説明

湿気耐性を増強させたカバー層を具備する多層ゴルフボール

【課題】従来の材料が持つ、水分に対する耐性を増強した材料によるゴルフボールを提供する。
【解決手段】コア、より硬い非アイオノマー内側層、およびカバー層を有するゴルフボールである。内側層の材料硬度は50ショアDから80ショアDであり、その曲げ弾性率は30から175kpsiであり、当該内側層は、ポリエステルエラストマーを有する組成物を有する。コア層は、複数の反応性および/または非反応性の成分を具備する組成物から製造され、その材料硬度は25ショアDから70ショアDであり、その曲げ弾性率は2000psiから100000psiである、注型カバーは、数平均分子量が1500から10000の水素化テレチェリックポリ炭化水素ポリアールを有する組成物を含む。カバーは注型ウレタンまたは尿素の材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件の開示は、慣用的な材料に較べて水および水蒸気に対して増強された耐性があるカバー層により被覆されたポリエステルエラストマーの中間層を具備するゴルフボールに向けられている。
【0002】
この出願は、2005年10月5日出願の米国特許出願第11/243,850号(現在係属中)の一部継続出願であり、これは2005年9月14日出願の米国特許出願第11/162,538号(現在係属中)の一部継続出願であり、これは2003年9月5日出願の米国特許出願第10/656,704号(現在、米国特許第6,989,422号)の一部継続出願である。これら出願および特許は参照してここに組み入れる。
【背景技術】
【0003】
ゴルフボールを製造するために用いられる1つの慣用的な材料はバラタ、天然または合成トランス−ポリイソプレンゴムである。バラタ製のカバーは柔らかいので、プレーヤはボールの方向及び距離をより正確に制御するのに十分なスピンレートを実現できる。とくに短いショットにおいては顕著である。しかしながらバラタ製のカバーは平均的なゴルファにとっては耐久性に欠け、容易に損傷してしまう。したがって、バラタ被覆のボールのスピンレートおよびフィーリングを伴いつつ大きな耐久性および長い全体の飛行距離を実現するボールを目標に代替的なカバー組成物が開発されてきた。
【0004】
アイオノマー樹脂(例えばエチレンのようなオレフィンと(メタ)アクリル酸のようなエチレン系の不飽和カルボン酸とのコポリマー。ここで酸基は金属イオンにより部分的にまたは完全に中和される)も、ゴルフボールカバー材料として用いられてきた。アイオノマー製カバーはバラタ製カバーに較べると実質的に耐カット性があるが、スピンおよびフィーリングの特性では劣っている。
【0005】
ポリウレタンおよびポリ尿素は、ソフトな「フィーリング」を付与することにより、ゴルフボールカバーの有用な材料として認識されてきた。ただし、通常のポリウレタンカバーは、弾力性またはリバウンドの点でアイオノマーにいたらない。ポリウレタンまたはポリ尿素の組成物に用いられる不飽和な成分(例えば芳香族ジイソシアナート、芳香族ポリオール、および/または芳香族ポリアミン)により、少なくとも部分的に、熱または化学線、例えば紫外線(UV)の照射により組成物が脱色したり分解したりしやすくなる。通常のポリウレタンカバーは、湿気を吸収しやすく、これは、カバーに要求される所望の物理特性を損なう他の機構である。カバーを透過する湿気がコアの物理的および性能上の特性をさらに劣化させる。
【0006】
したがって、物理的および性能上の特徴の所望の、および/または、最適な組み合わせを具備し、さらに疎水性があり、その結果、湿気吸収耐性があるゴルフボール構造、とくに、ゴルフボールカバーに対する要請が依然として存在する。ここに開示されるゴルフボールは、プレイ特性を犠牲にすることなしに、優越した所望の疎水性および湿気吸収耐性を有する。
【発明の開示】
【0007】
この開示は、コア、このコアの回りに配された少なくとも1つの中間層、およびこの中間層の回りに配されたカバーを具備する多層ゴルフボールに向けられている。コアの直径は1.65インチ以下、好ましくは1.64インチ以下であてよく、その圧縮は100以下であってよく、100kg荷重時の撓みは1.0mm以上、好ましくは1.5mm以上であって良く、そのCoRは0.77以上、好ましくは0.78以上であってよい。中間層の材料硬度はショアDで50〜80であってよく、その曲げ弾性率は30〜175kpsiであってよい。ゴルフボールのC0Rは0.78以上、好ましくは0.79以上であってよく、その圧縮は110以下であってよく、その撓みは100kg荷重時で1.0mm以上であってよく、その直径は1.68インチ以上であってよく、そのMOIは87以下であってよく、そのディンプルパターンは250〜450のディンプルを有してよい。
【0008】
コアの比重は1.4g/cm以下であってよく、その中央の硬度は表面の硬度より3ショアCポイント以上小さくてよい。
【0009】
中間層はポリエステルエラストマー(Hytrel)から製造され、そのショアD硬度は50〜80の範囲でよく、その曲げ弾性率は30〜175kpsiの範囲でよい。中間層の硬度は外側カバーより少なくとも5ショアDポイント大きい。
【0010】
カバー層は、Mが1500から10000、好ましくは3000から5000、官能価が1.8から2.0、好ましくは1.9の水素化テレチェリックポリ炭化水素ポリアール、飽和ポリイソシアネート(例えばビス(イソシアナトシクロヘキシル)−メタン)、および、飽和第2アミン(例えばビス(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン)を有する組成物から生成されてよい。好ましくは、テレチェリックポリアールは、もたらされた反応生成物中でソフトセグメントを形成する。カバーはは熱可塑性または熱硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素、好ましくは鋳造熱硬化材であってよい。カバーの水蒸気透過性は0.1g・mm/(m・日・mmHg)以下であってよい。ゴルフボールは、雰囲気温度での3週間の水没試験で、0.003oz/wk以下のわずかな重量しか増えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この開示内容は、広くは、ゴルフボールおよびゴルフボールを製造するのに用いる組成物に向けられている。ゴルフボールの圧縮は110以下でよく、その撓みは100kg加重で1.0mm以上であり、その反発係数(「CoR」)は、0.79以上であり、好ましくは0.825以下であり、その慣性モーメント(「MOI」)は87以下であり、その全体の径は1.68インチ以上であり、および/またはそのディンプルパターンのディンプル数は250から450である。室温、水道水の全水没試験において、ゴルフボールの重量はわずかしか増加せず、平均の重量増加は好ましくは0.003oz/wk以下であり、より好ましくは0.002oz/wkであり、最も好ましくは0.001oz/wkである。MOIは典型的にはコネチカット州コリンスビルのInertia Dynamics社により製造されるモデル番号MOI−005−104の慣性モーメント測定器により測定される。測定器はPCのCOMMポートに接続され、MOI測定ソフトウェアバージョン#1.2により制御される。
【0012】
ゴルフボールは、コア、中間層、およびカバーからなる3ピース構造を具備してよい。オプションとして、ゴルフボールはカバー層の周りのコート層を有する。カバーは、ウレタンおよび/または尿素結合を含む熱可塑性または熱硬化性の材料(例えばポリウレタン、ポリ尿素)から製造されてよく、その材料硬度は25−65ショアDであり、曲げ弾性率は2000psi以上であり、および/または、水蒸気透過率(「WVTR」)はSurlyn(商標)と同等かそれ以下である。材料の水蒸気透過性は、g・mm/(m・日・mmHg)の単位で、0.1以下であり、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.03以下であり、最も好ましくは0.02以下である。ポリウレタンおよびポリ尿素は、ソフトな「フィーリング」を付与することにより、ゴルフボールカバーの有用な材料として認識されてきた。ただし、通常のポリウレタンカバーは、弾力性またはリバウンドの点でアイオノマーにいたらない。ポリウレタンまたはポリ尿素の組成物に用いられる不飽和な成分(例えば芳香族ジイソシアナート、芳香族ポリオール、および/または芳香族ポリアミン)により、少なくとも部分的に、熱または化学線、例えば紫外線(UV)の照射により組成物が脱色したり分解したりしやすくなる。通常のポリウレタンカバーは、湿気を吸収しやすく、これは、カバーに要求される所望の物理特性を損なう他の機構である。カバーを透過する湿気がコアの物理的および性能上の特性をさらに劣化させる。この発明は中間層用にポリエステルエラストマー(例えばHytrelファミリに入るもの)を使用することを含み、これにより、この層がカバーに較べて少なくとも5ショアDポイントだけ大きいという点で発明の1側面を実現する。このタイプの構造は距離に必要となる硬度を実現するけれども依然としてソフトポリエステルエラストマーカバーの「フィーリング」を維持する。このようなソフトカバーを従来技術において採用するときには、アイオノマーを利用して中間層中に湿気防護を実現する必要があった。この発明はカバー組成中に湿気防護を実現する。
