説明

清掃装置

【課題】安全且つ省電力で騒音も小さく、汚れのみを効果的に拭き取ることができると共に、短時間で手軽に使用できる清掃装置を提供すること。
【解決手段】清掃装置1は、霧化装置6の超音波振動子13が発生させたミストMを、電動送風機7が発生させた気流Fに乗せて送り出し、ミスト通路8を経由してミストノズル24から被清掃面Sに向けて噴出させることで被清掃面Sを濡らし、この被清掃面S上の水分を拭部材4の拭シート23によって汚れや塵埃ごと拭き取ることで、被清掃面Sを拭き掃除することができる。そして、前記ミストM及び気流Fが比較的低温なので、被清掃面Sのワックス等を剥がしてしまわず、塵埃を舞い上げずに除去することができ、また、使用者や周りにいる者が火傷等をしないようにすることができる。更に、低騒音且つ小電力で大量のミストMを即時に発生させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床等を拭き掃除するための清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の清掃装置としては、スチーム発生機が発生させたスチームをスチーム噴出管から床面等に噴出させた後、雑巾装着部に装着された雑巾によって、凝縮したスチームと共に床面等の汚れを拭き取るスチームクリーナーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−327449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の清掃装置は、使用するスチームの熱によって、意図せず床面等の被清掃面に塗布されたワックスまでも剥がしてしまう虞があった。また、従来の清掃装置は、高温のスチームを使用するため、場合によっては、使用者や周りにいる者を火傷させてしまう虞があった。また、従来の清掃装置は、高出力のヒータを用いて大量のスチームを短時間で発生させなければならないので、大電力を消費してしまうばかりでなく、水の沸騰音やスチームの噴射による騒音等が発生するので、静かに清掃することができないという問題があった。更に、従来の清掃装置は、スチームを発生させるために水を沸騰させる必要があり、高出力のヒータを用いたとしても、電力の供給を開始してからスチームが発生して使用可能となるまでに時間がかかるので、使いたい時に手軽にすぐ使用できないという問題もあった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、安全且つ省電力で騒音も小さく、汚れのみを効果的に拭き取ることができると共に、短時間で手軽に使用できる清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の清掃装置は、本体と、この本体に対して可動に取り付けられた拭部材と、前記本体に設けられた把持部とを有し、前記本体に、超音波振動子を有する霧化装置と、気流を発生させる電動送風機と、前記霧化装置が発生させたミストを気流に乗せて前記本体外に送り出すミスト通路とを設けると共に、被清掃面に向けてミストを噴出させるためのミストノズルを前記拭部材の近傍に設けたものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の清掃装置は、本体と、この本体に対して可動に取り付けられた拭部材と、前記本体に設けられた把持部とを有し、前記本体に、超音波振動子を有する霧化装置と、気流を発生させる電動送風機と、前記霧化装置が発生させたミストを気流に乗せて前記本体外に送り出すミスト通路とを設け、前記霧化装置が、筒状部と、この筒状部に対して接線方向に前記気流を導入する導風路と、前記筒状部の中央に同軸状に設けられると共に前記ミスト通路に接続される排出路とを有して構成される遠心分離室を有すると共に、被清掃面に向けてミストを噴出させるためのミストノズルを前記拭部材の近傍に設けたものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の清掃装置は、請求項1又は2において、前記ミスト通路の途中に液止め部を設けたものである。
【0009】
