説明

溶媒の蒸発パターン解析方法および溶媒真空蒸発装置

気密容器内に収容された単一または多成分の溶媒を含む被処理物から任意の蒸発処理条件で蒸発する単一または多成分の溶媒ガスを、排気手段を用いて気密容器内から連続的に排気手段の排気口に接続された排気経路に排気させるとともに、連続排気状態を保ちながら気密容器から前記排気経路の出口までの任意の場所で任意の時間毎に試料ガスをサンプリングし、サンプリングされた試料ガス中に含まれる溶媒ガスを測定し、その測定結果を用いて前記任意の蒸発処理条件における被処理物からの溶媒の蒸発パターンを求めるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒の蒸発パターン解析方法および溶媒真空蒸発装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品等の化学物質は、溶媒中で合成されたり、溶媒中に抽出されたのち、不要な溶媒が蒸発除去されて得られる。また、必要に応じて完全に溶媒を蒸発させて結晶化する、すなわち乾燥させる場合もある(たとえば、特許文献1,2参照)。
ところで、上記のような化学物質を製造する際に使用される溶媒は、化学物質毎に異なり、蒸発処理の最適条件(処理温度、蒸発速度、処理時間等)は化学物質毎に異なる。
【0003】
したがって、一般的に上記のような化学物質は、予め、実験装置等を用いて処理温度、溶媒の蒸発速度、処理時間、真空度等の諸条件を変化させて、各蒸発処理条件での溶媒の蒸発パターンおよび得られる化学物質の状態等を調べ、最適な蒸発処理条件を決定したのち、工業的に生産される。
【0004】
一方、従来から最適な溶媒の蒸発処理条件を求めるための方法としては、被処理物中に含まれている溶媒が1成分の場合、被処理物を天秤の上に載せておき、質量の経時変化を測定することにより溶媒の蒸発速度を測定する質量測定法が用いられることがある。また、被処理物中に含まれている溶媒が複数成分の場合、溶媒を含む被処理物をモデル乾燥器等の気密容器に入れ、真空ポンプで気密容器内の雰囲気を真空吸引して被処理物から溶媒を蒸発除去する途中で、何回か一旦真空ポンプを止めて、気密容器内を大気圧に戻して、気密容器内から被処理物の一部をサンプリングし、天秤にて秤量するとともに、適切な溶媒で溶解した後、ガスクロマトグラフを用いて各残存溶媒の含有量を測定し、再び真空乾燥を行うといった分析作業を繰り返し行い、先の分析作業での測定結果と、直後の分析作業での測定結果から求められる含有量差によって各溶媒の蒸発速度を求めるブレーク法が用いられている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−80072号公報
【特許文献2】特開平6−87802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、質量測定法は、上記したように溶媒が単一成分のときのみ有効で、複数の溶媒が含まれる多成分系では全溶媒の総和としての質量変化しか測定できない。また、装置が動いている場合には天秤の揺れ等があり、計測が困難なため、一旦真空ポンプや乾燥、蒸発装置等を停止しなければならない。したがって、時間的にロスがある。
一方、ブレーク法は、多成分溶媒を測定できるものの、サンプリング時に真空状態を一旦ブレークして系を大気圧まで戻さなければならない。したがって、再び所定の真空圧にするのに時間がかかるとともに、どこから所定の真空圧になり、再測定が開始されたか分かりにくい。また、ブレークの影響で蒸発系が乱れ、残存溶媒含量や途中の蒸発速度等が変わってくる可能性が大きい。そこで、系の乱れを最小限にとどめるために、数点程度のデータしかとれない。したがって、蒸発状態(蒸発速度、実効排気速度、総括伝熱係数、微量の溶媒の蒸発の検知等)に与える影響等が正確に分からず、最適な蒸発処理条件の設定が難しい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて、多成分溶媒系であっても、各蒸発処理条件での蒸発パターンを容易かつ正確に解析し、最適な蒸発処理条件を正確に求めることができる溶媒の蒸発パターン解析方法およびこの方法を実施可能な溶媒真空蒸発装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる溶媒の蒸発パターン解析方法は、気密容器内に収容された単一または多成分の溶媒を含む被処理物から任意の蒸発処理条件で蒸発する単一または多成分の溶媒ガスを、排気手段を用いて気密容器内から連続的に排気手段の排気口に接続された排気経路に排気させるとともに、連続排気状態を保ちながら気密容器から前記排気経路の出口までの任意の場所で任意の時間毎に試料ガスをサンプリングし、サンプリングされた試料ガス中に含まれる溶媒ガスを測定し、その測定結果を用いて前記任意の蒸発処理条件における被処理物からの溶媒の蒸発パターンを求めることを特徴としている。
