説明

測定装置

【課題】良否判定機能を備えた測定装置において、良否判定条件をより多様かつ簡易に設定可能とする。
【解決手段】
グラフ201上でボックスの描画操作(b1、b2)を受けつけてボックス411、412を描画/表示する(c)。良否判定条件の設定完了を指示されたならば、その時点で表示されているボックスの各々を良否判定基準図形として設定する。デジタル信号処理部3の良否判定部32は、良否判定基準図形であるボックス内に、特性データが表す特性波形のピークの座標が存在する場合(d)に、当該良否判定基準図形に対応する良否判定結果を良とし、他の場合に(e)、当該良否判定基準図形に対応する良否判定結果を否とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良否判定機能を備えた測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
良否判定機能を備えた測定装置としては、被測定物の特性を測定し、前記測定した特性をグラフ上に表した特性波形が、当該グラフ上に設定した規格線内に収まっているか否かにより、被測定物の特性の良否を判定する測定装置が知られている。
また、このような測定装置において、グラフ上に設定する規格線を、ユーザの描線操作に応じて設定したり、ユーザの編集操作に応じて規格線の位置や形状を編集する技術も知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-14128号公報
【特許文献2】実開平4-115075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1、2の技術によれば、良否判定条件として、グラフ上に設定した規格線内に収まっているか否かの条件しか用いることができない。また、ユーザにとって、描線操作によって複雑な形状の規格線を描画することは、その負担が大きい。
【0005】
そこで、本発明は、良否判定機能を備えた測定装置において、良否判定条件をより多様かつ簡易に設定可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、被測定対象信号の特性の良否を判定する測定装置に、被測定対象信号の特性を測定する特性測定部と、前記特性測定部が測定した特性の波形を表した特性グラフを表示する特性グラフ表示部と、設定されている良否判定条件に従って、前記特性測定部が測定した特性の良否を判定する良否判定部と、前記良否判定条件を設定する判定条件設定部とを設けたものである。
【0007】
ここで、判定条件設定部は、前記特性グラフ表示部が表示した前記特性グラフ上へのユーザの四角形の描画操作を受け付けて、当該四角形を当該特性グラフ上に表示すると共に、当該四角形の内部に相当する領域に、特性の波形のピークが存在することを前記良否判定条件として設定するものである。
【0008】
このような測定装置によれば、特性グラフ上への四角形の描画操作を行うだけの簡易な操作で、特性の波形のピークに関する良否判定条件を設定することができる。
但し、この判定条件設定部は、前記特性グラフ表示部が表示した前記特性グラフ上において、ユーザの当該特性グラフに表されている前記特性の波形の移動操作を受け付けて、受け付けた移動操作に応じた移動量、前記特性の波形を移動した場合に得られる線を規格線として当該特性グラフ上に表示すると共に、当該規格線を、特性の波形が超えない、または、下回らないことを前記良否判定条件として設定するように構成してもよい。または、この判定条件設定部は、ユーザから数値の入力を受け付け、前記特性グラフ表示部が表示した前記特性グラフ上において、当該特性グラフに表されている前記特性の波形を入力を受け付けた数値に応じた移動量、前記特性の波形を移動した場合に得られる線を規格線として当該特性グラフ上に表示すると共に、当該規格線を、特性の波形が超えない、または、下回らないことを前記良否判定条件として設定するように構成してもよい。
【0009】
これらのようにしても、特性グラフ上での波形移動操作や、数値入力を行うだけの簡易な操作で、良否判定条件を設定することができる。また、実測された特性の波形を利用して良否判定条件を設定できるので、実測された特性を利用した複雑な規格線による良否判定条件を容易に設定できるようになる。
なお、このような測定装置は、コンピュータを、以上のような測定装置として機能させるコンピュータプログラムを用いて実現するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、良否判定機能を備えた測定装置において、良否判定条件をより多様かつ簡易に設定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る測定装置の表示例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る良否判定条件設定処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る良否判定条件設定処理の処理例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る良否判定条件設定処理の処理例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る良否判定条件設定処理の処理例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る良否判定条件設定処理の処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る測定装置の構成を示す。
