説明

温湯加温・冷却設備

【課題】 温湯加温・冷却設備において、処理物である種子の品質の劣化を回避し、損失を低減させることを課題とする。
【解決手段】 温湯を貯留する温湯槽(1)と、冷却水を貯留する冷却槽(10)と、温湯槽(1)内において種子を冷却槽(10)側へ順次移送した後、種子を冷却槽(10)へ順次供給する温湯用移送装置(3)と、冷却槽(10)内において種子を排出側へ順次移送する冷却用移送装置を設け、異常時に温湯用移送装置(3)及び冷却用移送装置により種子を緊急で移送させて排出する緊急排出モードを備える温湯加温・冷却設備とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば種子を温湯に浸漬して消毒する種子消毒設備等、温湯を貯留する温湯槽と冷却水を貯留する冷却槽とを備える温湯加温・冷却設備に関する。
【背景技術】
【0002】
温湯を貯留する温湯槽と、冷却水を貯留する冷却槽と、温湯槽内において種子を冷却槽側へ順次移送した後、種子を冷却槽へ順次供給する温湯用移送装置と、冷却槽内において種子を排出側へ順次移送する冷却用移送装置を設けた温湯加温・冷却設備がある。この温湯加温・冷却設備は、温湯用移送装置により、温湯槽内において種子を収容する複数の種子バケットを順次移送させた後、移送終端部で種子バケットを上昇させ、移送終端部で上昇した種子バケットを反転させて冷却槽内の冷却バケットへ種子を供給し、冷却用移送装置により、冷却槽内において種子の移送経路に沿って配列される複数の冷却バケットを順次反転させて種子を排出側へ順次移送させる構成となっており、通常は、温湯用移送装置及び冷却用移送装置により各々所定の間欠時間間隔おきに種子を間欠的に移送する構成とし、切替装置により、温湯用移送装置により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔を、冷却用移送装置により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔と同一となる長時間加温状態と、冷却用移送装置により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔の複数分の1となる短時間加温状態に切り替える構成としている。また、複数の冷却バケットどうしの間に仕切り壁を設けて冷却槽内を複数の冷却区域に分割しており、仕切り壁の上部には隣接する冷却区域間で流水を許容する開口部を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−104333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温湯加温・冷却設備において、温湯の温度の異常、冷却水の温度の異常、温湯槽内の水位の異常又は冷却槽内の水位の異常等の異常があると、種子が必要以上に加温されたり、種子が必要以上に冷却されたり、逆に、種子の加温が不足したり、種子の冷却が不足したりして、無用に加温又は冷却したり種子が損傷したり発芽不良を生じたりし種子を劣化させる要因となり得る。このような異常が発生しても、処理物である種子の品質の劣化を回避し、損失を低減させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、温湯を貯留する温湯槽(1)と、冷却水を貯留する冷却槽(10)と、温湯槽(1)内において種子を冷却槽(10)側へ順次移送した後、種子を冷却槽(10)へ順次供給する温湯用移送装置(3)と、冷却槽(10)内において種子を排出側へ順次移送する冷却用移送装置を設け、異常時に温湯用移送装置(3)及び冷却用移送装置により種子を緊急で移送させて排出する緊急排出モードを備える温湯加温・冷却設備とした。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、温湯の温度の異常、冷却水の温度の異常、温湯槽(1)内の水位の異常又は冷却槽(10)内の水位の異常を検出すると、緊急排出モードを実行する請求項1に記載の温湯加温・冷却設備とした。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、通常は、温湯用移送装置(3)及び冷却用移送装置により各々所定の間欠時間間隔おきに種子を間欠的に移送する構成とし、緊急排出モードでは、前記間欠時間間隔を短縮する構成とした請求項1に記載の温湯加温・冷却設備とした。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、温湯用移送装置(3)により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔を、冷却用移送装置により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔と同一となる長時間加温状態と、冷却用移送装置により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔の複数分の1となる短時間加温状態に切り替える切替装置(89)を設け、緊急排出モードでは、長時間加温状態で種子を移送させる構成とした請求項3に記載の温湯加温・冷却設備とした。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、温湯用移送装置(3)は、温湯槽(1)内において種子を収容する複数の種子バケット(2)を順次移送させた後、移送終端部で種子バケット(2)を上昇させる構成とし、冷却用移送装置は、種子を冷却バケット(8)により排出側へ順次移送させる構成とし、種子バケット(2)の底部(71)を種子の移送上手側に設けた回動支点軸(72)回りに開閉可能に設け、移送終端部で上昇した種子バケット(2)の底部を冷却槽(10)側に下り傾斜姿勢となるよう開いて、種子を冷却バケット(8)へ順次供給させる構成とした請求項1に記載の温湯加温・冷却設備とした。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、冷却用移送装置は、冷却槽(10)内において種子の移送経路に沿って配列される複数の冷却バケット(8)を順次反転させて種子を排出側へ順次移送させる構成とし、複数の冷却バケット(8)どうしの間に仕切り壁(16)を設けて冷却槽(10)内を複数の冷却区域に分割し、仕切り壁(16)には隣接する冷却区域間で流水を許容する開口部(76)を構成し、上部に開口部(76)を有する仕切り壁(16)と下部に開口部(76)を有する仕切り壁(16)を設けた請求項1に記載の温湯加温・冷却設備とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によると、緊急排出モードにより、異常時には種子を素早く移動させて、緊急的に設備外へ排出させることができ、種子の品質の劣化を極力回避でき、品質の劣化による損失を低減させることができる。
【0012】
請求項2の発明によると、請求項1の発明の効果に加えて、加温過多、冷却過多、加温不足又は冷却不足により種子の品質が劣化するのを回避できる。
請求項3の発明によると、請求項1の発明の効果に加えて、種子を間欠的に移送する間欠時間間隔を変更すればよいので、種子の実際の移送速度を速くなるのを抑えて高速移送による種子の損傷や種子移送における移送トラブルを防止できる。
【0013】
請求項4の発明によると、請求項3の発明の効果に加えて、切替装置(89)により切り替えられる処理形態に拘らず、種子を設備外へ素早く排出させることができ、種子の品質の劣化を極力回避できる。
【0014】
請求項5の発明によると、請求項1の発明の効果に加えて、開いた状態で冷却槽(10)側に下り傾斜姿勢となる種子バケット(2)の底部(71)により、種子を冷却バケット(8)へ案内して供給でき、種子バケット(2)を反転させる必要がなく、種子移送の円滑化が図れて移送の能率が向上する。特に、緊急排出モードでは、種子を素早く移送させることができ、種子の品質の劣化を極力回避できる。
【0015】
請求項6の発明によると、請求項1の発明の効果に加えて、複数の冷却区域にわたって冷却水が流水するとき、隣接する仕切り壁(16)間で冷却水が滞留しやすくなり、各々の冷却区域の冷却水の温度の均一化が図れ、適正に且つ効率良く冷却でき、冷却過多又は冷却不足により種子の品質が劣化するのを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】温湯消毒設備の一部を示す平面図
【図2】温湯消毒設備の一部を示す側面図
【図3】移送装置及び下降装置の一部を示す側面図
【図4】上昇装置の一部を示す側面図
【図5】上昇装置の一部及び戻り装置の一部を示す側面図
【図6】種子袋供給位置を示す側面図
【図7】冷却槽を示す断面側面図
【図8】冷却槽を判り易く示す平面図
【図9】温湯及び冷却水の供給経路を示す図
【図10】乾燥・出荷工程の工程図
【図11】乾燥装置の内部を示す側面図
【図12】異なる冷却槽を判り易く示す側面図
【図13】播種施設を示すレイアウト図
【図14】播種設備を示す側面図
【図15】メイン供給コンベヤとストックコンベヤを示す平面図
【図16】育苗箱供給装置の一部を判り易く示す平面図
【図17】空箱供給コンベヤを示す側面図
【図18】段積み設備を示す平面図
【図19】段積みロボットを示す斜視図
【図20】第一育苗箱積重ね装置を示す図(a:側面図、b:正面図)
【図21】育苗箱積重ね装置の一部を示す側面図
【図22】育苗箱チャックを示す図(a:側面図、b:正面図)
【図23】育苗箱チャックの一部を示す平面図
【図24】外面部に段が形成された育苗箱を示す図
【図25】外面部に段が形成されていない育苗箱を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
温湯・冷却設備となる種子消毒設備は、前工程から後工程の順に温湯消毒装置A、種子冷却装置B、乾燥装置Dを順次設けている。温湯消毒装置Aは、箱型の温湯槽となる温湯消毒槽1を設け、温湯消毒槽1の上方には多数の種子バケット2を循環移送する温湯用移送装置となる循環移送装置3を設けている。尚、前記温湯消毒槽1は、11個の種子バケット2を連ねて収容できる構成となっている。また、種子バケット2には、所定量ごとに種子を収容する網状の種子袋Pを入れるようになっている。尚、この種子消毒設備により種々の種子を消毒できるが、一般的には水稲用の種子(種籾)を消毒することが多い。
