説明

清掃装置

【課題】安全且つ省電力で騒音も小さく、汚れのみを効果的に拭き取ることができると共に、短時間で手軽に使用できる清掃装置を提供すること
【解決手段】清掃装置1は、霧化装置6の超音波振動子13が発生させたミストMを、電動送風機7が発生させた気流に乗せて送り出し、ミスト通路8を経由してミストノズル37から被清掃面Fに向けて噴出させることで被清掃面Fを濡らし、この被清掃面F上の水分を拭部材3のシートSによって汚れや塵埃ごと拭き取ることで、被清掃面Fを拭き掃除することができる。そして、前記ミストM及び気流が比較的低温なので、汚れのみを除去することができ、また、安全に使用することができる。また、低騒音且つ小電力で大量のミストMを即時に発生させることができる。更に、前記超音波振動子13が空中に露出しないので、この超音波振動子13を破損させにくくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床等を拭き掃除するための清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の清掃装置としては、スチーム発生機が発生させたスチームをスチーム噴出管から床面等に噴出させた後、雑巾装着部に装着された雑巾によって、凝縮したスチームと共に床面等の汚れを拭き取るスチームクリーナーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−327449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の清掃装置は、使用するスチームの熱によって、意図せず床面等の被清掃面に塗布されたワックスまでも融かして拭き取り、剥がしてしまう虞があった。また、従来の清掃装置は、高温のスチームを使用するため、場合によっては、使用者や周りにいる者を火傷させてしまう虞があった。また、従来の清掃装置は、高出力のヒータを用いて大量のスチームを短時間で発生させなければならないので、大電力を消費してしまうばかりでなく、水の沸騰音やスチームの噴射による騒音等が発生するので、静かに清掃することができないという問題があった。更に、従来の清掃装置は、スチームを発生させるために水を沸騰させる必要があり、高出力のヒータを用いたとしても、電力の供給を開始してからスチームが発生して使用可能となるまでに時間がかかるので、使いたい時に手軽にすぐ使用できないという問題もあった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、安全且つ省電力で騒音も小さく、汚れのみを効果的に拭き取ることができると共に、短時間で手軽に使用できる清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の清掃装置は、被清掃面に対しほぼ一定の姿勢を保つ本体と、この本体に接続される拭部材と、前記本体に枢支される操作腕部とを有し、前記本体に、貯水部とその底部に設けられた超音波振動子とを有する霧化装置と、気流を発生させる電動送風機と、前記霧化装置が発生させたミストを気流に乗せて前記本体外に送り出すミスト通路とを設けると共に、被清掃面に向けてミストを噴出させるためのミストノズルを前記拭部材の拭き取り用シートに近接して設けたものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の清掃装置は、請求項1において、前記本体が車輪を有すると共に、前記拭部材と車輪が被清掃面上に載置された状態で、前記本体がほぼ一定の姿勢を保つよう、前記本体と車輪と拭部材の位置関係が固定されたものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の清掃装置は、請求項2において、前記操作腕部の揺動軸線と前記車輪の車軸の軸線を同軸としたものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の清掃装置は、請求項1において、前記拭部材が、前記本体に対して着脱可能に取り付けられたものである。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の清掃装置は、請求項1において、前記拭部材が、接続筒と、拭部材本体とを有して構成され、前記接続筒が前記本体に接続されると共に、前記拭部材本体が、前記接続筒の軸回りに回動可能に取り付けられたものである。
