説明

温度センサーユニット

【課題】温度センサーの仕様変更の際には、他部品を実装する為の回路を変更する必要がない場合でも、実装基板全体を作成し直す必要があり、余計なコストがかかる。
【解決手段】チップ型温度センサー及びその特性調整用の回路が実装されたFPC基板と、箱形をなし、内部に前記チップ型温度センサーを収容する収容室が形成され、前記FPC基板のチップ型温度センサーが実装されている側の面を覆う様に、これに被せる絶縁性素材製の基板ホルダー6とから温度センサーユニットを構成し、該基板ホルダーの少なくとも四隅に、基板ホルダーの厚さよりわずかに大きい長さを有し、上下端に平坦な半田付け部を有する金属製端子11をその表裏部を貫いて上下方向に取付け、裏面側の半田付け部をFPC基板の相応する位置にある端子部に、上面側の半田付け部を温度上昇を監視しようとする機器の実装基板の相応する位置にある平坦な端子にそれぞれ半田付けする様にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は温度センサーユニット、詳しくは、実装工程の簡略化、実装基板の高密度化の要求に応えることが出来る温度センサーユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末やノートパソコンなどのバッテリー部やハイブリット自動車のバッテリー等の機器においては、機器異常に起因した温度上昇を監視する為、機器内に温度センサーを実装することが行われている。
図1は、従来の温度センサーの実装例であり、機器内の実装基板14上に、他の部品と共にチップ型温度センサー2が実装されており、チップ型温度センサー2を含めたこれら部品類は、実装基板14に形成された回路により、電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】なし
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、実装基板の高密度化に伴い、温度センサー自体も極小化及び配線の微細化が求められている。この為、温度センサーの実装精度についても、高密度化が追求されており、実装工程の簡略化は困難になりつつある。
【0006】
一方、温度センサーが実装されている基板の配線に関しては、温度センサーに付随する配線パターンを変更しようとするときは、他部品を実装する為の配線は何ら変更する必要がない場合であっても、実装基板全体を作成し直す必要があり、仕様変更の際のコスト上昇は避けられなかった。
【0007】
本発明者は、温度センサーを各種機器に実装する際の上記従来の問題点を解決せんとして鋭意研究を行った結果、温度センサーの仕様変更の際でも、実装基板全体を作成し直す必要がなく、仕様変更に伴うコストの上昇を抑えることができる便利な温度センサーユニットを開発することに成功し、本発明としてここに提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
チップ型温度センサー及び該チップ型温度センサーの特性調整用の回路が実装され、前記チップ型温度センサーとの間で信号の授受を行う為の端子部が同じ面の所定位置に形成されたFPC基板と、周壁部と天板部とから構成され、下方が開口した箱形をなし、内部に前記チップ型温度センサーを収容する収容室が形成され、前記FPC基板のチップ型温度センサーが実装されている側の面を覆う様に、これに被せる絶縁性素材製の基板ホルダー、とから温度センサーユニットを構成し、該基板ホルダーの少なくとも四隅に、基板ホルダーの厚さよりわずかに大きい長さを有し、上下端に平坦な半田付け部を有する金属製端子をその表裏部を貫いて上下方向に取付け、裏面側の半田付け部をFPC基板の相応する位置にある端子部に、上面側の半田付け部を温度上昇を監視しようとする機器の実装基板の相応する位置にある平坦な端子に、それぞれ半田付けする様にして、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る温度センサーユニットは、FPC基板とこれに被せられた基板ホルダーとから構成されており、実装されているチップ型温度センサーの特性を調整する為の回路はFPC基板上に形成されているので、これ自体で自己完結したユニットとなっており、温度上昇を監視しようとする機器内の実装基板の表面に形成されている端子に、基板ホルダーの対応する位置に設けられている金属製端子の半田付け部をそれぞれ半田付けするだけで、FPC基板の端子部は温度上昇を監視しようとする機器内の実装基板に電気的に接続され、チップ型温度センサーで得られた温度に関する電気信号情報は、機器内の実装基板に出力され、温度情報検知の用に供される。従って、チップ型温度センサーの仕様を変更する場合には、FPC基板の回路を変更するだけで足り、機器内の実装基板全体を変更する必要がないので、実装工程を簡略化でき、それに伴いコストも低下させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実装基板にチップ型温度センサーを他の部品と共に実装した従来例の斜視図。
【図2】この発明に係る温度センサーユニットの実施例1の構成部品を分離して描いた斜視図。
【図3】同じく、結合された状態を裏面側から見た斜視図。
【図4】同じく、表面側から見た斜視図。
【図5】同じく、その構成部品の一つである基板ホルダー部分の斜視図。
【図6】同じく、基板ホルダーに半田付け部を有する金属製端子を取り付けた状態の斜視図。
【図7】同じく、その構成部品の一つである金属製端子の斜視図。
【図8】同じく、実装基板に温度センサーユニットを装着した状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
FPC基板にチップ型温度センサーとその特性を調整する回路を実装すると共に、このFPC基板を基板ホルダーに装着し、基板ホルダーに設けられている金属製端子の平坦な半田付け部を、温度上昇を監視しようとする機器内の実装基板の表面に形成されている平坦な端子に半田付けにより接続する様にした点に最大の特徴が存する。
