説明

溶接棒ホルダー

【課題】凹凸の多い箇所など従来の溶接しにくかった箇所に対しても、溶接棒の先端を届き易くして、かかる箇所での溶接作業を行いやすくした溶接棒ホルダーを提供する。
【解決手段】ホルダー本体10の前部12に筒形状の補助ホルダー20を横から見て前方斜め下向きに取り付け、この補助ホルダー20の先端の差込み穴21に補助ホルダーと同じ向きになるように溶接棒Aを取り付ける。補助ホルダー20の後端からは補助ホルダー内に押出し棒30を挿入して溶接棒Aの残滓Bを先端の差込み穴21から押出し排出できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接作業に用いる溶接棒を把持する溶接棒ホルダーに関し、特に溶接作業時の利便性を高めた溶接棒ホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は従来一般に知られているアーク溶接作業の例である。同図に示すように、アーク溶接作業を行うには、溶接機70の一方の給電ケーブル71の先端のアースクランプ72を母材73にクランプし、他方のケーブル74の先端の溶接棒ホルダー75のホルダー本体75aとレバー75bの先端に溶接棒Aをほぼ直角に挟持し、溶接棒Aの先端と母材73との間にアークを発生させて、アーク熱(約6000℃)を利用して溶接する。このようなアーク溶接に用いられる溶接棒ホルダーとしては、特許文献1〜3に示すものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−61641号公報
【特許文献2】実開昭61−49682号公報
【特許文献3】実開平3−24377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記各文献に示す溶接棒ホルダーは、図9に示すような凹凸箇所の少ない母材の溶接には適するものの、図8に示すような鉄筋61を縦横に交互に重ねて溶接点Pを連続溶接し、複数の平網を一度に製作する場合など、凹凸箇所が多く、また、隙間が狭く、溶接点Pが深い所にあるような箇所に対しては溶接作業が思うようにできないという問題があった。例えば、溶接棒をホルダーに対し直角に挟んだまま狭い場所に挿入しようとすると、ホルダーが挿入の邪魔になりやすい。また、ホルダーを奥に伸ばしにくいため、溶接棒の先端が奥方の溶接点に届きにくい問題もある。さらに、溶接棒を最後まで使い切ることができず、無駄が多いなどの問題もあった。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、本発明は、凹凸の多い箇所など従来の溶接しにくかった箇所に対しても、溶接棒の先端を届き易くして、かかる箇所での溶接作業を行いやすくした溶接棒ホルダーを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、溶接棒をほぼ最後まで使い切ることのできる溶接棒ホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る溶接棒ホルダーは、ホルダー本体の前部に筒形状の補助ホルダーを横から見て前方斜め下向きに取り付け、この補助ホルダーの先端に当該補助ホルダーと同じ向きになるように溶接棒を取り付ける一方、補助ホルダーの後端から当該補助ホルダー内に押出し棒を挿入して前記溶接棒を補助ホルダーの先端から押出し排出できるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る溶接棒ホルダーによると、ホルダー本体の前部に筒形状の補助ホルダーを横から見て前方斜め下向きに取り付け、この補助ホルダーの先端に当該補助ホルダーと同じ向きになるように溶接棒を取り付けたから、従来に比べて、溶接棒の先端を、従来溶接しにくかった箇所(凹凸の多い所の隅部、隙間の狭い奥の隅部、深い場所など)に対して、容易に届きやすくすることができる。ホルダー本体の前部から延びる補助ホルダーの長さ分、溶接棒の先端位置が前方に延びるので、溶接棒の先端がより奥方に届き易い。
【0009】
また、従来のホルダーと異なり、ホルダー本体を握った状態で握った方の手からホルダー本体、補助ホルダー、溶接棒がほぼ一直線に延びるので、溶接作業におけるホルダー本体の操作の動き(前進、後退、回動)を抑えることができ、溶接しやすい姿勢を取ることができる。
【0010】
ホルダー本体の前部から前方に延びる補助ホルダーの先端に溶接棒を取り付けるので、従来のホルダーに比較して、溶接棒をほぼ最後まで使い切ることが可能であり、溶接コストの削減を図ることができる。
【0011】