図示するように、測定装置は、アナログ信号処理部1、ADコンバータ2、デジタル信号処理部3、信号処理用メモリ4、制御部5、メモリ6、キーボード7、タッチパネル8、表示装置9、通信インタフェース10を備えている。
また、デジタル信号処理部3は、信号解析部31と良否判定部32とを備えている。
ただし、デジタル信号処理部3や制御部5は、CPU回路(コンピュータ)を用いて構成されるものであってよく、この場合、CPU回路が、予め用意されたプログラムを実行することにより、その機能が実現されることとなる。
さて、このような構成において、アナログ信号処理部1は、測定装置に入力するセンサ信号に対して、減衰処理などのレベル調整処理や、LPF、HPF、BPF等の各種周波数フィルタ処理などの、制御部5から指定されたアナログ信号処理を施したアナログ計測信号を、ADコンバータ2に出力する。また、アナログ信号処理部1は、アナログ信号処理を施したアナログ計測信号をオーディオ信号として、外部におけるモニタ用に出力する機能も備えている。
【0013】
ここで、測定装置に入力するセンサ信号は、マイクロフォンによりピックアップしたオーディオ信号や、加速度センサにより検出した加速度信号など、任意のセンサにより検出された信号であってよい。
さて、ADコンバータ2はアナログ信号処理部1から入力するアナログ計測信号をデジタル信号に変換し、デジタル計測信号としてデジタル信号処理部3に出力する。
デジタル信号処理部3の、信号解析部31は、信号処理用メモリ4を利用しながら、ADコンバータ2から入力するデジタル計測信号に、制御部5から指定された信号解析処理を、外部から入力されるトリガ信号や参照信号を用いて施し、デジタル計測信号の所定の特性を表す特性データを生成する。ここで、信号解析部31が行う信号解析処理としては、デジタル計測信号のパワースペクトルを求めるFET処理や、外部から入力される回転速度信号を参照しての、回転速度に対するデジタル計測信号の振幅値の関係の算出や、デジタル計測信号の振幅値の次数による正規化など任意の信号解析処理を用いるようにしてよい。また、もちろん、信号解析部31が行う信号解析処理は、デジタル計測信号の波形をそのまま特性データとするものであってもよい。
【0014】
一方、良否判定部32は、制御部5から設定された良否判定条件に基づいて、信号解析部31が生成した特性データの良否を判定する。
さて、制御部5は、キーボード7やタッチパネル8の操作に応じて、アナログ信号処理部1において行うアナログ信号処理の設定や、デジタル信号処理部3の信号解析部31で行う信号解析処理の設定を行う。
また、制御部5は、この他、デジタル信号処理部3の良否判定部32への良否判定条件の設定や、信号解析部31が生成した特性データが表す特性波形の表示装置9への表示を行う。
ここで、測定装置は、ユーザがキーボード7やタッチパネル8により切替可能な動作モードとして、特性表示モードと、良否判定条件編集モードと、良否判定モードとの3つの動作モードを備えている。
そして、特性表示モードでは、制御部5は、図2aに示すように、デジタル信号処理部3の信号解析部31が生成した特性データが表す特性波形を表したグラフ201を、表示装置9に表示する。ここで、デジタル信号処理部3の信号解析部31が生成した特性データは、メモリ6に記憶され、制御部5は、メモリ6に記憶されている特性データを読み出して、読み出した特性データが表す特性波形を表したグラフ201も図2a同様に表示することができる。
【0015】
一方、図2aに示すように特性データが表す特性波形を表したグラフ201を表示している状態で、ユーザによって動作モードが良否判定条件編集モードに切り替えられると、制御部5は、図3に示す良否判定条件設定処理を行う。
図示するように、この処理では、まず、基準タイプの選択をユーザから受け付ける(ステップ302)。基準タイプとしては、ボックス、規格線、数値指定波形オフセット、波形オフセットとを設ける。
そして、基準タイプとしてボックスが選択されたならば(ステップ304)、ユーザから、良否判定条件の設定完了を指示されるまで(ステップ310)、図2aのように表示されている図4aのグラフ201上へのボックス(四角形)の描画操作を受け付けて、グラフ201上に図4cに示すようにボックス411、412を描画/表示する(ステップ306)。また、描画したボックスの編集操作を受け付けてボックスの編集を行う(ステップ306)。
【0016】