【0011】
更に、本発明の請求項6に記載の清掃装置は、請求項4において、前記拭部材内に、前記本体内のミスト通路と連通するミスト通路を形成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の清掃装置は、以上のように構成することにより、前記霧化装置の超音波振動子を振動させて発生させたミストが、前記電動送風機が発生させた気流に乗って送り出され、前記ミスト通路を経由して前記ミストノズルから被清掃面に向けて噴出する。そして、被清掃面に向けて噴出したミストによって前記拭部材の前方の被清掃面が濡らされ、この濡らされた被清掃面を前記拭部材によって汚れごと拭き取ることで、被清掃面が拭き上げられる。この際、被清掃面には比較的温度の低いミストが吹き付けられるので、被清掃面に塗布されたワックス等の保護層を融かして剥がしてしまわないようにすることができるばかりでなく、使用者や周りにいる者を火傷させないようにすることができる。また、ミストを送り出すための気流の温度が周囲の気温とほぼ等しい(即ち、気流の密度が周囲の空気の密度とほぼ等しい)ことで、この気流が、前記ミストノズルから噴出された後で上昇せず、被清掃面上で薄く広がると共に、この気流中で前記ミストが沈降して被清掃面を効果的に濡らすことができるので、被清掃面上の塵埃にミストを効果的に付着させ、清掃中に塵埃が舞い上がりにくくすることができる。また、前記霧化装置が超音波振動子を有することで、小電力で大量のミストを発生させることができるばかりでなく、使用を開始するための操作から短時間でミストを発生させることができると共に、ミストの発生に伴う騒音を抑えることができる。更に、前記本体の被清掃面に対する姿勢がほぼ一定であることで、使用中に前記本体が傾くことがなく、振動中の前記超音波振動子が空中に露出しないので、前記超音波振動子を破損させにくくすることができる。
【0013】
また、前記本体の車輪と前記拭部材とが被清掃面上に載置された状態で、前記本体がほぼ一定の姿勢を保つように構成されたことで、被清掃面の清掃時に、常に前記本体の姿勢がほぼ一定に保たれるので、前記超音波振動子が振動する清掃中に、この振動中の前記超音波振動子が空中に露出しないようにして、確実に前記超音波振動子を保護することができる。
【0014】
また、前記車輪の車軸の軸線と前記操作腕部の揺動軸線とを同軸としたことで、前記本体及び拭部材を前に押す場合も後に引く場合も、前記拭部材の被清掃面への当接圧が殆ど変わらないので、良好に被清掃面を清掃することができる。また、軸を複数設ける必要がなくなるので、構造を単純且つ小型にすることができる。
【0015】
また、前記拭部材を前記本体に対して着脱可能としたことで、前記本体の姿勢に関わりなく、前記拭部材を前記本体から取り外して、前記拭部材の下面側にシートを容易に装着することができる。
【0016】
また、前記本体に接続される前記接続筒の軸回りに前記拭部材本体を回動可能に取り付けて前記拭部材を構成したことで、前記本体の姿勢に関わりなく、前記拭部材本体を裏返して、前記拭部材の下面側にシートを容易に装着することができる。
【0017】
更に、前記拭部材内に、前記本体内のミスト通路と連通するミスト通路を形成したことで、前記拭部材を前記本体に接続するだけで、前記霧化装置からミストノズルまでの経路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示す清掃装置の正面図である。
【図2】同、右側面図である。
【図3】同、操作腕部を傾斜させた状態の右側面図である。
【図4】同、A−A断面図である。
【図5】同、回路図である。
【図6】同、拭部材にシートを装着する際の状態を示す説明図であり、(a)は拭部材を本体から取り外す場合、(b)は拭部材本体を裏返す場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図5に基づいて説明する。1は本発明の清掃装置である。この清掃装置1は、本体2と、この本体2の前下部に接続された拭部材3と、前記本体2に対して揺動可能に設けられた操作腕部4とを有して構成される。なお、前記操作腕部4は、軸線X1を中心として揺動し、図2に示すような直立姿勢と、図3に示すような後方(図3における右側)に傾斜した姿勢をとることができるように構成される。また、前記本体2には、一対の車輪5が設けられている。そして、前記車輪5の車軸の軸線X2は、前記軸線X1と一致する。
