説明

湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法

【課題】湿式化粧料の多色充填成形装置を提供するものである。
【解決手段】合成樹脂製で、底部に複数色分の貫通穴3を設けた中皿1と、複数色用の複合デザイン充填部を形成する仕切り部材12を具備し、中皿1内に装着する仕切りプレート11と、中皿1が載置されるホルダ23と、ホルダ23を支持するベース21と、仕切りプレート11を装着した中皿1の貫通穴3から複数色のスラリー状化粧材を予備充填し、かつ、溶剤を回収する予備成形ユニットと、中皿1内に充填された複数色のスラリー状化粧材に対するエアーブローを行い、半固化製品とするエアーブローユニットと、中皿1内から仕切りプレート11を抜き取り、中皿1内の半固化製品に隙間を生じさせる状態とする抜き治具を用いた自動機構と、中皿1内の半固化製品をプレス成形して隙間を無くし、中皿1内に製品デザイン形状の複数色の製品を成形する仕上げプレスユニットと、を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切りの無い合成樹脂製の中皿を採用し湿式化粧料を用いて、自由度の高い製品デザインを有する製品を充填成形できるようにした湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法に関するものである
【背景技術】
【0002】
従来におけるスラリー状化粧材の充填成形法は、樹脂製又は金属製で有底の中皿に単色又は複数色充填可能なデザイン化された間仕切りを設けて、その間仕切りされた中皿底面部に充填口を単数又は複数箇所設け、中皿裏面から単色又は複数色分のスラリー状化粧材を同時に加圧充填後、乾燥固化し製品とする方法が採用されている。
【0003】
また、間仕切り無しの中皿に対し、スラリー状化粧材を加圧充填し、乾燥固化し製品とする方法もあるが、この場合には、スラリー状化粧材の充填量、充填スピードの調整が難しく、充填後のデザインが単一模様で、かつ、シャープラインの充填品を連続的に充填成形することが不可能であった。
【0004】
更に、有底の中皿内にデザインが合致した金属製で上部開放形の仕切りを嵌合させ、その上部よりスラリー状化粧材をノズルから定量常圧で充填し、圧縮成形する方法もあるが、この場合には、例えば厚さ2〜6mmの立体デザインを有する製品を成形する際には、常圧充填のため、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等を招来する等の不都合が生じていた。
【0005】
一方、乾式圧縮成形品の場合、金属製の中皿を使用して、単色で乾式圧縮成形品を樹脂製の外側容器にアッセンブリすると、色数色分だけの圧縮成形コストと設備コストがかかり、多工程のため工程中の不良発生、アッセンブリコストが加算し製品コストが高くなること、製品を使いきった後の廃棄時に、金属製の中皿と樹脂製の外側容器を分別廃棄する必要があること、また、金属製の中皿を多数色分使用するために、資源の有効活用の観点から改善が要求されていたこと、乾式圧縮成形品は圧縮成形作業時粉塵作業が主たる作業で、作業環境上及び労働安全衛生上、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題が生じること、更に局所排気等のコストがかかること等々の種々の問題点が従来指摘されていた。
【0006】
特許文献1には、複数の充填孔を有する中皿を第1プレート板に保持する中皿セット工程と、仕切り付きプレート板を、中皿の上面開口から中皿内に嵌め込む仕切り付きプレート板セット工程と、巻紙を介在させた状態で多孔質吸収体を中皿の上面開口位置に圧接する多孔質吸収体セット工程と、流動性中味を中皿の充填孔から中皿内に充填し、流動性中味の溶剤を多孔質吸収体を経由して吸収除去させる充填・吸収工程と、中皿から前記の巻紙と多孔質吸収体と仕切り付きプレート板を取り外すリセット工程と、中皿の上面開口から完成中味の表面をプレスヘッドで圧縮成型して、完成中味の仕切りを抜いた跡を消滅させる仕上工程と、完成中味を乾燥させる乾燥工程とからなることを特徴とする多色粉末化粧料の中皿への湿式充填法が開示されている。
【0007】
しかし、特許文献1に開示された構成の場合、流動性化粧材の溶剤吸引用に多孔質吸収体を使用しているので、その目詰まりにより溶剤の吸引処理に支障が生じるおそれがあること、中皿内で安定的に仕切り保持するための受け入れ溝を中皿の内壁面に構成しているので、中皿の構造が複雑となること、中皿の充填孔の直径が3.5〜5.5mmとしているが、スラリー状化粧材の場合、充填孔に接する充填ノズル内径の断面積が大きいと、その開口部の溶剤が揮発し、再度充填時フローマークが発生し不良発生要因となるおそれがあること、仕切り又は中央突き出し仕切りの厚さ寸法が0.5mmで均等な厚さとしているので、仕切りを中皿から抜き取る際、半固化製品の部分付着、部分破壊のおそれがあること等の問題を包含するものと推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−143606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題点は、仕切りの無い合成樹脂製の中皿を採用し湿式化粧料を用いて、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題もなく、自由度の高い製品デザインを有する高品質の製品をシャープラインで充填成形できるような湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る湿式化粧料の多色充填成形装置は、合成樹脂材からなり有底皿状に形成され、底部に複数色分の貫通穴を設けた仕切りの無い中皿と、複数色用の製品デザイン充填部を形成する仕切り部材を設けるとともに、脱着可能な鍔部を有し、前記中皿内に装着する仕切りプレートと、複数色分の予備充填ノズル挿通用の貫通穴を設け、前記中皿が載置されるホルダと、前記ホルダを支持するベースと、前記仕切りプレートが中皿内に形成する製品デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備えた予備成形ユニット本体と、予備成形ユニット本体の下部に取り付けた前記中皿内に充填されたスラリー状化粧材の溶剤回収用のバキュームパットと、予備成形ユニット本体の上部に配置した上部上下動機構と、前記ベースの下方に配置した色数分の予備充填ノズルを垂直起立配置に備える予備充填ユニット本体と、各予備充填ノズルにスラリー状化粧材を圧送する色数分の図示しない外部充填用ポンプと、前記予備充填ユニット本体を上下駆動する下部上下動機構と、前記バキュームパットと中皿との間に、巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、を有する予備成形ユニットと、多数のエアーブロー用の貫通穴が穿設され、中皿内のスラリー状化粧材に対するエアーブローを行い半固化製品とするエアーブローパットを備えたエアーブローユニット本体と、前記仕切りプレートに取り付けた鍔部をクランプして抜き取り、エアーブローパットの外周に嵌着するフィンガーと、前記エアーブローユニット本体の上下駆動、前記フィンガーのクランプ動作、加圧エアーポンプのエアー吐出動作を実行するエアーブローユニット駆動機構と、を有するエアーブローユニットと、前記中皿の開口形状に対応させた平坦な突出端面部に前記仕切りプレートの形状に倣った十字形状の凹溝を設けた抜き治具と、この抜き治具をホルダ上の前記中皿に対して位置決めし、突出端面部を前記中皿の上面に当接させ、抜き治具を固定した状態で仕切りプレートのみを上昇させて、仕切りプレートの上端部分を抜き治具の凹溝に嵌着して仕切りプレートと抜き治具とを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構により抜き治具を上昇させることで、前記中皿から仕切りプレートを上方に抜き取り、中皿内の半固化製品に前記仕切りプレートの仕切り部材の形状に対応した隙間を生じさせる状態とする抜き治具上下動機構と、を有する自動機構と、前記仕切りプレートが抜き取られた中皿の上方に配置する仕上げプレスユニット本体と、仕上げプレスユニット本体の下部に取り付ける溶剤回収用のバキュームパットと、仕上げプレスユニット本体を上下駆動する仕上げプレスユニット上下動機構と、前記バキュームパットと、中皿との間に巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、前記ホルダの下方に配置する複数色分の充填穴塞ぎピンを垂直起立配置に備える充填穴塞ぎユニットと、この充填穴塞ぎユニットを上下駆動する充填穴塞ぎユニット上下動機構と、有し、前記バキュームパットにより前記化粧材拘束部材を介在しつつ中皿内の半固化製品を圧接しプレス成形して前記隙間を無くし、半固化製品の表面形状を整えて中皿内に製品デザイン形状の複数色の製品を成形する仕上げプレスユニットと、を有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、従来の充填技術では不可能とされた、所定の厚さの仕切りプレートの仕切り部材で区画される製品デザインに対応した立体デザインを有する製品を成形でき、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題がなく、自由度の高い立体デザインを有する高い品質の製品をシャープラインで充填成形でき、製品デザインの自由度拡大による他社製品との差別化、及び販売店陳列棚における陳列販売時におけるアイキャッチによる購買意欲の増大に寄与することが可能な湿式化粧料の多色充填成形装置を実現し提供することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、従来の充填技術では不可能とされた、所定の厚さの仕切りプレートの仕切り部材で区画される十字状、又は菱形形状等の複合デザインに対応した立体デザインを有する製品を成形でき、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題がなく、自由度の高い立体デザインを有する高い品質の製品をシャープラインで充填成形でき、製品デザインの自由度拡大による他社製品との差別化、及び販売店陳列棚における陳列販売時におけるアイキャッチによる購買意欲の増大に寄与することが可能な湿式化粧料の多色充填成形装置を実現し提供することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、従来の充填技術では不可能とされた、所定の厚さの仕切りプレートの仕切り部材で区画される巴形状、花柄模様、水玉模様、動物の姿柄等の島残しデザインに対応した立体デザインを有する製品を成形でき、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題がなく、自由度の高い立体デザインを有する高い品質の製品をシャープラインで充填成形でき、製品デザインの自由度拡大による他社製品との差別化、及び販売店陳列棚における陳列販売時におけるアイキャッチによる購買意欲の増大に寄与することが可能な湿式化粧料の多色充填成形装置を実現し提供することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様な効果を奏し、かつ、前記仕切りプレートの中皿への挿入時の仕切り位置決めが正確となり、かつ、仕切り部材を下薄・上厚の連続形状に形成しているので、仕切りプレートを中皿から抜き取る際、半固化製品の部分付着、部分破壊を防止することが可能となって、化粧材の漏れ防止、成形する製品デザインの再現性、仕切りプレート及び各バキュームパットの破損防止を実現できる湿式化粧料の多色充填成形装置を実現し提供することができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、請求項3記載の発明と同様な効果を奏し、かつ、仕切り部材を下薄・上厚の連続形状に形成しているので、仕切りプレートを中皿から抜き取る際、半固化製品の部分付着、部分破壊を防止することができ、また、中皿上面外側枠と島残しデザイン部とを連結する接合連結部を上記寸法とすることで、仕切りプレートの保持の確実化と、仕上げ成形の容易化を図ることができ、化粧材の漏れ防止、成形する製品デザインの再現性、仕切りプレート及び各バキュームパットの破損防止を実現できる湿式化粧料の多色充填成形装置を実現し提供することができる。