【0009】
本発明の溶媒の蒸発パターン解析方法において、排気手段としては、たとえば、アスピレータ、減圧ポンプ、真空ポンプ等が挙げられ、実際の蒸発処理が真空に近い状態で行われる場合には、真空ポンプを用いることが好ましい。
また、本発明の溶媒の蒸発パターン解析方法においては、気密容器から真空ポンプの排気口に到る経路内に計量しながら不活性ガスを供給し希釈状態として溶媒ガスを排気経路に排気させることが好ましく、真空ポンプの内部排気経路、すなわち、真空ポンプの吸引口と排気口との間で不活性ガスを供給することがより好ましい。
さらに、排気手段として真空ポンプを用いた場合、サンプリングの場所は真空ポンプの排気口が好ましい。
【0010】
本発明の溶媒の蒸発パターン解析方法において、試料ガスの測定方法は、特に限定されず、たとえば、ガスクロマトグラフを用いる方法、比色法、質量分析法、赤外分光法等が挙げられ、中でもガスクロマトグラフを用いる方法が好適である。
さらに、本発明の溶媒の蒸発パターン解析方法においては、ガスクロマトグラフの測定結果から演算される溶媒ガス濃度、不活性ガス希釈倍率および不活性ガス流量を用いて被処理物からの溶媒の蒸発パターンを解析することが好ましく、気密容器内の被処理物温度、気密容器内の圧力等が必要に応じて解析データとして加えられることもある。
【0011】
一方、本発明にかかる被処理物の溶媒真空蒸発装置は、単一または多成分の溶媒を含む被処理物が収容される気密容器と、この気密容器内で蒸発した溶媒ガスを気密容器内から排気する排気手段と、この排気手段による連続排気状態を保ちながら排気される排気ガスからサンプリングされた試料ガス中に含まれる溶媒ガスを測定する測定手段とを備えることを特徴としている。
そして、単一または多成分の溶媒を含む被処理物が収容される気密容器と、この気密容器内で蒸発した溶媒ガスをその吸引口から吸引し、その排気口から排気するとともに、真空ポンプ内に吸引された吸引溶媒ガスに外部から不活性ガスを供給可能な不活性ガス供給口を備える真空ポンプと、供給量を計測しながら前記不活性ガス供給口を介して真空ポンプ内に不活性ガスを供給して前記吸引溶媒ガスを希釈する不活性ガス供給手段と、この不活性ガス供給手段で計測された不活性ガスの供給量計測結果を記憶する不活性ガス供給量記憶手段と、前記真空ポンプの排気口から排気される排気ガスを任意の時間毎に自動サンプリングし、このサンプリングされた排気ガス中の溶媒ガスを測定するガスクロマトグラフと、このガスクロマトグラフの測定結果と、予め求められた検量線とから溶媒ガス濃度を演算する演算手段と、この演算手段で演算された溶媒ガス濃度を記憶する濃度測定データ記憶手段とを備えることが好ましい。
【0012】
本発明において、真空ポンプとしては、特に限定されないが、たとえば、ドライタイプのものが好適である。また、ドライタイプの真空ポンプとしては、ダイヤフラム式ドライ真空ポンプ、回転翼(ベーン)式ドライ真空ポンプ、スクロール式ドライ真空ポンプ、揺動ピストン式オイルレス真空ポンプ、スクリュー式ドライ真空ポンプ等が挙げられ、ダイヤフラム式ドライ真空ポンプやスクリュー式ドライ真空ポンプが好適である。
【0013】
本発明において、不活性ガスを真空ポンプの内部排気経路に供給する方法としては、特に限定されないが、たとえば、真空ポンプにガスバラスト機構(ガスバラスト弁)を設け、このガスバラスト機構を用いて不活性ガスを供給する方法(特表2003−518228号公報参照)、真空ポンプのケーシング内部に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を介して不活性ガスを供給する方法(特開平11−294357号公報参照)等が挙げられる。
【0014】
ガスバラスト機構を備えるダイヤフラム式ドライ真空ポンプとしては、市販のもの(たとえば、Vacuubrand社製等)を用いることができるが、ダイヤフラムポンプ室入口から吸引し、ダイヤフラムポンプ室出口から排出するダイヤフラムポンプ室が4段以上直列に連結されていて、ガスバラスト機構が最終のダイヤフラムポンプ室より上流側でかつ3段目以降のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室出口と、次段のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室入口との間に設けられていることが好ましい。なお、ダイヤフラムポンプ室の段数が多くなる程、到達圧力が小さくなる(高真空になる)が、不活性ガス供給口より前段のダイヤフラムポンプ室内で溶媒ガスが凝縮しやすくなるので、ダイヤフラムポンプ室は8段以下が好ましい。
【0015】
