説明

温度制御装置

【目的】 供給電圧の変動に左右されず一定温度となる温度制御を可能とする。
【構成】 電源2から供給される電力によりランプ1が発熱する。電圧検知回路5により供給電圧が検知され(S1)、温度センサ3によりランプ1の温度が検知される(S6)。CPU10により検知電圧に応じた制御温度が設定され(S2〜S5)、CPU10は、検知温度が制御温度よりも低い場合(S7:YES)にはランプ1を点灯し(S8)、また検知温度が制御温度以上の場合(S7:NO)にはランプ1を消灯する(S9)。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真方式を用いたプリンタ、複写機等に用いられる定着器などのランプの温度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、定着器等の一定温度制御を行う場合、制御温度を設定しておき、定着器の温度が前記制御温度より低い場合にはランプを点灯して定着器を加熱し、また逆に、制御温度より定着器の温度が高い場合にはランプを消灯して定着器を冷却するというように、ランプの加熱、冷却の繰り返しにより常に制御温度付近の許容される範囲内の温度に保っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プリンタ、複写機等に供給される電圧は常に一定というわけでない。供給電圧の変動はランプ自体の発熱量を変動させるので、定着器の加熱、冷却温度カーブに対し差を発生させる。
【0004】制御温度を180℃としたときの電圧通常供給時の定着器の温度経時変化を図4(b)に示す。この場合、定着器の平均温度は、ほぼ制御温度180℃となっている。一方、供給電圧が通常より高い場合の定着器の温度経時変化を図4(a)に示す。この場合、ランプの発熱量が大きくなることから定着器の平均温度は、制御温度180℃より高くなっている。同様に供給電圧の低い場合を図4(c)に示す。この場合、定着器の平均温度は、制御温度180℃より低くなっている。このように、供給電圧の変動がある場合、設定した温度と異なる温度で定着器の温度一定を保つこととなる。
【0005】本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、供給電圧の変動に左右されない温度制御方式を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明の温度制御装置は、発熱するランプと、そのランプに電力を供給する電源と、その電源に供給される電圧を検知する電圧検知手段と、前記ランプ周辺の温度を検知する温度検知手段と、前記電圧検知手段による検知電圧から制御温度を設定する制御温度設定手段と、前記検知温度が前記制御温度よりも低い場合には前記ランプを点灯し、前記検知温度が前記制御温度よりも高い場合には前記ランプを消灯する制御手段とを備えている。
【0007】
【作用】上記の構成を有する本発明は、電源から供給される電力により前記ランプが発熱する。電圧検知手段により前記電源に供給される電圧が検知され、温度検知手段により前記ランプ周辺の温度が検知される。制御温度設定手段により、前記電圧検知手段による検知電圧に応じた制御温度が設定され、制御手段により前記検知温度が前記制御温度よりも低い場合には前記ランプを点灯し、また前記検知温度が前記制御温度よりも高い場合には前記ランプを消灯するものである。
【0008】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。
【0009】図1は実施例の温度制御装置の構成を示す図である。本温度制御装置は、ランプ1と、ランプ1に電力を供給する供給電源2と、ランプ1の温度を検知する温度センサ3と、温度制御を行う制御回路4から構成されている。
【0010】制御回路4は、供給電源2から供給される電圧を検知する電圧検知回路5と、電圧検知回路5からの電圧データを格納する電圧データエリア7と温度センサ3からの温度データを格納する温度データエリア8を有するRAM6と、制御温度テーブル14を格納するROM9と、ランプ1を点灯するランプ点灯回路11と、温度データエリア9に格納されている温度データとROM9に格納された制御温度テーブル14とからランプ点灯回路11を制御するCPU10とから構成されている。
【0011】図2は上記のように構成された温度制御装置における温度制御の具体的なフローチャートを示している。定格電圧を交流100Vとし、このときの制御温度180℃とする。
【0012】この温度制御が開始されると、先ず電圧検知回路5により供給電源2の供給電圧が検知され、その電圧のデータがRAM6の電圧データエリア7に格納される(S1)。そして、ROM9に格納されている制御温度テーブル14に基づいて電圧データエリア7に格納された電圧データに応じた制御温度が設定される(S2〜S5)。
【0013】即ち、電圧データが110V以上を示すとき、制御温度テーブル14に基づいて、制御温度が175℃に設定される(S3)。電圧データが90V以上110V未満を示すときは制御温度が180℃に設定される(S4)。また、電圧データが90V未満を示すのとき制御温度が185℃に設定される(S5)。尚、S2〜S5の処理において設定された制御温度はRAM6に記憶される。
【0014】次に、温度センサ3によりランプ1の温度が検知され、その温度のデータがRAM6の温度データエリア8に格納される(S6)。そして、温度データエリア8に格納された温度データとRAM6に格納されているS2〜S5の処理において設定された制御温度とを比較し(S7)、温度データ8の示す温度が制御温度より低い場合には(S7:YES)、CPU10はランプ点灯回路11をオンしてランプ1を点灯し(S8)、また、逆に温度データ8が制御温度以上の場合には(S7:NO)、CPU10はランプ点灯回路11をオフしてランプ1を消灯する(S9)。
【0015】以上のような温度処理が繰り返し実行されることにより、供給電源の供給する電圧が変動したとしても、電圧の変動に応じて制御温度が設定され、ランプ1の温度が設定された制御温度となるようにオン・オフ制御される。
【0016】図3(a)に、供給電圧が110V以上の時の温度センサ3の温度経時変化20を示す。従来例でも述べたように、供給電圧が変動して通常の供給電圧よりも高い場合にはランプ1の発熱量が大きくなるため、CPU10が設定した制御温度よりも若干高い温度で一定温度となる。この実施例の場合、設定された制御温度175℃に対し、実際の温度センサ3の平均温度は180℃となっている。
【0017】図3(b)に、供給電圧が90V以上の時の温度センサ3の温度経時変化20を示す。この場合は、図3(a)での説明とは逆となり、供給電圧が変動して通常の供給電圧よりも低い場合にはランプ1の発熱量が小さくなるため、設定された制御温度185℃に対し、実際の温度センサ3の平均温度は180℃となっている。
【0018】以上、上述したように供給電圧によらず求める温度180℃で温度制御を行うことができる。
【0019】上記実施例においては、説明の簡略化のためにROM9の制御温度テーブル14に基づく制御温度の設定を3段階としたが、これに限定されるものではなく、制御温度テーブル14を細分化することで、より正確な温度制御を行うことが可能である。
【0020】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本発明によれば、供給電圧の変動に左右されず一定温度となる温度制御を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例の構成を示す図である。
【図2】図2は、実施例の温度制御のフローチャート示す図である。
【図3】図3は、実施例の温度センサの温度経時変化を示す図である。
【図4】図4は、従来例の温度センサの温度経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 ランプ
2 供給電源
3 温度センサ
5 電圧検知回路
10 CPU
14 制御温度テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱するランプと、そのランプに電力を供給する電源と、その電源に供給される電圧を検知する電圧検知手段と、前記ランプ周辺の温度を検知する温度検知手段と、前記電圧検知手段による検知電圧から制御温度を設定する制御温度設定手段と、前記検知温度が前記制御温度よりも低い場合には前記ランプを点灯し、前記検知温度が前記制御温度よりも高い場合には前記ランプを消灯する制御手段と、を備えたことを特徴とした温度制御装置。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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