【0018】
種子バケット2は、種子袋Pを投入可能な上方に向く開口を備え、温湯又は冷却水が通水可能に側面70及び底面71が網で構成され、直方体状の形状となっている。種子バケット2の底部となる底面71は、一端部に設けた回動支点軸72回りに開閉可能に構成され、収容する種子袋Pを放出できる構成となっており、他端部に設けた固定フック73により閉じた状態で固定する構成となっている。尚、固定フック73は、スプリングにより底面71を固定する側に付勢されている。尚、後述する循環移送装置3の下降装置3dに、固定フック73が温湯消毒槽1側、回動支点軸72が手前側(温湯消毒槽1とは反対側)となるように種子バケット2を装着し、温湯消毒槽1内での移送で固定フック73が移送下手側、回動支点軸72が移送上手側となるようにする。
【0019】
温湯用移送装置となる循環移送装置3は移送始端側にあって多数の孔を形成する種子バケット2を下降させて温湯消毒槽1内の温湯に浸漬させる下降装置3dと、温湯消毒槽1内を浸漬した状態で種子バケット2を移送する移送装置3aと、移送終端側にあって温湯消毒槽1内を浸漬した種子バケット2を温湯消毒槽1の移送終端部上に上昇させる上昇装置3bと、上昇装置3bで上昇させた種子バケット2を下降装置3dまで戻す戻し装置3cとを備えている。
【0020】
移送装置3aは、種子バケット2の上端に設けた縁部2aを左右下側から受ける案内レール部4を備え、移送始端部には種子バケット2を移送させるためのチェン式の移送コンベア5を左右に設けている。移送コンベア5は、周回経路の適宜位置に種子バケット2を移送させる押し用突起5aを備え、該押し用突起5aが種子バケット2の縁部の左右に固着した左右方向の固着軸2bを移送方向に押すことで当該種子バケット2を移送し、移送下手側の種子バケット2が順次移送上手側の種子バケット2に押されて温湯消毒槽1内で種子バケット2が移送されていく構成となっている。
【0021】
上昇装置3bは、案内レール部4の終端(移送終端)にある種子バケット2の固着軸2bが引っ掛かる持上げ用突起6aを備えるチェン式の上昇コンベア6を左右に設けている。従って、該上昇コンベア6の駆動により、案内レール部4の終端(移送終端)にある種子バケット2の固着軸2bが持上げ用突起6aに持上げられ、種子バケット2が上昇する構成となっている。上昇コンベア6は、持上げ用突起6aが固着軸2bに引っ掛かる上昇始端位置から種子バケット2を上昇させるにつれて移送装置3aの移送方向に移動させる斜めの移動経路(周回経路)を備えた側面視で三角形状の周回経路で周回する。そして、前記斜めの移動経路の途中には種子バケット2を傾かせるカム7を左右に設けており、種子バケット2の上昇で前記カム7が種子バケット2の縁部2aにおける固着軸2bの一方側(移送装置3aの移送上手側、温湯消毒槽1側)に上側から接触して押し下げることにより、固着軸2bを支点に種子バケット2をその下部が種子冷却装置B側に向くように傾かせる。種子バケット2が傾いた状態で、種子バケット2の底面71の移送下手側の端部にある固定フック73にフック解除カム74が接触し、固定フック73が一時的に解除されることにより底面71が自重により移送上手側の端部にある回動支点軸72回りに下側へ回動して底面71を開放し、種子バケット2内の種子袋Pを種子冷却装置Bの冷却バケット8へ放出する構成となっている。尚、回動支点軸72部分には底面71の回動位置を規制する回動ストッパを設けており、傾いた状態の種子バケット2の底面71を開放するとき、該底面71が冷却槽10側に下り傾斜姿勢となる位置で保持される構成となっている。尚、温湯消毒槽1の上端からカム7の位置にかけて、上昇あるいは傾斜する種子バケット2から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽1へ案内するガイド板9を設けている。このガイド板9により、種子バケット2から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽1へ戻して温湯消毒槽1内の熱の放出を抑えると共に、前記温湯が種子冷却装置Bの冷却槽10に垂れ落ちることによる冷却効率の低下を防止できる。そして、上昇コンベア6により、種子袋Pを種子冷却装置Bの冷却バケット8へ放出する放出位置を過ぎた位置に種子バケット2が到達するタイミングで、種子バケット2の底面71を閉じる閉鎖装置75が作動する。閉鎖装置75は、下側から底面71に接触して押し上げる閉鎖用シリンダで構成されている。閉鎖装置75により底面71を閉じると、底面71は固定フック73により自動的に閉鎖状態に保持される。
【0022】
種子バケット2の底面71を開放することにより、種子バケット2から冷却バケット8へ円滑に種子を供給できるので、加温処理後に即座に冷却処理がなされないことによる種子の発芽障害や処理能率の低下を防止できる。また、底面71を開放すればよいので、種子バケット2を反転させる必要がなく、温湯消毒装置Aから種子冷却装置Bに種子袋Pを簡単に供給することができる。
【0023】
戻し装置3c及び下降装置3dは、種子バケット2の固着軸2bが引っ掛かる搬送用突起11aを備えるチェン式の戻しコンベア11を左右に備えて構成されている。尚、前記搬送用突起11aは、戻しコンベア11の周回方向の前後に対向して配置され、前後の突起11aで固着軸2bを挟むようにして保持する構成となっている。従って、上昇装置3bの上昇コンベア6でその上端部に上昇した種子バケット2を、前記戻しコンベア11が、受け継いで移送装置3aの移送始端側に横移動した後、下降させてその下降経路の途中の種子袋供給位置rで待機させる。この種子袋供給位置rで、種子バケット2は温湯消毒槽1の上方に位置しており、作業者が当該種子バケット2に種子袋Pを供給するようになっている。そして、移送装置3aが作動して移送始端部に種子バケット2を収容するスペースができると、戻しコンベア11を作動させて前記種子袋供給位置rにある種子バケット2を下降させ、種子バケット2を戻しコンベア11の下端から温湯消毒槽1へ落下して供給する。尚、種子袋供給位置rで待機する種子バケット2は、下部の前側が温湯消毒槽1に取り付けたガイド12に接触し、上部の開口部が前側に向くように傾く。これにより、作業者が種子バケット2に種子(種子袋P)を容易に供給できる。更に、種子バケット2が傾いている分、種子バケット2が温湯消毒槽1の温湯に浸されない高さで且つ当該種子バケット2の前記開口部の高さを極力低く設定することができるため、種子バケット2への種子(種子袋P)の供給が容易である。
【0024】
移送装置3a、上昇装置3b、戻し装置3c及び下降装置3dは種子バケット2を同時に間欠的に移送する構成であるが、移送装置3aは複数の種子バケット2を同時に移送し、上昇装置3b、戻し装置3c及び下降装置3dは各々単一の種子バケットを移送する構成であり、移送装置3a、上昇装置3b、戻し装置3c及び下降装置3dで各々の移送ピッチが異なる構成となっている。尚、下降装置3dは種子バケット2を種子袋供給位置rに移送した状態で停止する。従って、戻し装置3c及び下降装置3dの移送距離に対する移送時間が移送装置3aの移送距離に対する移送時間より短く設定されており、空の種子バケット2の数を減らすことにより、コストダウンが図れると共に、温湯消毒槽1の上方の空の種子バケット2の数が少ないため、作業者が温湯消毒槽1内の消毒状況や運転状況を視認するときに空の種子バケット2が邪魔になりにくく、容易に視認できる。
【0025】
また、移送装置3aで間欠的に移送される種子バケット2の移送は、移送中の時間より移送停止状態の時間の方が長くなるように設定されている。従って、温湯消毒槽1内の後述する温水噴出口13の上方に種子バケット2を長く滞留させることができ、種子の殺菌効果を高めることができる。また、移送装置3aの移送停止時間を長くすることで、これに連動する上昇装置3b及び下降装置3dの停止時間を長く設定することができるので、種子袋供給位置rでの種子バケット2の停止時間を長く設定でき、停止している種子バケット2に種子(種子袋P)を容易に供給できる。また、前記移送装置3aの移送停止時間を調節する切替装置となる調節ダイヤル89により長時間加温状態と短時間加温状態とに切り替えできる構成となっており、この移送停止時間の切替により同一の種子バケット2が温湯消毒槽1に浸漬される総時間を変更できる。尚、短時間加温状態のときの種子バケット2の間欠的な移送時間の周期は、長時間加温状態のときの2分の1に設定される。従って、種子の品種に応じて種子の消毒時間を変更することができる(例えば、うるち米の種籾は10分間浸漬し、もち米の種籾は6分間浸漬する等)。これにより、移送装置3aの移送中の移送速度を変えずに容易に浸漬時間を変えることができる。尚、移送装置3a、上昇装置3b、戻し装置3c及び下降装置3dは、共通の駆動源である循環移送用モータ90により作動する。従って、調節ダイヤル89からの信号により制御部43を介して循環移送用モータ90へ出力される構成となっている。
【0026】
温湯消毒槽1内の底部には所定間隔毎に温水噴出口13を配設し、間欠移送されながら停止している種子バケット2の停止位置下方に温水噴出口13を位置させ、種子バケット2に向けて温水を噴出し、温水が種子バケット2の孔を通過し網状の種子袋Pに収容する種子(種籾)に作用する構成としている。なお、温湯消毒槽1の底部を前後方向中間部に向けて下り傾斜に構成し、中間部に排水溝14を構成している。
【0027】