【0020】
前記本体2内には、霧化装置6と、電動送風機7と、ミスト通路8が設けられる。前記霧化装置6は、水タンク9と、霧化室10とを有して構成される。そして、前記水タンク9は、前記本体2に対して着脱自在に取り付けられる。なお、前記水タンク9は、前記霧化室10内の水位をほぼ一定に保つように構成される。前記霧化室10は、貯水部11と、蓋体12と、超音波振動子13とを有して構成される。そして、前記貯水部11は、上部材14と下部材15とを有して構成される。前記下部材15は、貯水凹部16を有して構成される。また、前記上部材14は、前記貯水凹部16を覆うように前記下部材15に取り付けられると共に、前記貯水凹部16と連通する通孔17を有する。また、前記下部材15の貯水凹部16の底部には、貫通孔18が形成され、この貫通孔18を閉塞するように、前記超音波振動子13が取り付けられる。なお、前記貫通孔18は、前記貯水凹部16のほぼ中央に形成される。即ち、前記超音波振動子13も、前記貯水凹部16のほぼ中央に設けられる。また、前記下部材15には、前記貯水凹部16と連通するように、この貯水凹部16の側方に接続凹部19が形成される。そして、前記上部材14にも、前記接続凹部19に対応して接続凹部20が形成される。更に、前記接続凹部20には、図示しない接続筒が形成され、この接続筒に導風管21の下流端が接続される。一方、前記導風管21の上流端には、前記電動送風機7が接続される。そして、前記導風管21と接続筒と接続凹部19,20によって、導風路22が構成される。なお、前記下部材15と上部材14には、前記接続凹部19,20とは別に、それぞれ図示しない接続凹部が形成されている。そして、これらの図示しない接続凹部を介して、前記水タンク9と前記霧化室10とが接続される。
【0021】
また、前記上部材14に形成された通孔17を覆うように、前記蓋体12が着脱自在に取り付けられる。この蓋体12はドーム状に構成される。そして、この蓋体12には、第一の排出管23が一体に形成される。この第一の排出管23は、その上流端が前記蓋体12に接続されると共に、その下流端が下方に向かって屈曲している。なお、ドーム状の前記蓋体12の内側空間と前記排出管23の内側空間は連通する。また、前記第一の排出管23の下流端は、前記上部材14に形成された接続筒部24に対して上方から着脱自在に接続される。一方、前記接続筒部24の下方には、第二の排出管25の上流端が接続される。なお、前記第一の排出管23の下流端と前記第二の排出管25の上流端は、前記接続筒部24に形成された貫通孔26を介して連通する。また、前記第二の排出管25の下流端には接続筒部27が形成され、この接続筒部27が前記本体2の下部前方に露出する。また、前記接続筒部27は、前記本体2に対して固定された状態となる。そして、前記各排出管23,25及び貫通孔26によって、前記ミスト通路8が構成される。
【0022】
なお、28は前記蓋体12及び水タンク9を上方から覆う外蓋である。また、29は前記外蓋28が閉じた状態を保持させるためのフックである。また、30は回路基板であり、この回路基板30には、交流−直流変換回路30A、並びに前記電動送風機7及び超音波振動子13を作動させるための制御回路30Bが形成される。また、31は先端に電源プラグ32が設けられた電源コードである。また、前記本体2には、前記操作腕部4を回動自在に枢支するための図示しない軸部が形成される。そして、前述したように、前記軸部の軸線X1は、前記車輪5の車軸の軸線X2と一致する。
【0023】
前記接続筒部27には、前記拭部材3が着脱自在に取り付けられる。この拭部材3は、前記接続筒部27の内側に挿入されると共に両端が開放した接続筒33と、拭部材本体34と、この拭部材本体34の下方に可動に取り付けられる板状の保持体35とを有して構成される。なお、前記接続筒33は、前記接続筒部27に挿入することで固定されると共に、前記拭部材本体34は、前記接続筒33に対し、その中心軸線X3回りに回動可能に取り付けられる。従って、前記拭部材3を前記本体2に取り付けた状態において、前記拭部材3は、その拭部材本体34が前記本体2に対して前記中心軸線X3回りに回動可能ではあるものの、前記中心軸線X3が傾く方向には動かない。また、前記拭部材本体34は、その内部に空洞部36を有しており、この空洞部36の後端が前記接続筒33と連通すると共に、前記空洞部36の前端に形成されたミストノズル37が、被清掃面Fに向けて開放する。そして、前記接続筒34と空洞部36によって、ミスト通路38が構成されると共に、このミスト通路38は、前記ミスト通路8と連通可能に構成される。従って、前記拭部材3を前記本体2に取り付けることで、前記各ミスト通路8、38によって、前記霧化装置6から前記ミストノズル37に至る経路39が形成される。また、前記拭部材本体34の下部には凹部40が形成される。更に、前記拭部材本体34の下前部には、左右一対の爪受け部41が形成されると共に、前記拭部材本体34の下後部には、図示しない保持部が左右一対設けられる。そして、前記保持体35は、その後部に設けられた回動軸42によって、前記拭部材本体34に枢支される。また、前記保持体35の上面部には、前記凹部40に対応して突起部43が形成されると共に、この突起部43が前記凹部40内に挿入可能となっている。更に、前記保持体35には、前記爪受け部41に対応して、左右一対の係止爪部44が設けられる。そして、前記係止爪部44を前記爪受け部41に係合させることで、前記保持体35の前端側が固定される。
【0024】
前記操作腕部4は、左右一対の下腕部45と、これらの下腕部45の上端同士を連結する連結部46と、この連結部46の中央部に下端が取り付けられた一本の上腕部47と、この上腕部47の上端に設けられた把持部48とを有して構成される。前記各下腕部45の下端部には、それぞれ前記軸部に対応して軸受部49が設けられると共に、これらの軸受部49は、前記軸部の周囲を回動可能に構成される。また、前記連結部46内には、スイッチ50が設けられる。また、前記上腕部47内には、図示しない操作棒が、前記上腕部47の軸方向に移動可能に設けられる。更に、前記把持部48には、操作部51が設けられる。そして、前記操作部51は、前記操作棒に連結される。また、前記操作棒の先端は、前記スイッチ50の近傍まで延びる。このため、前記操作部51を操作することで、前記操作棒を介して前記スイッチ50の開閉操作が行われる。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、使用者は、前記拭部材3にシートSを取り付ける。この際、使用者は、図6(a)に示すように、前記拭部材3を前記本体2から取り外して裏返すか、又は図6(b)に示すように、前記拭部材3を前記本体2から取り外さずに、前記拭部材本体34を前記接続筒33に対して中心軸線X3回りに回動させて裏返す。このように、前記拭部材本体34が裏返された状態で、前記係止爪部44を前記爪受け部41から外し、前記回動軸42を中心に前記保持体35を起こす。この際、前記拭部材本体34と保持体35との間が開くので、この間に前記シートSを挿入する。そして、前記回動軸42を中心に前記保持体35を倒し、前記係止爪部44を前記爪受け部41と再び係合させる。この際、前記シートSの一端側が、前記凹部40と突起部43とで挟持される。更に、前記シートSの他端側の左右両端部を、図示しない前記保持部に押し込む。このように、前記シートSの一端側と他端側が保持されるので、前記シートSは前記拭部材3に保持される。そして、使用者は、図6(a)に示すように、前記拭部材3を前記本体2から取り外した場合、前記接続筒33を前記接続筒部27に差し込んで、前記本体2に再び前記拭部材3を取り付け、前記シートSが下向きとなるようにする。或いは、図6(b)に示すように、前記拭部材3を前記本体2に取り付けたまま前記拭部材本体34を裏返した場合、前記拭部材本体34を中心軸線X3回りに回動させて元の姿勢にする。このように、前記拭部材3を前記本体2から取り外したり、前記拭部材本体34を裏返したりすることで、前記本体2の姿勢に関わりなく、前記拭部材3の下面側にシートSを容易に装着することができる。
【0026】
なお、前述したように、前記拭部材本体34が前記本体2に対して傾斜した状態で前記接続筒33を前記接続筒部27に挿入したとしても、前記拭部材3と車輪5が被清掃面Fに接するように清掃装置1を被清掃面Fに載置することで、前記拭部材本体34が前記中心軸線X3回りに回動するので、前記拭部材3に装着されたシートSを確実に被清掃面Fに接触させることができる。また、前記拭部材本体34は、前記本体2に対して前記中心軸線X3回りに回動可能であるものの、この中心軸線X3か傾くようには動かないので、前記車輪5及び前記シートSが被清掃面Fに接するように載置された状態では、前記本体2は直立した状態を保つ。
【0027】