【0013】
2ピースのボールのコアの直径は1.64インチ以下であってよく、その圧縮は100以下であってよく、100kg加重の撓みは1.5mm以上であってよく、CoRは0.78以上であってよく、比重は1.4g/cm以下であってよく、および/または、中央硬度は表面硬度より3ショアCポイント以上、好ましくは5ショアCポイント以上小さくてよい。コアは、遊離基開始剤で硬化されたゴム組成物から製造されてよく、この組成物は、ムーニー粘度が30以上で、架橋剤がゴム重量を基準にして15phr以上のレベルで、ゴムリグリンド、フィラー、および/またはオプションのCoR増強剤を含むゴムまたはゴムのブレンドであってよい。適切なゴム、遊離基開始剤、架橋剤、およびCoR増強剤は、それぞれ、高シスポリブタジエンゴム、ジクミルペルオキシド、亜鉛ジアクリレート、および亜鉛ペンタクロロチオフェノールを含み、同様に、親出願、米国特許出願第11/173,282号、同第60/689,901号に開示されているものの任意のものまたはすべてを含んでよく、これらの開示内容は参照してここに組み入れる。
【0014】
3ピースのボールのセンタの径は0.375インチから1.6インチであってよく、その圧縮は10から60であってよく、および/または、100kg加重の撓みは1.0mm以上であってよい。センタは、遊離基開始剤で硬化されたゴム組成物から製造されてよく、この組成物は、ムーニー粘度が30以上で、架橋剤が10phrから40phrで、ゴムリグリンド、フィラー、および/またはオプションのCoR増強剤を含むゴムまたはゴムのブレンドであってよい。3ピースのボールのセンタおよび外側コア層からなるコアの直径は1.64インチ以下であってよく、その圧縮は100以下であってよく、100kg加重の撓みは1.0mm以上であってよく、そのCoRは0.78以上であってよく、および/または、表面硬度は60ショアC以上であってよい。外側コア層は、遊離基開始剤で硬化されたゴム組成物から製造されてよく、この組成物は、ムーニー粘度が30以上で、架橋剤が25phrから55phrで、ゴムリグリンド、トランスポリイソプレン、フィラー、および/またはオプションのCoR増強剤を含むゴムまたはゴムのブレンドであってよい。
【0015】
ここに開示されるゴルフボールは、疎水性のポリ炭化水素の主鎖を具備する1または複数のテレチェリックポリアール(telecelic polyahl)から少なくとも一部を構成する組成物を含む。一例において、適切なテレチェリックポリアールのポリ分散性は1.35以下であり、好ましくは1.3以下(例えば1.26から1.23、またはそれ以下)、より好ましくは1.2以下、最も好ましくは1.1以下であり、1.0が理論最小値である。他の例においては、テレチェリックポリアールのポリ炭化水素の主鎖は部分的に、または、かなりな程度、または十分に水素化されていてよい。さらに他の例においては、テレチェリックポリアールは室温で液体でもよい。さらに他の例では、テレチェリックポリアールは、2.1以下、好ましくは2.0以下、ただし、1.8以上、好ましくは、1.9以上の官能価(例えば、ヒドロキシル基、第1または第2アミン)を有してもよい。さらに他の例では、テレチェリックポリアールのMは2000以上、好ましくは3000以上、ただし、5000以下であってよい。
【0016】
ホモテレチェリックポリアールにおいて、反応性の末端基はヒドロキシル基(第2、第3、好ましくは第1、またはこれらの組み合わせ)またはアミン基(第1、好ましくは第2またはこれらの組み合わせ)であってよい。ヘテロテレチェリックポリアールでは、反応性末端基の少なくとも1つはアミンまたはヒドロキシル基(例えば、1つは、アミン基であり、他の1つはヒドロキシル基である)である。テレチェリックポリアールの平均のヒドロキシルまたはアミンの官能価は1.6以上、好ましくは1.8以上であってよい。テレチェリックポリアールは、ポリマーの主鎖上の直接の末端に、主鎖から離れた側鎖がある場合にはその上の末端に、および/または、側鎖の末端があればその末端に付加的なヒドロキシルおよび/またはアミン基を有してもよい。任意の1または複数の第2アミンは部分的に単一環または複数環の複素環式構造を形成してもよい。好ましいホモテレチェリックポリアールはα,ω−ジヒドロキシテレチェリック、およびα,ω−ジアミノテレチェリックを含み、好ましいヘテロテレチェリックポリアールはα−アミノ−ω−ヒドロキシルテレチェリックを含む。
【0017】
適正なテレチェリックポリアールのアミンまたはヒオロキシル官能価は、所定の化学反応性および/または物理特性に対して具体的に選択されてよい。一例において、テレチェリックポリアールは、1.6以上、好ましくは1.8以上、より好ましくは1.9以上、加えて、好ましくは2.3以下、さらに好ましくは2.15以下、さらに好ましくは2.0以下の小さなアミンまたはヒドロキシル官能価を有してよい。他の例においては、テレチェリックポリアールは、2.4以上、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.6以下の中程度のアミンまたはヒドロキシル官能価を有してもよい。他のアミンまたはヒドロキシル官能価のテレチェリックポリアールを単独でまたは2つ以上の組み合わせで用いてもよい。一例においては、小さなアミンまたはヒドロキシル官能価の1、2またはそれ以上のテレチェリックポリアールを、中程度のアミンまたはヒドロキシル官能価の1、2またはそれ以上のテレチェリックポリアールとともに組成物中に採用してもよい。
【0018】
一例において、組成物は少なくとも1つのイソシアネート(先の親出願に開示されている任意のまたはすべてを含む。好ましくは、飽和の、同種のビス(イソシアネートシクロヘキシル)−メタン)および1または複数の付加的な反応物質を含み、熱可塑性、熱硬化性、注型可能、粉砕可能または発泡可能な(膨張性または膨潤性)反応生成物を生成してもよい。この反応生成物はウレタンおよび/または尿素結合を有する(例えばポリウレタン、ポリ尿素、ポリ(ウレタン−尿素))。他の例においては、1または複数のテレチェリックポリアールは反応生成物中にソフトセグメントを生成してもよい。例えば、少なくとも1つのイソシアネートと反応してプレポリマーを生成し、これを1または複数の付加的な反応生成物(先の親出願に開示された任意のまたはすべての硬化剤を含み、好ましくは、飽和の同種の第2アミン、例えば4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルエタン)により鎖拡張して反応生成物を生成することによりソフトセグメントを生成する。他の例においては、1または複数のテレチェリックポリアールは反応生成物中にハードセグメントを生成してもよい。例えば、NCO含有プレポリマーと反応させて反応生成物を生成してハードセグメントを生成する。
【0019】
一例において、異なるアミンおよび/またはヒドロキシル官能価の2またはそれ以上のテレチェリックポリアールをブレンド状態でイソシアネートと反応させてプレポリマーを生成してもよい。小さなアミンおよび/またはヒドロキシル官能価のテレチェリックポリアールがブレンドの主部分(例えば50重量%またはそれ以上)を構成し、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上を構成してもよい。他の例では、異なるアミンおよび/またはヒドロキシル官能価の2またはそれ以上のテレチェリックポリアールをブレンド中でイソシアネート含有プレポリマーと反応させて反応生成物を生成してもよい。他の例において、小さなアミンおよび/またはヒドロキシル官能製の1または複数のテレチェリックポリアールをイソシアネートと反応させてプレポリマーを生成してもよい。他の例において、中程度のアミンおよび/またはヒドロキシル官能価の1または複数のテレチェリックポリアールを用いてプレポリマーを硬化させて反応生成物を生成してもよい。
【0020】