溶接棒を使い切ったら、補助ホルダーの後端の開口部から押出し棒を補助ホルダー内に挿入し、押出し棒により使用後の溶接棒の残滓を押出し排出して、新たな溶接棒と速やかに取替えすることができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る溶接棒ホルダーは、ホルダー本体に対する補助ホルダーの取付角度を横から見て下向き35度〜55度としたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る溶接棒ホルダーによると、上記角度に設定することで、ホルダー本体を握ったときに、より溶接しやすい姿勢をとることができる。
【0014】
本発明の請求項3に係る溶接棒ホルダーは、補助ホルダーの先端部を周方向に分割して、補助ホルダーと同じ向きの姿勢の溶接棒の後端部を補助ホルダーの先端の差込み穴から補助ホルダー内に圧入できるようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る溶接棒ホルダーによると、溶接棒を補助ホルダーに対し容易に取り付けることができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る溶接棒ホルダーは、補助ホルダーをホルダー本体の前部に対し着脱可能に取り付けできるようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る溶接棒ホルダーによると、長さの異なる筒部を複数準備し、溶接箇所に応じた長さの筒部をホルダー本体の先端部に取付固定することができる。これにより、溶接箇所が手元から遠い場合には長い方の筒部を取り付け、溶接箇所が手前から近い場合には短い方の筒部を取り付けることで、それぞれに対応させることができる。
【0018】
本発明の請求項5に係る溶接棒ホルダーは、補助ホルダーをホルダー本体の前部に対しねじ込みできるようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項5に係る溶接棒ホルダーによると、補助ホルダーをねじ込み式とすることにより、ホルダー本体の前部から補助ホルダーの先端までの長さを調整できるし、補助ホルダーの先端部を周方向に分割したときには、繰り返し使用によって先端の差込み穴の径が拡開気味になるときは、補助ホルダーのねじ込み量を増やすことにより先端の差込み穴の径を元の大きさに戻すことができる。
【0020】
本発明の請求項6に係る溶接棒ホルダーは、押出し棒を押出し操作するレバーをホルダー本体の中間部に連結軸を介して回動自在に連結し、このレバーの先端に軸部を介して回動部材を回動自在に取り付け、この回動部材の外周に押出し棒の後端を固定することを特徴とする。
【0021】
請求項6に係る溶接棒ホルダーによると、レバーとホルダー本体の握り操作により、てこの原理で、押出し棒を前進させて溶接棒を補助ホルダーの先端の差込み穴から押出し、排出して、新たな溶接棒と速やかに交換することができる。
【0022】
本発明の請求項7に係る溶接棒ホルダーは、レバーの先端とホルダー本体の間に弾発部材を介在させたことを特徴とする。
【0023】
請求項7に係る溶接棒ホルダーによると、レバーとホルダー本体の握り操作を解除すると、弾発部材の弾発作用により、レバーが元の位置に速やかに復帰し、新たな溶接棒を速やかに補助ホルダーの先端に取り付けることができる。
【0024】
本発明の請求項8に係る溶接棒ホルダーは、レバーの後端部をヒンジを介して前方へ折り畳みできるようにしたことを特徴とする。
【0025】
請求項8に係る溶接棒ホルダーによると、レバー操作をしないときはレバーの後端部を前方へ折り畳むことで、レバーが溶接作業時のホルダー本体の握りの邪魔にならないようにすることができる。
【0026】
本発明の請求項9に係る溶接棒ホルダーは、ホルダー本体の両脇に独自に押出し棒の押出し操作を行えるレバーを配置し、それら一対のレバーをホルダー本体の中間部に連結軸を介して連結したことを特徴とする。
【0027】
請求項9に係る溶接棒ホルダーによると、溶接棒を押出す押出し棒を操作するためのレバーをホルダー本体の両脇に配置することで、右利き、左利きのどちらにも対応することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明に係る溶接棒ホルダーによると、ホルダー本体の前部に筒形状の補助ホルダーを横から見て前方斜め下向きに取り付け、この補助ホルダーの先端に当該補助ホルダーと同じ向きになるように溶接棒を取り付けたから、溶接棒の先端が、従来のホルダーでは溶接が困難であった凹凸の多い箇所や、狭い隙間の奥、深い箇所の奥に届き易くなり、かかる箇所での溶接作業が行ない易くなる、という優れた効果を奏する。
【0029】
また、本発明の溶接棒ホルダーによると、溶接棒をほぼ最後まで使い切ることができて、溶接コストを削減することができる。
【0030】