【0016】
請求項6記載の発明によれば、請求項1記載の発明の構成に基づき、従来の充填技術では不可能とされた、所定の厚さの仕切りプレートの仕切り部材で区画される製品デザインに対応した立体デザインを有する製品を効率よく成形でき、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題がなく、自由度の高い立体デザインを有する高い品質の製品をシャープラインで充填成形することが可能となって、製品デザインの自由度拡大による他社製品との差別化、及び販売店陳列棚における陳列販売時におけるアイキャッチによる購買意欲の増大に寄与する製品を得ることが可能な湿式化粧料の多色充填成形方法を実現し提供することができる。
【0017】
請求項7記載の発明によれば、請求項2記載の発明の構成に基づき、従来の充填技術では不可能とされた、所定の厚さの仕切りプレートの仕切り部材で区画される十字状、又は菱形形状等の複合デザインに対応した立体デザインを有する製品を効率よく成形でき、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題がなく、自由度の高い立体デザインを有する高い品質の製品をシャープラインで充填成形でき、製品デザインの自由度拡大による他社製品との差別化、及び販売店陳列棚における陳列販売時におけるアイキャッチによる購買意欲の増大に寄与する製品を得ることが可能な湿式化粧料の多色充填成形方法を実現し提供することができる。
【0018】
請求項8記載の発明によれば、請求項3記載の発明の構成に基づき、従来の充填技術では不可能とされた、所定の厚さの仕切りプレートの仕切り部材で区画される巴形状、花柄模様、水玉模様、動物の姿柄等の島残しデザインに対応した立体デザインを有する製品を効率よく成形でき、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題がなく、自由度の高い立体デザインを有する高い品質の製品をシャープラインで充填成形でき、製品デザインの自由度拡大による他社製品との差別化、及び販売店陳列棚における陳列販売時におけるアイキャッチによる購買意欲の増大に寄与する製品を得ることが可能な湿式化粧料の多色充填成形方法を実現し提供することができる。
【0019】
請求項9記載の発明によれば、請求項7記載の発明と同様な効果を奏し、かつ、前記仕切りプレートの中皿への挿入時の仕切り位置決めが正確となり、かつ、仕切り部材を下薄・上厚の連続形状に形成しているので、仕切りプレートを中皿から抜き取る際、半固化製品の部分付着、部分破壊を防止することが可能となって、化粧材の漏れ防止、成形する製品デザインの再現性、仕切りプレート及び各バキュームパットの破損防止を実現できる湿式化粧料の多色充填成形方法を実現し提供することができる。
【0020】
請求項10記載の発明によれば、請求項8記載の発明と同様な効果を奏し、かつ、仕切り部材を下薄・上厚の連続形状に形成しているので、仕切りプレートを中皿から抜き取る際、半固化製品の部分付着、部分破壊を防止することができ、また、中皿上面外側枠と島残しデザイン部とを連結する接合連結部を上記寸法とすることで、仕切りプレートの保持の確実化と、仕上げ成形の容易化を図ることができ、化粧材の漏れ防止、成形する製品デザインの再現性、仕切りプレート及び各バキュームパットの破損防止を実現できる湿式化粧料の多色充填成形方法を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置の構成要素である中皿、仕切りプレート、ホルダ及びベースの予備充填成形の準備段階を示す概略断面図である。
【図2】図2は本実施例1における中皿の概略平面図である。
【図3】図3は本実施例1における中皿の概略正面図である。
【図4】図4は本実施例1における中皿の仕切りガイド突起を示す部分拡大図である。
【図5】図5は本実施例1における中皿の仕切りガイド突起を示す部分拡大縦断面図である。
【図6】図6は本実施例1における中皿に装着する仕切りプレートを示す概略平面図である。
【図7】図7は本実施例1における中皿及びこの中皿に装着する仕切りプレートを示す概略正面図である。
【図8】図8は本実施例1におけるホルダの概略斜視図である。
【図9】図9は本実施例1に係る予備成形ユニットの要部の予備充填成形前の状態を示す概略断面図である。
【図10】図10は本実施例1に係る予備成形ユニットの要部の予備充填成形状態を示す概略断面図である。
【図11】図11は本実施例1に係る予備成形ユニットに使用するバキュームパットの端面部を示す概略斜視図である。
【図12】図12は本実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置におけるエアーブローユニット及び中皿、仕切りプレート、ホルダ及びベースを示す概略断面図である。
【図13】図13は本実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置におけるエアーブローユニットによるエアーブロー工程を示す概略断面図である。
【図14】図14は本実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置におけるエアーブローユニットによるエアーブロー工程の終了状態を示す概略断面図である。
【図15】図15は本実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置における抜き治具を用いた自動機構の概略断面図である。
【図16】図16は本実施例1に係る抜き治具の概略斜視図である。
【図17】図17は本実施例1に係る予備充填成形後仕切りプレートを抜き取られた中皿内の状態を示す概略平面図である。
【図18】図18は本実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置における仕上げプレスユニットの要部の仕上げプレス前の状態を示す概略断面図である。
【図19】図19は本実施例1に係る仕上げプレスユニットによる仕上げプレス工程を示す概略断面図である。
【図20】図20は本実施例1に係る仕上げプレスユニットによる仕上げプレス工程終了後の中皿、製品、ホルダ及びベースを示す概略断面図である。
【図21】図21は本実施例1における中皿内の4色の製品を示す概略平面図である。
【図22】図22は本実施例1に係る仕上げプレスユニットに使用するバキュームパットの端面部を示す概略斜視図である。
【図23】図23は本実施例1に係る仕上げプレスユニットに使用する変形例のバキュームパットの端面部を示す概略斜視図である。
【図24】図24は本実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図25】図25は本発明の実施例2に係る予備成形ユニットにおいて中皿内に装着して使用する仕切りプレートを示す概略斜視図である。
【図26】図26は本実施例2に係る予備成形ユニットにおいて中皿内に装着して使用する仕切りプレートの概略正面図である。
【図27】図27は本実施例2に係る予備成形ユニットにおいて使用するバキュームパットの端面部を示す概略斜視図である。
【図28】図28は本実施例2に係る自動機構に使用する抜き治具を示す概略斜視図である。
【図29】図29は本実施例2に係る仕上げプレスユニットにおいて使用するバキュームパットの端面部を示す概略平面図である。
【図30】図30は本実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置の構成要素である中皿、仕切りプレート、ホルダ及びベースの予備充填成形の準備段階を示す概略断面図である。
【図31】図31は本実施例2に係る予備成形ユニットの要部の予備充填成形前の状態を示す概略断面図である。
【図32】図32は本実施例2に係る予備成形ユニットの要部の予備充填成形状態を示す概略断面図である。
【図33】図33は本実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置におけるエアーブローユニット及び中皿、仕切りプレート、ホルダ及びベースを示す概略断面図である。
【図34】図34は本実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置におけるエアーブローユニットによるエアーブロー工程を示す概略断面図である。
【図35】図35は本実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置におけるエアーブローユニットによるエアーブロー工程の終了状態を示す概略断面図である。
【図36】図36は本実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置における抜き治具を用いた自動機構の概略断面図である。
【図37】図37は本実施例2に係る予備充填成形後仕切りプレートを抜き取られた中皿内の状態を示す概略斜視図である。
【図38】図38は本実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置における仕上げプレスユニットの要部の仕上げプレス前の状態を示す概略断面図である。
【図39】図39は本実施例2に係る仕上げプレスユニットによる仕上げプレス工程を示す概略断面図である。
【図40】図40は本実施例2に係る仕上げプレスユニットによる仕上げプレス工程終了後の中皿、製品、ホルダ及びベースを示す概略断面図である。