適切なテレチェリックポリアールの分子量は具体的に限定されない。典型的には、テレチェリックポリアールのMは500から20000、好ましくは600から10000、より好ましくは800から5000、さらに好ましくは1000から4000、最も好ましくは1500から3500であってよい。当業者は、ポリウレタンおよびポリ尿素のような反応生成物はソフトセグメントおよびハードセグメントの組み合わせを含んでよいことを理解するであろう。典型的には、ソフトセグメントは、イソシアネートと反応してイソシアネート含有プレポリマーを生成するテレチェリックポリアールから製造され、ハードセグメントは、プレポリマーと反応する硬化剤として用いられるポリアールから製造される。好ましくは、ここに開示されるテレチェリックポリアールは、少なくとも部分的に、反応生成物のソフトセグメントを形成する。反応生成物のハードセグメントはここに開示されるテレチェリックポリアールを含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0021】
テレチェリックポリアールの主鎖は、ホモポリマー性、ランダム性、コポリマー性、ブロックコポリマー性(例えばジ−ブロック、トリ−ブロック)、グラフト化コポリマー性、またはターポリマー性であってよい。ポリマー性の主鎖の非限定的な例は、ポリ炭化水素(例えばポリオレフィン)、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン)、ポリアミド(例えば、ポリカプロラクタム)、ポリカーボネート、ポリアクリレート(例えば、ポリアルキルアクリレート)、ポリシロキサン、ポリイミン、ポリイミド、および、コポリマー性のものを含み、コポリマー性のものは、例えば、ポリオレフィンシロキサン(例えば、α,ω−ジヒドロキシポリ(ブタジエン−ジメチルシロキサン)およびα,ω−ジヒドロキシポリ(イソブチレン−ジメチルシロキサン))、ポリエーテルオレフィン(例えば、α,ω−ジヒドロキシポリ(ブタジエン−オキシエチレン))、ポリエーテルエステル、ポリエーテルカーボネート、ポリエーテルアミド、ポリエーテルアクリレート、ポリエーテルシロキサン、ポリエーテルオレフィン(例えば、α,ω−ジヒドロキシポリ(ブタジエン−カプロラクトン)およびα,ω−ジヒドロキシポリ(イソブチレン−カプロラクトン))、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルシロキサン、ポリアミドオレフィン、ポリアミドカーボネート、ポリアミドアクリレート、ポリアミドシロキサン、ポリアミドイミド、ポリカーボネートオレフィン、ポリカーボネートアクリレート、ポリカーボネートシロキサン、ポリアクリレートオレフィン(例えば、α,ω−ジヒドロキシポリ(ブタジエン−メチルメタクリレート)、α,ω−ジヒドロキシポリ(イソブチレン−t−ブチルメタクリレート)、およびα,ω−ジヒドロキシポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン−メチルメタクリレート))、ポリアクリレートシロキサン、ポリエーテルエステルアミド、任意の他のコポリマー、その他、これらのポリマーの2または複数のブレンドである。他のテレチェリックポリアールは、テレチェリックポリ酸からポリオール、アミノアルコール、環式エーテル、環式エステル、および/または環式アミドを通じて導出でき、また、アミノテレチェリックポリマーからヒドロキシル酸、環式エステル、環式アミド、および/または環式エーテルを通じて導出できる。これらの、または他のテレチェリックの例は、先の親出願および米国特許出願第10/996,670号に開示されているものを含み、参照してここに組み入れる。
【0022】
テレチェリックポリアールの主鎖は1または複数の疎水性および/または親水性のセグメントを含んでよい。主鎖の疎水性の重量パーセントは好ましくは50%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。一例において、テレチェリックポリアールの主鎖は親水性セグメントがない。このような疎水性主鎖は、典型的には、テレチェリックポリ炭化水素中に存在し、これは、1、2、3またはそれ以上の異なるモノマーから、ラジカル重合、カチオン重合、または好ましくはアニオン重合を通じて生成されてよい。当業者は、種々の重合手法が典型的には種々のマイクロ構造(例えば1,4−シス、1,4−トランス、および1,2−ビニル成分の種々の配分を)を具備するポリマー主鎖をもたらすことを理解している。同一の重合手法を採用しても、反応条件が変わり、または異なる触媒および/またはリエージェントを用いれば、結果としてのポリマー主鎖のマイクロ構造は異なるであろう。
【0023】
テレチェリックポリアールの疎水性主鎖を形成するのに適したモノマーは、モノエン性およびポリエン製の炭化水素(すなわち1、2、またはそれ以上のエチレン系不飽和結合を具備する炭化水素、例えば、モノエン、共役または非共役ポリエン)の任意のものまたはすべてを含む。一例では、疎水性主鎖を形成するモノマーは、2またはそれ以上の独立して重合されるビニル基(例えば、1,3−ジビニルベンゼンおよび1,4−ジビニルベンゼンのような非共役ポリエン性炭化水素)を具備する分子を有しない。他の例においては、疎水性主鎖を形成するモノマーは、芳香族構造を有しない。さらに他の例では、疎水性主鎖を形成するモノマーは、基本的には1またはそれ以上の共役ポリエン、共役ジエンおよび/または1またはそれ以上のアルキレンからなる。共役ポリエンの非制限的な例は、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、ミルセン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、3−メチル−1,3−ペプタジエン、1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、3−n−プロピル−1,3−ペンタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、2,4−ジエチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジ−n−プロピル−1,3−ブタジエン、および2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエンを含む。
【0024】
ポリ炭化水素(例えばポリ(アルキレン−ジエン)、ホモポリジエン、コポリジエン)の主鎖は実質的に不飽和で良く、これにより、遊離基開始剤およびオプションの架橋剤(例えば、先の親出願で開示されたもの)の存在下でエチレン系不飽和結合を通して、ラジカル開始された架橋が可能になる。これら不飽和のポリ炭化水素の主鎖を部分的にまたは十分に水素化して結果としての組成物の安定性および耐天候性を改善してもよい。水素化の程度は、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約99%であってよい。ポリ炭化水素の主差の非制限的な例は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンブチレン(ブチレン成分が少なくとも約25重量%、好ましくは少なくとも約50%ある)、Kraton(商標)ゴム)、ポリジエン(例えばポリイソプレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン)、およびポリ(オレフィン−ジエン)(例えばポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(エチレン−ブタジエン)、およびポリ(ブタジエン−スチレン−ブタジエン))を含む。
【0025】