ここで、ボックスの描画操作は、図4b1に示すようにタッチパネル8を用いた第1のポイント401から第2のポイント402へのドラッグ操作であり、制御部5は、このような、ボックスの描画操作に応じて、図4b2に示すようにポイント401とポイント402を対角線上の頂点とするボックス410を描画、表示する。また、ボックスの編集は、タッチパネル8を用いた、ボックスの頂点や辺のドラッグ操作を受け付け、ドラッグ操作に応じて当該頂点や辺を移動することにより行う。なお、制御部5は、ボックスの描画操作や編集を、キーボード7の所定の操作によっても受け付ける。
【0017】
そして、ユーザから、良否判定条件の設定完了を指示されたならば(ステップ308)、その時点で表示されているボックスの各々を良否判定基準図形とし、各良否判定基準図形に対応する良否判定条件を良否判定部32に設定する(ステップ310)。ここで、各良否判定基準図形に対応する良否判定条件としては、グラフ201上の良否判定図形に対応するボックスのグラフ201上の座標と良否判定図形の種別であるボックスを設定する。
【0018】
ここで、良否判定条件として、良否判定基準図形のグラフ201上の座標と良否判定図形の種別であるボックスが設定されている場合、デジタル信号処理部3の良否判定部32は、良否判定基準図形であるボックス内に、特性データが表す特性波形のピークの座標が存在する場合に、当該良否判定基準図形に対応する良否判定結果を良とし、他の場合に、当該良否判定基準図形に対応する良否判定結果を否とする。また、全ての良否判定基準図形に対応する良否判定結果が良である場合に、総合判定結果を良とし、他の場合には否とする。
【0019】
結果、図4dに示すように、良否判定基準図形として設定された全てのボックス411、412内に特性波形のピークが存在する場合に、総合判定結果は良となり、図4eに示すように、良否判定基準図形として設定されたいずれかのボックス411、412内に特性波形のピークが存在しない場合、総合判定結果は否となる。
【0020】
そして、動作モードを、良否判定条件編集モードに切り替えられる前の動作モードに復帰し(ステップ312)、良否判定条件設定処理を終了する。
次に、基準タイプとして規格線が選択された場合には(ステップ314)、ユーザから、良否判定条件の設定完了を指示されるまで(ステップ318)、図2aのように表示されている図5aのグラフ201上への規格線の描画/編集操作を受け付けて、グラフ201上に図5cに示すように規格線511を描画/表示する(ステップ316)。また、描画した規格線の編集操作を受け付けて規格線の編集を行う(ステップ316)。
【0021】
ここで、規格線の描画操作は、図5b1-b4に示すようにタッチパネル8のタッチによる、規格線のアンカーポイント501-505の指定であり、制御部5は、このような、規格線の描画操作に応じて、図5b1-b4に示すように指定された各アンカーポイント501-505を順次結んだ線分を規格線510として描画する。なお、制御部5は、規格線の描画操作を、キーボード7の所定の操作によっても受け付ける。
【0022】
また、規格線の編集は、タッチパネル8を用いた、規格線510のアンカーポイントや辺のドラッグ操作を受け付け、ドラッグ操作に応じてアンカーポイントや辺を移動することにより行う。なお、制御部5は、規格線の編集を、キーボード7の所定の操作によって受け付ける。
そして、ユーザから、良否判定条件の設定完了を指示されたならば(ステップ318)、その時点で表示されている規格線を良否判定基準図形とし、規格線に対応する良否判定条件を良否判定部32に設定する(ステップ320)。
ここで、規格線である良否判定基準図形に対応する良否判定条件としては、グラフ201上の規格線511の座標と良否判定図形の種別である規格線とユーザから設定を受け付けた規格線の上下のいずれ側を良とするかの識別を設定する。
ここで、良否判定条件として、良否判定基準図形のグラフ201上の座標と良否判定図形の種別である規格線が設定されている場合、デジタル信号処理部3の良否判定部32は、次のように、総合判定結果を算定する。
すなわち、良否判定条件として規格線の下側を良とする識別が設定されている場合、特性データが表す特性波形の全てが、図5dに示すように、グラフ上で規格線511の下側に存在する場合に総合判定結果を良とし、特性データが表す特性波形の少なくとも一部が図5eに示すように、グラフ上で規格線511の上側に存在する場合に総合判定結果を否とする。
【0023】
また、良否判定条件として規格線の上側を良とする識別が設定されている場合、特性データが表す特性波形の全てが、グラフ上で規格線の上側に存在する場合に総合判定結果を良とし、特性データが表す特性波形の少なくとも一部が、グラフ上で規格線の下側に存在する場合に総合判定結果を否とする。
【0024】
そして、動作モードを、良否判定条件編集モードに切り替えられる前の動作モードに復帰し(ステップ312)、良否判定条件設定処理を終了する。
次に、基準タイプとして数値指定波形オフセットが選択された場合には(ステップ322)、図6aに示すように数値入力ウインドウ601を表示して、ユーザから許容率の数値の入力を受け付けて(ステップ324)、図2aのように表示している図6bのグラフ201の特性波形610を、入力を受け付けた数値に応じて上下に移動させた線を規格線611としてグラフ201上に描画/表示する(ステップ326)。
【0025】
