説明

溶断シール用フィルム。

【課題】本発明は、溶断シール袋作成時の、柔軟性とヒートシール性、製袋機加工性を高めたフィルムを提供せんとするものである。
【解決手段】 主としてポリ乳酸系樹脂からなるポリ乳酸系フィルムの端裂抵抗がMD、TDともに100N/20mm以下であり、かつ、シャルピー衝撃強さがMD、TDともに0.060MJ/m2以下であり、さらにヘーズが1%を越え10%以下であることを特徴とする、溶断シール用フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明で包装用フィルムとして好適な柔軟性とヒートシール性を有する生分解性フィルムに関するものであり、更に詳しくは、フィルムを溶かしてシールをしつつ、袋の大きさにカットする溶断シールに適する溶断シール用フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりにより、地球温暖化の原因となる炭酸ガス排出量の抑制活動が様々な分野で取り組まれている。特に、石油を原料とするプラスチック製品は廃棄処理の際、多くの炭酸ガスが発生するという問題点がある。
【0003】
このような環境問題の高まりの中で、環境への負荷を低減して社会を持続可能なものにするために、廃棄後に自然環境下で分解する種々の植物由来原料を用いた生分解性プラスチックが求められるようになっている。
【0004】
汎用の石油由来原料から製造されたプラスチックの代表例としてはポリエチレンなどのポリオレフィンが挙げられる。たとえばポリエチレンは通常インフレーション法により袋
状に製膜され、製袋機で溶断シールされ、各種包装用フィルムなどに大量に用いられている。近年、このような溶断シール用フィルムにポリ乳酸を適用しようとする試みが多数なされている。
【0005】
例えば、特許文献1のようにポリ乳酸系重合体と他の脂肪族ポリエステルとを一定割合で含有してなるフィルムが開示されている、しかしながら本技術では、他の脂肪族ポリエステルの含有量が比較的高いためか、包装材料用途としては透明性が不十分であった。
【0006】
特許文献2には、ポリ乳酸系樹脂とガラス転移温度Tgが10℃以下であるポリ乳酸系
樹脂以外の生分解性ポリエステルとの混合物からなるフィルムが開示されている。しかしながら実施例記載の技術に準じて追試したものの、ヒートシールの強度が十分ではなかった。
【0007】
特許文献3には、ポリ(ブチレンサクシネート・アジペート)を含有してなる層を有する生分解性積層フィルムが開示されているが、2台以上の押出機が必要であり設備費、設置面積が大きくなり経済性に劣る方法であった。
【0008】
以上のように柔軟性とヒートシール性に優れ、さらには比較的安価な設備で製造可能な経済性に優れた溶断シールに適するフィルムに関して種々の検討がなされてきたが、未だに達成されていなかった。
【特許文献1】特開平11−222528号公報
【特許文献2】特開2003−292642号公報
【特許文献3】特開2006−198931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、透明で包装用フィルムとして好適な柔軟性とヒートシール性を有する生分解性フィルムに関するものであり、更に詳しくは、フィルムを溶かしてシールをしつつ、袋の大きさにカットする溶断シールに適するフィルムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達したものである。
【0011】
すなわち、本発明は以下のいずれかである。
1) 主としてポリ乳酸系樹脂からなるポリ乳酸系フィルムの端裂抵抗が、MD、TDともに100N/20mm以下であり、かつ、シャルピー衝撃強さがMD、TDともに0.060MJ/m2以下であり、さらにヘーズが1%を越え10%以下であることを特徴とする、溶断シール用フィルム。
2) ホットタック測定時の剥離長さが120℃で2mm以下であることを特徴とする、前記1)に記載の溶断シール用フィルム。
3) 3次元表面粗さ測定機で測定した平均表面粗さSRaが、フィルムの両面ともに0.03〜0.11μmである前記1)または2)に記載の溶断シール用フィルム。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ポリ乳酸系フィルムの端裂抵抗および衝撃強さを低く抑えることにより、フィルムが破断、切断し易くなることを利用している。また、原因がはっきりしないが、端裂抵抗および衝撃強さを低くすることにより、ヒートシール性が向上し、その結果としてフィルムを溶かしてシールしつつ、切断する溶断シールに適するようになったと推定している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、ポリ乳酸系フィルムの端裂抵抗がMD、TDともに100N/20mm以下であり、かつ、シャルピー衝撃強さがMD、TDともに0.060MJ/m2以下であり、さらにヘーズが1%を越え10%以下であることを特徴とする、溶断シール用フィルムである。本発明について、以下に具体的に説明する。
【0014】
本発明の溶断シール用フィルムを構成するポリ乳酸系フィルムは、主としてポリ乳酸系樹脂からなる(ポリ乳酸系フィルムの全成分100質量%に対して50質量%以上100質量%以下がポリ乳酸系樹脂)。本発明の溶断シール用フィルムに好適なポリ乳酸系フィルムは、好ましくはポリ乳酸系フィルムの全成分100質量%に対してポリ乳酸系樹脂が60質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以上100質量%以下である。
【0015】