【実施例1】
【0012】
図2は、この発明に係る温度センサーユニットの実施例1の各構成部分を分離して描いた斜視図、図3は同じく結合された状態の斜視図、図4は、同じく、反対側から見た斜視図である。
【0013】
図中1は、方形をなしたFPC(フレキシブルプリントサーキット)基板であり、その一方の面にはチップ型温度センサー2が実装されていると共に、このチップ型温度センサー2の特性調整用の回路3が形成されており、更に同じ面には、チップ型温度センサー2との間で信号の授受を行う為の平坦な端子部4が形成されている。又、このFPC基板1の四隅は円弧状に切欠かれ、位置決め様切欠き部5となっている。
【0014】
一方、図中6は絶縁性素材からなる基板ホルダーであり、図5及び図6に示す様に、周壁部7と天板部8とから構成された、下方が開口した箱形をなし、内部にはチップ型温度センサー2を収容する収容室9が形成されている。又、天板部8はFPC基板1とほぼ同じ平面寸法を有している。
【0015】
更に、この基板ホルダー6の少なくとも四隅には、図7に示す様に、基板ホルダー6の厚さAよりわずかに大きい長さBを有し、上下端にL字形に折り曲げられた平坦な半田付け部10a、10bがそれぞれ形成された金属製端子11が、天板部8を貫いて上下方向に取り付けられている。なお、図3において、下方の半田付け部10aは、この基板ホルダー6をFPC基板1に被せたとき、FPC基板1に形成されている端子部4と重なる位置に設けられている。
【0016】
一方、図6において、天板部8の上面に位置する上方の半田付け部10bは、温度上昇を監視しようとする各種機器の実装基板14の平坦な端子15と重なる位置に設けられている。更に、基板ホルダー6の下面側の四隅にはFPC基板1の位置決め用切欠き部5に係合する位置決め用突起13が形成されている。又、この基板ホルダー6の天板部8には、実装位置確認用の開口部12があけられている。
【0017】
そして、この基板ホルダー6は、図3及び図4に示す様に、FPC基板1に実装されているチップ型温度センサー2が収容室9内に位置する様にFPC基板1に被せられており、半田付け部10aはFPC基板1の対応する端子部4に半田付けされている。
【0018】
この様に、この発明に係る温度センサーユニットは、FPC基板1とこれに被せられた基板ホルダー6とから構成されており、実装されているチップ型温度センサー2の特性を調整する為の回路3はFPC基板1上に形成されているので、これ自体で自己完結したユニットとなっており、図8に示す様に、温度上昇を監視しようとるす機器内の実装基板14の表面に形成されている平坦な端子15に、基板ホルダー6の対応する位置に設けられている金属製端子11の半田付け部10aを半田付けするだけで、FPC基板1の端子部4は温度上昇を監視しようとする機器内の実装基板14に電気的に接続され、チップ型温度センサー2で得られた温度に関する電気信号情報は、機器内の実装基板14に出力され、温度情報検知の用に供される。
従って、チップ型温度センサー2の仕様を変更する場合でも、FPC基板1の回路を変更するだけで足り、機器内の実装基板14全体を変更する必要がないので、実装工程を簡略化でき、低コスト化に資することができる。
【0019】
又、FPC基板1の四隅には位置決め用切欠き5が、基板ホルダー6の下面側の四隅には位置決め用突起13がそれぞれ形成されているので、これらが係合することにより位置決めがなされ、両者の位置関係にズレが生じるおそれは全くなく、FPC基板1の端子部4と基板ホルダー6の金属端子11の半田付け部10とは常に正しい位置で接することになり、位置合わせが極めて簡単で、この点においても実装工程の簡略化を図ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0020】
情報端末の電源部やハイブリット自動車のバッテリー周辺など、温度監視を必要とし、かつ実装面積が限られた電子機器類において大いに利用価値がある。
【符号の説明】
【0021】
1.FPC基板
2.チップ型温度センサー
3.回路
4.端子部
5.位置決め用切欠き部
6.基板ホルダー
7.周壁部
8.天板部
9.収容室
10.半田付け部
11.金属製端子
12.開口部
13.位置決め用突起
14.実装基板
15.端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ型温度センサー及び該チップ型温度センサーの特性調整用の回路が実装され、前記チップ型温度センサーとの間で信号の授受を行う為の端子部が同じ面の所定位置に形成されたFPC基板と、周壁部と天板部とから構成され、下方が開口した箱形をなし、内部に前記チップ型温度センサーを収容する収容室が形成され、前記FPC基板のチップ型温度センサーが実装されている側の面を覆う様に、これに被せる絶縁性素材製の基板ホルダーとからなり、該基板ホルダーの少なくとも四隅に、基板ホルダーの厚さよりわずかに大きい長さを有し、上下端に平坦な半田付け部を有する金属製端子をその表裏部を貫いて上下方向に取付け、裏面側の半田付け部をFPC基板の相応する位置にある端子部に、上面側の半田付け部を温度上昇を監視しようとする機器の実装基板の相応する位置にある平坦な端子にそれぞれ半田付けする様にしたことを特徴とする温度センサーユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−196960(P2011−196960A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67156(P2010−67156)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000115142)ユニオンマシナリ株式会社 (38)