ここで、規格線611は、入力された数値をxとして、グラフ201の特性波形610の最大振幅のx%分、特性波形610を上下移動させたものとする。ただし、規格線611は、入力された数値をxとして、グラフ201の特性波形610の各振幅を、当該振幅のx%分シフトさせたものとしてもよい。
【0026】
そして、ユーザから、良否判定条件の設定完了を指示されるまで(ステップ330)、ユーザの編集操作に応じて、規格線を編集する(ステップ328)。規格線の編集は、たとえば、規格線を、特性波形を解析して得られるペジェ曲線やスプライン曲線として構成し、そのアンカーポイントやコントロールポイントを、移動操作に応じて移動すること等により行う。
【0027】
そして、ユーザから、良否判定条件の設定完了を指示されたならば(ステップ330)、その時点で表示されている規格線を良否判定基準図形とし、規格線に対応する良否判定条件を良否判定部32に設定する(ステップ332)。
ここで、各良否判定基準図形に対応する良否判定条件としては、グラフ201上の規格線611の座標と良否判定図形の種別である規格線と上下のいずれ側を良とするかの識別を設定する。ここで、上下のいずれ側を良とするかは、ステップ324でユーザから受け付けた数値が正であれば下側を良とし、ステップ324でユーザから受け付けた数値が負であれば上側を良とするように設定する。
【0028】
ここで、良否判定条件として、良否判定基準図形のグラフ201上の座標と良否判定図形の種別である規格線が設定されている場合、デジタル信号処理部3の良否判定部32は、次のように、総合判定結果を算定する。
すなわち、良否判定条件として規格線の下側を良とする識別が設定されている場合、特性データが表す特性波形の全てが図6c示すように、グラフ上で規格線611の下側に存在する場合に総合判定結果を良とし、特性データが表す特性波形の少なくとも一部が図6dに示すように、グラフ上で規格線611の上側に存在する場合に総合判定結果を否とする。
【0029】
また、良否判定条件として規格線の上側を良とする識別が設定されている場合、特性データが表す特性波形の全てが、グラフ上で規格線611の上側に存在する場合に総合判定結果を良とし、特性データが表す特性波形の少なくとも一部が、グラフ上で規格線611の下側に存在する場合に総合判定結果を否とする。
【0030】
そして、動作モードを、良否判定条件編集モードに切り替えられる前の動作モードに復帰し(ステップ312)、良否判定条件設定処理を終了する。
次に、基準タイプとして波形オフセットが選択された場合には(ステップ334)、図2aのように表示している図7aのグラフ201の特性波形710の移動操作を受け付けると共に、特性波形710を移動操作された分だけ移動した線を規格線711として、図7bに示すようにグラフ201上に描画/表示する(ステップ326)。
【0031】
ここで、規格線711の移動操作は、図7aに示すように、タッチパネル8を用いた特性波形710のドラッグ操作に応じて受け付け、図7bに示すように上下方向にドラッグされた長さΔYだけ特性波形710を上下方向に移動させた線を規格線711とする。なお、制御部5は、規格線の移動操作を、キーボード7の所定の操作によっても受け付ける。
そして、ユーザから、良否判定条件の設定完了を指示されるまで(ステップ340)、ユーザの編集操作に応じて、規格線を編集する(ステップ338)。規格線の編集は、たとえば、規格線を、特性波形を解析して得られるペジェ曲線やスプライン曲線として構成し、そのアンカーポイントやコントロールポイントを、移動操作に応じて移動すること等により行う。
【0032】
そして、ユーザから、良否判定条件の設定完了を指示されたならば(ステップ340)、その時点で表示されている規格線を良否判定基準図形とし、規格線に対応する良否判定条件を良否判定部32に設定する(ステップ342)。
ここで、各良否判定基準図形に対応する良否判定条件としては、グラフ201上の規格線711の座標と良否判定図形の種別である規格線と上下のいずれ側を良とするかの識別を設定する。ここで、上下のいずれ側を良とするかは、ステップ336で特性波形710が上方向に移動操作されていれば下側を良とし、ステップ336で特性波形710が下方向に移動操作されていれば上側を良とするように設定する。
【0033】
ここで、良否判定条件として、良否判定基準図形の良否判定基準図形のグラフ201上の座標と良否判定図形の種別である規格線が設定されている場合、デジタル信号処理部3の良否判定部32は、次のように、総合判定結果を算定する。
すなわち、良否判定条件として規格線の下側を良とする識別が設定されている場合、特性データが表す特性波形の全てが図7cに示すように、グラフ上で規格線711の下側に存在する場合に総合判定結果を良とし、特性データが表す特性波形の少なくとも一部が図7dに示すように、グラフ上で規格線711の上側に存在する場合に総合判定結果を否とする。
【0034】
また、良否判定条件として規格線の上側を良とする識別が設定されている場合、特性データが表す特性波形の全てが、グラフ上で規格線711の上側に存在する場合に総合判定結果を良とし、特性データが表す特性波形の少なくとも一部が、グラフ上で規格線711の下側に存在する場合に総合判定結果を否とする。
【0035】