温湯消毒槽1の後工程には種子冷却装置Bを設けている。この種子冷却装置Bには、前後方向に長い冷却槽10を設け、この冷却槽10には前側から後側に向けて複数の冷却バケット8を設けている。冷却バケット8は多数の孔を形成し、左右方向の軸8aにより回動自在に支持している。そして、冷却バケット8が軸8aを軸心に回動反転すると冷却バケット8内に収容する種子袋Pが次の冷却バケット8に収容される構成である。冷却バケット8を回動(反転)させる冷却移送用モータ61を、複数の冷却バケット8に対応して各々設けている。従って、冷却バケット8及び冷却移送用モータ61等により、冷却用移送装置を構成している。尚、冷却バケット8は、反転時に小さく2度回動して種子袋Pの排出を確実に行うようにしている。冷却槽10内には冷却区域となる各冷却バケット8の収容部ごとに槽内を仕切る仕切り壁16を設けている。従って、仕切り壁16は、複数の冷却バケット8どうしの間に設けられ、冷却槽10内を複数の冷却区域に分割する。また、仕切り壁16には、隣接する冷却バケット8の収容部間で流水を許容する開口部76を構成している。この開口部76は、複数の冷却バケット8の配列方向すなわち種子袋Pの移送方向において上下に交互に構成されている。すなわち、隣接する仕切り壁16において開口部が上下互い違いに配置されている。
【0028】
冷却区域を構成するユニットを追加することにより冷却槽10内の冷却区域の個数を変更できる構成となっている。冷却槽10内に4箇所の冷却区域を構成した場合について説明すると、種子の移送下手側1番目(以下、種子の移送下手側から数えた順番として説明し、「種子の移送下手側」の記載を省略する。)の冷却区域と2番目の冷却区域の間の1番目の仕切り壁16は、下部に開口部76を構成し、上部では冷却水が流水しないように高く配置される。2番目と3番目の冷却区域の間の2番目の仕切り壁16は、流水を許容するよう上端部を低く配置して開口部76を構成し、下部では開口を設けず閉塞している。3番目と4番目の冷却区域の間の3番目の仕切り壁16は、1番目の仕切り壁16と同様に、下部に開口部76を構成し、上部では冷却水が流水しないように高く配置される。
【0029】
そして、冷却槽10に新たな水を供給する冷却用給水口18が冷却槽10内において種子の移送下手側(排出シュート17側)の端部の位置で給水する構成となっており、冷却用給水口18からの冷却水は冷却槽10内において仕切り壁16で仕切られる種子の移送下手側の冷却区域から順次供給されていくことになる。更に詳述すると、先ず1番目の冷却区域の上部に冷却用給水口18が配置され、1番目の冷却区域の上部に冷却水が供給され、1番目の冷却区域から1番目の仕切り壁16の下部の開口部76を介して2番目の冷却区域へ冷却水が供給され、2番目の冷却区域から2番目の仕切り壁16の上部の開口部76を介して3番目の冷却区域へ冷却水が供給され、3番目の冷却区域から3番目の仕切り壁16の下部の開口部76を介して4番目の冷却区域へ冷却水が供給される。尚、4番目の冷却区域の上部に排水口34が配置され、4番目の冷却区域の上部から冷却槽10内の冷却水が排出される。従って、冷却槽10内において、冷却水の流水経路が上下にジグザク状となるので、冷却用給水口18から供給される冷却水が冷却槽10内にあまり滞留せずに排水口34から排出されるようなことを防止でき、隣接する仕切り壁16の間すなわち冷却区域内で冷却水が滞留しやすくなる。
【0030】
尚、上述のように偶数の冷却区域を配列する場合は、冷却用給水口18及び排水口34を共に冷却区域の上部に配置すればよいが、3箇所等の奇数の冷却区域の場合は、冷却水の流水経路を上下にジグザク状にするために、冷却用給水口18と排水口34のうちの一方を冷却区域の上部に配置し、他方を冷却区域の下部に配置すればよい。
【0031】
ところで、種子バケット2が上昇装置3bで上昇してカム7で傾く放出位置の直前に到達したことをセンサで検出すると、最も温湯消毒装置Aに近い冷却バケット8が反転してから元に戻り、その後、種子バケット2が放出位置へ上昇してカム7で傾く構成となっている。これにより、種子バケット2から冷却バケット8に種子を供給する直前に当該冷却バケット8の種子を次の冷却バケット8に供給することができ、冷却バケット8による種子の冷却時間を長くすることができて冷却効果を高めることができる。
【0032】
また、種子バケット2の容積より冷却バケット8の容積が大きく設定されている。よって、種子バケット2の容積が小さいので、温湯消毒槽1内の種子バケット2が供給されない不要な部分を小さくして温湯を効率良く使用できる。また、冷却バケット8の容積が大きいので、後述する空気噴出口19からの空気により種子の攪拌が容易になり、冷却効果が高まる。
【0033】
また、冷却槽10の冷却バケット8の下方には、空気噴出管20をそれぞれ設け、ブロワ21により空気噴出口19に空気を供給し、浸漬中の冷却バケット8に向けて空気を噴出する構成としている。また、温湯消毒槽1にも空気噴出管19を設けており、この空気噴出管19は、温水噴出口13を備える温水管22の上側で平面視で交差(直交)するように配置されている。温水管22は温湯消毒槽1の長手方向(前後方向)に延び、温水噴出口13が左右に温湯を噴出するので、温湯消毒槽1の短手方向(左右方向)の対流が前後方向の全体にわたって均等に発生し、温湯消毒槽1内の温度むらを抑えることができる。空気噴出管19は、停止する各種子バケット2の下方に位置しており、各種子バケット2へ向けて空気を噴出することにより全ての種子を均等に攪拌できる。
【0034】
前記ブロア21は冷却槽10用と温湯消毒槽1用で共通であり、温湯消毒槽1の空気噴出管19へは温湯消毒槽1の外面(側面)で接触する前後に長い接触管23を介して空気が供給される。この接触管23により、温湯消毒槽1へ供給する空気の温度を上昇させることができ、温湯消毒槽1内の温度低下を防止している。
【0035】
次に種子消毒の工程について説明する。
下降装置3dの途中の種子袋供給位置rに停止している種子バケット2に種子を収容した網状の種子袋Pを供給する。そして種子袋供給位置rから温湯消毒槽1内まで下降装置3dで種子バケット2を下降して温湯に浸漬する。
【0036】
温湯消毒槽1内では種子バケット2は移送装置3aで移送され、移送装置3aは間欠駆動する。そして、種子バケット2は温水噴出口13に対向する位置に停止し、停止した状態で噴出する温水に晒され、種子袋P内の種子の消毒作用を促進するものである。
【0037】
各温水噴出口13毎に設定時間停止しながら移送された種子バケット2は移送終端側で上昇装置3bによって引き上げられる。その上昇の途中で種子バケット2が傾斜し、種子バケット2内の種子袋Pは放出され、開いた種子バケット2の底面71に案内されて冷却槽10の始端側の冷却バケット8内に供給される。
【0038】
空になった種子バケット2は上昇装置3bで引き続いて上方に移送され、次いで、戻し装置3cで移送始端側に向けて温湯消毒槽1の上方を間欠移送され、下降装置3dで再度種子袋供給位置rに循環移送される。
【0039】
なお、循環移送装置3は間欠駆動の代わりに低速で連続的に駆動するように構成してもよい。
冷却槽10の冷却バケット8に供給された種子袋Pは冷却水により冷却される。冷却バケット8は循環移送装置3の間欠駆動と連動する構成とし、温湯消毒槽1から冷却槽10へ次の種子袋Pが供給される前に回動して次の冷却バケット8へ種子袋Pを供給し、温湯消毒槽1からの種子袋Pを受け入れる。すなわち、冷却終端側の冷却バケット8から順次回動反転することで種子袋Pを順に次の冷却バケット8に移送すると共に、冷却始端側の冷却バケット8に温湯消毒槽1からの種子袋Pを受け入れるようにしている。
【0040】
そして、複数の冷却バケット8を順次通過した種子袋Pは排出シュート17から排出され、次工程の乾燥装置Dで乾燥される。
また、切替装置である調節ダイヤル89を長時間加温状態に切り替えると、各種子バケット2が冷却バケット8へ種子を供給する度に、冷却バケット8は種子を排出側へ移送する。切替装置89を短時間加温状態に切り替えると、複数(例えば2個)の種子バケット分の種子を同じ冷却バケット8へ供給し、種子バケット2から冷却バケット8へ種子を複数回(例えば2回)供給する度に、冷却バケット8は種子を排出側へ移送する。従って、温湯槽1での加温時間の変更に拘らず、冷却槽10での冷却時間は一定になる。
【0041】
よって、種子を温湯槽1及び冷却槽10で移送させて高能率化を図ると共に、加温可能な時間が短い品種では短時間加温状態に切り替え、加温可能な時間が長い品種では長時間加温状態に切り替えることにより、加温により種子の発芽障害や消毒不足を防止しながら、加温時間の変更に拘らず冷却時間を一定にして適正な冷却効果を得ることができ、冷却不足による発芽障害や処理能率の低下を防止できる。
【0042】
また、循環移送装置3が設定時間毎に間欠駆動するため、一つの種子バケット2が温湯に浸漬する時間を一定にすることができ、かつ停止毎に温水にさらされるため、多数の種子袋Pに均一な消毒を効率よく行うことができる。そして、冷却バケット8と循環移送装置3は連動して駆動するため、種子袋Pを冷却水に浸漬する時間をも一定にすることができ多数の種子袋Pに均一な冷却を行うことができる。
【0043】
また、温水噴出口13を温湯消毒槽1内全体にわたって設定間隔毎に配置することで、温湯消毒槽1内の温度むらを防止し、種子バケット2内の種子袋Pの種子に温湯の浸透が均等化し、温湯殺菌効果を高めることができる。また、種子バケット2を温湯消毒槽1内で間欠移送することにより、種子の浸漬、離水が迅速になり、浸漬殺菌時間が正確となり、殺菌効果を高めることができる。すなわち、本実施の形態では1つの種子バケット2は10箇所の温水噴出口13毎にその上方で停止して浸漬される。
【0044】
また、冷却槽10内に空気を噴出させることで、冷却槽10内の冷却水の温度上昇を低減する防止することができ、冷却効果を大きくすることができる。
次に、温湯消毒槽1及び冷却槽10に使用する温湯及び冷却水の供給経路について説明する。温湯消毒槽1内には温湯オーバーフロー樋24を設け、温湯オーバーフロー樋24にオーバーフローした温湯は外部に排出される。また、温湯消毒槽1内には温湯オーバーフロー樋24とは別の温湯排出口25を設け、該温湯排出口25から戻り経路となる温湯戻り路26を介して切替弁27に供給される。従って、前記切替弁27の切替により、前記温湯排出口25から温湯を排出する状態に切り替える構成となっている。
【0045】