本発明において、蒸発とは、乾燥という単位操作を含むものとする。また、真空蒸発は、加熱乾燥のように被処理物を加熱状態で行う場合だけでなく、真空凍結乾燥のように凍結状態で行ったり、常温状態で行うことができる。
【0016】
本発明において、溶媒とは、アセトン,ジクロロメタン,イソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶媒だけでなく水も含まれる。また、蒸発処理条件とは、被処理物の処理時の温度、気密容器内の圧力、排気速度、処理時間等をいう。
【0017】
本発明において、蒸発パターンとは、たとえば、任意の蒸発温度や任意の排気速度にしたときの、被処理物から特定の溶媒が蒸発する蒸発速度の経時変化や溶媒ガスの蒸気濃度の経時変化等をいう。
【0018】
本発明において、不活性ガスとしては、測定しようとする溶媒に対して不活性であれば特に限定されないが、たとえば、アルゴンガス,ヘリウムガス,二酸化炭素ガス,窒素ガス等が挙げられ、コスト面等を考慮すると窒素ガスが好適である。
また、本発明の溶媒真空蒸発装置において、気密容器内の被処理物の温度を制御する加熱装置や冷却装置等の温度コントロール手段、気密容器内の被処理物の温度を測定する温度センサ、気密容器内の圧力を測定する圧力センサを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の溶媒の蒸発パターン解析方法は、上記のように、気密容器内に収容された単一または多成分の溶媒を含む被処理物から任意の蒸発処理条件で蒸発する単一または多成分の溶媒ガスを、排気手段を用いて気密容器内から連続的に排気手段の排気口に接続された排気経路に排気させるとともに、連続排気状態を保ちながら気密容器から前記排気経路の出口までの任意の場所で任意の時間毎に試料ガスをサンプリングし、サンプリングされた試料ガス中に含まれる溶媒ガスを測定し、その測定結果を用いて前記任意の蒸発処理条件における被処理物からの溶媒の蒸発パターンを求めるようにしたので、すなわち、従来のように一旦真空状態をブレークすることなく、連続排気状態でサンプリングが行われるので、圧力が安定しており、頻繁にサンプリングしても圧力への影響がでない。また、従来のようにブレークしサンプリング後に再び元の排気状態まで戻すという工程が不要となるため、作業が短時間で終わる。しかも、作業時間を変えることなく、サンプリング回数を増やすこともでき、短時間で正確かつ詳細なデータが容易に得られる。
【0020】
そして、データが正確で詳細なため、蒸発処理条件が被処理物の乾燥状態に与える影響を正確に求めることが可能である。このことより、製造条件等の最適設定が容易である。
特殊な乾燥物(水和物結晶等)の詳細な乾燥速度曲線等が自動で算出され、これまでに得られなかった種々の知見を得ることができる。
【0021】
また、排気手段として真空ポンプを用いれば、真空に近い蒸発処理条件に対応することができる。そして、真空ポンプとしてドライタイプのものを使用すれば、油回転真空ポンプなどの油を使用した真空ポンプのように溶媒が油中に溶け込んだりすることがなく、溶媒が、確実に排気ガス経路に排気される。したがって、正確に溶媒の蒸発量を測定でき、溶媒の蒸発パターンの解析を正確に行うことができる。
【0022】
さらに、測定をガスクロマトグラフを用いて行うようにすれば、非常に微量な濃度でも検知でき、蒸発(乾燥)の終点も判断が容易である。
【0023】
一方、本発明の溶媒真空蒸発装置は、上記溶媒の蒸発パターン解析方法を良好に実施できる。
【0024】
特に、真空ポンプとして、ダイヤフラムポンプ室入口およびダイヤフラムポンプ室出口をそれぞれ備えるダイヤフラムポンプ室が4段以上直列に連結されていて、ガスバラスト機構が最終のダイヤフラムポンプ室より上流側でかつ3段目以降のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室出口と、次段のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室入口との間に設けられているダイヤフラム式ドライ真空ポンプを用いるようにすると、真空ポンプの到達圧力を高真空にすることができるとともに、不活性ガスを供給しても到達圧力への影響が少なく、安定した高真空状態を保つことができる。
したがって、実際の蒸発処理が、高真空で行われるような場合にも、実際の蒸発処理条件に近い状態で精密に溶媒の蒸発パターンを求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかる溶媒真空蒸発装置の1つの実施例をあらわしている。
【0026】
図1に示すように、この溶媒真空蒸発装置1は、蒸発手段2と、吸気管3と、排気手段としての真空ポンプ(ドライタイプ)4aと、不活性ガス供給手段5と、排気管6と、測定手段としての自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7と、パーソナルコンピュータ8とを備えている。
