説明

湯水供給装置の制御方法

【課題】 簡単な操作でミストモードとシャワーモードとを切り換えて自動で実行可能な湯水供給装置の制御方法を提供する。
【解決手段】 使用者が着座する着座部1と、着座部1の上方において上端部が支点となり下端部が前記支点の下方から前方に回動自在となるノズルアーム2とを備え、ノズルアーム2は湯水をミスト状に噴霧するミストノズル3e及び湯水を粒子状に噴出するシャワーノズル3aを備え、前記ミストノズル3eから湯水をミスト状に噴霧するミストモードと、シャワーノズル3aから湯水を粒子状に噴出するシャワーモードとが実行可能な湯水供給装置4の制御方法において、ノズルアーム2の回動角度に応じてミストモードとシャワーモードとを自動で切り替えて実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミストモードとシャワーモードとが実行可能な湯水供給装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ミストモードとシャワーモードとが実行可能な湯水供給装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この湯水供給装置は、着座部と、ミストノズル及びシャワーノズルを設けたノズルアームとを備えており、ノズルアームは、着座部の上方に上端部を支点として下端部が下方から前方へと回動自在となっている。そして、ノズルアームから湯水をミスト状に噴霧するミストモードと、湯水を粒子状に噴出するシャワーモードとが実行可能となっている。
【0003】
このような湯水供給装置においては、ミストモードやシャワーモードを実行するにあたり、ノズルアームを前方に回動・保持させてミストノズルやシャワーノズルを所定の位置に配置すると共に、ノズルアームとは別の切り換え手段によってモードを切り換えて実行していたため、ミストノズル又はシャワーノズルを所定の位置に配置する操作と、モードの切り換え及び実行の操作とが別操作となって複雑となり、操作性が悪いものであった。
【特許文献1】特開2005−073959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、簡単な操作でミストモードとシャワーモードとを切り換えて自動で実行可能な湯水供給装置の制御方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するたゆに本発明に係る湯水供給装置の制御方法は、使用者が着座する着座部1と、着座部1の上方において上端部が支点となり下端部が前記支点の下方から前方に回動自在となるノズルアーム2とを備え、ノズルアーム2は湯水をミスト状に噴霧するミストノズル3e及び湯水を粒子状に噴出するシャワーノズル3aを備え、前記ミストノズル3eから湯水をミスト状に噴霧するミストモードと、シャワーノズル3aから湯水を粒子状に噴出するシャワーモードとが実行可能な湯水供給装置4の制御方法において、ノズルアーム2の回動角度に応じてミストモードとシャワーモードとを自動で切り替えて実行することを特徴とするとするものである。
【0006】
このような構成とすることで、ミストノズル3e又はシャワーノズル3aを所定の位置に配置する操作と、モードの切り換え及び実行するための操作とがノズルアーム2を回動させるという同一の簡単な操作ですむため、操作性がよいものである。
【0007】
また、ミストモードの際に噴霧する湯水の温度をシャワーモードの際に噴出する湯水の温度よりも高くすることが好ましい。
【0008】
ミストモードの際に噴霧する湯水の温度をシャワーモードの際に噴出する湯水の温度と同じにすると、使用者の身体に温水がかかる際の体感温度がミストモードの場合の方が低くなるため、このような構成とすることでミストモードの際に体感温度が低くなるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のようにノズルアームの回動角度に応じてミストモードとシャワーモードとを自動で切り替えて実行するため、ミストノズル又はシャワーノズルを所定の位置に配置する操作と、モードの切り換え及び実行するための操作とがノズルアームを回動させるという同一の簡単な操作ですむため、操作性及び使い勝手が向上するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施の形態に基づいて説明する。添付図面には本発明の湯水供給装置4としてのシャワー装置が示してある。
【0011】
湯水供給装置4であるシャワー装置は、浴室の壁7に取付けられるもので、図1に示すように、両側部に合成樹脂により略直方形状に成形されたノズルユニット8が配置してあり、左右のノズルユニット8の前面上部には、使用者の主に肩に向かって衝撃的な水流を噴出するマッサージノズル3dが配置してあり、前面下部には使用者の主に腰部に向かって微細水流(シャワー)を噴出するシャワーノズル3aがそれぞれ配置してある。
【0012】
左右のノズルユニット8の外側部には上端部を支点として略上下方向に回動自在で且つ任意の角度で保持が可能なように略直方体形状のノズルアーム2ががそれぞれ設置してある。左右のノズルアーム2は後述する連結バー25で連結することにより一方のノズルアーム2を回動すれば他方のノズルアーム2も同時に連動して回動するような構成となっている。
【0013】
