搬送部材へのトナーの固着を防止することが可能な清掃装置及びこれを用いた画像形成組立体、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、トナー像が保持される回転可能な像保持体に対向して開口する清掃容器と、この清掃容器の開口に面して像保持体との対向部にて上方側に向かって回転し且つ像保持体上の残留トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材と像保持体との対向部の反対側に位置する清掃容器に設けられ、清掃部材に接触して清掃部材に付着した残留トナーを掻き落とす掻き落とし部材と、前記清掃部材の下方に位置すると共に前記像保持体の回転軸方向に向かって延びるように設けられ、回転中心の周囲に螺旋羽根を有し且つ回転することで前記掻き落とし部材にて掻き落とした残留トナーを搬送する搬送部材と、前記清掃容器と像保持体との対向部の反対側に位置する清掃容器に一部が取り付けられて清掃部材と搬送部材との間の領域に延びる薄板状弾性部材からなり、前記搬送部材に接触すると共に搬送部材の回転によって揺動して周辺の残留トナーを掻き乱す掻き乱し部材とを備え、前記掻き乱し部材は、前記清掃容器の被取付部に取り付けられる取付片と、前記搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して前記取付片から搬送部材側に向かって突出する複数の突出片とを有し、前記突出片はその先端と基端との中間部が前記搬送部材の螺旋羽根の上側周縁部に接触するものであることを特徴とする清掃装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る清掃装置において、前記掻き落とし部材は清掃容器の被取付部に設けられた取付孔に挿入して固定される固定片を有し、前記掻き乱し部材の取付片は前記掻き落とし部材の固定片に対応した挿入孔を有し、掻き落とし部材の固定片を前記挿入孔に挿入させて掻き落とし部材と清掃容器との間に挟み込んだ状態で清掃容器の被取付部に固定されることを特徴とする清掃装置である。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る清掃装置において、前記掻き乱し部材の取付片は清掃容器の被取付部に接着固定されると共に掻き落とし部材で固定されるものであることを特徴とする清掃装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る清掃装置において、前記清掃容器の被取付部は予め決められた取付面に対し当該取付面に隣接して清掃部材に向かって角部が突出するように屈曲形成された屈曲面を有し、前記掻き乱し部材の取付片は清掃容器の被取付部の取付面及び屈曲面に沿って屈曲配置され、前記掻き乱し部材の突出片は前記屈曲面に対して折曲された状態で搬送部材の螺旋羽根の上側周縁部に接触することを特徴とする清掃装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る清掃装置において、前記掻き乱し部材の突出片は基端側より先端側が幅狭に形成された形状であることを特徴とする清掃装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る清掃装置において、前記搬送部材は、合成樹脂にて一体的に成型され、回転中心に沿う回転軸部材とこの回転軸部材の周囲に形成される螺旋羽根とを有することを特徴とする清掃装置である。
【0007】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれかに係る清掃装置において、前記掻き乱し部材は、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片の全てを配列したことを特徴とする清掃装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし6いずれかに係る清掃装置において、前記掻き乱し部材は、長手方向の一端から他端にかけて配列された突出片を複数の群に分け、複数の突出片群毎に搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片を配列すると共に各群の突出片の揺動周期を異ならせ、複数の突出片群毎の境界部に切り込みを形成することを特徴とする清掃装置である。
請求項9に係る発明は、画像形成装置筐体に対して着脱可能に設けられる画像形成組立体であって、トナー像が保持される像保持体と、この像保持体上の残留トナーを清掃する請求項1ないし8いずれかに係る清掃装置とを備えたことを特徴とする画像形成組立体である。
請求項10に係る発明は、トナー像が保持される像保持体と、この像保持体上の残留トナーを清掃する請求項1ないし8いずれかに係る清掃装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、回転する清掃部材とその下方に位置する搬送部材との間に残留トナーが滞留することを抑えると共に、搬送部材へのトナーの固着を防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、取付具を別途用意することなく、掻き落とし部材を兼用して掻き乱し部材を簡単に取り付けることができる。
請求項3に係る発明によれば、取付具を別途用意することなく、掻き落とし部材を兼用して掻き乱し部材を簡単且つ強固に取り付けることができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、掻き乱し部材による残留トナーの掻き乱し作用をより強化することができる。
請求項5に係る発明によれば、掻き落とし部材にて掻き落とされた残留トナーが掻き乱し部材上に不必要に堆積することを防止することができる。