【0027】
蒸発手段2は、気密容器(図示せず)と、気密容器内の被処理物の温度を制御する加熱装置や冷却装置等の温度コントロール手段(図示せず)、気密容器内の被処理物の温度を測定する温度センサ、気密容器内の圧力を測定する圧力センサを備え、温度センサで測定された温度および圧力センサで測定された圧力がパーソナルコンピュータ8のメモリーに記憶される。
なお、気密容器としては、被処理物の状態に応じて適宜変更可能であり、特に限定されないが、たとえば、ナス型コルベンやモデル乾燥器等が挙げられる。
【0028】
吸気管3は、蒸発手段2の気密容器と真空ポンプ4aの吸引口40aとを連結していて、必要に応じて、途中に真空ポンプ4aによる吸引速度を調整するための手段(たとえば、ニードルバルブ等)を設ける場合がある。
【0029】
真空ポンプ4aは、気密容器内の溶媒ガスを吸気管3を介して吸引し、その排気口40bから排気経路としての排気管6側へ排気するとともに、図2に示すように、2つのダイヤフラムポンプ室42を備えている。
2つのダイヤフラムポンプ室42は、それぞれダイヤフラム弁43と、ダイヤフラムポンプ室入口44と、ダイヤフラムポンプ室出口45とを備え、1段目(上流側、図2では向かって左側)のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラムポンプ室出口45と2段目(下流側、図2では向かって右側)のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラムポンプ室入口44とが4フッ化エチレン樹脂等によって形成された連結管46を介して連結されている。
【0030】
また、連結管46には、1段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラムポンプ室出口45近傍にガスバラスト機構(ガスバラスト弁)41を備えている。
図2中、47は、ダイヤフラムポンプ室入口44およびダイヤフラムダイヤフラムポンプ室出口45に設けられた逆止弁である。
【0031】
つぎに、この真空ポンプ4aの動作を図2を用いて説明する。
すなわち、この真空ポンプ4aは、2つのダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラム弁43が以下の(1)〜(4)の動作を繰り返し行い、吸引排気するようになっている。
【0032】
(1)図2(a)に示すように、1段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラム弁43が吸引動作をし始めると、2段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラム弁43が排気動作をし始める。
(2)図2(b)に示すように、1段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラム弁43の吸引動作が完了すると同時に、2段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラム弁43の排気動作が完了する。
【0033】
(3)図2(c)に示すように、1段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラム弁43が排気動作をし始めると、2段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラム弁43が吸引動作をし始める。
(4)図2(d)に示すように、1段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラム弁43の排気動作が完了すると同時に、2段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラム弁43が吸引動作も完了する。
【0034】
不活性ガス供給手段5は、気密容器内の被処理物から蒸発する溶媒に対して、真空ポンプ4aのガスバラスト機構41を介して不活性なガスを真空ポンプ4a内に供給するとともに、不活性ガスの供給量を計測し、計測された結果を不活性ガス供給量記憶手段としてのパーソナルコンピュータ8のメモリーに記憶させる。
【0035】
すなわち、真空ポンプ4aにおいて、気密容器内から吸引された吸引溶媒ガスは、不活性ガス供給手段5からガスバラスト機構41を介して供給された不活性ガスによって、後述する自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7で測定可能で、排気管6内で結露しない溶媒ガス濃度となるように希釈される。
なお、不活性ガスの供給量を計測する手段としては、特に限定されず、一般に使用されているガス流量計が使用できる。