更に、本発明の請求項4に記載の清掃装置は、請求項1又は2において、前記本体が、前記拭部材に対して垂直状態から後方に傾斜可能に取り付けられていると共に、前記霧化装置の霧化室の下後部に前記超音波振動子を設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の清掃装置は、以上のように構成することにより、前記霧化装置の超音波振動子を振動させて発生させたミストが、前記電動送風機が発生させた気流に乗って送り出され、前記ミスト通路を経由して前記ミストノズルから被清掃面に向けて噴出する。そして、被清掃面に向けて噴出したミストによって被清掃面が濡らされ、この被清掃面上の水分を前記拭部材によって汚れや塵埃ごと拭き取ることで、被清掃面が拭き上げられる。この際、被清掃面には比較的温度の低いミストが吹き付けられるので、被清掃面に塗布されたワックス等の保護層を剥がしてしまわないようにすることができるばかりでなく、使用者や周りにいる者を火傷させないようにすることができる。また、ミストを送り出すための気流の温度が周囲の気温とほぼ等しい(即ち、気流の密度が周囲の空気の密度とほぼ等しい)ことで、前記気流は、前記ミストノズルから噴出された後で上昇せず、被清掃面に沿って広がる。この結果、前記ミストは、前記気流中で自重により沈降して被清掃面を効果的に濡らすことができるので、被清掃面上の塵埃にミストを効果的に付着させ、清掃中に塵埃が舞い上がりにくくすることができる。更に、前記霧化装置が超音波振動子を有することで、小電力で大量のミストを発生させることができるばかりでなく、使用を開始するための操作から短時間でミストを発生させることができると共に、ミストの発生に伴う騒音を抑えることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の清掃装置は、以上のように構成することにより、前記霧化装置の超音波振動子を振動させて発生させたミストが、前記電動送風機が発生させた気流に乗って送り出され、前記ミスト通路を経由して前記ミストノズルから被清掃面に向けて噴出する。そして、被清掃面に向けて噴出したミストによって被清掃面が濡らされ、この被清掃面上の水分を前記拭部材によって汚れや塵埃ごと拭き取ることで、被清掃面が拭き上げられる。この際、被清掃面には比較的温度の低いミストが吹き付けられるので、被清掃面に塗布されたワックス等の保護層を剥がしてしまわないようにすることができるばかりでなく、使用者や周りにいる者を火傷させないようにすることができる。また、前記霧化装置で発生したミストのうち、粗いミストが前記遠心分離室で分離され、細かいミストが前記ミスト通路を経て前記ノズルから被掃除面に吹き付けられるので、ミストが薬剤等を含む場合、ミストの体積に対する表面積の比率が高くなることで、被清掃面に付着した汚れに対する反応性を高めることができる。また、ミストを送り出すための気流の温度が周囲の気温とほぼ等しい(即ち、気流の密度が周囲の空気の密度とほぼ等しい)ことで、前記気流は、前記ミストノズルから噴出された後で上昇せず、被清掃面に沿って広がる。この結果、前記ミストは、前記気流中で自重により沈降して被清掃面を効果的に濡らすことができるので、被清掃面上の塵埃にミストを効果的に付着させ、清掃中に塵埃が舞い上がりにくくすることができる。更に、前記霧化装置が超音波振動子を有することで、小電力で大量のミストを発生させることができるばかりでなく、使用を開始するための操作から短時間でミストを発生させることができると共に、ミストの発生に伴う騒音を抑えることができる。
【0012】
また、前記ミスト通路の途中に液止め部を設けたことで、前記清掃装置を倒してしまった場合でも、前記霧化装置内の水が前記ミスト通路を経て前記ノズルから被清掃面に流出するのを防止することができる。
【0013】
更に、前記本体を前記拭部材に対して垂直状態から後方に傾斜可能にすると共に、前記霧化装置の霧化室の下後部に前記超音波振動子を設けたことで、使用に伴って前記本体を後方に傾斜させても、振動中の前記超音波振動子が空中に露出しにくくなっているので、前記超音波振動子を破損させにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す清掃装置の正面図である。
【図2】同、右側面図である。
【図3】同、拭部材近傍の拡大右側面図である。
【図4】同、霧化装置の概略図である。
【図5】同、A−A拡大断面図である。
【図6】同、本体を傾斜させた状態におけるA−A断面図である。
【図7】同、B−B断面図である。