そして、温湯戻り路26からの温湯は、切替弁27を介して給湯経路となる給湯路28に供給される。該給湯路28には、ポンプ29及びヒータとなるインラインヒータ30を設けている。尚、前記インラインヒータ30は、ボイラ31から各種バルブを備える蒸気供給路32を介して水蒸気が供給され、熱量を得る構成である。この給湯路28を介して温湯が温水噴出口13から温湯消毒槽1へ供給される。尚、温湯消毒槽1内の温湯の温度は温湯用水温センサ33により約60℃になるよう制御する。
【0046】
また、冷却槽10の排水口34からオーバーフローした冷却水を、冷却水オーバーフロー経路となる還流路35を経由して回収槽36に還流するように構成している。回収槽36内の冷却水は、給水経路となる給水路37へ供給される。該給水路37は、開閉弁38を備え、前記切替弁27へ水を供給する構成となっている。そして、切替弁27の切替により、給水路37の水を給湯路28に供給する構成となっている。
【0047】
従って、切替弁27は、給水路37からの水を給湯路28へ供給する水補給状態と、温湯戻り路26からの温湯を給湯路28へ供給する温湯循環状態とに切り替わる構成となっている。また、温湯消毒槽1には、水位計39と前述した温湯用水温センサ33とを設けている。よって、水位計39の検出により温湯消毒槽1内の水位が設定値より低いことが制御部40に入力されると、制御部40からの出力により、開閉弁38が開き、前記水補給状態に切替弁27が切り替えられ、ポンプ29が作動し、ボイラ31が作動してインラインヒータ30が作動し、回収槽36内の水を加温しながら温湯消毒槽1に補給するよう制御される。このとき、温湯用水温センサ33の検出により温湯消毒槽1内の温湯の温度が所望の温度に達している場合は、ボイラ29並びにインラインヒータ30を停止して、回収槽36内の水を加温せずに温湯消毒槽1に補給するようになる。水位計39の検出により温湯消毒槽1内の水位が設定値に達したことが制御部40に入力されると、制御部40からの出力により、開閉弁38が閉じ、ボイラ29並びにインラインヒータ30を停止して、水の補給を停止する。温湯消毒槽1内の水位が設定値に達している場合に、温湯用水温センサ33の検出により温湯消毒槽1内の温湯の温度が所望より低いことが制御部40に入力されると、制御部40からの出力により、前記温湯循環状態に切替弁27が切り替えられ、ポンプ29が作動し、ボイラ31が作動してインラインヒータ30が作動して、温湯消毒槽1内の温湯を循環しながら加熱し温湯が所望の温度(約60℃)となるよう制御される。
【0048】
また、前記切替弁27は、給水路37からの水と温湯戻り路26からの温湯とを混合して給湯路28へ供給する混合状態に切り替えることができる構成となっている。更に、前記混合状態において、給水路37からの水と温湯戻り路26からの温湯との混合割合を変更して調節できるようになっている。これにより、温湯消毒槽1内の水位や水温に応じて、所望の水位及び水温に精度良く制御することができるようにしている。また、温湯消毒槽1内の水位が設定値に達している場合でも、温湯消毒槽1内の温湯が種子により汚れているときには、給水路37からの水を温湯消毒槽1内に供給するようにし、汚れた温湯を温湯オーバーフロー樋24からオーバーフローさせて外部に排出することができる。よって、温湯消毒槽1内の温湯が汚れている場合に種子消毒作業を中断して前記温湯を入れ替えるようなことをせずに、種子消毒作業をしながら温湯消毒槽1内の温湯を入れ替えることができ、種子消毒の連続作業が行えて作業能率の向上が図れる。
【0049】
この構成によると、熱効率の向上をはかり、使用水量の削減を図ることができる。特に、回収槽36に貯留する水は、次回の種子消毒作業開始時に温湯消毒槽1に水を張り込むのに使用でき、あるいは非作業時に洗浄用の水として温湯消毒槽1に張り込むことができる。
【0050】
尚、温湯オーバーフロー樋24からオーバーフローする温湯は二方向切替弁91に供給され、一方に切り替えるとそのまま排出され、他方に切り替えると暖房用ポンプ92を介して放熱管93に供給されてから排出される。この放熱管93は温湯消毒槽1の前側に配置されているので、種子袋供給位置rで種子バケット2へ種子袋Pを供給する作業者用の暖房となり、作業者の足冷えを防止し作業環境の改善が図れる。
【0051】
尚、上記とは別に、温湯消毒槽1に新たな水を供給するための給水手段となる消毒用給水口41を設けている。また、前述のように、冷却槽10に新たな水を供給するための給水手段となる冷却用給水口18を設けている。冷却用給水口18は、冷却槽10内の水温を検出する冷却用の水温センサ42の検出に基づいて、水温が所定温度より高いときに制御部43からの信号により自動的に開いて給水する構成となっている。これにより、冷却槽10内の水温を所望の温度に維持することができ、冷却効果を高めることができる。尚、冷却用給水口18は冷却槽10内において種子の排出側(排出シュート17側)の端部の位置で給水する構成となっているので、冷却用給水口18からの冷却水は冷却槽10内において仕切り壁16で仕切られる前記排出側の区画から順次供給され、前記排出側の区画ほど水温を低くして種子が順次水温が低い区画に搬送されていく構成にでき、冷却効果を高めることができる。また、冷却槽10の水を循環させながら冷却するチラー94も備えている。
【0052】
また、作業開始時に温湯消毒槽1及び冷却槽10へ水を供給するときは、先ず制御部43からの信号により消毒用給水口41を開き、回収槽36に水があるときはポンプ29及びインラインヒータ30を作動させ、温湯消毒槽1内に水を充填し、インラインヒータ30により温湯消毒槽1内の水を加温しながら制御部43からの信号により冷却用給水口18を開いて冷却槽10へ水を供給する。これにより、温湯消毒槽1内の水を加温するのと同時に冷却槽10へ水を供給するので、作業開始までの準備時間を短縮でき、作業能率を向上させることができる。
【0053】
尚、給湯路28においてポンプ29及びインラインヒータ30の下手側の分岐点で分岐されるチラー洗浄用路95を設けている。このチラー洗浄用路95は、更に二又に分岐してチラー94の吸込側経路と吐出側経路とに連通している。給湯路28の分岐点よりも下手側に温湯槽用弁96を設け、チラー94の吸込側経路と吐出側経路に各々洗浄用弁97を設けている。従って、作業終了後等、チラー94を洗浄するとき、温湯槽用弁96を閉じ、一方の洗浄用弁97を開き、ポンプ29を駆動することによって、チラー94に温湯を供給して該チラー94の内部配管等を洗浄できる。尚、洗浄用温湯の温度が低いときには、インラインヒータ30を作動させればよい。また、開く洗浄用弁97を切り替えることにより、正洗と逆洗との双方が行える。これにより、種籾のボウが詰まりやすく清掃が頻繁に必要なチラー94を良好に洗浄できる。
【0054】
以上により、冷却槽10で温度上昇した水を排水口34から効率良く回収槽36に回収できるので、回収槽36から給水路37を介して給湯路28へ供給される水の温度を高めることになり、ヒータ30による加熱量を抑えることができ、ボイラ31の燃費の削減が図れてランニングコストの低減が図れる。また、仕切り壁16により冷却槽10の種子投入側の区画ほど水温が高くなるようにしているので、温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く排出できる。更に、各区画を経た上澄みの水をオーバーフロー口から回収できるので、きれいな水を温湯用として再利用することができる。
【0055】
尚、前述では単一の温湯消毒槽1内で種子バケット2を順次移送して種子消毒作業を行う構成について説明したが、複数の温湯消毒槽を設けて種子バケット2を各々の温湯消毒槽へ順次供給されて種子消毒作業が行われる構成としてもよい。例えば、前述した温湯消毒槽1の前後方向の適宜位置に仕切板を挿入し、互いに温湯が行き来しない前行程の温湯消毒槽と後行程の温湯消毒槽とに分離することができる。このとき、前行程の温湯消毒槽内の温湯の温度を低く設定し(例えば約50℃)、後行程の温湯消毒槽内の温湯の温度を高く設定すれば(例えば約65℃)、種子を低い温度の温湯で慣らしてから高い温度の温湯で消毒できるので、種子の発芽率をあまり低下させずに且つ種子の消毒効果を高めることができる。このとき、前行程の温湯消毒槽での消毒は慣らしであるため、この消毒時間が比較的短くなるように(例えば2〜3分)、仕切板を前寄りの位置に設けて前行程の温湯消毒槽の前後長が前行程の温湯消毒槽の前後長より短くなるように設定すればよい。尚、仕切板を設けた場合は、種子バケット2が前行程の温湯消毒槽内から仕切板を越えて後行程の温湯消毒槽内へ供給されるように、移送装置3aを仕切板の部分で上側に移送するような構成に適宜変更すればよい。また、前行程の温湯消毒槽で種子を慣らすので、後行程の温湯消毒槽内の温湯の温度を高めに設定でき、ひいては消毒全体の時間は同じでも積算温度を高くでき、殺菌効果を高めることができる。更に、前行程の温湯消毒槽と後行程の温湯消毒槽との複数種の温湯の温度で殺菌するので、前行程の温湯消毒槽において50℃で死滅しやすい菌を確実に殺菌し、後行程の温湯消毒槽で60〜65℃で死滅しやすい菌を確実に殺菌できる。
【0056】
ところで、異常時等に緊急で種子を設備外へ排出するための緊急排出手段となる緊急排出スイッチ77を設けている。緊急排出スイッチ77が操作されたことが制御部40に入力されると、各種子バケット2が冷却バケット8へ種子を供給する度に冷却バケット8は種子を排出側へ移送する前記長時間加温状態に設定すると共に、循環移送用モータ90で駆動する循環移送装置3と冷却移送用モータ61で駆動する冷却用移送装置の間欠駆動における停止している時間となる間欠時間間隔を極めて短く設定する緊急排出モードに切り替わり、緊急排出モードの設定に基づいて制御部40から循環移送用モータ90及び冷却移送用モータ61へ出力し、種子袋Pを速やかに排出シュート17部へ排出する構成となっている。
【0057】