そして、動作モードを、良否判定条件編集モードに切り替えられる前の動作モードに復帰し(ステップ312)、良否判定条件設定処理を終了する。
以上、良否判定条件設定処理について説明した。
さて、最後に、良否判定モードが設定されているときには、制御部5は、各回の測定の度に、図2b、cに示すように、デジタル信号処理部3の信号解析部31が生成した特性データが表す特性波形と共に良否判定基準図形205を表したグラフ202と、デジタル信号処理部3の良否判定部32の総合判定結果203と、各良否判定基準図形毎の当該良否判定基準図形に対応する良否判定結果の累積数(良判定された回数)204とを表示装置9に表示する。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態では、基準タイプとして、規格線、数値指定波形オフセット、波形オフセットを指定された場合に、良否判定条件設定処理において、規格線を一つだけ設定する場合について説明したが、以上の実施形態は、良否判定条件設定処理において、規格線を二つ設定するようにし、デジタル信号処理部3の良否判定部32において、特性データが表す特性波形の全てが二つの規格線の間にある場合に、総合判定結果を良とし、他の場合に否とするように構成してもよい。
【0037】
さて、以上のように本実施形態によれば、グラフ上へのボックスの描画操作を行うだけの簡易な操作で、特性の波形のピークに関する良否判定条件を設定することができるようになる。
また、グラフ上での波形移動操作や、数値入力を行うだけの簡易な操作で、良否判定条件を設定することもできる。また、これらの場合には、実測された特性を利用した複雑な規格線による良否判定条件を容易に設定できるようになる。
【符号の説明】
【0038】
1…アナログ信号処理部、2…ADコンバータ、3…デジタル信号処理部、4…信号処理用メモリ、5…制御部、6…メモリ、7…キーボード、8…タッチパネル、9…表示装置、10…通信インタフェース、31…信号解析部、32…良否判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象信号の特性の良否を判定する測定装置であって、
被測定対象信号の特性を測定する特性測定部と、
前記特性測定部が測定した特性の波形を表した特性グラフを表示する特性グラフ表示部と、
設定されている良否判定条件に従って、前記特性測定部が測定した特性の良否を判定する良否判定部と、
前記良否判定条件を設定する判定条件設定部とを有し、
当該判定条件設定部は、前記特性グラフ表示部が表示した前記特性グラフ上へのユーザの四角形の描画操作を受け付けて、当該四角形を当該特性グラフ上に表示すると共に、当該四角形の内部に相当する領域に、特性の波形のピークが存在することを前記良否判定条件として設定することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
被測定対象信号の特性の良否を判定する測定装置であって、
被測定対象信号の特性を測定する特性測定部と、
前記特性測定部が測定した特性の波形を表した特性グラフを表示する特性グラフ表示部と、
設定されている良否判定条件に従って、前記特性測定部が測定した特性の良否を判定する良否判定部と、
前記良否判定条件を設定する判定条件設定部とを有し、
当該判定条件設定部は、前記特性グラフ表示部が表示した前記特性グラフ上において、ユーザの当該特性グラフに表されている特性の波形の移動操作を受け付けて、受け付けた移動操作に応じた移動量、前記特性の波形を移動した場合に得られる線を規格線として当該特性グラフ上に表示すると共に、当該規格線を、特性の波形が超えない、または、下回らないことを前記良否判定条件として設定することを特徴とする測定装置。
【請求項3】
被測定対象信号の特性の良否を判定する測定装置であって、
被測定対象信号の特性を測定する特性測定部と、
前記特性測定部が測定した特性の波形を表した特性グラフを表示する特性グラフ表示部と、
設定されている良否判定条件に従って、前記特性測定部が測定した特性の良否を判定する良否判定部と、
前記良否判定条件を設定する判定条件設定部とを有し、
当該判定条件設定部は、ユーザから数値の入力を受け付け、前記特性グラフ表示部が表示した前記特性グラフ上において、当該特性グラフに表されている前記特性の波形を入力を受け付けた数値に応じた移動量、前記特性の波形を移動した場合に得られる線を規格線として当該特性グラフ上に表示すると共に、当該規格線を、前特性の波形が超えない、または、下回らないことを前記良否判定条件として設定することを特徴とする測定装置。
【請求項4】
コンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを請求項1、2または3記載の測定装置として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−7646(P2011−7646A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151798(P2009−151798)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)