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は、適度な製膜、延伸適性および実用的な機械特性を満足させるため、5万〜50万であることが好ましく、より好ましくは10万〜25万である。なお、ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーでクロロホルム溶媒にて測定を行い、ポリメチルメタクリレート換算法により計算した分子量をいう。
【0016】
本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料として得ることができる構造を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
【0017】
かかる他の単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。ポリ乳酸系樹脂における、上記他の共重合成分の共重合量は、相溶性であり、フィルムにした時の透明性を損なわない範囲であることが好ましく、ポリ乳酸系樹脂の全単量体成分100モル%に対し、0〜30モル%であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の溶断シール用フィルムに用いるポリ乳酸系樹脂フィルムは、ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルおよび/または脂肪族芳香族ポリエステルを5質量%以上30質量%以下含むことが好ましい。ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルおよび/または脂肪族芳香族ポリエステルを含むことにより、溶断シール用フィルムとした際に十分なヒートシール性を得ることができるために好ましい。
【0019】
ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルおよび/または脂肪族芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族ジオールとコハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステル、さらにはポリ(ブチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート・テレフタレート)などの脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルの共重合体などが挙げられる。特にヒートシール性の効果が大きいものとして、ポリブチレンサクシネート・アジペート系樹脂が好ましく用いられる。
【0020】
本発明の溶断シール用フィルムに使用されるポリ乳酸系フィルムの端裂抵抗は、MD、TDともに100N/20mm以下であることが重要である。MD、TDの少なくとも一方の端裂抵抗が100N/20mmを越えると溶断シール性が悪くなり、不良品が多く出る。より好ましくは80N/20mm以下であり、さらに好ましくは70N/20mm以下である。また、端裂抵抗の下限は、MT、TDともに20N/20mmであり、端裂抵抗がこれより小さいと、フィルムが破れやすくなり実用に適さない。
【0021】
なお、MDとはフィルムの長手方向(巻取り方向)であり、TDとは長手方向と直角の
方向を意味する。
【0022】
端裂抵抗に加えて、本発明のポリ乳酸系フィルムは、シャルピー衝撃強さがMD、TDともに0.060MJ/m2以下であることが重要である。MD、TDの少なくとも一方のシャルピー衝撃強さが0.060MJ/m2を越えると、フィルムの柔軟性がなくなり、手触り感が悪く、触った時に金属音を発するようになり、溶断シール用フィルムに適さなくなる。シャルピー衝撃強さは、より好ましくは0.058MJ/m2以下である。下限はMD、TDともに0.030MJ/m2である。MT、TDの少なくとも一方のシャルピー衝撃強さが0.030MJ/m2未満だと、溶断シール用フィルムが破れやすくなる。
【0023】
本発明の溶断シール用フィルムにおいて、端裂抵抗をMD、TDともに100N/20mm以下として、さらにシャルピー衝撃強さをMD、TDともに0.060MJ/m2以下に制御するための方法としては、特に限定されないが、インフレーション法で製膜されたポリ乳酸系フィルムであることが好ましい。インフレーション法で製膜されたフィルムは、ブロー比を調整することにより、配向が各方向に均一化され、溶断シールして袋を作成する時に、強度的にバランスのよいフィルムをつくることができる。溶断シール用フィルムとして好適なポリ乳酸系フィルムを製造するためには、好ましいブロー比は1.5以上3.0以下であり、より好ましくは1.5以上2.5以下である。ここでブロー比とは、ブロー比=(最終的に得られたチューブ状フィルムを切り開きフラット状にした時のフィルムの全幅)÷(外側ダイリップ周長と内側ダイリップ周長との平均値)から求めることができる。
【0024】
溶断シール用フィルムに使用されるポリ乳酸系フィルムを、インフレーション法以外の方法によって製膜した場合、フィルムの腰の強さ不足、設備費のコストアップの問題が生じることがあり、そのため溶断シール用フィルムに使用されるポリ乳酸系フィルムは、インフレーション法で製膜することが好ましい。
【0025】
本発明の溶断シール用フィルムとして好適なポリ乳酸系フィルムの厚みは、特に限定されないが、5〜100μmの範囲であり、より好ましくは10〜50μmの範囲である。
【0026】