これにより、温湯槽1内の温湯が必要以上に高温であるとき、種子を必要以上に高温の温湯に浸漬することによる加温過多で発生する種子割れ等の種子の損傷を防止できる。また、冷却槽10内の冷却水が所望の温度よりも低温であるとき、種子を必要以上に冷却することによる冷却過多で発生する種子障害を防止できる。また、温湯槽1内の温湯又は冷却槽10内の冷却水の水位が所望の水位でないとき、種子バケット2内の下部となる一部の種子のみが温湯に浸漬されて種子バケット2内で加温むらが発生したり、冷却バケット8内の下部となる一部の種子のみが冷却水に浸漬されて冷却バケット8内で冷却むらが発生したりするのを防止できる。ひいては、この加温むらや冷却むらの発生により、加温不足や冷却不足の種子が発生するのを防止できる。よって、種子の品質の劣化を極力回避でき、品質の劣化による損失を低減させることができる。また、温湯槽1内の温湯が低温であるとき、種子の消毒が不十分であるから、緊急排出モードにより素早く種子を設備外へ排出し、再度消毒の処理をし直したり、別の種子の消毒作業に取り掛かったりできる。また、冷却槽10内の冷却水が高温であるとき、種子の冷却が不十分であるから、緊急排出モードにより素早く種子を設備外へ排出し、別の種子の消毒作業に取り掛かることができる。消毒不良又は冷却不良と判断される種子は、品質が低下しているので廃棄する。
【0058】
また、温湯消毒槽1内の温湯の温度が所望の温度よりも低温又は高温であることを温湯用水温センサ33が検出するとき、冷却槽10内の冷却水の温度が所望の温度よりも低温又は高温であることを水温センサ42が検出するとき、温湯消毒槽1内の温湯の水位が所望の水位に満たないことを水位計39が検出するとき、あるいは冷却槽10内の冷却水の水位が所望の水位に満たないことを冷却用水位計78が検出するとき、これらの温湯用水温センサ33、水温センサ42、水位計39及び冷却用水位計78からの入力信号に基づき制御部40により自動的に緊急排出モードに設定する。
【0059】
次に、乾燥及び保管工程について説明する。冷却装置Bの排出シュート17から取り出した種子袋Pを、脱水機51で脱水し、次いで、網コンテナ46に段積みし、網コンテナ46を水切りし乾燥装置Dの乾燥室55に送り込んで乾燥する。次いで、放冷室53に網コンテナ46を送り込んで放冷し、低温貯蔵庫53に送り込み貯蔵する。この構成によると、網コンテナ46に種子袋Pを段積みしたままで連続して乾燥、放冷、貯蔵をすることができ、作業時間を短縮し作業能率を高めることができる。
【0060】
次に、乾燥装置Dについて説明すると、乾燥室55の一側には乾燥受け台56を設け、他側には送風ファン57、出芽用暖房機58を設けている。乾燥室55の底部には温風通路44を設け、温風通路44を経由して暖房機58で温めた空気を送風ファン57で送り、乾燥受け台56に送り込むように構成している。
【0061】
また網コンテナ46にコンテナシート48を敷き込んで多数の種子袋Pを段積みし、この網コンテナ46を乾燥受け台56に載置する。そして、網コンテナ46の上部にはダクトフード47を載置し、ダクトフード47の下部とコンテナシート48の上部とを、例えばファスナ49により密閉状に接続して簡易乾燥室を構成し、ダクトフード47の上部と送風ファン57とを循環通路45により接続し、乾燥風を循環するように構成している。
【0062】
また、乾燥受け台56には、下側が狭く上側の網コンテナ46下部全面に向かって順次拡がる乾燥風路56aを仕切り板56bにより仕切り構成し、温風通路44から網コンテナ46に向けて乾燥風を均等に送り込み、段積み種子袋Pを均等に乾燥するように構成している。前記構成によると、網コンテナ46には下側から上側へ向けて均等な乾燥風が流れ、種子袋Pを均等に能率的に乾燥することができる。
【0063】
以上により、この温湯加温・冷却設備は、温湯を貯留する温湯槽1と、冷却水を貯留する冷却槽10と、温湯槽1内において種子を冷却槽10側へ順次移送した後、種子を冷却槽10へ順次供給する温湯用移送装置3と、冷却槽10内において種子を排出側へ順次移送する冷却用移送装置を設け、異常時に温湯用移送装置3及び冷却用移送装置により種子を緊急で移送させて排出する緊急排出モードを備えている。
【0064】
よって、緊急排出モードにより、異常時には種子を素早く移動させて、緊急的に設備外へ排出させることができ、種子の品質の劣化を極力回避でき、品質の劣化による損失を低減させることができる。
【0065】
また、温湯の温度の異常、冷却水の温度の異常、温湯槽1内の水位の異常又は冷却槽10内の水位の異常を検出すると、緊急排出モードを実行する。
よって、加温過多、冷却過多、加温不足又は冷却不足により種子の品質が劣化するのを回避できる。
【0066】
また、通常は、温湯用移送装置3及び冷却用移送装置により各々所定の間欠時間間隔おきに種子を間欠的に移送する構成とし、緊急排出モードでは、前記間欠時間間隔を短縮する構成としている。
【0067】
よって、種子を間欠的に移送する間欠時間間隔を変更すればよいので、種子の実際の移送速度を速くなるのを抑えて高速移送による種子の損傷や種子移送における移送トラブルを防止できる。
【0068】
また、温湯用移送装置3により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔を、冷却用移送装置により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔と同一となる長時間加温状態と、冷却用移送装置により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔の複数分の1となる短時間加温状態に切り替える切替装置89を設け、緊急排出モードでは、長時間加温状態で種子を移送させる構成としている。
【0069】
よって、切替装置89により切り替えられる処理形態に拘らず、種子を設備外へ素早く排出させることができ、種子の品質の劣化を極力回避できる。
また、温湯用移送装置3は、温湯槽1内において種子を収容する複数の種子バケット2を順次移送させた後、移送終端部で種子バケット2を上昇させる構成とし、冷却用移送装置は、種子を冷却バケット8により排出側へ順次移送させる構成とし、種子バケット2の底部を種子の移送上手側に設けた回動支点軸72回りに開閉可能に設け、移送終端部で上昇した種子バケット2の底部71を冷却槽10側に下り傾斜姿勢となるよう開いて、種子を冷却バケット8へ順次供給させる構成としている。
【0070】
よって、開いた状態で冷却槽10側に下り傾斜姿勢となる種子バケット2の底部71により、種子を冷却バケット8へ案内して供給でき、種子バケット2を反転させる必要がなく、種子移送の円滑化が図れて移送の能率が向上する。特に、緊急排出モードでは、種子を素早く移送させることができ、種子の品質の劣化を極力回避できる。
【0071】
また、冷却用移送装置は、冷却槽10内において種子の移送経路に沿って配列される複数の冷却バケット8を順次反転させて種子を排出側へ順次移送させる構成とし、複数の冷却バケット8どうしの間に仕切り壁16を設けて冷却槽10内を複数の冷却区域に分割し、仕切り壁16には隣接する冷却区域間で流水を許容する開口部76を構成し、上部に開口部76を有する仕切り壁16と下部に開口部76を有する仕切り壁16を設けた。
【0072】
よって、複数の冷却区域にわたって冷却水が流水するとき、隣接する仕切り壁16間で冷却水が滞留しやすくなり、各々の冷却区域の冷却水の温度の均一化が図れ、適正に且つ効率良く冷却でき、冷却過多又は冷却不足により種子の品質が劣化するのを回避できる。
【0073】
尚、この種子消毒設備を使用して、例えば水煮用や缶詰用等の食品加工のために、別の処理物となるアスパラガスを茹でることもできる。
尚、冷却槽10での冷却時間を増加させる理由等により、冷却バケット8を多数設けて多数の冷却区域を構成する場合、前述のように種子移送における最も移送下手側の冷却バケット8から最も移送上手側の冷却バケット8まで順に反転動作させる構成とすると、全ての冷却バケット8を反転させて種子を冷却区域の1つ分搬送させるのに多大な時間がかかり、循環移送装置3により間欠的に放出位置に移送される種子バケット2が移送されるタイミングに間に合わなくなる問題も考えられる。この問題を解消するために、隣接しない冷却バケット8が同時に反転する構成とし、全ての冷却バケット8が反転するのに要する時間を短縮する構成とする。具体的に説明すると、例えば冷却バケット8が7個ある場合、種子の移送下手側1番目(以下、種子の移送下手側から数えた順番として説明し、「種子の移送下手側」の記載を省略する。)の冷却バケット8が反転して種子を排出シュート17へ排出するのと同時に、5番目の冷却バケット8が反転して種子を4番目の冷却バケット8へ移す。次に、2番目の冷却バケット8が反転して種子を1番目の冷却バケット8へ移すのと同時に、6番目の冷却バケット8が反転して種子を5番目の冷却バケット8へ移す。次に、3番目の冷却バケット8が反転して種子を2番目の冷却バケット8へ移すのと同時に、7番目の冷却バケット8が反転して種子を6番目の冷却バケット8へ移す。次に、4番目の冷却バケット8が反転して種子を3番目の冷却バケット8へ移す。そして元に戻って、1番目の冷却バケット8が反転して種子を排出シュート17へ排出するのと同時に、5番目の冷却バケット8が反転して種子を4番目の冷却バケット8へ移す。以下、上述の作動を繰り返し、種子を順次移送していく。この構成によると、7個の冷却バケット8に対して、冷却バケット8の反転は4工程となるので、冷却バケット8の反転の作動周期を短縮できる。
【0074】
このように多数の冷却バケット8を配列する場合、冷却槽10が前後に長くなり流水経路が長くなるので、冷却用給水口18から排水口34まで流水されるのに時間がかかり、種子の移送上手側の冷却区域と移送下手側の冷却区域で温度差が大きくなりやすく、冷却区域によって水温が異なって不均一になり、適正な冷却が行えなくなる懸念がある。そこで、冷却槽10の前後中央付近の仕切り壁16を、開口部 を備えず完全に流水を遮断する構成とし、冷却槽10の流水経路を完全に分割する。具体的に冷却区域が7箇所ある場合について説明すると、1番目の仕切り壁16は上部に開口部76を有し、2番目の仕切り壁16は下部に開口部76を有し、3番目の仕切り壁16は上部に開口部76を有し、4番目の仕切り壁16は開口部76を有さず流水を遮断し、5番目の仕切り壁16は上部に開口部76を有し、6番目の仕切り壁16は下部に開口部76を有する。そして、1番目の冷却区域の下部に第一の冷却用給水口18を臨ませ、4番目の冷却区域の下部に第一の排出口34を臨ませ、5番目の冷却区域の下部に第二の冷却用給水口18を臨ませ、7番目の冷却区域の下部に第二の排出口34を臨ませる。このように、流水経路を複数に分割することで各々の流水経路が短くなるので、冷却区域による温度差の発生を抑えて各冷却区域にわたって水温の均一化が図れ、冷却処理の適正化が図れる。