【0036】
排気管6は、真空ポンプ4aの排気口40bに接続されていて、吸引された溶媒ガスを含む排気ガス、あるいは、溶媒ガスとこの溶媒ガスを希釈するために不活性ガス供給手段5から供給された不活性ガスとを含む排気ガスを排気するようになっている。
自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7は、排気管6に接続されていて、排気管6中を流れる排気ガスを設定時間毎に自動サンプリングし、サンプリングされた各試料ガス中の溶媒成分の分離、測定を行うようになっており、市販(たとえば、Aligent Technologies社製等)のものを使用することができる。
【0037】
パーソナルコンピュータ8は、自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7による測定で得られ、メモリーに記憶された各溶媒成分の応答曲線のピーク面積と予め求めた検量線とを用いて試料ガス中の各溶媒成分の濃度をCPU等の演算手段によって演算するとともに、その演算結果は濃度測定データ記憶手段としてのパーソナルコンピュータ8のメモリーに記憶される。
そして、パーソナルコンピュータ8は、測定終了後、メモリーに記憶された濃度測定データ、不活性ガスの供給量データ、および、必要に応じて温度センサによって測定された温度データ、圧力センサによって測定された圧力データ等を用いて、各溶媒の蒸発パターンを演算する演算プログラムを備えている。
【0038】
つぎに、この溶媒真空蒸発装置1を用いた本発明の溶媒の蒸発パターン解析方法を詳しく説明する。
【0039】
この解析方法は、まず、被処理物の加熱温度の設定、検量線の作成を行う。
加熱温度は、加熱バス等の温度コントロール手段によって被処理物の蒸発処理温度になるように保持する。
検量線は、被処理物中の各溶媒について既知濃度の試料を自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7を用いて測定し、各溶媒毎に作成しておく。
【0040】
そして、不活性ガス供給手段5から不活性ガスが定量で真空ポンプ4内に供給されるようにバルブ等で調整したのち、真空ポンプ4を稼働させ、重量および溶媒含量を予め測定した被処理物である多成分溶媒もしくは乾燥すべき湿潤結晶を気密容器内に仕込んで真空蒸発を開始する。
【0041】
そして、自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7によって所定時間毎に排気ガスを自動サンプリングし、各サンプリング試料ガス毎に各溶媒成分の分離、測定し、測定結果と検量線とによって求めた各溶媒の濃度をパーソナルコンピュータ8のメモリーに記憶させる。なお、このとき、自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7の測定結果によって求められた各溶媒の濃度がその溶媒の飽和濃度以上である場合には、バルブ調整によって不活性ガス供給手段5からの不活性ガスの供給量を増やすようにする。
真空蒸発が完了すると、気密容器内の残存物の重量を測定するとともに、残存物の一部をサンプリンブし、残存物中に残っている溶媒量を測定し、蒸発した溶媒量を算出する。そして、その結果をパーソナルコンピュータ8に入力しメモリーに記憶させる。
【0042】
パーソナルコンピュータ8では、自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7から送られてくる各試料ガスのサンプリング時間と、演算された各サンプリング時の試料ガス中の各溶媒濃度と、不活性ガス供給手段5から送られてくる各サンプリング時の不活性ガス供給量と、真空蒸発の開始時および終了時の被処理物の重量と溶媒含量等のデータをメモリーに記憶するとともに、演算手段としてのCPUによって別途作成された処理ソフトを用いてこれらのデータから各溶媒成分の濃度や蒸発速度の経時変化のグラフが作成されるとともに、自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7による各蒸発溶媒成分の回収率が算出される。
そして、いろいろな蒸発処理条件での蒸発パターンをそれぞれ解析し、その解析結果から最良の蒸発処理条件を求め、求められた最良の蒸発処理条件に基づいて本生産での溶媒の真空蒸発あるいは真空乾燥作業を行うことができる。
【0043】
以上のように、上記真空蒸発装置1を用いれば、真空をブレークすることなく、従来に比べ圧力が安定しており、頻繁にサンプリングしても圧力への影響がでない。したがって、詳細なデータを得ることができる。
また、自動サンプリング式ガスクロマトグラフを用いるようにしたので、手動に比べ、分析時間を短縮することができる。
【0044】