請求項6に係る発明によれば、残留トナーが付着し易い合成樹脂製の搬送部材であっても、搬送部材への残留トナーの付着を抑え、かつ、搬送部材による残留トナーの搬送性を良好に保つことができる。
請求項7に係る発明によれば、搬送部材の回転によって掻き乱し部材の突出片の揺動動作を同じ揺動周期で実現することができる。
請求項8に係る発明によれば、搬送部材の回転によって掻き乱し部材の突出片の揺動動作を複数の群毎に異なる揺動周期で実現することができ、その分、掻き乱し部材の揺動動作に伴って生ずる発生音を低減することができる。
請求項9に係る発明によれば、回転する清掃部材とその下方に位置する搬送部材との間に残留トナーが滞留することを抑えると共に、搬送部材へのトナーの固着を防止することが可能な清掃性能の良好な清掃装置を含む画像形成組立体を容易に構築することができる。
請求項10に係る発明によれば、回転する清掃部材とその下方に位置する搬送部材との間に残留トナーが滞留することを抑えると共に、搬送部材へのトナーの固着を防止することが可能な清掃性能の良好な清掃装置を含む画像形成装置を容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は(b)中C方向から見た矢視図である。
【図2】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【図3】実施の形態1で用いられる画像形成組立体を示す斜視図である。
【図4】図3に示す画像形成組立体の一部断面説明図である。
【図5】図3に示す画像形成組立体を一部破断した斜視図である。
【図6】画像形成組立体の清掃装置の要部断面図である。
【図7】画像形成組立体の筐体を示す説明図である。
【図8】実施の形態1で用いられる清掃装置の一要素である掻き乱しシートの構成例及び掻き乱しシートの被取付部構造例を示す説明図である。
【図9】(a)は実施の形態1で用いられる掻き落とし部材を示す説明図、(b)は(a)中BーB線断面図である。
【図10】(a)は掻き乱しシートの取付構造のうち仮止め状態を示す説明図、(b)は掻き乱しシートの取付構造のうち本止め状態を示す説明図である。
【図11】(a)は掻き乱しシートと搬送部材との相対位置関係を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は搬送部材回転時における掻き乱しシートの挙動を示す説明図である。
【図12】(a)は掻き乱しシートと搬送部材との接触部を示す説明図、(b)は掻き乱しシートの自由長を短く設定した態様に対する搬送部材回転時における掻き乱しシートの挙動を示す説明図、(c)は掻き乱しシートの自由長を(b)の場合よりも長く設定したい態様に対する搬送部材回転時における掻き乱しシートの挙動を示す説明図、(d)は搬送部材回転時に掻き乱しシートが揺動動作しない態様を示す説明図である。
【図13】(a)は掻き乱しシートの変形形態を示す説明図、(b)は搬送部材回転時における掻き乱しシートのA群に相当する箇所での挙動を示す説明図、(c)は搬送部材回転時における掻き乱しシートのB群に相当する箇所での挙動を示す説明図である。
【図14】(a)〜(c)は掻き乱しシートの突出片の形状についての変形形態を示す説明図である。
【図15】実施例1〜4に係る清掃装置及び比較例に係る清掃装置を用いて清掃容器内のトナー堆積量の経時変化を示すグラフ図である。
【図16】実施例1〜3に係る清掃装置及び比較例に係る清掃装置に対するトナー排出量の特性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1(a)において、画像形成装置は、トナー像が保持される像保持体1と、この像保持体1上の残留トナーTrを清掃する清掃装置2とを備えている。
尚、画像形成装置が、画像形成装置筐体に対して着脱可能に設けられる画像形成組立体を備えた態様では、画像形成組立体が上述した像保持体1及び清掃装置2を構成要素として備えることもある。
本実施の形態では、清掃装置2は、図1(a)〜(c)に示すように、トナー像が保持される回転可能な像保持体1に対向して開口する清掃容器3と、この清掃容器3の開口に面して像保持体1との対向部にて上方側に向かって回転し且つ像保持体1上の残留トナーTrを清掃する清掃部材4と、前記清掃部材4と像保持体1との対向部の反対側に位置する清掃容器3に設けられ、清掃部材4に接触して清掃部材4に付着した残留トナーTrを掻き落とす掻き落とし部材5と、前記清掃部材4の下方に位置すると共に前記像保持体1の回転軸方向に向かって延びるように設けられ、回転中心の周囲に螺旋羽根6bを有し且つ回転することで前記掻き落とし部材5にて掻き落とした残留トナーTrを搬送する搬送部材6と、前記清掃容器3と像保持体1との対向部の反対側に位置する清掃容器3に一部が取り付けられて清掃部材4と搬送部材6との間の領域に延びる薄板状弾性部材からなり、前記搬送部材6に接触すると共に搬送部材6の回転によって揺動して周辺の残留トナーTrを掻き乱す掻き乱し部材7とを備え、前記掻き乱し部材7は、前記清掃容器3の被取付部8に取り付けられる取付片11と、前記搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して前記取付片11から搬送部材6側に向かって突出する複数の突出片12とを有し、前記突出片12はその先端と基端との中間部が前記搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部に接触するものである。
【0011】
このような技術的手段において、清掃部材4としては、像保持体1との対向部にて上方側に向かって回転するものであれば、ブラシ状、ロール状を問わない。また、清掃部材として、前述した回転する清掃部材4だけでもよいが、これに加えて、回転する清掃部材4よりも上方に板状清掃部材を付加し、板状清掃部材で像保持体1上の残留トナーを掻き取り、回転する清掃部材4上に残留トナーを落下させる態様でもよい。