【0075】
種子消毒設備で消毒された種子は、以下に説明する播種施設により播種することができる。この播種施設は、2階が育苗箱置場となっており、その育苗箱置場の育苗箱Cが育苗箱供給装置140によって1階に設置した播種設備141に1枚ずつ順次供給される。播種設備141は、育苗箱Cを一定方向に搬送する播種コンベヤ142に沿って、育苗箱に床土を入れて鎮圧・均平する床土供給装置143、水稲用の灌水装置144、床土の上に種籾を播種する水稲播種装置145、覆土を施す覆土供給装置146、野菜用の灌水装置147が設けられている。播種設備141によって播種等を施された育苗箱は、段積み設備15によってパレットPLの上に所定段数ずつ段積みされるとともに、その上に空の育苗箱が載せられる。そして、それをフォークリフトによって出芽室148に搬入して出芽させる。
【0076】
育苗箱供給装置140は、ラグ付きのエレベータ191により育苗施設2階の育苗箱置場から所定枚数(20枚)づつ段積された空の育苗箱を下降させて1階へ供給する。育苗施設2階には、段積された空の育苗箱群をエレベータ191近くまで搬送するメイン供給コンベヤ193と、該メイン供給コンベヤ193で搬送された空の育苗箱群をシリンダ192aの作動により前記エレベータ191へ押し出して供給する育苗箱供給具192とを備えている。そして、育苗箱供給具192が作動中でなく且つ該育苗箱供給具192の押し出し位置(メイン供給コンベヤ193の終端部)に育苗箱群がないとき、メイン供給コンベヤ193を作動して育苗箱供給具192の押し出し位置(メイン供給コンベヤ193の終端部)に育苗箱群を供給する。また、空の育苗箱群を載せて前記メイン供給コンベヤ193へ搬送して供給できるストックコンベア194を、メイン供給コンベヤ193の2か所で交差させてそれぞれ3本づつ接続している。メイン供給コンベヤ193におけるストックコンベア194との2か所の交差部には、それぞれ育苗箱群を検出する光電式の育苗箱群センサ195を設けている。メイン供給コンベヤ193が作動中でなく且つ前記育苗箱群センサ195で前記交差部に育苗箱群がないことを検出すると、ストックコンベア194上の育苗箱群が前記交差部に供給されるまでストックコンベア194を作動させて育苗箱群センサ195による育苗箱群の検出でストックコンベア194を停止させる。
【0077】
従って、育苗箱供給具192が作動中でも、育苗箱群センサ195が育苗箱群しないときはストックコンベア194が作動し、育苗箱群を搬送することができるので、この空の育苗箱群の供給作業能率が向上する。また、限られた2階のフロアスペースにおいてストックコンベア194により多量の育苗箱群を自動的に供給することができ、作業者がコンベア上へ度々空の育苗箱群を載置しなくてもよく、育苗箱供給作業の効率化が図れる。
【0078】
エレベータ91により1階へ供給された空の育苗箱群から、繰出装置により下側から1枚ずつ空の育苗箱が空箱供給コンベヤ52上に繰り出される。空の育苗箱は、空箱供給コンベヤ52から播種コンベヤ142へ受け継がれて搬送されていく。繰出装置により空の育苗箱を間欠的に繰り出して空箱供給コンベヤ52上へ落下供給するので、空箱供給コンベヤ52上へ順次供給される育苗箱どうしの間隔が生じる。そこで、育苗箱どうしを接触させて播種コンベヤ42を連続的に搬送するため、空箱供給コンベヤ52の搬送速度を播種コンベヤ42の搬送速度よりも常時高速となるように設定しているが、播種コンベヤ42上の育苗箱に空箱供給コンベヤ52上の育苗箱が突き合わされたとき、空箱供給コンベヤ52上の育苗箱は空箱供給コンベヤ52に対してスリップしながら搬送されるので、空箱供給コンベヤ52に接触する育苗箱の底面とVベルトで構成される空箱供給コンベヤ52が摩擦により摩耗するおそれがある。そこで、空箱供給コンベヤ52の搬送終端部に育苗箱が存在するか否かを検出する空箱検出センサ153を設け、空箱検出センサ153が育苗箱を検出するときは、育苗箱どうしの間隔が小さくなっていると判断してインバータにより空箱供給コンベヤ52の駆動モータ154を比較的低速で駆動して、空箱供給コンベヤ52の搬送速度を比較的低速(播種コンベヤ42の搬送速度の1.1倍程度)にし、空箱検出センサ153が育苗箱を検出しないときは、育苗箱どうしの間隔が大きくなっていると判断してインバータにより空箱供給コンベヤ52の駆動モータ154を比較的高速で駆動して、空箱供給コンベヤ52の搬送速度を比較的高速(播種コンベヤ142の搬送速度の1.5倍程度)にし、空箱供給コンベヤ52の搬送速度を自動的に変速する構成としている。これにより、育苗箱と空箱供給コンベヤ52の摩耗を極力抑えることができる。
【0079】
また、水稲播種装置145の貯留する種籾の減少に伴って、種籾コンテナ150から自動的に該水稲播種装置145へ種籾を供給する種籾供給コンベア151を設けている。この播種施設には浸種水槽152を複数個設けており、水を張った該浸種水槽152内へ種籾を収容した状態の種籾コンテナ150を沈めて浸種して種子の芽出しを促進した後、その種子を水稲播種装置145へ供給するようになっている。
【0080】
播種された育苗箱は段積み設備15により段積みされる。この段積み設備15は、播種設備141で播種された育苗箱を引き続いて搬送して供給する播種育苗箱供給装置としての播種育苗箱供給コンベヤ102を備え、該播種育苗箱供給コンベヤ102に隣接して平行に育苗箱搬出コンベヤ104が配置されている。
【0081】
播種育苗箱供給コンベヤ102の始端部には播種設備141の播種コンベヤ142の終端部が接続されており、播種コンベヤ142から播種育苗箱供給コンベヤ102に播種された育苗箱が1枚ずつ供給される。播種育苗箱供給コンベヤ102は、播種された育苗箱をその長手方向が搬送方向を向く状態で搬送する。播種育苗箱供給コンベヤ102の中間部には、水稲種子(籾)を播種した場合に、1枚ずつ搬送されてくる育苗箱を2段に積み重ねる第一育苗箱積重ね装置106と、2段になって搬送されてくる育苗箱を4段に積み重ねる第二育苗箱積重ね装置107が設けられている。
【0082】
第一育苗箱積重ね装置106は、播種育苗箱供給コンベヤ102の育苗箱搬送路を挟んで両側に配置された上、下リフトスプロケット106a,106b,106a,106bにリフトチエン106c,106cを巻き掛け、このリフトチエン106c,106cに所定間隔でリフト爪106d,106dを取り付けている。また、育苗箱搬送路の上方には、前、後送出しスプロケット106e,106f,106e,106fに送出しチエン106gを巻き掛け、この送出しチエン106gに所定間隔で送出し爪106hを取り付けている。
【0083】
1枚目の育苗箱Cが所定位置にくると、リフト爪106dが育苗箱の底部を支持して1ピッチ持ち上げ、次いで2枚目の育苗箱が所定位置にくると、これを次のリフト爪106dが1ピッチ持ち上げ、リフト爪106dで支持した状態で育苗箱を積み重ねる。このようにして育苗箱が2段に積み重ねられると、送出しチエン106gが作動して、送出し爪106hで押して搬送下手側に送り出す。
【0084】
播種育苗箱供給コンベヤ102は、第一育苗箱積重ね装置106の位置で搬送上手側となる第一コンベヤ155と搬送下手側となる第二コンベヤ156に分割されている。そして、第一コンベヤ155上にある育苗箱をリフト爪106dがリフトし、送出し爪106hで第二コンベヤ156上へ育苗箱を送り出す構成となっている。第二コンベヤ156は、第一コンベヤ155よりも高位で、且つ始端側部分が搬送上手側が下位となるように若干傾斜し、これに続く下手側部分が水平に構成されている。第二コンベヤ156の始端は、送出し爪106hが押し出し作動するときの下側の育苗箱を受けるリフト爪106dの上面よりも低位に配置される。第二コンベヤ156の始端部の傾斜部分156aの終端及び下手側の水平部分156bは、送出し爪106hが押し出し作動するときの下側の育苗箱を受けるリフト爪106dの上面よりも高位で、且つ送出し爪106hが押し出し作動するときの上側の育苗箱を受けるリフト爪106dの上面よりも低位に配置されている。従って、送出し爪106hが上下2枚の育苗箱を押し出すとき、下側の育苗箱が第二コンベヤ156の始端部の傾斜部分156aで上側に案内されるので、上下の育苗箱の上下間隔が狭まり、上側の育苗箱がリフト爪106dから外れて下側の育苗箱に積み重なるときの落下量を極力小さくでき、上下の育苗箱が積み重なるときの衝撃を緩和でき、育苗箱内の培土や種子が偏ったり脱落したりするようなことを抑制できる。尚、前記落下量を適正に維持するため、リフト爪106dと送出し爪106hは機械的な連繋機構により高精度な作動タイミングで連繋して作動させることが望ましい。従来は、第二コンベヤ156は、水平で、且つ送出し爪106hが押し出し作動するときの下側の育苗箱を受けるリフト爪106dの上面と同じか該上面よりも低位に配置されていたので、上下の育苗箱が積み重なるときの落下の衝撃がある。
【0085】
第二育苗箱積重ね装置107も、基本構成は第一育苗箱積重ね装置106と同じであるので、その構成および動作の説明を省略する。しかして、播種育苗箱供給コンベヤ102の終端部には4段重ねになった播種された育苗箱が供給されることとなる。
【0086】
播種育苗箱供給コンベヤ102の終端部には、播種育苗箱取上げ位置A1,A2が設定されている。この播種育苗箱取上げ位置に対応して、育苗箱搬出コンベヤ104には播種育苗箱段積み位置B1−1,B1−2,B1−3,B2−1,B2−2,B2−3が設定されている。そして、播種育苗箱段積み装置である播種育苗箱段積みロボット108によって、播種育苗箱取上げ位置の育苗箱を播種育苗箱段積み位置に段積みする。
【0087】
播種育苗箱段積みロボット108は、中間部で折り曲げ可能なロボットアーム108aの先端部に、4段重ねした育苗箱の長手方向両端をつかんで保持することのできる2組の育苗箱チャック108bが設けられている。ロボットアーム108a全体を上下に回動、及びロボットアーム108aの折り曲げ角度を変更することにより、各育苗箱チャック108bを播種育苗箱取上げ位置と播種育苗段積み位置との間を移動させるとともに上下位置を調節するようになっている。