図3および図4は、本発明にかかる溶媒真空蒸発装置に用いられる真空ポンプの他の例をあらわしている。
図3および図4に示すように、この真空ポンプ4bは、4つのダイヤフラムポンプ室42を備え、3段目(図4の左から3番目)のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラムポンプ室出口45と、4段目(図4の左から4番目)のダイヤフラムポンプ室入口44とを連結する連結管46の3段目のダイヤフラムポンプ室42のダイヤフラムポンプ室出口45近傍にガスバラスト機構41が設けられ、その他の連結管46にはガスバラスト機構41が設けられていない以外は、上記の真空ポンプ4aと同様になっている。
【実施例1】
【0045】
被処理物としてのIPA水溶液(IPA50g+水50g)を上記溶媒真空蒸発装置1の気密容器としての0.5リットルのモデル乾燥器内に入れたのち、溶媒真空蒸発装置1を上記のように稼働させて2分置きに自動サンプリング式ガスクロマトグラフ7でサンプリングして、サンプリングされた試料ガス毎のIPAと水の濃度を求めた。そして、その蒸発パターン解析結果を図5および図6に示した。
なお、図5は排気ガス中のIPAと水のそれぞれの濃度の経時変化をあらわし、図6はIPAと水のそれぞれの蒸発速度の経時変化をあらわしている。また、モデル乾燥器は、本生産で用いるコニカル型乾燥器を小型化したガラス製容器、真空ポンプは、図2に示す真空ポンプ4aと同様にダイヤフラムポンプ室入口およびダイヤフラムポンプ室出口をそれぞれ備えるダイヤフラムポンプ室が2段直列に連結されていて、ガスバラスト機構が1段目のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室出口に設けられているダイヤフラム式ドライ真空ポンプA(Vacuubrand社製MZ2C)を用い、排気速度は3リットル/分であった。
【0046】
上記実施例1から、本発明の方法を用いれば、短い間隔でサンプリングでき、詳細なデータを取得できるとともに、蒸発(乾燥)の終点も判断が容易であることがよくわかる。
【実施例2】
【0047】
上記実施例1と同様の溶媒真空蒸発装置1を用いるとともに、被処理物としてのL−アルギニン湿潤結晶(水分15重量%、IPA12重量%)60gを気密容器としてのモデル乾燥器(実施例1と同様のもの)内に入れたのち、溶媒真空蒸発装置1を実施例1のように稼働させてその蒸発パターンを求めた。そして、その結果を図7に示した。
なお、図7はIPAと水のそれぞれの蒸発速度の経時変化をあらわしている。
【0048】
上記実施例2から、特殊な乾燥物(水和物結晶等)の詳細な乾燥速度曲線等が自動で算出され、これまでに得られなかった種々の知見を得ることができることかよくわかる。
また、上記溶媒真空蒸発装置1では、自動で最短1分間隔ごとにサンプリングできるとともに、1mg/分以下の非常に微量での蒸発量も検知できた。したがって、蒸発(乾燥)の終点も判断が容易であることがわかった。
【実施例3】
【0049】
上記実施例1で用いた真空ポンプA(Vacuubrand社製MZ2C)と、ダイヤフラムポンプ室入口およびダイヤフラムポンプ室出口をそれぞれ備える4つのダイヤフラムポンプ室が直列に連結されていて、ガスバラスト機構が3段目のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室出口に設けられている真空ポンプB(Vacuubrand社製MD4C改造品)とを、それぞれ気密容器との間に設けられたニードルバルブを開度率0.72(ニードルバルブ9回転/全開12.5回転)に調整した状態で真空ポンプ排気速度曲線を調べ、その結果を、図8に示した。
図8から、圧力150mmHg(20kPa)以上では両者の排気速度曲線に大きな違いは認められないが、到達圧力付近では真空ポンプBの方が到達圧力が低く、高い排気速度を示すことがよくわかる。
【実施例4】
【0050】
ダイヤフラムポンプ室入口およびダイヤフラムポンプ室出口をそれぞれ備える4つのダイヤフラムポンプ室が直列に連結されていて、ガスバラスト機構が3段目のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室出口に設けられている真空ポンプB(Vacuubrand社製MD4C改造品)、ダイヤフラムポンプ室入口およびダイヤフラムポンプ室出口をそれぞれ備える4つのダイヤフラムポンプ室が直列に連結されていて、ガスバラスト機構が2段目のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室出口に設けられている真空ポンプC(Vacuubrand社製MD4C改造品)、ダイヤフラムポンプ室入口およびダイヤフラムポンプ室出口をそれぞれ備える4つのダイヤフラムポンプ室が直列に連結されていて、ガスバラスト機構が1段目のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室出口に設けられている真空ポンプD(Vacuubrand社製MD4C改造品)、ダイヤフラムポンプ室入口およびダイヤフラムポンプ室出口をそれぞれ備える4つのダイヤフラムポンプ室が直列に連結されていて、ガスバラスト機構が設けられていない真空ポンプE(Vacuubrand社製MD4C改造品)を用意した。