説明

減温塔

【課題】 圧力損失を低減しつつ塔内周面の壁面を保護し、かつ簡易な構成を実現した減温塔を提供する。
【解決手段】 ノズルは、塔内周側への突出方向先端側を底部とする有底の円筒形状であって、この円筒状側面のうち、塔の鉛直上方側に開口する上側開口部と、鉛直下方側に開口する下側開口部を有し、開口部のノズル軸方向略中心部は、塔の中心軸に対し、ノズルの根元部側に偏心して設けられ、塔の底部は、散水管から供給され、内周面に沿って流れた液体を一時的に貯留する貯留部であって、貯留された液体の表面は、ノズルの鉛直下方側に位置し、ノズルから減温塔内周面の鉛直上側頂部までの距離をH1、ノズルから貯留された液体の液面までの距離をH2とすると、H1>H2であって、下側開口部のノズル先端方向側端部は、上側開口部のノズル先端方向側端部よりも根元部側に位置することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを冷却する減温塔に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1では液体を貯留した冷却槽中に上方からガスを導入し、ガス中の塩化水素を液体に溶解させている。また、特許文献2では鉛直上方から供給されるガスに液体を噴霧し、塔の内周面に液膜を形成して壁面保護を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−316803号公報
【特許文献2】特開2004−277574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1にあっては、ガスを液体中に導入するための圧力が必要であり、系全体の圧力損失が増大するという問題があった。また、特許文献2では塔の鉛直上方から供給されるガスを乱流域に保つための縮小部が設けられており、構造が煩雑である。いずれも、下側からガスを供給し、上側から散水して塔の内周面を液膜で保護する際、局所的な流速増大が問題となる点については記載されていない。
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、圧力損失を低減しつつ塔内周面の壁面を保護し、かつ簡易な構成を実現した減温塔を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を解決するため、本願発明では、円筒状の塔と、前記塔に接続し、前記塔の内周面に液体を供給するとともに、この内周面の表面に液膜を形成する散水管と、前記散水管の鉛直下方側で前記塔の内周側に接続し、前記塔の内周側に突出して延在する円柱状のノズルとを備え、前記ノズルから前記塔の内周側にガスを供給し、前記散水管から供給される液体により、前記塔内を上昇する前記ガスを冷却する減温塔であって、
前記ノズルは、前記塔内周側への突出方向先端側を底部とする有底の円筒形状であって、この円筒状側面のうち、前記塔の鉛直上方側に開口する上側開口部と、鉛直下方側に開口する下側開口部を有し、前記開口部のノズル軸方向略中心部は、前記塔の中心軸に対し、前記ノズルの根元部側に偏心して設けられ、前記塔の底部は、前記散水管から供給され、前記内周面に沿って流れた液体を一時的に貯留する貯留部であって、前記貯留された液体の表面は、前記ノズルの鉛直下方側に位置し、前記ノズルから前記減温塔内周面の鉛直上側頂部までの距離をH1、前記ノズルから前記貯留された液体の液面までの距離をH2とすると、H1>H2であって、前記下側開口部の前記ノズル先端方向側端部は、前記上側開口部の前記ノズル先端方向側端部よりも前記根元部側に位置することとした。
【発明の効果】
【0006】
よって、圧力損失を低減しつつ塔内周面の壁面を保護し、かつ簡易な構成を実現した減温塔を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明における減温塔である。
【図2】本発明における減温塔の軸方向B−B断面図である。
【図3】本発明における減温塔の径方向A−A断面図である。
【図4】図3のC−C断面図である。
【図5】本発明における減温塔内のガス流を示す図である。
【図6】比較例における減温塔の軸方向B−B断面図である。
【図7】比較例における減温塔の径方向A−A断面図である。
【図8】比較例における減温塔内のガス流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施の形態1]
[減温塔の概要]