【図41】図41は本実施例2における中皿内の3色の製品を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、仕切りの無い合成樹脂製の中皿を採用し湿式化粧料を用いて、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題もなく、自由度の高い製品デザインを有する高品質の製品をシャープラインで充填成形できる湿式化粧料の多色充填成形装置を実現し提供するという目的を、合成樹脂材からなり有底皿状に形成され、底部に複数色分の貫通穴を設けた仕切りの無い中皿と、複数色用の当分割の十字状、又は不当分割の十字状、菱形形状等の中皿内側に接する複合デザインを形成する複合デザイン充填部を形成する仕切り部材を設けるとともに、脱着可能な鍔部を有し、前記中皿内に装着する仕切りプレートと、複数色分の予備充填ノズル挿通用の貫通穴を設け、前記中皿が載置されるホルダと、前記ホルダを支持するベースと、前記仕切りプレートが中皿内に形成する複合デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備えた予備成形ユニット本体と、予備成形ユニット本体の下部に取り付けた前記中皿内に充填されたスラリー状化粧材の溶剤回収用のバキュームパットと、予備成形ユニット本体の上部に配置した上部上下動機構と、前記ベースの下方に配置した色数分の予備充填ノズルを垂直起立配置に備える予備充填ユニット本体と、各予備充填ノズルにスラリー状化粧材を圧送する色数分の図示しない外部充填用ポンプと、前記予備充填ユニット本体を上下駆動する下部上下動機構と、前記バキュームパットと中皿との間に、巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、を有する予備成形ユニットと、多数のエアーブロー用の貫通穴が穿設され、中皿内のスラリー状化粧材に対するエアーブローを行い半固化製品とするエアーブローパットを備えたエアーブローユニット本体と、前記仕切りプレートに取り付けた鍔部をクランプして抜き取り、エアーブローパットの外周に嵌着するフィンガーと、前記エアーブローユニット本体の上下駆動、前記フィンガーのクランプ動作、加圧エアーポンプのエアー吐出動作を実行するエアーブローユニット駆動機構と、を有するエアーブローユニットと、前記中皿の開口形状に対応させた平坦な突出端面部に前記仕切りプレートの形状に倣った十字形状の凹溝を設けた抜き治具と、この抜き治具をホルダ上の前記中皿に対して位置決めし、突出端面部を前記中皿の上面に当接させ、抜き治具を固定した状態で仕切りプレートのみを上昇させ、仕切りプレートの上端部分を抜き治具の凹溝に嵌着して仕切りプレートと抜き治具とを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構により抜き治具を上昇させることで、前記中皿から仕切りプレートを上方に抜き取り、中皿内の半固化製品に前記仕切りプレートの仕切り部材の形状に対応した隙間を生じさせる状態とする抜き治具上下動機構と、を有する自動機構と、前記仕切りプレートが抜き取られた中皿の上方に配置する仕上げプレスユニット本体と、仕上げプレスユニット本体の下部に取り付ける溶剤回収用のバキュームパットと、仕上げプレスユニット本体を上下駆動する仕上げプレスユニット上下動機構と、前記バキュームパットと、中皿との間に巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、前記ホルダの下方に配置する複数色分の充填穴塞ぎピンを垂直起立配置に備える充填穴塞ぎユニットと、この充填穴塞ぎユニットを上下駆動する充填穴塞ぎユニット上下動機構と、有し、前記バキュームパットにより前記化粧材拘束部材を介在しつつ中皿内の半固化製品を圧接しプレス成形して前記隙間を無くし、半固化製品の表面形状を整えて中皿内に当分割の十字状、又は不当分割の十字状、菱形形状等からなる複合デザイン形状の複数色の製品を成形する仕上げプレスユニットと、を有する構成により実現した。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例に係る湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法について詳細に説明する。
【0024】
(実施例1)
(A)準備工程
最初に、本発明の実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法の構成要素である中皿1、仕切りプレート11、ホルダ23及びベース21について、図1乃至図8を参照して説明する。
【0025】
本実施例1における中皿1は、図2、図3に示すように、粉末化粧料をエタノール、イソプロピルアルコール、イソパラフィン、シリコン、水等の溶剤でスラリー状にしたスラリー状化粧材(湿式化粧料)K1を収納する合成樹脂材からなり平面視四角形状の有底皿状に形成している。
【0026】
前記中皿1の内部には、その内底面と内側面との境界である辺部に、後述する仕切りプレート11の位置ずれを防止しつつ固定するため仕切りガイド突起2を複数箇所設けるとともに、前記中皿1の底部に、区画されるデザイン位置に対応して直径が1.0〜2.5mmの貫通穴3を複数個、例えば4色分として4個設けている。
【0027】
前記貫通穴3の寸法をこのように設定し、予備充填ノズル36の内径もこれに対応することで、その開口部の溶剤が揮発し、再度充填時フローマークが発生し不良発生要因となるような不都合を回避することができる。
【0028】
前記中皿1における隣り合う仕切りガイド突起2と仕切りガイド突起2との隙間は、図4に示すように、0.2〜0.5mm(仕切りプレート11の仕切り厚さに合わせる)とし、また、中皿1の底面からの高さは、図5に示すように、0.3〜3.0mm、中皿内面中方への突出長さは0.3〜2.0mmとし、これらの仕切りガイド突起2を仕切りプレートの中皿1への挿入時の仕切り位置決め用として機能させるように構成している。
【0029】
前記仕切りプレート11は、図6に示すように、中皿1内に色数分(例えば4色分)の仕切り領域を形成する仕切り構造を採用している。
【0030】
すなわち、前記仕切りプレート11は、中皿1からの抜き取り時、充填成形された半固化製品K2の部分付着、部分破壊を防止するため、端部が中皿内側面に接し、隣り合う仕切りガイド突起2同士により位置決めされる例えば十字形状の仕切り部材12による複合デザイン充填部を有する仕切り構造を採用している。
【0031】
前記仕切りプレート11の仕切り部材12の厚さは、図7に示すように、中皿1の底面側の下部の厚さが0.2〜0.4mmと薄く、上部の厚さ0.3〜0.6mmと厚くし、かつ、厚さを連続的に変化させた下薄・上厚形状に加工している。
【0032】
仕切りプレート11をこのように形成することで、中皿1から抜き取る際、後述する半固化製品K2の部分付着、部分破壊を防止することができる。
【0033】
前記仕切りプレート11の材質は、後述する予備充填成形工程で使用するバキュームパット33の圧縮荷重に耐えることと、各色の充填速度と充填色の加圧充填時の圧力バラツキによる仕切りタワミを吸収でき、ある程度の変形荷重がかかっても復元可能な持続性と連続運転可能性を有し、更に耐薬品性のある金属製例えばSUS製スプリング材の一体構造物により形成している。
【0034】
更に、前記仕切りプレート11の上端外周には、その外周部に後述するエアーブローパット45の外周に嵌着させるための四角形状に中抜きした板状の鍔部13が脱着可能に取り付けられるようになっている。
【0035】
前記中皿1は、図1に示すように、ベース21上に載置するホルダ23により支持するように構成している。
【0036】
すなわち、前記中皿1は、平坦な厚板状に形成されるとともに後述する予備充填ノズル36、充填穴塞ぎピン68を挿通するための抜穴22を設けたベース21上に、中皿収納用の直方体状のホルダ23を載置し、このホルダ23の上面に装着して支持するように構成している。
【0037】
前記ホルダ23には、図8に示すように、中皿1の上面が1〜3mm程前記ホルダ23上面より突出する状態となるように中皿1の形状に対応する形状に池彫りした四角形状の池堀部24と、その池堀部24内に穿設した予備充填ノズル36上下動用の4色分の貫通穴25とを設け、更に前記池堀部24の外側には後述する抜き治具52用の複数、例えば4個の円形のガイド穴26を設けている。
【0038】
上述した中皿1、仕切りプレート11及びホルダ23の構成により、スラリー状化粧材K1の漏れ防止、製品デザインの再現性、仕切りプレート11及びバキュームパット33の破損防止を実現する構造を実現している。
【0039】
(B)予備成形ユニット31及び予備充填成形工程
次に、本実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法の構成要素である予備成形ユニット31及び予備充填成形工程について、図9乃至図11、図24をも参照して説明する。
【0040】
予備充填成形工程を実施するための予備成形ユニット31は、図9、図10に要部を示し、図24に制御要素を示すように、前記ホルダ23の上方に配置した予備成形ユニット本体32と、予備成形ユニット本体32の下部に取り付けた前記中皿1内に充填されたスラリー状化粧材K1の溶剤回収用のバキュームパット33と、前記バキュームパット33の下部に取り付けた後述する化粧材拘束部材39を押さえ込むストリッパープレート34と、予備成形ユニット本体32の上部に配置した例えば図示しないサーボモータの回転運動を図示しないボールネジで直動運動に変換する上部上下動機構35と、前記バキュームパット33とボールネジとの間に配置した図示しないロードセルと、前記ベース21の下方に配置した色数分の予備充填ノズル36を垂直起立配置に備える予備充填ユニット本体37と、各予備充填ノズル36にスラリー状化粧材K1を圧送する色数分の図示しない外部充填用ポンプと、前記予備充填ユニット本体37を上下駆動する前記上部上下動機構35と同様な構成からなる下部上下動機構38と、前記ストリッパープレート34と中皿1との間に、巻き取り可能に配置したロールペーパー、布又は不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材39と、この化粧材拘束部材39を巻き取る図示しない巻き取り駆動部と、を有している。
【0041】
前記バキュームパット33は、図11に示すように、前記中皿1の内面形状と合致した範囲を例えば高さ2.0〜8.0mmの凸形状にし、その表面を複合デザイン充填部を有する前記仕切りプレート11の形状に倣い十字形状の溝状に掘り込んで溝部33cとし、凸形状部分全体に直径0.3〜0.6mmの多数の溶剤回収用の貫通孔33aを縦横配列に設けている。
【0042】
前記バキュームパット33は、継手用穴33bを経て図示しない外部貯留タンクを備える溶剤回収用の真空ポンプに連通させている。
【0043】
また、前記ストリッパープレート34は、前記仕切りプレート11の中皿1からの抜き取り時、半固化製品K2の付着を軽減することと、予備充填完了後におけるバキュームパット33の下部への化粧材拘束部材39の密着防止、半固化製品K2、仕切りプレート11、中皿1の切り離し用としてスプリングのタワミ力を利用する例えばSUS製スプリング材により構成している。
【0044】
なお、前記バキュームパット33を、図示しないが区画された複合デザイン充填部に沿った深さ0.5〜2.0mmの凹状池堀部を設けた構造とすることで、予備充填されたスラリー状化粧材K1が凸形状に予備充填成形され充填量をより増大させる構造とすることも可能である。