【図8】同、C−C断面図である。
【図9】同、液止め部の概略図である。
【図10】同、回路図である。
【図11】本発明の第二の実施形態を示す清掃装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第一の実施形態について、図1乃至図10に基づいて説明する。1は本発明の清掃装置である。この清掃装置1は、本体2と、この本体2の下部に対して関節部3を介して揺動可能に取り付けられた拭部材4と、前記本体2の上部に取り付けられた把持部5とを有して構成される。なお、前記本体1及び把持部5は、前記関節部3の回動軸を中心として、図2に示す前記本体2が直立した状態から、後方(図2における右側)に傾斜するように構成される。
【0016】
前記本体2内には、霧化装置6と、電動送風機7と、ミスト通路8が設けられる。前記霧化装置6は、水タンク9と、霧化室10と、遠心分離室11とを有して構成される。そして、前記水タンク9は、前記霧化室10に対して着脱自在に取り付けられる。なお、前記水タンク9は、前記霧化室10内の水位をほぼ一定に保つように構成される。また、前記霧化室10の底部には貫通孔12が形成され、この貫通孔12を閉塞するように、超音波振動子13が取り付けられる。なお、前記貫通孔12は、前記霧化室10の後方寄りに形成される。即ち、前記超音波振動子13は、前記霧化室10の後方寄りに設けられる。また、前記遠心分離室11は、円筒状の筒状部14と、導風路15と、排出路16とを有して構成される。前記導風路15は、前記筒状部14における前記霧化室10側(即ち、図5における前記筒状部14の下部)に、前記筒状部14の内面に対して接線方向に接続されるように形成される。そして、前記導風路15には、前記電動送風機7が接続される。また、前記排出路16は、前記筒状部14の反前記霧化室10側(即ち、図5における前記筒状部14の上部)から前記霧化室10側(即ち、図5における下方)へ同軸状に伸びて設けられる。更に、前記排出路16は、前記ミスト通路8の一部を構成する上流側通路8Aに接続される。
【0017】
また、前記ミスト通路8の途中には、液状の水を排出させないようにするための液止め部17が設けられる。この液止め部17は、図9に示すように、貯水部18と、この貯水部18の上部に設けられた入口管部19と、前記貯水部18の下部に設けられた出口管部20とを有して構成される。なお、図9は、前記本体2が直立した状態における前記液止め部17を示すものである。そして、前記入口管部19の前記貯水部18内における端部19Aは、図9の状態において下向きに開口する。一方、前記出口管部20の前記貯水部18内における端部20Aは、図9の状態において下向きに開口するように屈曲する。そして、前記出口管部20の下端には、前記ミスト通路8の一部を構成する屈曲自在なホース部21が接続される。
【0018】
前記拭部材4は、基部22と、この基部22に対して着脱自在に取り付けられる拭シート23とを有して構成される。なお、この拭シート23の前記基部22への取付構造は、公知の構造を用いることができる。そして、前記拭部材4の前方には、ミストノズル24が取り付けられる。このミストノズル24は、その後部に腕部24Aを有し、この腕部24Aが前記関節部3に枢支される。また、前記ミストノズル24は、前記ホース部21に接続される。そして、前記ミストノズル24の前端に形成された噴出口24Bは、被清掃面Sに近接して開口すると共に、前記基部22の幅とほぼ等しく形成される。
【0019】
前記把持部5は、前記本体2に接続された棒状部25と、この棒状部25の先端に設けられた握り部26と、この握り部26に設けられた操作部27とを有して構成される。そして、この操作部27を操作することで、スイッチ28がオン又はオフとなり、制御回路29によって前記電動送風機7及び超音波振動子13へ電力が供給されたり遮断されたりする。なお、30は図示しない交流電源に接続された電源プラグ31から供給される交流電流を直流電流に変換する交流−直流変換回路である。
