温室用カーテン装置
【課題】カーテン部材に落下した結露水や雨水等の水分を集水し、排水することができる温室を提案する。
【解決手段】対向する支柱21、21間に架設される支持部材2と、この支持部材2上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材1とを備え、カーテン部材1は、支持部材2上に載置され、内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部1aを上面に有する。
【解決手段】対向する支柱21、21間に架設される支持部材2と、この支持部材2上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材1とを備え、カーテン部材1は、支持部材2上に載置され、内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部1aを上面に有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱間に架設される支持部材上に配置される袋状のカーテン部材に空気等の気体が注入されることによって断熱層が形成される温室用カーテン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニールハウス等の、農作物や植物の育成に使用される温室用のカーテン装置は、例えば、屋根下方部等の空間、すなわち屋根と農作物等との間の空間に、熱を遮断するシート状のカーテン部材をワイヤ等の支持部材で支持することで室内の保温効果を高める(特許文献1参照)。
【0003】
保温効果を一層高める温室用カーテン装置として、シート状のカーテン部材を鉛直方向に並設することで、両カーテン部材間に空気層による断熱層を形成させるものもある(特許文献2、3参照)。上下に並設されるカーテン部材は、支柱間に鉛直方向に並んで架設される上部ワイヤ、下部ワイヤにそれぞれ対応して支持される。
【0004】
一方、プラスチックフィルムが重ねられ、その縁部が熱シールされて袋状に形成されたエアーマットが、柱間に取り付けられたワイヤに固定され、エアーマットの内部に空気を吹き込むことで断熱層を形成させる温室がある(特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】実開昭60−111646号公報(第2頁第18行目〜第3頁第14行目、第1図)
【特許文献2】実登第3135825号(段落0009〜段落0012、図2、図3)
【特許文献3】特開2006−325401号公報(段落0017、図1、図5)
【特許文献4】特開2007−20492号公報(段落0013〜段落0014、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
温室は、支柱や梁等の構造部材からなる躯体をガラスや塩化ビニル等の断熱性を有する被覆部材が被覆する構造である。したがって、温室内は、暖められれば、夜間や冬季等の外気温が低いときでも温室外に比べて暖かい状態を維持する。この結果、例えば屋根を構成する被覆部材等の内面に結露することがある。
【0007】
被覆部材等の内面に結露すると、特許文献1〜4のように屋根の下方にカーテン部材が配設されている場合、結露水がカーテン部材上に落下する。また、被覆部材間に隙間が形成されていたり、被覆部材に孔が形成されていることがある場合には、雨水がカーテン部材上に落下する。
【0008】
特許文献1〜4に記載の温室用カーテン装置が備えるカーテン部材の上面は平坦であるので、カーテン部材上に落下した結露水や雨水等の水分は効率的に集水されない。この結果、水分は拡散して薄く引き延ばされた状態でカーテン部材上に付着するので、カーテン部材の上面からは排水されずに滞留する。カーテン部材上に水分が滞留することによって、支持部材がカーテン部材を支持できなくなり、カーテン装置が崩壊する虞があるので、カーテン部材上の水分を排出するためにカーテン部材に孔が設けられることがある。その結果、カーテン部材による温室の保温効果が損なわれる。
【0009】
一方、カーテン部材の上面に落下する結露水や雨水等の水分は外気によって冷やされてしまうので、カーテン部材の上面に落下した水分が排出されなければ、カーテン部材による温室内の保温効果が弱められる。
【0010】
ところで、特許文献2、3の温室用カーテン装置は、高い保温効果を得るために、シート状のカーテン部材を上下に並設して空気層を形成させる。しかしながら、空気層を形成するシート状のカーテン部材で空気層を形成させるための空間を完全に密閉することは困難であるので、断熱層はたいてい不完全になる。したがって、カーテン部材は袋状に形成されている方が望ましい(特許文献4参照)。
【0011】
また、中規模以上の(およそ10mを超える)大きさの温室の場合、1枚の或いは1枚状に形成されたカーテン部材で屋根と農作物等との間の空間を遮断するのは困難である。ここで、複数枚のカーテン部材が当該空間に配設されたとしても、カーテン部材が同一平面上に並設されたのみでは、カーテン部材間には隙間が形成されるため、断熱効果が弱められる。これを補うためには、複数の断熱層を重ねた状態で配設させることが望ましい。
【0012】
特許文献2、3のカーテン装置は、上下に配置された支持部材を備えるものの、袋状のカーテン部材を適用した場合の、カーテン部材の膨張を想定していないため、十分な断熱層が形成されない可能性がある。
【0013】
本発明は上記背景より、袋状のカーテン部材を完全に膨張させることで十分な断熱層を形成させ、カーテン部材状に落下した結露水や雨水等の水分を集水し、排水することができる温室用カーテン装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明の温室用カーテン装置は、対向する支柱間に架設される上支持部材と、この上支持部材より下側に、前記支柱間に架設される下支持部材と、前記上支持部材と前記下支持部材との各上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、前記上支持部材と前記下支持部材との間の距離は、前記上支持部材と前記下支持部材との間に配設された前記カーテン部材の内部に気体が注入されたときの厚さに応じた大きさであることを構成要件とする。
【0015】
「対向する支柱間に架設される」とは、上支持部材又は下支持部材が支柱に連結されて対向する支柱間に架設される他、支柱に形成される接続片を介して支柱に連結されて、間接的に対向する支柱間に架設されることも含まれる。また、支持部材の架設方向(例えば梁間方向)とは異なる方向(例えば桁行方向)に並設される支柱間にワイヤ等の連結部材が設置されて、支持部材がその連結部材に連結されて、間接的に対向する支柱間に架設されることも含まれる。
【0016】
また、上支持部材と下支持部材との距離とは、両支持部材が同一の鉛直面上に位置する場合には、両支持部材間距離を意味し、各支持部材が同一の鉛直面上に位置しない場合には、上支持部材を含む平面と下支持部材を含む平面との間の距離のことをいう。
【0017】
「前記上支持部材と前記下支持部材との間の距離が、その両支持部材間に配設されたカーテン部材の内部に気体が流入されたときの厚さに応じた」ことによって、当該カーテン部材に気体が注入されときに、所望の大きさ(厚さ)を有する断熱層を形成させるためにカーテン部材が膨張するのに必要な空間が確保され、且つ両支持部材で、膨張したカーテン部材を拘束することが可能である。
【0018】
請求項2に記載の発明の温室用カーテン装置は、対向する支柱間に架設される支持部材と、この支持部材上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、該カーテン部材は、支持部材上に載置され、内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部を上面に有することを構成要件とする。
【0019】
温室の基本的な形状として、桁行方向の長さと梁間方向の長さとが同程度の形状と、桁行方向の長さと梁間方向の長さとが大きく相違する形状とが考えられるが、温室の形状は問われない。支持部材として、ワイヤやピアノ線等の曲げ剛性が低く、自立性がない部材、あるいは鉄筋や鋼棒等の比較的曲げ剛性が高く、自立性を有する部材の他、木材、プラスチック等の様々な種類の部材が適用可能である。支持部材が架設される支柱は、温室の梁間方向又は桁行方向に対向している。つまり支持部材の架設方向は梁間方向又は桁行方向である。
【0020】
内部に気体が注入され、支持部材に支持されたカーテン部材の上面には溝部が形成されているので、カーテン部材の上面に落下した結露水や雨水等の水分は溝部に流れ落ちることによって集水される。溝部は水平に対して傾斜しているので、溝部に集水された水分は溝部の底に沿って流れ落ちることで、カーテン部材から樋等を通って排水される。
【0021】
ここで、カーテン部材上に落下した時点での水分は水滴レベルであり、カーテン部材に付着した状態を維持し易いが、水分同士が集合することによって、水分は塊レベルへ成長する。この結果、水分の質量が大きくなるので、水分は溝部を流れ落ち易くなる。カーテン部材の上面に溝部が形成されている場合には、カーテン部材の上面が平坦で溝部が形成されていない場合に比して、水分が集水されることによって水分の体積が大きく成長し易いので、効率的に水分が排出される。
【0022】
支持部材上に配置されたカーテン部材は支持部材の材軸方向に伸縮自在であることもある(請求項3)。カーテン部材に気体が注入されることで断熱層が形成されることから、カーテン部材の伸縮によって断熱層の範囲が増減するので、温室内の温度調整を行うことができる。
【0023】
ここで、温室が前記対向する支柱のそれぞれに設置される滑車と、双方の滑車に、支持部材に平行に掛けられるワイヤと、滑車を経由させてワイヤを循環させる駆動装置とを備え、カーテン部材の、支持部材が架設される方向の一端が、ワイヤに接続されている連結部材に連結され、駆動装置の駆動に連動して走行する(請求項4)と、カーテン部材の伸縮、すなわち温室内の温度調整を行う作業が自動化される。
【0024】
カーテン部材には、支持部材の材軸方向に直交する折れ線が、支持部材の材軸方向に間隔をおいて一方の外面と、この一方の外面の反対側の外面とに交互に形成されていることがある(請求項5)。言い換えれば、支持部材に支持されているカーテン部材の上面及び下面にワイヤの材軸方向に直交する折れ線が交互に形成されており、ある折れ線がカーテン部材の上面あるいは下面のいずれか一方に形成されていると、その位置から支持部材の架設方向に所定の距離をおいた位置の他方に折れ線が形成され、さらにその位置から支持部材の架設方向に所定の距離をおいた位置の一方に折れ線が形成される。
【0025】
したがって、カーテン部材の所定の箇所を支持部材の架設方向に移動させることで、カーテン部材は隣接する折れ線間の長さで折り畳まれて伸縮する。
【0026】
カーテン部材の溝部が形成されている部分の内面間に、カーテン部材の膨張を制限する接続部が形成され、カーテン部材の内部に気体が注入されたときに、接続部間は前記カーテン部材の内部の全域に連通している(請求項6)。
【0027】
仕切部は、例えばカーテン部材の溝部の裏側の内面同士が溶着、接着、縫着等により接続される接続部、又は溝部の裏側の内面間に配設され、カーテン部材の内面に接続される接続部材等で構成される。カーテン部材に気体が注入されたときに、接続部以外の部分が膨張する一方で、仕切部の膨張が抑制(制限)されることで、仕切部の位置に溝部が形成される。つまり、溝部は仕切部に対応したカーテン部材の内面間の表面に形成される。
【0028】
カーテン部材の溝部の裏側の内面間が接続部によって遮断されながらも、接続部はカーテン部材の内面間に部分的に(断続的に)形成されることで、カーテン部材の内部は接続部間のカーテン部材と接続部とで区画された、気体が流れ得る流路が形成される。カーテン部材の内部に気体が注入されると、流路を形成する接続部間のカーテン部材は気体の圧力によって外側に膨張する。流路を形成するカーテン部材が膨張することによって、接続部を挟んで隣接する流路を形成するカーテン部材の膨張した部分間には、接続部に対応した溝部が形成される。
【0029】
カーテン部材の溝部は接続部によって形成される他に、例えば金型等による成型によって製作される場合もある。この場合では、カーテン部材の製作が容易である。
【0030】
また、カーテン部材の内部に気体が注入されたときに、接続部間はカーテン部材の内部の全域に連通しているので、気体を注入するための注入口がカーテン部材の任意の1箇所に形成されていれば、この注入口から空気を注入することでカーテン部材の内部全域に気体を注入することができる。
【発明の効果】
【0031】
対向する支柱間に架設される支持部材と、この支持部材上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、カーテン部材は、支持部材上に載置され、内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部を上面に有するので、カーテン部材に
落下した結露水や雨水等の水分を集水し、排水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1に対向する支柱21間に架設される支持部材2と、この支持部材2上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材1とを備え、該カーテン部材1は、支持部材2上に載置され、内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部1aを上面に有する温室100の具体例を示す。
【0033】
温室100は、形状を維持して躯体を形成するための骨組み20と、骨組み20を覆い、降雨や外気等の温室外の影響を防ぐための被覆部材30とを備える。骨組み20は、各種の構造部材で構成され、例えば、H鋼や鋼パイプ等の鋼材や木材からなる。被覆部材30は、ポリ塩化ビニル等の樹脂製フィルムやガラス製の面材からなり、骨組み20の外側や骨組み20の構造部材間に配設されて躯体を全体的に覆う。骨組み20の構造部材及び被覆部材30の種類は問われず、温室100の用途や温室周囲の自然環境等に応じて適宜に選定される。
【0034】
温室100の骨組み20は、例えば、その最上部において両妻面100Aを結ぶ棟木22と、平面視で棟木22を挟んで梁間方向に対向し、棟木22の軸線方向に所定間隔をおいて地盤に設置される支柱21と、棟木22と平行に配設され、支柱21の上端部に連結される桁23と、棟木22(又は桁23)の軸線方向において支柱21と同一の位置で桁23及び棟木22に連結される垂木24とで構成される。本実施の形態では両妻面100Aで支柱21、21間に梁25が架設されている。
【0035】
支柱21が地盤に設置される方法は、直接地盤に埋められる方法の他に、コンクリート等によって地盤に形成された基礎に埋められる方法、或いは、構造的な安定感を高くするために地盤との接触面積を拡大させる土台の機能を有する部材を介して地盤に載置される方法等があり、諸条件に応じて適宜に選定される。
【0036】
桁行方向に隣接する支柱21、21間や垂木24、24間等の外面及び妻面100Aを構成する構造部材間の外面には、被覆部材30が被覆されている。被覆部材30によって温室100の内部と外部とが区画されて、風や雨、さらには寒気等の温室100の外部の影響が温室100の内部に及ばないように阻止されている。
【0037】
温室100の平面視形状は、例えば温室100の梁間方向長さに比べて桁行方向長さが長い形状、梁間方向長さと桁行方向長さとが同程度である形状等、様々な種類があるが、その種類は問われない。また、温室100の屋根部分の形状はアーチ型や山型のような突状、或いは平坦状等の様々な種類があるが、自然環境等の諸条件に応じて適宜に選定される。図面では温室100の平面視形状は梁間方向長さに比して桁行方向長さが長い形状で、屋根部分形状は山型の突状を呈する。