【0045】
次に、前記予備成形ユニット31を使用した予備充填成形工程について説明する。
図1に示すように、ベース21上のホルダ23の上面に仕切りプレート11が装着された中皿1を装着支持した状態で、予備充填成形工程を開始する。
【0046】
そして、図9に示すように、前記予備成形ユニット31の予備成形ユニット本体32を中皿1の上方に配置し、かつ、前記化粧材拘束部材39を、バキュームパット33及びストリッパープレート34と中皿1の上面との間に配置するとともに、予備充填ノズル36を垂直起立配置に備える予備充填ユニット本体37を前記ベース21、ホルダ23の下側に配置し、予備充填ノズル36を前記ベース21の抜穴22内から前記ホルダ23の貫通穴25に臨ませる配置とする。
【0047】
次に、図10に示すように、制御ユニット81(図24に示す)の操作部84のオペレータ操作による位置指定で前記上部上下動機構35により前記予備成形ユニット本体32を下降させて、前記バキュームパット33を中皿1の開口側上に位置決めするとともに、前記化粧材拘束部材39を中皿1の上面に圧接させ、更に4色分の予備充填ノズル36を備える予備充填ユニット本体37を下部上下動機構38により上昇駆動して、各予備充填ノズル36を前記中皿1の下側から各貫通穴3に上昇圧接させる。
【0048】
次に、制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作に基づき、加圧力、充填時間を設定した状態で、外部充填用ポンプの動作により各予備充填ノズル36から4色のスラリー状化粧材K1を前記中皿1内の前記仕切りプレート11で仕切られた複合デザイン充填部に圧入充填すると同時に、前記バキュームパット33の継手用穴33bから中皿1内に押し出されたスラリー状化粧材K1中の溶剤を前記化粧材拘束部材39を介在させつつ図示しない真空ポンプで外部貯留タンクに確実に吸引回収して、予備充填成形工程を実行する。
そして、前記上部上下動機構35により予備成形ユニット本体32を上昇させ、前記化粧材拘束部材39を除去し、更に下部上下動機構38により予備充填ユニット本体37を下降させて、予備充填成形工程を終了し、次工程に移る。
【0049】
(C)エアーブローユニット41及びエアーブロー工程
上述したスラリー状化粧材K1の予備充填工程を終了した後、前記中皿1内に充填されたスラリー状化粧材K1に対するエアーブロー工程を実行する。
【0050】
エアーブロー工程を実施するためのエアーブローユニット41は、図12乃至図14に要部を示し、図24に制御要素を示すように、エアーブロー用継手43を備えたエアーブローユニット本体42と、このエアーブローユニット本体42に取り付けた多数のエアーブロー用の貫通穴44が穿設されたエアーブローパット45と、エアーブロー用継手43に接続した図示しない加圧エアーポンプと、前記仕切りプレート11に取り付けた鍔部13をクランプして抜き取り、エアーブローパット45の外周に嵌着する例えば左右一対構成のフィンガー46と、前記エアーブローユニット本体42の上下駆動、前記フィンガー46のクランプ動作、加圧エアーポンプのエアー吐出動作を実行する例えばエアーシリンダ等を用いたエアーブローユニット駆動機構47と、を有している。
【0051】
前記エアーブローパット45は、図示するものではないが、中皿1に対向させる端面に前記仕切りプレート11による複合デザイン充填部に合致させた仕切り形状を溝堀した構成としている。
前記エアーブローユニット41によるエアーブロー工程では、まず、図12に示すように、前記エアーブローユニット本体42を予備充填成形後の中皿1の上方に配置する。
【0052】
次に、図13に示すように、前記エアーブローユニット本体42に取り付けたエアーブローパット45を、前記制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作による制御部83の制御の基に前記エアーブローユニット駆動機構47により下降させて、エアーブローパット45の溝堀部分を前記中皿1に装着した仕切りプレート11の仕切り部材12の上端に嵌着するとともに、フィンガー46により前記鍔部13をクランプする。
【0053】
そして、図13に示すように、前記加圧エアーポンプを動作させ、前記エアーブローパット45の貫通穴44から加圧エアーを中皿1内に予備充填されたスラリー状化粧材K1に向けて噴出してその持ち上がりを防止しつつ、エアーブロー工程を実行する。
【0054】
次に、図14に示すように、前記フィンガー46により鍔部13をクランプしつつエアーブローユニット駆動機構47によりフィンガー46及びエアーブローユニット本体42を上昇させ、前記フィンガー46によりエアーブローパット45の外周を挟み込むようにしてエアーブローユニット本体42、鍔部13を除去し、前記ホルダ23上に、半固化製品K2が予備充填成形され、仕切りプレート11が残存する中皿1のみが存在する状態とし、エアーブロー工程を終了する。
【0055】
(D)自動機構による仕切りプレート抜き取り工程
上述したエアーブロー工程終了後、抜き治具52を用いた自動機構51による仕切りプレート抜き取り工程を実行する。
【0056】
仕切りプレート抜き取り工程では、前記ホルダ23上の中皿1内に予備充填成形した半固化製品K2が飛び出すことを防止しつつ仕切りプレート11を抜き治具52を用いた自動機構51により抜き取って除去する。
【0057】
仕切りプレート抜き取り工程を実行する自動機構51について、図15、図16を参照して説明する。
【0058】
自動機構51を構成する抜き治具52は、図16に示すように、その外周内側に、前記ホルダ23の複数のガイド穴26に嵌合する複数のガイドピン53を突出配置に備えている。
前記抜き治具52における前記中皿1、仕切りプレート11に対向させる面には、前記中皿1の開口形状に対応させた平坦な突出端面部54が形成され、かつ、前記仕切りプレート11の形状に倣った十字形状の凹溝55を設けている。
【0059】
そして、突出端面部54にはエアーブロー用の多数の貫通穴56を穿設し、この多数の貫通穴56を図示しないエアーブロー用のエアーポンプに連通させている。また、前記自動機構51は、抜き治具52を上下駆動する抜き治具上下動機構57を備えている。
【0060】
仕切りプレート抜き取り工程では、図15に示すように、制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作による制御部83の制御の基に前記抜き治具上下動機構57により抜き治具52を前記中皿1の上方に配置した後、各ガイドピン53を前記ホルダの各ガイド穴26に嵌合させつつ下降させることで位置決めし、突出端面部54を前記中皿1の上面に当接する。
【0061】
そして、制御部83の制御の基にエアーポンプからのエアーによるエアーブローを実行しつつ抜き治具52を固定した状態で仕切りプレート11のみを上昇させ、仕切りプレート11の上端部分を抜き治具52の凹溝55に嵌着して仕切りプレート11と抜き治具52とを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構57により抜き治具52を上昇させることで、前記中皿1から仕切りプレート11を上方に抜き取る。
【0062】
このとき、図17に示すように、前記仕切りプレート11が抜き取られた中皿1内の4色構成の半固化製品K2には、前記仕切りプレート11の仕切り部材12が存在していたため、その形状、板厚に対応した十字形状の隙間58が生じた状態となる。
【0063】
(E)仕上げプレスユニット61及び仕上げプレス工程
次に、上述のようにして仕切りプレート11が抜き取られた中皿1を仕上げプレス工程に移動する。
【0064】
仕上げプレス工程では、仕上げプレスユニット61を使用して中皿1内の半固化製品K2に対する仕上げプレスを実行する。
【0065】
仕上げプレスユニット61及び仕上げプレス工程について図18乃至図23、及び図24を参照して説明する。
【0066】
前記仕上げプレスユニット61は、図18、図19に要部を示し、図24に制御要素を示すように、前記ホルダ23の上方に配置する仕上げプレスユニット本体62と、仕上げプレスユニット本体62の下部に取り付ける継手用穴64を備える溶剤回収用のバキュームパット(フラットパット)63と、前記継手用穴64に連通させた図示しないが外部貯留タンクを備える溶剤回収用の真空ポンプと、前記バキュームパット63の下部に取り付ける化粧材拘束部材67を押さえ込むための仕上げストリッパープレート65と、仕上げプレスユニット本体62を上下駆動する例えばサーボモータの回転運動をボールネジで直動運動に変換する仕上げプレスユニット上下動機構66と、前記バキュームパット63、仕上げストリッパープレート65と、中皿1との間に巻き取り可能に配置したロールペーパー、布、不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材67と、この化粧材拘束部材67を巻き取る図示しない巻き取り駆動部と、前記ホルダ23の下方に配置する3色分の充填穴塞ぎピン68を垂直起立配置に備える充填穴塞ぎユニット69と、この充填穴塞ぎユニット69を上下駆動する前記仕上げプレスユニット上下動機構66と同様な構成からなる充填穴塞ぎユニット上下動機構70と、を有している。
【0067】
前記バキュームパット63は、図22に示すように、前記中皿1の内面形状と合致した範囲を高さ2.0〜8.0mmのフラットの凸形状にし、凸形状部分全体に直径0.3〜0.6mmの多数の溶剤回収用の貫通孔71を縦横配列に設けている。
【0068】
図23は、前記バキュームパット63の変形例であるバキュームパット63Aを示すものであり、前記中皿1内の半固化製品K2の各色の境界線の位置に対応する段差72(又は当該段差72の部分を凸形状とした構成)を付加したものであり、このようなバキュームパット63Aを使用すれば、各色の境界線をよりシャープに仕上げることが可能となる。
【0069】
また、前記バキュームパット63を、図示しないが区画された複合デザイン充填部に沿った深さ0.5〜2.0mmの凹状池堀部を設けた構造とすることで、半固化製品K2が凸形状にプレス成形され充填量をより増大させる構造とすることも可能である。
【0070】
次に、前記仕上げプレスユニット61を使用した仕上げプレス工程について説明する。
【0071】
図18に示すように、前記仕上げプレスユニット本体62を中皿1の上方に配置し、かつ、前記化粧材拘束部材67を、バキュームパット63、仕上げストリッパープレート65と中皿1の上面との間に配置する。
【0072】
また、前記充填穴塞ぎピン68を備える充填穴塞ぎユニット69を前記ベース21、ホルダ23の下側に配置し、充填穴塞ぎピン68を前記ベース21の抜穴22内から前記ホルダ23の貫通穴25に臨ませる配置とする。
【0073】