そして、使用者は、前記フック29を操作して、前記外蓋28を開閉可能な状態とした後、この外蓋28を開き、前記水タンク9を取り外す。そして、前記水タンク9内に水Wを入れた後、この水タンク9を前記本体2に再び取り付ける。そして、このように前記水タンク9が前記本体2に再び取り付けられると、前記水タンク9内の水Wは、図示しない前記接続凹部を経由して、前記霧化室10の貯水部11に流入する。そして、この貯水部11内の水位が所定の値に達すると、前記水タンク9から前記貯水部11への水の流入は停止する。このようにして、前記霧化室10の貯水部11の水位は、ほぼ一定に保たれる。ここで、前述したように、前記超音波振動子13が、前記貯水部11を構成する前記下部材15の貯水凹部16の底部に形成された前記貫通孔18を閉塞するように取り付けられていることで、前記貯水部11における最も低い位置に設けられるので、前記超音波振動子13は、常時水中に位置する。そして、この後、使用者は再び前記外蓋28を閉じ、前記フック29によりロックする。更に、使用者は、前記電源プラグ32を図示しない交流電源に接続する。このようにして、前記清掃装置1は使用可能な状態となる。
【0028】
そして、使用者は、前記把持部48を把持し、前記軸線X1回りに前記操作腕部4を揺動させて任意に傾斜させた後、前記操作部51を操作する。このように、前記操作部51を操作して前記スイッチ50をオンにすることで、前記制御回路30Bは、前記交流−直流変換回路30Aによって直流変換された電力を、前記電動送風機7及び超音波振動子13に供給する。このように、前記超音波振動子13に電力が供給されると、この超音波振動子13は超音波帯域の振動数で振動し、前記貯水部11内の水Wを霧化する。このようにしてミストMが発生する。なお、前記電動送風機7及び超音波振動子13の作動音は、従来の清掃装置で用いられるスチーム発生装置と比べて静かである。従って、本願の清掃装置1は、従来のものに比べて静かにすることができる。また、超音波振動を前記貯水部11内の水Wに与えることで前記ミストMが直ちに発生するので、本願の清掃装置1は、前記スイッチ50をオンにすることによって、前記ミストMを速やかに発生させることができる。従って、本願の清掃装置1は、従来のものに比べて短時間で使用可能な状態にすることができる。更に、前記超音波振動子13は、従来の清掃装置で用いられるスチーム発生装置(即ちヒータ)と比べて消費電力が小さい。従って、本願の清掃装置1は、従来のものに比べて省電力にすることができる。そして、前記電動送風機7が作動することによって発生した気流は、前記導風路22を経由して、前記霧化室10内に流入する。そして、前記気流によって、前記ミストMは、前記ミスト通路8に送られる。そして、前記ミスト通路8に送られた前記ミストMは、前記拭部材3のミスト通路38を経て前記ミストノズル37へ送られ、このミストノズル37から前記被清掃面Fに吹き付けられる。また、前記ミストMの発生によって、前記貯水部11内の水が減ることになるが、この水の減少分は、前記水タンク9から前記貯水部11に供給される。
【0029】
更に、前記ミストノズル37は、前記清掃装置1の使用時において、前記被清掃面Fに近接し続ける。そして、前述したように、前記ミストMが前記被清掃面Fに吹き付けられることで、前記ミストMは前記被清掃面Fを薄く濡らす。なお、前記ミストMを送り出す気流は、前記電動送風機7が前記清掃装置1の外部から吸引した空気なので、前記清掃装置1の周囲の気温と殆ど同じ温度(即ち、周囲の空気と殆ど同じ密度)である。従って、前記気流は、前記ミストノズル37から噴出した後、上昇せず、前記被清掃面Fに沿って薄く広がる。このため、前記気流に乗った粒子状の前記ミストMは、前記ミストノズル37から噴出した後、沈降しながら、前記被清掃面Fに沿って薄く広がる。このように、前記ミストMが前記被清掃面Fに沿って薄く広がることで、前記ミストMは、前記被清掃面F上の塵埃に付着しやすい。従って、前記被清掃面F上の塵埃は、前記ミストMが付着することで、舞い上がりにくくなる。そして、前記ミストMによって濡らされた前記被清掃面Fの汚れや塵埃は、使用者が前記操作腕部4の把持部48を把持して前記拭部材3を前記被清掃面Fに沿って動かすことで、前記拭部材3に取り付けられた前記シートSによって拭き取られる。このようにして、前記被清掃面Fは清掃される。なお、前記被清掃面F上の水分は、前記シートSによって大部分が吸収されると共に、僅かに残った分も自然に蒸発する。