図1は本発明の減温塔1の概略図である。減温塔1は鉛直方向を軸とする円筒形状であって、円筒側面の外周側から内周側に突出するノズル100が設けられている。このノズル100は減温塔1の鉛直下方側に設けられ、他の機器(脱塩素設備等)から排出される高温の排ガスを減温塔1内周側に供給する。また、減温塔1の鉛直上方側には水を散水する散水管3が設けられ、この水によって、ノズル100から排出された排ガスを冷却する。冷却後のガスは減温塔1の頂部12から系外に排出される。
【0009】
減温塔1の底部であってノズル100の鉛直下方側には、散水管3から散水された水、および系外から供給される冷却水を一時的に貯留する貯留部14が設けられている。この貯留部14に滞留する貯留水15はポンプ2によって汲み出され、一部は散水管を介し減温塔1内に供給されて水滴31を形成し、一部は排水として系外に排出される。また水滴31の一部は内周11に到達し、内周11を覆う水膜32が形成される(図2参照)。
【0010】
ノズル100は、貯留水15の水面16よりも鉛直上方側に設けられ、貯留水15と離間するとともに接触しないよう設けられる。貯留水15は排ガス冷却後の水滴31が混入するため、排ガス中の塩化水素等の成分が貯留水15に供給される。したがって、ノズル100と貯留水15とを離間させ、塩化水素等がノズル100に影響を及ぼすことを回避する。
【0011】
減温塔1の内側の最頂部12とノズル100との距離をH1、貯留水15の水面16とノズル100までの距離をH2とすると、ノズル100はH1>H2となる位置に設けられている。したがって、減温塔1の内周側においては、ノズル100の鉛直下方側の容積は、ノズル100の鉛直上方側の容積よりも小さく形成されることとなる。
【0012】
ノズル100には2つの開口部110,120が設けられている。円筒形状のノズル100の鉛直上方側には上方側開口部110が開口し、鉛直下方側には下方側開口部120が開口する。他の機器からノズル100に供給された排ガスは、この2つの開口部110,120から減温塔1内に導入され、冷却される。
【0013】
[ノズルの詳細]
図2は本願における減温塔1の軸方向B−B断面図(図3参照)、図3は径方向A−A断面図(図2参照)、図4は図3のC−C断面図である。なお、以下では減温塔1に対しノズル100が挿入される方向をx軸正方向とし、鉛直上方側をz軸正方向とする。また、x軸、z軸に直交し、図3の図面上側をy軸正方向とする。
【0014】
略中空円筒形状のノズル100は減温塔1に対しx軸正方向側に向かって挿入され、x軸方向のノズル底部101は閉塞されている。また外周側であってz軸正方向側には上側開口部110が形成され、z軸下方側には下側開口部120が形成されている。上側開口部110のx軸方向略中心位置Mは、円筒状の減温塔1の軸心Oに対しx軸負方向側に偏心している。ノズル100設置位置における塔1の半径をrとすると、軸心Oに対する略中心部Mの偏心量は0.3r〜0.4rである。
【0015】
各開口部110,120はノズル100の円筒外周面を長方形に切り欠いて設けられており、上側開口部110の開口面積はS1、下側開口部の開口面積はS2である(図3参照)。各開口部110,120のy軸方向幅はともにwであり、上側開口部110のx軸方向長さは2L1、下側開口部のx軸方向長さはL1+L2である(L1>L2)。各開口部110,120のy軸方向幅はともにwであるため、各開口部110,120のx軸方向長さ2L1、L1+L2は各開口部110,120の開口面積S1,S2に比例する(図2〜図4参照)。
【0016】
各開口部110,120のy軸方向幅wは等しいため、各開口部110,120の開口高さhはともに等しくなる。すなわち、ノズル側面103の鉛直上方側の上端部103aから上側開口部110の開口端111までの距離はh、鉛直下方側の下端部103bから下側開口部120の開口端121までの距離もhである。
【0017】
ここで、各開口部110,120のx軸負方向側端部である開口根元部113,123の位置はx軸に対し同一位置に設けられる。これに対し、x軸正方向側端部である開口先端部112,122の位置はx軸に対し異なる位置に設けられる。すなわち、下側開口部120の開口先端部121は、上側開口部110の開口先端部112よりもx軸負方向側に位置する。これにより、下側開口部120の開口面積S2は上側開口部110の開口面積S1よりも小さく設けられることとなる。
【0018】
また、各開口部110,120は、中空円筒状のノズル100先端部における底面内側105とは離間して設けられている。すなわち、各開口部110,120の開口先端部112,122は底面内側105とは離間し、したがって各開口部110,120と底面内側105との間にはノズル100のノズル側面103に覆われた空隙部130が形成される。