【0038】
一方の妻面100Aから他方の妻面100Aに向かって桁行方向に所定間隔で、支持部材2が、梁間方向に対向する支柱21、21間に架設される。図3に示すように、この支持部材2は、支柱21、21間の中間部で棟木22に吊られている吊り部材3に吊られて保持されている。支持部材2はワイヤ等の曲げ剛性が低く、自立性を有さない材質からなり、上方から吊り部材3に吊られることによって、棟木22側から支柱21側へかけて下方へ傾斜した状態で緊張されている。
【0039】
支持部材2は、吊り部材3によって吊られて保持されているが、支持部材2を保持する手段はこれに限られず、例えば地盤に支持された部材(図示せず)によって支持部材2の下方から支えて保持する手段でもよい。ここで、支持部材2は、鉄筋や鉄棒等の剛性が高く、自立性を有する部材でも適用可能であるが、この場合、吊り部材3等によって傾斜した状態で保持されれば良い。
【0040】
また、支持部材2は、支柱21に固定された接続片2aを介して、シャックル形状やフック形状の連結部材2bによって支柱21に連結されているが、支持部材2と支柱21との連結方法は問われない。
【0041】
図示の場合、支持部材2は吊り部材3によって、棟木22側から支柱21側へかけて下方へ傾斜した状態で緊張されているので、1本の支持部材2は2本の傾斜部で構成される。図1に示すように、支持部材2の各傾斜部上には、上面に、水平に対して傾斜した溝部1aが形成され、内部に空気等の気体が注入される袋状のカーテン部材1が設置される。カーテン部材1に気体が注入されると、カーテン部材1に閉じ込められた気体によって断熱層が形成され、断熱層によって断熱層の上方と断熱層の下方とが遮断される。図面では1つのカーテン部材1が2本の支持部材2に支持されているが、1つのカーテン部材を支持する支持部材の本数は問われない。
【0042】
図3に示すように、カーテン部材1は使用状態においては梁間方向及び桁行方向に隙間なく並設されるので、温室100は平面的に全範囲においてカーテン部材1の断熱層によって上部と下部とに分断される。したがって、農作物や植物を育成させる温室100の下部に対する温室100の外部の影響が一層妨げられ、温室100の下部に対する保温効果が向上する。
【0043】
また、カーテン部材1の表面には水平に対して傾斜した溝部1aが形成されているので、被覆部材30等の内面に生成された結露水や、温室100の内部に浸入した雨水等の水分がカーテン部材1の表面に落下すると、溝部1aに集水されると共に、溝部1a上を流れ落ちて排水される。カーテン部材1上に落下した水分を排水することができるので、カーテン部材1に形成される断熱層による温室100の下部に対する保温効果の低下を抑止することができる。
【0044】
図6(a)、(b)に示すように、カーテン部材1は、1枚の連続した、又は複数枚のシートが繋ぎ合わされて形成されたシート10が、折り畳まれた状態で又は複数枚で重ねられた状態で接続されてなる。ここで、カーテン部材1の上側に形成されるシートを上シート10Aと、下側に形成されるシートを下シート10Bという。
【0045】
カーテン部材1を構成するシート10の材質として、塩化ビニルフィルム等の合成樹脂フィルム等がある。シート10の材質はこれに限定されないが、農作物等の育成のためにカーテン部材1に光線を透過させる必要があるので、透明性を有するものが好ましい。また、後述するようにカーテン部材1に気体が注入されていないときに、カーテン部材1を移動用ワイヤ6の方向に沿って伸縮させ、且つ、カーテン部材1の内部に気体が注入してカーテン部材1を膨張させるので、カーテン部材1は変形可能あるいは伸縮自在な材質からなることが好ましい。
【0046】
カーテン部材1の内部に気体を送り込み、気体を溜め、断熱層を形成させるために、カーテン部材1は袋状に形成され、密封されている。カーテン部材1を密封するために、上シート10Aと下シート10Bとが接続される接続部1bは環状に形成されている。当該接続手段としては溶着、接着又は縫着等、シート10の素材に応じて適宜に選定される。
【0047】
図面では、カーテン部材1は、2枚の矩形状に形成された上シート10Aと下シート10Bとが重ねられ、各々の縁部で溶着により接続されている。カーテン部材1はその縁部に形成される縁部接続部1bの他に、長辺方向に所定間隔をおいて、一方の長辺方向の縁部接続部1bから短辺方向に沿って溶着等により形成される中央部接続部1cを備える。
【0048】
両接続部1b、1cは溶着等によって形成されるが、特に溶着は所定の装置を用いてカーテン部材1の表面から行うことができるので、例えば、縁部接続部1bを形成した後に、中央部接続部1cを形成することが可能である。この場合、上シート10Aと下シート1Bとの接続作業に手間がかからない。
【0049】
縁部接続部1b及び中央部接続部1cは、上シート10Aと下シート10Bとが直接接続されることにより形成されるため、上シート10Aと下シート10Bとの内面間は両接続部1b、1cによって仕切られる。ここで、カーテン部材1の内部の全域に空気が流入するにあたり、カーテン部材1内部の両接続部1b、1cで仕切られる空間がカーテン部材1の内部の全域にわたって連通することが望ましい。これは、1回の気体の注入作業によってカーテン部材1に気体を流入し終えることができ、注入作業の効率が良いからである。
【0050】
このために、本実施の形態においては、カーテン部材1の中央部接続部1cはカーテン部材1の短辺方向全長に亘っては形成されておらず、一方の長辺方向の縁部接続部1bから、他方の長辺方向の縁部接続部1bの間まで形成されている。つまり、各中央部接続部1cの先端部と、他方の長辺方向接続部1bとの間のカーテン部材1内部は仕切られていないので、カーテン部材1内部の両接続部1b、1cによって仕切られる空間がカーテン部材1の内部の全域にわたって連通する。
【0051】
また、縁部接続部1b及び中央部接続部1cは、上シート10Aと下シート10Bとが直接接続されることにより形成されることから、縁部接続部1b及び中央部接続部1cの膨張は制限される。したがって、カーテン部材1の内部に気体が注入されると、カーテン部材1の表面の、両接続部1b、1cを除く部分は両接続部1b、1cに比して膨張するため、中央部接続部1cの位置に同時に溝部1aが形成されるか、あるいは中央部接続部1cはそのまま溝部1aになる。
【0052】
図面では、カーテン部材1が膨張すると、中央部接続部1c、1c間、又は中央部接続部1cと短辺方向の縁部接続部1bとの間に短辺方向突状部1dが一方の長辺方向の縁部接続部1bから形成され、短辺方向突状部1dと他方の長辺方向の縁部接続部1bとの間に長辺方向突状部1eが形成される。この結果、カーテン部材1(上シート10A)表面の短辺方向突状部1d、1d間には、中央部接続部1cに対応する溝部1aが形成される。
【0053】
カーテン部材1には、図6に示すように、気体を注入するための注入口1fが形成されている。注入口1fの位置は問われないが、カーテン部材1の内部の全域に、特にすべての短辺方向突状部1fに対応するカーテン部材1の内部に気体を確実に注入するためには長辺方向突状部1eの長辺方向の中心辺りに形成されていることが望ましい。
【0054】
図1、図2に示すように、本実施の形態では、支持部材2は上側に配設される上支持部材2Aと、下側に配設される下支持部材2Bとからなる。上支持部材2Aと下支持部材2Bとが平面視で桁行方向に異なる位置で梁間方向に対向する支柱21、21間に架設されているが、桁行方向に同一の位置で支柱21、21間に架設されても良い。
【0055】
カーテン部材1も支持部材2と同様に、上支持部材2Aに支持され、上側に配設される上カーテン部材1Aと、下支持部材2Bに支持され、下側に配設される下カーテン部材1Bとからなる。ここでは、上カーテン部材1Aと下カーテン部材1Bとは同一の大きさの同一形状を呈しているので、上カーテン部材1Aと下カーテン部材2Bとの区別をする手間が省かれることで、カーテン部材1の設置作業が容易になる。
【0056】
本実施の形態では、平面視で下カーテン部材1Bが上カーテン部材1Aより梁間方向外側に配設され、下カーテン部材1Bの上面の梁間方向内側端部と上カーテン部材1Aの下面の梁間方向外側端部とが密着している。両カーテン部材1A、1Bは、使用状態において内部の気体に加圧されつつ、相互に確実に密着し合うために、図2に示すように拘束手段8によって支持部材2に対して支持部材2に直交する方向に拘束されている。
【0057】
図面では、拘束手段8として一のカーテン部材1が設置される全ての支持部材2に挿通され、支持部材2に直交する方向に拘束されている拘束ロッドが使用され、拘束ロッドはカーテン部材1の一方の長辺方向の縁部接続部1bの下面に取り付けられている(図7(a)〜(c)参照)。カーテン部材1は使用状態においては平面視で梁間方向の両端部で支持部材2に対して支持部材2に直交する方向に拘束されるので、上カーテン部材1Aと下カーテン部材1Bは、内部の圧力によって相互に力を及ぼし合っても、密着状態を維持することができる。この結果、カーテン部材1によって区画される温室100の上部と下部とが一層確実に遮断されるので、温室100の下部に対する保温効果の低下は抑止される。
【0058】
図1では、上カーテン部材1Aの傾斜方向下側で下カーテン部材1Bが上カーテン部材1Aの下方に配設されているので、上カーテン部材1Aに落下してその溝部1aに集水されて流れ落ちる水分は、確実に下カーテン部材1Bに流れ落ち、溝部1aに集水されて排水される。
【0059】
さらに、図3に示すように、平面視で上カーテン部材1Aの溝部1aと下カーテン部材1Bの溝部1aとが接続されているので、上カーテン部材1Aの溝部1aを流れ落ちる水分は確実に下カーテン部材1Bの溝部1aへ導かれる。また、溝部1aがその傾斜方向下側で、長辺方向の縁部接続部1bに接続されているので、溝部1aに集水された水分はカーテン部材1から円滑に樋等を通じて排出される。
【0060】
また、図6(b)に示すように、短辺方向突状部1dが溝部1aに直交する方向においてそれ自体の中心部から外側へかけて下降しているので、カーテン部材1上に落下した水分は確実に溝部1aで集水される。
【0061】
図1に示すように、温室100内にはカーテン部材1に気体を注入するための気体供給設備40が設置されている。気体供給設備40は、例えば送風機のような気体を生成する気体生成装置41と、気体生成装置41とカーテン部材1との間に配設され、気体生成装置41で生成された気体をカーテン部材1に供給する供給管42とを備える。供給管42は、気体生成装置41に接続される本管43と、本管43から分岐され、カーテン部材1に接続される分岐管44とからなる(図2、図4参照)。
【0062】
図面では、気体供給設備40はカーテン部材1の下方に設置されており、例えば気体生成装置41が平面視で一方の妻面100A付近の、棟木22と桁23との間で地面に載置されている。気体生成装置41は棟木22に関して両側に位置するカーテン部材1毎に2機あり、一方の気体生成装置41と他方の気体供給装置41とは、棟木22と一方側の桁23との間、棟木22と他方側の桁23との間に分かれて載置されている。ここで、カーテン部材1に注入される気体は一般的には空気であることから、気体生成装置41は、一面にファンが設けられたブロア等が適切である。
【0063】
本管43は、両気体生成装置41、41から他方の妻面100Aに向かって桁行方向に配設されて、支持されている。本管43の支持方法は問われないが、使用状態においては、温室100上部と温室100下部とが全体的にカーテン部材1によって遮断されるので、本管43は、例えば支持部材2に紐や金具等の吊り部材45等によって保持されるか、あるいは地盤に設置される支持台等に保持されることによってカーテン部材1の下方の空間のみを利用して保持されることが好ましい(図3参照)。
【0064】
地表面の農作物等に対する有効面積を削減させないことが好ましいので、本管43が支持部材2に吊られることが望ましい。本管43の材質は、種類を問われず、ステンレス製、塩化ビニル製等適宜に選定される。
【0065】
分岐管44は、カーテン部材1の注入口1fに取り付けられている接続部材(図示せず)を介してカーテン部材1に接続されている。接続部材が逆止弁で構成されている場合、カーテン部材1への気体の注入を中断する等、カーテン部材への気体の注入を段階的に行うことができるので、気体の注入管理を行い易い。分岐管44の材質は、本管43の材質と同じでも異なっていてもよく、その種類は問われない。
【0066】
気体供給設備40の構造や配置等は上記に限られないが、温室100の桁行方向長さが梁間方向長さに比して長い場合、本管43が桁行方向に沿って配設された方が、本管43の構造が単純化されると同時に、本管43の設置作業が容易になる。
【0067】
図1に示すように、例えば、桁行方向に隣接する垂木24、24間には、カーテン部材1を伸縮させる動力を生み出す巻き取り機5を保持する巻き取り機用保持部材26が架設されている。巻き取り機用保持部材26には、回転駆動可能な巻き取り機5が保持されており、巻き取り機用保持部材26寄りの桁23の、巻き取り機用保持部材26が架設されている垂木24、24間部分には第1滑車4Aと第2滑車4Bとが下カーテン部材1Bの上面付近で桁行方向に並んで保持されている。また、第1滑車4A及び第2滑車4Bが保持されている桁23に梁間方向に対向する桁23には第3滑車4Cが下カーテン部材1Bの上面付近で保持されている。
【0068】
図4に示すように、巻き取り機5にはカーテン部材1を引っ張ることで移動させるための移動用ワイヤ6が巻き取られており、この移動用ワイヤ6は、梁間方向に往復する形で、第1滑車4A、第3滑車4C及び第2滑車4Bの順でそれぞれに掛装されている。つまり、移動用ワイヤ6は無端環状状態で巻き取り機5に巻き取られ、第1滑車4A、第2滑車4B及び第3滑車4Cに掛装されている。移動用ワイヤ6は、鋼製ワイヤ、合成樹脂等の被覆部材に被覆された鋼製ワイヤの他に、加工されて引張強度の高い紐等も使用される。
【0069】
ここで、移動用ワイヤ6の、第1滑車4Aと第3滑車4Cとの間の部分を第1移動用ワイヤ6Aと、移動用ワイヤ6の、第3滑車4Cと第2滑車4Bとの間の部分を第2移動用ワイヤ6Bという。したがって、巻き取り機5の回転駆動によって第1移動用ワイヤ6Aが一方の向き(例えば、図4において矢印Aの向き)に移動するとき、第2移動用ワイヤ6Bは第1移動用ワイヤ6Aと反対の向き(図4において、矢印Bの向き)に移動する。
【0070】
図5に示すように、第1移動用ワイヤ6A及び第2移動用ワイヤ6Bは、棟木22に吊られている吊り用滑車4Dによって吊られ、支持部材2に平行に保持されている。これは、カーテン部材1が移動用ワイヤ6の移動によって伸縮することから、カーテン部材1の伸縮を円滑に行うためには、カーテン部材1の伸縮方向と支持部材2の傾斜方向とを一致させる必要があるからである。また、図1では上支持部材2Aは棟木22に支持される吊り部材3に吊られているが、例えば上支持部材2Aを吊る部材(図示せず)を吊り用滑車4Dに温室100の桁行方向に挿通させて、その部材によって上支持部材2Aを吊ることも可能である。このとき、下支持部材2Bをこの部材によって直接吊ることはできないので、吊り部材3を支持させて、吊り部材3によって下支持部材2Bを吊ることは可能である。
【0071】
図1に示すように、上カーテン部材1A及び下カーテン部材1Bは、拘束手段8で移動用ワイヤ6に連結され、拘束手段8が取り付けられていない長辺方向の縁部接続部1bで支持部材2に固定されている(図7(a)〜(c)参照)。つまり、拘束手段8が移動用ワイヤ6によって移動させられるので、カーテン部材1の移動の先頭は、移動の向きに直交する方向(カーテン部材1の長辺方向)に均一に成形される。したがって、カーテン部材1を完全に伸長させることで、カーテン部材1による断熱層を確実に形成させることができる。