さらに、本発明の溶接棒ホルダーによると、溶接棒を使い切った後は、溶接棒の残滓を押出し棒で速やかに排出し、新たな溶接棒を速やかに取り付けて作業を再開することができる、という優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図5参照して説明する。
図1ないし図3において、本発明の溶接棒ホルダー1は、ホルダー本体10、補助ホルダー20、押出し棒30、レバー40によって基本構成されている。
【0032】
ホルダー本体10は、後部11に給電ケーブル50の取付部を兼ねる握り部を形成するとともに、前部12に補助ホルダー20を取り付ける取付部を形成している。かかるホルダー本体10は真ちゅうなどの金属製からなり、後部11の周囲は絶縁性の樹脂カバー13によってカバーされている。
【0033】
補助ホルダー20は、細長い円筒形をしており、先端の差込み穴21に溶接棒Aを補助ホルダー20と同じ向きになるように取り付けるもので、ホルダー本体10の前部12に対し横から見て斜め下向き(下向き45度)に着脱可能に取付けられている。すなわち、補助ホルダー20の外周部に雄ねじ22が切られ、ホルダー本体10の前部12の貫通孔14(貫通孔14はホルダー本体10に対し横から見て斜め下向き45度に延びている)にねじ込みすることで、ホルダー本体10の前部12に着脱可能に取り付けられている。
【0034】
図示例は、円筒形の補助ホルダー20の側面の相対する2箇所に平坦面23、23が形成されている。平坦面23、23の間をペンチ等で挟み、正転させてねじ込みあるいは逆転させて取り外しやすくすることができる。補助ホルダー20は角筒状であってもよい。かかる補助ホルダー20は真ちゅうなどの金属製で、周囲は絶縁性の樹脂カバー24によってカバーされている。
【0035】
補助ホルダー20の先端には補助ホルダー20と同じ向きになるように溶接棒Aが取付けられる。補助ホルダー20の先端部20aはスリット25により周方向に分割(図示例では4分割。図4参照)されており、このスリット25により溶接棒Aの後端部を先端の差込み穴21内に圧入することができる。これにより溶接棒Aが容易にぐらついたり外れたりすることがない。圧入を可能とすべく、先端の差込み穴21の穴径d1は溶接棒Aの後端部の外径d2よりも僅かに小さい。なお、先端の差込み穴21から後端まで貫通孔26が設けられている(図5参照)。
【0036】
補助ホルダー20の周囲には、溶接棒Aの繰り返し圧入により補助ホルダー20の先端部20aが開き気味になるのを抑制する抑制リング27が外嵌されている。抑制リング27の内周面には雌ねじ27aが切られており、補助ホルダー20の外周の雄ねじ22に対し螺合させることで、補助ホルダー20の軸方向に沿って前進または後退させることができる。
【0037】
押出し棒30は、補助ホルダー20に保持された使用後の溶接棒Aの残りを先端の差込み穴21から押出して排出する操作をするもので、図5に示すように、ホルダー本体10の前部12の背面12aの開口部14aから貫通孔14を通して補助ホルダー20の貫通孔26に挿入されている。この押出し棒30は、後述するレバー40の握り操作をしない状態の位置で、新たな溶接棒Aを差込み穴21から差し込んだときの溶接棒Aの後端の位置決めとなるストッパーの役割も果たす。押出し棒30の前端位置は、押出し棒30の長さや、後述するレバー40の取付穴44に対するねじ込み量の加減によって適宜調整することができる。
【0038】
レバー40は、押出し棒30を押出し操作するもので、ホルダー本体10の中間部15にボルトおよびナットからなる連結部41を介して連結されている。レバー40の上端には軸部42を介して回動部材43が回動自在に取付けられ、回動部材43の外周の取付穴44に押出し棒30の後端がねじ込まれて固定されている。すなわち、押出し棒30の後端には雄ねじ31が、取付穴44には図示しない雌ねじがそれぞれ切られている。
【0039】
レバー40の上端とホルダー本体10の前部12の背面12aとの間には弾発部材であるバネ45が介在されている。なお、符号45aは絶縁部材を示す。レバー40の後端部46とホルダー本体10の後部11を掴み操作することで、バネ45の弾発力に抗して、レバー40の先端で押出し棒30を前進させ、押出し棒30の先端で補助ホルダー20内の溶接棒Aの後端を押圧して先端の差込み穴21から溶接棒Aを押出すことができる。一方、前記の掴み操作を解除すると、バネ45の弾発力により、押出し棒30を元の位置に復帰させることができ、次の溶接棒Aの圧入に備えることができる。
【0040】
レバー40の後端部46の収容部46aには、ヒンジ47を介して軸支された補助レバー46bが、図1の時計回り方向に前方へ折畳まれた状態で、前記収容部46aに収容されている。この補助レバー46bは、後述するように、ホルダー本体10の中間部15から前方をヒンジ16回りに起立させて溶接作業するときに、レバー40の握り操作の際、レバー40の後端部46が遠くなって指が掛かりにくくなるので、レバー40の後端部45の収容部46aから補助レバー46bを図1の半時計回りに回動させて引き出し、指を掛ける補助部となるものである。