次に、図19に示すように、制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作による制御部83の制御の基に位置指定で仕上げプレスユニット上下動機構66により前記仕上げプレスユニット本体62を下降させて、バキュームパット63を中皿1の開口側上に位置決めするとともに、前記化粧材拘束部材67を中皿1の上面に圧接させ、更に充填穴塞ぎユニット69を充填穴塞ぎユニット上下動機構70により上昇駆動して、充填穴塞ぎピン68により前記中皿1の下側から各貫通穴3に上昇圧接させて閉塞する。
【0074】
そして、前記バキュームパット63の溶剤回収のための継手用穴64から中皿1内に予備充填成形された半固化製品に残存する溶剤を真空ポンプの動作で外部貯留タンクに吸引回収するとともに、制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作による制御部83の制御の基に加圧力を調整した状態で、前記仕上げプレスユニット本体62のバキュームパット63により前記化粧材拘束部材67を介在しつつ中皿1内の半固化製品K2を圧接しプレス成形して前記隙間58を無くし、半固化製品K2の表面形状を整えて4色構成の製品K3の感触を充足させる処理を行う。
【0075】
次に、図20に示すように、仕上げプレスユニット本体62を上昇させ、また、充填穴塞ぎピン68を下降させて、仕上げプレス工程を終了する。
【0076】
次に、前記ホルダ23から前記中皿1を取り出し、乾燥して製品K3とする。
【0077】
このようにしてA色、B色、C色及びD色からなる4色構成の製品K3を成形した中皿1の表面の状態を図21に示す。
【0078】
図24は、本実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置の制御系を示すもので、この多色充填成形装置全体の制御を実行する制御ユニット81を具備し、前記制御ユニット81により前記予備成形ユニット31、エアーブローユニット41、自動機構51及び仕上げプレスユニット61の各要素の制御を行うように構成している。
【0079】
前記制御ユニット81は、本実施例1に係る湿式化粧料の多色充填成形装置に関する動作プログラムを記憶したプログラムメモリ82と、動作プログラムに基づき前記各要素を制御する制御部83と、オペレータによる各種文字、数値等の入力操作用のキーボード又はタッチパネル式の操作部84と、各種文字、数値等を画面表示する液晶ディスプレイのような表示部85と、を有し、この構成により、上述した一連の工程を実行するものである。
【0080】
本実施例1によれば、従来の充填技術では不可能とされた、所定の厚さの仕切りプレート11の仕切り部材12で区画される十字状、又は菱形形状等の複合デザインに対応した立体デザインを有する製品K3を成形でき、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題がなく、自由度の高い立体デザインを有する高い品質の製品K3をシャープラインで充填成形でき、製品デザインの自由度拡大による他社製品との差別化、及び販売店陳列棚における陳列販売時におけるアイキャッチによる購買意欲の増大に寄与することが可能な湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法を実現することができる。
【0081】
(実施例2)
本発明の実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法について、図25乃至図41を参照して詳細に説明する。
【0082】
なお、本実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置において、実施例1の多色充填成形装置の各要素と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0083】
本実施例2に湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法は、上述した実施例1の湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法と基本的にはほぼ同様であるが、前記中皿1の底部に実施例1の場合と同様な構造の3個の貫通穴3を設けて、3色(A色、B色、C色)充填用として構成するとともに、中皿1内に例えば勾玉形状の島残しデザインの製品K3を得るように構成したことが特徴である。
【0084】
以下、本実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法について具体的に説明する。
【0085】
本実施例2に係る湿式化粧料の多色充填成形装置においては、予備成形ユニット31において、中皿1内に対して既述した実施例1の前記仕切りプレート11に替えて、図25、図26に示すように、中皿内側面に接しない例えば二つの勾玉形状の島残しデザイン充填部を形成する実施例1の場合と同様な下薄・上厚形状に加工形成した仕切り部材12Aを有する仕切りプレート11Aを装着して用いることが特徴である。
【0086】
前記仕切りプレート11Aは、中皿1の中央部分の両側領域に、この中皿1の底面と上面まで例えば勾玉形状の2個の仕切り部材12Aを対称に配置し、中皿1の上面外側枠と各仕切り部材12A、及び各仕切り部材12A同士を連結する合計7個の薄板帯状の接合連結部12bを設けて、前記2個の仕切り部材12Aにより島残しデザイン充填部を形成する構成としている。
【0087】
前記接合連結部12bは、仕切り上部(充填されるスラリー状化粧材の上面)の幅0.4〜2.0mm、厚さ0.4〜2.0mmの寸法を有し、中皿1の開口側において島残しデザイン充填部の開口側部分と平面構造で連結される構成としている。
【0088】
前記仕切りプレート11Aの仕切り部材12Aの構成により、仕切りプレート11Aを中皿1から抜き取る際、半固化製品K2の部分付着、部分破壊を防止することができる。
【0089】
また、前記接合連結部12bを上記寸法とすることで、仕切りプレート11Aの保持の確実化と、仕上げ成形の容易化を図ることができ、化粧材の漏れ防止、成形する製品デザインの再現性、仕切りプレート11A及び各バキュームパット33A、63Aの破損防止を実現できる。
【0090】
また、本実施例2においては、予備成形ユニット31において、前記バキュームパット33に替えて、図27に示すように、前記仕切りプレート11Aの仕切り部材12Aの形状に対応させた溝部33dを設けたバキュームパット33Aを用いる。
【0091】
本実施例2においては、エアーブローユニット41において、前記エアーブローパット45に替えて、図示しないが前記仕切りプレート11Aの仕切り部材12Aの形状に対応させた凹溝を設けたエアーブローパット45Aを用いる。
【0092】
本実施例2においては、自動機構51において、前記抜き治具52に替えて、図28に示すように、前記仕切りプレート11Aの仕切り部材12Aの形状に対応させた凹溝55aを設けた抜き治具52Aを用いる。
【0093】
本実施例2においては、仕上げプレスユニット61において、前記バキュームパット63に替えて、図29に示すように、実施例1と同様なバキュームパット63を用いる。
【0094】
次に、本実施例2に予備成形ユニット31を使用した予備充填成形工程について図30乃至図32を参照して説明する。
【0095】
図30に示すように、ホルダ23の上面に仕切りプレート11Aが装着された中皿1を支持した状態で、予備充填成形工程を開始する。
【0096】
そして、図31に示すように、前記予備成形ユニット31の予備成形ユニット本体32を中皿1の上方に配置し、かつ、前記化粧材拘束部材39を、バキュームパット33A及びストリッパープレート34と中皿1の上面との間に配置するとともに、3色対応として予備充填ノズル36を垂直起立配置に備える予備充填ユニット本体37を前記ベース21、ホルダ23の下側に配置し、各予備充填ノズル36を前記ベース21の抜穴22内から前記ホルダ23の3個の貫通穴25に臨ませる配置とする。
【0097】
次に、図32に示すように、制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作による位置指定で前記上部上下動機構35により前記予備成形ユニット本体32を下降させて、前記バキュームパット33Aを中皿1の開口側上に位置決めするとともに、前記化粧材拘束部材39を中皿1の上面に圧接させ、更に3色分の予備充填ノズル36を備える予備充填ユニット本体37を下部上下動機構38により上昇駆動して、各予備充填ノズル36を前記中皿1の下側から各貫通穴3に上昇圧接させる。
【0098】
次に、制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作に基づき加圧力、充填時間を設定した状態で、外部充填用ポンプの動作により各予備充填ノズル36から3色のスラリー状化粧材K1を前記中皿1内の前記仕切りプレート11Aで仕切られた島残しデザイン充填部に圧入充填すると同時に、前記バキュームパット33の継手用穴33bから中皿1内に押し出されたスラリー状化粧材K1中の溶剤を前記化粧材拘束部材39を介在させつつ図示しない真空ポンプで外部貯留タンクに吸引回収して、予備充填成形工程を実行する。
【0099】
そして、前記上部上下動機構35により予備成形ユニット本体32を上昇させ、前記化粧材拘束部材39を除去し、更に下部上下動機構38により予備充填ユニット本体37を下降させて、予備充填成形工程を終了し、次工程に移る。
【0100】
前記エアーブローユニット41によるエアーブロー工程では、まず、図33に示すように、エアーブローユニット本体42を中皿1の上方に配置する。
【0101】
次に、図34に示すように、前記エアーブローユニット本体42に取り付けたエアーブローパット45Aを制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作による制御部83の制御の基に前記エアーブローユニット駆動機構47により下降させて、エアーブローパット45Aの溝堀部分を前記中皿1に装着した仕切りプレート11Aの仕切り部材12Aの上端に嵌着するとともに、フィンガー46により前記鍔部13をクランプする。
【0102】
そして、図34に示すように、前記加圧エアーポンプを動作させ、前記エアーブローパット45Aの貫通穴44から加圧エアーを中皿1内に予備充填されたスラリー状化粧材K1に向けて噴出してその持ち上がりを防止しつつ、エアーブロー工程を実行する。
【0103】
次に、図35に示すように、フィンガー46により鍔部13をクランプしつつエアーブローユニット駆動機構47によりフィンガー46及びエアーブローユニット本体42を上昇させ、前記フィンガー46によりエアーブローパット45Aの外周を挟み込むようにしてエアーブローユニット本体42、鍔部13を除去し、前記ホルダ23上に、半固化製品K2が予備充填成形され、仕切りプレート11Aが残存する中皿1のみが存在する状態とし、エアーブロー工程を終了する。
【0104】
仕切りプレート抜き取り工程では、図36に示すように、制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作による制御部83の制御の基に前記抜き治具上下動機構57により抜き治具52Aを前記中皿1の上方に配置した後、各ガイドピン53を前記ホルダ23の各ガイド穴26に嵌合させつつ下降させることで位置決めし、抜き治具52Aの突出端面部54を前記中皿1の上面に当接する。
【0105】
そして、制御部83の制御の基にエアーポンプからのエアーによるエアーブローを実行しつつ抜き治具52Aを固定した状態で仕切りプレート11Aのみを上昇させ、仕切りプレート11Aの上端部分を抜き治具52Aの凹溝55aに嵌着して仕切りプレート11Aと抜き治具52Aとを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構57により抜き治具52Aを上昇させることで、前記中皿1から仕切りプレート11Aを上方に抜き取る。
【0106】
このとき、図37に示すように、前記仕切りプレート11Aが抜き取られた中皿1内の3色構成の半固化製品K2には、前記仕切りプレート11Aの仕切り部材12Aが存在していたため、その形状、板厚に対応した島残しデザイン形状の隙間58が生じた状態となる。
【0107】
次に、前記仕上げプレスユニット61を使用した仕上げプレス工程について説明する。
図38に示すように、前記仕上げプレスユニット本体62を中皿1の上方に配置し、かつ、前記化粧材拘束部材67を、バキュームパット63A、仕上げストリッパープレート65と中皿1の上面との間に配置する。
【0108】
また、3個の充填穴塞ぎピン68を備える充填穴塞ぎユニット69をベース21、ホルダ23の下側に配置し、各充填穴塞ぎピン68を前記ベース21の抜穴22内から前記ホルダ23の貫通穴25に臨ませる配置とする。
【0109】
次に、図39に示すように、制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作による制御部83の制御の基に位置指定で仕上げプレスユニット上下動機構66により前記仕上げプレスユニット本体62を下降させて、バキュームパット63Aを中皿1の開口側上に位置決めするとともに、前記化粧材拘束部材67を中皿1の上面に圧接させ、更に充填穴塞ぎユニット69を充填穴塞ぎユニット上下動機構70により上昇駆動して、充填穴塞ぎピン68により前記中皿1の下側から各貫通穴3に上昇圧接させて閉塞する。
【0110】
そして、前記バキュームパット63Aの溶剤回収のための継手用穴64から中皿1内に予備充填成形された半固化製品K2に残存する溶剤を化粧材拘束部材67を介在させつつ真空ポンプの動作で外部貯留タンクに吸引回収するとともに、制御ユニット81の操作部84のオペレータ操作による制御部83の制御の基に加圧力を設定した状態で、前記仕上げプレスユニット本体62のバキュームパット63Aにより前記化粧材拘束部材67を介在しつつ中皿1内の半固化製品K2を圧接しプレス成形して前記隙間58を無くし、半固化製品K2の表面形状を整えて3色構成の製品K3の感触を充足させる処理を行う。
【0111】
次に、図40に示すように、仕上げプレスユニット本体62を上昇させ、また、充填穴塞ぎピン68を下降させて各々除去し、化粧材拘束部材67も除去して仕上げプレス工程を終了する。
【0112】
次に、前記ホルダ23から前記中皿1を取り出し、乾燥して製品K3とする。
【0113】
このようにしてA色、B色及びC色からなる3色構成の製品K3を成形した中皿1の表面の状態を図41に示す。
【0114】
本実施例2によれば、従来の充填技術では不可能とされていた所定の厚さの仕切りプレート11の仕切り部材12で区画される巴形状、花柄模様、水玉模様、動物の姿柄等の島残しデザインに対応した立体デザインを有する製品K3を成形でき、粉塵の飛散による粉塵被爆、塵肺障害等の問題がなく、乾燥後クラックの発生や衝撃強度不足等の問題がなく、自由度の高い立体デザインを有する高い品質の製品K3をシャープラインで充填成形でき、製品デザインの自由度拡大による他社製品との差別化、及び販売店陳列棚における陳列販売時におけるアイキャッチによる購買意欲の増大に寄与することが可能な湿式化粧料の多色充填成形装置及び多色充填成形方法を実現することができる。
【0115】
なお、上述した実施例1では4色の複合デザインを有する製品K3を、実施例2では3色の複合デザインを有する製品K3を成形する場合について説明したが、この他、例えば2色、5色、6色等の製品K3を成形する場合、更には単色の製品K3を成形する場合にも本実施例1、2の多色充填成形装置及び多色充填成形方法を適用できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、十字状等の複合デザイン、巴形状、花柄模様、水玉模様、動物の姿柄等のような島残しデザイン、更には複合デザイン及び島残しデザインを組み合わせた更に複雑なデザインのような、従来の技術では充填成形できない多様な製品デザインを有する複数色の製品をシャープラインで充填成形でき、湿式化粧料の充填成形分野に広範に適用可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 中皿
2 仕切りガイド突起
3 貫通穴
11 仕切りプレート
11A 仕切りプレート
12 仕切り部材
12A 仕切り部材
12b 接合連結部
13 鍔部
21 ベース
22 抜穴
23 ホルダ
24 池堀部
25 貫通穴
26 ガイド穴
31 予備成形ユニット
32 予備成形ユニット本体
33 バキュームパット
33A バキュームパット
33a 貫通穴
33b 継手用穴
33c 溝部
33d 溝部
34 ストリッパープレート
35 上部上下動機構
36 予備充填ノズル
37 予備充填ユニット本体
38 下部上下動機構
39 化粧材拘束部材
41 エアーブローユニット
42 エアーブローユニット本体
43 エアーブロー用継手
44 貫通穴
45 エアーブローパット
45A エアーブローパット
46 フィンガー
47 エアーブローユニット駆動機構
51 自動機構
52 抜き治具
52A 抜き治具
53 ガイドピン
54 突出端面部
55 凹溝
55a 凹溝
56 貫通穴
57 抜き治具上下動機構
58 隙間
61 仕上げプレスユニット
62 仕上げプレスユニット本体
63 バキュームパット
63A バキュームパット
64 継手用穴
65 仕上げストリッパープレート
66 仕上げプレスユニット上下動機構
67 化粧材拘束部材
68 充填穴塞ぎピン
69 充填穴塞ぎユニット
70 充填穴塞ぎユニット上下動機構
71 貫通孔
72 段差(又は凸形状)
81 制御ユニット
82 プログラムメモリ
83 制御部
84 操作部
85 表示部
K1 スラリー状化粧材
K2 半固化製品
K3 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材からなり有底皿状に形成されて、底部に複数色分の貫通穴を設けた仕切りの無い中皿と、
複数色用の製品デザイン充填部を形成する仕切り部材を設けるとともに、脱着可能な鍔部を有し、前記中皿内に装着する仕切りプレートと、
複数色分の予備充填ノズル挿通用の貫通穴を設け、前記中皿が載置されるホルダと、
前記ホルダを支持するベースと、
前記仕切りプレートが中皿内に形成する製品デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備えた予備成形ユニット本体と、予備成形ユニット本体の下部に取り付けた前記中皿内に充填されたスラリー状化粧材の溶剤回収用のバキュームパットと、予備成形ユニット本体の上部に配置した上部上下動機構と、前記ベースの下方に配置した色数分の予備充填ノズルを垂直起立配置に備える予備充填ユニット本体と、各予備充填ノズルにスラリー状化粧材を圧送する色数分の図示しない外部充填用ポンプと、前記予備充填ユニット本体を上下駆動する下部上下動機構と、前記バキュームパットと中皿との間に、巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、を有する予備成形ユニットと、
多数のエアーブロー用の貫通穴が穿設されて、中皿内のスラリー状化粧材に対するエアーブローを行い半固化製品とするエアーブローパットを備えたエアーブローユニット本体と、前記仕切りプレートに取り付けた鍔部をクランプして抜き取り、エアーブローパットの外周に嵌着するフィンガーと、前記エアーブローユニット本体の上下駆動、前記フィンガーのクランプ動作、加圧エアーポンプのエアー吐出動作を実行するエアーブローユニット駆動機構と、を有するエアーブローユニットと、
前記中皿の開口形状に対応させた平坦な突出端面部に前記仕切りプレートの形状に倣った十字形状の凹溝を設けた抜き治具と、この抜き治具をホルダ上の前記中皿に対して位置決めし、突出端面部を前記中皿の上面に当接させ、抜き治具を固定した状態で仕切りプレートのみを上昇させ、仕切りプレートの上端部分を抜き治具の凹溝に嵌着して仕切りプレートと抜き治具とを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構により抜き治具を上昇させることで、前記中皿から仕切りプレートを上方に抜き取り、中皿内の半固化製品に前記仕切りプレートの仕切り部材の形状に対応した隙間を生じさせる状態とする抜き治具上下動機構と、を有する自動機構と、
前記仕切りプレートが抜き取られた中皿の上方に配置する仕上げプレスユニット本体と、仕上げプレスユニット本体の下部に取り付ける溶剤回収用のバキュームパットと、仕上げプレスユニット本体を上下駆動する仕上げプレスユニット上下動機構と、前記バキュームパットと、中皿との間に巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、前記ホルダの下方に配置する複数色分の充填穴塞ぎピンを垂直起立配置に備える充填穴塞ぎユニットと、この充填穴塞ぎユニットを上下駆動する充填穴塞ぎユニット上下動機構と、有し、前記バキュームパットにより前記化粧材拘束部材を介在しつつ中皿内の半固化製品を圧接しプレス成形して前記隙間を無くし、半固化製品の表面形状を整えて中皿内に製品デザイン形状の複数色の製品を成形する仕上げプレスユニットと、
を有することを特徴とする湿式化粧料の多色充填成形装置。
【請求項2】
合成樹脂材からなり有底皿状に形成され、底部に複数色分の貫通穴を設けた仕切りの無い中皿と、
複数色用の当分割の十字状、又は不当分割の十字状、菱形形状等の中皿内側に接する複合デザインを形成する複合デザイン充填部を形成する仕切り部材を設けるとともに、脱着可能な鍔部を有し、前記中皿内に装着する仕切りプレートと、
複数色分の予備充填ノズル挿通用の貫通穴を設け、前記中皿が載置されるホルダと、
前記ホルダを支持するベースと、
前記仕切りプレートが中皿内に形成する複合デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備えた予備成形ユニット本体と、予備成形ユニット本体の下部に取り付けた前記中皿内に充填されたスラリー状化粧材の溶剤回収用のバキュームパットと、予備成形ユニット本体の上部に配置した上部上下動機構と、前記ベースの下方に配置した色数分の予備充填ノズルを垂直起立配置に備える予備充填ユニット本体と、各予備充填ノズルにスラリー状化粧材を圧送する色数分の図示しない外部充填用ポンプと、前記予備充填ユニット本体を上下駆動する下部上下動機構と、前記バキュームパットと中皿との間に、巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、を有する予備成形ユニットと、