一例において、ポリ炭化水素の主鎖を具備するテレチェリックポリアールは実質的に加水分解性の部分(例えばエーテルまたはエステル結合)を持たなくて良く、主鎖として共役ジエン(例えば1,3−ブタジエン)の不飽和ホモポリマーを具備するテレチェリックポリアールを含む。主鎖は分岐されてもよいが、好ましくは実質的に直鎖であってよい。ホモポリマーの主鎖は1,4−シス成分のx、1,4−トランス成分のyおよび1,2−ビニル成分のzを具備し、x+y+z=100%である。xの値は、0%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上、さらに好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上であってよい。代替的には、xの値は、100%以下、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下、さらに好ましくは75%以下、さらに好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下であってよい。xの値はさらに好ましくは上述の2つの値の間の範囲であってよい。yの値は、0%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上、さらに好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上であってよい。代替的には、yの値は、100%以下、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下、さらに好ましくは75%以下、さらに好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下であってよい。yの値はさらに好ましくは上述の2つの値の間の範囲であってよい。zの値は、0%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であってよい。代替的には、zの値は、100%以下、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下、さらに好ましくは75%以下、さらに好ましくは65%以下、さらに好ましくは60%以下、さらに好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下であってよい。zの値はさらに好ましくは上述の2つの値の間の範囲であってよい。特定に理論に拘泥するものではないが、1,4−シスおよび/または1,4−トランス成分を具備するテレチェリックポリジエンポリアールは、ゴルフボールに使用してより好適であると考えられている。一例において、x+y>=0.08、好ましくはx+y>=0.35である。他の例では、x+y<=0.77、好ましくはx+y<=0.35である。
【0026】
テレチェリックポリジエンポリアールの末端のイソシアネート反応性の基は第1アルキルヒドロキシル基、第1アリルヒドロキシル基、第2アルキルヒドロキシル基、第1アルキルアミン基、第1アリルアミン基、第2アルキルアミン基、またはこれらの2以上の組み合わせであってよい。テレチェリックポリジエンポリアールのガラス転移点は−30°C以下、好ましくは−40°C以下、より好ましくは−50°C以下、さらに好ましくは−70°C以下、最も好ましくは−75°C以下であってよい。テレチェリックポリジエンポリアールの室温での粘度は1Pa・sから100Pa・sであってよい。適切なヒドロキシル末端のポリジエンのOH値は0.1meq/gから2meq/gであってよい。
【0027】
また、好ましいテレチェリックポリ炭化水素ポリアールは上述したテレチェリックポリジエンポリアールを部分的にまたは十分に水素化した種である。水素化の程度は、少なくとも40%、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上であってよい。一例において、1,2−ビニルのマイクロ構造がある場合には、そのすべてが実質的に好ましくは水素化される。非制限的な例は、少なくとも80%の1,4−付加結合を具備するポリイソプレンジオールを含む。
【化1】

【0028】
好ましいテレチェリック直鎖ポリブタジエンポリアールは、不飽和であり、部分的に水素化され、または十分に水素化され、上記のような一般構造を具備してよい。ここで、YおよびYは、1以上のイソシアネート反応性の基(例えばヒドロキシル基および/またはアミン基)を具備する同一または異なるラジカル、例えば、−OH、−NH、または−NHR、ただしRはC1−20のラジカルであり;x、yおよびzは10以上の数、好ましくは20以上、さらに好ましく菜25以上、さらに好ましくは50以上、典型的には500以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは100以下の数である。xよびzの少なくとも一方は、0%より大きくてよく、好ましくは双方が0%より大きくて良く、yの値は0%以上であってよい。一例において、6.5<=(x+z)・n<=39.5である。他の例において、12<=y・n<=72である。テレチェリックポリブタジエンポリアール(無水化、部分的に水素化、または十分に水素化されたもの)は上述の任意の官能価を具備してよいが、好ましくは1.8から2.3の小さな官能価を具備し、より好ましくは2を越える官能価の種を含まない。非制限的な例は、30%から70%、好ましくは40%から60%の1,4−付加結合を具備するポリブタジエンジオールを含む。ポリブタジエンジオールは約90%を越えて水素化でき、そのMは3300であり、そのヒドロキシル官能価は1.92であり、1,2−付加成分は54%である。
【0029】
ここに開示される組成物を生成する際に、テレチェリックポリジエンポリアールは非反応性成分として使用されてよい。すなわち、この組成物は、テレチェリックポリジエンポリアール例えばイソシアネートと反応可能な成分を含まない。代替的には、テレチェリックポリジエンポリアールは反応性の、好ましくは液体の組成物中で使用されてよく、ここで、テレチェリックポリジエンポリアールは1以上の他の成分と有機結合(例えばウレタン、尿素、エステル、アミド)により反応する、一例において、反応性の組成物は、テレチェリックポリジエンポリアール、イソシアネートまたは2以上のイソシアネートのブレンド、およびオプションの硬化剤(例えばポリアール)の1つまたは2以上のブレンドを含む。テレチェリックポリジエンポリアールは、イソシアネートがポリイソシアネートおよびポリアールから生成されたイソシアネート含有プレポリマーであるときに、生成材料(ポリウレタン、ポリ尿素)の1以上のハードセグメントを形成してよい。好ましくは、テレチェリックポリジエンポリアールは、ポリイソシアネートと反応させてイソシアネート含有プレポリマーを生成することにより、1以上のソフトセグメントを生成してよい。このようなプレポリマーは、室温で200Pa・s以下、好ましくは120Pa・s以下、より好ましくは100Pa・s以下、さらに好ましくは50Pa・s以下、さらに好ましくは25Pa・s以下、さらに好ましくは5Pa・s以下の小さな粘度を有してよい。非制限的な粘度の範囲は、0.5Pa・sから3Pa・s、0.7Pa・sから1.7Pa・s、12Pa・sから22Pa・s、および70Pa・sから95Pa・sである。そのようなプレポリマーの%NCOは、15%以下(例えば10.9%から12.1%)、好ましくは10%以下(例えば8%から9.7%、6%から9%)、より好ましくは7.5%以下(例えば4%から5%)であってよく、ただし、2%以上(例えば2.1%から3.2%、2.7%から4.2%)である。プレポリマー中の小さな%NCOと小さなイソシアネート官能価(例えば2.5%以下)の組み合わせでは、プレポリマーが反応しにくい。このような環境で、大豆油、ジオクチルフタレート、および他のフタレートのような軟化剤をプレポリマーにブレンドして粘度を減少させてもよい。
【0030】
テレチェリックポリジエンポリアールは、イソシアネート含有プレポリマーを生成するときには、単一で用いても、2以上のブレンドとし用いてもよい。好ましくは、1以上のテレチェリックポリジエンポリアールを、ポリイソシアネートと反応させる前に、1以上の他のテレチェリックポリアール(例えばポリエーテルポリアール、ポリエステルポリアール)とブレンドさせてもよい。テレチェリックポリジエンポリアールとブレンドさせて好適なテレチェリックポリアールは、好ましくは、ポリオキシエチレンポリアールの極性より極性が大きな相溶性テレチェリックポリアールである。このようなブレンドにおいて、テレチェリックポリジエンポリアールの相溶性テレチェリックポリアールに対する重量比は、テレチェリックポリアールの混和性に左右され、10:1以下(例えばポリオキシプロピレンポリアール、具体的には2000から3000のMを持つもの)、好ましくは5:1以下、より好ましくは4:1以下(例えば、先の親出願に開示されている二量体ジオール、二量体ジアミン)、さらに好ましくは3:1以下、さらに好ましくは2:1以下(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシテトラメチレンジアミン)、さらに好ましくは1:1以下である。
【0031】