【0041】
ホルダー本体10の後部11と中間部15との間にはヒンジ16が設けられ、後部11に対し中間部15から前方をヒンジ16回りに所定の角度起立させることができる。これにより、補助ホルダー20に保持された溶接棒Aの角度を調整することができる。なお、ホルダー本体10の中間部15から前方、押出し棒30、レバー40、バネ45は、いずれも絶縁性のカバーにより被覆されている。
【0042】
以上の構成からなる溶接棒ホルダー1において、補助ホルダー20の長さは5cm〜30cmであることが望ましい。また、5cm〜30cmの範囲で、長さの段階的に異なる補助ホルダー20を複数用意することができる。前述したように、補助ホルダー20の後端部は雄ねじ22が切られ、ホルダー本体10の前部12の貫通孔14(内周に雌ねじが切られている)に着脱できるようになっており、補助ホルダー20を容易に取り替えることができる。
【0043】
次に、本発明に係る溶接棒ホルダー1の使用方法を説明する。
【0044】
溶接棒Aを溶接棒ホルダー1に保持させるべく、補助ホルダー20の先端の差込み穴21に溶接棒Aの後端を圧入する。図8に示すように、鉄筋組立治具60に対し、奥から手前にかけて縦横に鉄筋61を複数本並べて複数段重ね、奥から手前にかけて溶接作業を行うようにする。
【0045】
溶接棒ホルダー1を利き手に持ち、溶接棒Aの先端を一番奥の鉄筋61の溶接点Pに位置決めし、一番奥から手前にかけて溶接点Pを移動しながら溶接作業を行うようにする。ホルダー本体10の前部12から前方斜め下向き45度に補助ホルダー20が延び、補助ホルダー20の先端から同じ向きに溶接棒Aの先端が位置するから、図8の場合のような狭い隙間に対し溶接棒Aの先端を容易に進入させることができる。また、図8の場合のような比較的距離のある溶接点Pに対し溶接棒Aの先端を容易に届かせることができる。さらに、非常に楽な溶接姿勢をとることができる。その結果、溶接品質を良くすることができ、溶接作業を効率よく行うことができる。
【0046】
奥の溶接点Pから手前の溶接点Pに手際よく移動することができ、複数枚の平網を効率よく製作することができる。
【0047】
補助ホルダー20の先端付近まで溶接棒Aを使い切ることができるので、途中で溶接作業が中断する回数を減らすことができる。溶接棒Aをほぼ最後まで使い切ったら、残りを排出し、新しい溶接棒を取り付ける。
【0048】
まず、折畳んだ状態のレバー40を元の状態に戻し、レバー40の後端部46とホルダー本体10の後部11を強く握り、てこの原理で補助ホルダー20内の押出し棒30を前進させて、使用後の溶接棒の残滓Bを押出し、これを補助ホルダー20の先端の差込み穴21から排出する。
【0049】
新しい溶接棒の後端を補助ホルダー20の先端の差込み穴21内に圧入し、これにより補助ホルダー20に溶接棒を取り付ける。これにより、再び溶接作業を進める。
【0050】
本実施形態の溶接棒ホルダー1によると、溶接棒を補助ホルダー20の先端の差込み穴21内に圧入して溶接棒を保持する構造であるから、繰り返し使用、長期間の使用により従来の溶接棒ホルダーの挟み部の歯が破損して溶接棒を把持できなくなるような不具合を軽減できる。特に抑制リング27の、たが効果により補助ホルダー20の先端部20aが開かないように拘束することができ、さらに、抑制リング27を螺合により前進させることで、溶接棒Aを強く保持することが可能である。
【0051】
図6は、本発明の他の実施形態の溶接棒ホルダー2を示するもので、溶接棒ホルダー2を持つ利き手が左右いずれの場合にも対応できるように、レバー40をホルダー本体10の両脇に配置して、独自に押出し棒30の押出し操作を行えるようにしている。それら一対のレバー40、40はホルダー本体10の中間部15に連結軸41を介して互いに連結されている。
【0052】
溶接棒ホルダー2を右手で持つ場合は、背面側から見てホルダー本体10の左側に位置するレバー40の方が操作しやすく、また、溶接棒ホルダー2を左手で持つ場合は、背面側から見てホルダー本体10の右側に位置するレバー40の方が操作しやすい。
【0053】