【0072】
図示の場合、下カーテン部材1Bは、その上側端部が支持部材2に沿って移動することによって伸縮し、上カーテン部材1Aは、その下側端部が支持部材2に沿って移動することによって伸縮する。
【0073】
図5に示すように、第1移動用ワイヤ6A及び第2移動用ワイヤ6Bが、棟木22に吊られている吊り用滑車4Dによって吊られて、カーテン部材1Aの下面と下カーテン部材1Bの上面との間に配設されているので、使用状態において上カーテン部材1Aの下面と下カーテン部材1Bの上面とが密着するにも関わらず、両ワイヤ6A、6Bは両カーテン部材1A、1Bの膨張に対して支障はない(図3参照)。
【0074】
図面では、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する下カーテン部材1B及び第3滑車4C寄りに位置する上カーテン部材1Aが拘束手段8で第1移動用ワイヤ6Aに連結部材7を介して連結されている。一方、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する上カーテン部材1A及び第3滑車4C寄りに位置する下カーテン部材1Bが拘束手段8で第2移動用ワイヤ6Bに連結部材7を介して連結されている。すなわち、一のカーテン部材1は、支持部材2又は移動用ワイヤ6に沿って伸縮する向きが一致する他のカーテン部材1と同一の移動用ワイヤ6A、6Bに連結される。
【0075】
図4に示すように、カーテン部材1は未使用状態においては、つまりカーテン部材1に気体が注入されていないとき、支持部材2に固定されている側に縮められており、支持部材2の傾斜方向に対向する、下カーテン部材1Bと上カーテン部材1Aとの間に開口部Xが形成されている。
【0076】
したがって、巻き取り機5を回転駆動させて、第1移動用ワイヤ6Aを第1滑車4Aから第3滑車4Cへ向かう向き(以下、A向きという)に、第2移動用ワイヤ6Bを第3滑車4Cから第1滑車4Aへ向かう向き(以下、B向きという)に移動させる。このとき、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する下カーテン部材1Bの上端部及び第3滑車4C寄りに位置する上カーテン部材1Aの下端部が第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られてA向きに移動することで両カーテン部材1A、1Bが伸長し、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する上カーテン部材1Aの下端部及び第3滑車4C寄りに位置する下カーテン部材1Bの上端部が第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られてB向きに移動することで両カーテン部材1A、1Bが伸長し、開口部Xが消滅する(図3参照)。
【0077】
一方、図3に示すようにカーテン部材1が伸長して開口部Xが形成されていないときに、巻き取り機5を回転駆動させて、第1移動用ワイヤ6AをB向きに、第2移動用ワイヤ6BをA向きに移動させる。このとき、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する下カーテン部材1Bの上端部及び第3滑車4C寄りに位置する上カーテン部材1Aの下端部が第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られてB向きに移動することで両カーテン部材1A、1Bが縮み、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する上カーテン部材1Aの下端部及び第3滑車4C寄りに位置する下カーテン部材1Bの上端部が第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られてA向きに移動することで両カーテン部材1A、1Bが縮み、開口部Xが形成される(図4参照)。
【0078】
このように、カーテン部材1を迅速に且つ容易に伸縮させることができるので、カーテン部材1による断熱層を迅速に且つ容易に形成して温室100内の温度や湿度の管理を容易に行うことができる。
【0079】
本実施の形態では、上カーテン部材1Aは上側端部で固定されて下側端部で移動可能、下カーテン部材1Bは下側端部で固定されて上側端部で移動可能であるが、上カーテン部材1Aが下側端部で固定されて上側端部で移動可能、下カーテン部材1Bが上側端部で固定されていた下側端部で移動可能である形態にすることもできる。また、上カーテン部材1A及び下カーテン部材1Bが共に上側端部又は下側端部で固定されて、その反対側の端部で移動可能である形態にすることも可能である。
【0080】
ところで、移動用ワイヤ6はカーテン部材1を移動させる際に、カーテン部材1から抵抗力を受ける。この抵抗力は、移動ワイヤ6の移動の向きによって変化するが、抵抗力の最大値はカーテン部材1と支持部材2との間に作用する摩擦力及びカーテン部材1の自重(の傾斜方向成分)からなる。作用・反作用の法則によって、カーテン部材1は移動用ワイヤ6から連結部材7を介して、上記の抵抗力と同等の力を受ける。
【0081】
カーテン部材1が移動用ワイヤ6から受ける抵抗力の向きは、移動用ワイヤ6の移動の向きに一致するので、カーテン部材1は連結部材7に連結される部分において短辺方向に力を受ける。そこで、本実施の形態では、この抵抗力によるカーテン部材1の変形を阻止するために、カーテン部材1の連結部材7との連結部分を含む長辺方向部分はこの抵抗力に対抗し得る曲げ剛性を有している。
【0082】
カーテン部材1が変形することによって、例えば使用状態であればカーテン部材1、1間に隙間が形成されて、温室100の下部に対する保温効果が低下する。また、カーテン部材1の変形が繰り返されることによって、カーテン部材1が劣化する。本実施の形態では、カーテン部材1の連結部材7との連結部分を含む長辺方向部分は、拘束手段8で構成されているので、拘束手段8の曲げ剛性が当該抵抗力に対抗し得る大きさであればよい。
【0083】
(実施の形態2)
その他の温室100の具体例を図8に示す。本実施の形態では、桁行方向に対向する支柱21、21間に支持部材2が架設され、カーテン部材1が桁行方向に伸縮する点と、カーテン部材1には溝部1aに短辺方向に、折れ線1gが形成されている点と、カーテン部材1が長辺方向の縁部接続部1bで支持部材2に支持されている点とで実施の形態1と主に異なる。
【0084】
両妻面100Aの梁25の下方には支柱21、21間に補助梁28が架設され、補助梁28は、地面に設置された補助支柱27によっても支持されている。図面では2本の補助支柱27、27がそれぞれ、梁間方向に対向する支柱21、21から梁間方向内側へ所定距離おいた位置に配設されている。
【0085】
妻面100Aを構成する補助梁28、支柱21及び補助支柱27には接続片2aが形成又は固定されており、接続片2aにはシャックル等の連結部材2bを介して支持部材2が、桁行方向に対向する補助梁28、支柱21及び補助支柱27間に架設されている。支持部材2がワイヤ等の曲げ剛性が低く、自立性を有さない部材からなり、架設される支持部材2が自重で撓むときには、例えば桁行方向に所定間隔をおいて垂木24に吊られている吊り部材3によって支持部材2を水平に保持させることが可能である。
【0086】
支持部材2が水平に保持されることで、支持部材2に支持されるカーテン部材1が支持部材2の架設方向に平行に支持されるので、断熱層の位置が桁行方向に一定になる。したがって、断熱層間に隙間が形成されないので、温室100下部の保温効果が均一になる。支持部材2を支持するのが吊り部材3である場合、吊り部材3は垂木24に直接吊られても、例えば桁行方向に隣接する垂木24、24間に架設される補助架設部材(図示せず)等によって間接的に垂木24に吊られることも可能である。
【0087】
図面では、温室100の棟木22を含む鉛直断面で梁間方向に2つに区画された双方において、桁行方向に対向する補助梁28、支柱21及び補助支柱27のそれぞれに支持部材2が架設されている。ここでは、補助梁28、支柱21、補助支柱27に架設されている支持部材2をそれぞれ第1支持部材2C、第2支持部材2D、第3支持部材2Eという。
【0088】
第1支持部材2Cは第2支持部材2Dより高い位置で支持されており、第1支持部材2Cと第2支持部材2Dの中間で第3支持部材2Eが支持されている。つまり、第1支持部材2C、第2支持部材2D及び第3支持部材2Eは水平に対して傾斜(図において棟木22側から支柱21側へかけて下方へ傾斜)して並設されている。
【0089】
カーテン部材1がその短辺方向に並設されて各々の長辺方向の縁部接続部1bで接続されてなるカーテン体11が、図9に示すように、平面視でカーテン部材1の溝部1aの方向(短辺方向)と梁間方向とが一致するように支持部材2上に配設されている。上記の梁間方向に2つに区画された双方において隣接する支持部材間距離L1(第1支持部材2Cと第3支持部材2Eとの距離、又は、第2支持部材2Dと第3支持部材2Eとの距離)と、カーテン部材1の短辺方向の縁部接続部1bの中心線間隔L2とは略一致している(図8、図12(a)参照)。カーテン部材1が縁部接続部1bで支持部材2に支持されているので、カーテン部材1の移動による両突状部1d、1eの支持部材2との接触、特に引っかかりによる裂傷等が回避される。
【0090】
図8に示すように、カーテン体11は、支持部材2C、2D、2Eにカーテン部材1の長辺方向の縁部接続部1bで支持されているので、第1支持部材2C、第2支持部材2D及び第3支持部材2Eが並設されている方向に傾斜する。一のカーテン体11を構成するカーテン部材1はその傾斜方向に並んで接続されており、ここでは、上側に位置するカーテン部材1を上カーテン部材1Aと、下側に位置するカーテン部材1を下カーテン部材1Bという。
【0091】
この場合、カーテン体11は、上カーテン部材1Aの上側の長辺方向の縁部接続部1bで第1支持部材2Cに、下カーテン部材1Bの下側の長辺方向の縁部接続部1bで第2支持部材2Dに、上カーテン部材1Aの下側の長辺方向の縁部接続部1b又は下カーテン部材1Bの上側の長辺方向の縁部接続部1bで第3支持部材2Eに支持されている。
【0092】
したがって、支持部材2に支持されるカーテン体11の溝部1aは第1支持部材2C、第2支持部材2D及び第3支持部材2Eが並設される、水平に対する傾斜方向(以下、支持部材傾斜方向という)に傾斜するので、カーテン部材1上に落下する結露水等の水分は円滑に流れ落ちてカーテン部材1から排出される。
【0093】
上カーテン部材1Aの溝部1aに集水された水分は、上カーテン部材1Aの下側の長辺方向の縁部接続部1b又は下カーテン部材1Bの上側の長辺方向の縁部接続部1bに流れ落ちる。この長辺方向の縁部接続部1bも支持部材傾斜方向に傾斜しているので、水分は円滑に流れ落ちる。したがって、水分を下カーテン部材1Bの溝部1aに確実に流し落とすためには、第2支持部材2D及び第3支持部材2Eに支持された下カーテン部材1Bの長辺方向突状部1eの短辺方向断面が棟木22側から支柱21側にかけて下方する形状であることが必要である(図12(c)参照)。図12(c)では、長辺方向突状部1eの短辺方向断面は曲線状であるが、直線状でもよい。
【0094】
本実施の形態では、図11に示すように、巻き取り機5が、桁行方向の両端に位置する垂木24を除く垂木24に支持されており、巻き取り機5寄りの妻面100Aを構成する垂木24に第1滑車4A及び第2滑車4Bが保持されている。また、他方の妻面100Aを構成する垂木24には第3滑車4Cが保持されている。
【0095】
巻き取り機5には移動用ワイヤ6が巻き取られており、この移動用ワイヤ6は、桁行方向に往復する形で、第1滑車4A、第3滑車4C、第2滑車4Bの順でそれぞれに掛けられている。
【0096】
図9に示すように、カーテン体11は、桁行方向に隣接されるカーテン体11、11間に隙間が形成されないように配設されることが好ましい。カーテン部材1に気体が注入されて断熱層が形成された際に、カーテン部材1で分けられる温室100の上部と下部とを確実に遮断して、農作物等が育成される温室100の下部の保温効果を高めるためである。
【0097】
図10に示すように、桁行方向に並設される複数(図において4つ)のカーテン体11は、桁行方向の一端側から順に2つずつ分けられ、2つのカーテン体11、11で1組のカーテン体11、11をなす。一の組を構成するカーテン体11、11の一方は短辺方向の縁部接続部1bで、他方のカーテン体11の短辺方向の縁部接続部1bに接続されて、その短辺方向の縁部接続部1bで支持部材2に固定される。また、一方のカーテン体11は、他方のカーテン体11に接続されない短辺方向の縁部接続部1bの下面に取り付けられる拘束部材8を介して、移動用ワイヤ6に連結されている連結部材7に接続される。つまり、カーテン体11、11の組は桁行方向の中央部で支持部材2に固定され、桁行方向の外側で移動用ワイヤ6に連結される。
【0098】
カーテン体11、11の組は、一方の妻面100A寄りの短辺方向の縁部接続部1bで拘束部材8を介して第1移動用ワイヤ6Aあるいは第2移動用ワイヤ6Bのいずれか一方に連結され、他方の妻面100A寄りの短辺方向縁部の接続部1bで拘束部材8を介して他方の移動用ワイヤに連結される。
【0099】
図面では、一のカーテン体11、11の組は、第1滑車4A(第2滑車4B)が設置されている妻面100A寄りの短辺方向の縁部接続部1bで第2移動用ワイヤ6Bに接続されている連結部材7に連結され、第3滑車4Cが設置されている妻面100A寄りの短辺方向の縁部接続部1bで第1移動用ワイヤ6Aに接続されている連結部材7に連結されている。したがって、カーテン体11、11の組の桁行方向外側に形成される短辺方向の縁部接続部1bが桁行方向に移動することによって、カーテン体11、11の組が桁行方向に伸縮する。
【0100】
カーテン部材1は未使用状態において桁行方向に縮められているので、桁行方向に隣接されるカーテン体11、11の組の間で、又はカーテン体11、11の組と温室100の妻面100Aとの間で開口部Xが形成される。
【0101】
したがって、巻き取り機5を例えば一方の向きに回転駆動させて、第1移動用ワイヤ6Aを第1滑車4Aから第3滑車4Cへ向かう向き(以下、A向きという)に、第2移動用ワイヤ6Bを第3滑車4Cから第1滑車4Aへ向かう向き(以下、B向きという)に移動させると、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置するカーテン体11、11の組の桁方向外側の短辺方向の縁部接続部1bが第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られてA向きに移動してカーテン体11が伸長し、第3滑車4C寄りに位置するカーテン体11、11の組の桁方向外側の短辺方向縁部の接続部1bが第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られてB向きに移動してカーテン体11が伸長することによって、開口部Xが消滅する(図9参照)。
【0102】
一方、図9に示すように、カーテン体11が桁行方向に伸長していて、開口部Xが形成されていないときに、巻き取り機5を逆向きに回転駆動させて、第1移動用ワイヤ6AをB向きに、第2移動用ワイヤ6BをA向きに移動させると、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置するカーテン体11、11の組の桁行方向外側に位置する短辺方向の縁部接続部1bが第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られてB向きに移動してカーテン体11が縮み、第3滑車4C寄りに位置するカーテン体11の組の桁行方向外側に位置する短辺方向の縁部接続部1bが第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られてA向きに移動してカーテン体11が縮むことによって、開口部Xが形成される(図10参照)。