ここに開示される組成物に使用されるポリイソシアネート(ジイソシアネートを含む)の非制限的な例は、先の親出願ンに開示されているものを含む。一例において、飽和ポリイソシアネート(脂肪族、脂環族のポリイソシアネートを含む)は耐天候性を増強するのに適している。他の例において、芳香族ポリイソシアネート、とくに、非芳香族性の不飽和を伴わないものが、弾力性の大きな材料(例えば60%以上のリバウンド率のもの)を生成するのに適している。熱可塑性材料を製造するためには、ジイソシアネートおよびジイソシアネートのウレトジオンが好ましい選択である。熱硬化材料を製造するためには、高級なポリイソシアネート例えばトリイソシアネート、テトライソシアネート、ジイソシアネートのビウレットおよびイソシアヌレートが好ましい。
【0032】
ここに開示される組成物向けの硬化剤の非制限的な例、とくにポリアールは、先の親出願に開示されているものを含む。一例において、テレチェリックポリジエンポリアールと相溶性のある短鎖のポリアール(室温で液体または固体)は好ましい硬化剤であり、単独でまたはこれらの2以上のブレンドとして使用できる。非制限的な例は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、N,N−ジイソプロパノールアニリン、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチル)アニリン、テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ポリオキシプロピレンポリアール(Mが500以下)、ポリオキシテトラメチレンポリアール(Mが1000以下)、ダイマージオール、ダイマージアミン、ジオールおよびポリオールを含み、これは、少なくとも1つの第1のOH基を具備し、これは、第3または第4の炭素原子から離れた1個の炭素原子である。テレチェリックポリジエンポリアールと相溶性のない硬化剤を用いたときには、非相溶性の硬化剤はテレチェリックポリジエンポリアールの重量の10phr以下の量(例えば1,4−ブタンジオールに対して6.5phr)使用してよい。他の例において、好ましい硬化剤は多価ポリオール(例えばトリオール、テトラオール)を含む。
【0033】
テレチェリックポリジエンポリアールと相溶性のある付加的な硬化剤は直鎖または分岐のポリ炭化水素の主鎖を具備するポリアールを含む。一例において、硬化剤のポリアールは2より大きい、好ましくは3以上、より好ましくは4以上のヒドロキシルまたはアミン官能価を有し、そのMは5000以下、好ましくは2500以下である。他の例において、硬化剤のポリアールは、上述のテレチェリックポリジエンポリアール、および、2より大きな、より大きなヒドロキシルまたはアミン官能価を有する、それらの誘導体、例えば、2−スルファニレタン−1−オール(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)により開始される)をテレチェリックポリジエンポリアールの1,2−ビニル部分にラジカル付加して導出されたものである。そのように導出された大きな官能価のテレチェリックポリジエンポリアールは1.35以下、好ましくは1.3以下、さらに好ましくは1.26以下の小さな多分散性を維持できる。
【0034】
少なくともテレチェリックポリジエンポリアール、ポリイソシアネートおよびオプションの硬化剤を有する組成物から製造された材料はゴルフボールの1以上の部分(例えば薄いバリア層、内側および/または外側カバー層)を生成するのに利用でき、強化された特徴のいくつかまたはすべてを利用できる。これらの材料のうちの少なくともいくつかは、そのWVTRが小さく、0.1g・mm/m・日)以下、好ましくは0.05g・mm/m・日)以下、より好ましくは0.036g・mm/m・日)以下、さらに好ましくは0.01g・mm/m・日)以下である。これらの材料のうちの少なくともいくつかは、そのガラス転移点が低く、−30°C以下、好ましくは−35°C以下、より好ましくは−40°C以下、さらに好ましくは−45°C以下、さらに好ましくは−50°C以下、さらに好ましくは−70°C以下である。材料は、その重量に対して15重量%から50重量%のハードセグメントを具備してもよい。材料のリバウンドパーセンテージは、とくに、5ミクロンから1000ミクロンの粉砕ゴム粒子で充填したときに、60%以上であってよい。外側カバー層と内側カバー層との間に配されたバリア層として、あるいは、外側カバー層の回りに配されたコーティング層として用いられた場合、組成物を1以上のビニルモノマー、1以上の多価(メタ)アクリレート、および/または1以上のビニル官能価ウレタンオリゴマーと付加的に調合されてよく、さらに遊離基開始剤を用い、熱硬化する。
【0035】
種々の添加剤を、オプションとして、この開示内容の組成物、またはその組成物の任意の1または複数のサブコンポーネントに組みこんでもよい。これら添加物は、これに限定されないが、反応速度を修正する触媒、密度および/または曲げ弾性率を調整するフィラー、レオロジおよび/または混合特性を修正する処理助剤またはオイル(例えば反応性または非反応性の希釈剤)、強化材料、衝撃改変剤、湿潤剤、粘度改変剤、離型剤、内部および/または外部可塑剤、相溶剤、カップリング剤、分散剤、架橋剤、脱泡剤、界面活性剤、潤滑剤、軟化剤、顔料および染料を含む発色剤、光沢剤、増白剤、V吸収剤、障害アミン光安定剤、発泡剤、および当業者に知られている任意の他の改変剤である。それら添加物の1または複数をそれぞれの目的および所望の効果を達成するにたる量だけ用いる。適切な添加剤およびその具体例は先の親出願に開示されており、詳細はこれを参照されたい。
【0036】
ゴルフボールのカバー、中間層およびコアに用いられる従来の材料を、当該組成物の重量に対して約1重量%から約95重量%だけ、ここに開示される組成物にブレンドしてもよい。そのような非制限的な例は先の親出願に開示されているような材料である。好ましくは、この開示内容の熱可塑性組成物を用い、付加的に1またはそれ以上の従来の熱可塑性材料とブレンドする。
【0037】
ゴルフボールのカバー層、または少なくとの1つのその部分層(例えば内側カバー層、外側カバー層)はここに開示される組成物の1つにより製造されてよい。カバー層の厚さは、0.001インチから0.125インチ、好ましくは0.05インチから0.1インチ、より好ましくは0.01インチから0.05インチ、最も好ましくは0.015インチから0.04インチ、例えば、0.035インチであってよい。代替的には、カバー層の厚さは、0.5インチ以下、好ましくは0.05インチ以下、より好ましくは0.05インチから0.2インチ、より好ましくは0.05インチから0.1インチである。カバー層の曲げ弾性率は1000から100000psi、好ましくは1000psiから80000psi、より好ましくは1000psiから50000psi、さらに好ましくは1000psiから30000psi、最も好ましくは2000psiから25000psiであってよく、代替的には、10000psiから80000psiであってよい。カバー層のショアD硬度は、90以下、好ましくは20から70、より好ましくは20から60、さらに好ましくは25から55、さらに好ましくは30から55、最も好ましくは40から55であってよい。カバー層のWVTRは好ましくは約2g/(m×日)以下であってよい。
【0038】
ゴルフボールのコアは、ソリッド、液体充填、ゲル充填、または気体充填で単一ピース構造、またはセンタおよび1以上の外側コア層を具備する多数ピース構造を採用する。コアまたはコアの1以上の層を形成するのに適した材料および組成物の非制限的な例は先の親出願に開示されている。ソリッドコア用の好ましい組成物は、ベースゴム(例えば少なくとも約40%の1,4−シス成分を具備するポリブタジエンゴム)、架橋剤(例えば、3から8個の炭素原子を有するエチレン系不飽和酸、またはその金属塩)、開始剤(例えばペルオキシド、炭素−炭素開始剤、およびこれら2つ以上のブレンド)、および、オプションとして1以上の添加剤(例えばハロゲン化有機硫黄化合物のようなCoR増強剤)を含む。
【0039】
ゴルフボールのコアの径は、0.5インチ以上、好ましくは1インチ以上、より好ましくは1.5インチ以上、さらに好ましくは1.54インチ以上、さらに好ましくは1.545インチ以上、最も好ましくは1.55インチ以上、典型的には約1.65インチ以下、または約1.6インチ以下であってよい。コアのAtti圧縮は、20から120、好ましくは30から100、より好ましくは40から90、さらに好ましくは45から85、最も好ましくは50から80であってよく;代替的には、圧縮は25以下、または20以下であってよい。コアのCoRは、0.7以上、好ましくは0.75以上、さらに好ましくは0.77以上、さらに好ましくは0.79以上、最も好ましくは0.8以上であってよい。コアはセンタおよび1以上の外側コア層を含んでよい。外側コア層の厚さは、0.5インチ以下、好ましくは0.3インチ以下、より好ましくは0.25インチから0.3インチであってよい。