多数のエアーブロー用の貫通穴が穿設され、中皿内のスラリー状化粧材に対するエアーブローを行い半固化製品とするエアーブローパットを備えたエアーブローユニット本体と、前記仕切りプレートに取り付けた鍔部をクランプして抜き取り、エアーブローパットの外周に嵌着するフィンガーと、前記エアーブローユニット本体の上下駆動、前記フィンガーのクランプ動作、加圧エアーポンプのエアー吐出動作を実行するエアーブローユニット駆動機構と、を有するエアーブローユニットと、
前記中皿の開口形状に対応させた平坦な突出端面部に前記仕切りプレートの形状に倣った十字形状の凹溝を設けた抜き治具と、この抜き治具をホルダ上の前記中皿に対して位置決めし、突出端面部を前記中皿の上面に当接させ、抜き治具を固定した状態で仕切りプレートのみを上昇させ、仕切りプレートの上端部分を抜き治具の凹溝に嵌着して仕切りプレートと抜き治具とを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構により抜き治具を上昇させることで、前記中皿から仕切りプレートを上方に抜き取り、中皿内の半固化製品に前記仕切りプレートの仕切り部材の形状に対応した隙間を生じさせる状態とする抜き治具上下動機構と、を有する自動機構と、
前記仕切りプレートが抜き取られた中皿の上方に配置する仕上げプレスユニット本体と、仕上げプレスユニット本体の下部に取り付ける溶剤回収用のバキュームパットと、仕上げプレスユニット本体を上下駆動する仕上げプレスユニット上下動機構と、前記バキュームパットと、中皿との間に巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、前記ホルダの下方に配置する複数色分の充填穴塞ぎピンを垂直起立配置に備える充填穴塞ぎユニットと、この充填穴塞ぎユニットを上下駆動する充填穴塞ぎユニット上下動機構と、有し、前記バキュームパットにより前記化粧材拘束部材を介在しつつ中皿内の半固化製品を圧接しプレス成形して前記隙間を無くし、半固化製品の表面形状を整えて中皿内に当分割の十字状、又は不当分割の十字状、菱形形状等からなる複合デザイン形状の複数色の製品を成形する仕上げプレスユニットと、
を有することを特徴とする湿式化粧料の多色充填成形装置。
【請求項3】
合成樹脂材からなり有底皿状に形成され、底部に複数色分の貫通穴を設けた仕切りの無い中皿と、
複数色用の巴形状、花柄模様、水玉模様、動物の姿柄等の中皿内側に接しない島残しデザインからなる島残しデザイン充填部を形成する仕切り部材を設けるとともに、脱着可能な鍔部を有し、前記中皿内に装着する仕切りプレートと、
複数色分の予備充填ノズル挿通用の貫通穴を設け、前記中皿が載置されるホルダと、
前記ホルダを支持するベースと、
前記仕切りプレートが中皿内に形成する島残しデザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備えた予備成形ユニット本体と、予備成形ユニット本体の下部に取り付けた前記中皿内に充填されたスラリー状化粧材の溶剤回収用のバキュームパットと、予備成形ユニット本体の上部に配置した上部上下動機構と、前記ベースの下方に配置した色数分の予備充填ノズルを垂直起立配置に備える予備充填ユニット本体と、各予備充填ノズルにスラリー状化粧材を圧送する色数分の図示しない外部充填用ポンプと、前記予備充填ユニット本体を上下駆動する下部上下動機構と、前記バキュームパットと中皿との間に、巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、を有する予備成形ユニットと、
多数のエアーブロー用の貫通穴が穿設され、中皿内のスラリー状化粧材に対するエアーブローを行い半固化製品とするエアーブローパットを備えたエアーブローユニット本体と、前記仕切りプレートに取り付けた鍔部をクランプして抜き取り、エアーブローパットの外周に嵌着するフィンガーと、前記エアーブローユニット本体の上下駆動、前記フィンガーのクランプ動作、加圧エアーポンプのエアー吐出動作を実行するエアーブローユニット駆動機構と、を有するエアーブローユニットと、
前記中皿の開口形状に対応させた平坦な突出端面部に前記仕切りプレートの形状に倣った十字形状の凹溝を設けた抜き治具と、この抜き治具をホルダ上の前記中皿に対して位置決めし、突出端面部を前記中皿の上面に当接させ、抜き治具を固定した状態で仕切りプレートのみを上昇させ、仕切りプレートの上端部分を抜き治具の凹溝に嵌着して仕切りプレートと抜き治具とを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構により抜き治具を上昇させることで、前記中皿から仕切りプレートを上方に抜き取り、中皿内の半固化製品に前記仕切りプレートの仕切り部材の形状に対応した隙間を生じさせる状態とする抜き治具上下動機構と、を有する自動機構と、
前記仕切りプレートが抜き取られた中皿の上方に配置する仕上げプレスユニット本体と、仕上げプレスユニット本体の下部に取り付ける溶剤回収用のバキュームパットと、仕上げプレスユニット本体を上下駆動する仕上げプレスユニット上下動機構と、前記バキュームパットと、中皿との間に巻き取り可能に配置した不織布等からなる帯状の化粧材拘束部材と、前記ホルダの下方に配置する複数色分の充填穴塞ぎピンを垂直起立配置に備える充填穴塞ぎユニットと、この充填穴塞ぎユニットを上下駆動する充填穴塞ぎユニット上下動機構と、有し、前記バキュームパットにより前記化粧材拘束部材を介在しつつ中皿内の半固化製品を圧接しプレス成形して前記隙間を無くし、半固化製品の表面形状を整えて中皿内に巴形状、花柄模様、水玉模様、動物の姿柄等の島残しデザイン形状の複数色の製品を成形する仕上げプレスユニットと、
を有することを特徴とする湿式化粧料の多色充填成形装置。
【請求項4】
前記複合デザイン部を形成する仕切りプレートは、ステンレス製スプリング材の一体構造物で、中皿底面と上面まで仕切り部材があり、前記仕切り部材の厚さは、中皿底面に接する部分は、0.2〜0.4mmと薄くし、上部を0.3〜0.6mmと厚くした下薄・上厚の連続形状に形成し、前記中皿の内面における辺部の底部に、複合デザイン充填部を形成する仕切りプレートの仕切り部材を位置決めする仕切りガイド突起を複数箇所設け、隣り合う仕切りガイド突起と仕切りガイド突起との隙間は、仕切りプレートの厚さに対応させて0.2〜0.5mm、中皿底面から高さ0.3〜3.0mm、中皿内面中方への突出長さは0.3〜2.0mmとし、前記仕切りプレートの中皿への挿入時の仕切り位置決め用として機能させることを特徴とする請求項2記載の湿式化粧料の多色充填成形装置。
【請求項5】
前記島残しデザイン部を形成する仕切りプレートは、ステンレス製スプリング材の一体構造物で、中皿底面と上面まで仕切り部材があり、前記仕切り部材の厚さは、中皿底面に接する部分は、0.2〜0.4mmと薄くし、上部を0.3〜0.6mmと厚くした下薄・上厚の連続形状に形成し、中皿上面外側枠と島残しデザイン部とを連結する接合連結部は、仕切り上部(充填される化粧材の上面)の、幅0.4〜2.0mm、厚さ0.4〜2.0mmで、島残しデザイン部と複数箇所において平面構造で連結されていることを特徴とする請求項3記載の湿式化粧料の多色充填成形装置。
【請求項6】
合成樹脂材からなり有底皿状に形成され、底部に複数色分の貫通穴を設けた仕切りの無い中皿を、ベースにより支持する複数色分の予備充填ノズル挿通用の貫通穴を設けたホルダ上に配置し、前記中皿内に、複数色用の製品デザイン充填部を形成する仕切り部材を設け、脱着可能な鍔部を有する仕切りプレートを装着する準備工程と、
前記製品デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備えた予備成形ユニット本体を中皿の上方に配置し、かつ、不織布等からなる化粧材拘束部材をバキュームパットと中皿の上面との間に配置するとともに、予備充填ユニット本体の複数色分の予備充填ノズルを前記ホルダの貫通穴に臨ませる配置とし、上部上下動機構により前記予備成形ユニット本体を下降させて、前記バキュームパットを中皿の開口側上に位置決めするとともに、前記化粧材拘束部材を中皿の上面に圧接させ、更に複数色分の予備充填ノズルを下部上下動機構により上昇駆動して、各予備充填ノズルを前記中皿の下側から各貫通穴に上昇圧接させ、加圧力、充填時間を設定した状態で、外部充填用ポンプの動作により各予備充填ノズルから複数色のスラリー状化粧材を前記中皿内の前記仕切りプレートで仕切られた製品合デザイン充填部に圧入充填すると同時に、前記バキュームパット、化粧材拘束部材を経て中皿内に押し出されたスラリー状化粧材中の溶剤を吸引回収する予備充填成形工程と、
予備充填成形後の中皿の上方にエアーブローユニット本体を配置し、前記エアーブローユニット本体に取り付けたエアーブローパットを、制御ユニットの制御の基に、エアーブローユニット本体をエアーブローユニット駆動機構により下降させて、エアーブローパットの前記仕切り部材に形状に対応させた溝堀部分を前記中皿に装着した仕切りプレートの仕切り部材の上端に嵌着するとともに、フィンガーにより前記仕切りプレートの鍔部をクランプし、前記エアーブローパットの貫通穴から加圧エアーを中皿内に予備充填されたスラリー状化粧材に向けて噴出してその持ち上がりを防止しつつ、エアーブローを行い、前記鍔部をエアーブローユニット本体とともに上昇して除去し、前記ホルダ上に半固化製品が予備充填成形され、仕切りプレートが残存する中皿のみが存在する状態とするエアーブロー工程と、
制御ユニットの制御の基に抜き治具上下動機構により抜き治具を前記中皿の上方に配置した後、各ガイドピンを前記ホルダの各ガイド穴に嵌合させつつ下降させることで位置決めし、突出端面部を前記中皿の上面に当接させ、抜き治具を固定した状態で仕切りプレートのみを上昇させ、仕切りプレートの上端部分を抜き治具の凹溝に嵌着して仕切りプレートと抜き治具とを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構により抜き治具を上昇させることで、前記中皿から仕切りプレートを上方に抜き取り、中皿内の半固化製品に前記仕切りプレートの仕切り部材の形状に対応した隙間を生じさせる状態とする仕切りプレート抜き取り工程と、
製品デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備える仕上げプレスユニット本体を、仕切りプレートが抜き取られた前記中皿の上方に配置し、かつ、不織布等からなる化粧材拘束部材をバキュームパットと中皿の上面との間に配置するとともに、充填穴塞ぎユニットの複数色分の充填穴塞ぎピンを前記ホルダの貫通穴に臨ませる配置とし、制御ユニットの制御の基に、位置指定で仕上げプレスユニット上下動機構により前記仕上げプレスユニット本体を下降させて、バキュームパットを中皿の開口側上に位置決めするとともに、前記化粧材拘束部材を中皿の上面に圧接させ、前記充填穴塞ぎユニットを充填穴塞ぎユニット上下動機構により上昇駆動して、充填穴塞ぎピンにより前記中皿の下側から各貫通穴に上昇圧接させて閉塞し、前記バキュームパットを使用して中皿内に予備充填成形された半固化製品に残存する溶剤を吸引回収しつつ加圧力を調整した状態で、前記バキュームパットにより前記化粧材拘束部材を介在しつつ中皿内の半固化製品を圧接しプレス成形して前記隙間を無くし、半固化製品の表面形状を整えて中皿内に製品デザイン形状の複数色の製品を成形する仕上げプレス工程と、