また、本発明の溶断シール用フィルムのヘーズは、1%を越え10%以下であることが重要である。この範囲より大きいと、包装材料用途として透明性が不十分であり、実用化に際し好ましくない。またこの範囲より小さいと、フィルムに傷がつきやすく溶断シール用フィルムにした時に外観が悪くなってしまう。なお、更に好ましいヘーズの範囲は、4%を越え9%以下である。
【0027】
ヘーズを1%を越え10%以下の範囲に保つためには、無機粒子や有機粒子を必要に応じて添加することで制御可能である。無機粒子としては、シリカ等の酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の各種硫酸塩、カオリン、タルク等の各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の各種リン酸塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の各種酸化物、フッ化リチウム等の各種塩等からなる微粒子を使用する事ができる。また、有機粒子としては、シュウ酸カルシウムや、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩などからなる微粒子が使用できる。架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体からなる微粒子が挙げられる。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子が使用できる。
【0028】
無機粒子、有機粒子ともその平均粒径は、特に限定されないが、0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは、2〜8μmの粒子を添加すると、ヘーズを上記範囲(1%を超え10%以下)に制御する際において効果的である。またヘーズを上記範囲(1%を超え10%以下)に制御する際は、無機粒子、有機粒子とも、溶断シール用フィルムと屈折率が近いものを用いることが好ましい。
【0029】
本発明の溶断シール用フィルムは、ホットタック測定時の剥離長さが120℃で2mm以下であることが好ましい。この値より大きいと、溶断シール加工時にシール部のズレが生じ不良品が多発する。より好ましくは1.0mm以下である。また、ホットタック測定時の剥離長さは、値が小さい程好ましく、下限は0mmであることが好ましい。
【0030】
ホットタック測定時の剥離長さを120℃で2mm以下にするためには、高温での熱処理を行わないことが好ましい。特に120℃以上でオーブンあるいはロールによる熱処理を行うと、ホットタックの剥離長さが大きくなる傾向がある。
【0031】
本発明の溶断シール用フィルムの溶断シール性向上を実現するためには、溶断シール用フィルムの平均表面粗さSRaは0.03〜0.11μmであることが好ましい。この範囲より小さいとフィルムにしわが発生したり、蛇行を起こしやすくなる。この範囲より大きいとフィルムが巻きズレを発生しやすくなり溶断シールの障害となることがある。更に好ましくは、0.04〜0.09μmである。
【0032】
なお溶断シール用フィルムの平均表面粗さSRaを調整する際は、その両面の平均表面粗さSRaを制御することが重要である。
【0033】
平均表面粗さSRaを0.03〜0.11μmに保つためには、無機粒子や有機粒子の
添加量を調整することで制御可能である。平均粒径が0.1〜20μmの粒子を、溶断シール用フィルムの全成分100質量%において0.2〜0.8質量%添加することが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
【0035】
[測定及び評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)端裂抵抗
JIS−C−2318(1975年)に準じてテンシロン引っ張り試験機でMD,TDについて測定した。サンプルを、引張り試験機にセットしたV字型治具に通して、速度200mm/分で引っ張り、サンプルが裂けた時の強さ(N/20mm)を求めた。測定回数は各々の方向について5回で、平均値を用いた。
(2)シャルピー衝撃強さ
JIS−K−7111(1984年)に準じてMD及びTDについて測定した。ハンマの衝撃刃の刃縁部分は、刃先半径2±0.2mmでテーパ面の角度は30±1°である。測定回数は各々の方向について10回で、平均値を用いた。
(3)ホットタック
サンプルに熱板への粘着防止用として20μmOPPをドライラミして使用した。2枚の測定したいフィルムサンプルの測定面を重ね合わせて、温度120℃で、シール圧力4Kg/cm(ゲージ圧力)、シール時間1秒でヒートシールし、直後に50g/15mm幅の荷重がかかるようにし、剥離長さ(mm)を測定した。測定回数は2回で、平均値を用いた。
(4)平均表面粗さ(SRa)
小坂研究所製の触針式3次元粗さ計ET4000AKを用い、以下の条件で両方の面を測定した。
【0036】
測定力:100N、Xピッチ:1.00μm、Yピッチ:5μm、Z測定倍率:20000
X送り速さ:0.1mm/sec、低域カット:0.25mm、高域カット:R+W
レベリング:未処理
(5)ヘーズ
JIS−K−7105(1981年)に準じて測定した。測定回数は5回とし、その平均値を用いた。
(6)柔軟性
手触り性で判定した。フィルムを手で2枚に折り、擦り合わせるようにして手触り感で柔軟性を評価した。
○ :柔らかく包み込まれる感触がする。
△ :少しシャリ感がある。
× :シャリシャリ感があり、かたい。触った時に金属音がする。
(7)ヒートシール強さ
MD方向を長辺として幅15mmの短冊状のサンプルを準備した。テスター産業製ヒートシールテスター(TP−701S)を用い、熱板温度120℃、面圧1kgf/cm、シール時間1秒でサンプルを作成し、剥離速度200mm/分でMDに剥離し、ヒートシール強さHs(N/15mm)を求めた。