【0103】
ここで、支持部材2上に設置されたカーテン部材1の溝部1aの方向が梁間方向に一致していることから、カーテン部材1は桁行方向に伸縮し易くなる。つまり、支持部材2上に配置されたカーテン部材1の溝1aの軸線に直交する方向とカーテン部材1の伸縮方向とが一致するので、カーテン部材1の移動を容易に行うことができる。
【0104】
また、図12(a)、(b)に示すように、カーテン部材1の溝部1aには、溝部1aの方向に沿う折れ線1gが形成されている。例えば一の溝部1aに一本の折れ線1gが形成され、上シート10Aの表面と下シート10Bの表面とに交互に形成されている。したがって、図13に示すように、カーテン部材1(カーテン体11)の短辺方向の縁部接続部1bが移動用ワイヤ6に引っ張られて移動させられると、カーテン体11は折れ線1gで山折れと谷折れとが交互に形成されるように、移動用ワイヤ6の移動の向き(桁行方向)に折り畳まれるので、カーテン体11を容易に伸縮させることができる。折れ線1gの代わりにシート10を切断しない程度の切れ線が形成されている場合も、同様にカーテン部材1の切れ線で山折れと谷折れとが交互に形成されるように折り畳まれる。
【0105】
カーテン体11が長辺方向の縁部接続部1bで支持部材2上に設置されていることから、カーテン部材1の長辺方向両端には山折れが形成され、長辺方向の折れ線1g、1g間隔が等しいことが望ましい。カーテン部材1が支持部材2より上方で折り畳まれ、折れ畳まれているカーテン部材1の最下点(谷折れの頂点)は支持部材2上に位置するからである。
【0106】
(実施の形態3)
その他の温室100の具体例を示す。上シート10Aと下シート10Bとの間に例えば、これらと同じ材質からなる接続部材(接続部)12が介在して両シート10A、10Bに接合され、カーテン部材1が溝部1a、縁部接続部1b及び短辺方向突状部1dのみを有する点で実施の形態2と異なる。
【0107】
図14(a)、(b)に示すように、カーテン部材1は、上シート10Aと下シート10Bとの間に接続部材12が溶着等によって両シート10A、10Bに接合されてなる。接続部材12は、シート10の短辺方向長さに形成され、その材軸方向がシート10の短辺方向と平行に配設されている。接続部材12は、両シート10、10に接合されるための接続片12aと、接続片12aを連結し、両シート10A、10Bの膨張を制限する連結片12bとからなる。
【0108】
接続部材12は、シート10の長辺方向に所定間隔をおいて配設され、その両端部はそれぞれ長辺方向の縁部接続部1bに挟まれている。したがって、カーテン部材1に気体が注入されると、接続部材12の連結片12bによって両シート10A、10Bの接続片12aに接続されている部分の膨張が制限される。この結果、短辺方向突状部1dのみが長辺方向に並んで形成されると共に、短辺方向突状部1d、1d間に、接続部材12に対応した溝部1aが形成される。
【0109】
短辺方向突状部1dを構成する一方のシート10A(10B)には気体を注入するための注入口1fが形成されている。各連結片12bには孔12cが形成されているので、注入口1fから気体が注入されると、注入された気体は孔12cを通ってカーテン部材1の内部全体に送り込まれる。
【0110】
このカーテン部材1が例えば実施の形態2における下カーテン部材1Bとして使用され、例えば上カーテン部材1Aと下カーテン部材1Bの溝部1aが同一直線上に配設されれば、上カーテン部材1Aの溝部1aから排出された水分は直接下カーテン部材1Bの溝部1aに導かれる。
【0111】
実施の形態2では、0上カーテン部材1Aから下カーテン部材1Bへ移った水分は、下カーテン部材1Bの溝部1aに集水される前に長辺方向突状部1eを経由する。本実施の形態の場合、下カーテン部材1Bの直接溝部1aに水分を直接導くことができるので、集水の効率が良い。
【0112】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等であっても本発明に含まれる。
【0113】
例えば、巻き取り機5を保持する構成として、図15(a)に示すように、巻き取り機5を保持する巻き取り機用保持部材26が1組の軸受け29を介して垂木24に支持されることも可能である。このとき、巻き取り機用保持部材26は巻き取り機5に周方向に回転自在に挿通し、巻き取り機5は巻き取り機用保持部材26に回転駆動可能に保持されている。
【0114】
また、カーテン部材1の端部を均一に移動させ、且つカーテン部材1を支持部材2に拘束させる拘束手段8は、カーテン部材1に接続される先導ロッド8A、支持部材2に摺動自在に挿通され、且つ支持部材2にその放射方向に拘束される1組の拘束ホルダ8C、8D及び、拘束部材8C(又は8D)と先導ロッド8Aとを連結する連結ロッド8Bを具備することもある(図15(b)参照)。
【0115】
図15(b)では、拘束ホルダ8C、8Dは着脱自在であり、使用時においてはカーテン部材1の支持部材2の軸線方向(短辺方向)外側で一体化される。図面では、拘束ホルダ8Dに形成された係合突部8aが、拘束ホルダ8Cの係合突部8aに対応する位置に形成された係合凹部(図示せず)に係合することによって、拘束ホルダ8C、8Dは一体化する。図面では、拘束ホルダ8Cが連結ロッド8Bに固定されているが、拘束ホルダ8Dが連結ロッド8Bに固定されることも可能である。
【0116】
先導ロッド8Aは、カーテン部材1の移動する側の先端に設置されており、支持部材2に支持されている。連結ロッド8Bはその材軸方向に凹部8bを有し、先導ロッド8Aにその上方から凹部8bで被せられる。連結ロッド8Bが連結部材7に連結され、連結ロッド8Bと先端ロッド8Aとが移動用ワイヤ6の移動方向に係合しているので、カーテン部材1の先導ロッド8Aに接続されている先端は、連結ロッド8Bが移動用ワイヤ6に接続されている連結部材7に引っ張られることによって、均一に移動する。
【0117】
また、支持部材2に挿通した拘束ホルダ8C、8Dが使用状態において支持部材2の放射方向(軸に直交した方向)に拘束され、先導ロッド8Aが連結ロッド8Bに係止するので、支持部材2に支持されるカーテン部材1は支持部材2に拘束される。したがって、カーテン部材1は移動時(変形時)や気体注入時に力を受けても支持部材2上から脱することはない。
【0118】
また、図15(c)に示すように、支持部材2を、桁行方向に隣接した支柱21、21間に配設された連結部材2cによって支持することも可能である。この場合、支持部材2が桁行方向に設置される間隔を、支柱21が設置される間隔に規制されずに設定することができるので、設計の自由度が向上する。
【0119】
図16(a)では、カーテン部材1の各中央部接続部1cは短辺方向に断続的に形成されている。すなわち、所定長さの中央部接続部1cがカーテン部材1の短辺方向に所定間隔をおいて形成され、中央部接続部1c、1c間には、カーテン部材1に注入された気体を通過させ得る連通口1hが形成される。したがって、カーテン部材1に注入された気体は、短辺方向に隣接する中央部接続部1c、1c間を通過しながら、カーテン部材1の内部全域に広がる。
【0120】
また、図面では、中央部接続部1cが長辺方向に沿って複数形成された上に、一の短辺方向に沿って形成される連通口1hと、他の短辺方向に沿って形成される中央部接続部1cとが長辺方向に対向しているので、連通口1hを通過した気体は中央部接続部1cに衝突して中央部接続部1cに沿って逆方向に分かれて移動する。つまり、気体はカーテン部材1の内部で拡散され易くなる。
【0121】
中央部接続部1cはその軸線方向に変形困難であるので、中央部接続部1cの軸線方向において中央部接続部1c、1c間に形成される連通口1hを形成する上シート10Aは少ししか膨張しない。したがって、上シート10Aの連通口1hに対応する部分は、当該連通口1hを形成する中央部接続部1c、1cに対応する溝部1a、1aに連続する溝部1aを形成する。つまり、上シート10Aの連通口1hに対応する部分の上シート10Aに対する傾斜はあまり大きくないので、当該部分の膨張によって溝部1aが不連続になることで水分が貯留されることはない。したがって、図16(a)では、溝部1aはカーテン部材1の短辺方向全長にわたって形成される。この結果、結露水や雨水等の水分は溝部1aに集水されると共に、排水される。
【0122】
また、図面ではカーテン部材1の短辺方向端部において、長辺方向に隣接する中央部接続部1c、1c間に注入口用接続部1iが形成されている。この注入口用接続部1iと中央部接続部1cとの間の距離を供給管42の分岐管44の幅に応じた長さにすることによって、この両接続部1c、1hの間を、例えば切断すると、分岐管44が接続される注入口1fを容易に設けることができる。
【0123】
図16(b)では、中央部接続部1cがカーテン部材1の短辺方向及び長辺方向に形成されているので、連通口1hを通過する気体はカーテン部材1の内部全体に拡散しやすくなる。
【0124】
図17(a)、(b)に示すように、カーテン部材1が単層からなる場合もある。図面では、カーテン部材1が温室100の梁間方向に2枚配設されている。これは、温室100が例えば家庭用であって、温室100の梁間方向長さが数メートルで形成され、それに伴って、短辺方向長さが気体を注入するのに適した大きさからなるカーテン部材1を使用する場合に好適である。
【0125】
ここで、カーテン部材1の膨張によって形成される断熱層間に欠損部分が形成されないように、カーテン部材1を梁間方向に並設して直接、或いは断熱部材(図示せず)を介して間接的に接続することが望ましい。この場合、第1移動用ワイヤ6Aが移動することによって一方(図17(a)において右側)のカーテン部材1が第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られて移動し、第2移動用ワイヤ6Bが移動することによって他方(図17(b)において左側)のカーテン部材1が第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られて移動する。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の温室の概念を表す斜視図である。
【図2】図1の温室を構成するカーテン部材に気体が注入され、カーテン部材が伸長されている様子を表す温室の側面図である。
【図3】図1の温室を構成するカーテン部材に気体が注入され、カーテン部材が伸長されている様子を表す温室の平面図である。
【図4】図1のカーテン部材に気体が注入されておらず、カーテン部材が縮減されている様子を表す温室の平面図である。
【図5】カーテン部材が除かれた本発明の温室の概念を表す斜視図である。
【図6】(a)カーテン部材の平面図、(b)は図6(a)の要部断面図である。
【図7】(a)拘束手段がカーテン部材に設置されている様子を表す平面図、(b)は図7(a)のC−C正面図、(c)は図7(a)のD−D側面図である。
【図8】その他の実施の形態における本発明の温室の概念を表す斜視図である。
【図9】図8の温室を構成するカーテン部材に気体が注入され、カーテン部材が伸長されている様子を表す温室の平面図である。
【図10】図8の温室を構成するカーテン部材に気体が注入されておらず、カーテン部材が縮減されている様子を表す温室の平面図である。
【図11】カーテン部材が除かれたその他の実施の形態の温室の概念を表す斜視図である。
【図12】(a)はその他の実施の形態のカーテン部材の平面図、(b)は図12(a)のA−A断面図、(c)は図12(a)のB−B断面図である。
【図13】カーテン体(カーテン部材)が伸縮する様子を表す断面図である。
【図14】(a)はその他の実施の形態のカーテン部材の平面図、(b)は図14(a)の要部断面図である。
【図15】(a)はその他の実施の形態における巻き取り機の保持手段の概略を表す斜視図、(b)はその他の実施の形態における拘束手段の概略を現す斜視図、(c)はその他の実施の形態における支持部材の支持手段の概略を表す斜視図である。
【図16】(a)、(b)はその他の実施の形態のカーテン部材の断面図である。
【図17】(a)はその他の実施の形態の温室用カーテン装置を表す正面図、(b)はその他の実施の温室用カーテン装置を表す平面図である。
【符号の説明】
【0127】
1……カーテン部材、1A……上カーテン部材、1B……下カーテン部材、
1a……溝部、1b……縁部接続部、1c……中央部接続部、
1d……短辺方向突状部、1e……長辺方向突状部、1f……注入口、
1g……折れ線、1h……連通口、1i……注入口用接続部、
2……支持部材、2A……上支持部材、2B……下支持部材、2C……第1支持部材、2D……第2支持部材、2E……第3支持部材、2a……接続片、2b……連結部材、2c……連結部材、3……吊り部材、
4A……第1滑車、4B……第2滑車、4C……第3滑車、4D……吊り用滑車、
5……巻き取り機、
6……移動用ワイヤ、6A……第1移動用ワイヤ、6B……第2移動用ワイヤ、
7……連結部材、8……拘束手段、
8A……先導ロッド、8B……連結ロッド、8C……拘束ホルダ、8D……拘束ホルダ、8a……係合突部、8b……凹部、
10……シート、10A……上シート、10B……下シート、11……カーテン体、
12……接続部材(接続部)、12a……接続片、12b……連結片、12c……孔、
20……骨組み、21……支柱、22……棟木、23……桁、24……垂木、
25……梁、26……巻き取り機用保持部材、27……補助支柱、28……補助梁、
29……軸受け、30……被覆部材
40……気体供給設備、41……気体生成装置、42……供給管、43……本管、 44……分岐管、45……吊り部材、X……開口部
100……温室
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱間に架設される支持部材上に配置される袋状のカーテン部材に空気等の気体が注入されることによって断熱層が形成される温室用カーテン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニールハウス等の、農作物や植物の育成に使用される温室用のカーテン装置は、例えば、屋根下方部等の空間、すなわち屋根と農作物等との間の空間に、熱を遮断するシート状のカーテン部材をワイヤ等の支持部材で支持することで室内の保温効果を高める(特許文献1参照)。
【0003】
保温効果を一層高める温室用カーテン装置として、シート状のカーテン部材を鉛直方向に並設することで、両カーテン部材間に空気層による断熱層を形成させるものもある(特許文献2、3参照)。上下に並設されるカーテン部材は、支柱間に鉛直方向に並んで架設される上部ワイヤ、下部ワイヤにそれぞれ対応して支持される。
【0004】
一方、プラスチックフィルムが重ねられ、その縁部が熱シールされて袋状に形成されたエアーマットが、柱間に取り付けられたワイヤに固定され、エアーマットの内部に空気を吹き込むことで断熱層を形成させる温室がある(特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】実開昭60−111646号公報(第2頁第18行目〜第3頁第14行目、第1図)
【特許文献2】実登第3135825号(段落0009〜段落0012、図2、図3)
【特許文献3】特開2006−325401号公報(段落0017、図1、図5)
【特許文献4】特開2007−20492号公報(段落0013〜段落0014、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
温室は、支柱や梁等の構造部材からなる躯体をガラスや塩化ビニル等の断熱性を有する被覆部材が被覆する構造である。したがって、温室内は、暖められれば、夜間や冬季等の外気温が低いときでも温室外に比べて暖かい状態を維持する。この結果、例えば屋根を構成する被覆部材等の内面に結露することがある。