【0040】
1、2またはそれ以上のオプションの中間層をコアおよびカバーの間に配置してもよい。中間層は、外側コア層としてコアの一部を構成しても、内側カバー層としてカバーの一部を構成してもよい。一例において、中間層は、固い、曲げ弾性率が大きな、弾力性のある材料から製造でき、これはロングショット(例えばドライバまたはロングアイアン)で打ったときに低スピンレート、大きな飛距離特性に寄与する。中間層の材料のショアD硬度は55から80、好ましくは60から75、より好ましくは65から72であってよい。中間層の曲げ弾性率は、少なくとも50000psi、好ましくは55000psiから120000psi、より好ましくは58000psiから100000psiであってよい。中間層の厚さは、0.020インチから0.050インチ、好ましくは0.030インチから0.040インチであってよい。中間層のWVTRは好ましくはカバーのそれより小さい。より好ましくは、中間層のWVTRはSurlyn(商標)のようなアイオノマー樹脂のそれより小さい。その範囲は約0.45g/(m×日)から約0.95g/(m×日)である。中間層を形成するのに適した材料および組成物の非制限的な例は、先の親出願に開示されている。
【0041】
製造されたゴルフボールのCoRは典型的には約0.7以上、好ましくは約0.75以上、より好ましくは約0.78以上、最も好ましくは約0.8以上である。このゴルフボールのAtti圧縮は典型的には少なくとも約40、好ましくは約50から120、より好ましくは約60から100である。このゴルフボールのディンプル被覆率は典型的には約60%以上、好ましくは約65%以上、より好ましくは約75%以上である。ゴルフボールの径は好ましくは1.680インチから1.800インチ、より好ましくは1.680インチから1.760インチ、最も好ましくは1.680インチから1.740インチである。
【0042】
一例において、ゴルフボールのカバー層はポリウレタンエラストマーから製造され、これは、プレポリマーおよび硬化剤の反応生成物である。硬化剤は、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンである。プレポリマーは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび第1末端ヒドロキシル基を具備する水素化α,ω−ジヒドロキシポリブタジエンから製造され、その多分散性は1.35で、Mは3100である。カバー層の材料硬度は、47ショアDであり、その蒸気透過率は0.0258g/wkである。通常のポリウレタンカバー層の蒸気透過率は0.3595g/wkである。ゴルフボールの圧縮は87である。他の例において、ポリウレタンカバー層を具備するゴルフボールはここに開示された組成物を利用して製造される。プレポリマーの%NCOは8.5%であり、当該プレポリマーはジフェニルメタンジイソシアネートおよびα,ω−ジヒドロキシポリブタジエンから製造され、その多分散性は1.35以下である、硬化剤はジメチルチオトルエンジアミンである。カバー層の蒸気透過率は0.054g/wkであり、通常のポリウレタンカバー層は0.316g/wkである。さらに他の例において、1.6インチの糸巻コアの回りに0.04インチの厚さのポリウレタンカバー層が配されたゴルフボールが製造される。プレポリマーはその%NCOが10.87%であり、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび分子量が3000から4000の水素化ポリブタジエンポリオールから製造される。硬化剤は、プレポリマーに対して1.02:1の当量比で用いられ、分子量が3000から4000の水素化ポリブタジエンポリオールである。カバー層の硬度は33ショアDであり、曲げ弾性率は4800psiであり、蒸気透過率は0.0466g/wkであり、通常のポリウレタンカバー層の蒸気透過率は0.3156g/wkである。ゴルフボールの圧縮は84であり、そのCoRは0.778である。好ましい例では、ポリウレタン(好ましくは熱硬化性)カバー層を具備するゴルフボールがここに開示された組成物で製造される。カバー層の厚さは0.03インチから0.05インチ(例えば0.033インチ、0.046インチ)である。ポリウレタンプレポリマーは6%から13%(例えば、11.5%、11.62%、7.17%、7.12%)の%NCOであり、飽和ポリイソシアネート(例えばジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)および第1末端ヒドロキシル基を具備する液体性の水素化α,ω−ジヒドロキシポリブタジエンから製造され、多分散性は1.35以下(例えば1.2以下)であり、Mは2000から5000(例えば3100)である。硬化剤は飽和ポリオール(好ましくはトリオールまたはそれより高級なポリオールであり、Mが500以下のもの、例えばトリメチロールプロパン開始のポリカルプロラクトントリオールでMは300である)、または飽和第2アミン(例えば、ビス(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン)である。硬化剤のプレポリマーに対する当量比は0.9:1から1.05:1(例えばトリオール硬化剤について0.95:1、第2ジアミン硬化剤について1.02:1)である。カバー層の3週間に渡る平均蒸気透過率は0.05g/wk(例えば、0.035、0.020以下)以下である。全水没テストの場合、カバー層の3週間に渡る平均重量増は0.001oz/wk以下であり、通常のポリウレタンの3週間に渡る平均重量増は0.003oz/wkより大きい。
【0043】
この発明のゴルフボールは種々の構成を採用でき、典型的には少なくともコアとカバーとを有する。オプションとして、1または複数の中間層をコアおよびカバーの間に配置してもよい。コアは単一のソリッドの塊を有し、またはソリッド、液体充填、ゲル充填または気体充填のセンタおよび1または複数の外側コア層を有し、カバーは外側カバー層および1または複数の内側カバー層を含んでよい。外側コア層、中間層、または内側カバー層の任意のものは、連続層、非連続層、糸巻層、注型層、ラティスネットワーク層、ウェブまたはネット、粘着またはカップリング層、バリア層、均一または非均一な厚さの層、島状部または突起部のような複数の非連続要素を具備する層、ソリッド層、金属層、液体充填層、ガス充填層、または発泡層であってよい。
【0044】
ここに開示されるゴルフボール部分の組成物は、スポーツ用品全般に使用できる。例えば、この組成物は種々の競技用ボール、ゴルフクラブのシャフト、ゴルフクラブのヘッドインサート、ゴルフ靴の部品、その他に適用できる。
【0045】
ここでは、用語「アラリファチック」(araliphatic)、「アリール脂肪族」または「芳香族脂肪族」は、すべて、1または複数の芳香族部分と1または複数の脂肪族部分とを含む化合物を指す。ただし、反応可能な官能基、例えば、これに限定されないが、イソシアネート基、アミン基、およびヒドロキシ基が、直接に脂肪族部分に結合して芳香族部分には直接には結合しない。アラリファチック化合物の説明的な例は、o−、m−、およびp−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)である。
【0046】
添え字、例えば、m、n、x、y、およびzは一般的な化学式では、当業者により理解されるように重合化の程度(すなわち連結した繰り返し単位の数)を指す。分子的に非均一な生成物質の場合には、この数字は平均の数であり、整数に限らない。ゼロでなければ、重合化の平均の程度である。
【0047】
量を数値の表記は、とくにことわらないかぎり、「重量部」である。用語「当量」は、所定の材料を製造するために用いられる種々の成分の相対量に基づいて計算される値であり、所定の材料の固形分に基づく。相対量は、成分から生成されるポリマーのような材料のグラム表記の理論重量をもたらし、生成ポリマー中に存在する具体的な官能基の理論数を与える。
【0048】
ここでは、用語「ポリマー」は、オリゴマー、付加物、ホモポリマー、ランダムコポリマー、擬似コポリマー、統計的コパリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、バイポリマー、ターポリマー、クォーターポリマー、他の形態のポリマー、その置換誘導体、およびそれらの混合物を指す。これらのポリマーは、直鎖、枝分かれ、ブロック、グラフト、モノディスパース、ポリディスパース、規則的、非規則的、タクティック、イソタクティック、シンジオタクティック、ステレオレギュラー、アタクティック、ステレオブロック、単一ストランド、二重ストランド、スター、コム、デンドリティック、および/またはアイオノメリックであってよい。