また、掻き落とし部材5としては、回転する清掃部材4に付着した残留トナーTrを掻き落とす機能部材であればよく、少なくとも回転する清掃部材4に接触するものであれば特に形状は問わない。
更に、搬送部材6としては、少なくとも回転中心の周囲に螺旋羽根6bを有するものであればよく、代表的には回転中心線の全域に亘って回転軸部材6aを有するものが挙げられるが、回転中心線の両端に回転軸部材6aを有するだけで中間部分には回転軸部材6aを有さないものも含む。
更にまた、掻き乱し部材7は樹脂フィルム等による薄板状弾性部材からなり、その取付片11が清掃容器3の被取付部8に取り付けられるが、その取付構造は適宜選定して差し支えない。例えば取付片11を接着剤を用いて固定するようにしてもよいし、あるいは、取付具を用いて固定するようにしたり、接着剤及び取付具を用いて固定する等適宜選定して差し支えない。
また、掻き乱し部材7の突出片12は搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して突出するものであればその形状は特には問わないが、搬送部材6の回転に伴って掻き乱し部材7を揺動させるには、搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部に突出片12の先端と基端との中間部を接触させるようにすればよい。
【0012】
次に、実施の形態の代表的態様又は好ましい態様について述べる。
先ず、掻き乱し部材7の好ましい取付構造としては、掻き落とし部材5は清掃容器3の被取付部8に設けられた取付孔(図示せず)に挿入して固定される固定片(図示せず)を有し、前記掻き乱し部材7の取付片11は前記掻き落とし部材5の固定片に対応した挿入孔(図示せず)を有し、掻き落とし部材5の固定片を前記挿入孔に挿入させて掻き落とし部材5と清掃容器3との間に挟み込んだ状態で清掃容器3の被取付部8に固定されるものが挙げられる。
本態様は、掻き乱し部材7の取付具として掻き落とし部材5を利用する態様であり、掻き落とし部材5の固定片は清掃容器3の被取付部8の取付孔に挿入可能で、取付孔に引っ掛かる弾性変形可能な引っ掛け部(図示せず)を有していれば、単に取付孔に固定片を挿入するという操作だけで、掻き落とし部材5を固定することが可能である。
そして、掻き乱し部材7のより好ましい取付構造としては、前記掻き乱し部材7の取付片11は清掃容器3の被取付部8に接着固定されると共に掻き落とし部材5で固定されるものが挙げられる。
【0013】
また、掻き乱し部材7の取付片11の好ましい態様としては、清掃容器3の被取付部8は予め決められた取付面に対し当該取付面に隣接して清掃部材4に向かって角部が突出するように屈曲形成された屈曲面を有し、前記掻き乱し部材7の取付片11は清掃容器3の被取付部8の取付面及び屈曲面に沿って屈曲配置され、前記掻き乱し部材7の突出片12は前記屈曲面に対して折曲された状態で搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部に接触する態様が挙げられる。
本態様では、掻き乱し部材7の取付片11と突出片12との折曲角度が大きく確保され、突出片12による搬送部材6の螺旋羽根6bの上側周縁部への接触圧が大きく設定される点で好ましい。
更に、掻き乱し部材7の突出片12の好ましい態様としては、基端側より先端側が幅狭に形成された形状であるものがある。この種の形状としては、略三角形状、台形状などが挙げられる。この場合、突出片12間には隙間が積極的に確保されることから、掻き落とし部材5にて掻き落とされた残留トナーTrは前記隙間を通じて搬送部材6側に移動する点で好ましい。
【0014】
また、搬送部材6の代表的態様としては、合成樹脂にて一体的に成型され、回転中心に沿う回転軸部材6aとこの回転軸部材6aの周囲に形成される螺旋羽根6bとを有するものが挙げられる。ここで、合成樹脂の種類によっては残留トナーTrが付着し易いものがあるが、本実施の形態の掻き乱し部材7を用いるようにすれば、搬送部材6へのトナー付着が効果的に抑えられる点で好ましい。
更に、掻き乱し部材7の突出片12の代表的態様としては、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片12の全てを配列するものが挙げられる。
更にまた、掻き乱し部材7の突出片12の別の代表的態様としては、長手方向の一端から他端にかけて配列された突出片12を複数の群に分け、複数の突出片12群毎に搬送部材6の螺旋羽根6bのピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片12を配列すると共に各群の突出片12の揺動周期を異ならせ、複数の突出片12群毎の境界部に切り込み(図示せず)を形成する態様が挙げられる。
本態様は、複数の突出片12群毎に揺動周期を異ならせるために、各群の境界部構造を工夫し(境界部切り込み)、複数の突出片12群毎の周期動作を他の群と切り離して実現するようにしたものである。
【0015】
以下、添付図面に示す実施の形態に従って本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
−画像形成装置の全体構成−
図2は実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す。
同図において、画像形成装置30は、像保持体としてのドラム状の感光体31と、この感光体31を帯電する帯電装置32と、この帯電装置32で帯電された感光体31に静電潜像を光にて書き込む露光装置33と、感光体31上に書き込まれた静電潜像を現像剤(トナー)にて可視像化する現像装置34と、この現像装置34にて可視像化されたトナー像を記録材38に転写する転写装置35と、この転写装置35にて転写された後に感光体31上に残留する残留トナーTrを清掃する清掃装置36と、この清掃装置36と転写装置35との間に位置する感光体31に対向して設けられ、残留トナーTrの帯電極性を本来の帯電極性に調整する帯電調整装置37とを備えている。尚、記録材38に転写された転写像は図示外の定着装置にて定着された後に排出される。
【0016】
ここで、帯電装置32は例えば帯電容器321を有し、この帯電容器321内に帯電部材として放電ワイヤ322及びグリッド電極323を配設したものであり、この放電ワイヤ322を定期的に清掃するワイヤ清掃具324(図4参照)を有しているが、帯電装置32としてはこれに限られるものではなく、例えばロール状の帯電部材を用いるなど適宜選定して差し支えない。
また、露光装置33としては、レーザ走査装置やLEDアレイなどが使用される。
更に、現像装置34は、感光体31側が開口し且つ例えばトナー及びキャリアを含む二成分現像剤が収容される現像容器341を有し、この現像容器341の感光体31に面した箇所に現像剤が保持搬送可能な現像ロール342を配設すると共に、現像容器341内の現像ロール342の背面側にはトナーを摩擦帯電するために現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材343,344を例えば上下に配設し、撹拌搬送部材343,344にて撹拌搬送された現像剤を補助搬送部材345を介して現像ロール342に受け渡し、現像ロール342上に保持された現像剤を図示外の層厚規制部材にて層厚規制した後に感光体31に対向する現像域に現像剤を供給するようにしたものである。尚、現像装置34としては、上述した二成分現像方式に限られるものではなく、一成分現像方式など適宜選定して差し支えない。
更にまた、転写装置35としては、感光体31上のトナー像を記録材38側に静電転写させる転写電界を作用させるものであればよく、例えば転写バイアスが印加されるロール状の転写部材が用いられるが、これに限られるものではなく、放電ワイヤを用いた転写コロトロンなど適宜選定して差し支えない。
更に、帯電調整装置37としては、感光体31上の残留トナーTrの帯電極性を調整するものであればよく、例えば放電ワイヤを用いた帯電コロトロンなど適宜選定して差し支えない。
尚、清掃装置36の詳細については後述する。
【0017】
−画像形成組立体−
本実施の形態において、画像形成装置30は図示外の画像形成装置筐体に対して着脱可能な画像形成組立体40を有している。
この画像形成組立体40は、図3ないし図5に示すように、感光体31の周囲に帯電装置32、帯電調整装置37及び清掃装置36を予め決められた所定の位置関係に配置するように、支持枠45(図3,図7参照)にてこれらを支持するようにしたものである。
本例では、支持枠45は両側に位置する一対の支持板46と、これらを連結する連結部材47とを一体的に成形したものであり、前記連結部材47に前記清掃容器60を一体的に成形したものである。
尚、本例では、画像形成組立体40としては、感光体31を中心とした感光体組立体が用いられているが、これに限られるものではなく、更に、前記感光体組立体に対して現像装置34を押圧した状態で組付けるようにしてもよい。
【0018】
−清掃装置−
清掃装置36は、図2,図5及び図6に示すように、感光体31側が開口し且つ残留するトナーが収容される清掃容器60を有し、この清掃容器60の開口のうち感光体31回転方向下流側縁にブレードやスクレーパ等の板状清掃部材61を配設すると共に、この板状清掃部材61の感光体31の回転方向上流側にはブラシ状又はロール状の回転清掃部材62を配設し、前記清掃容器60の開口のうち感光体31回転方向上流側縁に封止用のシール部材63を設け、更に、清掃容器60内の回転清掃部材62の下方には清掃された残留トナーを廃棄回収するために搬送する搬送部材64を配設したものである。
本例では、回転清掃部材62は、感光体31との対向部にて上方側(図中反時計回り方向)に向かって回転するようになっている。
また、搬送部材64は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂にて一体的に成形されたものであり、感光体31の回転軸方向に沿って延びる回転軸部材64a(図11参照)と、この回転軸部材64aの周囲に予め決められたピッチ間隔で螺旋状に設けられる螺旋羽根64bとを有し、回転軸部材64aを予め決められた方向に回転させることで、清掃容器60の下方に堆積した図示外の残留トナーを例えば画像形成装置の奥側に向けて搬送するものである。
【0019】
<掻き落とし部材>
本例では、回転清掃部材62と感光体31との対向部の反対側に位置する清掃容器60には、回転清掃部材62に接触して当該回転清掃部材62に付着した残留トナーを掻き落とす掻き落とし部材としてのフリッカ65が取り付けられている。
ここで、フリッカ65が取付けられる清掃容器60の被取付部70は、図5、図6及び図8に示すように、予め決められた取付面71(本例では斜め下方に向かってせり出す傾斜面)に対し当該取付面71に隣接して回転清掃部材62に向かって角部が突出するように屈曲形成された屈曲面72を有しており、前記取付面71には予め決められた間隔毎に取付孔73が開設されている。
一方、フリッカ65は、例えばポリプロピレン樹脂等の合成樹脂にて一体成形されており、図8及び図9に示すように、前記被取付部70の取付面71に対応する取付板81を有すると共に、この取付板81の一端側には前記被取付部70の屈曲面72に対応して屈曲する屈曲片82を形成し、更に、取付板81と屈曲片82との境界部には前記回転清掃部材62に接触する断面円弧状の突出エッジ83を形成するものである。更に、このフリッカ65は、前記取付板81の裏面には前記被取付部70の取付孔73に対応して固定突起84を突出させ、この固定突起84の先端には弾性変形可能な引っ掛け爪部85を形成し、前記取付孔73に固定突起84を挿入したときに前記取付孔73の奥側縁部に前記引っ掛け爪部85を引っ掛けることで前記取付孔73に前記固定突起84を固定するようにしたものである。ここで、前記引っ掛け爪部85は、弾性変形可能に形成されているため、前記取付孔73への固定突起84の挿入動作を許容するものである。
尚、図9中、符号86は固定突起84の引っ掛け爪部85に対応して屈曲片82の一部に設けられた切欠であり、この切欠86は引っ掛け爪部85を移動可能な型で製造する際に当該型を抜き取るためのものである。
【0020】
<掻き乱しシート>
本例では、回転清掃部材62と搬送部材64との間の領域には、図5、図6及び図8に示すように、周辺の残留トナーを掻き乱す掻き乱しシート66が設けられている。
この掻き乱しシート66は例えばポリエチレン樹脂にて厚さ30〜60μmのフィルム状に形成されており、前記清掃容器60の被取付部70の取付面71に対応する長尺な取付片91を有し、この取付片91の前記取付面71に対応した面には例えば両面接着テープを用いることで使用可能な接着層92(図10参照)を設けると共に、前記取付片91には前記被取付部70の取付孔73に対応して挿入孔93を予め決められた間隔で形成したものである。
そして、この掻き乱しシート66は、前記取付片91から前記搬送部材64側に向かって延びる揺動片94を有しており、この揺動片94の先端側には搬送部材64の螺旋羽根64bのピッチ間隔pに対応した間隔dで例えば突出寸法hにて突出する複数の突出片95を形成したものである(図11(a)参照)。
本例では、この複数の突出片95としては基端側より先端側が幅狭に形成される形状として略三角形状が採用されている。
【0021】
<掻き乱しシートの取付構造>
次に、掻き乱しシート66の取付構造について説明する。
先ず、図8及び図10(a)に示すように、清掃容器60の被取付部70の取付孔73と掻き乱しシート66の挿入孔93とを位置合わせした状態で、被取付部70の取付面71に掻き乱しシート66の取付片91を接着層92を介して仮止めする。
この後、図10(b)に示すように、被取付部70の取付孔73及び掻き乱しシート66の挿入孔93に対しフリッカ65の固定突起84を挿入し、固定突起84の引っ掛け爪部85を前記取付孔73の奥側縁部に引っ掛かけることで、前記被取付部70にフリッカ65を取り付けるようにする。
この状態において、掻き乱しシート66は被取付部70の取付面71に接着固定されると共に、フリッカ65を取付具として利用し、被取付部70とフリッカ65とに挟持された状態で押さえ込まれる。
【0022】
<掻き乱しシートの挙動>
掻き乱しシート66の取付片91及び揺動片94の一部は、図10(b)に示すように、フリッカ65の取付板81及び屈曲片82からなる屈曲形状に沿って屈曲配置されることになり、掻き乱しシート66の揺動片94のうちフリッカ65の屈曲片82端部から角度αにて折曲された部分が揺動運動可能な自由長FL(Free Length)として機能するようになっている。
特に、本例では、図11(a)(b)に示すように、掻き乱しシート66の揺動片94の先端に形成された複数の突出片95は、その先端と基端との中間部が搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部に接触するようになっている。
そして、掻き乱しシート66の揺動片94は被取付部70の屈曲面72に対し角度α(図10参照)にて大きく折曲された状態で搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周辺部に接触することから、突出片95による搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部への接触圧は大きく設定される。
このため、掻き乱しシート66の揺動片94は、図11(a)〜(c)に示すように、搬送部材64の回転によって、搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部と、螺旋羽根64bに接触しない部分との間で角度θにて揺動運動する。
このとき、掻き乱しシート66の揺動片94は、螺旋羽根64bに接触しない部分において、回転軸部材64aに接触するか否かは特には問わない。
【0023】
−画像形成装置の作動−
本実施の形態で用いられる画像形成装置の作動を清掃装置を中心に説明する。
今、画像形成装置において一連の作像プロセスが行われると、図2に示すように、帯電装置32にて感光体31が帯電され、露光装置33にて感光体31上に静電潜像が形成され、感光体31上の静電潜像は現像装置34にてトナー像Tとして可視像化され、感光体31上のトナー像は転写装置35にて記録材38に転写された後、図示外の定着装置にて定着される。
このとき、転写装置35を経た感光体31上には転写残トナーが残留トナーTrとして残留しているが、この残留トナーTrは帯電特性が逆帯電されたものであるとしても、帯電調整装置37にて本来の帯電特性に調整された後に、清掃装置36にて清掃される。
この清掃装置36では、板状清掃部材61及び回転清掃部材62が感光体31上の残留トナーTrを掻き取る。このとき、板状清掃部材61で掻き取った残留トナーTrは回転清掃部材62上に落下し、回転清掃部材62で掻き取った残留トナーTrと共に回転方向に沿って付着搬送される。
そして、回転清掃部材62に付着した残留トナーTrはフリッカ65の突出エッジ83にて清掃容器60の下方に掻き落とされる。
このとき、回転清掃部材62とその下方に位置する搬送部材64との間の領域には掻き乱しシート66が設けられているが、掻き乱しシート66の先端側には複数の突出片95が設けられ、複数の突出片95間には隙間96(図8参照)が確保されることから、フリッカ65にて掻き落とされた残留トナーTrは複数の突出片95の隙間96を通じて搬送部材64側に落下していき、搬送部材64によって所定方向に搬送され、廃棄回収される。
【0024】
このような清掃装置の清掃過程において、掻き乱しシート66は、図11(a)〜(c)に示すように、搬送部材64の回転mに伴って揺動運動するが、掻き乱しシート66は、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材64の螺旋羽根64bのピッチ間隔pに対応して同じ間隔dで突出片95の全てを配列したものであるため、掻き乱しシート66の揺動片94の揺動運動は、同じ揺動周期の突出片95の揺動運動に依存したものになる。
このような掻き乱しシート66の揺動運動は、搬送部材64の螺旋羽根64bに付着した残留トナーTrを掻き乱すと共に、回転清掃部材62と搬送部材64との間に滞留する残留トナーTrを掻き乱すため、残留トナーTrは搬送部材64の螺旋羽根64bへ固着する懸念は少なく、また、回転清掃部材62と搬送部材64との間の領域に残留トナーTrが堆積することはほとんどない。
仮に、このような掻き取りシート66を用いない態様では、搬送部材64に残留トナーTrが固着し、その分、搬送部材64によるトナー搬送量が低減する懸念があるほか、搬送部材64の周囲の残留トナーTrが滞留して壁状態になってしまい、トンネル状に至ってしまう懸念がある。
【0025】
<掻き乱しシートの自由長>
掻き乱しシート66の自由長と掻き乱し作用との関係について説明する。
今、図12(a)に実線で示すように、掻き乱しシート66の自由長FLを短めのFL1(図12(b)参照)に設定すると、掻き乱しシート66の揺動運動範囲が小さい分、掻き乱しシート66によるトナー掻き乱し作用は比較的小さい。
これに対し、図12(a)に二点鎖線で示すように、掻き乱しシート66の自由長FLを長めのFL2(図12(c)参照)に設定すると、掻き乱しシート66の揺動運動範囲が大きくなる分、掻き乱しシート66によるトナー掻き乱し作用は大きくなる傾向にある。
但し、図12(b)(c)に示すように、掻き乱しシート66の自由長FLを長く設定するにしても、掻き乱しシート66を揺動運動させるには、掻き乱しシート66の突出片95はその先端と基端との中間部が搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部に接触するようになっていることが必要である。
この点、図12(d)に示すように、掻き乱しシート66の自由長FLをより長くFL3に設定したとしても、揺動片94のうち突出片95ではない部分が搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部に接触した場合には、揺動運動は生じないので留意する必要がある。
【0026】
◎変形形態1
実施の形態1では、掻き乱しシート66は、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材64の螺旋羽根64bのピッチ間隔pに対応して同じ間隔dで突出片95の全てを配列したものであるが、これに限られるものではなく、掻き乱しシート66としては、例えば図13(a)に示すように、長手方向の一端から他端にかけて配列された突出片95を複数の群(本例ではA群、B群)に分け、複数の突出片95のA群、B群毎に搬送部材64の螺旋羽根64bのピッチ間隔pに対応して同じ間隔dで突出片95を配列すると共に、各群の突出片95の揺動周期(例えば1/2周期)を異ならせ、複数の突出片95のA群、B群毎の境界部に切り込み97を形成するようにすればよい。
本態様によれば、掻き乱しシート66は、搬送部材64の回転によって突出片95の揺動運動に伴って揺動運動する。本例では、図13(b)に示すように、A群の突出片95が時間t1で搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部P(t1)に位置し、時間t1から1/2周期経過した時間t2で搬送部材64の螺旋羽根64bと接触しない位置P(t2)に移動すると仮定すると、図13(c)に示すように、B群の突出片95は、時間t1で搬送部材64の螺旋羽根64bと接触しない位置P(t1)に位置し、時間t1から1/2周期経過した時間t2で搬送部材64の螺旋羽根64bの上側周縁部P(t2)に移動する。
このため、掻き乱しシート66は、A群、B群の間で揺動周期が1/2周期ずれた形で揺動運動する。このため、全て同じ揺動周期の掻き乱しシート66に比べて揺動運動時に生ずる発生音が低減される点で好ましい。
このとき、掻き乱しシート66のA群、B群の境界部には切り込み97が形成されているため、切り込み97がA群、B群の境界部に隣接する位置に位置する突出片95の揺動運動の違いを許容するように働く。このため、A群、B群の突出片95の揺動運動は他の群の揺動運動に影響を受けることなく安定して行われる。
尚、本変形態様1では、掻き乱しシート66の突出片95は二つの群に分けられたが、三以上の群に分け、夫々の群で揺動周期を異ならせるようにしてもよい。
【0027】
◎変形形態2
本実施の形態では、掻き乱しシート66の突出片95は略三角形状に形成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば図14(a)に示すように、略台形状の突出片95ー1に形成してもよい。
また、本実施の形態では、掻き乱しシート66の突出片95は搬送部材64の回転軸方向に対して略直交する方向に向かって突出し、回転軸方向に略対称な形状に形成されていたが、これに限られるものではなく、例えば図14(b)に示すように、搬送部材64の螺旋羽根64bの螺旋方向に沿う順方向に突出する突出片95ー2として形成してもよいし、図14(c)に示すように、搬送部材64の螺旋羽根64bの螺旋方向と交差する逆方向に突出する突出片95ー3として形成してもよい。
【実施例】
【0028】
<トナー排出性能評価>
実施の形態1に係る画像形成装置を用い、実施例1〜4及び比較例にてトナー排出性能を評価した。
ここで、実施例1〜4及び比較例は以下の通りである。
実施例1:掻き乱しシート(自由長FL10mm)
実施例2:掻き乱しシート(自由長FL12mm)
実施例3:掻き乱しシート(自由長FL14mm)
実施例4:掻き乱しシート(自由長FL12mm+フリッカの突出エッジ最適化)
比較例:掻き乱しシート未使用
評価方法としては、清掃容器内に27gのトナーを充填し、感光体及び清掃装置を所定時間稼働させたときのトナー排出量を測定し、差分を清掃容器内のトナー堆積量とした。
結果を図15に示す。
本例では、実施例1〜4は比較例に比べればトナー排出性能が良好であることが理解される。
特に、掻き乱しシートによる掻き乱し作用を良好に保つという観点からすれば、実施例2,3のように、掻き乱しシートの自由長FLを最適化することが重要であることが把握される。
実施例4は実施例2の態様に加えて、フリッカの突出エッジを最適化したものである。具体的には、清掃容器の被取付部とフリッカとの間に掻き乱しシートを挟んだことに伴って、フリッカと回転清掃部材としてのブラシとのニップ量が増加することになるため、掻き乱しシートの厚さ分フリッカの突出エッジの突出量を削り、フリッカと回転清掃部材としてのブラシとのニップ量を実施例2に比べて低減させたものである。
実施例4によれば、フリッカの突出エッジを最適化したことに伴って、掻き乱しシートによる掻き乱し作用がより良好に至っていることが理解される。
【0029】
また、実施例1〜3について掻き乱しシートの移動角度とトナー排出量との関係を調べたところ、図16に示す結果が得られた。
同図によれば、実施例2,3が実施例1に比べて掻き乱しシートの移動角度が大きく、かつ、トナー排出量も大きいことが確認された。
尚、図16中、点線は比較例(掻き乱しシート未使用)の場合のトナー排出量を参考までに示したものである。
【符号の説明】
【0030】
1…像保持体,2…清掃装置,3…清掃容器,4…清掃部材,5…掻き落とし部材,6…搬送部材,6a…回転軸部材,6b…螺旋羽根,7…掻き乱し部材,8…被取付部,11…取付片,12…突出片,Tr…残留トナー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が保持される回転可能な像保持体に対向して開口する清掃容器と、
この清掃容器の開口に面して像保持体との対向部にて上方側に向かって回転し且つ像保持体上の残留トナーを清掃する清掃部材と、
前記清掃部材と像保持体との対向部の反対側に位置する清掃容器に設けられ、清掃部材に接触して清掃部材に付着した残留トナーを掻き落とす掻き落とし部材と、
前記清掃部材の下方に位置すると共に前記像保持体の回転軸方向に向かって延びるように設けられ、回転中心の周囲に螺旋羽根を有し且つ回転することで前記掻き落とし部材にて掻き落とした残留トナーを搬送する搬送部材と、
前記清掃容器と像保持体との対向部の反対側に位置する清掃容器に一部が取り付けられて清掃部材と搬送部材との間の領域に延びる薄板状弾性部材からなり、前記搬送部材に接触すると共に搬送部材の回転によって揺動して周辺の残留トナーを掻き乱す掻き乱し部材とを備え、
前記掻き乱し部材は、前記清掃容器の被取付部に取り付けられる取付片と、前記搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して前記取付片から搬送部材側に向かって突出する複数の突出片とを有し、前記突出片はその先端と基端との中間部が前記搬送部材の螺旋羽根の上側周縁部に接触するものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
請求項1記載の清掃装置において、
前記掻き落とし部材は清掃容器の被取付部に設けられた取付孔に挿入して固定される固定片を有し、
前記掻き乱し部材の取付片は前記掻き落とし部材の固定片に対応した挿入孔を有し、掻き落とし部材の固定片を前記挿入孔に挿入させて掻き落とし部材と清掃容器との間に挟み込んだ状態で清掃容器の被取付部に固定されることを特徴とする清掃装置。
【請求項3】
請求項2記載の清掃装置において、
前記掻き乱し部材の取付片は清掃容器の被取付部に接着固定されると共に掻き落とし部材で固定されるものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれかに記載の清掃装置において、
前記清掃容器の被取付部は予め決められた取付面に対し当該取付面に隣接して清掃部材に向かって角部が突出するように屈曲形成された屈曲面を有し、
前記掻き乱し部材の取付片は清掃容器の被取付部の取付面及び屈曲面に沿って屈曲配置され、前記掻き乱し部材の突出片は前記屈曲面に対して折曲された状態で搬送部材の螺旋羽根の上側周縁部に接触することを特徴とする清掃装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の清掃装置において、
前記掻き乱し部材の突出片は基端側より先端側が幅狭に形成された形状であることを特徴とする清掃装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の清掃装置において、
前記搬送部材は、合成樹脂にて一体的に成形され、回転中心に沿う回転軸部材とこの回転軸部材の周囲に形成される螺旋羽根とを有することを特徴とする清掃装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかに記載の清掃装置において、
前記掻き乱し部材は、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片の全てを配列したことを特徴とする清掃装置。
【請求項8】
請求項1ないし6いずれかに記載の清掃装置において、
前記掻き乱し部材は、長手方向の一端から他端にかけて配列された突出片を複数の群に分け、複数の突出片群毎に搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片を配列すると共に各群の突出片の揺動周期を異ならせ、複数の突出片群毎の境界部に切り込みを形成することを特徴とする清掃装置。
【請求項9】
画像形成装置筐体に対して着脱可能に設けられる画像形成組立体であって、
トナー像が保持される像保持体と、
この像保持体上の残留トナーを清掃する請求項1ないし8いずれかに記載の清掃装置とを備えたことを特徴とする画像形成組立体。
【請求項10】
トナー像が保持される像保持体と、
この像保持体上の残留トナーを清掃する請求項1ないし8いずれかに記載の清掃装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナー像が保持される回転可能な像保持体に対向して開口する清掃容器と、
この清掃容器の開口に面して像保持体との対向部にて上方側に向かって回転し且つ像保持体上の残留トナーを清掃する清掃部材と、
前記清掃部材と像保持体との対向部の反対側に位置する清掃容器に設けられ、清掃部材に接触して清掃部材に付着した残留トナーを掻き落とす掻き落とし部材と、
前記清掃部材の下方に位置すると共に前記像保持体の回転軸方向に向かって延びるように設けられ、回転中心の周囲に螺旋羽根を有し且つ回転することで前記掻き落とし部材にて掻き落とした残留トナーを搬送する搬送部材と、
前記清掃容器と像保持体との対向部の反対側に位置する清掃容器に一部が取り付けられて清掃部材と搬送部材との間の領域に延びる薄板状弾性部材からなり、前記搬送部材に接触すると共に搬送部材の回転によって揺動して周辺の残留トナーを掻き乱す掻き乱し部材とを備え、
前記掻き乱し部材は、前記清掃容器の被取付部に取り付けられる取付片と、前記搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して前記取付片から搬送部材側に向かって突出する複数の突出片とを有し、前記突出片はその先端と基端との中間部が前記搬送部材の螺旋羽根の上側周縁部に接触するものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
請求項1記載の清掃装置において、
前記掻き落とし部材は清掃容器の被取付部に設けられた取付孔に挿入して固定される固定片を有し、
前記掻き乱し部材の取付片は前記掻き落とし部材の固定片に対応した挿入孔を有し、掻き落とし部材の固定片を前記挿入孔に挿入させて掻き落とし部材と清掃容器との間に挟み込んだ状態で清掃容器の被取付部に固定されることを特徴とする清掃装置。
【請求項3】
請求項2記載の清掃装置において、
前記掻き乱し部材の取付片は清掃容器の被取付部に接着固定されると共に掻き落とし部材で固定されるものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれかに記載の清掃装置において、
前記清掃容器の被取付部は予め決められた取付面に対し当該取付面に隣接して清掃部材に向かって角部が突出するように屈曲形成された屈曲面を有し、
前記掻き乱し部材の取付片は清掃容器の被取付部の取付面及び屈曲面に沿って屈曲配置され、前記掻き乱し部材の突出片は前記屈曲面に対して折曲された状態で搬送部材の螺旋羽根の上側周縁部に接触することを特徴とする清掃装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の清掃装置において、
前記掻き乱し部材の突出片は基端側より先端側が幅狭に形成された形状であることを特徴とする清掃装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の清掃装置において、
前記搬送部材は、合成樹脂にて一体的に成形され、回転中心に沿う回転軸部材とこの回転軸部材の周囲に形成される螺旋羽根とを有することを特徴とする清掃装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかに記載の清掃装置において、
前記掻き乱し部材は、長手方向の一端から他端にかけて搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片の全てを配列したことを特徴とする清掃装置。
【請求項8】
請求項1ないし6いずれかに記載の清掃装置において、
前記掻き乱し部材は、長手方向の一端から他端にかけて配列された突出片を複数の群に分け、複数の突出片群毎に搬送部材の螺旋羽根のピッチ間隔に対応して同じ間隔で突出片を配列すると共に各群の突出片の揺動周期を異ならせ、複数の突出片群毎の境界部に切り込みを形成することを特徴とする清掃装置。
【請求項9】
画像形成装置筐体に対して着脱可能に設けられる画像形成組立体であって、
トナー像が保持される像保持体と、
この像保持体上の残留トナーを清掃する請求項1ないし8いずれかに記載の清掃装置とを備えたことを特徴とする画像形成組立体。
【請求項10】
トナー像が保持される像保持体と、
この像保持体上の残留トナーを清掃する請求項1ないし8いずれかに記載の清掃装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−58521(P2012−58521A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202083(P2010−202083)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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