【0007】
被覆部材等の内面に結露すると、特許文献1〜4のように屋根の下方にカーテン部材が配設されている場合、結露水がカーテン部材上に落下する。また、被覆部材間に隙間が形成されていたり、被覆部材に孔が形成されていることがある場合には、雨水がカーテン部材上に落下する。
【0008】
特許文献1〜4に記載の温室用カーテン装置が備えるカーテン部材の上面は平坦であるので、カーテン部材上に落下した結露水や雨水等の水分は効率的に集水されない。この結果、水分は拡散して薄く引き延ばされた状態でカーテン部材上に付着するので、カーテン部材の上面からは排水されずに滞留する。カーテン部材上に水分が滞留することによって、支持部材がカーテン部材を支持できなくなり、カーテン装置が崩壊する虞があるので、カーテン部材上の水分を排出するためにカーテン部材に孔が設けられることがある。その結果、カーテン部材による温室の保温効果が損なわれる。
【0009】
一方、カーテン部材の上面に落下する結露水や雨水等の水分は外気によって冷やされてしまうので、カーテン部材の上面に落下した水分が排出されなければ、カーテン部材による温室内の保温効果が弱められる。
【0010】
ところで、特許文献2、3の温室用カーテン装置は、高い保温効果を得るために、シート状のカーテン部材を上下に並設して空気層を形成させる。しかしながら、空気層を形成するシート状のカーテン部材で空気層を形成させるための空間を完全に密閉することは困難であるので、断熱層はたいてい不完全になる。したがって、カーテン部材は袋状に形成されている方が望ましい(特許文献4参照)。
【0011】
また、中規模以上の(およそ10mを超える)大きさの温室の場合、1枚の或いは1枚状に形成されたカーテン部材で屋根と農作物等との間の空間を遮断するのは困難である。ここで、複数枚のカーテン部材が当該空間に配設されたとしても、カーテン部材が同一平面上に並設されたのみでは、カーテン部材間には隙間が形成されるため、断熱効果が弱められる。これを補うためには、複数の断熱層を重ねた状態で配設させることが望ましい。
【0012】
特許文献2、3のカーテン装置は、上下に配置された支持部材を備えるものの、袋状のカーテン部材を適用した場合の、カーテン部材の膨張を想定していないため、十分な断熱層が形成されない可能性がある。
【0013】
本発明は上記背景より、袋状のカーテン部材を完全に膨張させることで十分な断熱層を形成させ、カーテン部材状に落下した結露水や雨水等の水分を集水し、排水することができる温室用カーテン装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明の温室用カーテン装置は、対向する支柱間に架設される上支持部材と、この上支持部材より下側に、前記支柱間に架設される下支持部材と、前記上支持部材と前記下支持部材との各上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、前記上支持部材と前記下支持部材との間の距離は、前記上支持部材と前記下支持部材との間に配設された前記カーテン部材の内部に気体が注入されたときの厚さに応じた大きさであることを構成要件とする。
【0015】
「対向する支柱間に架設される」とは、上支持部材又は下支持部材が支柱に連結されて対向する支柱間に架設される他、支柱に形成される接続片を介して支柱に連結されて、間接的に対向する支柱間に架設されることも含まれる。また、支持部材の架設方向(例えば梁間方向)とは異なる方向(例えば桁行方向)に並設される支柱間にワイヤ等の連結部材が設置されて、支持部材がその連結部材に連結されて、間接的に対向する支柱間に架設されることも含まれる。
【0016】
また、上支持部材と下支持部材との距離とは、両支持部材が同一の鉛直面上に位置する場合には、両支持部材間距離を意味し、各支持部材が同一の鉛直面上に位置しない場合には、上支持部材を含む平面と下支持部材を含む平面との間の距離のことをいう。
【0017】
「前記上支持部材と前記下支持部材との間の距離が、その両支持部材間に配設されたカーテン部材の内部に気体が流入されたときの厚さに応じた」ことによって、当該カーテン部材に気体が注入されときに、所望の大きさ(厚さ)を有する断熱層を形成させるためにカーテン部材が膨張するのに必要な空間が確保され、且つ両支持部材で、膨張したカーテン部材を拘束することが可能である。
【0018】
請求項2に記載の発明の温室用カーテン装置は、対向する支柱間に架設される支持部材と、この支持部材上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、該カーテン部材は、支持部材上に載置され、内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部を上面に有することを構成要件とする。
【0019】
温室の基本的な形状として、桁行方向の長さと梁間方向の長さとが同程度の形状と、桁行方向の長さと梁間方向の長さとが大きく相違する形状とが考えられるが、温室の形状は問われない。支持部材として、ワイヤやピアノ線等の曲げ剛性が低く、自立性がない部材、あるいは鉄筋や鋼棒等の比較的曲げ剛性が高く、自立性を有する部材の他、木材、プラスチック等の様々な種類の部材が適用可能である。支持部材が架設される支柱は、温室の梁間方向又は桁行方向に対向している。つまり支持部材の架設方向は梁間方向又は桁行方向である。
【0020】
内部に気体が注入され、支持部材に支持されたカーテン部材の上面には溝部が形成されているので、カーテン部材の上面に落下した結露水や雨水等の水分は溝部に流れ落ちることによって集水される。溝部は水平に対して傾斜しているので、溝部に集水された水分は溝部の底に沿って流れ落ちることで、カーテン部材から樋等を通って排水される。
【0021】
ここで、カーテン部材上に落下した時点での水分は水滴レベルであり、カーテン部材に付着した状態を維持し易いが、水分同士が集合することによって、水分は塊レベルへ成長する。この結果、水分の質量が大きくなるので、水分は溝部を流れ落ち易くなる。カーテン部材の上面に溝部が形成されている場合には、カーテン部材の上面が平坦で溝部が形成されていない場合に比して、水分が集水されることによって水分の体積が大きく成長し易いので、効率的に水分が排出される。
【0022】
支持部材上に配置されたカーテン部材は支持部材の材軸方向に伸縮自在であることもある(請求項3)。カーテン部材に気体が注入されることで断熱層が形成されることから、カーテン部材の伸縮によって断熱層の範囲が増減するので、温室内の温度調整を行うことができる。
【0023】
ここで、温室が前記対向する支柱のそれぞれに設置される滑車と、双方の滑車に、支持部材に平行に掛けられるワイヤと、滑車を経由させてワイヤを循環させる駆動装置とを備え、カーテン部材の、支持部材が架設される方向の一端が、ワイヤに接続されている連結部材に連結され、駆動装置の駆動に連動して走行する(請求項4)と、カーテン部材の伸縮、すなわち温室内の温度調整を行う作業が自動化される。
【0024】
カーテン部材には、支持部材の材軸方向に直交する折れ線が、支持部材の材軸方向に間隔をおいて一方の外面と、この一方の外面の反対側の外面とに交互に形成されていることがある(請求項5)。言い換えれば、支持部材に支持されているカーテン部材の上面及び下面にワイヤの材軸方向に直交する折れ線が交互に形成されており、ある折れ線がカーテン部材の上面あるいは下面のいずれか一方に形成されていると、その位置から支持部材の架設方向に所定の距離をおいた位置の他方に折れ線が形成され、さらにその位置から支持部材の架設方向に所定の距離をおいた位置の一方に折れ線が形成される。
【0025】
したがって、カーテン部材の所定の箇所を支持部材の架設方向に移動させることで、カーテン部材は隣接する折れ線間の長さで折り畳まれて伸縮する。
【0026】
カーテン部材の溝部が形成されている部分の内面間に、カーテン部材の膨張を制限する接続部が形成され、カーテン部材の内部に気体が注入されたときに、接続部間は前記カーテン部材の内部の全域に連通している(請求項6)。
【0027】
仕切部は、例えばカーテン部材の溝部の裏側の内面同士が溶着、接着、縫着等により接続される接続部、又は溝部の裏側の内面間に配設され、カーテン部材の内面に接続される接続部材等で構成される。カーテン部材に気体が注入されたときに、接続部以外の部分が膨張する一方で、仕切部の膨張が抑制(制限)されることで、仕切部の位置に溝部が形成される。つまり、溝部は仕切部に対応したカーテン部材の内面間の表面に形成される。
【0028】
カーテン部材の溝部の裏側の内面間が接続部によって遮断されながらも、接続部はカーテン部材の内面間に部分的に(断続的に)形成されることで、カーテン部材の内部は接続部間のカーテン部材と接続部とで区画された、気体が流れ得る流路が形成される。カーテン部材の内部に気体が注入されると、流路を形成する接続部間のカーテン部材は気体の圧力によって外側に膨張する。流路を形成するカーテン部材が膨張することによって、接続部を挟んで隣接する流路を形成するカーテン部材の膨張した部分間には、接続部に対応した溝部が形成される。
【0029】
カーテン部材の溝部は接続部によって形成される他に、例えば金型等による成型によって製作される場合もある。この場合では、カーテン部材の製作が容易である。
【0030】
また、カーテン部材の内部に気体が注入されたときに、接続部間はカーテン部材の内部の全域に連通しているので、気体を注入するための注入口がカーテン部材の任意の1箇所に形成されていれば、この注入口から空気を注入することでカーテン部材の内部全域に気体を注入することができる。
【発明の効果】
【0031】
対向する支柱間に架設される支持部材と、この支持部材上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、カーテン部材は、支持部材上に載置され、内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部を上面に有するので、カーテン部材に
落下した結露水や雨水等の水分を集水し、排水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1に対向する支柱21間に架設される支持部材2と、この支持部材2上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材1とを備え、該カーテン部材1は、支持部材2上に載置され、内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部1aを上面に有する温室100の具体例を示す。
【0033】
温室100は、形状を維持して躯体を形成するための骨組み20と、骨組み20を覆い、降雨や外気等の温室外の影響を防ぐための被覆部材30とを備える。骨組み20は、各種の構造部材で構成され、例えば、H鋼や鋼パイプ等の鋼材や木材からなる。被覆部材30は、ポリ塩化ビニル等の樹脂製フィルムやガラス製の面材からなり、骨組み20の外側や骨組み20の構造部材間に配設されて躯体を全体的に覆う。骨組み20の構造部材及び被覆部材30の種類は問われず、温室100の用途や温室周囲の自然環境等に応じて適宜に選定される。
【0034】
温室100の骨組み20は、例えば、その最上部において両妻面100Aを結ぶ棟木22と、平面視で棟木22を挟んで梁間方向に対向し、棟木22の軸線方向に所定間隔をおいて地盤に設置される支柱21と、棟木22と平行に配設され、支柱21の上端部に連結される桁23と、棟木22(又は桁23)の軸線方向において支柱21と同一の位置で桁23及び棟木22に連結される垂木24とで構成される。本実施の形態では両妻面100Aで支柱21、21間に梁25が架設されている。
【0035】
支柱21が地盤に設置される方法は、直接地盤に埋められる方法の他に、コンクリート等によって地盤に形成された基礎に埋められる方法、或いは、構造的な安定感を高くするために地盤との接触面積を拡大させる土台の機能を有する部材を介して地盤に載置される方法等があり、諸条件に応じて適宜に選定される。
【0036】
桁行方向に隣接する支柱21、21間や垂木24、24間等の外面及び妻面100Aを構成する構造部材間の外面には、被覆部材30が被覆されている。被覆部材30によって温室100の内部と外部とが区画されて、風や雨、さらには寒気等の温室100の外部の影響が温室100の内部に及ばないように阻止されている。
【0037】
温室100の平面視形状は、例えば温室100の梁間方向長さに比べて桁行方向長さが長い形状、梁間方向長さと桁行方向長さとが同程度である形状等、様々な種類があるが、その種類は問われない。また、温室100の屋根部分の形状はアーチ型や山型のような突状、或いは平坦状等の様々な種類があるが、自然環境等の諸条件に応じて適宜に選定される。図面では温室100の平面視形状は梁間方向長さに比して桁行方向長さが長い形状で、屋根部分形状は山型の突状を呈する。
【0038】
一方の妻面100Aから他方の妻面100Aに向かって桁行方向に所定間隔で、支持部材2が、梁間方向に対向する支柱21、21間に架設される。図3に示すように、この支持部材2は、支柱21、21間の中間部で棟木22に吊られている吊り部材3に吊られて保持されている。支持部材2はワイヤ等の曲げ剛性が低く、自立性を有さない材質からなり、上方から吊り部材3に吊られることによって、棟木22側から支柱21側へかけて下方へ傾斜した状態で緊張されている。
【0039】
支持部材2は、吊り部材3によって吊られて保持されているが、支持部材2を保持する手段はこれに限られず、例えば地盤に支持された部材(図示せず)によって支持部材2の下方から支えて保持する手段でもよい。ここで、支持部材2は、鉄筋や鉄棒等の剛性が高く、自立性を有する部材でも適用可能であるが、この場合、吊り部材3等によって傾斜した状態で保持されれば良い。
【0040】
また、支持部材2は、支柱21に固定された接続片2aを介して、シャックル形状やフック形状の連結部材2bによって支柱21に連結されているが、支持部材2と支柱21との連結方法は問われない。
【0041】
図示の場合、支持部材2は吊り部材3によって、棟木22側から支柱21側へかけて下方へ傾斜した状態で緊張されているので、1本の支持部材2は2本の傾斜部で構成される。図1に示すように、支持部材2の各傾斜部上には、上面に、水平に対して傾斜した溝部1aが形成され、内部に空気等の気体が注入される袋状のカーテン部材1が設置される。カーテン部材1に気体が注入されると、カーテン部材1に閉じ込められた気体によって断熱層が形成され、断熱層によって断熱層の上方と断熱層の下方とが遮断される。図面では1つのカーテン部材1が2本の支持部材2に支持されているが、1つのカーテン部材を支持する支持部材の本数は問われない。
【0042】
図3に示すように、カーテン部材1は使用状態においては梁間方向及び桁行方向に隙間なく並設されるので、温室100は平面的に全範囲においてカーテン部材1の断熱層によって上部と下部とに分断される。したがって、農作物や植物を育成させる温室100の下部に対する温室100の外部の影響が一層妨げられ、温室100の下部に対する保温効果が向上する。
【0043】
また、カーテン部材1の表面には水平に対して傾斜した溝部1aが形成されているので、被覆部材30等の内面に生成された結露水や、温室100の内部に浸入した雨水等の水分がカーテン部材1の表面に落下すると、溝部1aに集水されると共に、溝部1a上を流れ落ちて排水される。カーテン部材1上に落下した水分を排水することができるので、カーテン部材1に形成される断熱層による温室100の下部に対する保温効果の低下を抑止することができる。
【0044】
図6(a)、(b)に示すように、カーテン部材1は、1枚の連続した、又は複数枚のシートが繋ぎ合わされて形成されたシート10が、折り畳まれた状態で又は複数枚で重ねられた状態で接続されてなる。ここで、カーテン部材1の上側に形成されるシートを上シート10Aと、下側に形成されるシートを下シート10Bという。