【0049】
ここで、用語「テレチェリック」(telechelic)は、反応性末端基によりさらに重合化に進むことができる少なくとも2つの末端反応性の末端基を有するポリマーを指す。ここで開示される反応性末端基は、これに限定されないが、アミン基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、カルボン酸基、チオ基、およびこれらの組み合わせを含む。
【0050】
ここで、用語「ポリアール」または「反応性ポリアール」は分子ごとに複数の活性水素部分を含む任意の1つの化合物またはそのような化合物の混合物である。このような活性水素部分の例は、−OH(ヒドロキシル基)、−SH(チオール基)、−COOH(カルボン酸基)、および−NHR(アミン基)であり、Rは水素、アルキル、アリールまたはエポキシであり、これらはすべて第1または第2のものである。これら活性水素部分は、遊離イソシアネート基と反応性があり、反応する個々の活性水素部分に応じてウレタン、尿素、チオ尿素または対応する結合を形成する。ポリアールはモノマー、ホモ−オリゴマー、コ−オリゴマー、ホモポリマー、またはコポリマーであってよく、米国特許第4,394,491号および同第4,822,827号に説明される化合物を含む。少なくとも1つのNCO−反応性の基を主鎖の各末端に有するオリゴマー性またはポリマー性のポリアールは、典型的には、反応生成物、例えば、ポリ尿素またはポリウレタンのソフトセグメントとして採用される。末端基に応じて、オリゴマー性またはポリマー性ポリアールは、ポリオール(−OHの末端のみ伴う)、ポリアミン(−NHRの末端のみ伴う)、またはアミノアルコールオリゴマーまたはポリマー(−OHの末端および−NHRの末端を伴う)として識別できる。比較的小さな分子量(約5000より小さい)のそのようなポリアール、および広範囲のモノマーポリアールは硬化剤として慣用的に採用される。ポリアールは一般に液体または比較的低い温度で溶融する固体である。
【0051】
ここで指し示すように、低アルキルおよび低アルコキシは、C1−5好ましくはC1−3のアルキルおよびアルコキシ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、t−ブトキシを含む。
【0052】
ここで指し示すように、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。
【0053】
ここで指し示すように、直鎖または分岐アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクシル、イソオクシル、n−ノニル、イソノニル、n−ドデシルを含む。
【0054】
ここで指し示すように、置換アルキルは、シアノアルキルハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、好ましくは、好ましくは、C2−6の例えばβ−シアノエチル、β−クロロエチル、β−ヒドロキシエチル、β−メトキシエチル、β−エトキシエチルを含む。シクロアルキルはシクロペンチル、シクロヘプチル、シクロヘキシルを含み、1または複数のC1−4のアルキルを有してよい。
【0055】
ここで指し示すように、アラルキルおよびアルカリールは、メチルベンジル、フェネチル、フェニソプロピル、ベンジルを含み、例えば、ハロゲン、メチルおよび/またはメトキシにより環置換されてよい。これは、例えば、p−メチルベンジル、o−またはp−クロロベンジル、o−またはp−トリル、o−またはp−クロロフェニル、およびo−またはp−メトキシフェニルである。
【0056】
ここで指し示すように。複素環式ラジカルは、ピルロリジニル、ピペリジニル、ピペコリニル、モルホリニル、チオホルホリニル、ピペラジニル(例えばN−メチルピペラジニル)を含む。
【0057】
ここで使用されるように、用語「誘導体」は親の化合物から化学的に誘導可能な種々の化合物を指し、典型的には、親の化合物との間で、1または複数の化学特性および/または反応性を共有する。適用可能な範囲で、ここで開示される化合物の誘導体は、これに限定されないが、1または複数の置換物を有する置換誘導体、無水物、ダイマー、オリゴマー、エステル、例えば、アルキル(例えばメチル、エチル、直鎖または分岐C1−12アルキル)、シクロアルキル、およびアリールエステル、アミド、ハロゲン化物、酸化物、硫化物、および金属カチオン(例えばNa、Zn、Ca、Co、Mg、Ni)、有機金属カチオン、および非金属カチオン(例えば第4アンモニウム、第4ピリジニウム、第4キノリニウム、(オルガノ)ホスホニウム、(オルガノ)スルホンニウム、(オルガノ)オキソニウム、(オルガノ)ヨードニウム、(オルガノ)アゾニウム)との塩を含む。
【0058】
実際の例を除いて、とくにことわらない限り、数値範囲、量、値およびパーセンテージ例えば物質の量、反応の時間および温度、量の比、分子量の値(ここでは分子量の数の平均「M」または分子量の重量平均「M」)、および明細書の以下の部分のどうようのものについては、たとえ「約」が、値、量、範囲の前に明確に表記されていなくても、「約」という後が前に記載されているものとして読むことができる。したがって、そうでないと示されていないなら、以下の明細書および特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本件の開示内容により得られるべき所望の特性に応じて変化する近似である。特許請求の範囲の均等論の適用を制約するものではないが、最小でも、各数値パラメータは報告された実効数字の数に基づいて把握され、また、通常の丸め手法の適用により把握されるべきである。
【0059】
開示の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似であるけれども、具体例に示される値は可能な限り正確に報告されている。ただし、数値は、それぞれの計測器に見られる標準偏差に必然的に起因する所定の誤差をおのずと含む。さらに、種々のスコープの数値範囲がここに示される場合、列挙された値を含むこれ数値の任意の組み合わせを採用できることを理解されたい。
【0060】
分子量については、MにしろMにしろ、それらの値は、ポリスチレンを基準にしてゲル透過クロマトグラフィーにより決定され、これは当業者には周知であり、米国特許第4,739,019号の第4欄、2−45行に説明されており、詳細はこれを参照されたい。
【0061】
ここでは、用語「多分散性」および「分散性」は、Mに対するMの比を指し、ポリマーの分子量の分布の程度およびポリマー鎖が重合の程度を共通にする程度の指数である。多分散性の理論的な最小値は1.0である。
【0062】
ここでは、用語「から製造される」はオープンを意味し、具体的には「comprising」(他の要素を含んでよい)のクレーム表現である。そのため、列挙された成分のリスト「から製造される」配合物は、少なくとも列挙された成分を含む配合物であり、配合物を組成するときに他の列挙されていない成分を含んでもよい。
【0063】
ここでは、配合物との関係で用いられる用語「硬化」(cure)、具体的には、「硬化可能な材料」。「硬化された材料」は配合物の任意の架橋可能な成分が少なくとも部分的に架橋されることを意味する。この開示内容の所定の例では、架橋可能成分の架橋密度すなわち架橋の程度は、フルの架橋の5%から100%でよい。他の例では、架橋密度は、完全な架橋の35%から85%であってよい。他の例では、架橋密度は、フルの架橋の50%から85%であってよい。当業者であれば、架橋の存在および程度すなわち架橋密度は、ASTM E1640−99に従う動的機械熱分析(DMTA)のような種々の手法で決定できることがわかる。
【0064】
ここでは、用語「飽和」または「実質的に飽和」は着目している化合物または材料が十分に(すなわち二重結合、三重結合または芳香族環構造を含まない)飽和していること、または、不飽和の程度が無視できる、例えば、ASTM E234−98に従う臭素かが10未満例えば5であることを意味する。
【0065】
用語「パーセントNCO」または「%NCO」は、ここでは、遊離、反応性、未反応、またはブロック(例えばフェノールまたはケトオキシムを伴う)のイソシアネート官能基の、イソシアネート官能分子または材料中の重量パーセントを指す。分子または材料中のすべてのNCO基の全式量が、その全分子量で割られ、100を乗じたものが、パーセントNCOに等しい。
【0066】