(8)溶断シール製袋機適性
トタニ技研工業(株)製の溶断シール製袋機HK−40Vを用いて、製袋を行った。幅600mmのフィルムロールを用いて、間口148mm×長さ300mmのサイドシール袋を最適条件で1000枚作製した。シワやカールの発生を除いた合格品の枚数から、下記の基準で判定を行った。
○ :901〜1000枚合格
△ :701〜900枚合格
× :700枚以下合格
[使用したポリ乳酸系樹脂]
重量平均分子量=220,000、D体含有量=5.0%、融点=150℃
[使用した脂肪族ポリエステル樹脂]
ポリブチレンサクシネート・アジペート系樹脂(三菱化学社製“GSPla”)
[使用した無機粒子]
炭酸カルシウム、平均粒径=4μm
(実施例1〜3)
ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルと無機粒子を表1記載の割合で混合したチップを220℃で溶融押出した。リングダイを用いてインフレーション法(ブロー比2.0)で製膜し、厚み25μmのポリ乳酸系フィルムロール2500mを作製した。
【0037】
このポリ乳酸系フィルムロールを溶断シール製袋機にかけ、サイドシール袋を作製し、加工適性を評価した。
【0038】
実施結果を表1に示すように、柔軟性、ヒートシール強さ、溶断シール製袋機適性とも良好な結果を示した。
【0039】
【表1】

【0040】
(実施例4)
ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルと無機粒子を表1記載の割合で混合したチップを220℃で溶融押出した。リングダイを用いてインフレーション法(ブロー比3.0)で製膜
し厚み25μmのポリ乳酸系フィルムロール2500mを作製し、オフラインで120℃
のオーブンを用いて5秒間熱処理を行った。
【0041】
このポリ乳酸系フィルムロールを溶断シール製袋機にかけ、サイドシール袋を作製し、加工適性を評価した。
【0042】
実施結果を表1に示すように、ホットタックが2.5mmになり溶断シール製袋機適性は、少し劣ったものであった。
(実施例5)
無機粒子の量を減らして、表1記載の割合で混合したチップを220℃で溶融押出した。リングダイを用いてインフレーション法(ブロー比2.0)で製膜し厚み25μmのポリ乳酸系フィルムロール2500mを作製した。
【0043】
このポリ乳酸系フィルムロールを溶断シール製袋機にかけ、サイドシール袋を作製し、加工適性を評価した。
【0044】
実施結果を表1に示すように、平均表面粗さは上面0.02、下面0.01μmになり、溶断シール製袋機適性は、少し劣ったものであった。
(比較例1〜3)
ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルと無機粒子を表1記載の割合で混合したチップを220℃で溶融押出した。リングダイを用いてインフレーション法で、フ゛ロー比を3.5に調整
しながら安定させ実施例と同様に、ポリ乳酸系フィルムロール2500mを作製した。
【0045】
このポリ乳酸系フィルムロールを溶断シール製袋機にかけ、サイドシール袋を作製し、加工適性を評価した。実施結果を表1に示すように、ヒートシール強さ、溶断シール製袋機適性は、実施例に比べて劣ったものであった。
(比較例4)
ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルと無機粒子を表1記載の割合で混合したチップを220℃で溶融押出した。リングダイを用いてインフレーション法で、フ゛ロー比1.85に調整
しながら安定させ実施例と同様に、ポリ乳酸系フィルムロール2500mを作製した。
【0046】
このポリ乳酸系フィルムロールを溶断シール製袋機にかけ、サイドシール袋を作製し、加工適性を評価した。実施結果を表1に示すように、柔軟性、ヒートシール強さ、溶断シール製袋機適性は、実施例に比べて劣ったものであった。
(比較例5)
比較例4と同じ組成のチップを用い、溶融押出した。Tダイを用いて逐次二軸延伸法で
縦方向に80℃で3.0倍、横方向に80℃で3.4倍延伸し、140℃で熱処理を行い、
フィルムロール2500mを作製した。
【0047】
このフィルムロールを溶断シール製袋機にかけ、サイドシール袋を作製し、加工適性を評価し、実施結果を表1に示した。柔軟性、ヒートシール強さ、溶断シール製袋機適性は、
いずれも劣ったものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主としてポリ乳酸系樹脂からなるポリ乳酸系フィルムの端裂抵抗が、MD、TDともに100N/20mm以下であり、かつ、シャルピー衝撃強さがMD、TDともに
0.060MJ/m2以下であり、さらにヘーズが1%を越え10%以下であることを特徴とする、溶断シール用フィルム。
【請求項2】
ホットタック測定時の剥離長さが120℃で2mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の溶断シール用フィルム。
【請求項3】
3次元表面粗さ測定機で測定した平均表面粗さSRaが、フィルムの両面ともに0.03〜0.11μmである請求項1または2に記載の溶断シール用フィルム。

【公開番号】特開2010−77230(P2010−77230A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245426(P2008−245426)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】