【0020】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記水タンク9に水を入れた後、この水タンク9を前記霧化室10に取り付ける。そして、このように前記水タンク9が前記霧化室10に取り付けられると、前記水タンク9内の水は前記霧化室10内に流れ込む。そして、この霧化室10内の水位が所定の値に達すると、前記水タンク9から前記霧化室10への水の流入は停止する。ここで、前述したように、前記超音波振動子13が、前記霧化室10の底部に形成された前記貫通孔12を閉塞するように取り付けられていることで、前記霧化室10における最も低い位置に設けられるので、前記本体2が直立した状態では、前記超音波振動子13は、常時水中に位置する。なお、前記清掃装置1を使用する場合、前記把持部5の握り部26を把持し、図3に示すように、前記本体2を後方に傾斜させることになる。しかしながら、前述したように、前記貫通孔12が前記霧化室10の後方寄りに形成されることで、前記超音波振動子13が、前記霧化室10の後方寄りに設けられるので、図6に示すように、前記本体2が後方に傾斜したとしても、前記超音波振動子13が水面上に露出しにくくなっている。そして、使用者は、前記拭シート23を前記基部22に取り付ける。更に、使用者は、前記電源プラグ31を図示しない交流電源に接続する。このようにして、前記清掃装置1は使用可能な状態となる。
【0021】
そして、前記操作部27を操作して前記スイッチ28をオンにすることで、前記制御回路29は、前記交流−直流変換回路30によって直流変換された電力を、前記電動送風機7及び超音波振動子13に供給する。このように、前記超音波振動子13に電力が供給されると、この超音波振動子13は超音波帯域の振動数で振動し、前記霧化室10内の水を霧化する。このようにしてミストMが発生する。なお、前記電動送風機7及び超音波振動子13の作動音は、従来の清掃装置で用いられるスチーム発生装置と比べて静かである。従って、本願の清掃装置1は、従来のものに比べて静かにすることができる。また、超音波振動を霧化室10内の水に与えることで前記ミストが直ちに発生するので、本願の清掃装置1は、前記スイッチ28をオンにすることによって、前記ミストを速やかに発生させることができる。従って、本願の清掃装置1は、従来のものに比べて短時間で使用可能な状態にすることができる。更に、前記超音波振動子13は、従来の清掃装置で用いられるスチーム発生装置(即ちヒータ)と比べて消費電力が小さい。従って、本願の清掃装置1は、従来のものに比べて省電力にすることができる。そして、前記電動送風機7が作動することによって発生した気流Fは、前記遠心分離室11の筒状部14の下部に形成された前記導風路15から前記筒状部14内に流入する。なお、前記導風路15が、前記筒状部14の下部の前側に設けられていることで、前記本体2を後方に傾斜させたとしても、前記霧化室10内の水は前記導風路15から漏れることがない。従って、前記霧化室10内の水は前記電動送風機7を濡らすことがない。そして、前記導風路15が前記筒状部14の内面に対して接線方向に接続されるように形成されるので、前記気流Fは、前記筒状部14内で旋回流Vとなる。そして、前記ミストMが前記旋回流Vに乗って前記筒状部14内で回転することで、前記ミストMのうち、粒径の粗いもの(Ml)は、遠心力によって前記筒状部14の外周側に集まる。一方、前記ミストMのうち、粒径の細かいもの(Mf)は、前記筒状部14の中心側に集まる。そして、前記筒状部14の中心側に集まった前記細かいミストMfは、前記気流Fによって、前記排出路16から前記ミスト通路8に送られる。このようにして、前記細かいミストMfのみが前記遠心分離室11から流出する。なお、前記筒状部14の外周側に集められた前記粗いミストMlは、前記筒状部14の内壁に付着して水滴となる。この水滴は、前記筒状部14の内壁に沿って流れ落ち、前記霧化室10に戻る。また、前記ミストMの発生によって、前記霧化室10内の水が減ることになるが、この水の減少分は、前記水タンク9から前記霧化室10に供給される。
【0022】
前記ミスト通路8に送られた前記ミストMfは、前記上流側通路8A、前記液止め部17及び前記ホース部21を経て前記ミストノズル24へ送られ、このミストノズル24の噴出口24Bから前記被清掃面Sに吹き付けられる。なお、前記ミストMfは、前記入口管部19から前記貯水部18内に入り、前記出口管部20から出ることで、前記液止め部17を通過することができる。一方、前記清掃装置1を転倒させてしまった場合、前記排出路16から前記上流側通路8Aを経て前記液止め部17に液体状の水Wが流入する可能性があるものの、このような水Wは、前記本体2が直立した図9の状態において、前記出口管部20の端部20Aが下向きに開口するように屈曲して構成されるので、前記貯水部18内で落下し、前記出口管部20の端部20Aから流出することができない。そして、前記ホース部21は、前述した通り屈曲自在なので、前記関節部3の動きを妨げることがない。