【0019】
なお、ノズル100と減温塔内周11の距離は軸Gを含む水平面N(図4参照)上で最も短くなるため、ノズル100の水平方向端部103aからガスが排出されることは好ましくない。上側開口部110から排出されたガスは自身の熱に基づく上昇気流によって鉛直上方側に移動するが、下側開口部120が軸Gよりも鉛直上方側に開口する場合、下側開口部120から排出されたガスが水平面N上に排出されて流速が低下しないまま減温塔内周11に当たり、形成された水膜32が飛散して壁面保護が図れないおそれがある。
【0020】
したがって、上側開口部110をノズル100の軸Gよりも鉛直上方側に開口させ、下側開口部120を軸Gよりも鉛直下方側に開口させることで、排ガスを水平面N上に排出されることを回避し、壁面保護を図るものである。なお、上側開口部110の開口面積S1と下側開口部120の開口面積S2の比は、1<(S1/S2)≦2.0である。
【0021】
[ノズル偏心と減温塔内周面保護の相関]
図5は、本願における減温塔1内のガス流を示す図である。
(本願:ノズル上側開口部からの流れ)
図5の太一点鎖線は、ノズル100の上側開口部110から排出されるガス流を示す図である。ガス流はノズル100内をx軸正方向側に流れているため、上側開口部110から排出された後も、慣性によってx軸正方向側に流れ、減温塔内周11であってノズル底部101に対向するノズル対向面11aに衝突するおそれがある。その場合、ノズル対向面11aに形成された水膜32がガス流によって飛散し、内周面11が剥き出しになって内周面11が高温のガス流にさらされるおそれがある。
【0022】
本願では、各開口部110,120のx軸方向略中心位置Mが減温塔1の軸心Oに対しx軸負方向側に偏心しており、この偏心に伴って上側開口先端部112もx軸負方向側に移動するため、各開口部110,120が偏心しない場合(図6〜図8参照)と比べて上側開口先端部112とノズル対向面11aとの距離が大きくなる。
【0023】
したがって、各開口部110,120が偏心しない場合と比べ、本願では上側開口部110から排出された後ノズル対向面11aに至るまでの距離が大きいため、排出されたガス流の速度はより低下することとなる。よって、ノズル対向面11aの水膜32がガス流によって飛散するおそれを低減させ、高温のガス流から内周面11をより保護することが可能となる。
【0024】
(本願:ノズル下側開口部からの流れ)
図5の細破線は、ノズル100の下側開口部120から排出されるガス流を示す図である。上側開口部110から排出されたガス流(太一点鎖線)と同様、各開口部110,120の偏心によってノズル対向面11aにおけるガス流は低下する。
【0025】
ここで、ノズル100の鉛直下方側(z軸負方向側)には滞留水15が存在するため、減温塔1内部においてはノズル100の鉛直上方と下方では容積が異なる。すなわち、ノズル側面103の鉛直上方側の上端部103aとノズル頂部102との距離をH1、ノズル側面103の鉛直下方側の下端部103bと水面16との距離をH2とすると、H1>H2に設けられている。
【0026】
そのため、ノズル100の鉛直下方側は上方側に比べて容積が小さく、その分ガス流の逃げ場が少ない。したがって下側開口部120から排出されたガスは水面16の下方側に逃げることができないため、流速が十分低下しないままノズル対向面11aに衝突するおそれが高い。
【0027】
したがって本願では、下側開口部120の面積S2を上側開口部110の面積S1よりも小さく設ける。これにより、ノズル100内のガスのうち、下側開口部120から排出されるガス量は、上側開口部110から排出されるガス量よりも相対的に少なくなり、ノズル100の鉛直下方側に導入されるガスの流量も減少する。よって、下側開口部120から排出されたガスがノズル対向面11aに到達したとしても、流量が小さいため水膜32に与える影響は小さくなり、水膜32の飛散を低減することが可能となる。
【0028】
また、本願では下側開口部120の開口先端部121は、上側開口部110の開口先端部112よりもx軸負方向側(ノズル根元部104側)に位置するため、上側開口部110と比べて下側開口部120の開口先端部121とノズル対向面11aとの距離がより大きくなる。したがって、上側開口部110から排出されるガス流と比べ、下側開口部120から排出されたガス流速をノズル対向面11aに到達するまでにより低下させ、ノズル対向面11aにおける水膜保護を図ることが可能である。