そして、各真空ポンプの吸入口を20Lのステンレス鋼製缶の排気口にニードルバルブを介さず直接接続し、空気減圧法を用いてステンレス鋼製缶内の圧力の経時変化を測定することによって、窒素導入位置(ガスバラストの位置)が排気速度および到達圧力に及ぼす影響を調べ、その結果を表1に示した。真空ポンプB〜Dについては、ガスバラスト機構によって15L/分の供給速度で窒素を供給した。
【0051】

【0052】
上記表1から、不活性ガスの供給位置が、後段になる程、窒素導入による到達圧力への影響が少ないことがよくわかる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施例に限定されない。たとえば、上記実施例では、上記溶媒真空蒸発装置1を用いて真空蒸発をどのような条件で行うのが適切であるかどうかを予め実験で求め、その結果に沿って本生産するようにしているが、本生産で用いる蒸発乾燥装置の真空ラインにバイパスを設け、被検体の溶媒ガスをこのバイパスから本発明における真空ポンプに導き、本発明と同様の処理を行ったのち、サンプリングして自動サンプリング式ガスクロマトグラフで分析できるようにすれば、本生産での真空蒸発工程のモニタリングにも利用することができる。
【0054】
また、上記実施例では、自動サンプリング式ガスクロマトグラフのデータが直接パーソナルコンピュータに入力されるようになっていたが、自動サンプリング式ガスクロマトグラフのデータをフレキシブルディスク等の記録メディアに記憶させ、この記憶メディアのデータを別のパーソナルコンピュータのソフトを用いて解析させるようにしても構わない。
【0055】
上記実施例では、自動サンプリング式のガスクロマトグラフを用いていたが、設定時間毎に手動でサンプリングし、サンプリング試料をそののちに個別にガスクロマトグラフを用いて測定しても構わない。
さらに、上記実施例では、吸引溶媒ガスを不活性ガスで希釈した状態の排気ガスを自動サンプリング式ガスクロマトグラフで測定していたが、吸引溶媒ガス中の溶媒濃度が低い場合は、不活性ガスで希釈せずにそのままの状態で排気された排気ガスを自動サンプリング式ガスクロマトグラフで測定しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明にかかる溶媒の蒸発パターン解析方法およびこの方法を実施可能な溶媒真空蒸発装置は、医薬品等の化学物質からの溶媒除去や化学物質の乾燥、水洗浄したプリント基板、ハードディスク等の電機・電子関連機器、ブレーキ部品、電装部品等の自動車・機械金属関連機器、カメラ部品、時計部品等の精密・光学関連機器等の各種ワークの乾燥、食品の乾燥、農作物の乾燥、あるいは、金属粉等の無機材料の乾燥の進行状況把握や残存溶媒のモニター等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
[図1]本発明にかかる溶媒真空蒸発装置の1実施例をあらわすブロック図である。
[図2]図1の溶媒真空蒸発装置のダイヤフラム式ドライ真空ポンプの動きを模式的に説明する断面図である。
[図3]本発明にかかる溶媒真空蒸発装置に用いられるダイヤフラム式ドライ真空ポンプの他の例の概略説明図である。
[図4]図3のダイヤフラム式ドライ真空ポンプの断面を模式的にあらわす図である。
[図5]実施例1の実験結果であって、IPA水溶液の場合における試料ガス中のIPAおよび水のそれぞれの蒸気濃度の経時変化をあらわすグラフである。
[図6]実施例1の実験結果であって、IPA水溶液の場合におけるIPAおよび水のそれぞれの蒸発速度の経時変化をあらわすグラフである。
[図7]実施例2の実験結果であって、L−アルギニン湿潤結晶の場合におけるIPAおよび水のそれぞれの蒸発速度の経時変化をあらわすグラフである。
[図8]真空ポンプAと真空ポンプBの排気速度曲線を比較する図である。
【符号の説明】
【0058】
1 溶媒真空蒸発装置
2 蒸発手段
3 吸気管
4a,4b ダイヤフラム式ドライ真空ポンプ(排気手段)
5 不活性ガス供給手段
6 排気管
7 自動サンプリング式ガスクロマトグラフ(測定手段)
8 パーソナルコンピュータ
40a 吸引口(真空ポンプの吸引口)
40b 排気口(真空ポンプの排気)
41 ガスバラスト機構
42 ダイヤフラムポンプ室
43 ダイヤフラム弁
44 ダイヤフラムポンプ室入口
45 ダイヤフラムポンプ室出口