ノズルアーム2の裏面には微細水流(シャワー)を使用者の身体を包み込むように噴出する複数のシャワーノズル3aと、ミスト状の水流を使用者の身体全体を包み込むように噴出するミストノズル3eとがノズルアーム2のほぼ全長にわたり所定の間隔で交互に配設してある。
【0014】
上記シャワーノズル3a、マッサージノズル3d、ミストノズル3eは個々に水流の噴出方向を変更できる調整機能を備えている。
【0015】
左右のノズルユニット8の間に位置する開放面12の前面に左右のノズルユニット8の上下端部に枢支し、左右に開閉自在な背もたれカバー10が設置してある。
【0016】
図2に示すように左右に開閉自在な背もたれカバー10を開いた状態にすると、左右のノズルユニット8の間に位置する開放面12の上部には鏡13が設置してあり、鏡13の下端部には下方に向かって吐水する洗い場吐水口3bが設置してある。また、背もたれカバー10を開いた状態にすると、図2に示すように左右のノズルユニット8、左右のノズルアーム2が背もたれカバー10で覆われ、この状態では左右のノズルユニット8、左右のノズルアーム2に設けたシャワーノズル3a、マッサージノズル3d、ミストノズル3eからの吐水による本来の使用はしない非使用状態である。このように、カバー10の開閉によりシャワーノズル3a、マッサージノズル3d、ミスト用吐水口2eの使用が区別できるようになっている。
【0017】
シャワー浴(つまり微細水流浴)を行うときは開放面12を閉じることにより鏡13のほぼ全面と洗い場用吃水口2bを背もたれカバー10で隠蔽することができ、この状態ではノズルユニット8の前面と背もたれカバー10の前面とがほぼ面一となるように構成してある。
【0018】
図1において開放面12の下方にはノズルユニット8の下端とほぼ等しい高さの着座部1が設置してある。着座部1の上面1aはほぼフラットな形状をしていてシャワー浴で使用する場合は使用者が着座部1に着座し、通常の入浴作業の時は図2に示すように洗面器15等の入浴用品を載置するカウンター機能として使用できる。
【0019】
また、シャワー装置にはハンドシャワー5が設けてあり、図1に示す実施形態ではハンドシャワー5のフレキシブルなシャワーホース5aが着座部1に設けた所定のハンドシャワー接続口16に接続してあり、該ハンドシャワー5のヘッドは一方のノズルユニット8の外側方の浴室の壁7に設けた引掛け手段(図示せず)に着脱自在に引掛け係止してある。該ハンドシャワー5のヘッドにはハンドシャワーノズル3cが設けてある。
【0020】
また、シャワー装置には図3に示すような操作部が設けてあり、スイッチを入力することで、上記シャワーノズル3a、洗い場吐水口3b、ハンドシャワーノズル3c、マッサージノズル3d、ミストノズル3eに供給する湯水の流量と温度とを調節することができると共に、洗い場吐水口3b(カラン)、ハンドシャワーノズル3c、マッサージノズル3dからの吐水・停止を行うことができる。
【0021】
シャワー装置の配管について説明すると、図4に示すように、湯を供給する給湯管19と水を供給する給水管20とが温度制御手段17に連通接続してあり、更に温度制御手段17の下流側に温度検知部17aを設けた配管を介して流量制御手段18を連通接続してあり、流量制御手段18の下流側に複数の分岐水路21、即ちシャワー用分岐水路21a、洗い場用分岐水路21b、ハンドシャワー用分岐水路21c、マッサージ用分岐水路21d、ミスト用分岐水路21e)が連通接続してあり、各分岐水路3の先端にはそれぞれ前述の複数種類の吐水口3(即ちシャワーノズル3a、洗い場用吐水口3b、ハンドシャワーノズル3c、マッサージノズル3d、ミストノズル3e)が設けてある。
【0022】
また、温度制御手段17と流量制御手段18との間の配管からは排水管22が分岐していると共に、該排水管22に排水バルブ22aが設けてあり、排水可能となっている。
【0023】
また、前記各分岐水路21a〜21eにはそれぞれ電磁弁23a〜23eが設けてあると共に、この電磁弁23a〜23eは弁切替制御手段24に接続されており、弁切替制御手段24によって各電磁弁23a〜23eの開閉切り替えが行われる。
【0024】
上記温度制御手段17及び温度検知部17aによって、給湯管19から供給される湯と給水管20から供給される水とを混合して目的とする任意の混合温度に設定することができるようになっており、流量制御手段18によって複数種類の吐水口3a〜3eに供給する湯水の流量が制御される。
【0025】
左右のノズルアーム2は、図5に示すように上述したように連結バー25にて連結されており、この連結バー25にはカム部材26が取り付けられる。カム部材26は、円板状をしたもので、その中心に連結バー25が挿通固定してあると共に、円周の一部に切欠26aが形成してある。このカム部材26は、ノズルアーム2の回動角に応じて切欠26aの位置が移動し、カム部材26の円周に沿って固定配置されたリミットスイッチ27a、27bをON、OFFするもので、以下に説明する。
【0026】