【0029】
(本願:ノズル底部で反転する反転流)
図5の二点鎖線は、ノズル100のx軸正方向側に設けられた空隙部130によって反転するガス流を示す図である。空隙部130はノズル底部101によってx軸正方向側を閉塞され、またノズル側面103によって周囲を覆われており、x軸正方向側に凹む凹部となっている。そのため、空隙部130に進入したガス流はノズル底部101により反転し、さらにノズル側面103によってx軸負方向側に案内される。
【0030】
したがって空隙部130に進入したガス流は、ノズル底部101で反転するとともに速度が低下し、ガス自身の熱に基づく上昇気流によってノズル対向面11aに衝突することなくノズル上方側開口部110から排出される。空隙部130で反転しノズル下方側開口部120から排出されるガスも、x軸正方向の速度成分が低下するためノズル対向面11aの水側32に与える影響は軽微であり、水膜32を飛散させることはほぼない。
【0031】
また、下側開口部120の開口先端部121がx軸負方向側に位置するため、ノズル底部101から下側開口先端部121までの距離m2は、ノズル底部101から上側開口先端部111までの距離m1よりも長くなる(図5参照)。すなわち、ノズル底面内側105で反転した反転流はノズル側面103によってx軸負方向側に案内されるが、鉛直上方側の上端部103aよりも、鉛直下方側の下端部103bのほうが距離が長く設けられることとなる。
【0032】
したがって、ノズル底部101にて反転したガス流は鉛直下方側の下端部103bにおいてより長い距離を案内され、x軸負方向側に向かって流れる。そのため、下側開口部120から排出
されるガス流速は下端部103bにより案内された反転流により減速された後に排出されるため、ノズル100の鉛直下方側における流速がさらに低減される。
【0033】
(比較例)
図6は比較例における減温塔1の軸方向B−B断面図(図7参照)、図7は径方向A−A断面図(図6参照)である。比較例では上側、下側開口部110’、120’の略中心位置M’は、減温塔1の軸心Oと一致し、偏心はしていない。また、上側、下側開口部110’、120’の開口面積はともに等しく、形状も同一である。すなわち、開口面積はともに等しくS1であり、x軸方向幅はともに2L、y軸方向幅はともにw1である。
【0034】
図8は比較例における減温塔1内のガス流を示す図である。比較例ではノズル100’の上側、下側開口部110’、120’が減温塔1の軸心Oに対し偏心せず一致するため、本願と比べて各開口部110’,120’の開口先端部112’,122’とノズル対向面11aとの距離が短くなり、上側、下側開口部110’、120’から排出されたガスは、流速が十分低下しないままノズル対向面11aに衝突する。そのため、本願と比べてノズル対向面11aにおける水膜32が飛散しやすく、ノズル対向面11aの壁面保護が不十分となる。
【0035】
また、各開口部110’,120’の面積が等しいため、排出されるガスの流量は上側開口部110’と下側開口部120’でほぼ等しくなる。したがって、本願と比べ、比較例では鉛直下方側に排出されるガス流量が相対的に増大するため、鉛直上方側に比べて容積の小さいノズル100の鉛直下方側の領域における流量が増大し、ガス流の速度が低下しないままノズル対向面11aに衝突して水膜32を飛散させるおそれがある。
【0036】
[本願の効果]
(1)円筒状の塔1と、
塔1に接続し、塔1の内周面11に水を供給するとともに、この内周面11の表面に水膜32を形成する散水管3と、
散水管3の鉛直下方側で塔1の内周側に接続し、塔1の内周側に突出して延在する円柱状のノズル100と
を備え、
ノズル100から塔1の内周側にガスを供給し、散水管3から供給される水により、塔1内を上昇するガスを冷却する減温塔であって、
ノズル100は、塔内周側への突出方向先端側を底部とする有底の円筒形状であって、この円筒状側面のうち、塔1の鉛直上方側に開口する上側開口部110と、鉛直下方側に開口する下側開口部120を有し、
上側開口部110のノズル軸方向略中心部Mは、塔1の中心軸Oに対し、ノズル100の根元部104側に偏心して設けられ、
塔1の底部は、散水管3から供給され、内周面11に沿って流れた水を一時的に貯留する貯留部14であって、
貯留された水15の水面16は、ノズル100の鉛直下方側に位置し、
ノズル100から減温塔内周面11の鉛直上側頂部12までの距離をH1、ノズル100から貯留された水面16までの距離をH2とすると、H1>H2であって、