【0045】
カーテン部材1を構成するシート10の材質として、塩化ビニルフィルム等の合成樹脂フィルム等がある。シート10の材質はこれに限定されないが、農作物等の育成のためにカーテン部材1に光線を透過させる必要があるので、透明性を有するものが好ましい。また、後述するようにカーテン部材1に気体が注入されていないときに、カーテン部材1を移動用ワイヤ6の方向に沿って伸縮させ、且つ、カーテン部材1の内部に気体が注入してカーテン部材1を膨張させるので、カーテン部材1は変形可能あるいは伸縮自在な材質からなることが好ましい。
【0046】
カーテン部材1の内部に気体を送り込み、気体を溜め、断熱層を形成させるために、カーテン部材1は袋状に形成され、密封されている。カーテン部材1を密封するために、上シート10Aと下シート10Bとが接続される接続部1bは環状に形成されている。当該接続手段としては溶着、接着又は縫着等、シート10の素材に応じて適宜に選定される。
【0047】
図面では、カーテン部材1は、2枚の矩形状に形成された上シート10Aと下シート10Bとが重ねられ、各々の縁部で溶着により接続されている。カーテン部材1はその縁部に形成される縁部接続部1bの他に、長辺方向に所定間隔をおいて、一方の長辺方向の縁部接続部1bから短辺方向に沿って溶着等により形成される中央部接続部1cを備える。
【0048】
両接続部1b、1cは溶着等によって形成されるが、特に溶着は所定の装置を用いてカーテン部材1の表面から行うことができるので、例えば、縁部接続部1bを形成した後に、中央部接続部1cを形成することが可能である。この場合、上シート10Aと下シート1Bとの接続作業に手間がかからない。
【0049】
縁部接続部1b及び中央部接続部1cは、上シート10Aと下シート10Bとが直接接続されることにより形成されるため、上シート10Aと下シート10Bとの内面間は両接続部1b、1cによって仕切られる。ここで、カーテン部材1の内部の全域に空気が流入するにあたり、カーテン部材1内部の両接続部1b、1cで仕切られる空間がカーテン部材1の内部の全域にわたって連通することが望ましい。これは、1回の気体の注入作業によってカーテン部材1に気体を流入し終えることができ、注入作業の効率が良いからである。
【0050】
このために、本実施の形態においては、カーテン部材1の中央部接続部1cはカーテン部材1の短辺方向全長に亘っては形成されておらず、一方の長辺方向の縁部接続部1bから、他方の長辺方向の縁部接続部1bの間まで形成されている。つまり、各中央部接続部1cの先端部と、他方の長辺方向接続部1bとの間のカーテン部材1内部は仕切られていないので、カーテン部材1内部の両接続部1b、1cによって仕切られる空間がカーテン部材1の内部の全域にわたって連通する。
【0051】
また、縁部接続部1b及び中央部接続部1cは、上シート10Aと下シート10Bとが直接接続されることにより形成されることから、縁部接続部1b及び中央部接続部1cの膨張は制限される。したがって、カーテン部材1の内部に気体が注入されると、カーテン部材1の表面の、両接続部1b、1cを除く部分は両接続部1b、1cに比して膨張するため、中央部接続部1cの位置に同時に溝部1aが形成されるか、あるいは中央部接続部1cはそのまま溝部1aになる。
【0052】
図面では、カーテン部材1が膨張すると、中央部接続部1c、1c間、又は中央部接続部1cと短辺方向の縁部接続部1bとの間に短辺方向突状部1dが一方の長辺方向の縁部接続部1bから形成され、短辺方向突状部1dと他方の長辺方向の縁部接続部1bとの間に長辺方向突状部1eが形成される。この結果、カーテン部材1(上シート10A)表面の短辺方向突状部1d、1d間には、中央部接続部1cに対応する溝部1aが形成される。
【0053】
カーテン部材1には、図6に示すように、気体を注入するための注入口1fが形成されている。注入口1fの位置は問われないが、カーテン部材1の内部の全域に、特にすべての短辺方向突状部1fに対応するカーテン部材1の内部に気体を確実に注入するためには長辺方向突状部1eの長辺方向の中心辺りに形成されていることが望ましい。
【0054】
図1、図2に示すように、本実施の形態では、支持部材2は上側に配設される上支持部材2Aと、下側に配設される下支持部材2Bとからなる。上支持部材2Aと下支持部材2Bとが平面視で桁行方向に異なる位置で梁間方向に対向する支柱21、21間に架設されているが、桁行方向に同一の位置で支柱21、21間に架設されても良い。
【0055】
カーテン部材1も支持部材2と同様に、上支持部材2Aに支持され、上側に配設される上カーテン部材1Aと、下支持部材2Bに支持され、下側に配設される下カーテン部材1Bとからなる。ここでは、上カーテン部材1Aと下カーテン部材1Bとは同一の大きさの同一形状を呈しているので、上カーテン部材1Aと下カーテン部材2Bとの区別をする手間が省かれることで、カーテン部材1の設置作業が容易になる。
【0056】
本実施の形態では、平面視で下カーテン部材1Bが上カーテン部材1Aより梁間方向外側に配設され、下カーテン部材1Bの上面の梁間方向内側端部と上カーテン部材1Aの下面の梁間方向外側端部とが密着している。両カーテン部材1A、1Bは、使用状態において内部の気体に加圧されつつ、相互に確実に密着し合うために、図2に示すように拘束手段8によって支持部材2に対して支持部材2に直交する方向に拘束されている。
【0057】
図面では、拘束手段8として一のカーテン部材1が設置される全ての支持部材2に挿通され、支持部材2に直交する方向に拘束されている拘束ロッドが使用され、拘束ロッドはカーテン部材1の一方の長辺方向の縁部接続部1bの下面に取り付けられている(図7(a)〜(c)参照)。カーテン部材1は使用状態においては平面視で梁間方向の両端部で支持部材2に対して支持部材2に直交する方向に拘束されるので、上カーテン部材1Aと下カーテン部材1Bは、内部の圧力によって相互に力を及ぼし合っても、密着状態を維持することができる。この結果、カーテン部材1によって区画される温室100の上部と下部とが一層確実に遮断されるので、温室100の下部に対する保温効果の低下は抑止される。
【0058】
図1では、上カーテン部材1Aの傾斜方向下側で下カーテン部材1Bが上カーテン部材1Aの下方に配設されているので、上カーテン部材1Aに落下してその溝部1aに集水されて流れ落ちる水分は、確実に下カーテン部材1Bに流れ落ち、溝部1aに集水されて排水される。
【0059】
さらに、図3に示すように、平面視で上カーテン部材1Aの溝部1aと下カーテン部材1Bの溝部1aとが接続されているので、上カーテン部材1Aの溝部1aを流れ落ちる水分は確実に下カーテン部材1Bの溝部1aへ導かれる。また、溝部1aがその傾斜方向下側で、長辺方向の縁部接続部1bに接続されているので、溝部1aに集水された水分はカーテン部材1から円滑に樋等を通じて排出される。
【0060】
また、図6(b)に示すように、短辺方向突状部1dが溝部1aに直交する方向においてそれ自体の中心部から外側へかけて下降しているので、カーテン部材1上に落下した水分は確実に溝部1aで集水される。
【0061】
図1に示すように、温室100内にはカーテン部材1に気体を注入するための気体供給設備40が設置されている。気体供給設備40は、例えば送風機のような気体を生成する気体生成装置41と、気体生成装置41とカーテン部材1との間に配設され、気体生成装置41で生成された気体をカーテン部材1に供給する供給管42とを備える。供給管42は、気体生成装置41に接続される本管43と、本管43から分岐され、カーテン部材1に接続される分岐管44とからなる(図2、図4参照)。
【0062】
図面では、気体供給設備40はカーテン部材1の下方に設置されており、例えば気体生成装置41が平面視で一方の妻面100A付近の、棟木22と桁23との間で地面に載置されている。気体生成装置41は棟木22に関して両側に位置するカーテン部材1毎に2機あり、一方の気体生成装置41と他方の気体供給装置41とは、棟木22と一方側の桁23との間、棟木22と他方側の桁23との間に分かれて載置されている。ここで、カーテン部材1に注入される気体は一般的には空気であることから、気体生成装置41は、一面にファンが設けられたブロア等が適切である。
【0063】
本管43は、両気体生成装置41、41から他方の妻面100Aに向かって桁行方向に配設されて、支持されている。本管43の支持方法は問われないが、使用状態においては、温室100上部と温室100下部とが全体的にカーテン部材1によって遮断されるので、本管43は、例えば支持部材2に紐や金具等の吊り部材45等によって保持されるか、あるいは地盤に設置される支持台等に保持されることによってカーテン部材1の下方の空間のみを利用して保持されることが好ましい(図3参照)。
【0064】
地表面の農作物等に対する有効面積を削減させないことが好ましいので、本管43が支持部材2に吊られることが望ましい。本管43の材質は、種類を問われず、ステンレス製、塩化ビニル製等適宜に選定される。
【0065】
分岐管44は、カーテン部材1の注入口1fに取り付けられている接続部材(図示せず)を介してカーテン部材1に接続されている。接続部材が逆止弁で構成されている場合、カーテン部材1への気体の注入を中断する等、カーテン部材への気体の注入を段階的に行うことができるので、気体の注入管理を行い易い。分岐管44の材質は、本管43の材質と同じでも異なっていてもよく、その種類は問われない。
【0066】
気体供給設備40の構造や配置等は上記に限られないが、温室100の桁行方向長さが梁間方向長さに比して長い場合、本管43が桁行方向に沿って配設された方が、本管43の構造が単純化されると同時に、本管43の設置作業が容易になる。
【0067】
図1に示すように、例えば、桁行方向に隣接する垂木24、24間には、カーテン部材1を伸縮させる動力を生み出す巻き取り機5を保持する巻き取り機用保持部材26が架設されている。巻き取り機用保持部材26には、回転駆動可能な巻き取り機5が保持されており、巻き取り機用保持部材26寄りの桁23の、巻き取り機用保持部材26が架設されている垂木24、24間部分には第1滑車4Aと第2滑車4Bとが下カーテン部材1Bの上面付近で桁行方向に並んで保持されている。また、第1滑車4A及び第2滑車4Bが保持されている桁23に梁間方向に対向する桁23には第3滑車4Cが下カーテン部材1Bの上面付近で保持されている。
【0068】
図4に示すように、巻き取り機5にはカーテン部材1を引っ張ることで移動させるための移動用ワイヤ6が巻き取られており、この移動用ワイヤ6は、梁間方向に往復する形で、第1滑車4A、第3滑車4C及び第2滑車4Bの順でそれぞれに掛装されている。つまり、移動用ワイヤ6は無端環状状態で巻き取り機5に巻き取られ、第1滑車4A、第2滑車4B及び第3滑車4Cに掛装されている。移動用ワイヤ6は、鋼製ワイヤ、合成樹脂等の被覆部材に被覆された鋼製ワイヤの他に、加工されて引張強度の高い紐等も使用される。
【0069】
ここで、移動用ワイヤ6の、第1滑車4Aと第3滑車4Cとの間の部分を第1移動用ワイヤ6Aと、移動用ワイヤ6の、第3滑車4Cと第2滑車4Bとの間の部分を第2移動用ワイヤ6Bという。したがって、巻き取り機5の回転駆動によって第1移動用ワイヤ6Aが一方の向き(例えば、図4において矢印Aの向き)に移動するとき、第2移動用ワイヤ6Bは第1移動用ワイヤ6Aと反対の向き(図4において、矢印Bの向き)に移動する。
【0070】
図5に示すように、第1移動用ワイヤ6A及び第2移動用ワイヤ6Bは、棟木22に吊られている吊り用滑車4Dによって吊られ、支持部材2に平行に保持されている。これは、カーテン部材1が移動用ワイヤ6の移動によって伸縮することから、カーテン部材1の伸縮を円滑に行うためには、カーテン部材1の伸縮方向と支持部材2の傾斜方向とを一致させる必要があるからである。また、図1では上支持部材2Aは棟木22に支持される吊り部材3に吊られているが、例えば上支持部材2Aを吊る部材(図示せず)を吊り用滑車4Dに温室100の桁行方向に挿通させて、その部材によって上支持部材2Aを吊ることも可能である。このとき、下支持部材2Bをこの部材によって直接吊ることはできないので、吊り部材3を支持させて、吊り部材3によって下支持部材2Bを吊ることは可能である。
【0071】
図1に示すように、上カーテン部材1A及び下カーテン部材1Bは、拘束手段8で移動用ワイヤ6に連結され、拘束手段8が取り付けられていない長辺方向の縁部接続部1bで支持部材2に固定されている(図7(a)〜(c)参照)。つまり、拘束手段8が移動用ワイヤ6によって移動させられるので、カーテン部材1の移動の先頭は、移動の向きに直交する方向(カーテン部材1の長辺方向)に均一に成形される。したがって、カーテン部材1を完全に伸長させることで、カーテン部材1による断熱層を確実に形成させることができる。
【0072】
図示の場合、下カーテン部材1Bは、その上側端部が支持部材2に沿って移動することによって伸縮し、上カーテン部材1Aは、その下側端部が支持部材2に沿って移動することによって伸縮する。
【0073】
図5に示すように、第1移動用ワイヤ6A及び第2移動用ワイヤ6Bが、棟木22に吊られている吊り用滑車4Dによって吊られて、カーテン部材1Aの下面と下カーテン部材1Bの上面との間に配設されているので、使用状態において上カーテン部材1Aの下面と下カーテン部材1Bの上面とが密着するにも関わらず、両ワイヤ6A、6Bは両カーテン部材1A、1Bの膨張に対して支障はない(図3参照)。
【0074】
図面では、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する下カーテン部材1B及び第3滑車4C寄りに位置する上カーテン部材1Aが拘束手段8で第1移動用ワイヤ6Aに連結部材7を介して連結されている。一方、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する上カーテン部材1A及び第3滑車4C寄りに位置する下カーテン部材1Bが拘束手段8で第2移動用ワイヤ6Bに連結部材7を介して連結されている。すなわち、一のカーテン部材1は、支持部材2又は移動用ワイヤ6に沿って伸縮する向きが一致する他のカーテン部材1と同一の移動用ワイヤ6A、6Bに連結される。
【0075】
図4に示すように、カーテン部材1は未使用状態においては、つまりカーテン部材1に気体が注入されていないとき、支持部材2に固定されている側に縮められており、支持部材2の傾斜方向に対向する、下カーテン部材1Bと上カーテン部材1Aとの間に開口部Xが形成されている。
【0076】
したがって、巻き取り機5を回転駆動させて、第1移動用ワイヤ6Aを第1滑車4Aから第3滑車4Cへ向かう向き(以下、A向きという)に、第2移動用ワイヤ6Bを第3滑車4Cから第1滑車4Aへ向かう向き(以下、B向きという)に移動させる。このとき、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する下カーテン部材1Bの上端部及び第3滑車4C寄りに位置する上カーテン部材1Aの下端部が第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られてA向きに移動することで両カーテン部材1A、1Bが伸長し、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する上カーテン部材1Aの下端部及び第3滑車4C寄りに位置する下カーテン部材1Bの上端部が第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られてB向きに移動することで両カーテン部材1A、1Bが伸長し、開口部Xが消滅する(図3参照)。
【0077】