【0030】
なお、前記ミストMは、比較的低温なので、被清掃面Fに塗布されたワックス等を意図せず融かしてしまうということがない。従って、前記ミストMを被清掃面Fに吹き付ける本願の清掃装置1は、汚れや塵埃のみを除去することができる。また、本願の清掃装置1は、前記ミストMが比較的低温なので、使用者や周りにいる者が火傷等をしないようにすることができる。
【0031】
なお、前述したように、前記車輪5及びシートSが被清掃面Fに接した状態では、前記本体2は前記被清掃面Fに対して直立した姿勢を保つ。そして、前記清掃装置1は、清掃中、常に前記車輪5及びシートSが被清掃面Fに接し続ける。従って、前記本体2は、清掃中、常に直立した姿勢を保ち続けることになる。このように、清掃中、前記本体2の被清掃面Fに対する姿勢がほぼ一定であることで、前記清掃装置1の使用中に前記本体2が傾くことがなく、振動中の前記超音波振動子13が空中に露出しないので、前記超音波振動子13を破損させにくくすることができる。
【0032】
また、前記車輪5の車軸の軸線X2と前記操作腕部4の揺動軸線X1とを同軸としたので、前記本体2及び拭部材3を前に押す場合と後に引く場合とで、これら本体2及び拭部材3に働く力は、慣性力以外は同じである。詳述すると、前記揺動軸線X1が車軸の軸線X2よりも高い位置にある場合、操作腕部によって本体と拭部材を前に押すと、車軸の軸線X2を中心に、本体及び拭部材が前方に倒れるような力が働く。逆に、操作腕部によって本体と拭部材を後に引くと、車軸の軸線X2を中心に、本体及び拭部材が後方に倒れるような力が働く。即ち、前記揺動軸線X1が車軸の軸線X2よりも高い位置にある場合、操作腕部によって本体と拭部材を前に押すと、前記拭部材が被清掃面Fに押し付けられるような力が働くと共に、操作腕部によって本体と拭部材を後に引くと、前記拭部材が被清掃面Fから離れるような力が働く。従って、このような構造では、本体と拭部材を前に押す場合と後に引く場合とで、前記拭部材の被清掃面Fへの当接圧が変化することになる。これに対し、本実施形態の構造では、前記操作腕部4によって前記本体2及び拭部材3を前に押す場合も後に引く場合も、前記車輪5の車軸の軸線X2に力が加わるので、前記本体2及び拭部材3を押す力も引く力も、前記本体2及び拭部材3を傾斜させる力にはならない。また、通常の清掃で前記本体2及び拭部材3を動かす速度では、これらの本体2及び拭部材3に働く慣性力の影響は小さい。従って、前記本体2及び拭部材3を前に押しても後に引いても、前記拭部材3の被清掃面Fへの当接圧が殆ど変わらないので、被清掃面Fを良好に清掃することができる。また、回動や揺動のための軸を複数設ける必要がなくなるので、前記清掃装置1の構造を単純且つ小型にすることができる。
【0033】
以上のように、本発明の清掃装置1は、霧化装置6の超音波振動子13が発生させたミストMを、電動送風機7が発生させた気流に乗せて送り出し、ミスト通路8を経由してミストノズル37から被清掃面Fに向けて噴出させることで被清掃面Fを濡らし、この被清掃面F上の水分を拭部材3のシートSによって汚れや塵埃ごと拭き取ることで、被清掃面Fを拭き掃除することができるものである。そして、前記ミストMのみならず、このミストMを送り出すための気流Fの温度が比較的低温なので、被清掃面Fのワックス等を剥がしてしまわず、汚れや塵埃のみを除去することができ、また、前記気流及びこれに乗ったミストMが、前記ミストノズル37から噴出された後で上昇せず、被清掃面F上で薄く広がることで、被清掃面F上の塵埃にミストMを効果的に付着させ、清掃中に塵埃が舞い上がりにくくすることができ、更に、使用者や周りにいる者が火傷等をしないようにすることができるものである。また、前記霧化装置6が超音波振動子13を有することで、小電力で大量の前記ミストMを発生させることができるばかりでなく、電力を供給してから短時間で前記ミストMを発生させることができると共に、前記ミストMの発生に伴う騒音を抑えることができるものである。更に、前記本体2が被清掃面Fに対し直立姿勢を保ち続けることで、使用中に前記本体2が傾くことがなく、振動中の前記超音波振動子13が空中に露出しないので、前記超音波振動子13を破損させにくくすることができるものである。
【0034】