【0023】
更に、前記ミストノズル24は、前記清掃装置1の使用時においては、前記拭部材4の基部22との相対的な位置関係は、ほぼ固定される。即ち、前記清掃装置1の使用時において、前記ミストノズル24の噴出口24Bは、前記被清掃面Sに近接し続ける。そして、前述したように、前記ミストMfが前記被清掃面Sに吹き付けられることで、前記ミストMfは前記被清掃面Sを薄く濡らす。なお、前記ミストMfを送り出す気流Fは、前記電動送風機7が前記清掃装置1の外部から吸引した空気なので、前記清掃装置1の周囲の気温と殆ど同じ温度(即ち、周囲の空気と殆ど同じ密度)である。従って、前記気流Fは、前記噴出口24Bから噴出した後、上昇せず、前記被清掃面Sに沿って薄く広がる。このため、前記気流Fに乗った粒子状の前記ミストMfは、前記噴出口24Bから噴出した後、沈降しながら、前記被清掃面Sに沿って薄く広がる。このように、前記ミストMfが前記被清掃面Sに沿って薄く広がることで、前記ミストMfは、前記被清掃面S上の塵埃に付着しやすい。従って、前記被清掃面S上の塵埃は、前記ミストMfが付着することで、舞い上がりにくくなる。そして、前記ミストMfによって濡らされた前記被清掃面Sの汚れや塵埃は、使用者が前記把持部5の握り部26を持って前記拭部材4を前記被清掃面Sに沿って動かすことで、前記拭部材4の基部22に取り付けられた前記拭シート23によって拭き取られる。このようにして、前記被清掃面Sは清掃される。なお、前記被清掃面S上の水分は、前記拭シート23によって大部分が吸収されると共に、僅かに残った分も自然に乾燥する。
【0024】
なお、前記ミストMfは、比較的低温なので、被清掃面Sに塗布されたワックス等を意図せず融かしてしまうということがない。従って、前記ミストMfを被清掃面Sに吹き付ける本願の清掃装置1は、汚れや塵埃のみを除去することができる。また、本願の清掃装置1は、前記ミストMfが比較的低温なので、使用者や周りにいる者が火傷等をしないようにすることができる。
【0025】
なお、前述したように、本実施形態では、前記細かいミストMfのみが前記ミストノズル24から被清掃面Sに吹き付けられる。前記細かいミストMfは、前記粗いミストMlと比較して、体積に対する表面積の割合が大きくなるので、前記水タンク9内の水に薬剤を添加することで前記ミストMfが薬剤を含む場合、このミストMfは、前記薬剤を広い面積で空気や汚れに触れさせて化学反応を速く進ませることが期待される。また、前記噴出口24Bが、前記拭部材4の基部22の幅とほぼ等しく形成されることで、前記ミストMfは前記基部22の幅よりも広範囲に広がり、前記被清掃面Sに付着する。この際、前記ミストMfは、前記被清掃面Sにおける前記拭シート23によって拭かれた部分を再び濡らす可能性がある。しかしながら、前述したように、前記ミストMfは細かいので、前記被清掃面Sを薄く広く濡らすことになる。従って、前記被清掃面Sを濡らす水は、拭き残されたとしても、速やかに蒸発する。従って、前記被清掃面Sは、長時間濡れたままにされない。
【0026】
以上のように、本発明の清掃装置1は、霧化装置6の超音波振動子13が発生させたミストMを、電動送風機7が発生させた気流Fに乗せて送り出し、ミスト通路8を経由してミストノズル24から被清掃面Sに向けて噴出させることで被清掃面Sを濡らし、この被清掃面S上の水分を拭部材4の拭シート23によって汚れや塵埃ごと拭き取ることで、被清掃面Sを拭き掃除することができるものである。そして、前記ミストMのみならず、このミストMを送り出すための気流Fの温度が比較的低温なので、被清掃面Sのワックス等を剥がしてしまわず、汚れや塵埃のみを除去することができ、また、前記気流F及びこれに乗ったミストMが、前記ミストノズル24から噴出された後で上昇せず、被清掃面S上で薄く広がることで、被清掃面S上の塵埃にミストMを効果的に付着させ、清掃中に塵埃が舞い上がりにくくすることができ、更に、使用者や周りにいる者が火傷等をしないようにすることができるものである。更に、前記霧化装置6が超音波振動子13を有することで、小電力で大量の前記ミストMを発生させることができるばかりでなく、電力を供給してから短時間で前記ミストMを発生させることができると共に、前記ミストMの発生に伴う騒音を抑えることができるものである。