一方、図3に示すようにカーテン部材1が伸長して開口部Xが形成されていないときに、巻き取り機5を回転駆動させて、第1移動用ワイヤ6AをB向きに、第2移動用ワイヤ6BをA向きに移動させる。このとき、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する下カーテン部材1Bの上端部及び第3滑車4C寄りに位置する上カーテン部材1Aの下端部が第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られてB向きに移動することで両カーテン部材1A、1Bが縮み、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置する上カーテン部材1Aの下端部及び第3滑車4C寄りに位置する下カーテン部材1Bの上端部が第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られてA向きに移動することで両カーテン部材1A、1Bが縮み、開口部Xが形成される(図4参照)。
【0078】
このように、カーテン部材1を迅速に且つ容易に伸縮させることができるので、カーテン部材1による断熱層を迅速に且つ容易に形成して温室100内の温度や湿度の管理を容易に行うことができる。
【0079】
本実施の形態では、上カーテン部材1Aは上側端部で固定されて下側端部で移動可能、下カーテン部材1Bは下側端部で固定されて上側端部で移動可能であるが、上カーテン部材1Aが下側端部で固定されて上側端部で移動可能、下カーテン部材1Bが上側端部で固定されていた下側端部で移動可能である形態にすることもできる。また、上カーテン部材1A及び下カーテン部材1Bが共に上側端部又は下側端部で固定されて、その反対側の端部で移動可能である形態にすることも可能である。
【0080】
ところで、移動用ワイヤ6はカーテン部材1を移動させる際に、カーテン部材1から抵抗力を受ける。この抵抗力は、移動ワイヤ6の移動の向きによって変化するが、抵抗力の最大値はカーテン部材1と支持部材2との間に作用する摩擦力及びカーテン部材1の自重(の傾斜方向成分)からなる。作用・反作用の法則によって、カーテン部材1は移動用ワイヤ6から連結部材7を介して、上記の抵抗力と同等の力を受ける。
【0081】
カーテン部材1が移動用ワイヤ6から受ける抵抗力の向きは、移動用ワイヤ6の移動の向きに一致するので、カーテン部材1は連結部材7に連結される部分において短辺方向に力を受ける。そこで、本実施の形態では、この抵抗力によるカーテン部材1の変形を阻止するために、カーテン部材1の連結部材7との連結部分を含む長辺方向部分はこの抵抗力に対抗し得る曲げ剛性を有している。
【0082】
カーテン部材1が変形することによって、例えば使用状態であればカーテン部材1、1間に隙間が形成されて、温室100の下部に対する保温効果が低下する。また、カーテン部材1の変形が繰り返されることによって、カーテン部材1が劣化する。本実施の形態では、カーテン部材1の連結部材7との連結部分を含む長辺方向部分は、拘束手段8で構成されているので、拘束手段8の曲げ剛性が当該抵抗力に対抗し得る大きさであればよい。
【0083】
(実施の形態2)
その他の温室100の具体例を図8に示す。本実施の形態では、桁行方向に対向する支柱21、21間に支持部材2が架設され、カーテン部材1が桁行方向に伸縮する点と、カーテン部材1には溝部1aに短辺方向に、折れ線1gが形成されている点と、カーテン部材1が長辺方向の縁部接続部1bで支持部材2に支持されている点とで実施の形態1と主に異なる。
【0084】
両妻面100Aの梁25の下方には支柱21、21間に補助梁28が架設され、補助梁28は、地面に設置された補助支柱27によっても支持されている。図面では2本の補助支柱27、27がそれぞれ、梁間方向に対向する支柱21、21から梁間方向内側へ所定距離おいた位置に配設されている。
【0085】
妻面100Aを構成する補助梁28、支柱21及び補助支柱27には接続片2aが形成又は固定されており、接続片2aにはシャックル等の連結部材2bを介して支持部材2が、桁行方向に対向する補助梁28、支柱21及び補助支柱27間に架設されている。支持部材2がワイヤ等の曲げ剛性が低く、自立性を有さない部材からなり、架設される支持部材2が自重で撓むときには、例えば桁行方向に所定間隔をおいて垂木24に吊られている吊り部材3によって支持部材2を水平に保持させることが可能である。
【0086】
支持部材2が水平に保持されることで、支持部材2に支持されるカーテン部材1が支持部材2の架設方向に平行に支持されるので、断熱層の位置が桁行方向に一定になる。したがって、断熱層間に隙間が形成されないので、温室100下部の保温効果が均一になる。支持部材2を支持するのが吊り部材3である場合、吊り部材3は垂木24に直接吊られても、例えば桁行方向に隣接する垂木24、24間に架設される補助架設部材(図示せず)等によって間接的に垂木24に吊られることも可能である。
【0087】
図面では、温室100の棟木22を含む鉛直断面で梁間方向に2つに区画された双方において、桁行方向に対向する補助梁28、支柱21及び補助支柱27のそれぞれに支持部材2が架設されている。ここでは、補助梁28、支柱21、補助支柱27に架設されている支持部材2をそれぞれ第1支持部材2C、第2支持部材2D、第3支持部材2Eという。
【0088】
第1支持部材2Cは第2支持部材2Dより高い位置で支持されており、第1支持部材2Cと第2支持部材2Dの中間で第3支持部材2Eが支持されている。つまり、第1支持部材2C、第2支持部材2D及び第3支持部材2Eは水平に対して傾斜(図において棟木22側から支柱21側へかけて下方へ傾斜)して並設されている。
【0089】
カーテン部材1がその短辺方向に並設されて各々の長辺方向の縁部接続部1bで接続されてなるカーテン体11が、図9に示すように、平面視でカーテン部材1の溝部1aの方向(短辺方向)と梁間方向とが一致するように支持部材2上に配設されている。上記の梁間方向に2つに区画された双方において隣接する支持部材間距離L1(第1支持部材2Cと第3支持部材2Eとの距離、又は、第2支持部材2Dと第3支持部材2Eとの距離)と、カーテン部材1の短辺方向の縁部接続部1bの中心線間隔L2とは略一致している(図8、図12(a)参照)。カーテン部材1が縁部接続部1bで支持部材2に支持されているので、カーテン部材1の移動による両突状部1d、1eの支持部材2との接触、特に引っかかりによる裂傷等が回避される。
【0090】
図8に示すように、カーテン体11は、支持部材2C、2D、2Eにカーテン部材1の長辺方向の縁部接続部1bで支持されているので、第1支持部材2C、第2支持部材2D及び第3支持部材2Eが並設されている方向に傾斜する。一のカーテン体11を構成するカーテン部材1はその傾斜方向に並んで接続されており、ここでは、上側に位置するカーテン部材1を上カーテン部材1Aと、下側に位置するカーテン部材1を下カーテン部材1Bという。
【0091】
この場合、カーテン体11は、上カーテン部材1Aの上側の長辺方向の縁部接続部1bで第1支持部材2Cに、下カーテン部材1Bの下側の長辺方向の縁部接続部1bで第2支持部材2Dに、上カーテン部材1Aの下側の長辺方向の縁部接続部1b又は下カーテン部材1Bの上側の長辺方向の縁部接続部1bで第3支持部材2Eに支持されている。
【0092】
したがって、支持部材2に支持されるカーテン体11の溝部1aは第1支持部材2C、第2支持部材2D及び第3支持部材2Eが並設される、水平に対する傾斜方向(以下、支持部材傾斜方向という)に傾斜するので、カーテン部材1上に落下する結露水等の水分は円滑に流れ落ちてカーテン部材1から排出される。
【0093】
上カーテン部材1Aの溝部1aに集水された水分は、上カーテン部材1Aの下側の長辺方向の縁部接続部1b又は下カーテン部材1Bの上側の長辺方向の縁部接続部1bに流れ落ちる。この長辺方向の縁部接続部1bも支持部材傾斜方向に傾斜しているので、水分は円滑に流れ落ちる。したがって、水分を下カーテン部材1Bの溝部1aに確実に流し落とすためには、第2支持部材2D及び第3支持部材2Eに支持された下カーテン部材1Bの長辺方向突状部1eの短辺方向断面が棟木22側から支柱21側にかけて下方する形状であることが必要である(図12(c)参照)。図12(c)では、長辺方向突状部1eの短辺方向断面は曲線状であるが、直線状でもよい。
【0094】
本実施の形態では、図11に示すように、巻き取り機5が、桁行方向の両端に位置する垂木24を除く垂木24に支持されており、巻き取り機5寄りの妻面100Aを構成する垂木24に第1滑車4A及び第2滑車4Bが保持されている。また、他方の妻面100Aを構成する垂木24には第3滑車4Cが保持されている。
【0095】
巻き取り機5には移動用ワイヤ6が巻き取られており、この移動用ワイヤ6は、桁行方向に往復する形で、第1滑車4A、第3滑車4C、第2滑車4Bの順でそれぞれに掛けられている。
【0096】
図9に示すように、カーテン体11は、桁行方向に隣接されるカーテン体11、11間に隙間が形成されないように配設されることが好ましい。カーテン部材1に気体が注入されて断熱層が形成された際に、カーテン部材1で分けられる温室100の上部と下部とを確実に遮断して、農作物等が育成される温室100の下部の保温効果を高めるためである。
【0097】
図10に示すように、桁行方向に並設される複数(図において4つ)のカーテン体11は、桁行方向の一端側から順に2つずつ分けられ、2つのカーテン体11、11で1組のカーテン体11、11をなす。一の組を構成するカーテン体11、11の一方は短辺方向の縁部接続部1bで、他方のカーテン体11の短辺方向の縁部接続部1bに接続されて、その短辺方向の縁部接続部1bで支持部材2に固定される。また、一方のカーテン体11は、他方のカーテン体11に接続されない短辺方向の縁部接続部1bの下面に取り付けられる拘束部材8を介して、移動用ワイヤ6に連結されている連結部材7に接続される。つまり、カーテン体11、11の組は桁行方向の中央部で支持部材2に固定され、桁行方向の外側で移動用ワイヤ6に連結される。
【0098】
カーテン体11、11の組は、一方の妻面100A寄りの短辺方向の縁部接続部1bで拘束部材8を介して第1移動用ワイヤ6Aあるいは第2移動用ワイヤ6Bのいずれか一方に連結され、他方の妻面100A寄りの短辺方向縁部の接続部1bで拘束部材8を介して他方の移動用ワイヤに連結される。
【0099】
図面では、一のカーテン体11、11の組は、第1滑車4A(第2滑車4B)が設置されている妻面100A寄りの短辺方向の縁部接続部1bで第2移動用ワイヤ6Bに接続されている連結部材7に連結され、第3滑車4Cが設置されている妻面100A寄りの短辺方向の縁部接続部1bで第1移動用ワイヤ6Aに接続されている連結部材7に連結されている。したがって、カーテン体11、11の組の桁行方向外側に形成される短辺方向の縁部接続部1bが桁行方向に移動することによって、カーテン体11、11の組が桁行方向に伸縮する。
【0100】
カーテン部材1は未使用状態において桁行方向に縮められているので、桁行方向に隣接されるカーテン体11、11の組の間で、又はカーテン体11、11の組と温室100の妻面100Aとの間で開口部Xが形成される。
【0101】
したがって、巻き取り機5を例えば一方の向きに回転駆動させて、第1移動用ワイヤ6Aを第1滑車4Aから第3滑車4Cへ向かう向き(以下、A向きという)に、第2移動用ワイヤ6Bを第3滑車4Cから第1滑車4Aへ向かう向き(以下、B向きという)に移動させると、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置するカーテン体11、11の組の桁方向外側の短辺方向の縁部接続部1bが第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られてA向きに移動してカーテン体11が伸長し、第3滑車4C寄りに位置するカーテン体11、11の組の桁方向外側の短辺方向縁部の接続部1bが第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られてB向きに移動してカーテン体11が伸長することによって、開口部Xが消滅する(図9参照)。
【0102】
一方、図9に示すように、カーテン体11が桁行方向に伸長していて、開口部Xが形成されていないときに、巻き取り機5を逆向きに回転駆動させて、第1移動用ワイヤ6AをB向きに、第2移動用ワイヤ6BをA向きに移動させると、第1滑車4A(第2滑車4B)寄りに位置するカーテン体11、11の組の桁行方向外側に位置する短辺方向の縁部接続部1bが第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られてB向きに移動してカーテン体11が縮み、第3滑車4C寄りに位置するカーテン体11の組の桁行方向外側に位置する短辺方向の縁部接続部1bが第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られてA向きに移動してカーテン体11が縮むことによって、開口部Xが形成される(図10参照)。
【0103】
ここで、支持部材2上に設置されたカーテン部材1の溝部1aの方向が梁間方向に一致していることから、カーテン部材1は桁行方向に伸縮し易くなる。つまり、支持部材2上に配置されたカーテン部材1の溝1aの軸線に直交する方向とカーテン部材1の伸縮方向とが一致するので、カーテン部材1の移動を容易に行うことができる。
【0104】
また、図12(a)、(b)に示すように、カーテン部材1の溝部1aには、溝部1aの方向に沿う折れ線1gが形成されている。例えば一の溝部1aに一本の折れ線1gが形成され、上シート10Aの表面と下シート10Bの表面とに交互に形成されている。したがって、図13に示すように、カーテン部材1(カーテン体11)の短辺方向の縁部接続部1bが移動用ワイヤ6に引っ張られて移動させられると、カーテン体11は折れ線1gで山折れと谷折れとが交互に形成されるように、移動用ワイヤ6の移動の向き(桁行方向)に折り畳まれるので、カーテン体11を容易に伸縮させることができる。折れ線1gの代わりにシート10を切断しない程度の切れ線が形成されている場合も、同様にカーテン部材1の切れ線で山折れと谷折れとが交互に形成されるように折り畳まれる。
【0105】
カーテン体11が長辺方向の縁部接続部1bで支持部材2上に設置されていることから、カーテン部材1の長辺方向両端には山折れが形成され、長辺方向の折れ線1g、1g間隔が等しいことが望ましい。カーテン部材1が支持部材2より上方で折り畳まれ、折れ畳まれているカーテン部材1の最下点(谷折れの頂点)は支持部材2上に位置するからである。
【0106】
(実施の形態3)
その他の温室100の具体例を示す。上シート10Aと下シート10Bとの間に例えば、これらと同じ材質からなる接続部材(接続部)12が介在して両シート10A、10Bに接合され、カーテン部材1が溝部1a、縁部接続部1b及び短辺方向突状部1dのみを有する点で実施の形態2と異なる。
【0107】
図14(a)、(b)に示すように、カーテン部材1は、上シート10Aと下シート10Bとの間に接続部材12が溶着等によって両シート10A、10Bに接合されてなる。接続部材12は、シート10の短辺方向長さに形成され、その材軸方向がシート10の短辺方向と平行に配設されている。接続部材12は、両シート10、10に接合されるための接続片12aと、接続片12aを連結し、両シート10A、10Bの膨張を制限する連結片12bとからなる。
【0108】
接続部材12は、シート10の長辺方向に所定間隔をおいて配設され、その両端部はそれぞれ長辺方向の縁部接続部1bに挟まれている。したがって、カーテン部材1に気体が注入されると、接続部材12の連結片12bによって両シート10A、10Bの接続片12aに接続されている部分の膨張が制限される。この結果、短辺方向突状部1dのみが長辺方向に並んで形成されると共に、短辺方向突状部1d、1d間に、接続部材12に対応した溝部1aが形成される。