を有することを特徴とする湿式化粧料の多色充填成形方法。
【請求項7】
合成樹脂材からなり平面視四角形状の有底皿状に形成され、底部に複数色分の貫通穴を設けた仕切りの無い中皿を、ベースにより支持する複数色分の予備充填ノズル挿通用の貫通穴を設けたホルダ上に配置し、前記中皿内に、当分割の十字状、又は不当分割の十字状、菱形形状等の中皿内側に接する複合デザインを形成する複合デザイン充填部を形成する仕切り部材を設け、脱着可能な鍔部を有する仕切りプレートを装着する準備工程と、
前記複合デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備えた予備成形ユニット本体を中皿の上方に配置し、かつ、不織布等からなる化粧材拘束部材をバキュームパットと中皿の上面との間に配置するとともに、予備充填ユニット本体の複数色分の予備充填ノズルを前記ホルダの貫通穴に臨ませる配置とし、上部上下動機構により前記予備成形ユニット本体を下降させて、前記バキュームパットを中皿の開口側上に位置決めするとともに、前記化粧材拘束部材を中皿の上面に圧接させ、更に複数色分の予備充填ノズルを下部上下動機構により上昇駆動して、各予備充填ノズルを前記中皿の下側から各貫通穴に上昇圧接させ、制御ユニットの制御の基に、加圧力、充填時間を設定した状態で、外部充填用ポンプの動作により各予備充填ノズルから複数色のスラリー状化粧材を前記中皿内の前記仕切りプレートで仕切られた複合デザイン充填部に圧入充填すると同時に、前記バキュームパット、化粧材拘束部材を経て中皿内に押し出されたスラリー状化粧材中の溶剤を吸引回収する予備充填成形工程と、
予備充填成形後の中皿の上方にエアーブローユニット本体を配置し、前記エアーブローユニット本体に取り付けたエアーブローパットを、制御ユニットの制御の基に、エアーブローユニット本体をエアーブローユニット駆動機構により下降させて、エアーブローパットの前記仕切り部材に形状に対応させた溝堀部分を前記中皿に装着した仕切りプレートの仕切り部材の上端に嵌着するとともに、フィンガーにより前記仕切りプレートの鍔部をクランプし、前記エアーブローパットの貫通穴から加圧エアーを中皿内に予備充填されたスラリー状化粧材に向けて噴出してその持ち上がりを防止しつつ、エアーブローを行い、前記鍔部をエアーブローユニット本体とともに上昇して除去し、前記ホルダ上に半固化製品が予備充填成形され、仕切りプレートが残存する中皿のみが存在する状態とするエアーブロー工程と、
制御ユニットの制御の基に抜き治具上下動機構により抜き治具を前記中皿の上方に配置した後、各ガイドピンを前記ホルダの各ガイド穴に嵌合させつつ下降させることで位置決めし、突出端面部を前記中皿の上面に当接させ、抜き治具を固定した状態で仕切りプレートのみを上昇させ、仕切りプレートの上端部分を抜き治具の複合デザイン充填部の形状に対応した凹溝に嵌着して仕切りプレートと抜き治具とを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構により抜き治具を上昇させることで、前記中皿から仕切りプレートを上方に抜き取り、中皿内の半固化製品に前記仕切りプレートの仕切り部材の形状に対応した隙間を生じさせる状態とする仕切りプレート抜き取り工程と、
複合デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備える仕上げプレスユニット本体を、仕切りプレートが抜き取られた前記中皿の上方に配置し、かつ、不織布等からなる化粧材拘束部材をバキュームパットと中皿の上面との間に配置するとともに、充填穴塞ぎユニットの複数色分の充填穴塞ぎピンを前記ホルダの貫通穴に臨ませる配置とし、制御ユニットの制御部の制御の基に、位置指定で仕上げプレスユニット上下動機構により前記仕上げプレスユニット本体を下降させて、バキュームパットを中皿の開口側上に位置決めし、前記化粧材拘束部材を中皿の上面に圧接させ、前記充填穴塞ぎユニットを充填穴塞ぎユニット上下動機構により上昇駆動して、充填穴塞ぎピンにより前記中皿の下側から各貫通穴に上昇圧接させて閉塞し、前記バキュームパットを使用して中皿内に予備充填成形された半固化製品に残存する溶剤を吸引回収しつつ加圧力を調整した状態で、前記バキュームパットにより前記化粧材拘束部材を介在しつつ中皿内の半固化製品を圧接しプレス成形して前記隙間を無くし、半固化製品の表面形状を整えて中皿内に当分割の十字状、又は不当分割の十字状、菱形形状等からなる複合デザイン形状の複数色の製品を成形する仕上げプレス工程と、
を有することを特徴とする湿式化粧料の多色充填成形方法。
【請求項8】
合成樹脂材からなり平面視四角形状の有底皿状に形成されて、底部に複数色分の貫通穴を設けた仕切りの無い中皿を、ベースにより支持する複数色分の予備充填ノズル挿通用の貫通穴を設けたホルダ上に配置して、前記中皿内に、巴形状、花柄模様、水玉模様、動物の姿柄等のような中皿内側に接しない島残しデザインを形成する島残しデザイン充填部を形成する仕切り部材を設け、脱着可能な鍔部を有する仕切りプレートを装着する準備工程と、
前記複合デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備えた予備成形ユニット本体を中皿の上方に配置し、かつ、不織布等からなる化粧材拘束部材をバキュームパットと中皿の上面との間に配置するとともに、予備充填ユニット本体の複数色分の予備充填ノズルを前記ホルダの貫通穴に臨ませる配置とし、上部上下動機構により前記予備成形ユニット本体を下降させて、前記バキュームパットを中皿の開口側上に位置決めするとともに、前記化粧材拘束部材を中皿の上面に圧接させ、更に複数色分の予備充填ノズルを下部上下動機構により上昇駆動して、各予備充填ノズルを前記中皿の下側から各貫通穴に上昇圧接させ、制御ユニットの制御の基に、加圧力、充填時間を設定した状態で、外部充填用ポンプの動作により各予備充填ノズルから複数色のスラリー状化粧材を前記中皿内の前記仕切りプレートで仕切られた島残しデザイン充填部に圧入充填すると同時に、前記バキュームパット、化粧材拘束部材を経て中皿内に押し出されたスラリー状化粧材中の溶剤を吸引回収する予備充填成形工程と、
予備充填成形後の中皿の上方にエアーブローユニット本体を配置し、前記エアーブローユニット本体に取り付けたエアーブローパットを、制御ユニットの制御の基に、エアーブローユニット本体をエアーブローユニット駆動機構により下降させて、エアーブローパットの前記仕切り部材に形状に対応させた溝堀部分を前記中皿に装着した仕切りプレートの仕切り部材の上端に嵌着するとともに、フィンガーにより前記仕切りプレートの鍔部をクランプし、前記エアーブローパットの貫通穴から加圧エアーを中皿内に予備充填されたスラリー状化粧材に向けて噴出してその持ち上がりを防止しつつ、エアーブローを行い、前記鍔部をエアーブローユニット本体とともに上昇して除去し、前記ホルダ上に半固化製品が予備充填成形され、仕切りプレートが残存する中皿のみが存在する状態とするエアーブロー工程と、
制御ユニットの制御の基に抜き治具上下動機構により抜き治具を前記中皿の上方に配置した後、各ガイドピンを前記ホルダの各ガイド穴に嵌合させつつ下降させることで位置決めし、突出端面部を前記中皿の上面に当接させ、抜き治具を固定した状態で仕切りプレートのみを上昇させ、仕切りプレートの上端部分を抜き治具の島残しデザイン充填部の形状に対応した凹溝に嵌着して仕切りプレートと抜き治具とを連結状態とし、更に抜き治具上下動機構により抜き治具を上昇させることで、前記中皿から仕切りプレートを上方に抜き取り、中皿内の半固化製品に前記仕切りプレートの仕切り部材の形状に対応した隙間を生じさせる状態とする仕切りプレート抜き取り工程と、
複合デザイン充填部の形状に沿った凹状の溝部を設け、多数の溶剤回収用の貫通穴を設けたバキュームパットを備える仕上げプレスユニット本体を、仕切りプレートが抜き取られた前記中皿の上方に配置し、かつ、不織布等からなる化粧材拘束部材をバキュームパットと中皿の上面との間に配置するとともに、充填穴塞ぎユニットの複数色分の充填穴塞ぎピンを前記ホルダの貫通穴に臨ませる配置とし、制御ユニットの制御部の制御の基に、位置指定で仕上げプレスユニット上下動機構により前記仕上げプレスユニット本体を下降させて、バキュームパットを中皿の開口側上に位置決めし、前記化粧材拘束部材を中皿の上面に圧接させ、前記充填穴塞ぎユニットを充填穴塞ぎユニット上下動機構により上昇駆動して、充填穴塞ぎピンにより前記中皿の下側から各貫通穴に上昇圧接させて閉塞し、前記バキュームパットを使用して中皿内に予備充填成形された半固化製品に残存する溶剤を吸引回収しつつ加圧力を調整した状態で、前記バキュームパットにより前記化粧材拘束部材を介在しつつ中皿内の半固化製品を圧接しプレス成形して前記隙間を無くし、半固化製品の表面形状を整えて中皿内に島残しデザイン形状の複数色の製品を成形する仕上げプレス工程と、
を有することを特徴とする湿式化粧料の多色充填成形方法。
【請求項9】
前記複合デザイン部を形成する仕切りプレートは、ステンレス製スプリング材の一体構造物で、中皿底面と上面まで仕切り部材があり、前記仕切り部材の厚さは、中皿底面に接する部分は、0.2〜0.4mmと薄くし、上部を0.3〜0.6mmと厚くした下薄・上厚の連続形状に形成し、前記中皿の内面における辺部の底部に、複合デザイン充填部を形成する仕切りプレートの仕切り部材を位置決めする仕切りガイド突起を複数箇所設け、隣り合う仕切りガイド突起と仕切りガイド突起との隙間は、仕切りプレートの厚さに対応させて0.2〜0.5mm、中皿底面から高さ0.3〜3.0mm、中皿内面中方への突出長さは0.3〜2.0mmとし、前記仕切りプレートの中皿への挿入時の仕切り位置決め用として機能させることを特徴とする請求項7記載の湿式化粧料の多色充填成形方法。
【請求項10】
前記島残しデザイン部を形成する仕切りプレートは、ステンレス製スプリング材の一体構造物で、中皿底面と上面まで仕切り部材があり、前記仕切り部材の厚さは、中皿底面に接する部分は、0.2〜0.4mmと薄くし、上部を0.3〜0.6mmと厚くした下薄・上厚の連続形状に形成し、中皿上面外側枠と島残しデザイン部とを連結する接合連結部は、仕切り上部(充填される化粧材の上面)の、幅0.4〜2.0mm、厚さ0.4〜2.0mmで、島残しデザイン部と複数箇所において平面構造で連結されていることを特徴とする請求項8記載の湿式化粧料の多色充填成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2012−192020(P2012−192020A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57722(P2011−57722)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(592070502)株式会社南陽 (4)