用語「当量」は、ここでは、材料の所定量中の官能基のモル数で定義され、材料の重量を等価重量で割ったものから計算される。後者は官能基あたりの分子量を指す。イソシアネートについては、等価重量は(4210グラム)/%NCOであり、ポリオールについては、(56100グラム)/OH#である。
【0067】
ここでは、用語「曲げ弾性率」または「弾性率」は、材料の弾性限界(曲げモードで測定される)内の圧力とひずみの比をさし、材料の折り曲げ強さを示し、引っ張り弾性率と類似である。曲げ弾性率は典型的にはパスカル(「Pa」)またはポンド/平方インチ(「psi」)で報告され、ASTM D6272−02にしたがって測定される。
【0068】
用語「水蒸気透過率」(Water Vapor Transmission Rate。「WPTR」)は、ここでは、所定厚さ(例えば1mm)の材料を通じて単位面積(例えば1m)、単位時間(例えば24h)、特定の温度(例えば38°C)、湿度差(例えば90%相対湿度)のもとで拡散する水蒸気の量を指す。WVTRの標準的なテストには、ASTM E96−00、手法E、ASTM D1653−03およびASTM F1249−01が含まれる。
【0069】
ここでは、用語「材料硬度」は、スラブまたはボタンの形をした非金属材料の押込み硬度であり、ジュロメータで測定される。ジュロメータは、バネ荷重の圧子を具備し、この圧子がスラブに押込み荷重を架け、その硬度を測定する。材料硬度は、他の材料特性、例えば、引っ張り弾性率、レジリエンス、可塑性、圧縮抵抗および弾性に間接的に影響を与える。材料硬度の標準測定には、ASTM D2240−02bが含まれる。とくに言及しない場合には、材料硬度はショアD単位で表される。材料硬度は、ゴルフボール表面で(または他の球鏡面で)直接に測定される、ゴルフボール部分の硬度とは区別される。数値上の相違は、主に、ゴルフボール部品(すなわちセンタ、コアおよび/または層)の当該部分の根底にある構造、大きさ、厚さ、および材料組成に基づく。当業者にとっては、材料硬度とボール上で測定した硬度とが相互に関連するものでもなく、換算可能なものでないことも容易に理解できる。
【0070】
ここでは、用語「圧縮」は、「ATTI圧縮」や「PGA圧縮」としても知られているおり、圧縮テスタ(Compression Tester。ATTI Engineering Company、Union city、ニュージャージー)から得られるポイントを示し、また、球対象物の相対圧縮を決定するためのスケールとして当分野では周知である。Atti圧縮とRiehle圧縮との間のおおよその関係は:Atti圧縮=(160−Riehle圧縮)である。圧縮は、ゴルフボール構造上で測定される材料特性(すなわちオン・ボール特性)であり、材料自体の特性ではない。
【0071】
ここでは、ゴルフボールまたはそのサブアッセンブリの「反発係数」(coefficient of restitution)または「CoR」という用語は、ボールが空気砲から静止スチールプレートに打ち出されたとき、初期入力速度に対するボールの跳ね返り速度の比として定義される。プレートは約100ポンドすなわち45Kgの衝突表面荷重を実現する。空気砲およびスチール板の間に間隔を置いて配置される2つの離間弾道光スクリーンのボール飛行の時間間隔TinおよびToutが測定され、CoR=Tout/Tinが計算される。ゴルフボールがより早く跳ね返れば、そのボールのCORはより大きな値となり、クラブにより打ち出されたときに保持される全エネルギがより大きくなり、ボールもより遠くへ飛ぶ。報告されるCoRの初期速度は約50ft/sから約200ft/sであり、とくにことわらない限り、通常125ft/sと理解される。ゴルフボールは、初期速度が異なれば、異なるCORを持つ。
【0072】
他のCoR測定方法は発射装置、ゴルフクラブを模した200gで直径4インチの円形チタンディスク、およびその間に配された2つの離間された弾道光スクリーンを用いる。ディスクの衝撃面は柔軟であり、それ自体CoRを有する。2つの時間間隔、ディスク質量(Me)およびボール質量(Mb)からCoRはつぎのように計算される。
【数1】

「ムーニー」粘度は、生すなわち非加硫のゴムの可塑性を測定するのに採用する単位である。ムーニー単位の可塑性は、任意のスケールで測定された、100°Cの温度のゴムを含み、1分に2回転する容器中のディスクに加わるトルクと等しい。ムーニー粘度の測定はASTM D−1646に規定されている。
【0073】
ここで用いられ、また慣用されるように、単位「phr」は、「ベースポリマーまたはポリマーブレンドの100部当たりの対応する材料の重量部」を意味する。
【0074】
先の説明で引用されたすべての特許および特許出願は、明示的に参照してここに組み入れる。
【0075】
ここに開示され、特許請求の範囲において特定された発明は、ここに開示された具体的な実施例によりその範囲を制約されない。これら実施例はこの発明のいくつかの側面を説明することを意図するだけであるからである。同業者に明らかな任意の均等な実施例および種々の変更はこの発明の範囲内のものとして意図されている。さらにこの発明の種々の特徴は単独でまたは組み合わせて利用できる。このような変形および組み合わせも特許請求の範囲内のものであることに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.65インチ未満の直径、100以下の圧縮、および0.77より大きな反発係数を有するコアと、
上記コアの回りに配された非アイオノマーの中間層であって、その材料硬度が50ショアDから80ショアDであり、その曲げ弾性率が30から175kpsiである上記中間層と、
上記中間層の回りに配されたカバー層であって、その材料硬度が25ショアDから70ショアDであり、その曲げ弾性率が2000psiから100000psiであり、数平均分子量が1500から10000の水素化テレチェリックポリ炭化水素ポリアールを含む組成物を有する上記カバー層とを有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
上記中間層はポリエステルエラストマーを有する組成物を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記カバー層は注型ウレタン材料を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記カバー層は注型尿素材料を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記カバーの硬度は上記内側層に較べて少なくとも5ショアDポイント小さい請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記ゴルフボールはさらに250から450個のディンプルからなるディンプルパターンを具備する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記コアの比重は1.4g/cm以下である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記コアは、ムーニー粘度が30以上のゴム、上記ゴムに対して重量基準で15phr以上のレベルの架橋剤、リグリンドおよび/またはフィラー、および上記反発係数を増大させるオプションの化合物を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記カバー層の組成物は熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリ尿素、または熱硬化性ポリ尿素を形成する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記カバー層の水蒸気透過性は0.1g・mm/(m・日・mmHg)以下である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
上記ゴルフボールは、雰囲気温度で3週間の水没試験による重量増加が0.003oz/wk以下である低重量増加特性を具備する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】
上記ゴルフボールは上記内側コアの回りに少なくとも1つの外側コア層を含む請求項1記載のゴルフボール。

【公開番号】特開2008−114069(P2008−114069A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−284639(P2007−284639)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY