説明

溶解式ヒートポンプ温水製造装置

【課題】 温熱源を主駆動エネルギーとする特定の溶質が特定の溶媒に溶解するときに発生する吸熱現象に伴う冷熱を利用し大気熱等を回収するヒートポンプ温水製造装置において再析出する溶質結晶による流路等の閉塞が起こり得る。当該装置の起動時及び運転時に当該閉塞が支障とならないよう各部を構成配置する。
【解決手段】 本発明の装置の主要な構成部である再生器部の一部または全部と晶析部と溶解器部を鉛直方向に順次上から一体的に配置することにより各器部内及び各器部間の所要流路を最短且つ縦方向に構成させることにより析出した溶質結晶を沈降排除または機械的に排除させると共に、運転時に高温にする再生器部に近接させて配置することにより内部熱伝導を利用して析出した溶質結晶を昇温再溶解せしめ結晶の流路閉鎖を解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温熱源を主駆動エネルギーとする特定の溶質が特定の溶媒に溶解するときに発生する吸熱現象により得られる冷熱を利用して大気熱等の回収を行い、投入する一次エネルギーと当該回収熱の総和を温水として出力させることによる高効率な温水製造装置であるヒートポンプ温水製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温熱源を主駆動エネルギーとするヒートポンプ温水製造装置はアンモニアまたは臭化リチュウムを利用した吸収式冷凍サイクルを利用したものが考えられるが、アンモニアは可燃性ガスであると共に人体にとって有害な物質でありその使用には多くの制約があり一般家庭用途における実用化されたものはない。
【0003】
また臭化リチュウムを利用した吸収式ヒートポンプは発生する冷熱温度が比較的高く産業用分野で一部実用化されているが一般家庭用途では実用化されたものはない。
【0004】
また、溶解熱を利用した冷凍サイクルを利用する方法が提案されているが、当該溶解式温水製造装置で温水の製造を連続的に行うためには、当該溶液と溶媒の分離再生のための再生工程及び溶媒蒸気を凝縮させるための凝縮工程、溶質を再結晶させるための晶析工程、当該溶質の結晶を溶媒中に溶解させる溶解工程、等が必要であるが、装置の緊急停止等の通常外の停止時に当該各工程間の管路等に溶質結晶が析出沈積して当該流路の閉塞が発生し再起動に結晶溶解作業が必要となり、いまだ実用化に到っていない。
【特許文献1】特公平1−26462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来の溶解式温水製造装置の実用化を阻害している主な問題点は、当該溶解式温水製造方法における各工程間の溶質結晶及び溶質結晶と溶液からなる結晶スラリーの安定的な輸送の確保と、異常停止時、等に当該各工程間の管路を溶質結晶が閉塞する問題であり、本発明は上記の問題点を解決し一般家庭用規模における小形の溶解熱を利用した高効率のヒートポンプ温水製造装置を実用化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、溶解式ヒートポンプ温水製造装置を構成する、再生器部の一部または全部、晶析器部、溶解器部を順次鉛直方向下方に向かって連続的かつ一体的に配置しこれにより狭小な流路部分を最小限化しあわせて、中心部回転軸に取り付けたかき落し機、かき寄せ機及び圧搾押出し機により溶質結晶を機械的に円滑に輸送させることにより上記目的を達成するものである。また高効率化を図るためにエジェクター33,及びまたは多重効用缶エジェクター32a,32b,32cを利用することにより再生器における蒸発促進を図り再生エネルギーの利用効率を高める。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上のように構成配置されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明の装置の主要な構成部である再生器部の一部または全部と晶析器部と溶解器部を鉛直方向に順次上から一体的に配置することにより各器部内及び各器部間の所要流路を最短且つ縦方向に構成させることにより析出した溶質結晶を自由沈降排除させると共に、起動時に高温にする再生器部に近接させて配置することによる内部熱伝導を利用して析出した溶質結晶を昇温再溶解せしめ排除する。
【0008】
即ち、本発明の装置が異常停止したときに溶質結晶が沈積し流路閉塞などの問題を起こしやすいのは再生器部または当該一部構成部分から晶析器部にかけての流路内と当該器部内である。再生器部または当該一部構成部分と晶析器部を上下に一体的に配置することにより、当該再生器部または当該一部構成部分から晶析器部間の流路を縦方向に且つ最小限の長さに構成できる。これにより異常停止時における流路内で析出する溶質結晶群は晶析器部底部方向に沈降、移動し管路内での閉塞を支障ない程度までに軽減できる。また本発明の装置の起動時に外部熱源により加熱する再生器部の温度が上昇するにつれて、再生器部と隣接している各部に沈積している溶質結晶も伝熱により温度が上昇し当該溶質結晶の再溶解が起きるため溶質結晶による流路閉塞トラブルが起こらない。
【0009】
また、晶析器部と溶解器部間は回転軸68に取り付けたかき落し板69または螺旋形状かき落し機131、かき寄せ板70、圧搾押出し機73により順次移動させることができ、溶質結晶の異常析出に伴う本件装置の機能停止を起こすことなく運転ができる。
エジェクター33,及びまたは多重効用缶エジェクター32a,32b,32cを利用することにより低温再生器における溶媒蒸気の発生が促進でき熱効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置を構成する、再生器部の一部または全部、晶析器部、溶解器部を順次鉛直方向下方に向かって連続的かつ一体的に配置し、また中心部に配置する回転軸68により駆動させるかき落とし板69または螺旋形状かき落し機131、かき寄せ板70、及び圧搾押出し機73により溶媒結晶を機械的に移動させることにより溶媒結晶の移動輸送を円滑にさせ、装置の安定的な運転を実現できる。
【0011】
溶解器において生成する低温溶液を冷熱媒体として大気熱や温排熱を装置内に取り込むヒートポンプ運転により高効率の温水製造を行う。このために装置内を通水する上水の流れを結晶析出熱が最も利用できる順序で流すよう装置を構成する。
またエジェクターを利用して低温再生器部での溶媒蒸気の蒸発を促進し熱効率の向上を図る。
更に圧搾押出し機により溶質結晶に付随する母液の溶解器への移行を最小限化する。
【0012】
以下、本発明の実施の形態として一実施例を図1に基づいて説明する。なお溶質としてチオシアン酸カリウム、溶媒として水を用いるものとし、説明の便宜上、簡単に溶質、溶媒と表現することもある。また単に溶媒と呼ぶ場合は液状の溶媒とするが、管路や容器内では気液混相の場合も溶媒と総称することがある。溶質は固体結晶の状態と溶解した場合には溶液の中の一成分としての場合がある。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の装置の一実施例として全体として円柱形状に一体的に構成された、上から再生器部、晶析器部、溶解器部、及び上部外周部に一体的に配置した低温再生器部の垂直断面と、別に配置し連絡管,等で連絡接続した凝縮器44、補充溶媒貯槽26、再生器部の外部加熱源の供給装置としての燃焼ガス発生装置11、と燃焼ガスと戻り溶液の熱交換による加熱をするための燃焼ガス流路12、外部熱交換装置64、低温溶液循環ポンプ63、凝縮器44の下部空間15dに貯留された溶媒を溶解器部内に移送させるための溶媒移送ポンプ62、エジェクター33、気体だけを通過させて液体は遮断する気液分離器52a,52b、再生器内の圧力が、設定圧力を超えた場合には大気開放とするための過圧蒸気放散弁14、溶解器部からの戻り溶液の晶析器部への上昇浸入を遮るための上昇流遮断板75、連結用フランジ外周部19a,19b,19c 等の垂直断面図ならびに付随機器、装置の配置と連絡管路を示している。
【0014】
2は再生器部上蓋、3は再生器部外周壁、4は再生器部内周壁、5は再生器部底部仕切板であり、これらによって囲まれた中空円柱状の空間が再生器部の主要部である。
【0015】
再生器部底部仕切板5と再生器部外周壁3の下部は部分的または全部において隙間31 を有しており当該溶液の移動が可能である。また、再生器部内周壁4の上部は上部に配置する再生器部上蓋2との間に部分的または全部において空間15 aを有しており、当該空間15aを越えて再生器部内の高温濃厚溶液が溢流溶液下降管6に溢流し下部に一体的に配置した晶析器部に流下させる。また当該空間15aは再生器部内の通常液面9から発生する高温溶媒蒸気が自由に移動できるだけの空間であるよう構成する。
【0016】
再生器部上蓋2と低温再生器部上蓋18は一体的に接合配置し低温再生器部外周壁17にフランジ接合により接合し、着脱が容易な構造としている。当該上蓋2,18には熱源用の燃焼ガスを発生するための燃焼ガス発生装置11と当該溶液温度を制御するための再生器部溶液温度調節装置10を配置し燃焼ガス発生装置11の出力調節を行う。当該燃焼ガスを燃焼ガス流路12の中を通して燃焼ガス排出管13から排気させる。これにより再生器部内溶液を加熱し当該溶液温度を最適に保つ。また異常温度上昇を検知することにより空焚きを防止できる。
【0017】
また、再生器部から発生した高温溶媒蒸気を高温溶媒蒸気取出口7から取り出し、管路を経由してエジェクター33の駆動蒸気入口34に注入し低温再生器部溶媒蒸気出口25から出るやや温度の低い溶媒蒸気を気液分離器52aを介してエジェクター33の吸入蒸気口35から吸引し低温再生器内溶媒蒸気の蒸発を促進する。
【0018】
エジェクター33の蒸気吐出口36から吐出したやや低温の溶媒蒸気を高温水製造用熱交換器38のセル側に注入し、当該高温水製造用熱交換器38の熱交換用管路45b内を流れる上水を加熱昇温した後、付属して配置した管路を経由して螺旋状流路熱交換器20の上端の内部流路22に注入し、螺旋状流路熱交換器20の下端部の内部流路22より排出させ、更に連絡管路88bを経由して溶媒入口51より凝縮器44内に流入させる。
低温再生器部外周壁17と低温再生器上蓋18と螺旋状流路熱交換器20によって構成される中空円柱状空間を低温再生器部と呼ぶ。低温再生器上蓋18と螺旋状流路熱交換器20は一部分または全部において空間15b を有し低温再生器部内の通常液面23から発生した溶媒蒸気が移動可能であるよう構成する。
【0019】
また、再生器部上蓋2には当該溶質を補充するための溶質投入口8を配置し通常は蓋で密閉する。また低温再生器部上蓋18には低温再生器部内の通常液面23を適正に保持するための液面調節装置24を配置する。当該低温再生器部内の通常液面23が異常に低下した場合には、電極を利用した液面センサー等により検知し、補充溶媒貯槽26の電動弁27を開いて凝縮器44と溶媒移送ポンプ62を介して溶媒を補充し低温再生器部内の液面を低温再生器部内の通常液面23付近まで上昇させる。
【0020】
再生器部内の圧力を適正に保つために過圧蒸気放散弁14を設け再生器部内の圧力が設定圧力を超えた場合には溶媒蒸気を高温溶媒蒸気出口7から過圧蒸気放散弁14と凝縮器44を経由して大気開放管49より大気中に放散する。
【0021】
回転軸68と回転軸68を駆動する回転軸駆動装置67を再生器上蓋2に固定して取り付ける。その直近周囲には円筒形状上水下降管路77が、また円筒形状上水下降管路77の外周部には円筒形状上水上昇管80を一体的に配置し再生器上蓋2と密着して接続する。
【0022】
円筒形状上水下降管77と円筒形状上水上昇管80の下部および晶析器部外周部螺旋形状管路86の上端部にそれぞれ接して水平に配置され中央部を回転軸68が貫通した円盤状の晶析器部上蓋87と中空円筒壁体状に構成された晶析器部外周部螺旋形状管路86によって構成される空間を晶析器部と呼ぶ。晶析器部内の中心部側に同じく円筒形状に構成された晶析器部中央部螺旋形状管路85を配置し、回転軸68により回転する溶質結晶のかき落とし板69を晶析器部中央部螺旋形状管路85の内周部に接近して配置し晶析器部中央部螺旋形状管路85の内周部表面に付着した溶質結晶をかき落す。
【0023】
凝縮器44の上水入口46から給水した上水は凝縮器内熱交換用管路45aを経由して上水出口61a、連絡管88c を経由して円筒形状上水下降管77に入り連絡管88fを経由して晶析器部中央部螺旋状管路85内を旋回しながら下方に流れ、連絡管88gを経由して晶析器部外周部螺旋状管路86内を旋回しながら上方に流れ 、連絡管 88h、円筒形状上水上昇管80を順次経由して高温水製造用熱交換器38に流入し高温水となり高温上水出口40より取り出して利用される。
【0024】
溶解器部上部円錐形状仕切り板93、溶解器部外周部壁95と溶解器部底板94により構成される空間を溶解器部と呼ぶ。溶解器部の底部には余剰溶質結晶が滞留する余剰溶質結晶貯留部96を配置する。また低温溶液循環ポンプ63と外部熱交換装置64により通常大気熱を系内に取り入れる構成とする。
【0025】
回転軸68の下端部に取り付けた圧搾押出し機73と戻り溶液の上昇流を遮蔽するための上昇流遮蔽盤75を配置させる。
また必要に応じて溶解器部上部円錐形状仕切り板93を固定させるために支柱98e,98fを配置してもよい。どうように円錐形状受け皿71、円錐形状下降管74、をそれぞれ固定するために支柱98a,98b,98c,98dを配置してもよい。
【0026】
また、必要に応じて凍結防止装置を設けるものとする。再生器部内の戻り溶媒の加熱方法として、当該戻り溶媒を管路で取り出して当該再生器部の外部で加熱昇温させて再び管路を経由して当該再生器部内に還流させてもよい。
低温再生器部での加熱用熱源は燃焼排気及びまたは排蒸気などを使うことができる。
【0027】
また本発明の実施の形態として一実施例を図2,3,4,5に基づいて説明する。この場合にも溶質としてチオシアン酸カリウム、溶媒として水を用いるものとする。
【実施例2】
【0028】
図2は再生器が外部の場合の1実施例を示す。115は円筒形状をした外部再生器溶液加熱濃縮器であって、底部中心部に低温再生溶液を注入するための低温再生溶液下降管114が上から下へ配置されている。低温再生器部から低温再生溶液輸送ポンプ111で輸送されてくる低温再生溶液を予混合気燃焼器116で外熱すると外部再生器溶液加熱濃縮器115内部で沸騰が起きる。沸点は濃縮度に応じて定まるため、所要の濃縮度を示す沸点に到るまでは、電動弁132aを開いて溶液のみバイパスして還流させる。濃縮度があがるとともに沸点が上昇し外部再生器温度検知器113bで所要の沸点になるのを検知したら、電動弁132aを閉止し濃厚溶液を溶媒蒸気とともに気液分離装置145内へ注入する。
【0029】
気液分離装置145内に設けた通常の気液分離器機構により分離した溶媒蒸気はエジェクター33の駆動蒸気入口34、蒸気吐出口を順次経由して吸入蒸気入口35より吸入した低温再生器の低温再生器内部の通常液面23より発生した溶媒蒸気と合わせて螺旋状流路熱交換器20の上部に注入する。エジェクター33の吸引力による減圧が低温再生器の蒸発これにより再生のエネルギー効率を高めるとともに低温再生器からの溶媒蒸気の抜き出しと凝縮器44への輸送装置を兼ねて装置をコンパクトにできる。
【0030】
気液分離装置145内で分離した濃厚溶液は、フロート弁122aを経由して連続的に再生溶液流路148aに注入する。注入した当該濃厚溶液は上水の冷熱により冷却しつつ再生溶液流路148bを上昇して再生溶液流路148cの上部に到る。
【0031】
再生溶液流路148cの内部では溶質の再結晶が起こるまで冷却が進んでいるよう螺旋状上水熱交換器126a,126bの伝熱面積を構成する。発生する溶質結晶は螺旋状かき落し機により鉛直下方に輸送する。このとき発生する下方向の流れが再生溶液流路148b内の上昇流を促進する。
【0032】
溶媒蒸気が凝縮器44の上端部に大気に開放して設けた大気開放管49から蒸散して凝縮器内の通常液面140が凝縮器内溶媒補充開始液面141まで低下したら、補充溶媒貯槽26内の溶媒が気体と入れ替わりに流出し溶媒液面を凝縮器内溶媒補充開始液面141以下にはさせない。補充溶媒貯槽26内の溶媒は定期的に補充する。補充し忘れたときは、液面検知器133bで知らせる。
【0033】
再生器部を外部に配置することによりメンテナンスが容易になるとともに本体の構成がシンプルにでき容積効率も向上する。
また、外熱熱源は蒸気や排気を利用してもよい。
【0034】
また、外部熱交換器64を経由して大気熱や低温排熱をシステム内に取り込みヒートポンプとして加熱効率を高める。
また、外部熱交換器64の冷却熱を居室や倉庫内の冷房などに利用することもできる。
【0035】
溶液が腐食性がある場合には、各種弁類は磁石の力で間接的に弁を動作できるものを利用することができる
撹拌翼などの材質として各種金属やその合金を利用できる、またガラス、樹脂、プラスチックなどの非金属材料も特性に応じて利用できる。
【0036】
チオシアン酸カリを溶質として水を溶媒として利用できる。この場合にはアルミニウム
及びまたはその合金を利用できる。
【0037】
本発明の上水を冷却塔や放熱器により冷却しつつ循環使用して、冷凍機として運転することができる。
【0038】
また本発明の実施の形態として一実施例を図3に基づいて説明する。この場合にも溶質としてチオシアン酸カリウム、溶媒として水を用いるものとする。
【実施例3】
【0039】
図3は再生器が外部の場合の1実施例を示す。26aは補充溶媒貯槽であり外部再生器内の気液界面が外部再生器内溶媒補充開始液面142まで低下したら当該補充溶媒貯槽26a 内に気体が流入し当該気体の流入量に応じた溶媒が通常運転時開かれている開閉弁160aを経由して外部再生器内に重力に従って流入する。これにより随時外部再生器内の気液界面が外部再生器内溶媒補充開始液面142以上に維持でき、外部再生器の空焚きが防止できる。
【0040】
また26bは補充溶媒貯槽であり凝縮器44内の気液界面が凝縮器内溶媒補充開始液面141まで低下したら当該補充溶媒貯槽26b内に気体が流入し当該気体の流入量に応じた溶媒が通常運転時開かれている開閉弁160bを経由して凝縮器44内に重力に従って流入する。また、当該凝縮器内溶媒補充開始液面141は凝縮器内の通常液面140より低い位置で且つ当該凝縮器内の通常液面140の波動が影響を及ぼさない範囲でできるだけ高い位置に設けるものとする。
【0041】
これにより凝縮器44内の溶媒液面を高く維持できるため、本件装置の起動時に凝縮器44内に凝縮溶媒が注入開始されると当該凝縮器内の凝縮溶媒液面が上昇し溢流して連絡管路125g、気液分離器161を順次経由して溶媒移送ポンプ62により速やかに凝縮溶媒の溶解器内への注入が開始され、溶解器部内の余剰結晶貯留部96に常時貯留している溶質と接触し溶解に伴う冷熱の発生を速やかに開始できる。
【0042】
また本発明の実施の形態として一実施例を図3,4,5に基づいて説明する。この場合にも溶質としてチオシアン酸カリウム、溶媒として水を用いるものとする。
【実施例4】
【0043】
図4は低温再生器部に多重効用缶方式を用いる場合の1実施例を示すためのシステムフロー図であり、説明の簡素化のため直接関係しない一部の構成要素を省略している。また図5は図4に示す多重効用缶方式のシステムフロー図の一水平断面図であり説明の簡素化のため直接関係しない一部構成要素を省略している。
また、本実施例において低温再生器部以外の構成は図3に示すとおりである。
【0044】
165a, 165b, 165cはそれぞれ低温再生器部における多重効用缶再生器室である。本発明の主要な構成要素の一つである晶析器部、溶解器部を全体として円柱状に構成配置し当該円柱状の構成要素の上部に中空円柱状に直列的且つ連続的に構成した三つの多重効用缶再生器室165a, 165b, 165cを一体的に配置している。
【0045】
なお、当該多重効用缶再生器室の数は2つ以上複数個配置できるが、図4、図5は三つの場合を例示するものである。また、各多重効用缶再生器室165a, 165b, 165c内の主たる構成配置は同一の構成であり直列配置の先端部の多重効用缶再生器室165aには高温濃厚溶液と高温溶媒蒸気を注入するための入口を設け部分的に濃縮した戻り溶液を取り出すための出口を設ける。また終端部の多重効用缶再生器室165cには低温再生器部から多重効用缶部への戻り溶液移送管路177と螺旋状流路熱交換器20へ溶媒を注入するための溶媒移送管路178を設ける。
【0046】
当該多重効用缶再生器室165a内は多重効用缶仕切り板179aで上部と下部空間に仕切り、下部空間内で多重効用缶蒸気流路熱交換器169a及びまたは多重効用缶濃厚溶液流路熱交換器170により加熱して発生した溶媒蒸気を蒸気抽気用フロート弁166aを介して上部空間内に設けたエジェクター32aに吸引せしめ多重効用缶蒸気流路熱交換器169bを経由して下流側の多重効用缶再生器室165b内に排出させ順次これを繰り返した後に多重効用缶再生器室165cから溶媒移送管路178を経由して螺旋状流路熱交換器20へ排出させる。
【0047】
また、気液輸送管105を経由して注入される高温の濃厚溶液及び溶媒蒸気を気液分離装置145内に接線方向から注入させ流体の密度差を利用して気液分離し、当該高温の濃厚溶液を下部よりフロート弁122aを経由して多重効用缶濃厚溶液流路熱交換器170に注入する。また当該高温の溶媒蒸気は多重効用缶蒸気流路熱交換器169aを経由してエジェクター32aの駆動蒸気として利用した後に多重効用缶蒸気流路熱交換器169bへ移送する。
【0048】
多重効用缶蒸気流路熱交換器169a,169b,169cにおいて発生した凝縮溶媒は多重効用缶気液分離器168a,168b,168cをそれぞれ経由しさらに溶媒移送管路178を経由して螺旋状流路熱交換器20へ排出する。
【0049】
上水は上水入口60aから注入し、熱交換用管路45a,連絡管路125a, 壁体貫通管路接続具130c, 連絡管路125b, 螺旋状上水流路熱交換器126a, 連絡管路125c, 螺旋状上水流路熱交換器126b, 連絡管路125d, 壁体貫通管路接続具130d, 連絡管路125e, 壁体貫通管路接続具130e, 高温水発生器103, 壁体貫通管路接続具130f, 高温水出口104,を順次経由して
温水として取り出す。
【0050】
この間、螺旋状上水流路熱交換器126aにおいて高温濃厚溶液が順次冷却して低温濃厚溶液となって生成する再生溶液となり当該再生溶液を再生溶液流路148a, 再生溶液流路148b, 再生溶液流路148cを順次移動する間に上水の冷熱により更に冷却して溶質の再析出を起こせしめ、析出熱を螺旋状上水流路熱交換器126aにより回収し上水温度を昇温させる。
【0051】
なお、上水温度が高い場合には上水の流動順序を変更して最初に螺旋状上水流路熱交換器126aに注入してもよい。
【0052】
各実施例においてフロート弁は当該溶液の比重と当該フロート弁を通過する液流量と方向を考慮して設計製作したものを使用する。また気液分離、気液界面維持、逆流防止などの目的で使用する各弁機構においても浮遊体が利用できるが、この場合にも当該溶液の比重と当該浮遊体弁を通過する液流量と方向を考慮して設計、製作したものを使用する。
なお、同機能のものであってフロートまたは浮遊体を使用しないものも使用することができる。
【0053】
各種開閉弁は溶液及びまたは溶媒の腐食性について使用材質を選択する。当該溶液及びまたは溶媒の腐食性が問題になる場合においては、耐食性のある材質で覆った磁石の力を利用して開閉を行う弁を使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は規模を拡大することは容易であり、一般家庭用のみならず業務用、等大規模の温水製造装置として利用できる。
また、本件装置は、200℃程度の比較的低温の再生用熱源と大気、河川水、等の冷熱源があれば、給湯、暖房、冷房、冷凍を組み合わせて大規模な地域冷暖房等の熱源発生装置としても利用できる。更に、ごみ焼却熱や工場廃熱等を再生用エネルギーとするエネルギーセンターの熱源発生装置にも利用可能であり省資源、省エネルギー、環境に適した熱源発生装置が構成でき、広く多用途に役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置の構成の説明図(実施例1)
【図2】溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置の構成の説明図(実施例2)
【図3】溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置の構成の説明図(実施例3)
【図4】多重効用缶低温再生器部の構成の鉛直断面説明図(実施例4)
【図5】多重効用缶低温再生器部の構成の水平断面説明図(実施例4)
【符号の説明】
【0056】
2 再生器部上蓋
3 再生器部外周壁
4 再生器部内周壁
5 再生器部底部仕切板
6 溢流溶液下降流路
7 高温溶媒蒸気出口
8 溶質投入口
9 再生器部内の通常液面
10 溶液温度調節装置
11 燃焼ガス発生装置
12 燃焼ガス流路
13 燃焼ガス排出管
14 過圧蒸気放散弁
15a 15b 15c 15d 空間
17 低温再生器部外周壁
18 低温再生器部上蓋
19a 19b 19c 連結用フランジ外周部
20 螺旋状流路熱交換器
21 還流路
22 内部流路
23 低温再生器部内の通常液面
24 液面調節装置
25 低温再生器部溶媒蒸気出口
26a 26b 補充溶媒貯槽
27 電動弁
28a 28b 溶媒注入口
29 通気管
30a 30b 補充溶媒貯槽内の通常液面
31 隙間
32a 32b 32c 多重効用缶エジェクター
33 エジェクター
34 駆動蒸気入口
35 吸入蒸気入口
36 蒸気吐出口
38 高温水製造用熱交換器
40 高温上水出口
44 凝縮器
45a 45b 45c 熱交換用管路
48 凝縮器内の通常液面
49 大気開放管
50 過圧蒸気入口
51 溶媒入口
52a 52b 気液分離器
54a 54b 余剰気体出口
56a 56b 取出し口
58 逆流防止弁
59a 59b ドレン抜き弁
60a 60b 上水入口
61a 61b 上水出口
62 溶媒移送ポンプ
63 低温溶液循環ポンプ
64 外部熱交換装置
66a 66b 66c 66d 注入口
67 回転軸駆動装置
68 回転軸
69 かき落し板
70 かき寄せ板
71 円錐形状受け皿
72 受け皿中央底部開口部
73 圧搾押出し機
74 円錐形状下降管
75 上昇流遮蔽板
76 螺旋状翼板
77 円筒形状上水下降管路
78a 78b 接続具
80 円筒形状上水上昇管路
83a 83b 83c 晶析部中央部空間
85 晶析器部中央部側螺旋状管路
86 晶析器部外周部側螺旋状管路
87 晶析器部上蓋
88a 88b 88c 88d 連絡管
88f 88g 88h 88i 88j 連絡管
90 円錐形状仕切り板開口部
91 溶質結晶下降管
93 溶解器部上部円錐形状仕切り板
94 溶解器部底板
95 溶解器部外周壁
96 余剰溶質結晶貯留部
97 余剰沈積溶質結晶の通常表面
98a 98b 98c 98d 98e 98f 支柱
102 外部再生器排気筒
103 高温水発生器
104 高温水出口
105 気液輸送管
106 溶液バイパス出口
107 溶液バイパス入口
108 溶液バイパス制御装置
109 外部再生器加熱装置外周壁
110 外部再生器外周壁
111 低温再生溶液輸送ポンプ
112 低温再生溶液下降管入口
113a 113b 外部再生器温度検知器
114 低温再生溶液下降管
115 外部再生器溶液加熱濃縮器
116 予混合気燃焼器
117 燃焼ガス上昇管路
118 予混合気製造供給装置
119 予混合気供給管
120a 120b 120c 120d 120e 手動液抜き弁
121 高温溶液出口
122a 122b 122c 122d 122e 122f 122g フロート弁
123 磁石または電気磁石
124 磁石内臓円盤
125a 125b 125c 125d 125e 125f 125g 125h 125i 125j 125k 連絡管路
126a 126b 螺旋状上水流路熱交換器
127 円筒状仕切壁
128 下降流発生用プロペラ
129 接続用環状差込具
130a 130b 130c 130d 130e 130f 130g 壁体貫通管路接続具
131 螺旋形状かき落し機
132a 132b 電動開閉弁
133a 133b 133c 液面検知器
140 凝縮器内の通常液面
141 凝縮器内溶媒補充開始液面
142 外部再生器内溶媒補充開始液面
145 気液分離装置
146 溶解器部から低温再生器部への戻り溶液流路
148a 148b 148c 再生溶液流路
149 空間部
150 支持装置
151 上蓋
160a 160b 開閉弁
161 気液分離器
165a 165b 165c 多重効用缶再生器室
166a 166b 166c 蒸気抽気用フロート弁
167a 167b 多重効用缶再生器室間連絡流路
168a 168b 168c 多重効用缶気液分離器
169a 169b 169c 多重効用缶蒸気流路熱交換器
170 多重効用缶濃厚溶液流路熱交換器
171a 171b 171c 多重効用缶隔壁
172 多重効用缶内周壁
173 多重効用缶上蓋
174 多重効用缶底板
175 多重効用缶凝縮溶媒流路熱交換器
176 多重効用缶内通常気液界面
177 戻り溶液移送管路
178 溶媒移送管路
179a,179b,179c 多重効用缶仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解に伴い吸熱現象を示す溶質と溶媒を混合し溶解させ低温溶液を生成させるための空間と当該空間の底部に溶解度を超えて溶解できない余剰の当該溶質結晶を一時的に貯留させるための余剰溶質結晶貯留部96を配置すると共に、当該低温溶液の冷熱を利用して大気熱及びまたは外部温排熱から熱交換器を介して温熱を取り込むための外部熱交換装置64と、当該低温溶液を当該外部熱交換装置64に連続的に循環して輸送するための低温溶液循環ポンプ63及び当該輸送のための配管を、それぞれ具備させた溶解器部と、当該溶解器部で生成し還流した戻り溶液を加熱沸騰させるための装置と、当該戻り溶液が沸騰する空間15cの上部に当該沸騰により発生する高温溶媒蒸気を一時的に滞留させるための空間15aと当該沸騰により生成する高温濃厚溶液を溢流させ下部に流下させるための溢流溶液下降流路6と当該空間15a内の高温溶媒蒸気を取り出すための高温溶媒蒸気出口7を、それぞれ具備させた再生器部と、当該溶解器部から流出する戻り溶液を当該再生器部へ還流させるための還流路21と、当該還流路21の壁体の一部を構成するよう配置せしめた円筒形状の熱交換器であって当該再生器部の高温溶媒蒸気出口7から噴出する高温溶媒蒸気及びまたは当該高温溶媒蒸気の一部が凝縮した高温溶媒凝縮液が当該熱交換器の内部流路22に沿って上部より旋回しながら流下していくよう構成した螺旋状流路熱交換器20と、当該螺旋状流路熱交換器20により戻り溶液を加熱昇温させて当該戻り溶液中の溶媒の一部を蒸発せしめ当該蒸発により発生した当該溶媒蒸気を一時的に滞留させるための空間15bと、当該空間15bから当該溶媒蒸気を取り出すための溶媒蒸気出口25と、当該空間15bと接する低温再生器部内の通常液面23の高さを検知、調節するための液面調節計24と当該液面調節計24から低温再生器部内の通常液面23が低下した場合の信号を受けて補充溶媒貯槽26中の溶媒を電動弁27の開動作に従って凝縮器44、溶媒移送ポンプ62を順次経由して補充する仕組みを、それぞれ具備させた低温再生器部と、当該螺旋状流路熱交換器20の下端部の内部流路22から排出する当該溶媒を連絡管88bと溶媒入口51を経由して受容する空間と、当該溶媒入口51から注入された溶媒の蒸気の一部または全部を上水及びまたは通常大気の冷熱を利用して冷却凝縮させるための熱交換用管路45aと、凝縮溶媒を一時的に貯留するための空間15dと、上端部に大気開放管49と下部に当該空間15dに貯留した凝縮溶媒の取出し口56aを、それぞれ具備させた凝縮器と、再生器部の下方部に外周部から順次中央部に向かって配置した螺旋状流路熱交換器20、晶析部外周部側螺旋状管路86、晶析部中央部側螺旋状管路85のそれぞれにより仕切られた鉛直方向の間隙であって、3層からなる晶析部中央部空間83a、83b、83cであって、再析出のための冷熱源である上水が、円筒形状上水下降管路77を下降し連絡管88fを経由して晶析部中央部側螺旋状管路85を上部より旋回し下方向に流れ連絡管88gを経由して晶析部外周部側螺旋状管路86を下部より旋回し上方向に流れて連絡管88hを経由して円筒形状上水上昇管路80を上昇して上水出口61bから連絡管88iへ流れていく間に、それぞれの管路からなる熱交換器壁を介して再生器部から流入した当該高温濃厚溶液が晶析部中央部空間83a、83b、83cを順次経由して移動する間に当該高温濃厚溶液を冷却せしめ当該高温濃厚溶液内の溶質の一部を再析出させ、再析出した溶質結晶は自由沈降により下部空間に移動するよう構成配置した晶析器部を主たる構成要素とし、当該再生器部と当該晶析器部と当該溶解器部を鉛直方向に順次上から下へ連続的に配置し、当該低温再生器部を当該再生器部と当該晶析器部の外周部に一体的に配置し、当該各器部間を当該溶質結晶及びまたは溶液を管路及びまたは開口部を介して連続的に移動させるよう一体的に構成配置し、また上水は注入口60a、上水出口61a、連絡管88c、上水入口60b、円筒形状上水下降管77、連絡管88f、晶析部中央部側螺旋状管路85、連絡管路88g、晶析部外周部側螺旋状管路86、連絡管路88h、円筒形状上水上昇管路80、連絡管路88i、を順次経由して高温水製造用熱交換器38で再生器部から取り出した高温溶媒蒸気と熱交換器壁を介して加熱昇温されて高温水となり高温水出口40から送り出されるようそれぞれ構成配置したことを特徴とする溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置であって、当該再生器部から発生する高温溶媒蒸気を駆動媒体とするエジェクター 33を設け当該エジェクター 33 の吸引力により当該低温再生器部上部空間15b中の溶媒蒸気の一部または全部を吸引し除去して低温再生器部上部空間15bにおける当該溶媒蒸気の蒸発を促進させるよう構成したことを特徴とする溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置。
【請求項3】
請求項1,2の溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置であって、当該再生器部、当該晶析器部、及び当該溶解器部の中心部鉛直方向に回転軸68を設け、当該回転軸68を電動機、等の駆動装置で磁石の磁力を介して回転させるとともに当該回転軸68に、当該晶析器部内の空間の一部であって当該溶質の再析出を起こさせるための晶析部中央部空間83cの外周壁を構成する晶析器部中央部側螺旋状管路85の内周部低温壁面に付着する当該溶質結晶をかき落すためのかき落し板69及びまたは当該晶析器部底部を構成する円錐形状受け皿71上に沈積する当該溶質結晶を当該円錐形状受け皿71の中央底部に開口して設けた受け皿中央底部開口部72にかき寄せるためのかき寄せ板70を、直接または接続具78a,78bを介して一体的に設けたことを特徴とする溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置。
【請求項4】
請求項1,2,3の溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置であって、当該再生器部、当該晶析器部、及び当該溶解器部の中心部鉛直方向に回転軸68を設け、当該回転軸68を電動機、等の駆動装置で直接または磁石の磁力を介して回転させるとともに当該回転軸68の下端部に、当該円錐形状受け皿71の中央底部に開口して設けた受け皿中央底部開口部72に連続して設けた円錐形状下降管74の内周壁面に沿って外部形状を円錐形状に構成した螺旋状翼板76を一体的に固定配置し、当該螺旋状翼板76を回転させて円錐形状下降管74内の当該溶質と溶媒液からなる懸濁液を下方に圧搾押出すための圧搾押出し機73を設けたことを特徴とする溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置。
【請求項5】