また、本発明の清掃装置1は、前記車輪5の車軸の軸線X2と前記操作腕部4の揺動軸線X1とを同軸としたことで、前記本体2及び拭部材3を前に押す場合も後に引く場合も、前記拭部材3の被清掃面Fへの当接圧が殆ど変わらないので、良好に被清掃面Fを清掃することができるばかりでなく、軸を複数設ける必要がなくなるので、構造を単純且つ小型にすることができるものである。
【0035】
また、本発明の清掃装置1は、前記本体2に設けられた車輪5の車軸の軸線X2と前記操作腕部4の揺動軸線X1とを同軸としたことで、前記本体2及び拭部材3を前に押す場合も後に引く場合も、前記拭部材3の被清掃面Fへの当接圧が殆ど変わらないので、被清掃面Fを良好に清掃することができると共に、回動軸や揺動軸を複数設ける必要がなくなるので、構造を単純且つ小型にすることができるものである。
【0036】
また、本発明の清掃装置1は、前記拭部材3を前記本体2に対して着脱可能としたことで、前記本体2の姿勢に関わりなく、前記拭部材3を前記本体2から取り外して、前記拭部材3の下面側にシートSを容易に装着することができるものである。
【0037】
また、本発明の清掃装置1は、前記本体2に接続される前記接続筒33の中心軸線X3回りに前記拭部材本体34を回動可能に取り付けて前記拭部材3を構成したことで、前記本体2の姿勢に関わりなく、前記拭部材本体34を裏返して、前記拭部材3の下面側にシートSを容易に装着することができるものである。
【0038】
更に、本発明の清掃装置1は、前記拭部材3内に、前記本体2内のミスト通路8と連通するミスト通路38を形成したことで、前記拭部材3を前記本体2に接続するだけで、前記霧化装置6からミストノズル37までの経路39を形成することができるものである。
【0039】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、前記ミストノズルを前記拭部材の一部としたが、前記ミストノズルを前記拭部材とは別体としても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 清掃装置
2 本体
3 拭部材
4 操作腕部
5 車輪
6 霧化装置
7 電動送風機
8 ミスト通路
11 貯水部
13 超音波振動子
33 接続筒
34 拭部材本体
37 ミストノズル
38 ミスト通路
39 経路
F 被清掃面
M ミスト
S シート
X1 操作腕部4の回動中心軸線
X2 車輪5の車軸の軸線
X3 接続筒33の中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃面に対しほぼ一定の姿勢を保つ本体と、この本体に接続される拭部材と、前記本体に枢支される操作腕部とを有し、前記本体に、貯水部とその底部に設けられた超音波振動子とを有する霧化装置と、気流を発生させる電動送風機と、前記霧化装置が発生させたミストを気流に乗せて前記本体外に送り出すミスト通路とを設けると共に、被清掃面に向けてミストを噴出させるためのミストノズルを前記拭部材の拭き取り用シートに近接して設けたことを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
前記本体が車輪を有すると共に、前記拭部材と車輪が被清掃面上に載置された状態で、前記本体がほぼ一定の姿勢を保つよう、前記本体と車輪と拭部材の位置関係が固定されることを特徴とする請求項1記載の清掃装置。
【請求項3】
前記操作腕部の揺動軸線と前記車輪の車軸の軸線を同軸としたことを特徴とする請求項2記載の清掃装置。
【請求項4】
前記拭部材が、前記本体に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の清掃装置。
【請求項5】
前記拭部材が、接続筒と、拭部材本体とを有して構成され、前記接続筒が前記本体に接続されると共に、前記拭部材本体が、前記接続筒の軸回りに回動可能に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の清掃装置。
【請求項6】
前記拭部材内に、前記本体内のミスト通路と連通するミスト通路を形成したことを特徴とする請求項4記載の清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−78693(P2011−78693A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235324(P2009−235324)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)