図7は、図1に示す溶接棒ホルダー1に、着脱式のアタッチメントとして、溶接棒ホルダー1を持つ方の腕Cを支える腕支持具51をホルダー本体10に装着したものである。この腕支持具51は、ホルダー本体10の後部11の連結部41寄りにネジ等で固定された断面U字形の取付部材52と、この取付部材52の両側から後方に延びるアーム部材53、53とからなり、両アーム部材53、53の後端の間には腕Cを下から支える腕乗せ部53aが形成されている。長尺な補助ホルダー20(例えば、長さ30cmのもの)を用いる場合など、腕Cを真っ直ぐに伸ばし続けて溶接作業を持続させると、腕Cが次第に疲れてくる場合があるので、そのような場合でも、腕支持具51を取り付けることで、腕Cが疲れにくくなるという効果がある。なお、腕支持具51を90度周方向に角度を変えて溶接棒ホルダー1に取り付けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る溶接棒ホルダーは、アーク溶接などの溶接作業に用いる溶接棒を保持する際に用いる溶接棒ホルダーとして、利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る溶接棒ホルダーを横から見た状態を示す側面図である。
【図2】図1に示す溶接棒ホルダーを反対側から見た状態を示す側面図である。
【図3】図1に示す溶接棒ホルダーを上から見た状態を示す平面図である。
【図4】補助ホルダーを斜め前方から見た状態を示す図である。
【図5】使用後の溶接棒の残滓を押出し棒で押出し操作する作用を示す図である。
【図6】本発明に係る別の溶接棒ホルダーを示す斜視図である。
【図7】本発明に係る溶接棒ホルダーに持ち手の腕を支える支持具を装着した状態を示す側面図である。
【図8】鉄筋組立治具に奥から手前にかけて溶接対象の鉄筋を縦横に交互に並べて、複数段重ねた状態を示す図である。
【図9】従来の溶接棒ホルダーを用いたアーク溶接作業を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1、2 溶接棒ホルダー
10 ホルダー本体
11 後部
12 前部
12a 背面
13、24 樹脂カバー
14、26 貫通孔
14a 開口部
15 中間部
16、47 ヒンジ
20 補助ホルダー
20a 先端部
21 先端の差込み穴
22 雄ねじ
23 平坦面
25 スリット
26 貫通孔
27 抑制リング
27b 雌ねじ
30 押出し棒
40 レバー
41 連結部
42 軸部
43 回動部材
44 取付穴
45 バネ
46 レバーの後端部
46a 収容部
46b 補助レバー
50 給電ケーブル
51 腕支持具
52 取付部材
53 アーム部材
53a 腕乗せ部
60 鉄筋組立治具
61 鉄筋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダー本体の前部に筒形状の補助ホルダーを横から見て前方斜め下向きに取り付け、この補助ホルダーの先端に当該補助ホルダーと同じ向きになるように溶接棒を取り付ける一方、補助ホルダーの後端から当該補助ホルダー内に押出し棒を挿入して前記溶接棒を補助ホルダーの先端から押出し排出できるようにしたことを特徴とする、溶接棒ホルダー。
【請求項2】
ホルダー本体に対する補助ホルダーの取付角度を横から見て下向き35度〜55度としたことを特徴とする、請求項1記載の溶接棒ホルダー。
【請求項3】
補助ホルダーの先端部を周方向に分割して、補助ホルダーと同じ向きの姿勢の溶接棒の後端部を補助ホルダーの先端の差込み穴から補助ホルダー内に圧入できるようにしたことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の溶接棒ホルダー。
【請求項4】
補助ホルダーをホルダー本体の前部に対し着脱可能に取り付けできるようにしたことを特徴とする、請求項1ないし請求項3記載の溶接棒ホルダー。
【請求項5】
補助ホルダーをホルダー本体の前部に対しねじ込みできるようにしたことを特徴とする、請求項1ないし請求項3記載の溶接棒ホルダー。
【請求項6】
押出し棒を押出し操作するレバーをホルダー本体の中間部に連結軸を介して回動自在に連結し、このレバーの先端に軸部を介して回動部材を回動自在に取り付け、この回動部材の外周に押出し棒の後端を固定することを特徴とする、請求項1ないし請求項5記載の溶接棒ホルダー。
【請求項7】
レバーとホルダー本体の間に弾発部材を介在させたことを特徴とする、請求項6記載の溶接棒ホルダー。
【請求項8】
レバーの後端部をヒンジを介して前方へ折り畳みできるようにしたことを特徴とする、請求項6記載の溶接棒ホルダー。
【請求項9】
ホルダー本体の両脇に独自に押出し棒の押出し操作を行えるレバーを配置し、それら一対のレバーをホルダー本体の中間部に連結軸を介して連結したことを特徴とする、請求項6記載の溶接棒ホルダー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−275897(P2007−275897A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101284(P2006−101284)
【出願日】平成18年4月1日(2006.4.1)
【出願人】(305020675)