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密容器内に収容された単一または多成分の溶媒を含む被処理物から任意の蒸発処理条件で蒸発する単一または多成分の溶媒ガスを、排気手段を用いて気密容器内から連続的に排気手段の排気口に接続された排気経路に排気させるとともに、連続排気状態を保ちながら気密容器から前記排気経路の出口までの任意の場所で任意の時間毎に試料ガスをサンプリングし、サンプリングされた試料ガス中に含まれる溶媒ガスを測定し、その測定結果を用いて前記任意の蒸発処理条件における被処理物からの溶媒の蒸発パターンを求めることを特徴とする溶媒の蒸発パターン解析方法。
【請求項2】
排気手段が真空ポンプである請求の範囲第1項に記載の溶媒の蒸発パターン解析方法。
【請求項3】
真空ポンプがドライタイプである請求の範囲第2項に記載の溶媒の蒸発パターン解析方法。
【請求項4】
気密容器から真空ポンプの排気口に到る経路内に計量しながら不活性ガスを供給し希釈状態として溶媒ガスを排気経路に排気させる請求の範囲第2項または第3項に記載の溶媒の蒸発パターン解析方法。
【請求項5】
真空ポンプの内部排気経路内に不活性ガスを供給する請求の範囲第4項に記載の溶媒の蒸発パターン解析方法。
【請求項6】
真空ポンプの排気口から試料ガスをサンプリングする請求の範囲第2項〜第5項のいずれかに記載の溶媒の蒸発パターン解析方法。
【請求項7】
測定結果から演算される溶媒ガス濃度、不活性ガス希釈倍率および不活性ガス流量を用いて被処理物からの溶媒の蒸発パターンを求める請求の範囲第4項〜第6項のいずれかに記載の溶媒の蒸発パターン解析方法。
【請求項8】
溶媒ガスをガスクロマトグラフによって測定する請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載の溶媒の蒸発パターン解析方法。
【請求項9】
単一または多成分の溶媒を含む被処理物が収容される気密容器と、
この気密容器内で蒸発した溶媒ガスを気密容器内から排気する排気手段と、
この排気手段による連続排気状態を保ちながら排気される排気ガスからサンプリングされた試料ガス中に含まれる溶媒ガスを測定する測定手段とを備えることを特徴とする溶媒真空蒸発装置。
【請求項10】
単一または多成分の溶媒を含む被処理物が収容される気密容器と、
この気密容器内で蒸発した溶媒ガスをその吸引口から吸引し、その排気口から排気するとともに、真空ポンプ内に吸引された吸引溶媒ガスに外部から不活性ガスを供給可能な不活性ガス供給口を備える真空ポンプと、
供給量を計測しながら前記不活性ガス供給口を介して真空ポンプ内に不活性ガスを供給して前記吸引溶媒ガスを希釈する不活性ガス供給手段と、
この不活性ガス供給手段で計測された不活性ガスの供給量計測結果を記憶する不活性ガス供給量記憶手段と、
前記真空ポンプの排気口から排気される排気ガスを任意の時間毎に自動サンプリングし、このサンプリングされた排気ガス中の溶媒ガスを測定するガスクロマトグラフと、
このガスクロマトグラフの測定結果と、予め求められた検量線とから溶媒ガス濃度を演算する演算手段と、
この演算手段で演算された溶媒ガス濃度を記憶する濃度測定データ記憶手段と
を備えることを特徴とする溶媒真空蒸発装置。
【請求項11】
真空ポンプが、不活性ガス供給口となるガスバラスト機構を備えるダイヤフラム式ドライ真空ポンプである請求の範囲第10項に記載の溶媒真空蒸発装置。
【請求項12】
ダイヤフラム式ドライ真空ポンプは、ダイヤフラムポンプ室入口から吸引し、ダイヤフラムポンプ室出口から排出するダイヤフラムポンプ室が4段以上直列に連結されていて、ガスバラスト機構が最終のダイヤフラムポンプ室より上流側でかつ3段目以降のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室出口と、次段のダイヤフラムポンプ室のダイヤフラムポンプ室入口との間に設けられている請求の範囲第11項に記載の溶媒真空蒸発装置。
【請求項13】
真空ポンプが、そのケーシングに不活性ガス供給口となる貫通孔を備えたスクリュー式ドライ真空ポンプである請求の範囲第10項に記載溶媒真空蒸発装置。

【国際公開番号】WO2005/026717
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513871(P2005−513871)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013039
【国際出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【特許番号】特許第3797385号(P3797385)
【特許公報発行日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】