【0027】
また、本発明の清掃装置1は、導風路15から流入した前記気流Fが筒状部14内で旋回流Vになることで、前記霧化装置6で発生した前記ミストMのうち、粗いミストMlが遠心分離室11で遠心分離されて、細かいミストMfが排出路16から前記ミスト通路8を経て前記ミストノズル24から前記被掃除面Sに吹き付けられるので、前記ミストMfが薬剤等を含む場合、前記ミストMfの体積に対する表面積の比率を高め、前記被清掃面Sに付着した汚れや空気に対する反応性を高めることができるものである。
【0028】
また、本発明の清掃装置1は、前記ミスト通路8の途中に液止め部17を設けたことで、前記清掃装置1を倒してしまった場合でも、前記霧化装置6内の水Wが前記ミスト通路8を経て前記ミストノズル4から被清掃面Sに流出するのを防止することができるものである。
【0029】
更に、本発明の清掃装置1は、前記本体2を前記拭部材4に対して直立した状態から後方に傾斜可能にすると共に、前記霧化装置6の霧化室10の下後部に前記超音波振動子13を設けたことで、使用に伴って前記本体2を後方に傾斜させても、振動中の前記超音波振動子13が空中に露出しにくくなっているので、前記超音波振動子13を破損させにくくすることができるものである。
【0030】
次に、本発明の第二の実施形態について、図11に基づいて説明する。本実施形態では、充電回路40によって充電された二次電池41を用いて、電動送風機7及び超音波振動子13を作動させる。なお、42は充電端子である。その他の構成及び作用については、基本的に第一の実施形態と共通する。
【0031】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、遠心分離室によってミスト中の細かいミストのみをミストノズルから噴出させるようにしたが、発生したミストを全てミストノズルから噴出させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 清掃装置
2 本体
4 拭部材
5 把持部
6 霧化装置
7 電動送風機
8 ミスト通路
10 霧化室
11 遠心分離室
13 超音波振動子
14 筒状部
15 導風路
16 排出路
17 液止め部
24 ミストノズル
M ミスト
S 被清掃面
F 気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、この本体に対して可動に取り付けられた拭部材と、前記本体に設けられた把持部とを有し、前記本体に、超音波振動子を有する霧化装置と、気流を発生させる電動送風機と、前記霧化装置が発生させたミストを気流に乗せて前記本体外に送り出すミスト通路とを設けると共に、被清掃面に向けてミストを噴出させるためのミストノズルを前記拭部材の近傍に設けたことを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
本体と、この本体に対して可動に取り付けられた拭部材と、前記本体に設けられた把持部とを有し、前記本体に、超音波振動子を有する霧化装置と、気流を発生させる電動送風機と、前記霧化装置が発生させたミストを気流に乗せて前記本体外に送り出すミスト通路とを設け、前記霧化装置が、筒状部と、この筒状部に対して接線方向に前記気流を導入する導風路と、前記筒状部の中央に同軸状に設けられると共に前記ミスト通路に接続される排出路とを有して構成される遠心分離室を有すると共に、被清掃面に向けてミストを噴出させるためのミストノズルを前記拭部材の近傍に設けたことを特徴とする清掃装置。
【請求項3】
前記ミスト通路の途中に液止め部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の清掃装置。
【請求項4】
前記本体が、前記拭部材に対して垂直状態から後方に傾斜可能に取り付けられていると共に、前記霧化装置の霧化室の下後部に前記超音波振動子を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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