溶解に伴い吸熱現象を示す溶質と溶媒を混合し溶解させ低温溶液を生成させるための空間と当該空間の底部に溶解度を超えて溶解できない余剰の当該溶質結晶を一時的に貯留させるための余剰溶質結晶貯留部96を配置すると共に、当該低温溶液の冷熱を利用して大気熱及びまたは外部温排熱から熱交換器を介して温熱を取り込むための外部熱交換装置64と、当該低温溶液を当該外部熱交換装置64に連続的に循環して輸送するための低温溶液循環ポンプ63及び当該輸送のための配管を、それぞれ具備させた溶解器部と、当該溶解器部で生成し還流した戻り溶液を加熱沸騰させるための装置と、当該加熱沸騰により発生した高温の溶液と溶媒からなる気液混相状態の流体を気液輸送管105を経由して気液分離装置145に注入させ、蒸気はエジェクター33の駆動蒸気入口34を経由して螺旋状流路熱交換器20に注入し、溶液はフロート弁122aの下端部の高温溶液出口121を経由して再生溶液流路148へ注入するよう構成させた再生器部と、当該溶解器部から溶質結晶下降管91を経由して流出する戻り溶液を、当該溶液を当該再生器部へ還流させるための戻り流路146を経由させて、低温再生器部外周壁17と円筒状仕切り壁127の間に設けた円筒状の螺旋状流路熱交換器20の外壁面と接触させながら上昇させて、低温再生器部内の通常液面23を形成させつつ連絡管路125kを経由し低温再生溶液輸送ポンプ111から当該再生器部内に設けた低温再生溶液下降管入口112へ注入するよう構成させた低温再生器部と、当該螺旋状流路熱交換器20の下端部に接続した連絡管路125fを経由して排出する当該溶媒の蒸気及びまたは凝縮液を注入し貯留するする空間部149と、注入した溶媒の蒸気の一部または全部を上水及びまたは通常大気の冷熱を利用して冷却凝縮させるための熱交換用管路45aと、上端部に大気開放管49と下部に上水入口60aを、それぞれ具備させた凝縮器44と、再生溶液流路148a,148b,148cを順次流れる高温濃縮溶液を螺旋状流路熱交換器126a,126bを順次流れる上水の冷熱により冷却し溶質を再析出させ、あわせて当該析出熱を上水側に回収させるよう構成した晶析器部を主たる構成要素とし、当該晶析器部と当該溶解器部を鉛直方向に順次上から下へ連続的に配置し、当該低温再生器部を当該晶析器部の外周部に一体的に配置し、当該各器部間を当該溶質結晶及びまたは溶液を連絡管路及びまたは開口部を介して連続的に移動させるよう一体的に構成配置したことを特徴とする溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置
【請求項6】
請求項5の溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置であって、当該晶析器部、及び当該溶解器部の中心部鉛直方向に回転軸68を設け、当該回転軸68を電動機、等の駆動装置で直接または磁石の磁力を介して回転させるとともに当該回転軸68の晶析器部の部分に螺旋形状かき落し機131を固定して設け螺旋状流路熱交換器126aの内周面に析出する溶質結晶をかき落とすとともに再生溶液流路148c内の下降流を助長する方向で回転させ、また当該回転軸の68の下部に、当該円錐形状受け皿71の中央底部に開口して設けた受け皿中央底部開口部72に連続して設けた円錐形状下降管74の内周壁面に沿って外部形状を円錐形状に構成した螺旋状翼板76を一体的に固定配置し、当該螺旋状翼板76を回転させて円錐形状下降管74内の当該溶質と溶媒液からなる懸濁液を下方に圧搾押出すよう構成した圧搾押出し機73を、また当該下端部に下降流発生用プロペラ128を、また当該上端部に磁石内蔵円盤124を固定して設け当該磁石と反発する極性を持った磁石または電気磁石123を配置し当該回転軸68にかかる上方への力を受けて接触せずに支えるよう構成した支持装置150をそれぞれ設けたことを特徴とする溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置
【請求項7】
請求項5,6の溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置であって、当該低温再生器部内の溶媒蒸気が発生し一時的に滞留する空間を隔壁により二つまたは三つ以上の空間に区分して構成した多重効用缶再生器室間を多重効用缶再生器室間連絡流路によりそれぞれ直列的且つ連続的に接続配置し、一方の端部に配置した当該多重効用缶再生器室165cに溶解器部から低温再生器部への戻り溶液流路146を経由した戻り溶液を流入せしめ順次各当該多重効用缶再生器室を経由させて他方の端部に配置した多重効用缶再生器室165aから連絡管路125kを経由し低温再生器輸送ポンプ111により外部再生器溶液加熱濃縮器115に流入させ、また当該多重効用缶再生器室内における溶媒蒸気の発生を当該多重効用缶再生器室に隣接的に配置した多重効用缶再生器室及びまたは外部再生器溶液加熱濃縮器115から発生する溶媒蒸気と溶液の持つ熱エネルギーの一部または全部により行うよう構成配置したことを特徴とする溶解熱を利用したヒートポンプ温水製造装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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