【0088】
育苗箱チャック108bは、チャック開閉シリンダ130で開閉させられる一対の把持爪131を備え、この一対の把持爪131で4段重ねになった育苗箱の短辺部を両側から挟み付けて把持する。把持爪131の下端部は鉤状になっていて、把持の際にはこの鉤状部131aが最下段の育苗箱の底部に引っ掛かるようになっている。また、前後駆動手段132で前後方向に移動させられる前後位置規制体133と左右駆動手段134で左右方向に移動させられる左右位置規制体135とが各2対ずつ設けられ、把持爪131による把持に先行して育苗箱の前後位置及び左右位置を適正になるよう修正するようになっている。このため、把持爪131が育苗箱Cを正確に把持できる。
【0089】
なお、外面部に段Caが形成された育苗箱Cについては、この段の下側を把持爪131の鉤状下端部で支えるようにするため、一旦把持爪131が育苗箱を把持してから把持爪131を少しだけ上昇させて、鉤状部131aを段Caの下面に係合させる。これに対し、外面部に段が形成されていない育苗箱C′については、鉤状部131aの水平長を長くし、把持爪131が閉じるときに鉤状部131aが育苗箱の底面に差し込まれるように作動させる。制御プログラムを変更するだけで、いずれの育苗箱C,C′にも対応できる。
【0090】
播種育苗箱供給コンベヤ102の前記播種育苗箱取上げ位置A1,A2には、それぞれの位置に育苗箱を停止させる第一育苗箱ストッパ111及び第二育苗箱ストッパ112が設けられている。第一育苗箱ストッパ111は固定状態で設けられ、第二育苗箱ストッパ112は播種育苗箱供給コンベヤ102の搬送面よりも下方に引っ込み可能に構成されている。
【0091】
育苗箱搬出コンベヤ104は、パレット供給装置116にて供給される育苗箱段積み用のパレットPLを一対のベルトの上に載せて搬送するようになっている。パレットPLは、長手方向を搬送方向に向けて育苗箱を横に3列、縦に2列、計6枚並べられるスペースを有している。
【0092】
育苗箱搬出コンベヤ104には、パレットPLの各育苗箱を並べる位置が前記播種育苗箱段積み位置B1−1,B1−2,B1−3,B2−1,B2−2,B2−3と合致するパレット停止位置でパレットPLを停止させる第一パレットストッパ118と、終端部でパレットPLを停止させる第二パレットストッパ120が設けられている。第一パレットストッパ118は育苗箱搬出コンベヤ104の搬送面よりも下方に引っ込み可能に構成され、第二パレットストッパ120は固定状態に設けられている。
【0093】
この段積み設備15は、育苗箱の有無を検出するフォトセンサPH1〜11が適所に設けられており、その検出結果に基づき各部の作動を制御する。以下、その動作を説明する。
【0094】
播種設備141によって播種された育苗箱Cは、播種設備141の播種コンベヤ142から播種育苗箱供給コンベヤ102に引き継がれる。1枚目の育苗箱が第一育苗箱積重ね装置106まで搬送されてPH1がONになると、第一育苗箱積重ね装置106のリフトチエンが作動して当該育苗箱を持ち上げる。2枚目の育苗箱が第一育苗箱積重ね装置106の下方まできてPH1が再度ONになると、次のリフト爪106dが2個目の育苗箱を持ち上げて2枚の育苗箱を積み重ねる。第一育苗箱積重ね装置106は、上記動作を繰り返して育苗箱を2段に積み重ねていく。
【0095】
2段重ねの育苗箱が第二育苗箱積重ね装置107まで搬送されてPH2がONになると、第二育苗箱積重ね装置107のリフトチエンが作動して当該育苗箱を持ち上げる。次の2段重ねの育苗箱が第二育苗箱積重ね装置107の下方まできてPH2が再度ONになると、それを次のリフト爪が持ち上げて2段重ねの育苗箱の上に2段重ねの育苗箱を積み重ねる。第二育苗箱積重ね装置107は、上記動作を繰り返して育苗箱を4段に積み重ねていく。
【0096】
4段重ねの育苗箱は、播種育苗箱取上げ位置A1,A2に向けて搬送される。そして、第一育苗箱ストッパ111及び第二育苗箱ストッパ112への搬送手前側にはそれぞれ減速用センサPH3−1,PH4−1及び停止用センサPH3−2,PH4−2を育苗箱の搬送上手側から順に設けている。初期状態では、第二育苗箱ストッパ112は播種育苗箱供給コンベヤ102の搬送面よりも下方に引っ込んだ状態となっており、1組目の育苗箱を第一育苗箱ストッパ111側の減速用センサPH3−1が検出すると播種育苗箱供給コンベヤ102の搬送速度を所定の速度に減速させ、その後第一育苗箱ストッパ111の直前にある停止用センサPH3−2が育苗箱Cを検出してから所定時間後に播種育苗箱供給コンベヤ102を停止させる。そして、2組目の育苗箱を第二育苗箱ストッパ112側の減速用センサPH4−1が検出すると播種育苗箱供給コンベヤ102の搬送速度を所定の速度に減速させ、その後第二育苗箱ストッパ112の直前にある停止用センサPH4−2が育苗箱Cを検出してから所定時間後に播種育苗箱供給コンベヤ102を停止させる。
【0097】
これにより、搬送速度が減速した状態で育苗箱Cが育苗箱ストッパ111,112へ当たるので、育苗箱ストッパ111,112への衝突時の衝撃が抑えられ、育苗箱C内の土寄りや土の飛び出し等を防止すると共に、育苗箱ストッパ111,112による育苗箱Cの停止位置が安定する。また、育苗箱ストッパ111,112の直前位置に設けた停止用センサPH3−2,PH4−2が育苗箱Cを検出してから所定時間後に播種育苗箱供給コンベヤ102を停止させる構成とすることにより、育苗箱ストッパ111,112に当接するまで確実に育苗箱Cを搬送することができ、育苗箱ストッパ111,112による育苗箱Cの停止位置が更に安定する。このように育苗箱Cの停止位置を適正に安定させることにより、播種育苗箱段積みロボット108で適確に育苗箱Cを取上げることができ、取上げ作業のトラブルを防止することができる。
【0098】
上記のようにして各取上げ位置A1,A2に4段重ねの育苗箱が供給されて播種育苗箱供給コンベヤ102が停止すると、段積みロボット108が所定の動作を行い、各取上げ位置の育苗箱を後述する育苗箱搬出コンベヤ104上の適正位置へ段積みする。具体的には、2組の育苗箱チャック108bが開いた状態で取上げ位置へ移動し、そこで育苗箱チャック108bが閉じて育苗箱をつかみ、次いで育苗箱をつかんだ育苗箱チャック108bが育苗箱搬出コンベヤ104上の適正位置まで移動し、そこで育苗箱チャック108bが開いて育苗箱を解放するように作動する。
【0099】
育苗箱チャック108bを播種育苗箱供給コンベヤ102の取上げ位置から育苗箱搬出コンベヤ104上の適正位置へ移動させるためにロボットアーム108aが作動した時点において、停止用センサPH3−2,PH4−2のいずれかがONである場合は、「異常」として育苗箱段積み装置全体を停止させる。停止用センサPH3−2,PH4−2のいずれもがOFFである場合は、「正常」であると判断し、第二育苗箱ストッパ111を播種育苗箱供給コンベヤ102の搬送面よりも下方に引っ込ませる。これにて播種育苗箱供給コンベヤ102は初期状態となり、前記と同様に、各取上げ位置A1,A2に4段重ねの育苗箱がそれぞれ供給される。
【0100】
パレット供給装置116は、フォトセンサPH7がOFFであるとき育苗箱搬出コンベヤ104にパレットPLを供給する。そして、搬出用モ−タ117の駆動により育苗箱搬出コンベヤ104を搬送作動させ、そのパレットPLがパレット停止位置まで移動すると、育苗箱搬出コンベヤ104の搬送面よりも上方に突出した状態にある第一パレットストッパ118によって受け止められる。これにより、フォトセンサPH7,8がONになり、段積みロボット108が播種育苗箱段積み位置にあるパレットPLに育苗箱の段積みを開始する。尚、最初のパレットPLが供給されたときは、フォトセンサPH7,8がONになると、搬出用モ−タ117の駆動を停止して育苗箱搬出コンベヤ104の作動を停止する構成となっている。段積みロボット108による育苗箱の段積みは、次のように実行される。
【0101】
1組目の育苗箱は播種育苗箱供給コンベヤ102から最も遠い段積み位置B1−1,B2−1に載置する。2組目の育苗箱は1組目の育苗箱の上に載置する。以下同様に、所定段数になるまで育苗箱を段積みする。最も遠い段積み位置B1−1,B2−1に育苗箱が所定段数だけ載置されると、次は真ん中の段積み位置B1−2,B2−2に育苗箱を段積みする。そして最後に、一番手前の段積み位置B3−1,B3−2に育苗箱を段積みする。全播種育苗箱段積み位置B1−1,B1−2,B1−3,B2−1,B2−2,B2−3,B3−1,B3−2,B3−3に育苗箱が所定段数ずつ段積みされた時点で、第一パレットストッパ118が下降するとともに、搬出用モ−タ117が駆動して育苗箱搬出コンベヤ104が作動する。
【0102】
育苗箱が所定段数ずつ段積みされたパレットPLは、フォトセンサPH11がOFFで育苗箱搬出コンベア104の終端部すなわちパレット取出位置の上にパレットPLが存在しない場合、パレットPLが育苗箱搬出コンベア104の終端部(パレット取出位置)まで送り込まれ第二パレットストッパ120によって停止させられる。上記条件を満たさない場合は、播種育苗箱段積み位置で待機する。このパレットPLを育苗箱搬出コンベア104の終端部まで搬送するのに伴って、次のパレットPLが育苗箱搬出コンベア104上で共に搬送されるが、フォトセンサPH8がOFFになって前のパレットPLが第一パレットストッパ118の位置を完全に通過したことを検出すると、第一パレットストッパ118が上方に突出し、該第一パレットストッパ118が次のパレットPLを受け止める。このとき、パレット供給装置116から播種育苗箱段積み位置までの距離より播種育苗箱段積み位置から育苗箱搬出コンベア104の終端部(パレット取出位置)までの距離の方が長いため、次のパレットPLが第一パレットストッパ118(播種育苗箱段積み位置)に到達した後も前のパレットPLが第二パレットストッパ120(パレット取出位置)に到達するまで育苗箱搬出コンベア104が作動し続ける。従って、次のパレットPLが第一パレットストッパ118(播種育苗箱段積み位置)に到達してフォトセンサPH7,8がONになると、育苗箱搬出コンベア104が作動している状態でも、段積みロボット108が播種育苗箱段積み位置にあるパレットPLに育苗箱の段積みを開始する。