下側開口部120のノズル先端方向側端部122は、上側開口部110のノズル先端方向側端部112よりも根元部104側に位置することとした。
【0037】
ノズル開口部の略中心部Mをノズル100根元側部側に偏心させることで、ノズル開口部110,120から流出したガス流が減温塔内周面11(とりわけノズル対向面11a)まで至るまでの距離を長く設け、減温塔内周面11に到達するガス流速を低減させることができる。
【0038】
また、本願の減温塔1のように底部に水を貯留する場合、ノズル100下方側には水15が貯留されるため、ノズル100の鉛直下方側はガス流の逃げ場となる容積が小さく(ノズル100上側高さH1>ノズル100下側高さH2)、下側開口部120から流出したガスの流速があまり低下することなく減温塔1内周面11に到達するおそれが高い。そのため、上側と下側の開口面積が等しい、もしくは、下側の開口面積が大きい場合はノズル100対向面11a付近のノズル100鉛直下方側のガス流速が増大する。塔1内周側において局所的にガス流速が増大すると、壁面保護が十分になされないおそれがある。
【0039】
したがって、下側開口部120のノズル先端方向側端部122を上側開口部110のノズル先端方向側端部112よりもノズル根元部104側に設けることで、その分下側開口部120の先端側端部とノズル対向面11aとを距離を離間させ、ノズル100よりも下方側のガス流速を低減させ、より壁面の保護を図ることができる。
【0040】
(2)上側開口部110の開口面積は、下側開口部120の開口面積よりも大きく設けられることとした。
本願の減温塔1のようにノズル100下方側におけるガス流の逃げ場が小さい場合、ノズル100対向壁付近のノズル鉛直下方側のガス流速が増大しやすく、壁面保護が十分になされないおそれがある。したがって上側の開口面積を大きく設けることで、ノズル100から噴出するガスを効率よく鉛直上方側に向かわせ、局所的な流速増大を低減させることが可能となる。よって、水膜32を確保し、壁面を十分に保護することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
ガスを冷却する減温塔・冷却塔一般に用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 塔
3 散水管
11 内周面
12 鉛直上側頂部
14 貯留部
15 水
16 水面
32 水膜
100 ノズル
104 ノズル根元部
110 上側開口部
120 下側開口部
112、122 ノズル先端方向側端部
M ノズル軸方向略中心部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の塔と、
前記塔に接続し、前記塔の内周面に液体を供給するとともに、この内周面の表面に液膜を形成する散水管と、
前記散水管の鉛直下方側で前記塔の内周側に接続し、前記塔の内周側に突出して延在する円柱状のノズルと
を備え、
前記ノズルから前記塔の内周側にガスを供給し、前記散水管から供給される液体により、前記塔内を上昇する前記ガスを冷却する減温塔であって、
前記ノズルは、前記塔内周側への突出方向先端側を底部とする有底の円筒形状であって、この円筒状側面のうち、前記塔の鉛直上方側に開口する上側開口部と、鉛直下方側に開口する下側開口部を有し、
前記開口部のノズル軸方向略中心部は、前記塔の中心軸に対し、前記ノズルの根元部側に偏心して設けられ、
前記塔の底部は、前記散水管から供給され、前記内周面に沿って流れた液体を一時的に貯留する貯留部であって、
前記貯留された液体の表面は、前記ノズルの鉛直下方側に位置し、
前記ノズルから前記減温塔内周面の鉛直上側頂部までの距離をH1、前記ノズルから前記貯留された液体の液面までの距離をH2とすると、H1>H2であって、
前記下側開口部の前記ノズル先端方向側端部は、前記上側開口部の前記ノズル先端方向側端部よりも前記根元部側に位置すること
を特徴とする減温塔。
【請求項2】
請求項1に記載の減温塔において、
前記上側開口部の開口面積は、前記下側開口部の開口面積よりも大きく設けられること
を特徴とする減温塔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−184871(P2012−184871A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47279(P2011−47279)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】