【0109】
短辺方向突状部1dを構成する一方のシート10A(10B)には気体を注入するための注入口1fが形成されている。各連結片12bには孔12cが形成されているので、注入口1fから気体が注入されると、注入された気体は孔12cを通ってカーテン部材1の内部全体に送り込まれる。
【0110】
このカーテン部材1が例えば実施の形態2における下カーテン部材1Bとして使用され、例えば上カーテン部材1Aと下カーテン部材1Bの溝部1aが同一直線上に配設されれば、上カーテン部材1Aの溝部1aから排出された水分は直接下カーテン部材1Bの溝部1aに導かれる。
【0111】
実施の形態2では、0上カーテン部材1Aから下カーテン部材1Bへ移った水分は、下カーテン部材1Bの溝部1aに集水される前に長辺方向突状部1eを経由する。本実施の形態の場合、下カーテン部材1Bの直接溝部1aに水分を直接導くことができるので、集水の効率が良い。
【0112】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等であっても本発明に含まれる。
【0113】
例えば、巻き取り機5を保持する構成として、図15(a)に示すように、巻き取り機5を保持する巻き取り機用保持部材26が1組の軸受け29を介して垂木24に支持されることも可能である。このとき、巻き取り機用保持部材26は巻き取り機5に周方向に回転自在に挿通し、巻き取り機5は巻き取り機用保持部材26に回転駆動可能に保持されている。
【0114】
また、カーテン部材1の端部を均一に移動させ、且つカーテン部材1を支持部材2に拘束させる拘束手段8は、カーテン部材1に接続される先導ロッド8A、支持部材2に摺動自在に挿通され、且つ支持部材2にその放射方向に拘束される1組の拘束ホルダ8C、8D及び、拘束部材8C(又は8D)と先導ロッド8Aとを連結する連結ロッド8Bを具備することもある(図15(b)参照)。
【0115】
図15(b)では、拘束ホルダ8C、8Dは着脱自在であり、使用時においてはカーテン部材1の支持部材2の軸線方向(短辺方向)外側で一体化される。図面では、拘束ホルダ8Dに形成された係合突部8aが、拘束ホルダ8Cの係合突部8aに対応する位置に形成された係合凹部(図示せず)に係合することによって、拘束ホルダ8C、8Dは一体化する。図面では、拘束ホルダ8Cが連結ロッド8Bに固定されているが、拘束ホルダ8Dが連結ロッド8Bに固定されることも可能である。
【0116】
先導ロッド8Aは、カーテン部材1の移動する側の先端に設置されており、支持部材2に支持されている。連結ロッド8Bはその材軸方向に凹部8bを有し、先導ロッド8Aにその上方から凹部8bで被せられる。連結ロッド8Bが連結部材7に連結され、連結ロッド8Bと先端ロッド8Aとが移動用ワイヤ6の移動方向に係合しているので、カーテン部材1の先導ロッド8Aに接続されている先端は、連結ロッド8Bが移動用ワイヤ6に接続されている連結部材7に引っ張られることによって、均一に移動する。
【0117】
また、支持部材2に挿通した拘束ホルダ8C、8Dが使用状態において支持部材2の放射方向(軸に直交した方向)に拘束され、先導ロッド8Aが連結ロッド8Bに係止するので、支持部材2に支持されるカーテン部材1は支持部材2に拘束される。したがって、カーテン部材1は移動時(変形時)や気体注入時に力を受けても支持部材2上から脱することはない。
【0118】
また、図15(c)に示すように、支持部材2を、桁行方向に隣接した支柱21、21間に配設された連結部材2cによって支持することも可能である。この場合、支持部材2が桁行方向に設置される間隔を、支柱21が設置される間隔に規制されずに設定することができるので、設計の自由度が向上する。
【0119】
図16(a)では、カーテン部材1の各中央部接続部1cは短辺方向に断続的に形成されている。すなわち、所定長さの中央部接続部1cがカーテン部材1の短辺方向に所定間隔をおいて形成され、中央部接続部1c、1c間には、カーテン部材1に注入された気体を通過させ得る連通口1hが形成される。したがって、カーテン部材1に注入された気体は、短辺方向に隣接する中央部接続部1c、1c間を通過しながら、カーテン部材1の内部全域に広がる。
【0120】
また、図面では、中央部接続部1cが長辺方向に沿って複数形成された上に、一の短辺方向に沿って形成される連通口1hと、他の短辺方向に沿って形成される中央部接続部1cとが長辺方向に対向しているので、連通口1hを通過した気体は中央部接続部1cに衝突して中央部接続部1cに沿って逆方向に分かれて移動する。つまり、気体はカーテン部材1の内部で拡散され易くなる。
【0121】
中央部接続部1cはその軸線方向に変形困難であるので、中央部接続部1cの軸線方向において中央部接続部1c、1c間に形成される連通口1hを形成する上シート10Aは少ししか膨張しない。したがって、上シート10Aの連通口1hに対応する部分は、当該連通口1hを形成する中央部接続部1c、1cに対応する溝部1a、1aに連続する溝部1aを形成する。つまり、上シート10Aの連通口1hに対応する部分の上シート10Aに対する傾斜はあまり大きくないので、当該部分の膨張によって溝部1aが不連続になることで水分が貯留されることはない。したがって、図16(a)では、溝部1aはカーテン部材1の短辺方向全長にわたって形成される。この結果、結露水や雨水等の水分は溝部1aに集水されると共に、排水される。
【0122】
また、図面ではカーテン部材1の短辺方向端部において、長辺方向に隣接する中央部接続部1c、1c間に注入口用接続部1iが形成されている。この注入口用接続部1iと中央部接続部1cとの間の距離を供給管42の分岐管44の幅に応じた長さにすることによって、この両接続部1c、1hの間を、例えば切断すると、分岐管44が接続される注入口1fを容易に設けることができる。
【0123】
図16(b)では、中央部接続部1cがカーテン部材1の短辺方向及び長辺方向に形成されているので、連通口1hを通過する気体はカーテン部材1の内部全体に拡散しやすくなる。
【0124】
図17(a)、(b)に示すように、カーテン部材1が単層からなる場合もある。図面では、カーテン部材1が温室100の梁間方向に2枚配設されている。これは、温室100が例えば家庭用であって、温室100の梁間方向長さが数メートルで形成され、それに伴って、短辺方向長さが気体を注入するのに適した大きさからなるカーテン部材1を使用する場合に好適である。
【0125】
ここで、カーテン部材1の膨張によって形成される断熱層間に欠損部分が形成されないように、カーテン部材1を梁間方向に並設して直接、或いは断熱部材(図示せず)を介して間接的に接続することが望ましい。この場合、第1移動用ワイヤ6Aが移動することによって一方(図17(a)において右側)のカーテン部材1が第1移動用ワイヤ6Aに引っ張られて移動し、第2移動用ワイヤ6Bが移動することによって他方(図17(b)において左側)のカーテン部材1が第2移動用ワイヤ6Bに引っ張られて移動する。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の温室の概念を表す斜視図である。
【図2】図1の温室を構成するカーテン部材に気体が注入され、カーテン部材が伸長されている様子を表す温室の側面図である。
【図3】図1の温室を構成するカーテン部材に気体が注入され、カーテン部材が伸長されている様子を表す温室の平面図である。
【図4】図1のカーテン部材に気体が注入されておらず、カーテン部材が縮減されている様子を表す温室の平面図である。
【図5】カーテン部材が除かれた本発明の温室の概念を表す斜視図である。
【図6】(a)カーテン部材の平面図、(b)は図6(a)の要部断面図である。
【図7】(a)拘束手段がカーテン部材に設置されている様子を表す平面図、(b)は図7(a)のC−C正面図、(c)は図7(a)のD−D側面図である。
【図8】その他の実施の形態における本発明の温室の概念を表す斜視図である。
【図9】図8の温室を構成するカーテン部材に気体が注入され、カーテン部材が伸長されている様子を表す温室の平面図である。
【図10】図8の温室を構成するカーテン部材に気体が注入されておらず、カーテン部材が縮減されている様子を表す温室の平面図である。
【図11】カーテン部材が除かれたその他の実施の形態の温室の概念を表す斜視図である。
【図12】(a)はその他の実施の形態のカーテン部材の平面図、(b)は図12(a)のA−A断面図、(c)は図12(a)のB−B断面図である。
【図13】カーテン体(カーテン部材)が伸縮する様子を表す断面図である。
【図14】(a)はその他の実施の形態のカーテン部材の平面図、(b)は図14(a)の要部断面図である。
【図15】(a)はその他の実施の形態における巻き取り機の保持手段の概略を表す斜視図、(b)はその他の実施の形態における拘束手段の概略を現す斜視図、(c)はその他の実施の形態における支持部材の支持手段の概略を表す斜視図である。
【図16】(a)、(b)はその他の実施の形態のカーテン部材の断面図である。
【図17】(a)はその他の実施の形態の温室用カーテン装置を表す正面図、(b)はその他の実施の温室用カーテン装置を表す平面図である。
【符号の説明】
【0127】
1……カーテン部材、1A……上カーテン部材、1B……下カーテン部材、
1a……溝部、1b……縁部接続部、1c……中央部接続部、
1d……短辺方向突状部、1e……長辺方向突状部、1f……注入口、
1g……折れ線、1h……連通口、1i……注入口用接続部、
2……支持部材、2A……上支持部材、2B……下支持部材、2C……第1支持部材、2D……第2支持部材、2E……第3支持部材、2a……接続片、2b……連結部材、2c……連結部材、3……吊り部材、
4A……第1滑車、4B……第2滑車、4C……第3滑車、4D……吊り用滑車、
5……巻き取り機、
6……移動用ワイヤ、6A……第1移動用ワイヤ、6B……第2移動用ワイヤ、
7……連結部材、8……拘束手段、
8A……先導ロッド、8B……連結ロッド、8C……拘束ホルダ、8D……拘束ホルダ、8a……係合突部、8b……凹部、
10……シート、10A……上シート、10B……下シート、11……カーテン体、
12……接続部材(接続部)、12a……接続片、12b……連結片、12c……孔、
20……骨組み、21……支柱、22……棟木、23……桁、24……垂木、
25……梁、26……巻き取り機用保持部材、27……補助支柱、28……補助梁、
29……軸受け、30……被覆部材
40……気体供給設備、41……気体生成装置、42……供給管、43……本管、 44……分岐管、45……吊り部材、X……開口部
100……温室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する支柱間に架設される上支持部材と、
この上支持部材より下側に、前記支柱間に架設される下支持部材と、
前記上支持部材と前記下支持部材との各上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、
前記上支持部材と前記下支持部材との間の距離は、前記上支持部材と前記下支持部材との間に配設された前記カーテン部材の内部に気体が注入されたときの厚さに応じた大きさであることを特徴とする温室用カーテン装置。
【請求項2】
対向する支柱間に架設される支持部材と、
この支持部材上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、
該カーテン部材は、前記支持部材上に載置され、前記内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部を上面に有することを特徴とする温室用カーテン装置。
【請求項3】
前記支持部材上に配置された前記カーテン部材は前記支持部材の材軸方向に伸縮自在であることを特徴とする請求項2に記載の温室用カーテン装置。
【請求項4】
前記対向する支柱のそれぞれに設置される滑車と、
前記双方の滑車に、前記支持部材に平行に掛けられるワイヤと、
前記滑車を経由させて前記ワイヤを循環させる駆動装置とを備え、
前記カーテン部材の、前記支持部材が架設される方向の一端は、前記ワイヤに接続されている連結部材に連結され、前記駆動装置の駆動に連動して走行することを特徴とする請求項3に記載の温室用カーテン装置。
【請求項5】
前記カーテン部材には、前記支持部材の材軸方向に直交する折れ線が、前記支持部材の材軸方向に間隔をおいて一方の外面と、この一方の外面の反対側の外面とに交互に形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の温室用カーテン装置。
【請求項6】
前記カーテン部材の前記溝部が形成されている部分の内面間に、前記カーテン部材の膨張を制限する接続部が形成され、
前記カーテン部材の内部に気体が注入されたときに、前記接続部間は前記カーテン部材の内部の全域に連通していることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の温室用カーテン装置。
【請求項1】
対向する支柱間に架設される上支持部材と、
この上支持部材より下側に、前記支柱間に架設される下支持部材と、
前記上支持部材と前記下支持部材との各上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、
前記上支持部材と前記下支持部材との間の距離は、前記上支持部材と前記下支持部材との間に配設された前記カーテン部材の内部に気体が注入されたときの厚さに応じた大きさであることを特徴とする温室用カーテン装置。
【請求項2】
対向する支柱間に架設される支持部材と、
この支持部材上に配置され、内部に気体が注入される袋状のカーテン部材とを備え、
該カーテン部材は、前記支持部材上に載置され、前記内部に気体が注入された状態で水平に対して傾斜する溝部を上面に有することを特徴とする温室用カーテン装置。
【請求項3】
前記支持部材上に配置された前記カーテン部材は前記支持部材の材軸方向に伸縮自在であることを特徴とする請求項2に記載の温室用カーテン装置。
【請求項4】
前記対向する支柱のそれぞれに設置される滑車と、
前記双方の滑車に、前記支持部材に平行に掛けられるワイヤと、
前記滑車を経由させて前記ワイヤを循環させる駆動装置とを備え、
前記カーテン部材の、前記支持部材が架設される方向の一端は、前記ワイヤに接続されている連結部材に連結され、前記駆動装置の駆動に連動して走行することを特徴とする請求項3に記載の温室用カーテン装置。
【請求項5】
前記カーテン部材には、前記支持部材の材軸方向に直交する折れ線が、前記支持部材の材軸方向に間隔をおいて一方の外面と、この一方の外面の反対側の外面とに交互に形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の温室用カーテン装置。
【請求項6】
前記カーテン部材の前記溝部が形成されている部分の内面間に、前記カーテン部材の膨張を制限する接続部が形成され、
前記カーテン部材の内部に気体が注入されたときに、前記接続部間は前記カーテン部材の内部の全域に連通していることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の温室用カーテン装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−4757(P2010−4757A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164864(P2008−164864)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(508190399)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(508190399)
【Fターム(参考)】
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