【0103】
このとき、育苗箱搬出コンベア104が作動しているため、播種育苗箱段積み位置にあるパレットPLは、第一パレットストッパ118で受け止められて育苗箱搬出コンベア104に対して滑りながら停止していても、育苗箱搬出コンベア104から振動を受けやすく、その振動で段積みロボット108によるパレットPLへの育苗箱の段積が不適正になるおそれがある。そこで、播種育苗箱段積み位置にパレットを固定できる固定装置119を設けており、該固定装置119により、播種育苗箱段積み位置にあるパレットPLを搬送方向に対して左右両側から挟んで押圧して固定し、該パレットPLの振動を低減するようにしている。この固定装置119は、パレットPLが第一パレットストッパ118(播種育苗箱段積み位置)に到達してフォトセンサPH7,8がONの状態で、且つ搬出用モ−タ117が駆動して育苗箱搬出コンベア104が作動している状態のときだけ作動するようになっている。これにより、パレットPLへの育苗箱の段積を適正に行えると共に、育苗箱搬出コンベア104により前のパレットPLをパレット取出位置へ搬送している状態でもパレットPLへの育苗箱の段積を行うことができるので、育苗箱の段積作業の作業能率が向上する。
【0104】
更に、パレットPLが第一パレットストッパ118(播種育苗箱段積み位置)に到達してフォトセンサPH7,8がONの状態で、搬出用モ−タ117が駆動して育苗箱搬出コンベア104が作動している状態のときは、搬出用モ−タ117の駆動速度を超低速に減速して育苗箱搬出コンベア104の作動速度を超低速にし、育苗箱搬出コンベア104からの振動を抑制して、段積作業を開始する構成となっている。これにより、上述と同様にパレットPLへの育苗箱の段積を適正に行えると共に、育苗箱の段積作業の作業能率が向上する。尚、この実施の形態は、播種育苗箱段積み位置のパレットPLへの振動の伝達を抑制する構成として、固定装置119と育苗箱搬出コンベア104の作動速度の制御とを併用したが、何れか一方のみを採用してもよい。
【0105】
尚、育苗箱群を載せたパレットPLが育苗箱搬出コンベア104の終端部(パレット取出位置)に送り込まれると、該パレットPLをフォークリフトですくい上げて育苗箱搬出コンベヤ104の延長方向に取り出し、出芽室148まで運搬する。
【0106】
尚、播種育苗箱供給コンベヤ102は、第二育苗箱積重ね装置107の位置でも第一育苗箱積重ね装置106の位置と同様に搬送上手側のコンベヤと搬送下手側のコンベヤに分割構成されている。この搬送上手側のコンベヤは前述した第二コンベヤ156であり、搬送下手側のコンベヤは第三コンベヤ157となる。更に、段積みロボット108の取上げ位置A1,A2は別の第四コンベヤ158で構成されている。第二育苗箱積重ね装置107の直ぐ搬送下手側の位置には、第三コンベヤ157で搬送される育苗箱を検出する積重ね育苗箱センサ159を設けている。そして、第二育苗箱積重ね装置107の直ぐ搬送下手側の位置を育苗箱が通過したことを積重ね育苗箱センサ159が検出してから第一の所定時間経過後に、段積みロボット108が取上げ位置A1,A2から育苗箱を取り上げる作動を行うタイミングであるとき、第三コンベヤ157の搬送速度を中速まで低下させる。更に第二の所定時間経過後でも段積みロボット108が取上げ位置A1,A2から育苗箱を取り上げる作動を行うタイミングであるとき、第三コンベヤ157の搬送速度を最低速まで低下させる。更に第二育苗箱積重ね装置107の直ぐ搬送下手側の位置を次の育苗箱が通過したことを積重ね育苗箱センサ159が検出し、且つ段積みロボット108が取上げ位置A1,A2から育苗箱を取り上げる作動を行うタイミングであるとき、異常状態と判断して第三コンベヤ157の搬送駆動を停止する。段積みロボット108が取上げ位置A1,A2から育苗箱を取り上げると、第三コンベヤ157の搬送速度を元の速度に復帰させる。尚、第三コンベヤ157は、第三コンベヤ用モータにより駆動し、この第三コンベヤ用モータの駆動速度制御や停止制御により速度変更や停止がなされる。
【0107】
これにより、段積みロボット108が取上げ位置A1,A2で取り上げようとする育苗箱に、第三コンベヤ157で搬送される育苗箱が衝突して、段積みロボット108の育苗箱の取り上げが不適正になって適正に段積みできなくなることを防止する。しかも、上述のように、状況に応じて段階的に第三コンベヤ157の搬送速度を段階的に低下させる構成としたので、無闇に育苗箱の搬送を停止することによる作業能率の低下を防止できると共に、前工程である播種設備141の播種作業(播種コンベヤ142による育苗箱の搬送)を無闇に停止させずに継続して行え、播種作業を停止させることによる播種むら等の播種の不適正を防止できる。
【0108】
尚、上述では、第二の所定時間経過後でも段積みロボット108が取上げ位置A1,A2から育苗箱を取り上げる作動を行うタイミングであるとき、第三コンベヤ157の搬送速度を最低速まで低下させる構成としたが、この時点で第三コンベヤ157による搬送を停止する構成としてもよい。また、別の方法として、第二育苗箱積重ね装置107の直ぐ搬送下手側の位置を育苗箱が通過したことを積重ね育苗箱センサ159が検出してから第一の所定時間経過後に、段積みロボット108が取上げ位置A1,A2から育苗箱を取り上げる作動を行うタイミングであるとき、第三コンベヤ157を停止し、第二育苗箱積重ね装置107の直ぐ搬送下手側の位置を次の育苗箱が通過したことを積重ね育苗箱センサ159が検出し、且つ段積みロボット108が取上げ位置A1,A2から育苗箱を取り上げる作動を行うタイミングであるとき、異常状態と判断して第三コンベヤ157及び第四コンベヤ158を含む播種育苗箱供給コンベヤ102、育苗箱積重ね装置並びに播種設備141を停止し、更に段積みロボット108が取上げ位置A1,A2から育苗箱を取り上げると、第三コンベヤ157の搬送速度を元の速度に復帰させる構成とすることができる。尚、第三コンベヤ157を停止させるにあたっては、徐々に減速して停止させるのが望ましい。
【0109】
従来は、第四コンベヤ158の始端位置に育苗箱が到達したことを育苗箱センサが検出し、且つ段積みロボット108が取上げ位置A1,A2から育苗箱を取り上げる作動を行うタイミングであるとき、即座に第三コンベヤ157及び第四コンベヤ158を含む播種育苗箱供給コンベヤ102、育苗箱積重ね装置並びに播種設備141を停止する構成としていたので、これらの停止の頻度が高くなり、作業能率の低下や播種の不適正を招くおそれがある。
【符号の説明】
【0110】
1:温湯消毒槽、2:種子バケット、3:循環移送装置、8:冷却バケット、10:冷却槽、16:仕切り壁、61:冷却移送用モータ、71:種子バケットの底面、72:回動支点軸、76:開口部、77:緊急排出スイッチ、89:調節ダイヤル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温湯を貯留する温湯槽(1)と、冷却水を貯留する冷却槽(10)と、温湯槽(1)内において種子を冷却槽(10)側へ順次移送した後、種子を冷却槽(10)へ順次供給する温湯用移送装置(3)と、冷却槽(10)内において種子を排出側へ順次移送する冷却用移送装置を設け、異常時に温湯用移送装置(3)及び冷却用移送装置により種子を緊急で移送させて排出する緊急排出モードを備える温湯加温・冷却設備。
【請求項2】
温湯の温度の異常、冷却水の温度の異常、温湯槽(1)内の水位の異常又は冷却槽(10)内の水位の異常を検出すると、緊急排出モードを実行する請求項1に記載の温湯加温・冷却設備。
【請求項3】
通常は、温湯用移送装置(3)及び冷却用移送装置により各々所定の間欠時間間隔おきに種子を間欠的に移送する構成とし、緊急排出モードでは、前記間欠時間間隔を短縮する構成とした請求項1に記載の温湯加温・冷却設備。
【請求項4】
温湯用移送装置(3)により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔を、冷却用移送装置により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔と同一となる長時間加温状態と、冷却用移送装置により種子を間欠的に移送する間欠時間間隔の複数分の1となる短時間加温状態に切り替える切替装置(89)を設け、緊急排出モードでは、長時間加温状態で種子を移送させる構成とした請求項3に記載の温湯加温・冷却設備。
【請求項5】
温湯用移送装置(3)は、温湯槽(1)内において種子を収容する複数の種子バケット(2)を順次移送させた後、移送終端部で種子バケット(2)を上昇させる構成とし、冷却用移送装置は、種子を冷却バケット(8)により排出側へ順次移送させる構成とし、種子バケット(2)の底部(71)を種子の移送上手側に設けた回動支点軸(72)回りに開閉可能に設け、移送終端部で上昇した種子バケット(2)の底部を冷却槽(10)側に下り傾斜姿勢となるよう開いて、種子を冷却バケット(8)へ順次供給させる構成とした請求項1に記載の温湯加温・冷却設備。
【請求項6】
冷却用移送装置は、冷却槽(10)内において種子の移送経路に沿って配列される複数の冷却バケット(8)を順次反転させて種子を排出側へ順次移送させる構成とし、複数の冷却バケット(8)どうしの間に仕切り壁(16)を設けて冷却槽(10)内を複数の冷却区域に分割し、仕切り壁(16)には隣接する冷却区域間で流水を許容する開口部(76)を構成し、上部に開口部(76)を有する仕切り壁(16)と下部に開口部(76)を有する仕切り壁(16)を設けた請求項1に記載の温湯加温・冷却設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−48598(P2013−48598A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189266(P2011−189266)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】