まず、ノズルアーム2が収納位置にある場合(図1に示す状態)には、図6に示すように、切欠26aはミストモード用のリミットスイッチ27a、シャワーモード用のリミットスイッチ27bのいずれの位置にもなく、カム部材26によって押圧されて両リミットスイッチ27a、27bの接点が当接してONとなり、シャワーノズル用分岐水路21aに設けた電磁弁23a、ミスト用分岐水路21eに設けた電磁弁23eはいずれも閉となるように弁切替手段24にて制御される。この時、上記図3に示す操作部を操作することで、弁切替手段24により洗い場用分岐水路21bに設けた電磁弁23b、ハンドシャワー用分岐水路21cに設けた電磁弁23c、マッサージ用分岐水路21dに設けた電磁弁23dのいずれかを開いて洗い場吐水口3b(カラン)、ハンドシャワーノズル3c、マッサージノズル3dのいずれかから吐水することができる。
【0027】
次に、図7に示すようにノズルアーム2を収納位置から下端部を前方に角度α回動させると、切欠26aはシャワーモード用のリミットスイッチ27bに対応する部分に位置してリミットスイッチ27bがOFFとなり、ミストモード用のリミットスイッチ27aはONのままである。この時、シャワーノズル用分岐水路21aに設けた電磁弁23a及び電磁弁23b、23c、23dは閉で、ミスト用分岐水路21eに設けた電磁弁23eが開となるように弁切替手段24にて制御される。これにより、シャワーモードとなってシャワーノズル3aから湯水が噴出されるものである。
【0028】
次に、図8に示すようにノズルアーム2を収納位置から下端部を前方に角度β(本実施形態ではβ>αとする)回動させると、切欠26aはミストモード用のリミットスイッチ27aに対応する部分に位置してリミットスイッチ27aがOFFとなり、シャワーモード用のリミットスイッチ27bはONのままである。この時、ミスト用分岐水路21eに設けた電磁弁23e及び電磁弁23b、23c、23dは閉で、シャワー用分岐水路21aに設けた電磁弁23aが開となるように弁切替手段24にて制御される。これにより、ミストモードとなってミストノズル3eから湯水が噴出されるものである。
【0029】
以上のような構成によれば、ミストノズル3e又はシャワーノズル3aを所定の位置に配置する操作と、モードの切り換え及び実行するための操作とがノズルアーム2を回動させるという同一の簡単な操作ですむため、操作性及び使い勝手が向上するものである。
【0030】
次に、他の実施形態について説明する。本実施形態は上実施形態に加えて、ミストモードの際に噴霧する湯水の温度をシャワーモードの際に噴出する湯水の温度よりも高くすることに特徴を有する。弁切替制御手段24は上述した制御を行うのに加えて、温度制御手段17に指令信号を出して湯水の温度制御を行うものである。湯水の温度は、シャワーモードの際には所定温度(例えば41℃)に設定すると共に、ミストモードの際には前記所定温度よりも高い別の所定温度(例えば45℃)に設定するものである。
【0031】
ミストモードの際に噴霧する湯水の温度をシャワーモードの際に噴出する湯水の温度と同じにすると、使用者の身体に温水がかかる際の体感温度がミストモードの場合の方が低くなってしまうところを、このようにすることでミストモードとシャワーモードの体感温度に差が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態の湯水供給装置において着座のみの使用状態の斜視図である。
【図2】同上のシャワー装置の通常使用状態の斜視図である。
【図3】同上の操作部の正面図である。
【図4】同上の配管図である。
【図5】同上のノズルアーム、連結バー、カム部材の斜視図である。
【図6】ノズルアーム収納状態を示し、(a)はカム部材とリミットスイッチとの関係を説明する図であり、(b)はこの時の全体側面図である。
【図7】シャワーモードの状態を示し、(a)はカム部材とリミットスイッチとの関係を説明する図であり、(b)はこの時の全体側面図である。
【図8】ミストモードの状態を示し、(a)はカム部材とリミットスイッチとの関係を説明する図であり、(b)はこの時の全体側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 着座部
2 ノズルアーム
3a シャワーノズル
3e ミストノズル
4 湯水供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する着座部と、着座部の上方において上端部が支点となり下端部が前記支点の下方から前方に回動自在となるノズルアームとを備え、ノズルアームは湯水をミスト状に噴霧するミストノズル及び湯水を粒子状に噴出するシャワーノズルを備え、前記ミストノズルから湯水をミスト状に噴霧するミストモードと、シャワーノズルから湯水を粒子状に噴出するシャワーモードとが実行可能な湯水供給装置の制御方法であって、ノズルアームの回動角度に応じてミストモードとシャワーモードとを自動で切り替えて実行することを特徴とするとする湯水供給装置の制御方法。
【請求項2】
ミストモードの際に噴霧する湯水の温度をシャワーモードの際に噴出する湯水の温度よりも高くすることを特徴とする請求項1記載の湯水供給装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−54544(P2007−54544A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246774(P2005−246774)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(505154956)松下電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】